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●風水別館 Annex version 2022

戦艦大和級テスターEM-300修理のナゾ(また焼くのが怖い編)
太古テスターSP-6Dの完全修理のナゾ(ヤキモチが怖い編)
トイレ新機構ボール弁の不具合のナゾ(寿命わずか3年編)
名古屋自動車流サプライ用品規格のナゾ(名古屋規格編)
スマホの至適充電環境のナゾ(やはり電圧がカギ編)
神功皇后と卑弥呼の関係のナゾ(日経朝刊「ふりさけ見れば」佳境に入る編)
安物テスターの006pをCR2032変換のナゾ(BIOS電池切れにも使えます編)
10年落ちNC700sのお化粧のナゾ(バイクは見栄えが命編)

キャンピングカーの山本式発々防音箱のナゾ(騒音6dBダウン実現編)
キャンピングカーのベントファン交換のナゾ(ダメなMaxFan編)
キャンピングカーのリビルドオルタネーターのナゾ(部品探しに要工夫編)
キャンピングカーにエアコン設置編(長年の熟慮を否定する簡単な設定編)
車用サブウーハーのブーミーな音のナゾ(KSC-SW01とSW-1600編)
30年選手の安価版エアコンのサルベージ編(シンプルな製品ほど寿命が長い編)

Van Cliburn Competition 2022に見るコンクール評価のナゾ(ファイナル結果編、その5)
Van Cliburn Competition 2022に見るコンクール評価のナゾ(ファイナル編、その4)
Van Cliburn Competition 2022に見るコンクール評価のナゾ(ファイナル編、その3)
Van Cliburn Competition 2022に見るコンクール評価のナゾ(その2)
Van Cliburn Competition 2022に見るコンクール評価のナゾ

SDカードにWindows10をインストする(速度の乗らないCeleronN3060マシンを何とかする編)
SDカードにWindows10をインストする(ベンチマークからWindowsの本質を考える編)
SDカードにWindows10をインストする(保存おすすめ備忘録版)

続々エアコンのナゾ(騒音振動編)

ロケフリSlingBox停止対策開始編その6(現時点のSlingBox軍団とアプリ群)
ロケフリSlingBox停止対策開始編その5(M$Edgeで350を使う編)
車用サブウーハーTS-WX11Aのブーミーな音のナゾ(基礎と解決編)

止まる時計と不思議なカケラのナゾ
ロケフリSlingBox停止対策開始編その4(SlingBoxSB100と350ペア)
ロケフリSlingBox停止対策開始編その3(IPアドレス変更通知アプリ編)
ロケフリSlingBox停止対策開始編その2(SoftEtherVPN編)
ロケフリSlingBox停止対策開始編その1(ChromeRemoteDesktop編)

不良在庫のAtomD2500マザボは日の目を見るか?のナゾ(恨みが怖い編)
不良在庫のAtom330マシンは生き残れるか?のナゾ(首の皮一枚編)
不良在庫に救われたラジオシャックテスターのナゾ
今日のトクする一言サーバー移転の顛末


戦艦大和級電子テスターEM-300修理のナゾ(また焼くのが怖い編)

またまたテスターの修理の話である。WebmasterがEM-300を買ったのがいつかは定かでないが、70年代中期であったことは確かだ。

それまで2kΩ/V級の安物テスターしかなかったWebmasterは電子テスターを自作していた。当時貴重だったトートバンド式のメーターと2SK30の差動回路でDC15Vフルスケールのみのワンレンジの計測機であった。それはラダーを組むべき抵抗の入手が難しかったからである。当時は2SK30で電子テスターを自作した人は多かったと思う。

そんな時に購入した入力抵抗10MΩ級の電子テスターEM300は虎の子であった。当然ながら大事に使っていたが、ちょっとした手違いで焼いてしまったのである。

あのなつかしいテスターの焼ける匂いをかいだときのショックは大きかった。ただし、幸いなことに抵抗は焼けても大事なFET差動回路は無事で、三和が販売してくれた抵抗で修理は可能であった。しかし、そのトラウマは大きく、「また焼くのでは無いか?」という恐怖のために、EM-300は大事に、しかし深く押入れの奥にしまったままになったのである。

しかしEM-300のことはしっかり脳裏に焼き付いており、留学生活の後もしっかり所在は把握されていたのである。そしてSP-6Dが部分的に修理された折に箱から出してみたテスターは動作不良であった。まず電池を入れてスイッチを投入しても針はフラフラ揺れて0点も定まらず、やっと合わせてもそのままどっかにいってしまい、また電圧を測定しても針は不変であった。個人的にはやはり2SK30がボケたのだと思っていた。

まあ、webmasterにとっては貴重すぎて焼くことを恐れるあまり使うことのできない戦艦大和のようなテスターであった。2Sk30の代替品は入手可能であったが、肝心の回路が不明であったので着手しかねていた。この頃の三和のテスターは確固たる回転スイッチに三次元の空中配線という、真空管時代の配線が読みにくかったのだ。

当時、ライバルの日置はすでにプリント配線となっていたが、友人の日置製テスターはスイッチの節度が乏しい上に接触不良が多発していて、やはり信頼製では三和がリードしていた。そのEM-300もスイッチ端子が板状になっていてハトメを使った配線に進化してはいたが、やはり空中配線がメインである。回路を図に読み取りしていくと、どうしても理解できない回路になっていた。

通常の2SK30を使った差動回路の出力側でメーターの極性をきりかえているのだが、何故か不要なはずの半固定抵抗がある。極性スイッチが通常のたすき掛けになっておらず、別個の配線を経由してプリント基板の差動回路(ただし裏のパターンは2本だけ)に行っているのだ。思えば、入手当初にも回路を分析したが、??で挫折した記憶が蘇ってきた。

今回修理に着手する気になったのは、ネット検索で兄貴分のEM-700の回路を見つけたからである。当時はその上にさらにEM-1000なる製品があったようで、実際にには三和のメーカーとしての戦艦大和は、このEM-1000と、史上最高感度トートバンドメーターを使いアンプ無しで500kΩ/Vを実現したN-501(この2つは筐体も同じ)だったので、実際にはEM-300は巡洋戦艦金剛級だったのだが、当時の財布が薄いユーザーにはEM-300は十分に戦艦大和級であった。

そのEM700にも、差動回路には極性スイッチは単純なたすき掛けだけでなく、余計な半固定抵抗が入っていた。

回路を見て考えること数日で、極性スイッチが単純なたすき掛けでないのは、差動回路の直線性が十分で無いからでだと気付いた。つまり、電源が電池2個の3Vで、差動のソースは直結し半固定による自己バイアスなのでスイングする電圧幅が充分でなく直進性が不足する。そのため、差動回路出力で極性を切り替えると生じる誤差補正のために余計な半固定が仕込まれているのである。

もちろん、差動回路の出力側のでなく入力側で極性を切り替えればいいのだが、それだと抵抗レンジで従来の回路が使えなくなる。プリント基板にある3個の半固定抵抗のうち一つは回してもメーターの振れに関係ないのがナゾだったが、それは極性によっては使われないからだった。

Webmasterによる解析を図示するが、各抵抗値は経年変化があるので推定値である。

回路は単純な差動回路であり、左側が入力である。抵抗ラダー等のインピーダンスが高い以外は、基本的には通常のテスターのメーター部分だけを電子回路にすげ替えた回路になっている。

動作は説明するまでも無いが、感度はCALの5kΩ半固定とメータに直列の半固定で調節する。極性を変えると別の半固定が直列に入り、差動のプラス側とマイナス側の直線性を補正できる。

経年変化で半固定の数値が10%ほど変化していたが、調節の範囲内に収まった。差動が不安定だったのは、電源スイッチと極性スイッチおよびテスト・リード挿入端子の接触不良であり、いずれも研磨とコンタクトZ処理で完璧に回復した。

なおスイッチのCAL表示位置で校正するようになっているが、酸化銀電池の仕様のためアルカリ電池を入れると誤差が出る。これは、デジタルテスターで電圧を計測したCR2032電池で校正すればよいのである。

写真は極性プラスで3.3Vに校正した後に、極性マイナスで3.3Vにもう一つの半固定で合わせたところだ。長年海藻の乾燥剤とともに厳重に梱包されていたので筐体はきれいである。ただしCALの表示はマジックで消してある。

というわけで、EM-300はめでたく完調となった。

ところで、現行製品にはEM-7000というものがあり、サイズは厚みを除けばEM-300とほぼ同じである。性能も大差ないが、面白いのは電池が006Pの9v仕様になっていることだ。0点調節でメーターの針を中央にもってくることで、極性スイッチを省略しているが、EM-300で問題となった直線性については電源電圧を9Vとすることで解決している。しかし、電池の寿命や入手性を考えると単3を2本仕様のEM-300との優劣は微妙なところである。

と、棚の奥にしまい込まれたブラウン管オシロの岩通SS-5100からの強烈なヤキモチ波動がWebmasterの前頭葉に頭蓋骨を貫通して達したのである。こいつは、

特別企画普及型D級ICアンプで山本式電流帰還!!(実践編)

で電源を入れたら発煙した。すぐにスイッチを切って点検すると、高電圧回路についた綿埃が発煙したようで、掃除することで使用可能となったが、トリガーによる自動掃引が効かず、岩通の商標である「シンクロスコープ」から単なる「オシロスコープ」に先祖がえりしていた。

おそらくトリガースイッチの接触不良もしくはトリガー回路の不良であろうが、こいつが一応使えるために安価な最新液晶デジタルオシロを購入し損ねいている。こいつを放置したままデジタルオシロを買うと、いかなるたたりがWebmasterに降りかかるか、考えるだけで身の毛がよだつのである。これもそろそろ修理しやらないとまずい、と思いながら回路情報を漁っている今日このごろである。

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太古テスターSP-6Dの完全修理のナゾ(ヤキモチが怖い編)

このサイトでは、テスターの修理の話が多い。

安物テスターの006pをCR2032変換のナゾ(BIOS電池切れにも使えます編)
不良在庫に救われたラジオシャックテスターのナゾ
大古テスター復活のナゾ・その3(太陽光発電モニター編)

□Sept. 13:大古テスター復活のナゾ・その2(スーパーフラックスZ編)
□Sept. 1:大古テスター復活のナゾ

中でも太古テスターのSP-6Dの登場は4回目である。最初の回の修理で焼損した抵抗を交換し復活した。なんと三和は古いテスターの部品を未だ供給しているのだが、抵抗測定アジャスト用の巻線抵抗は在庫が無いそうである。次の回で、巻線抵抗を特殊フラックス(サンポール)で断線部分をジャンプさせて一応計測できるまでに回復した。

しかし流れる月日は過酷なもので、その修理から17年目には巻線抵抗は複数箇所で断線し計測不能となっていた。なんとか太陽光発電の電圧を監視できるようにと、巻線抵抗を半固定抵抗につけかえ、とりあえず電圧測定が回復し精度も十分確保できたが、抵抗測定が不可となった。それでさらに数年電圧監視に働いてくれたのだが、ラジオシャックのテスターを修理後には何となくSP-6Dからのヤキモチ波動を感じるようになった。w

そこで、再度SP-6Dの回路を解析してみた。解析は電流測定回路が一番簡単である。

メーターまわりの回路を取り出したものである。左の可変抵抗が抵抗測定にフルスケールに合わせるもので、前回の修理で500Ω半固定を使い、とりあえず電圧と電流だけ測定可能となったものだ。メーター右の抵抗は通常の三和のテスターには無いもので、改善していたメーターの感度をSP-6やSP5と同様の2kΩ/Vとするためのものだろう。

当時の三和はメーター感度に対し一台毎に抵抗を選別して校正していたようである。不良となった可変抵抗は300Ω前後と推察されるが、現在入手可能な可変抵抗が500ΩBなので、その差は298Ωを500Ωの半固定抵抗に変更して合わせることとした。

他には左上の電池ケースが腐食してボロボロになっていたが、リン酸で防錆処理を行ったあとにサビチェンジャーのシルバーを塗りシールを貼ったところである。前回の作業後がこちら。

左中央の可変抵抗が復活し、右上の固定抵抗が半固定へ、ボロボロの電池ケースが左上である。

抵抗レンジでフルスケールをあわせたところが、

である。可変抵抗の軸外径が異なるので穴を拡大している。ギザ軸の長さはちょうど良かったがツマミが巨大だったので高さを半分にカットしている。ツマミの収まりはまずまずではなかろうか。

さっそく使ってみると、何となく目盛りが読みづらい。目の老化かと思ったが、55年間のガラス面の汚れだった。ベゼルをネジ3個ではずし、ガラス内面を掃除したところが写真である。黒目盛りの印刷は鮮明だが、赤色は日焼けで少し薄くなっている。操作盤の文字は削り込みである。

メーターの反応やダンピングの挙動は新品の時と同様に優れているが、このころは高級品でも目盛りに視差を防ぐミラーはあまりなかった。先日修理したラジオシャックの安物に生意気にもミラーがついていたのは時代の差だろう。

これで一段落と思いきや、棚の奥からもう一台うらめしい波動を送っているEM-300の箱があった。これはFETを使った電子テスターで、DC入力インピーダンス10MΩと立派だったがWebmasterにとっては戦艦大和であった。つまり高級すぎて焼くのが怖くて出番がなかったのだ。電流最小レンジ25μAとか抵抗測定500MΩとかの性能も、まあ普通は要らないよね。

にもか関わらず、Webmasterは数少ない出番でうっかり焼いて煙が出たが幸い電子部分は無事で、三和から抵抗を購入して修理したところでお箱入りになった。

「安物は修理したのにオレは放置するのか?」とのうらめしい波動が強力なので、祟りを避けるために修理しなければいけない。この手のものは感度が良い分スイッチ等に流れる電流が微小なので接触不良やノイズに弱く、現時点では動作不安定である。幸い主要部分がほぼ同一の兄貴分のEM-700の回路図が入手できたので、あらかた回路の解析できたところである。

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トイレ新機構ボール弁の不具合のナゾ(寿命わずか3年編)

我が家の水栓トイレから漏水である。それは6年前に更新した世界的大企業T社の新機構ボール弁を搭載した製品だが3年前くらいからちょろちょろ便器内に水が落ちるのである。

蓋をあけるとこんな機構になっている。

古き良きトイレでは、ゴム製のボール弁がタンクの底についていて、それを鎖で引き上げるようになっている。ボール弁はタンク水の圧力でタンク底の弁座に押し付けられて閉じているが、鎖で持ち上げられると中の空気室のため浮き上がる。タンクの水位が下がると再度ボール弁が浮力を失って重力で降下してタンク底の弁座を閉じる仕掛けである。

このメカはおそらく100年以上の歴史があり、我が家にあるもう1箇所のトイレでは30年以上正常に動作している。しかし、このT社新機構ボール弁では購入わずか3年で漏水が始まったのだ。我が家にはトイレが2台あるので使用頻度は一般家庭の半分程度だろうか。

最初にWebmasterが疑ったのが、図右赤丸のレバーのリンクである。古き良きボール弁ではレバーはL字型をしており、レバーをひねると先の鎖がゴム製ボール弁を持ち上げるようになっている。新機構では2箇所の自在継手とスプラインを経て、ギアで新機構ボール弁を垂直に持ち上げるようになっているが、リンクにカルシウム分が付着して動きが鈍くなり、ボール弁の戻りが不良となっていた

最初にこの新機構を見たときには不安を感じた。旧来のゴムボール弁と比べ構成部品が10倍以上あり不具合の可能性が大きいと考えたからである。

対策として、自在継手とスプラインに機構に塩酸を含んだサンポールを注ぎ、カルシウム分を洗い流すとともに、レバー先端の裏に重りとして適当なナットを仕込んでレバーの戻りを良くするという対策である。しかし、実際にはその時点でボール弁パッキンの不具合は始まっていたのだ。

そして、T社サイトに不具合について問い合わせした。その結果は、「社員を派遣して調査する」とのことで「日時の調整をしたい」とやけに積極的である。この手の量販品は我が家で一件不具合があったということは、おそらく数千数万件のクレームが来ているはずなので、メーカーは当然把握していてのではないか。

その場はサンポールで症状が軽快したので、調査はお断りした。その後は家族から「また漏れている」とのクレームのたびにサンポールを注いで凌いできたのである。

さらに3年たったときに、また水漏れのクレームであった。再度サンポールをリンク機構注ぐと軽快するものの、数回に1回くらい耳に聞こえるほどの漏水が起きるようになったのだ。症状に変化があるため、新機構ボール弁のパッキングの当たり具合で漏水が起こる雰囲気である。古き良きボール弁には蝶番があり、下面は半円状なので自動的にセンタリングが起こり、いつも同じ部分が弁座に嵌り止水するが、新機構はパッキングが平板で不安定なのでは無いかと推測した。

このトラブルについてグーグル検索をかけたところ、楽天で新機構ボール弁のパッキング(HH08018S)が1500円前後で販売されていることがわかったが、一般人のサイトで修理が見当たらないところを見ると、業者対応が主でまだ一般ユーザーには衆知となっていないようである。本当ならリコールものだが、まだ一般ユーザーには設計の不具合がバレていないのかもしれない。

さっそく注文をかけたが、その前に機構を調べたところ、パッキンに付属の交換説明書の手間はいくつか省けることがわかったので、備忘録を兼ねて書いておきたい。

-----------------------<交換手順>---------------------------

1)タンクへの止水性を閉める。
2)タンクの蓋および、その下の透明カバーをはずす。このカバーはタンク上部で手洗いした水がレバーのリンク機構に付着して動きが渋くなるのを防止するためのようだが、飛散する水のために関係無くリンクは渋くなる。
3)樹脂製のリンク機構の中間にU字型クリップをはずすとリンクが分解される。リンクが貫通している右カバー(黄色○の右の部品)をはずす。
4)説明書ではここで2つの鎖をはずすとあるが、これは必要ない。無理に鎖を外そうとすると経年変化で脆くなった樹脂部品が破損する可能性もある。
5)タンクの前後をつなぎボール弁機構を把持するブリッジ状の樹脂をはずす。これは樹脂製内部タンクに前後のツメで固定されているが、ツメのとなりのマイナスドライバーが入る凹みにドライバー先端をいれてこじるとツメがはずれる。奥には手洗い機構へ接続するL字型ホースがあるのではずす。部品をやさしく左に寄せると、下に黒い四角い部品が見えてきて、その中央に円筒形の部品が見えてくる。これが本丸である。
6)円筒は反時計まわりに30度くらい回すとはずれてくる。円筒の底に問題のパッキンがある。

7)パッキンは中央の樹脂に嵌っているので交換する。若干変色しているが肉眼で見える摩耗や変形は無い。古き良きゴム性ボール弁と異なり平板なパッキングにはセンタリング機構が無いので弁座との当たりが毎回変化して目にみえない微細な凹凸から漏水するのである。まあレベルの低い設計である。
8)この時点ではまだパッキンが到着していなかったので、昔の蛇口のパッキンみたいに上下を逆にし、当たり面をメラミンスポンジで軽く清掃して取り付けた。その後漏水はおきていないので、到着したパッキンは予備ストックとした。
9)円筒部品を時計方向に回して四角い部品に固定する。あとは黄色内の部品を戻し、手洗い水ホースを戻し、リンク機構をつなぎU字型クリップで固定すれば終わりである。次回具合が悪くなったら学習効果で5分程度でパッキン交換が行えそうである。

---------------------------------------------------

T社は余計なことをしてくれたものだ。確かにゴム製ボール弁と鎖、L字型クランクからなる古き良きボール弁機構はシンプルながら、L字型の曲げ具合や鎖の長さでいかようにも調節可能である。しかし、そのフレキシブルすぎる特性が個体差を生むことになり、まれに鎖が巻き付いて止水不能となる場合もある。

そこで、T社としては調節なしに動作が完結する機構を持ち込んだのだろう。しかし、逆に鎖が2つと調節箇所は増えているし、カルシウム分によるリンク動作不良が起きやすい上に、センタリング機構無く形状にもの配慮が足らないパッキンが漏水を起こすのである。結果、古き良きゴム製ボール弁が30年以上ノートラブルなのに、わずか3年で漏水が始まったことで、家族が怒っている。

対策としては、パッキングを円錐形もしくは半円形に成形して、弁座に対して毎回同じ様にセンタリングするように改良すべきであろう。T社なら造作もないことだが、なぜか不具合を放置している。

というわけで、同じ漏水に悩んでいる方は、今回のように自分で治すか、あるいは修理に自信がなければT社に連絡して修理してもらうのが良いだろう。その際、「不具合は設計の不備によるものだから料金は払わない」と主張するかどうかはあなた次第である。

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名古屋自動車流サプライ用品規格のナゾ(名古屋規格編)

Webmasterが若いころ、名古屋自動車というメーカーを好きではなかった。当時は名古屋自動車は技術ではなく営業力で売っていると言われ、排気対策でもドンベにいて、積年のライバル各社から排気対策技術を導入すらやっていた。

そんな名古屋自動車が変化したのは、1978年にターセル/コルサのころからである。縦置きFF車でエンジンは1A-Uと呼ばれる盲腸(TGP)を持ったもので、なぜかホイールベースが車格に見合わないほど長いヘンな車だった。うわさによると、名古屋自動車が排気対策に失敗した場合に、スターレットからクラウンまでの顧客をこの1車種で吸収するという背水の陣作戦で作られた車だったという。

そんなA型エンジンが俄に元気になり、1983年には有名な86の16バルブDOHCとなった。現在ではロータスにV6エンジンを供給するまでになった。また初代プリウス以来、世界のハイブリット車の技術をリードしてきたことも事実である。

名古屋自動車は多くのサプライ品を販売しているが、Webmasterはクーラントの品質が優れていると聞いて190Eに入れていた。それは多くのメルセデスのエンジンがヘッドガスケット腐食吹き抜けで破損すると知ったからである。それ以後、Webmaseterはクーラントやオイル、ブレーキフルードなど名古屋自動車製品を使うことが多くなった。

以前NC700Sの車検前に整備を行ったとき、何も考えずに名古屋自動車のブレーキフルードを使ったが、DOT3と書かれていた。まあスーパースポーツでは無いしサーキットを走ら無いのでDOT3でも構わないのだが。根拠は無いものの、名古屋自動車のことだからDOT3と書いてあってもDOT4相当の性能があるのでは無いかとも思った。ちなみに、鈴鹿研究所の純正ブレーキフルードにはDOT4と書かれている。

そして、F仕様の高性能車もあるレクサスはどうかというと、これまた名古屋自動車純正DOT3が指定である。実際、名古屋自動車BF3のカタログには「優れた防錆力とドライ沸点、ウエット沸点の規格値を大きく上回る高品質ブレーキフルード」と書いてあることも理由の一つである。

長らく名古屋自動車純正クーラントはBF DOT3 2500H-A(1L)08882-00191だったが、最近突然市場にブレーキフルードDOT5.1 BF-5なる製品が登場した。DOT3があってDOT4とDOT5が無かったのに突然DOT5.1登場とはびっくりである。

検索すると、 SDS ブレーキフルードDOT5.1 BF5 08882-00291_200121がみつかった。SDSには沸点が269 ℃( JIS K2233平衡還流 沸点)、動粘度7.2mm2/s@40℃と書いてある。

ちなみにFMVSS基準ではドライ沸点はDOT3が205℃、DOT4が230℃、DOT5.1が260℃、一方最新のDOT6(暫定値、正しくはBF6)は250℃と下がるかわりに、-40℃での動粘度mm2/sがDOT3の150以下、Dot4の1800以下、DOT5.1が900以下に対し750以下となっている。最新の規格は沸点よりABSなどで重要な低温の粘度を重視するように変わったのである。

ちなみにDOT5.1とハンパなのは、シリコン系のDOT5が存在したからだ。しかしグリコール系の既存のDOT3やDOT4と混和できなかったので、新たにグリコール系のDOT5.1が制定されたらしい。

ということで、確かに新たな名古屋自動車純正のDOT5.1は260℃を満たしている。とすれば、いままでのDOT3はどうだったのか?

そこで検索してみると、 SDS トヨタブレーキフルードDOT3 BF3 株式会社富士化工研究所 が見つかり、沸点は252℃とDOT4の230℃を大きく超過している。つまり名古屋自動車のDOT3は実際はDOT4を大きく超えてDOT5.1に近い沸点だったのだ。

なおBF3の40℃の動粘度mm2/sが7.5とあり、BF5.1が7.2であることから、温度が異なるもののDOT4の動粘度規格1500mm2/s@-40℃以下も余裕をもって満たしているようである。

ということは、名古屋自動車純正のDOT3は動粘度はともかく少なくとも沸点に関しては、DOT4だけでなく、何と最新のDOT6をも満たしているようだ。これってすごくない??

どうして名古屋自動車の表示がDOT3のままなのかは不詳だが、一つには古くなって吸湿してもDOT3は満たすという意図なのかもしれない。DOTの数字が大きいほど吸湿性の高いトリエチレングリコールモノメチルエーテルの割合が増えるので、交換頻度には注意する必要がある。

同様に名古屋自動車の第2純正品であるキャッスルオイルはAPIのSN規格を取得しているが、種別には鉱物油と書いてある。しかしWebmasterの得た情報によれば、最新のSN規格やSP規格を満たすためにはベースオイルがグループIIIの高度精製鉱物油以上が必要だと言う。

確かに、高度精製鉱物油を合成油とも鉱物油と表示しても景品表示法を始め、JIS Z 7252 : 2019(GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法−SDS)、JIS Z 7253 : 2019(GHSに基づく化学品の分類方法)、毒物及び劇物取締法、化管法、化審法、労働安全衛生法、消防法、船舶安全法、航空法、悪臭防止法、大気汚染防止法、海洋汚染防止法、水質汚濁防止法、廃棄物処理法、土壌汚染対策法のどれにも違反いない

というわけで、名古屋自動車の純正サプライは、その規格表示はつましくても、結構なマージンがあるようである。

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スマホの至適充電環境のナゾ(やはり電圧がカギ編)

スマホの電池の劣化をいかに防ぐかは現代人の関心事の一つである。Webmasterも心を砕いているが、一応の解決策を実践しているので紹介したい。この解決策を数年実行しているが、基本的には満充電を避けることが重要で、WebmasterはWillco02の時代からスマホで一度も電池寿命や「妊娠」を経験したことがない。

リチウムイオン電池は軽量小型で容量も大きいが、満充電を維持すると極端に需要が短くなる。またそういう環境ではガスが溜まっていわゆる「妊娠」し、筐体を破壊することもある。

スマホ同様ノートパソコンでもモバイル環境では電池寿命が関心事だが、$ONYやP〇naのノートパソコンには充電を容量の70-80%に制限して電池寿命を伸ばすユーティリティーがついている。そもそもカタログで持続時間を競うためにオーバースペックな容量を設定している疑いがある。そこで、

新春特別プロジェクト ”リチウムZ” 始動!のナゾ

で、女性の声で、”バッテリー容量が70パーセントになりました”と知らせるWAVファイルを配布していた。満充電からバッテリ駆動し70%になったら外部電源をつなぎバッテリー外しておくのが一応の解決策である。

なお、Windowsの電池管理はバージョン毎に劣化し、以前はアラーム音やテキストが選択できたのが、Win10ではお仕着せのブルースクリーンのみになっている。ただし、「バッテリ切れ」と「低残量バッテリ」の処理は独立しているので、「低残量バッテリのレベル」で70%を選択し、「低残量バッテリの通知」をオンに、「低残量バッテリの動作」を何もしない、とすることで70%になったことを知ることは可能だ。

スマホもパソコンに倣って容量を20-80%の範囲で使えば3年は実用的な容量を維持できる。また、高電圧による急速充電は寿命を著しく損なうので、避けるべきである。

そこで、おすすめは電源アダプターにタイマー(1000円強)を併用することである。満充電に必要な時間を計測し、それに0.7から0.8をかけた時間を設定すればよい。

また、市販のUSB電圧チェッカーで電源アダプターの電圧を計測しておくとよい。写真のように電圧は様々で、高電圧で大容量のものは充電が早いが電池に対する攻撃性も高い。一方、低電圧低容量のものは充電に時間がかかるが電池に対する攻撃性は低い。

スマホの設定も各機種で異なり、5Vを割ると事実上充電しないモデルもある。まず常用するスマホの充電特性を知っておくことが重要だ。おおむね同じメーカーの製品の設定は似通っているが、例えばシャープの同世代の機種でもかなりの差がある。

用途による充電方法の違いもある。常用スマホで充電頻度が高い場合は高容量の電源アダプターを選択するが、長時間充電しながら使用する用途では、あえて低電圧低用量のものを使っている。

例えばルーターとして長時間通電するF通arrowRXでは写真の電圧5.11Vの1Aを常用するが、映画などを長時間視聴では5.11Vの2Aでないと電圧低下でシャットダウンすることがある。ただし、その場合はあえてGPSやBluetoothをオンにして電力使用を増やし充電に回る分を減らすこともやっている。充電中は放熱と電池寿命のためにケースをはずして立てておくのがベターである。それが不可の場合は、筐体とケースの間に細いダンボール紙を挟んで通気可能とすればよい。

スマホの電池寿命の鬼門は各アプリの「通知」設定で、オンだと通知をポーリングするために無駄な電力を消費する。対象となるアプリは何十とあり手間ではあるが、最低限のもの以外はオフにする必要がある。注意すべきは、更新するとオフだった通知設定がオンに戻る場合もある。GPSやBluetoothは不要時にはオフだが、前述のように充電のコントロールとして使える場合もある。

電源アダプターが無い場合はパソコンのUSBから充電することが多いが、パソコンのUSBの電圧はおおむね5.05から5.1Vのものが大部分である。容量は様々で1台のパソコンでも端子によって仕様や容量が異なる場合があるが、基本的に電源アダプターより攻撃性は低いものが多い。

これはパソコン本体の電源を保護しつつ多くの機器に対応するためだろう。Webmasterの場合は各パソコンにも計測した電圧の表示を貼っていて、適宜目的に応じて選択している。

結論としては、スマホの電池寿命の確保は電源アダプターの電圧が鍵で、低電圧低容量のものにもそれ相応の使い道がある、ということである。

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神功皇后と卑弥呼の関係のナゾ(日経朝刊「ふりさけ見れば」佳境に入る編)

現在進行中の日経朝刊の「ふりさけ見れば」と夕刊の「諸葛亮」はどちらも見逃せないフェーズに入ってきた。「ふりさけ見れば」の主役は阿倍仲麻呂と吉備真備で、「諸葛亮」の主役はもちろん諸葛孔明である。今回は「ふりさけ見れば」について書いてみたい。

現時点では唐で出世した阿倍仲麻呂と、鑑真招聘のために再度入唐した吉備真備のからみが中心である。この二人は日本の正史「日本書紀と古事記(以下記紀)が」717年の遣唐使の時になぜ唐から正史と認められなかったか、その原因を唐の図書館に入って明らかにする秘密指名を受けていた。

このことは小説のはじめから触れられていたが、Webmasterに突き刺さった。後漢の正史である「後漢書東夷伝」には、西暦57年に光武帝が倭国に金印を授け、それが志賀島で出土した国宝の「漢委奴国王印」であることを疑う人は少ない(北九州に奴国が存在したことが都合が悪いと考える一派は邪馬台国畿内説の一派と重なる)。さらに永初元年(107年)に倭国王帥升 が奴隷を百六十人献上したともある。

つまり奴国の朝貢の記録が2回あるが、記紀には全く記されていない。

次に有名な魏の正史である、通称三国志魏志倭人伝(『魏書』巻三十「烏丸鮮卑東夷伝」)には邪馬壹国の女王である卑弥呼が記録で明らかなだけでも西暦238年、243年、壹與が247年に朝貢している。

邪馬台国の朝貢はたったの1回では無いのに、記紀には全く書かれていない。

遣唐使が提出した記紀の記載がこれらの正史と合致しないと唐の役人から指摘されるのは当たり前である。正確には、記紀に神功皇后の記載の付近に「魏志にいわく」との記載で、神功皇后は卑弥呼であると示唆している部分がある。

神功皇后が実在か否か、また卑弥呼と同一人なのか否かは諸説あるが、神功皇后が実在したとすれば4世紀の人間とする説が有力である。広開土王碑文に、391年に倭は新羅を臣民とし、399年には百済は倭と通じて新羅の王都(平壌)を落とし王を臣下とした、とあることからも、神功皇后が実在し三韓征伐を行ったとすれば4世紀後半の可能性が高い。

しかし、卑弥呼らの朝貢が3世紀に行われたことは正史にあり確度は高い。とすると、この100年の差をどう説明するか?である。普通に考えれば、卑弥呼の朝貢はその後も多くの朝廷の正史で引用されていることから、記紀の方が怪しいと考えるのが普通だろう。

日経は2018年の朝刊の 池澤夏樹著の小説ワカタケルで第21代の雄略天皇をとりあげていた。その中で、ワカタケルは神功皇后が三韓征伐を行ったのは事実かどうか、ずっと疑問に思っていたことが描かれている。これについては、

Webmasterの邪馬台国考のナゾ その3 宇佐神宮が示唆する邪馬台国のナゾ(今頃気付くとは迂闊編)

に、

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「ワカタケル」では神武天皇の次代から九代までは実在せず女帝ヒミコが支配した、としている。面白いのは、小説中でワカタケルが武内宿禰に神功皇后の三韓征伐は実話だったかどうかを尋ねるシーンがあり、それに対し宿禰はそれなりの行動があったとしている。これはワカタケルを借りて作者が疑問に思っていることなのだろう。

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と書いた。神功皇后をそのまま卑弥呼とすることには相当な無理がある。

そこで、Webmasterは、すでに上記のトピにも書いたように、神功皇后や応神天皇の話と、神武天皇の東征の話は順序が逆であったと考える。

仮に神功皇后が卑弥呼と同一で、たびたび朝貢したとすれば、おそらく邪馬台国は朝鮮半島に独自の橋頭保を持ち、また楽浪郡に至る陸路なり海路を支配する勢力と友好関係にあったはずである。そうでなければ、朝貢の外交文書と奴隷や宝物類、また魏からの外交文書や金印と綬、旗や織物等の貴重品が途中で略奪され無事に到着しない可能性があるからだ。実際に、三国史記新羅本紀には3世紀、4世紀に倭人がたびたび新羅を侵略したとの記載もある。

とすれば、そして、神武天皇の東征は神功皇后=卑弥呼がいた頃より後の3世紀後半以降に起きたとすれば、すべての説明がつくのである。

Webmasterが宇佐神宮を訪問したときに不思議に思ったのは、本尊が神功皇后とその子である応神天皇、そして比売大神 ( 宗像三女神の多岐津姫命・市杵島姫命・多紀理姫命)であり、東征の旅程で立ち寄ったハズの神武天皇が祭られていないことである。歴史的には神功皇后より神武天皇のほうが重要だと思うが、そうなっていないのは順番が逆だから、とすれば説明がつく。

記紀と古事記では東征の記載は一致点が多く、神武天皇は筑紫国の 菟狭(ウサ)国に至り、菟狭津彦 菟狭津媛が菟狭の川上に一柱騰宮(アシヒトツアガリノミヤ)を造り饗を奉った、とある。宇佐神宮の参道には神武天皇聖跡菟狭顕彰碑がある。宇佐神社は神代の時代から独自の田畑や軍隊組織をも持った治外法権的な領主であり、宗像三女神を祀っていることから邪馬台国を形成する連合国家の一つとであった宗像大社とも関係があり、主に豊後灘から瀬戸内海にかけて海上交通を支配していたと考えられる。

神武天皇の旅程だが、筑紫平野を発ち、筑後川に沿って東にすすみ、日田、玖須を経て別府湾に出て宇佐に至ったとする説がある。というのは、江戸時代の肥後藩をはじめ多くの藩の参勤交代も陸路で別府湾に至り、そこから瀬戸内海を経て江戸に向かっていた。従って、神武天皇が筑紫の日向を発ち、宇佐神宮に至って、そこで瀬戸内海および沿岸の諸勢力が神武天皇の軍勢を通過させる便宜を得たとすれば、有力であった安芸国や吉備国等と戦わずに浪速に上陸が可能であったとしたらどうだろうか。

魏書には、邪馬台国には鉄器があったと書かれており、しかも朝鮮半島と行き来する航海術を持っていた。おそらく畿内は古墳寒冷期に入って農業生産性の激減に苦しんでいて、鉄器を持たなかったため東征に容易に軍門に下ったのではないか。邪馬台国には牛馬はいなかったと記載されているが、4世紀の古墳の埴輪に馬が登場することから、馬が日本に伝わりそれを最初に戦いに使った勢力は邪馬台国とその後継だったであろう。

そして、その後継の一人が筑紫野君磐井とすれば、新羅と組んで大和朝廷と戦ったにもかかわらず、屯倉等を寄進することで許され存立が続いたことにも説明がつくのである。

いずれにせよ、「ふりさけ見えば」のこれからの展開は目を離せない。場合によっては、記紀の信用性について、また大和朝廷の成立に関してひと騒動起こる可能性もある。

それにしても、邪馬台国が畿内にあったとする学者が多いことが不思議である。唯一残存する証拠である魏志倭人伝に、邪馬台国は伊都国の南にあり、伊都国は邪馬台国の北にあり、周囲約500kmの島にあり、中国の会稽の東にあり、温暖で、海が近く入れ墨をして潜っていて、鉄器があり、絹があり、卑弥呼の墓には槨が無く周囲に殉葬がある等々、畿内ではありえない記載のオンパレードをどう説明するのか不思議である。炭素14については、2世紀から3世紀に校正曲線がS字を描いていることから国立RM博物館等のいう炭素年代説は崩壊している。

そもそも考古学というのは、唯一の証拠文書である魏志倭人伝の記載と矛盾するファンタジーを唱えて成立するようなレベルの低い学問なのだろうか?それでは隣の国の歴史ファンタジーと大差ないではないか。

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安物テスターの006pをCR2032変換のナゾ(BIOS電池切れにも使えます編)

今どきメーター式のテスターは電圧の長時間監視などの電池を必要としない用途以外ではあまり出番が無い。デジタル式テスターが1000円しない時代なのである。

Webmasterの手元にも何台かデジタル式テスターはあるが、周波数測定などいろいろ多機能でありながら大電流計測機能が無いものが多い。おそらく大電流専用の端子や電線とかを用意するコストの方がが高くつくからだろう。

そんななかで有名な安物テスターDT-830Bは電流レンジが4と10A端子があり、内部にヒューズがあってかなりの乱用にも耐えるものの、電池が006Pというのが今どきは問題である。

WebmaserのDT-830Bも長年電池切れだが、大電流を測る都合が発生した。アナログテスターを持ち出せばいいのだが、その品は高級品なので間違って焼損させたくないのだ。

そこで、006Pの代わりにリチウムボタン電池CR2032を2枚重ねてみたところ、どうやら電圧電流抵抗レンジは動作するようで、誤差も1%付近とまずまずである。今どきコンビニでCR2032は売っているが006Pは売っていない時代なのである。100均では2,3枚で100円とコストは安い。

そこでWebmaterが以前からBIOSの電池切れで使っている方法を応用してDT-830Bを動作させてみよう。

なお、コストはゼロである。新たなケースも電線も不要で、必要なのは透明テープと輪ゴム、マジックインキ程度である。にわかに到来したインフレ時代でもエコで財布と自然にもやさしい。

まず電池だが、写真のようにブリスターパックをケースとして使うので、当然ながらサイズや絶縁性は完璧だ。

1)写真のようにブリスターの必要部分をハサミで四角に切り抜く。

2)電池の入るくぼみの中央に目打ちで穴をあけ、電線を5mm剥いてくぐらせて180度に折る。外部の電線は透明テープで固定する。テープは後で2つに折るのでゆとりをもたせておく。内側にプラス・マイナスをマジックで書いておくと認知症世代にはあとあと親切かもしれない。

3)極性を間違えないように電池を入れて半分に折って重ねる。老婆心ながら、刻印されている側がプラスである。

4)電池や電線が圧着するように輪ゴムやテープを固く巻く。シュリンクチューブがあればベターである。

5)収まったところ。厚みは006pと同じ0.5インチである。輪ゴムは2,3年で溶けるかもしれないので、保険として隙間スポンジを貼っておくベターである。ちなみに006Pの厚み0.5インチ、高さはスナップを入れて2インチ丁度で、SONYが輸出用トランジスタラジオのために作った規格らしい。

6)老婆心ながら、BIOS用の場合はブリスターを一個と平らな部分を使えば良い。BIOS電池がノートパソコン深部にあって分解が困難な機種では暴力的に底に丸い穴を開けている。

表示に電池電圧低下の警告がでるが、問題なく動作するようである。ちなみにCR2032の公称性能は電圧3V(Typical3.2V)、容量は220mAh(Typical250mAh)である。ちなみに006Pは電圧9V、容量300mAhとなっているが、アルカリは7.5Vと電圧が低いかわりに容量が500mAhらしい。CR2032も容量的にはいい勝負で電圧低下が少ないので一般的な使用では十分な寿命がある。

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10年落ちNC700sのお化粧のナゾ(バイクは見栄えが命編)

調子は万全なNC700sだが、距離は伸びずやっと10500kmというところ。2012年式で我が家に来た2015年の時点で4000kmと、つくづく飼い主に恵まれないバイクである。

コロナもあるが、距離が伸びない最大の理由は便利なアドレスV125Gとキャンピングカーの存在だ。それとNC700Sは車重と全長がクラス最大で取り回しが良くないこともある。

ホイールベースが1525mmとCB1300や隼より長いのは、前傾62度のエンジンがV4のリヤバンクをはずした形状で前後に長いからだ。重量225kgも同クラスのMT-07の184kgやSV650の199kg、Z650の188kgと比べて20-40kg重い。

NC750になって流石にホンダもまずいと思ったのか軽量化したが、わずか6kgしか軽くならなかった。これは、同じフレームにNM4(245kg)やインテグラ(238kg)の重い架装とDCTを乗せる強度をもたせたからだと推測している。

いったん走り出せば長くて重い車体は直進性が良く、乗り心地もまずまず(前輪の空気圧を指定より下げている)、ヘルメットケースとリアトランクがあり、トルク重視で長距離は快適だが、乗り出すまでが億劫である。対するアドレスV125はフロントカゴにステップ、フルフェースが収まるメットインにリアトランクと、業界最高の収納力を誇っていて分が悪い。

ある時期多忙で面倒をみていなかったせいか、フロントサスのチューブにサビが出ていた。とりあえず錆止めを塗ったところ情けない眺めになった。チューブのサビはバイクの弱点の一つだが、サビやすいのには理由がある。

サスが伸縮するときオイルシールの摺動をよくするために、チューブにはシリンダーのクロスハッチと同様に油がたまるような微細な溝があるらしい。メッキも単なるクロームメッキでなく、油に馴染みやすい材質らしいが防錆力が劣るようである。

それなら昔のバイクみたいに摺動しないライト付近にはカバーでもかければよいと思うが、スポーツモデルは輝くチューブが露出しているのがバイクの記号性とメーカーは考えているようである。しかしサビが目立つとオーナーにとってストレスである

そこで、カーボン柄のシール(D社100均)を貼ることにした。サスの整備のためにはチューブを抜く必要があるので、かんたんに剥げるものがベターである。予め剥離紙の中央を切っておくと貼りやすい。

写真のような具合で、かなり見た目の印象が良くなった。下の三叉より下部の摺動しない部分にも貼ってみたら若干の違和感があるものの、これでチューブのサビ問題は金輪際かつ永久に解決である。なお、交通安全のために成田山の御札(本物で防水処理したもの)も貼っておいた。

ついでに、ホンダ謹製の安っぽいシフトレバーとブレーキレバーにも黒ラメ塗装をした。

板金をパンチアウトしたままバレル研磨が不十分でバリの多い部品に、処理が杜撰でピンホールが多い安っぽいメッキで新車早々に錆びる部品を、世界1の二輪メーカーが作り続けているのは理解に苦しむ。

80年台に乗っていた初代VT250Fを置いたコンクリに赤サビのシミができていた。どこから出たか調べると、パイプ接合部のパッチ内部から出ていた。そこで車中のパッチの隙間をシリコンシーラントで塞いだらサビがでなくなった。それから30年たったNC700Sの防錆処理は若干は改善しているようだが、それでも後輪の飛沫を浴びるフレームが早々にサビてきた。個人的には二輪も粉体塗装では無く四輪のようなドブ漬けが必要と考えている。

他にもシフトレバーの支点やブレーキレバーの支点などもシールが無いので早々に潤滑不良となりサビてくるが、なぜかメーカーは改良しない。それどころか、スキさえあればデザインのために泥除けを無くしたり短くしたりするのに執心で、ライダーが飛沫を浴びるだけでなく、エンジンやサスがサビてくる。デザインのためには雨の日には乗るなということなのか、あるいは、早々にサビサビになったほうが次のバイクが売れる、という理由だろうか。

他にもサビが出ていたハンドルバーなども塗装した。いろいろ化粧をしてみると10年落ちでもそれなりに見れるようになったので、また温泉に連れ出そうと思った次第である。やはりバイクでは表面的な見栄えが重要なようである。

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キャンピングカーの山本式発々防音箱のナゾ(騒音6dBダウン実現編)

さて、設置したコロナ製エアコンだが、300Ahのバッテリーを持ってしても持続に限りがあり、概ね3hrというところだ。もっともこれには太陽光200Wコミコミなので、夜間で気温が減ったからといって2倍持つわけではない。

キャンピングカーのダブルエアコンを駆動すればよいが、ディーゼルのアイドリングは場所を選ぶので、高速のSAとかPA以外では使いにくい。とすると、発電機が禁止されていなければ防音箱を使う方法がある。

これは本来トヨトミTAD-22用に3年前に製作したものだ。いきなり写真だが、かなり構成は手抜きである。細工が得意な方だったら、ダクトと換気扇がそろえば1時間で完成するのでは無いか。

ケースは灯油2個のケースだが、始動のリコイルを引くために間口が低いものを使っている。左側はステンレス製のエルボー付き排気口(φ=150mm、宇佐美工業 ステンレス製 U型フード付ガラリ UK-UGEN150SーHL)が挿してある。

右側の換気扇は羽根サイズ15CMのフィルターとシャッター付き(YKF-15)で、特に固定せず発電機サイズにあわせてスライドアウトできる。チューブ4辺に抜け止めのネジをつけてあって、完全に抜けないようにしてある。シャッターで不使用時に雨が侵入しないし、フィルターは通気中にも若干の防音効果が期待できる。

遮音材は10mm厚の青/銀のポリエチレンマットである。やけに貧弱だが、Webmasterが一番恐れたのは防音効果を狙うあまり密閉度が高過ぎることによる発火や一酸化炭素中毒である。かみ合わせ部分には隙間スポンジが貼ってある。このプアなセットアップで発電機がガソリンがなくなるまで4時間稼働させたが、箱の中の温度は60度弱だった。

さて、こんな手抜きの防音箱で50cmの距離でどの程度の防音性能があるのか測ったのが写真である。

数字的には蓋の開閉で81.3dBから76.2dBと5ないし6dBの防音効果があった。写真はEF-900iだが、EU-9iは1-2dB程度静かであった。

単位は音圧(SPL、Aスケール)のなので、感覚的には半分でエネルギー的には1/4となる。住宅工事に使う細長いガラス繊維を発電機周囲に配置するとさらに1-2dB減というところ。防音用の凹凸スポンジ等を内部に綿密に張り込めばさらに2-3dB改善するが、これよりの先の努力はコスパが低下り、特に低温成分の防音はむつかしい。やはり直接音の遮蔽効果が大きいということだ。

発電機からの騒音は地上で半球の表面積に分布するので、距離が2倍に6dB低下する。従って、数m離れると乗用車のアイドリング騒音くらいになるので、市中の平均的な騒音環境ではまず文句が出ないレベルになるだろう。

発電機の燃料はガソリン2Lちょっとなので、室内を28度+扇風機の設定で4時間弱程度である。本来はインバーター発電機なのでエコモードを使いたいところだが、始動時に電圧低下でエアコンがエラーとなるため、現状ではエコモードは使えていない。

この問題はコントローラーの瞬間的な電圧低下によるものなので、内部ケミコン追加でしのげるかと思ったが、実際にはもっと複雑な検出回路が使われていてケミコン追加策はうまくいかなかった。ネットでみると、コントローラー部だけ別のインバーターのAC100Vで駆動されて成功されている例が報告されているが、APCを使う方法を模索しているところである。

というわけで、短時間なら電池駆動、長時間なら防音箱+発発を利用することで、キャンピングカーの酷暑対策には一応の解決を見たと考えている。

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キャンピングカーのベントファン交換のナゾ(ダメなMaxFan編)

Webmasterのキャンピングカーには、MaxFanなるルーフのベントファンが設置されている。

巷では定番のように言われている製品だが、実用上の性能は非常に問題があり、何とか改善できないかと思っていた。ちょうどというか、Webmasterのチョンボで駐車場入り口のバーにぶつけてヒビが入ってしまったので交換することになった。MaxFanは、

メーカーの設置説明の写真だが、屋根のベントにファンが付いているだけでなく、ベントの蓋に細工があることになっている。通常のベントの蓋は単に穴を塞ぐだけだが、MaxFanの蓋は後ろに長く伸びている。その後端には蝶番があって鎧戸が付いている。鎧戸の左右の覆いが蓋の下に見えていて、その断面の鎧戸が図中黄色の線である。その前端には軸があって、ファンの四角い枡にある幅1cm程度のスリット(緑色の線)にハマっている。

ベントの蓋を大きく開けると、下端の軸が緑線のスリットに沿って後ろに移動し、鎧戸が少し立つようになっている。これにより、ベントを開けたままでも雨風が室内に飛び込まないのが売りなのである。

しかし、図のようにベントを約半分開いた状態では鎧戸は下を向いたままで、枡の上端と鎧戸の高低差もほとんど無いので煙突効果はほとんど無い。おまけに、空気は図中の赤線のように円弧状に流れなければならないので換気効率が非常に悪く、ファンを回さないかぎり自然換気はほとんど期待できない代物のである。

それはファンを弱で回せばいいのだが、最大の問題が鎧戸下端の軸が動く緑色のスリットの存在だ。蓋を完全に閉めると、図中鎧戸の下にある四角い枡上端のゴムが蓋に密着してベントは一見完全に閉じるように見える。

しかし、枡にある緑色の幅1cmのスリットは外界に開いたままで空気が漏れ漏れなのだ。Webmaseterの車にはFFヒーターが付いていて、冬季の暖房は強力だがすぐ室内の温度が下がる。最初はキャビンの断熱性の問題かと思ったが、実際はMaxFanを全閉してもスリットから暖気が逃げて寒くなるのである。試しにビニールでファンを塞ぐと気温の低下はゆるくなった。

ようするに、MaxFanはベントの機能で一番需要な換気の効率が悪く、また冬季にはベントが完全に閉鎖できていないという、根本的機能に致命的な欠○があるのだ。さらにベント開閉機能にはガタが大きく、開閉には遊びがノブ1回転半もある。これはWebmasterの個体だけでないので、開閉機能の基本的設計が不良なのである。

さらに、写真で分かる通り車体にはめる枠の立ち上がりが3cmくらいしかなく、この上に被さる枠との間が防水されていないので、シーラントを塗布しておかないと浸水の可能性があるというまずい設計だ。MaxFanには温度を一定に保つという役にたたない機能がついているが、こういう基本的な設計不良があるようでは話にならないと思うが、問題に気づいていないユーザーも多いようである。

そこで、ファン付きベントを交換することにした。市場で評判の良いDometic社のFantastic Ventを探したが国内では入手難のようで、その中華製コピー商品が安価で入手できた。中華製は後述するように品質に甘いところが多々あるが、LEDの室内ライトがついているところがサービスポイントのようである。

さて、屋根に開ける穴のサイズだが11インチ(約28cm角)もしくは14インチ(約35cm角)が一般的である。この車では約35cm角の穴があいていた。最初に穴サイズを確認しておくのが非常に重要である。

MaxFanの場合は、本体側の枠とファンとベントの蓋は別体になっているので、最初にファンとベントを外す(ネジ4個)。次に枠を車体に固定するネジ20本をはずす。次に、スクレーパーで残ったシリコンシーラントを剥がし取る。次に変性シリコンリーラントを車体と新たなベントに十分に塗布し、設置したあとネジ16個で止める。ネジもシーラントで覆い、ベントの蓋の固定部と蝶番にもシーラントを薄く塗っておいた。

あとは電気的に配線するだけだ。ただし、さすが中華製で、本体とつなぐ電線のギボシのオスメスの極性の使い方が通常と逆なので、切断してつけ直す必要がある。Webmaseterが入手したファンは最もベーシックなモデルだったようで強弱切替すらなかったので、市販のPWMコントローラーを仕込んで無段階調節可能とした。基本部分は同じだが、降雨を検知して自動的に蓋を閉じる機能をもつ仕様もあるらしい。

なお、内装の枠はさまざまな天井の厚みに対応して高さがあるので、ほぼ半分に切断した。これには、カッターで数回切り込みを入れて目的の長さに折り取ることが可能だ。ただし、一部配線が通る分だけ凹みを作っておく。

仕上がりはこんな感じ。

左前のスイッチが吸気と排気のオンオフ、右のつまみがPWMの無段階調節。ファンにマジックで印があるのは、手持ちの軸にはめて重量バランスをとった時ににつけた印である。ファンの成形が若干甘いが、重量バランスをとったことで振動もほとんどなくなった。そしてベントを開けるとMaxFanとは比べ物にならないくらい大量の空気が流入するようになった。なお、蓋の開閉メカにはMaxFanのような激しいガタが無く、開閉は確実である。

というわけで、中華製のモーターがどうなるか問題は残るが、ファン付きベントの基本的な機能はMaxFanより格段に効果的で使い勝手が良い。ベントは蓋を1cm位開けておいても立ち上がりが長く覆いも深いので、先日の強力な低気圧通過時にも風雨は入らなかった。自然換気もかなり強力である。おそらく、MaxFanのユーザーの大半は、風量が少ないと感じているのではないか。これだけの風量があれば、気温が28度以下ならエアコンを要しないと感じるほどである。

というわけで、いろいろな事件が起きた今年の夏であるが、キャンピングカーの使い勝手は格段に進歩して、個人的にはさらに愛着が湧いたところである。

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キャンピングカーのリビルドオルタネーターのナゾ(部品探しに要工夫編)

講習会二日目の早朝はセルの周りが重かったが始動することはできた。しかしインパネのバッテリー警告灯が点灯していた。この車は、太陽光でつねに満充電に保たれるサブバッテリー側から車両側のバッテリーに常時10-20mA充電する仕掛け、

キャンピングカー太陽光本位制のナゾその3(電流逆流のバッテリーアイソレーター編)

のおかげでいつもセルが元気に回るのと対象的に、バッテリーが上がり気味である。急ぎオルタのベルト(2本がけ)を点検したが切れていない。ということはオルタ故障のようである。

と考えつつ、講習は午後からなので近場の観光地まででかけて、そこで再度始動するとセルが回らない。念の為、バッテリー周辺のヒューズ類を磨いて抜き差ししたが改善しないので、故障はスターターリレー関係ではなくオルタとバッテリーの間にあるようだ。

出先でもあるし、まだ講習は2日残っっている。車の任意保険はレッカーのサービスがあるので、そのまま福岡のディーラーに入庫させることも考えた。また発電機EU9iがあるので、これで充電することも考えたが、いずれにせよ面倒である。

そこでひらめいたのが、サブバッテリーから車両バッテリーを充電する方法だ。サブバッテリーは夜間の冷房で若干放電しているが、さすがに約300Ahあるのでセルはまわるのでは無いか?

というわけで、車室後部のサブバッテリーと車両バッテリーをブースターケーブルをつなぐと、セルはあっけなく回った。車の設備はエアコンを含めすべてが正常に動作したが、なぜか燃料水警告灯だけが点いている。これは燃料溜まりの下部に水がたまると電極が水を感知する代物だ。通常は車両の姿勢によって点いたり消えたりしながら常時点灯になるはずだが、メーカーの設計ミスでオルタ警告灯付近から電源をひっぱったのであろう。

そのまま走行してサブバッテリーの電圧をチェックするが電圧は下がっていない。晴天なので、太陽光からの充電がエアコン負荷(クラッチやファン類)と拮抗している。つまり、この車は日中なら福岡まで70kmくらいは走行可能ということである。ただし、夜間にサブバッテリーを使うと早朝は始動に失敗するかもしれない。

太陽光による電源の自立はたいしたもので、別にエンジンが回らなくても外部ACを繋がなくてもキャンピングカーでの生活は可能である。過去のこの手の車ではバッテリーはエンジンからの充電に依存していたが、この車は太陽光でサブバッテリーが常に満充電に保たれていて、逆に車両のバッテリーを微小電流で常に満充電に保ってくれるように仕掛けしてある。これによる電解液の減少を危惧したが、数十mAの充電では水素も発生せず電解液も減らないようである。

しかしオルタは交換が必要だ。自分でリビルド品との交換も考えたが、オルタはブレーキブースターを駆動するバキュームポンプと一体で、交換をしくじるとブレーキの効かなくなる可能性もある。連日37度の酷暑ということもあってプロに頼むのが無難であろう。そこで、自宅付近の自動車修理店に電話し、福岡に帰ってから入庫することとした。車検証の情報を伝えて、リビルドのオルタを探して貰うように依頼した。年式からして新品部品は出ないであろうという。

というわけで3日の夕刻に急ぎ帰宅することとした。太陽が傾くと若干電圧は下がり気味で、午後7時過ぎてヘッドライトを点灯すると暗い。信号停止時にエアコンとヘッドライトを消すなどの節約策で、無事福岡まで帰ることができた。明朝には太陽光が充電するので、おそらく修理店に予約した9時ごろにはセルが回るであろうという作戦である。

修理店に出向くと、リビルド品は車検証の形式による検索では見つからなかったという。デリカトラックは同クラスのボンゴトラックに比べると少数派だったからだろう。そこで、リビルド部品を自分で探して持ち込むことになったが、個人的にリビルド品は必ず見つかるとの確信があった

5D46ディーゼルのデリカワゴンはミリタリー風の三菱デザインのせいか結構人気があった。4WDででかいタイヤを履いてアニマルバーを装備しカーキ色に塗ったスターワゴンは今でも見かける。さらに、三菱は部品の使いまわしが多く、例えばデリカと初期のパジェロはステアリング系以外はほとんど同じ作りである。それ以外にも5D46を搭載した車は国内外で非常に多く、なんとコモンレール化され排気対策された5D46は韓国を始めグローバルでは未だ現役らしい。

そこで、ネットでスターワゴンを含めて検索し、業者に適合を調べてもらうと目的のリビルド品(品番MD314235)が見つかった。バキュームポンプ付きのせいか通常品より若干高めだが¥27kは安い。注文すると翌日にはコア返却の宅配便の伝票付きで到着した。検索すると韓国製のオルタまで複数見つかった。

修理店に持ち込むと、酷暑でクーラー修理の仕掛け車で工場はいっぱいだったが、工賃は即金払いで部品持ち込みのせいか着手は早かった。工場にはディーラー経由で修理が回ってくるらしく、ディーラーが代車を出すものの支払いにも日がかかるようで、やはり即金払いは常時効くのである。もちろんいろいろ説明しなくても決断が早い客には親切で迅速である。

翌日電話がかかってきて、オルタをはずしたが、フィルター込みのオイル配管フィッティングの¥2000円程度の追加部品が必要だが、入手可能で2、3日で完成とのことである。

完成したとのことで、夕刻に引き取りに行った。作業はM菱ディーラーよりはるかに丁寧で、ディーラーがおそらくインパクトでなめて知らんぷりで返した運転席固定のボルトが補修されていた。工賃も予想より安かったので、酷暑で働くスタッフ全員分のお茶代を置いて帰ってきた。

この車は購入時に登録を自分で行い、その事務諸経費を整備費にまわしてもらい、エアフィルター類や油脂類を交換している。また、M菱ディーラーで水ポンプ、タイミングベルトとオイルシール、ファンのフルードカップリング等をオーバーヒート対策として交換してもらい、同時にクーラントも交換されている。このため、炎天下で数時間エアコをつけてアイドリングしてもオーバーヒートしない。またATFは2Lずつ数回交換の作戦でかなり新油に近くなっている。

オルタも25年選手なのでベアリング保護のためにベルトは緩めに張ってあるが、さすがに90年代のレクチやビルトインICレギュレーターは現在のものより弱いようで、ベアリングやカーボンブラシより先に10万kmちょっとで壊れるようだ。キャンピングカーのオルタはサブバッテリー充電やダブルエアコン等で負荷が重いが、太陽光のあるこの車では負荷が軽かったのが今まで持った原因かもしれないが。しかし、さすがに37度超の酷暑下にエアコンフル稼働で国道を2時間走行したことが25年目の13万kmで止めをさしたようである。

これで、電装系もエアコンもOKでエアコンも装備されて酷暑も怖くなくなったのだが、もう一つWebmasterのチョンボのために交換しなくては行けない部品があるのだ。それは次回に。

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キャンピングカーにエアコン設置編(長年の熟慮を否定する簡単な設定編)

キャンピングカーが来てからの課題だったエアコンが解決したので報告したい。これまでは結構長い道のりであった。その割に、今回の設置は長年の熟慮と失敗の成果なのか、たった半日で終わってしまった。

来たときに1200Wインバーターがついていたので、最初に手当したのはトヨトミのTAD-22Lだった。これは冷暖房エアコンで太いダクト2本を車外に出して使う代物である。しかし、動作させたところ、バッテリー(12V105Ahx2)電圧は激しく降下し、10分ほどで10.5Vとなりインバーターのカットアウトで止まってしまった。

セカンドの105Ahは、室内用メインの12V105Ahの格納庫の上に固定していたが、バッテリースイッチと長い配線を介してメインバッテリーに接続されていた。そこでスイッチを介さずメインに短い配線でつないだが、やはり10分ほどで止まってしまう。<

そこで、各バッテリーからインバーターに独立配線するとともにバッテリー同志も結線するデルタ接続し、メインとサブのバッテリーを新品に交換しさらに、さらに導入時に交換した車両用バッテリー85Ah(CCA計測値700)をジャンプケーブルで並列接続したところで、やっと20分程度動作するようになった。電圧降下の原因は、結線よりバッテリー自体の電圧降下が原因であった。

やはり、2.2kwのノンインバーター式のTAD22の700W以上の消費電力は、内部抵抗が大きい鉛電池では厳しいという結論になった。もちろん外部AC100Vが得られる場合は良いが、TAD22が乗っていると、シャワーやトイレのスペースも苦しいということでTAD-22は降板となった。

次に、シャープの除湿機TAD-22Lを改造した1kw級エアコンを搭載したところ、消費電力が300Wと小さいことと日中は太陽光200Wのヘルプもあって、2時間程度稼働したが、能力不足のため盛夏の日中の室内温度を下げるに至らず、風にあたる範囲が凌げる程度であった。これについては、

キャンピングカーの冷房のナゾ(TAD-22と変造CV-U100C-W編)
過熱で落ちる除湿器変造エアコンの鍛錬のナソ(電流センサー封印編)
キャンピングカー用変造エアコンのバリスターの恐怖のナゾ

を参照いただきたい。巷では2019年の夏季頃から、一部の裕福なユーザーが500Wh超リチウムバッテリーと太陽光を積んで家庭用インバーターエアコンの数時間の稼働を実現したとのネット報告がちらほら出始めたが、費用面からすぐには手がでなかった。夏は山の上か海岸に車を止める以外に方法がなかった。

調べるとリチウム系の中でもLiFePO4は寿命も長く火災の危険性も低いらしい。そこで、2020年に清水の舞台から飛び降りる覚悟でアリババで12V100AhのLipFePO4バッテリーを¥40kで購入した。充放電特性を見ると電圧的には鉛電池とほぼ同じ範囲にあることで、欲張らず13.2Vマックス、10.5Vカットアウト設定で既存の鉛電池105Aと並列に接続した。

期待通り、明らかに高負荷での電圧降下が少ないことがわかった。鉛電池は早々にカットアウト電圧まで下がってしまうので、実際に使える容量は表記よりはるかに少ない上に、深放電で寿命が短くなる。一方LiFePO4は電圧降下が少なく、カットアウトまで低下しても寿命には響かないのだ。

おりしも、今年の夏季に北九州で産業医の講習会が3日連続であることから、キャンピングカーで参加することにした。そこで、中古のコロナ社製1.6Kw級ウインドー用エアコンをマルチルームに設置することにした。

事前の調査で、マルチルームのハッチに設置用の枠が収まることがわかっていたが、設置枠を固定したままハッチの蓋が閉まることは予想外の収穫だった。左右のスペースは付属のフラップとプラダンで簡単に密閉できた。入手したときには撤去されていたが、もともとJB470には水洗式トイレが標準で、汚物処理のために大きめのハッチが設けられているのだ。つくづく初期設計の良さに助けられた。

電気面では、既存の鉛電池105AにLiFePO4の100Ah、さらに車両用鉛電池85Ahを加えて、日射の強い盛夏時でも3時間近い動作が実現できた。夜間ならば50%以上動作時間は長くなるようだ。

問題はマルチルームの使い勝手だが、エアコンの室内への突出量は少なく前面は防水設計になっていて、シャワーもトイレも併用できることがわかった。冷気がマルチルームに籠もりがちだが、12Vの扇風機2台で室内に冷気を送ることで28度程度に保つことができた。またホンダの発電機EU9iを防音箱に入れたものを持参することにした。予定している駐車場では発電機が使用可能なので防音箱に入れればOKであろう。

世界を見渡すと、中国製LiFePO4バッテリーが席巻している。電流密度や重量は日本でよく使われているコバルト系より30%ほど劣るが、充放電の寿命は圧倒的に長く、また火災の危険性も圧倒的に小さいからである。電流密度も徐々に改善しており、欧米でもDIY分野でのシェアは圧倒的である。

使い手の良いLiFePO4を積んだ電動自動車、二輪車などが世界中であふれるほど走っている一方、日本は情けないことに高価なわりに寿命の短いコバルト系が中心で、LiFEPO4の普及は圧倒的に出遅れている。そもそもLiFePO4の初期の開発は日本がリードしていたのに、である。現在では国内の大手の営業用EVトラックのシェアを中国製に奪われる始末で情けない。

というわけで、講習会の出張の一日目の夜は熱帯夜であったがバッテリー動作のみで凌ぐことができた。ところが、その翌日朝に予想外の車両故障に直面することとなった。つづきは次項で、

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車用サブウーハーのブーミーな音のナゾ(KSC-SW01とSW-1600編)

Webmaster宅には結構サブウーハー(SW)が多く、BOSE(パッシブ)、Pioneer5.1ch、YamahaのAST2種、Denon小型、中華製小型などがある。基本的にWebmasterは小径フルレンジもしくは2wayを好むので、重低音はSWに依存することになる。

しかしまともなSWはどうしてもサイズが大きいのが難点だ。一方車載のTS-WX11Aはコンパクトで場所を取らないのは良いが、ボーボーと過渡特性(主にダンピング)が悪い。これについては、適宜吸音材を追加して耐えられるレベルになったことは、

車用サブウーハーTS-WX11Aのブーミーな音のナゾ(基礎と解決編)

に書いた。味をしめて、2機種落札してみた。

最初はKenwoodのKSC-SW01(取説)で、16cm級のアルミコーンを密閉箱に入れたものである。TS-WX11Aに比べると安手な印象だが、下部はシンクをかねたダイキャストで2.4kgある。回路図を含め近い機種のサービスマニュアルが入手可能だ。

回路はトランスコンダクタアンプを多用するTS-WX11Aに比べるとあっさりしている。左右入力は初段の抵抗で合成し、アナログ的リモコンを経て終段は同じICだが、異様に(無用にか)電源や保護ミュート回路が凝っている。

音はTS-WX11Aよりさらにブーミーな印象で、まともな音に限れば最大音圧もより低めである。これは筐体サイズが小さいせいだろう。内部はこんな感じ

である。TS-WX11Aにはおざなりながら吸音材が少し入っていたが、この機械には皆無だった。Kenwoodはそもそもこれはまともな音響機器に属さない(座席のマッサージ機のようなもの)と解釈しているのかもしれない。

これをバスレフにしたらどうなるかを見るために、筐体に隙間をあけて仮組みしてみたところ、音圧は増えるがウーハーが激しく底付きするようになった。密閉箱なのはエアサスペンションでストロークを制限する意味もあるのだろう。

ブーミー音に対する対策はTS-WX11Aと同じだが、さらに弱いダンピングを強化する意味でポリエステル綿を密に、しかし通気を確保するように詰めてみた。あまりに密に詰めすぎると空気流が妨げられてダンピング能力は落ちるからである。結果的にはTS-WX11Aよりは劣るが、まあ耐えられるレベルにはなった。

次はAlpine SW-1600である。つい先日までサイトに取説があったが、なぜか現在リンク切れである。

この製品はアルパイン社の創世記の理念がかいま見られるようなバブル的製品で、宇宙船のような筐体はオールアルミダイキャストで4kgもある。ちなみにTS-WX11Aは2.9kgでKSC-SW01は2.4kgである。

内部(対策後)はこんな感じ

で、筐体は上下2階建てになっていて、下階は全体がポート、上階は一部が細長いポートのダブルバスレフ構造で、吸音材は入ってなかった。バスレフだと背圧が少ないのでアルミコーンのウーハーが底付きすると思われるが、コーンが軽めでダンパーが強力なせいかかなりの音圧でも底付きしない。

もう一つの特徴は、終段が通常のカーステ用ICではなくディスクリートで組まれたD級アンプという点である。このため、消費電力はP社やK社のものに比べほぼ半分である。個人的には、カーオーディオでD級が今後受け入れられるかどうかの習作だったように思える。市場では一般的にP社やK社ほどの知名度がなく、同価格帯で売られていたようで、完全にコスト割れの赤字製品だったと思われる。

筐体はダンプで踏まないと潰れないくらいアルミの塊で、入出力と2つのポートの開口部は厚手でコーティングされた樹脂製である。この構造は D級アンプの高周波ノイズ対策なのかもしれない。車載でノイズが出るとAMラジオが聞こえず、交通障害や災害時に問題となりかねない。最近の車でアンプ付きアンテナが後部ルーフに立っているのは、増えた電子機器のノイズ対策だろう。

音はfoと2つのポートのせいか広帯域で明るい音である。ダンピングが足らないのはP社やK社と同じだが、基本的にはバスレフ的な音で、やはり音に素性というかコスト差は出てしまう。対策としては図のようにポリエステル綿を詰め、ポートには隙間テープを縦に貼って軽いダンピングをかけることにした。

仕上がりとしては、トータルでTS-WX11Aを超える音質になったようで、常用にも耐えられるような気がした。とはいえ、実際にヤマハのAST等と比べると、まともな音の範囲での最大出力レベルはかなり劣るようだ。

もともとこの手の車載小型SWはセダンの狭い空間が前提のようで、最大音圧はまともな音に限れば100dB前後と思われる。人間が耐えられる最大音圧は105dBSPLなので、セダン車内で十分でも通常の居室では音量がたらない。あくまでもニアフィールドで使うことが前提である。

使い方としては、机の前の棚に12cm程度のスピーカーの横に置いて、椅子に座ったユーザーが十分な重低音を浴びる用途に向いていると思う。

というわけで、この手のSWを使っていて、ブーミーな音質に満足していないユーザーに、吸音材の追加はおすすめできると思う。

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30年選手の安価版エアコンのサルベージ編(シンプルな製品ほど寿命が長い編

我が家では7台のエアコンが稼働している。そのうちで30年と一番長いのが応接間のDEODEO(CORONAのOEM)のDA-222LHである。Webmasterの居室のシャープは30年になるが一度インバーター素子を交換している。素子の冷却方法が不適切なので改良していまだ作動している。

続々エアコンのナゾ(騒音振動編)

May 9,1997 (Fri.)続エアコンのナゾ(インバーター故障編)

更新が多いのが台所で、シャープ(インバーター素子焼損で1度修理)の後富士通で、現在はアイリスオーヤマ(東芝OEM)である。リビングが日立?の次がダイキンである。和室は富士通から東芝である。あとはサンヨーが20年、パナが10年というところだ。

すべて最量販モデルの22型インバーターモデルで、余計な機能がない方が故障しにくいであろうという考えによる。DEODEOは格安処分品でインバータ無しではあったが、居室でも無く使用時間も短いので特に問題は無かった。

トラブルとしては、毎年梅雨に冷房に変えた当初はLEDが点滅して起動しない場合があった。そこで室内機の制御基板のコネクターを抜き差しして戻すと動作するので、単なる接触不良と思っていた。

それが今年は室内機の基板脱着だけでは冷房が起動しなくなった。ついに寿命かと感慨深いものがあり、頭の中では取替工事の手順をイメージしながら品定めをしていた。ところが、たまたまリモコンの温度設定を動かした所冷房が起動した。いままで室内機の制御基板の不良を疑っていたが、リモコンの不良もあり得るのと気づいて蓋を開けた所が写真である(接点の掃除後だが)

Corona社はファンヒーターが有名だが、単純な窓用冷房エアコンはかなり昔から売っていたような気がする。ファンヒーターは一番精緻な制御で最小能力ががもっとも小さく消費電力が少ないことが特徴的である。また、高度な家庭用二段冷却のCO2冷媒ヒートポンプ給湯機(エコキュート)を世界で初めて開発し、大半のOEMを供給していたことから高い技術水準は業界でも有名である(キャピラリー詰まりが多発したようだが)。

このエアコンはセパレート式だがリモコンの温度設定法は以前の窓用エアコンでよく見かけ方法だ。なお設定を変えるたびに送信ボタンを押す必要があるところが、Coronaの割り切った哲学なのだろう。確かに面倒だが電池は30年で1度しか交換したことが無い。

見ると、温度設定(基板右下)のパターンの上部が錆びていて接触不良となっていた。その部分を磨いてコンタクトZ処理したら問題なく起動するようになった。上部の接点は運転モード選択と室内機ファン調整、下部左の長い接点はタイマー接点である。ある意味、接点不良以外に故障が少ない設定ではある。

先述したように、制御基板は室内機にあって、そこから3線で室外機のコンプレッサと四方弁を制御しているようだ。室外機のファン強度は固定のようで、室外機には制御基板と呼べるものが無いのだ。

ファンヒーターでは自動車の燃料噴射のように精緻な制御をしているメーカーとしては、エアコンは激しく割り切った設計であり、ある意味すがすがしさすら感じられる。基本的には昔の窓用一体エアコンをセパレートにした設計なのである。なので、仮に制御基板が完全に不良になっても割り切った制御回路を組めばサバイバルできるのでは無いか?基本な手法は、

吸収式冷蔵庫(DOMETIC社製)と水を飲む平和鳥の関係のナゾ

の機械式サーモスタット制御

ある。もしくは、

故障した特殊冷蔵庫の中華製コントローラーによる復活のナゾ

の電子サーモスタット制御のように、機械式か電子式のサーモスタットがあればエアコンとしては成立する。冷房と暖房はスイッチで四方弁を切り替えればよい。室内風力はトライアック制御でなく巻線切り替えのようだが、別途トライアック制御を作っても大したことにはならない。Webmasterが大学時代に使っていた水空冷式エアコンは、機械サーモによる温度調節と手動ファン切り替えのつまみ2個しか無かった。

個人的にはサーモスタットは機械式の方がトラブルが好みである。電子式は設定が煩雑だし、誘導雷やサージで誤動作の可能性があるからだ。機械式サーモは動作に適度なヒステリシスがあるので、特に保護用の起動タイマーなどを要しない。

もちろんそうする位なら新しいエアコンを購入した方が早く、真空ポンプなどの小道具もあるが、どうしてもポンプダウンした廃品(R-22の700g入)が発生してしまう。地球環境のためには、少々の効率が劣るものでも長く使うことと、廃品が発生するが効率の良い装置に更新することの、どちらがトータルの環境負荷が小さいのかは微妙なところであろう。

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Van Cliburn Competition 2022に見るコンクール評価のナゾ(ファイナル結果編、その5)

ついにファイナルの結果が発表された。その前にWebmasterの予想は、

優勝に近い順から、

Yunchan Lim, South Korea, 18(運指はピカ1で年齢の割に表現はあり優勝は間違いないところ)
Clayton Stephenson, United States, 23 とAnna Geniushene, Russia, 31(二人は並ぶ。ClaytonのRACHMANINOVは今一つだったが、ホームタウン入賞あるかも。Annaも予想がつかないがチャイコの出来は2番手に間違い無い)
Ilya Shmukler, Russia, 27、Dmytro Choni, Ukraine, 28と Khandohi, Belarus, 20(ほとんど並ぶ。パワーではIlya、時節柄ならDmytro Choni,、正確さと若さならUladzislauか)

オフィシャルな発表では、

The winner of the Nancy Lee and Perry R. Bass Gold Medal and the Van Cliburn Winner’s Cup is Yunchan Lim, South Korea, 18

The winner of the Silver Medal is Anna Geniushene, Russia, 31

The winner of the Bronze Medal is Dmytro Choni, Ukraine, 28

やはり最後のPコンの結果が支配的で、1位(運指はピカ1で年齢の割に表現はあり優勝は間違いないところ)、2位(チャイコの出来は2番手に間違い無い)は当てることができた。Dmytro Choniについては(時節柄ならDmytro Choni)というところだろう。Yunchan Limの弾いた超技巧練習曲集は一流コンペでは評価が低く最近は演奏がめっきり減っていることもあり、あまり高く評価しなかった。しかしPreliminaryやQUARTERFINALでの演奏を評価していなかったわけではない。

次に各賞だが、

Award for the Best Performance of a Mozart Concerto, with a cash prize of $5,000, was awarded to Ilya Shmukler.

The Beverley Taylor Smith Award for the Best Performance of a New Work, with a cash prize of $5,000, was awarded to Yunchan Lim.

The winner of the John Giordano Jury Chairman Discretionary Award, with a cash prize of $4,000, is Marcel Tadokoro, France/Japan, age 28.

The winner of the Raymond E. Buck Jury Discretionary Award, with a cash prize of $4,000, is Andrew Li, United States, age 22.

The winner of the Patricia and Neal Steffen Family Jury Discretionary Award, with a cash prize of $4,000, is Changyong Shin, South Korea, age 28. The Carla and Kelly Thompson Audience Award winner, Yunchan Lim will receive a cash award of $2,500.

これも納得の行くところ。 Ilya Shmukler.はパワフルな演奏だったが同じくロシアのAnnaが2位となると時節柄致し方ないところだと思われる。Changyong Shinは落選したがファイナル候補に含めていた。Andrew Liはセミファイナルまで残っていなかったので記載していなかった。Marcel TadokoroはセミファイナルではMasaya Kameiより高く評価していた。これはKameiが劣るのではなく国外での場数を差だと思っている。

Clayton Stephensonは受賞を逃したが、おそらく今回の評価で今後の場数は増えるであろう。Uladzislau Khandohiは時節柄ベラルーシ出身という事情が災いしたのか受賞を逃したが、演奏はIlyaやDmytroに比べて全く劣るものではなかった。

ということで、ショパコンに比べればはるかに妥当な結果となった。もともと過去も民族的偏見の少ないコンペではあるが、時節柄はマイナーな影響はあったかも知れない。それと韓国勢の伸長は著しかった。それに比べると悲しいかな、日本の勢いはピークを過ぎた印象がある。 ミネルバのフクロウは迫り来る黄昏に飛び立つ、と言われているように、国勢と文化の興隆にはタイムギャップがあると昔から言われている。

繰り返しになるが、今回のVan Cliburnコンペ2022のレベルは高いものだった。課題曲が多彩多様でPコンが3回あったこと等を考慮にいれると、ショパコンに匹敵するか、超えるレベルに達したことは間違いない。また、今回のコンペのレベルの維持には、Marin Alsopmの参加者に愛情のある使命感の高い指揮と、多数の課題曲を演奏した Fort Worth Symphony Orchestra の頑張りも大きかったと思う。

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Van Cliburn Competition 2022に見るコンクール評価のナゾ(ファイナル編、その4)

ひき続き、

Final Round Concert 3

Clayton Stephenson, United States, 23

RACHMANINOV Piano Concerto No. 3 in D Minor, op. 30
かなりペースが鈍いわりに、オケとのアイコンタクトは不足である。もともと音符が多く同期が難しい曲であるが、Marin Alsop の努力にもかかわらずオケも低調でClaytonも指揮をあまり見ていない。ミスタッチも多く、カデンツアも意気込みが空回りしている。盛り上がりも意外にあまり良くなく、運指能力にもあまり余裕が無い。この出来では優勝は難しいか。☆☆+。演奏後Marin Alsopとの関わりなし。

Ilya Shmukler, Russia, 27

GRIEG Piano Concerto in A Minor, op. 16

運指も表現も十分だがミスタッチは少々あり。上位入賞が見えてきたか。☆☆☆。

Yunchan Lim, South Korea, 18

RACHMANINOV Piano Concerto No. 3 in D Minor, op. 30

依然として非凡な運指能力を発揮しミスタッチの少なさは異例である。指揮者とのアイコンタクトはミニマムだが耳で合わせる余裕がある。カデンツァは後半の盛り上がりのために敢えてOssiaでなくオリジナルを使用。当初の静かなパートでの表現の生硬さも薄れていて、激しい部分はむしろ抑制気味。左右の音量配分を切り替えてメロディーに立体感をもたせる試みは新しい。コーダの暴走は故意で、これを際立たせるためにカデンツアを抑えたのだろう。これほどのPコン3は空前絶後かも。優勝の可能性大になってきた。☆☆☆☆。この演奏一つでこのコンペはショパコンを超えたとも言える歴史的な演奏。演奏後Marin Alsopとのハグあり。

Final Round Concert 4

Dmytro Choni, Ukraine, 28 ? BEETHOVEN Piano Concerto No. 3 in C Minor, op. 37
丹精かつ正確で好感を持てる演奏だが、緊張するとアルペジオが固く滑らかでなくなる。ミスタッチは散発的にあるが、表現力はある。優勝は難しいが時節柄入賞の可能性はあり。☆☆☆。演奏後Marin Alsopとの握手あり。

Uladzislau Khandohi, Belarus, 20 ? CHOPIN Piano Concerto No. 1 in E Minor, op. 11

華麗というと聞こえがいいが難易度は高くないものの装飾過剰な初期のchopinをそれらしく弾くところが評価の対象。運指も正確でやや過剰な表現だが、やはりアルペジオは緊張のせいか少し固くテンポにムラがある印象、個人的にはピアニストの顔芸は好きでない。☆☆☆。演奏後Marin Alsopとの関わりなし。

Anna Geniushene, Russia, 31 ? TCHAIKOVSKY Piano Concerto No. 1 in B-flat Minor, op. 23

演奏は正確さ、表現とも非常に良くロシアンパワー炸裂という感じで、コンペを別にしても名演と言える。一部左右の強調を変えたり分散和音化するなど工夫も見える。チャイコは場数を踏んでいる印象でアイコンタクトも良好。これまでの評価は難しく、控えめに弾いてきたのが、最後になってチャイコで牙を剥いた印象で、その出来からは上位入賞の可能性はありと思う。☆☆☆+。

ということで、Webmasterの評価を書いておく。優勝に近い順から、

Yunchan Lim, South Korea, 18(運指はピカ1で年齢の割に表現はあり優勝は間違いないところ)

Clayton Stephenson, United States, 23 とAnna Geniushene, Russia, 31(二人は並ぶ。ClaytonのRACHMANINOVは今一つだったが、ホームタウン入賞あるかも。Annaも予想がつかないがチャイコの出来は2番手に間違い無い)

Ilya Shmukler, Russia, 27、Dmytro Choni, Ukraine, 28と Khandohi, Belarus, 20(ほとんど並ぶ。パワーではIlya、時節柄ならDmytro Choni,、正確さと若さならUladzislauか)

というところだがどうだろう。個人的には演奏後にMarin Alsopがハグしたか、握手したか、何もなかったかあたりが評価のポイントかも。実際2番手から6番手まではほとんど団子で審査委員どう考えるかだと思う

いずれにせよ、このコンペの評価は今回非常に高くなったと考えられる。発表はすぐで次回。

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Van Cliburn Competition 2022に見るコンクール評価のナゾ(ファイナル編、その3)

ファイナリストが発表された。

Dmytro Choni, Ukraine, 28
Anna Geniushene, Russia, 31
Uladzislau Khandohi, Belarus, 20
Yunchan Lim, South Korea, 18
Ilya Shmukler, Russia, 27
Clayton Stephenson, United States, 23


前スレでの予想は、

Finalには韓国勢が複数残るのでは無いか。Jinhyung Park, South、Changyong Shin、Honggi Kim、Yunchan Limから2名程度。中国から1名とするとYutong Sunか。日系ではKameiとTadokoroのどちらかは残ると思われる。米国系ではClayton Stephensonはおそらく残るだろう。あとはスラブ系(ウクライナ、ベラルーシ、ロシア)から1-2名というところでIlya ShmuklerかDmytro Choni、女性の時代なのでうち1名(Anna Geniushene)は女性が残る可能性がある。

まず、イージーなところでAnna GeniusheneとClayton Stephensonは当たった。次に、韓国から複数というのはYunchan Lim,1名になった。日系から一人というのははずれてゼロだった。スラブ系からIlya ShmuklerとDmytro Choniは当たった

意外だったのはYunchan Limは入賞可能性として挙げたが、超技巧曲集だけではリスト以外の表現力が未知数だと思っていた。日系はTadokoroに可能性があると思ったがはずれた。特徴ある参加者群に埋没したのであろう。Uladzislau Khandohiは演奏は良かったがテンションが高すぎに見えたことと、スラブ系が3名は時節柄どうかと思ったがはずれた。しかし4名は当てたので予想としてはまずまずだと思う。

TUESDAY, JUNE 14, 2022 Final Round Concert 1

Yunchan Lim, South Korea, 18 BEETHOVEN Piano Concerto No. 3 in C Minor, op. 37 曲の激しい部分では抜群の運指技術を発揮したが、平易な部分の緩急や大小の表現は今一で、ベートーベン特有の「間」については不足していると思った。☆☆+として彼をpコン1の基準としたい。conductorの Marin Alsopの指揮は表現が大きく統率力がある。

Ilya Shmukler, Russia, 27 RACHMANINOV Piano Concerto No. 3 in D Minor, op. 30

ロシア系らしくパワフルなラフマニノフで細部の表現も十分。爆発的なコーダを迎えるが少し疲れたのかパラパラとミスタッチが出た。オケとのアンサンブルにも大きな破綻はなかった。☆☆☆。かつてのこのコンペでは参加者はやっとのことで3番を弾いていたが、今回は全般的に参加者のレベルが高くなっているのかも知れない。

Clayton Stephenson, United States, 23 GERSHWIN Piano Concerto in F Major

まさに彼のために用意された課題曲。JAZZYと言うか映画音楽ぽいっと言うべきか立体的な奏法はオフビート、シンコペーション、分散和音化当の集合体のようであり、楽しめる演奏だった。ほかのPコンとの比較は難しいが地の利もあり☆☆☆+とする。演奏後Marin Alsopとのハグあり。

Finals Round Concerto

Uladzislau Khandohi, Belarus, 20 RACHMANINOV Piano Concerto No. 2 in C Minor, op. 18

難易度だけでなくスラブの抒情たっぷりの名曲で、序章はプレリュード「鐘」コーダのオマージュで始まる。ベラルーシ出身だけあってスラブ的浪花節の表現へのこだわりは神経質かつ過剰である。演奏は正確でミスタッチは少ない。☆☆☆とするが、個人的には顔芸が過剰なピアニストは嫌いである。Marin Alsopの指揮能力は女流では米国一(世界一)という評価は正しい。ショパコンの凋落に比べこのコンペの参加者とオケのレベルも格段に進化している。かつて盲目のピアニストを置き去りにした指揮者とは雲泥の差である。演奏後Marin Alsopとの会話あり。

Anna Geniushene, Russia, 31 BEETHOVEN Piano Concerto No. 1 in C Major, op. 15

古典派の香りが強く、ピアノはアリアのように演奏される。第三楽章では突然忙しくなり、カノン風のピアノとオケの絡みが延々と続く。常に適切で破綻の無い演奏が続くがインパクトは強く無い。ミスタッチが少々。☆☆+とする。演奏後Marin Alsopと握手あり。

Dmytro Choni, Ukraine, 28 PROKOFIEV Piano Concerto No. 3 in C Major, op. 26

難解な曲が多いPROKOFIEVの中ではわかりやすい曲。演奏は正確でミスタッチは少ない。プロコフィエフらしい近代的なフレーズと美しいメロディーが綾をなしている。難曲にもかかわらず終始冷静で演奏に余裕がある。時節がらもあり☆☆☆+とする。なおPROKOFIEVはウクライナ出身。演奏後Marin Alsopと会話あり。

あとは次号で。

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Van Cliburn Competition 2022に見るコンクール評価のナゾ(その2)

Van Cliburn Competition 2022のSemifinalの続きである。

Semifinal Recital 4 SATURDAY, JUNE 11, 2022

Honggi Kim, South Korea, 30

RACHMANINOV Ten Preludes, op. 23
ADAMS China Gates
BARBER Sonata for Piano, op. 26

RACHMANINOVのロシアの哀愁と劇的な緊張感の対比はよく表現されている。ADAMSのエキゾチズム、BARBARの近代ながらリリカルなメロディーなど、VAN Cliburnの課題曲の多様性を生かした良い選曲で拍手多い。ミスタッチも少なく☆☆☆+で高く評価したい。韓国勢は強い。

Marcel Tadokoro, France/Japan, 28

RAMEAU “Le Rappel des Oiseaux(鳥のさえずり)” from Suite in E Minor, RCT 2
SCRIABIN Three Etudes, op. 65
RACHMANINOV Variations on a Theme of Corelli, op. 42
DEBUSSY Nocturne
BRAHMS Variations on a Theme by Paganini, op. 35, Books I and II

RAMEAUはバロック時代の作曲家だが斬新に聞こえる。SCRIABINは神秘性な調性が表現されている。変奏曲を得意とするRACHMANINOVのアレンジの巧みさにはため息が出る。パガニーニの変奏曲を想起させるが、本コンペではPコンの範疇でチョイスが可能になっている。DEBUSSYでは色彩感が美しいん。BRAHMSはRACHMANINOVとの対比が鮮やか。多様性を生かした良い選曲で拍手多く、☆☆☆+。

Semifinal Mozart Concerto 3

Clayton Stephenson, United States, 23
MOZART Piano Concerto No. 21 in C Major, K. 467

前作第20番に比べて明るく第2楽章が有名。和音やユニゾンを微妙に分散させて音に厚みを加える技法が使われていてダイナミックに聞こえる。ミスタッチ少々。☆☆+

Changyong Shin, South Korea, 28
MOZART Piano Concerto No. 20 in D Minor, K. 466

オペラ風にも聞こえる短調ベースの20番は一番人気。演奏は運指と表現のバランスがとれているが、表現は抑え気味か。韓国勢の躍進が進む。☆☆+。

Yunchan Lim, South Korea, 18
MOZART Piano Concerto No. 22 in E-flat Major, K. 482

Transcendental Etudesで技量を発揮したので今回は表現力を発揮したいところだが、平板な第22番でなく見せ場の多い第20番で違いを見せたほうが良かったのでは?疑問の選曲で☆☆+。

Ilya Shmukler, Russia, 27
MOZART Piano Concerto No. 20 in D Minor, K. 466

国際的に肩身がせまいロシアだが、このコンペは課題曲だけでなく国籍にも懐が深い。ショパコンが不完全燃焼、チャイコンが中止のなかで本コンペの評価は上がるかも。テンポをあまり揺らせないモーツアルトのPコンでもロシア系らしくダイナミックながら細部まで丁寧な表現で飽きない演奏。☆☆☆。

Semifinal Recital 5 SUNDAY, JUNE 12, 2022

Uladzislau Khandohi, Belarus, 20

RAVEL Gaspard de la nuit
RACHMANINOV Etudes-tableaux, op. 39, nos. 2, 3, 4
RACHMANINOV Variations on a Theme of Corelli, op. 42

基本的な運指技術は高いが「間」が不十分で構成感が弱くごちゃっとしていて、もっと細かいペダリングが欲しい。ホールの残響やS&Sはペダルのキレを計算に入れる必要がある。RACHMANINOVはやはり「間」が不足していてねちっこい。技量が生きておらず、音量オーバーと速度違反もあり、☆☆+。


Dmytro Choni, Ukraine, 28


BRAHMS Two Rhapsodies, op. 79
SCRIABIN Sonata No. 4 in F-sharp Major, op. 30
DEBUSSY Images, Book I
GINASTERA Sonata No. 1, op. 22

Pコンでのアルペジオの固さは緩んできた。ダイナミックで表現力もあり総合点はかなり高く、DEBUSSYも音色が美しいが、他の参加者に埋没しないわかりやすさが求められる。神経質な印象があり選曲にも難があるか。☆☆+。

Semifinal Recital 6

Jinhyung Park, South Korea, 26

PROKOFIEV Sonata No. 6 in A Minor, op. 82
SCHUMANN Fantasiestucke, op. 12

運指、ペダリング、表現、構成力のすべてが高いレベルにあり演奏に余裕を感じる。PROKOFIEV は緩急が巧みで飽きさせない。伸長著しい韓国勢の中でもかなり上位に来る予感。☆☆☆+

Anna Geniushene, Russia, 31
BEETHOVEN Seven Bagatelles, op. 33
VERDI?LISZT Danza sacra e duetto finale d’Aida
PROKOFIEV Sonata No. 8 in B-flat Major, op. 84

なにかコンペの会場と聴衆を借りて個人的にお気に入りの曲の演奏会をやっている印象が否めなず、順位は気にしない的な雰囲気があるものの、各種のコンクールで上位入賞してきたという不思議なピアニスト。PROKOFIEV Sonata でわかる通り運指と表現力のレベルは高い。☆☆+。

さあ、あとはいよいよFinalである。6名選ばれ、二グループのPコンを演奏するという課題の濃密さについてはエリザベート妃コンペと並ぶ。ショパコンの凋落とチャイコンの命運からすれば、このコンペのステータスはかなりエリザベート妃に近づくところまで上昇すると予想している。

個人的な予想を言えば、

Finalには韓国勢が複数残るのでは無いか。Jinhyung Park、Changyong Shin、Honggi Kim、Yunchan Limから2名程度。中国から1名とするとYutong Sunか。日系ではKameiとTadokoroのどちらかは残ると思われる。米国系ではClayton Stephensonはおそらく残るだろう。あとはスラブ系(ウクライナ、ベラルーシ、ロシア)から1-2名というところでIlya ShmuklerかDmytro Choni、女性の時代なのでうち1名(Anna Geniushene)が残る可能性がある。とすると、ファイナルは殆ど見えてきたと思う。

さて、過去抜群の確率で予想的中を具現してきたWebmasterの予想はあたるかどうか?

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Van Cliburn Competition 2022に見るコンクール評価のナゾ

Youtubeを覗いていると、Van Cliburn Competition 2022が始まったようである。

国際的なピアノのコンペの中でもショパコンについては、

ショパンコンクール2020の採点の予選分だけが公表のナゾ(ステージ3編)
ショパンコンクール2020の採点の予選分だけが公表のナゾ(ステージ2編)
ショパンコンクール2020の採点の予選分だけが公表のナゾ(ステージ1編)
ショパンコンクール2020の採点が公表されない理由を推理する編
ショパンコンクール2020ファイナル結果!
ショパンコンクール2020のファイナル始まる!(10/19-20)
なぜショパンコンクールでヤマハCFXが敗退したか(驚愕のCFX試作モデル)
ショパンコンクール2020のファイナル始まる!(10/18)
ショパンコンクール2020驚異のStage3結果!(10/17)
ショパンコンクール2020のStage3始まる!(10/16)
ショパンコンクール2020のStage3始まる!(10/15)
ショパンコンクール2020感激のStage2結果!(10/13)
ショパンコンクール2020のStage2始まる!(10/12)
ショパンコンクール2020のStage2始まる!(10/11)
ショパンコンクール2020のStage2始まる!(10/10)
ショパンコンクール2020のStage2始まる!(10/9)
ショパンコンクール2020非情のStage1結果!(10/7)
ショパンコンクール2020のStage1始まる!(10/7)
ショパンコンクール2020のStage1始まる!(10/6)
ショパンコンクール2020のStage1始まる!(10/5)
ショパンコンクール2020のStage1始まる!(10/3-10/4)

と総力を投じて解析した。結果的にはWebmasterが最も高い総合点をつけたMr Bruce (Xiaoyu) Liu が1位となったのでやれやれだが、個人的には政治的な理由から1位はとれないのでは、と予想した。もうひとりカナダ出身のJ J Jun Li Buiが上位にいるから、2名とも入賞はしないのではないかと考えたからである。

実際にはJ J Jun Li Buiは6位に入賞した。もちろん両者とも演奏は高度であるが、どちらも審査員Dの生徒である。すでに書いたが、ファイナルでは

S(生徒)のついた参加者を列挙すると

-----------------------S(生徒)の参加者-------------------------------------
Mr Szymon Nehring Poland		0,33 20,09 K2氏の生徒 	落選
Mr Kamil Pacholec Poland		0,64 20,43 W氏の生徒		合格
Mr Kyohei Sorita Japan			0,80 21,57 P氏の生徒		合格
Mr J J Jun Li Bui Canada		0,67 21,31 D氏の生徒		合格
Ms Yasuko Furumi Japan 			0,07 19,21 P氏の生徒		落選
Mr Bruce (Xiaoyu) Liu Canada		1,00 23,22 D氏の生徒		合格
-----------------------------------------------------------------------------

であった。今回審査員Aが直前で降りたため、審査員Dの影響が大きかったと推測している。ステージ1の解析では、

---------------------------------------------------------------------
Mr Szymon Nehring Poland		1,00 20,33 K2氏の生徒
Mr Viet Trung Nguyen Vietnam/Poland	0,71 19,57 D氏、K2氏の生徒
Mr Kamil Pacholec Poland		0,86 19,92 W氏の生徒
Mr Junhui Chen China			0,13 17,40 D氏の生徒
Mr Xuehong Chen China			0,93 20,87 P氏の生徒
Mr Yutong Sun China			0,80 19,44 D氏の生徒
Ms Aleksandra Swigut Poland		0,14 17,39 P氏の生徒
Ms Rikono Takeda Japan			0,13 17,00 P氏の生徒
Ms Zitong Wang China			0,33 17,94 D氏の生徒
Mr Talon Smith U.S.A. 			0,67 19,07 K1氏の生徒
Mr Kyohei Sorita Japan			0,80 20,40 P氏の生徒
Mr Zi Xu China				0,79 20,62 K1氏、k2氏の生徒
Mr Kai-Min Chang Chinese Taipei		0,80 19,64 D氏の生徒
Mr J J Jun Li Bui Canada		1,00 21,49 D氏の生徒
Mr Junhui Chen China			0,13 17,40 D氏の生徒
Mr Xuehong Chen China 			0,93 20,87 P氏の生徒
Ms Yasuko Furumi Japan 			0,80 19,57 P氏の生徒
Mr Adam Kaldunski Poland		0,93 20,13 k2氏の生徒
Mr Xiaoxuan Li China			0,50 18,44 D氏の生徒
Mr Bruce (Xiaoyu) Liu Canada		1,00 23,00 D氏の生徒
---------------------------------------------------------------------

今回はステージ2,3でアジア系の大粛清があり、ステージ3では中国系はわずか1人に減らされた。しかも決戦の採点は発表されずじまいである。個人的にはショパコンの役目は2022年で終わったと思う。粛清を恐れるアジア系は今後ショパコンを忌避すると思われるからだ。

世界情勢からみてもロシアのウクライナ侵攻でチャイコンは事実上消滅もしくは親ロシア系だけとなる可能性が高い。ショパコンでもロシア系を除外するのかどうか議論となるだろう。

というわけで、代わりといっては何だが、評価が高まる可能性があるのがVan Cliburn Competitionである。まずこのコンペは人種的偏見が非常に弱いようで、第15回2017では金賞がYekwon Sunwoo、銅賞がDaniel Hsu、第14回では銅賞がSean Chen、第13回2009では金賞が辻井伸行とHaochen Zhang、銀賞がYeol Eum Sonであった。

もう一つは課題曲が多様(リンク)であることで、その選択には参加者の哲学が反映される。またPreliminaryでは Stephen Houghの曲が必須となっている。2022年の課題曲は、


PRELIMINARY ROUND (JUNE 2?4, 2022) VAN CLIBURN CONCERT HALL AT TCU
30 competitors perform a 40-minute recital, to include commissioned work of 4-6 minutes by Stephen Hough

QUARTERFINAL ROUND (JUNE 5?6, 2022) VAN CLIBURN CONCERT HALL AT TCU
18 competitors perform a 40-minute recital

SEMIFINAL ROUND (JUNE 8?12, 2022) BASS PERFORMANCE HALL 12 competitors in two phases:

1.60-minute recital
2.Mozart concerto to be selected from a list with the Fort Worth Symphony Orchestra and conductor Nicholas McGegan
Piano Concerto No. 9 、15、19、20、21、22、23、24、26、27

FINAL ROUND (JUNE 14?18, 2022) BASS PERFORMANCE HALL
6 competitors perform two concertos, to be selected from two separate lists, with the Fort Worth Symphony Orchestra and conductor Marin Alsop.

Concerto 1: 

BEETHOVEN Piano Concerto No. 1 、2、3、4、5 
CHOPIN Piano Concerto No. 1 、2
GERSHWIN Rhapsody in Blue、Piano Concerto in F Major
GRIEG Piano Concerto in A Minor, op. 16
LISZT Piano Concerto No. 1 、2
MENDELSSOHN Piano Concerto No. 1 in G Minor, op. 25
RAVEL Piano Concerto in G Major、for the Left Hand in D Major
SAINT-SAENS Piano Concerto No. 2、5 in G Minor, op. 22
SCHUMANN Piano Concerto in A Minor, op. 54

Concerto 2:

BARTOK Piano Concerto No. 2、3 
BRAHMS Piano Concerto No. 1、2
PROKOFIEV Piano Concerto No.2 、3 
RACHMANINOV Piano Concerto No. 2、3、 Rhapsody on a Theme of Paganini, op. 43
TCHAIKOVSKY Piano Concerto No. 1 in B-flat Minor, op. 23

珍しいのはPコンが三回あることで、オケとの協調性のなかでSemifinalの最初のモーツアルトのPコンで表現力を見て、Finalの二回目、三回目のPコンでテクニックと総合力を判断するようだ。二回目、三回目のPコンは有名どころはどれでも可という気前の良さで、オケの準備はたいへんだろう。やはりアピールのためか、過去には難易度の高いラフマニノフやプロコフィエフ、ラベル、バルトーク等が選ばれることが多かった。

ということで、今回はまだ結果が出ていないSEMIFINAL以降について簡単に評論したい。個人的な評価のポイントはなめらかで粒が揃ったアルペジオ、適切なテンポと「間」により曲の構成がわかりやすく浮き出ているか。速度や奏法よりは曲の構成がわかりやすく、聞いていて安心できるかである。適切な「間」があればプロコフィエフやバルトークなどの難曲でも構成がわかりやすく聞きやすくなる。

WEDNESDAY, JUNE 8, 2022 Semifinal Recital 1

Yutong Sun, China, 26

ALBENIZ “Corpus Christi en Sevilla” from Iberia, Book I
CHOPIN Polonaise in F-sharp Minor, op. 44
LYATOSHYNSKY Prelude, op. 44, no. 4
LYATOSHYNSKY Prelude, op. 38, no. 3
PROKOFIEV Sonata No. 8 in B-flat Major, op. 84

Yutong Sunはショパコン2021にも出ていてステージ2で敗退した。Webmasterの採点では1st☆☆「演奏はともかく音の濁りが気になる」、2nd☆☆☆「やはりペダリングのキレはあまりよくない」と演奏技術は高いもののペダリングが雑という評価だったが、今回は確実に進化している。

LYATOSHYNSKY Preludeは知らない曲なので勢い評価はCHOPIN Polonaiseが重くなるが、演奏の姿勢はかつてのルーシュタインを思い出したが、表現の幅ははるかに大きい。ショパコンとは異なり、ペダリングも丁寧でダイナミックな演奏となっていた。☆☆☆として彼をsemifinalの基準とする。

Masaya Kamei, Japan, 20

BEETHOVEN Piano Sonata No. 21 in C Major, op. 53 (“Waldstein”)
LISZT Paganini Etude No. 3 “La campanella”
RAVEL Gaspard de la nuit
BALAKIREV Islamey: Oriental Fantasy

亀井聖矢(公式ページ)は我が国ではおなじみである。演奏はダイナミックでミスタッチが少ないのが印象的だった。今回もミスタッチが少ないものの、QUARTERFINALよりは改善しているが音符の粒が揃わずスムーズに流れない印象が残っていた。国外コンクールなので緊張しているのだろうか。フレーズ間の”間”も不均一のためGaspardやIslameyで構成のまとまり感が不足していて、彼の最高の演奏では無いように思った。Yutong Sunと比べて☆☆+か。

THURSDAY, JUNE 9, 2022 Semifinal Recital 2

Clayton Stephenson, United States, 23

BEETHOVEN Sonata No. 21 in C Major, op. 53 (“Waldstein”)
LIEBERMANN Gargoyles, op. 29
BRAHMS Sonata No. 1 in C Major, op. 1

緩急の付け方に特色があり、激しさと優しさを織り交ぜるなどポピュラー的で映画音楽のように聞こえる。何故かと耳を澄ますと、多くの和音を微妙に分散和音風に弾くことが原因の一つのように思える。あまり日本では聞かないタイプで、これが21世紀アメリカのクラシックなのかという印象。評価に迷うが☆☆☆としたい。

Changyong Shin, South Korea, 28

BACH Toccata in D Major, BWV 912
SCHUMANN Humoreske in B-flat Major, op. 20
PROKOFIEV Sonata No. 7 in B-flat Major, op. 83

演奏技術は高く円熟域にあり落ち着きを感じる。バッハは音の粒がそろっていてテンポに乱れがない。シューマンでは「間」のとり方が絶妙で、プロコフィエフでもメロディーのまとまり感を感じる。最近の韓国ピアニストの進歩には目を見張る。新奇なあまり無い点がどう評価されるか。安心感から☆☆☆+。

THURSDAY, JUNE 9, 2022 Semifinal Mozart Concerto 1

Honggi Kim, South Korea, 30

MOZART Piano Concerto No. 20 in D Minor, K. 466

一番人気のpコン。難易度が高くないので評価は、粒の揃ったアルペジオと細かい表現が中心となる。Preliminary でSCARLATTI を選んでいて、多彩な第20番が向いている。彼の評価を☆☆+として以後のモーツアルトPコンの評価の基準とする。

Marcel Tadokoro, France/Japan, 28

MOZART Piano Concerto No. 27 in B-flat Major, K. 595

福岡生まれの日本人の父とフランス人の母のハーフのイケメンでエリザベート妃女王(準決勝)とモントリオール(決勝)。27番は特に第2楽章は凡庸だと思もう。このレベルの参加者の評価は難しい。Quarterfinalの Gaspard は個人的には嫌いな曲だが彼の演奏は流麗で魅力的だった。☆☆+とする。

Uladzislau Khandohi, Belarus, 20

MOZART Piano Concerto No. 9 in E-flat Major, K. 271

モーツアルトにしてはめずらしくビジーな曲だが、表現力の判断は難しいので☆☆+とする。ベラルーシ出身だが出場可能だったようだ。

Dmytro Choni, Ukraine, 28

MOZART Piano Concerto No. 20 in D Minor, K. 466

やはり20番は傑作でモーツアルトらしい。アルペジオは力が入りすぎなのかすこし渋滞気味。ウクライナ勢なので応援したいところだが、Honggi Kimよりたどたどしい印象があり☆☆の評価か。

FRIDAY, JUNE 10, 2022 Semifinal Recital 3

Yunchan Lim, South Korea, 18

LISZT 12 Transcendental Etudes

テクニックは超絶的であることは間違いなく、「間」が不十分で息苦しくさらにビジーに聞こえる。バロック、古典、ロマン、近代、現代の幅の広いレパートリーでの表現力を競うが本コンペの趣旨で、超絶技巧は求められていないのではないか?疑問の作戦というところで☆☆+とする。

Ilya Shmukler, Russia, 27

BRAHMS Variations and Fugue on a Theme by Handel, op. 24
PROKOFIEV Sonata No. 8 in B-flat Major, op. 84

何かと肩身が狭いロシア出身。ブラームスはバロック調でプロコフィエフは近代と対照的な選曲だが、プロコフィエフは凡庸に聞こえて、「間」やテンポを工夫して曲の構成を浮かびあがらせる工夫が欲しいところ。世情からしてよほど傑出した演奏でないと上位は難しいか。☆☆+。

Semifinal Mozart Concerto 2

Yutong Sun, China, 26

MOZART Piano Concerto No. 20 in D Minor, K. 466

人気の20番。なぜか今回楽団に元気が無くスローな始まりだが、Yutong Sunの音は粒がそろっていて流麗に流れる。モーツアルトのPコンは差がつきにくいと書いたがやはりそれなりに表現に差は出るものだ。安心して聞けるので☆☆☆。

Masaya Kamei, Japan, 20

MOZART Piano Concerto No. 19 in F Major, K. 459

アルペジオとその粒立ちは2日前より良くなっていて、緊張が取れてきたのか表情にも余裕が出てきている。そのせいか、モーツアルト的には少し過大で元気が良すぎるかなと思われる表現があった。少し甘く☆☆☆としたい。ただし過大な表現やLANLANのような顔芸は敵を作りやすいので要注意。

Jinhyung Park, South Korea, 26

Piano Concerto No. 20 in D Minor, K. 466

これまた人気の20番だが、運指が均一でアルペジオが美しく基礎技術の高さが伺える演奏だが、表現は抑え気味でおとなしい印象。 Quarterfinal のMENDELSSOHN もBRAHMSも美しくメロディーを浮き出す演奏だった。今回の韓国勢のレベルは高いが、厳しいコンペで独自性を発揮できるか。☆☆+くらい。

Anna Geniushene, Russia, 31

Piano Concerto No. 25 in C Major, K. 503

25番はバロック風で装飾音符が多く華麗な作品。ロシア人のわりにタッチはやさしくパワーで押す印象は弱い。QuarterfinalのBRAHMS とBARTOKではパワーは炸裂するというよりは鍵盤を押す感じ。コンペというよりは演奏会で自分のレパートリーをリラックスして弾いている印象。☆☆くらいか。

Youtubeのアップはここで終わりなので、以下次号で。

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SDカードにWindows10をインストする(速度の乗らないCeleronN3060マシンを何とかする編

Windowsの手元にLenovo300(celeronN3060)がある。家人が使っていたwindows7マシンだが、遅いので使い物にならないとして、WebmasterのCorei5マシンと交換となった。

いろいろWebmasterの得意とする軽量化で何とか実用性能に達したかと思いきや、窓がたくさん開くとめっきり遅くなり、それにWindowsUpdate等が重なると事実上1日位はほとんど動作停止してしまう。

気づいたのはメモリーが2GBしか無いことで、その後に気付いたのはwin7が64bit版だったことである。そこでメモリーを4GBとし、Win10の32bit版に更新したが、やはり窓を多く開くとめっきり遅くなる。

システムを見ると、メモリーは4GB実装されるが、Win10は2GBしか使っていない。これはCeleronN3060チップセットとWindowのバグの相乗作用のため、メモリーチップによっては2GBまでしかアクセスできないからである。手元の他のメモリーと入れ替えたが、どれも4GB認識されていても2GBしか使えなかった。当時のIntelもwindowsがこれほど肥大化するとは想定してなかったようだ。

win10の32bit版であっても、2GBと4GB(実際使われるのは2.9GB)とでは窓の数が増えるとレスポンスに大差がある。残りの2GBをRAMディスクとして、ここに仮想メモリーのSWAPを置けばレスポスは改善するが、休止機能が使えないし、時にSWAP書き戻しに時間がかかると異常終了してしまう。

そこで試しにWin11の64bit版を載せてみたら4GBすべてが使われるようになったが、速度が乗らない。OSはインストールベースで1GB近く大きくなっており、2GB増えた分が肥大化したOSに食われ、さらに64bit版の重さのためレスポンスがいま一つである。

そこで、レスポンスを上げるためにSDの64GBSSD仕様を試すことにした。詳しくは、

SDカードにWindows10をインストする(保存おすすめ備忘録版)

を参照してほしい。

32bit版Win10を乗せると使えるメモリーは2.9GBだが、スワップがSDの上に乗るので高速化できる。64bit版Win10を乗せれば、メモリーは4GB全部使えるものの、OSとアプリ等の肥大化でレスポンスが重いかもしれない。迷ったが、最初に64bit版を載せてみて、レスポンスが悪ければ32bit版に乗せ変えることにした。ちょうど試用したい64bitアプリがあったこともある。

CeleronN3060は1.60 GHzの2コアだが、TDPが6Wと小さいことから、Atom系ということがわかる。Atom2コアだと1.6GHzではAmazonPrimeの映画再生も苦しいが、Win11のベンチマークを見ると、

のように、CPUが1060とかろうじて1000台に載っている。ベースが1.6GHzでも2.48 GHzまで増速するからで、能力的にはCore2Duoの2GHz程度と映画再生には十分だが、再生中のレスポンスは良くない。ただしCPUは2016年モデルのため3D能力は意外や高いが、ゲームをしないWebmasterにとっては関係ない。

SD-SSD化したデータは、

結果は、CPU、2D、3Dが微増、メモリーが微減、DISKが激減となったが、立ち上がりの速度、全般レスポンスは劇的に向上した。再度ベンチマークがいかに役に立たないことを確認する結果となった。

それまで嫌われ続けだったLenovo300も、現在はフリートの一員として活躍している。個人的にはSD-SSD仕様は能力的に末期のノートパソコンに向いていると思う。HDDをはずせば軽量化され、衝撃にも強くなり、電池寿命も伸びてノートの実用寿命を伸ばすことができる。Linuxと違って通常のアプリが使えることも大きい。

ところで大事なことを書き落としてきた。

まずSD-SSD化した後は、一度defragを動作させたあとは定期的な自動動作を止めることは以前に書いた。さらにサービスでSysMainを停止する。また少しでもOS軽量化のために不要アプリはアンインストールする。Ccleanerを動作させ、Glayutilityでレジストリーをデフラグするのも効果がある。ときに大きなファイルの読み書きでレスポンスが低下するが、待てば回復する。これはSDの読み書きに最小限のリソースは割り当てられているので、HDDのようにタイムアウトのままエラーとなることはない。この点は我慢が必要だ。

HDDを残してそちらに使用頻度の低いアプリをインストする手もある。なおWindowsUpdate後はC:\Windows\SoftwareDistribution\download以下を消去可能である。サービスSysMainを停止すればprefetchも無効となるのでC:\Windows\prefetch以下も消去できる。サービスではWindowsSerch、XBOX関係やconnected関係、smartcard関係などを停止する。

既存のWin7以降がインストされたPCに、rufus3.1XのWindowsToGoモードで書いたSDをインストしてもプロダクトキーの入力は求められず自動的にセットされる。HDDが無くてもWin8以降がインストされていたPCにインストする場合は、BIOS/UEFIに記録されたプロダクトキーが使われるようで入力は求められない。しかし、過去Win7以前がインストされていたマシンでは、有効なプロダクトキーを入力する必要がある。

ただし、Win7までのプロダクトキーの扱いと違い、ハードにかなりの改変があってもエラーとならないようである。印象としてはM$はGoogle化が進行しており、過去のユーザーにはロハでOSをばらまき、得られた個人情報で利潤を上げる方向に方針を変えたようである。何よりM$はGoogleやAppleやLinux族に顧客を取られることを恐れており、客をキープし続けて個人情報を抜き続けたいように見えるのだが、どうだろう。

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SDカードにWindows10をインストする(ベンチマークからWindowsの本質を考える編)

さて、前回のスレで紹介したWinをSDにインストした富士通FMVa-8290のCrystalDiskMark8.0.4(x86)だが、windowsのいろいろな面が見えてくる

ランダムアクセスはまずまずだが、シークエンシャルはCruzerFitのスペック通りの10MB/sなので大きなファイルの読み書きは不得手であちる。特にキャッシュにはNCQ(キューの並びを読みやすい順番に組み替えて速度を稼ぐ)機能は殆ど無いようである。

それでも、時空間的にランダムにDLLの細切れへのアクセスが大半を占めるWindowsのレスポンスは良好である。大きなファイルの読み書きで時にレスポンスしなくなるが、HDDの時のようにスレッドがタイムオーバーで死亡することは無く、少し待てば必ず回復する

これは、SDのアクセスでは僅かに割り当てられたCPUのタイムスライスでも確実にデータの読み書きが進むからだと考えられる。HDDではランダムで錯綜したアクセスでは僅かなCPUのタイムスライスを貰っても読み書きが全く進まない。

さて、通常のUSBメモリやSDカードはリムーバブルのため、急に取り出しても論理構造が壊れないように書き込みキャッシュはオフがデフォートだが、オンにすれば速度は上昇する。SDによるSSDではプロパティで書き込みキャッシュ設定は見えるが、チェックがついておらず、またチェックをつけても有効にできない。

そこで、レジストリを調べてみると、

のように、"CacheIsPowerProtected"=dword:0(オフ)、”UserWriteCacheSetting"=dword:1(オン)になっていたので、設定する必要は無いようである。

レジストリではディスクキャッシュを増やすことが可能だがWin10で効果があるかどうかは定かでない。一応、、レジストリの\HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Session Manager\Memory Management\IoPageLockLimitを64MB(10進数で67108864)としてみたが、効果があるかどうかは良く分からない。

このパソコンをHDD(WD60PURX)から起動した場合が、

シークエンシャルREADはSDより10倍近く早いが、ランダムREAD(Q1T1)はSDの1/10と遅く、実用レスポンスが劣る。通常のベンチマークでは何故か実態に即していないシークエンシャル性能を重視しているのでスコアは良いがレスポンスはSDに比べ悲劇的に悪い

これのPASSMARKのベンチを示すと、

CPU性能は実用レベルながら、DISKは現時点で最速のマシンからのパーセンタイルは評価不能とされ、トータルでもディスクのデータが響いて271と悲劇的である。しかし、ベンチマークに反して実際はHDDより遥かに快適である。いったいベンチマークって何?と言いたいところだ。

さて本物のSSDではどうなるか?常用している別のCorei5マシン(VersaProLS550C)に載っている数年前のSATA規格SSD128GB(Sumsung ADATA SP600)は、最新のSSDの半分程度の性能だが、

と、シークエンシャルREADはSDより14倍、ランダムREAD(Q1T1)7倍速く、HDDより70倍以上速いことがわかる。実際にはランダムREAD(Q1T1)がSSDのチップの素のデータに近い。おそらくSDに比べ本物はチップのREADデータ幅が数倍大きいのであろう。

SSDのQ1T1ではランダムWriteのほうがReadより数字が高いが、これは原理的にはありえずにキャッシュの仕業である。通常ランダムWriteでは大きめのブロック単位でREADしたデータをキャッシュし、内容を書き換えてからWriteBackする。おそらくキャッシュがデータを受け取った時点でマシンに終了と伝えて次の処理を行うようである。

その証拠に、Q32T1ではキャッシュ容量が厳しくなるのでREADの方がWriteより速い

つまり、READは真の読み込みの速度を示すが、書き込みはキャッシュがOKを出したらマシンは関知しない。キャッシュされたデータの順序の不整合は、順番をキャッシュが覚えているから起きないはずだが、実際には書かれる順序はNCQにより異なる可能性がある。そのため予想外に電源が落ちた場合はスパゲッティになるが、通常のSSDには電気二重層キャパシタが実装されていて、悲劇にならない程度に終了処理が行われる。

さて、最近はSATA仕様よりさらに速いPCIe接続のNVMe SSDが普及しており、カタログ上ではSATA仕様の10倍の7000MB/Sもの速度を誇ることになっている。ここまでこのスレッドを真面目に読まれた方には、それは単にインタフェースとキャッシュの性能を示しているだけで、ランダムはそんなに速いはずがないと思われるであろう。

SATA仕様はパソコンを選ばす汎用性が高いことから一定の需要がある。メーカーにしても最新のSATA SSDと最新のPCIeのSSDのためにわざわざ異なる世代のチップを生産するはずも無いので、チップの素の性能は10倍は違わない、と考えるべきであろう。

SATA仕様とPCIe仕様の最新ゲームでの性能比較を行った記事があるが、その結論は

「現在のゲームでは、比較的小さなデータの転送が多く、結果としてSATAの転送帯域(600MB/s)で足りてしまうケースが多くなっていることが原因だと推測される。.......ゲームをカジュアルに楽しみたいのであれば、SATA SSDでも十分な体感速度を得ることができる」、だと言う。

これはシークエンシャルが鈍いSD製SSDが実用上十分な速度を持つ理由でもある。ゲームに限らずDLLの集合体であるwindows族ではHDDに限らずCPUでもデータやコードのローカリティーが低いためにキャッシュ効率がベンチマークより低い、ということは過去から度々Webmasterが強調してきたことである。

ベンチマークに騙されやすい人が多いが、メーカーは商売的には必要がなくても新しいマシンに買い替えて欲しいのである。先鋭のゲーマを除いて、我々一般ユーザーは一歩引いて様子を眺めながら、必要な時期がきたらマシンを更新すればよい、のである。

SDは64GBを超えるとけっこう高価なので、128GBを買うくらいなら本物の良質なSSDを買う方がコスパが良い。またHDDでも何とか実用上耐える場合は、16GBあたりのSDなりUSBメモリーを挿してReadyBoostで使うのが良い。ちょうど64GBのメモリーがあって速度を向上させたいなら、SDをSSDとして使うのがリーゾナブルだと考える。

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SDカードにWindows10をインストする(保存おすすめ備忘録版)

Webmasterの不良在庫に富士通FMVa-8290がある。Core2DuoP8700(2.53GBx2、TDP25W、45nm)と実用的な性能だが、例によってキーボードのテカリが無いリースバック品(1300円)である。かわいそうなのは、Microsoft-Orthoraized-Refurbisherなるシールが貼られており、一度メーカーの出戻りのようで、裏にはWindows7Proのプロダクトキーが二種類貼られている。つくづくユーザーに恵まれてなかったようである。

世代的にはWin7でPCMCIAがあるがSDカードリーダが無いという過渡期の製品で手元のメモリーを足して4GBとしたがHDDが無い。ReadyBoost用に買ったSanDisk-CruzerFitの64GBのUSBメモリがあるので、これにwin10をインストして見る。今回は備忘録的に詳説し、落とし穴について書いておきたい。

さて、USBメモリーやSDカードにWin10をインストする方法は、かつてMSがWindows to goなる仕掛けを発売していた。これはRufusでも作成できることに気づいた。

USBメモリーは短く邪魔にならないSanDisk-CruzerFitがおすすめである。SDカードも使えるが、手元の複数のノートでは、SDカードを挿したUSBアダプターからは起動可能だが、SDカードリーダーから起動不可のものがあった。

このあたりはの設定にメーカーの方針の差があるようだ。SDカードリーダーから起動可能化かどうかはUBUNTU等のインストSDを使って確認しておく。

貴重な空きUSB端子を消費しない点でSDカードが有利だが、使用中は抜けないようにテープで固定しておく。いろいろな宣伝文句にかかわらず、またUSBかSDカードリーダーか、またUSB2.0か3.0かなどの規格に関係なく、実用上の速度差はあまり無いようである

というのは、宣伝される高速性はすべて連続アクセスの場合で、セルの読み書きが劇的に改善したわけではなく、bit幅を広くして一度に大きいキャッシュに読み込んで切り出す原理でカタログ性能を確保しているにすぎない。従って細切れのランダムアクセスでは大量に読み込んだデータの大半は使われず無駄にフラッシュされてしまい、性能が出ない。

なお、USBやSDカードからの起動順序をBIOS/EFIで指定しても、起動時に「...から起動しますか」等の確認時にキーボードを叩かないと、指定されていないHDDから起動してしまう機種がいくつかあった。この場合、SDから起動したのか、既存のHDDから起動したのかわかりにくいので、起動ログイン時のの画像を変えておくと良い。

まずインストイメージはM$純正サイトからMediaCreationTool21HX.exeをダウンロードし、ISOファイルを作成するが、その時に現用システムが32bitか64bitかでバージョンが自動的に選ばれてしまうので、「このPCにおすすめのオプションを使う」のチェックをはずして32bit64bit両用版を選ぶ。

さっそくrufus3.1Xを実行する。

ISOを選び、「イメージオプション」でWindows to goを選ぶ。「パーティション構成」は2T以上のHDDを使っていないときはMBRとBiosまたはUEFIを選ぶのが無難だ。なお「詳細なドライブオプション」は標準のままでよいが、「BIOSでRufusのMBRを作成」を選ぶと余計なドライブが作成されるが、気にしないことだ。なお「詳細なフォーマットオプション」ではクイックフォーマットは消しておいたほうが無難だろう。

「スタート」を押すと、まず32bitか64bitかを選ぶ。通常のインストールサイズは、64bitの場合はBraveブラウザーとRibelOffice等をインストしたところで30GB程度なので、64GBメモリーでも空きが30GBある。画像や動画を編集するには128GBがベターだが、本物のSDDが3000円程度で入手可能なのでコスパが悪くなる。なお、使用頻度が低いアプリは既存のHDDがDドライブとして見えるので、そちらのProgramFilesにインストすればSDの空き容量を確保できる。

というか、既存のHDDにインストされたprogramFilesのアプリも、インスト時にDLL等のインストが無くレジストリーを大きく改変しないアプリはそのまま動作することが多い。

Webmaseterはインストに必要となるドライバー類は通常C:\EthernetなるフォルダーとGoogleDriveに置いているので、D:ドライブとなる既存のHDDからも起動できる。GoogleDriveはSDのスペースを食わないように、「オンライン使用のみ」に指定している。

さあ起動である。予めBIOS/EFIでSDをブート順位の最初に持っていく。HDDをxで消せる機種もあるが、それでもHDDから起動する機種もある。

インスト時には他のUSB等ははずしておき、途中で無用なオプションはすべて遠慮していただく。Webmaseterの場合は、標準的なWindows10の手順として

1)インスト初回起動時に、d:か別のUSBメモリーからまず「ClassicShellSetupXXX.exe」をインストしている。これで左下に「スタート」、スキンをクラシックを指定する。

2)これが起動したら、「コントロールパネル」、「ユーザーアカウント」、「ユーザーアカウト制御」で下端「通知しない」を選ぶ。今後いちいちUACから聞かれなくなる。

3)次にGoogleDriveをインストする。これはEdgeでGoogle検索ページに行き、googleにログインし、GoogleDriveを検索してパソコン用googleDriveをインストする。

4)PC設定を設定するが、敢えてこの段階では「アカウント」設定はローカルアカウントに変更せずM$アカウントのままにしておく。M$アカウントのままだと他のPCの設定の多くが同期するので手間が省ける。

ただし、ローカルアカウントにしていても、M$アカウントは完全に無効にはならず、絶えずあなたのPCをM$にとって有利なように設定を変えようとするので油断は禁物である。

Windowsのさまざまな個人情報の設定はそのPCだけでなくM$アカウント自体の設定となるので、あなたが所有するPCで一台でも設定が甘いPCがあると、知らない間にすべてのPCの設定が甘くなってしまう。

さらに、個人情報やプライバシーの設定はEdgeブラウザーにもあり、ブラウザーの設定が甘いとWindowsやM$の設定も甘く改変されるる。

あとの設定は、

ロケフリSlingBox停止対策開始編その5(M$Edgeで350を使う編)

と重複するのでここでは触れない。

次回はSSD化したSDのベンチマーク等に触れたい。

印象としては、HDDと正式なSSDの中間の性能だが、使い心地はSSDに近く、ランダムアクセスは通常のHDDより5倍から10倍早い。特にCPUの性能が低く64bitでは反応が遅いPCではレスポンスが劇的に改善する。

ベンチマークと実用性能にはかなり乖離がある。いままでのベンチマークがいかに実用に即していないか実感する。

過去Webmasterが力説したきたように、WindowsはDLLの集合体で、ファイルアクセスの負荷が過剰に高い。せっかくロードした巨大なDLLもその一部しか使われないので、複数のDLLにかかわるコードのローカリティーが非常に低く、キャッシュの効果が出にくい。細々としてファイルの断片のロード・アンロードが大多数を占めるため、SSDの効果が高いのである。

肥大が続くOSとアプリでは、コードの読み取りばかり時間がかかり、その後になってやっとユーザーのデータファイルのアクセスが始まる。windowsでは、ユーザーのデーターより肥大化したOSやアプリのほうが偉いのである。

なおSDカードには寿命がある。MLC、TLCとも書き込み回数は数千回とされているが、書き換えには複数のアクセスが発生するので、空き容量が少ないと寿命が短くなる。といっても、正式なSSDも数千回、またメカニカルなHDDも数千回という説があるが、カタログデータに関わらず欠陥モデルも多く、出来不出来も多い。自宅用に購入した富士通のサーバーのHDDが半年で壊れたこともある。

正式なSSDでもばごく小さなデータを読み取るには、その数倍から数百倍のサイズのデータを読み取りキャッシュに保存し、その一部を切り出して出力する。また、ごくごく小さなデータ書き込みでは、書き込み予定の周辺の多くのデータを一旦読み取った後に目的部分を含め書き戻す処理を行っている。

ごく小さなファイルの読み書きでも、かなりの部分の読み書きが発生するので、大容量キャッシュがあっても読み書きの回数が減るわけでもなく、寿命を逆時に短くする可能性もあるが、カタログの転送速度を上げるためにはそうするしか無いのだ。

よってOSやアプリなどは不良になっても構わないが、個人データだけは複数箇所に保存するしかない。今回のSDドライブでも、データーはなるべくHDDとクラウドに記録し、それを大容量HDD2箇所にコピーしている。また自動デフラグ機能は無駄にドライブを消耗させるので止めている。具体的にはドライブのプロパティで、「ツール」、「ドライブの最適化とデフラグ」、「スケジュール化された最適化」をオフにする。

Windowsをしばらく使わないで再度ONすると数時間実用に耐えないほど遅くなる。それは溜まっていたWindowsUpdate、スケジュールされていたデフラグ、Windows SerachおよびIndex採取等が同時に稼働するからである。WebmasterはサービスのWindows Searchは無効にし、ファイルのIndexはすべて消している。

SSDについてはこのサイトは過去他に先んじて超石器時代と称して取り組んできた。それについては、

ゼロスピンドルパソコンはNT族の夢をみるか?のナゾ
ゼロスピンドルパソコンはDMAモードの夢をみるか?のナゾ
ゼロスピンドルパソコンは超石器時代の夢をみるか?のナゾ

等についても参照して欲しい。

過去のトピックを読んで面白いのは、通常のユーザーのオフィスアプリのデータサイズはあまり変わらないのに、windowsやアプリのサイズだけが20倍以上となっていることに気づく。上記のトピで使用したCFは4GBで、winXPsのサイズは1-2GBに過ぎなかった。スマホやタブレットのOSも肥大化が続いているが、それと比べてもwindowsは無駄に肥大化しているのだ。

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続々エアコンのナゾ(騒音振動編)

Webmasterの部屋のエアコンがガリガリと耐え難い騒音を発生するようになった。このエアコンは、

May 9,1997 (Fri.)続エアコンのナゾ(インバーター故障編)

にも登場した30年物で、2台設置したが早々にベアリング不良による騒音と室内機水漏れがあり2回無料で修理された。設置5年後の1997年にはインバーター素子不良で2台とも修理となった。

そのさらに5年後に1台のインバーター素子不良が再発し廃棄処分となった。もう1台が自室にあるが、制御基板にコンデンサの熱風が当たる設計だったので、対策をした所その後20年生き延びてきた。めぐり合わせが悪いのか、我が家に来た目の付け所が良いと宣伝しているS社製エアコンは3台とも固有の設計の問題を抱えていた。

騒音はコンプレッサーか配管が室外機ケースを叩いているような音である。もともと新品時から振動が激しく、帰宅時に門の外から動作がわかるほどだった。意外なことにコンプレッサーの高速運転時でなく、低速回転時にバランス取りが悪いのが露呈して騒音を発生していた。今回はガリガリ音が2,3年前から特に低速時には近所迷惑になりそうな音が出ていた。

今回は更新も考えた。真空ポンプもあるので更新はたいした作業ではないが、過去インバーター素子の交換に6万円近く払ったことを思い出し、更新やむ無しと自分を納得させるためにまず分解してみた。想定ではコンプレッサーのゴム足の破断と思ったので、確認後に廃棄を考えていた。

この室外機の作動音が大き理由はコンプレッサーのバランス以外に、室外機の一部樹脂製筐体の剛性が低いことも原因である。分解し、防音のためのゴム被覆やフェルトを剥ぎ、動作させてると原因部位が判明した。

配管の下部をゴムとタイラップで固定してあるが、タイラップが劣化破断して振動していたのである。常識としては、配管のU字の長さを調整して共鳴しないようにし、さらにマスバランサーとしてブチルゴム塊を適切に配置するのだが、基本的な設計が悪く、また劣化するタイラップに頼ったために起きた不良であろう。

タイラップをつけ直すとともに、配管の曲がりにあるブチルゴム塊の位置をずらして共鳴振動数を変えた。

オレンジで囲んでいるところに穴がありアルミテープで閉鎖したあと、配管の穴はスポンジゴムで遮蔽してある。ここからコンデンサーの熱風が侵入しインバーター素子が不良になったが、この対策でその後20年サバイバルできたのである。まあ手の焼ける製品である。

室外機は断熱材等や筐体を戻し、ファン室とコンプレッサー室を分ける隔壁には室外機前面からドリルビス固定を追加し、この室外機は新品時より振動が小さく、騒音も静かになった。

実は、キャンピングカー後部に室外機を水平に倒して搭載することを考え、室外機の構造を研究したことがある。その結果、コンプレッサーは少々倒してもかまわないが、気液分離器はなるべく垂直に近くする必要があることがわかった。

その時にコンプレッサー周りの配管実装が上手なメーカーと下手なメーカーがあって、騒音や振動の逃し方に技術差があることに気づいた。下手なメーカーではこの個体のように固定具が仕込まれている場合もあったが、それでもタイラップで済ませているのはS社だけで、大抵は金属で固定してある。

この室外機には新品時より足に凹凸インシュレーターをひいていたが、今はその必要が無いほど振動は小さくなった。冷凍機の設計は奥が深いということを再認識した次第である。

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ロケフリSlingBox停止対策開始編その6(現時点のSlingBox軍団とアプリ群)

世間的にはロシアとウクライナ情勢が流動的になっている。驚くべきことは、ロシアの装備が旧式な上に何より統制が古典的かつ官僚的で能力が落ちていることである。

さてWebmasterは今年11月のSlingMedia社サイト閉鎖後にSlingBoxを使い回すために尽力してきたところである。いままで3種類のBOX(SB100、PRO HD、350)と、3種類のローカルアプリ(ver1.4.0.195、ver2.0.4522、ver Desktop5.0.0.83)と5種類のブラウザー(IE1、Edge、Chrome、Brave、Firefox)を使ってみた。

結論として、

1)Slingbox SB100からPRO HDまではローカルアプリslingplayerのver1.4.0.195およびver2.0.4522で自宅ネットワークのWAN側IPアドレスがわかれば公式サイトに依存せず視聴できる。

一番対応が簡単なのは一番古いSlingbox Classic(SB100)で、現時点ではslingplayerのver1.4.0.195(I/Oデータサイトにある)、ver2.0.4522(公開終了だが希望があれば当サイトにアップ予定)、IE11、Edge、Chrome、Brave、FireFoxで視聴できるが、なぜかSlingplayer for Desktop5.0.0.83(SlingMedia社サイトにある)では再生できない場合がある。

次にSlingbox PRO HDはローカルのslingplayerのver1.4.0.195、ver2.0.4522、IE11、Edge、Chrome、Brave、FireFox、Slingplayer for Desktop5.0.0.83のすべてで視聴できるが、セットアップは公式サイトに依存しており、IE11もしくはSlingplayer for Desktop5.0.0.83(不安定)でないとできない。しかし一旦リモコンがセットアップされれば、公式サイトに依存せずに視聴とリモコンが動作する。

セットアップとは、ローカルアプリver1.4.0.195、ver2.0.4522ではID(MACアドレスから自動生成)とパスワード(ユーザーと管理者の2種類をユーザーが設定)とIPアドレスを管理し、またSlingMedia社からHDDレコーダー等のリモコン設定情報をダウンロード設定することを言う。

WebmasterはSB100を追加したいと考えたが入手難であった。そこでネットでPRO HDを落札したが不動だった(と思った)。そこでもう一台PRO HDを落札したらこれは可動であっが、その電源のプラグに機種によって電源アダプターが異なる(容量3A)との注意書きがあった。そこで不動と思ったBoxの電源アダプターを変更したら動作し始めた。

今まで5台のSlingBoxを中古で入手したが(価格はすべて送料より安かった)、どれもセットアップに癖があり、電源アダプターとの相性がある。セット自体は通気性がよく耐久性は米国製品にしては高いレベルにある。しかし、やはりSB100をslingplayerのver1.4.0.195で使うのがレスポンスが良く、チャンネルボタンが下にずらっと並ぶので選局が容易である。

しかしSB100は時に音声が途切れたり選局できなくなることがある。その一つはホコリが通気孔を塞ぐことによる過熱で、セットの屋根の穴のホコリを時々掃除機で除去する必要がある。そこで、寿命を伸ばすためにも通気孔を開けることにした。

虎の子のSB100だけに変造は慎重に行ったが、裏のネジ4個で解体できた。筐体には高い足があり通気はかなり考慮されているものの、屋根の細かい点状の通気孔にホコリがつまり易いのが難点である。

SB100は高速ブロードバンドと相性が悪く、時にハングした。Slingboxに限らず、WiTVも、そしてZOOM等も高速ブロードバンドとの相性が良くない。我が家でも4GHzのWifi経由では100Mbpsに近い速度がでるが動画が途切れがちである。一方30Mbps程度の2.4GHzのWifi経由では安定していたりする。

これは高速ブロードバンドではパケットサイズ設定が過大になりがちなのが原因だと考えている。ストリームの場合はドカン、ドカンと間欠的に長大パケットが届くと動画が途切れがちである。むしろ、低速でも小さなパケットがチョロチョロ途切れなく流れるほうが動画との相性が良い。これについては、以前のVPNでのPINGのデータ

を見てもらうとわかるとおり、pingの最初はなかなかACKが帰ってこないために時間がかかる。その後ネットに複数ある高速化メカニズムが働いて到達時間が短くなるが、その後はむしろ長くなりムラが大きくなる。高速化メカニズムとは、ACKが帰る時間と混雑の具合を勘案して、次第にパケットサイズを大きくして速度を上げる仕掛けである。

しかしパケットが大きくなると、混雑や途中のパケットサイズ変換などでロストしてACKが帰ってこない確率が上がる。その場合は再度パケットサイズを小さくし、そこから再度大きくするが、再三設定がリスタートするとトータルの平均速度が上がらない。

ちょうど、混雑した道ではバスより自転車のほうが早く着くのと同じようなイメージである。TCPoptimizer等の最適化ツールが設定するRWIN値を推奨値から2,3割小さく設定したほうが安定することが多い。

もうひとつの方策は、Windowsのアプリのプロパティーの互換モード設定を、そのアプリが生まれたころのXP-SP2に設定することである。互換モードの細部は公開されていないが、おそらくRWIN等も小さ目に設定されて通信速度を制限する効果があるのでは無いかと思っている。

2)Slingbox 350以降はサイト閉鎖後は使えなくなるのを覚悟しなくてはいけないかも。

350以降は、ユーザーはサイトのID(メールアドレス)とパスワードで所有する複数のslingboxを管理するようになった。ユーザーは個々のslingboxにパスワードを設定する必要は無くなった。

slingplayerのver1.4.0.195、ver2.0.452でも350はディレクトリーに見えるのだが、選択するとパスワードを要求される。それは初期化時(リセットボタンを30秒以上おしてランプが2回ブリンクしたあとに外して数分放置後に、電源を抜いて再度挿す操作)で設定されるパスワード”12345678"ではなく、公式サイトとの通信で自動的に再セットされるようである。

なお、Slingplayer for Desktop5.0.0.83はアプリといっても実際にはIEが起動されるので、サイト閉鎖後はログインできなくなり使えなくなる可能性が高い。

方策としては、サイトから割り当てられるパスワードが分かれば良い(IDはおそらくMACアドレスのまま)が暗号化されているようである。SB100から350にかけてcodecは進化していると思われるが、ブラウザではSB100も350も視聴できることから、codecには互換性が確保されているよう。

3)スマホアプリは使えなくなる可能性がある

現行の例えばAndroid用のアプリver2.13.1、ver2.8.15ともslingmedia社のIDとパスワードを入力するだけで6個すべてのBOXの視聴が可能だが、ローカルアドレスを入力できないので、サイト閉鎖後は視聴できなくなる可能性が高い。rootをとった端末を検索したが、設定ファイルは見当たらなかった。やはり大半を公式サイトに依存しているようである。

今後も350とスマホで視聴する方法の追求は続けるつもりであり、なにか収穫があればまた報告したい

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ロケフリSlingBox停止対策開始編その5(M$Edgeで350を使う編)

さて、不気味なことにM$はInternetExplorer(IE)のサポートを今年6月で廃止するらしい。IEは非常にフレキシブルでActiveX等でいかようにもカスタマイズ可能な反面セキュリティーの穴も多く、長年悪用と対策のいたちごっこが続いていた。セキュリティー関係の設定は長年の穴塞ぎのせいで膨大となっていて魑魅魍魎の域に達している。それをEdgeで整理しようとする作戦であろう。

とは言え、多くの商用パッケージはIEで動作するので、主要なものはEdgeで動くようにする対策が一段落したので、全面的にEdgeに移行させようとする試みであろう。しかしIEでしか動作しないアプリやサイトも多数残っている。

そこで、Webmasterがwin10で行っている個人情報保護の設定と、Edgeを使ったSlingBox接続法を備忘録的に書いておきたい。

その前に、M$は商売の方針を大きく変更し、ソフトウェア会社でなく個人情報を売買する会社に変貌したことを認識しなければならない。基本的にM$はGoogleと同様に個人情報を得るかわりに、Win7以降のユーザーにはWin10やWin11へタダでアップグレードできるようにしている(タダで撒いている)、と考えるべきであろう。

1)Win10の設定時に現れる種々の個人情報にはすべてノーもしくはスキップしておく。以下、少しでも個人情報がM$に流れない算段である。

2)Win10が起動するようになったら、まずアカウントをローカルにする。具体的には「PC設定」、「アカウント」、「ユーザーの情報」でローカルアカウントでのサインインに切り替える。一旦M$のアカウントを要求されるが、Edgeから個人情報が漏れる以前に、Win10から漏れるのを防ぐのである。「職場または学校にアクセスする」設定はすべて消す。

3)「家族とその他のユーザー」で一つ管理者のアカウントを作っておく。その際、「このユーザーのサインイン情報がありません」をクリックしてM$アカウントと紐付させない。

4)当然ながら「PC設定」、「電話」や「共有エクスペリエンス」には入力しない。

5)「PC設定」、「システム」、「通知とアクション」、「通知 アプリやその他の送信者からの通知を取得する」はオフ、下の□もチェックはすべてはずす。基本的に、「あなたがアプリやその他の送信社からの通知を取得する」ということは「M$がアプリやその他の送信社からの通知を取得する」ということでもある。

6))「PC設定」、「システム」、「「マルチタスク」の「タイムラインにおすすめを表示する」はオフとする。あなたがおすすめを見てなにか行動することが全てM$の知る所となるからだ。

7)「PC設定」、「システム」、「リモートデスクトップ」もオフである。あなたのデスクトップの画像からM$は情報を得ることが可能だからだ。

8)次は本丸「PC設定」、「プライバシー」である。「全般 プライバシーオプションの変更」はすべてオフである。

9)「PC設定」、「プライバシー」、「診断&フィードバック」では「◎必須の診断データ」のみにする。「エクスペリエンス診断」や「診断データを表示する」はオフである。これらは情報からパーソナライズされた広告を送りつけるものだからだ。

10)「PC設定」、「プライバシー」、「アクティブティの履歴」ではすべての□をオフである。また「これらのアカウントのアクティビティを表示する」もオフである。基本GoogleやFacebookと同じコンセプトだ。

11)地味だが最も重要な設定が「メッセージング、このデバイスのメッセージングへのアクセスはonになっています」は「変更」をクリックしてオフにする。これはアプリがSMSやMMSの読み取りや送信を行うもので、Winが電話端末になっていない限り不要である。なお、ここで言う「アプリ」は例えば「SMSアプリ」の内容をそれ以外のアプリから読めるという意味である。

11)「連絡先」、「カレンダー」、「電話をかける」、「通話記録」、「メール」、「タスク」、「メッセージング」、「無線」、「他のデバイス」、「バックグランドアプリ」、「アプリの診断」、「ファイルの自動ダウンロード」、「ドキュメント」、「ピクチャ」、「ビデオ」、「ファイルシステム」はすべてオフにする。

これはアプリが必要とした場合にOSが要求してくるので、アプリを確認して許可する。バックグラウンドとは、スリープでも動作するという意味で、常にCPUタイム、メモリー、電池を食う。実際に「バックグランドアプリをオフにすると消費電料を節約できる」とも書いてある。

なお、これらの設定は単にあなたが現用中のPCだけでなく、M$アカウントを使うすべての機器のアクティビティーに適用される。Googleのセキュリティー設定と同じである。

通常は「PC設定」「アカウント」で同期を指定すると同期されるはずだが、一台でもセキュリティー設定が甘い機器があればすべての機器が甘い方向でそれに倣えとなる可能性があるので、個別にオフを確認した上でローカルアカウントに変更すべきである。

12)「PC設定」、「XBOX」関係の設定はゲームしないならすべてオフにする。

13)「PC設定」「検索」も「プライバシー」に次いで重要だ。「アクセス許可と履歴」の「セーフサーチ」はオフとすれば検閲を免れる。「クラウドコンテンツの傑作」、「履歴検索」はオフである。これもこのPCだけの設定と思い込みがちだが、MSアカウントに紐付けされれているすべての機器での設定であることに注意。

14)windowsが遅くなる主役が検索である。そのためにはサービスで検索を止める必要がある。これには旧コントロールパネルに飛ぶ必要があるが、ClassicShellなどをインストしていなければ、「PC設定」、「個人設定」、「テーマ」、「」デスクトップアイコンの設定」で□コンピュータに√をつけて置く。そうすると、デスクトップに常にPCが表示され、これの右クリックで「管理」が選べる。

「サービスとアプリケーション」、「サービス」で「windows Search」を「無効」にしよう。また時間があるときに、エクスプローラーでハードディスクを右クリックし、□このドライブ上のファイルに対し、プロパティだけでなくコンテンツにもインデックスをつけるの√をはずして置こう。

ここまでシェイプアップするとCPUやメモリーの負荷が減って動作が相当機敏になるだろう。次がEdge設定である。

1)Edgeには同期機能があり、M$アカウントにサインインするとブックマークや設定や拡張機能が同期するのは便利である。しかし同期情報は暗号化されずにM$の知るところとなるので、例えばどういう検索をしてどういうサイトを見て買い物するか、ブックマークするかなどの情報はM$にとって商品価値がある。個人的には一通り設定が済んだら同期はオフにしたい。

2)Edgeの右側「...」、「設定」、「既定のブラウザー」をクリック、「Internet Explorer に Microsoft Edge でサイトを開かせる」を「なし」にする。次に「Internet Explorer モードでサイトの再読み込みを許可」を「許可」とし、入力欄に「https://www.slingbox.com」と入力、「追加」をクリック。これでこのサイトに関してはEdgeはIE互換になる。サイトを指定するのは、この指定でセキュリティーが甘くなるからだろう。

3)URL欄に検索するか、直接「https://www.slingbox.com」と入力。クッキー設定を許可し、敢えてEdgeで開くを選ぶ。しかしそう指定してもIE互換のままらしい。

4)「Watch」をクリック。国別で「JAPAN」をクリック。アカウントとパスワードを入力、ログインをクリック。

5)宣伝が出るので「次へ」を2回クリック、「いつでもどこへでも自分のTVを持ち出そう」の右上でslingboxを選ぶと、しばし待つ。

6))1分ほどたって、「slingplayer for web」をインストしろと出るので、クリックして選ぶ。これ以後ゆっくり画面が遷移するので我慢して待つ。そうすると、Web窓では無くアプリであるslingplayer for webが立ち上がり視聴できる。

もう一つ、発見があった。公式ページにある、SlingplayerDesktop-5.0.0.83.exeだが、これはSlingBoxのMシリーズ以降でしか使えないということになっていて、実際動作しなかった。

しかし、IEで視聴する際にインストールされるWBSP_IE_Setup.exe and/or ChromeやFirefoxで視聴する際にインストールされるSlingplayerForWeb.exeがあると、Slingbox350でも使えるようになる。

このアプリを起動すると最初にIDとパスワード入力があるが、その後一度「エラー」となるが、そこで「再試行」をクリックするとSlingbox350のリストが表示される。

そこで「接続」をクリックすると、

が表示される。この場合はブラウザーは介していないように見え、ここでルーターのWAN側を外しても視聴可能だしリモコン操作も可能である。ようするに、いったん視聴が始まるとslingboxのサイトは関係無くなるようだ。広告にも全く変化が無い。ここで一度アプリを終了する。

次にWAN側をはずしたまま起動すると一度「エラー」となるが、そこで「再試行」をクリックするとslingboxのリストが出る。しかしそこで「接続」をクリックすると、ルーターからエラーが表示されて止まった。そこでWAN側を接続すると、「http://newwatch.slingbox.com/?ticket=xxxx..........xxxxprod」なるブラウザーのページが表示された後にSlingplayerForWebで動画が視聴できる。

残念ながらこの時点でslingboxサイトからBoxのIPアドレスやId、パスワード、広告ソースがSlingplayerForWebに伝達されるようである。また、画面に広告が表示されるが、そのソースもサイトから指定されるのだろう。

そこで、上記ブラウザーを保存し、スタンドアローンでブラウザーを稼働させると、SlingplayerForWebで動画が再生される。リモコンも効く。ということは上記ページが必要な情報をすべて持っていることになる。ここでルーターのWAN側を抜いても再生は続く。

それでは、WAN側を抜いたまま視聴を終了し、再度保存したブラウザーを起動させたらどうなるか?残念ながら動画は再生されずストリーム待ちのままとなった。再度WAN側を接続すると視聴が始まる。つまりこのあたりでサイトから引数を持ってSlingplayerForWebが起動されるというところまでわかった。

というわけで、完全にローカルだけの環境でSlingbox350を動かすには至っていない

というわけで、現状ではslingboxのClassic(HB100)では、slinplayerのver1かver2では、自家ネットワーク内からはBoxのIPを、リモートからは自家ネットワークのWAN側IPを直接指定すれば視聴できることはわかっている。しかし350からはその方法では稼働できない。

どうしてslingmediaがそういう仕様に変更したかは定かでないが、一つには広告で利潤を上げることを考えたのではないかと思う。というのは、現状ではさほど高価でも無いハードを売ったときの利潤しかなく、その後は一切収入が無いからである。記憶が定かでないが、HB100のころからIEでも視聴することは可能だったが、その当時は広告は無かったような気がする。

slingmediaのサイトが停止するのはNovember 9, 2022とのことで、あと8ヶ月は350は稼働するのだが、それにしても世界中の膨大な数の顧客を残したまま商売を閉じるというのが日本人的には納得が行かないところである。個人的にはPayPal課金とかでサービスを維持することは理論的には可能だと思うし、課金システムを構築することもさほど難しくないと思うが、十分に配当を払えない会社は潰してしまえ、という米国的資本主義の厳しさを痛感する次第である。

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車用サブウーハーTS-WX11Aのブーミーな音のナゾ(基礎と解決編)

WebmasterのプリウスにはP社のサブウーハーTS-WX11Aを積んでいる。カーオーディオで低音を出すには補強と消音材の追加が定番であるが、そうすると重くなるし加工も面倒くさい。それなら最小の加工だけにして低音はサブウーハーにまかせてしまったほうが簡単ではないか、と思って購入設置した。

確かに低音は十分すぎるほど出るが、音がブーブーボンボンという感じで、なんとなく青空でなく曇天な印象なのだ。高級なスピーカーではドンドンにふわ〜と空気の圧力を感じるのとは随分違う。聴感的にはQoが高すぎてダンピングが悪く、音像が不明瞭な雰囲気である。工学的に言えば、過渡特性が悪く振動が遅れて始まり長く減衰しないのである。

原理的に、小容量のスピーカーで低音を出す方法にはバスレフ式とアコースティックサスペンション式の2種類ある。

まずバスレフ式はスピーカーの裏から出た音をポートで共鳴させ、位相が反転した音を出して低音を補強するものであり、100年の歴史がある。音圧が穴から逃げるので、壁が薄く密閉度がいい加減で小さめの箱でも結構低音が出るのでコスパが良い。ただしブーミーなダンピングが弱い音になりがちなので、手練手管でQoを0.6から0.7あたり下げるのが腕の見せどころである。

市販品の安物には殆ど吸音材が入っていない、というか、かなりの高級品まで消音材が少なすぎである。Webmasterはふんわりとしたポリエステル綿をバスレフ穴から補充してダンピングの改善と中音の抜け防止として使っている。高級品でも本当にヒアリングして作ったのか?と思うほどダンピングの悪いバスレフ式スピーカーは多い。

もう一つはアコースティックエアサスペンション式と呼ばれる密閉箱の一種である。箱の中の空気がバネとして働くので、ユニットはダンパーを弱く、また空気圧でペコペコしないように厚く重いコーンを使うことでfoとQoを下げるが、それでも十分な低音を出すにはバスレフ式より大きな箱が必要というのが常識だった。

その常識をひっくり返したのがアコースティックリサーチ(AR)社のブックシェルフスピーカーだった。それは極端にダンパーを柔らかくコーンを重くしてfoを下げたユニットを吸音材をパンパンに詰め込んだ小さめの箱に詰めて、設置は本棚にきっちり詰め込むというものだ。これにより小さな箱でも低音が出るのである。

消音材をパンパンに詰め込むのは、内部の空気圧変動を吸収させて見かけの空気ばね成分を弱くすることでfoを下げるとともにダンピングを改善するためである。コーンが重くなると能率が下がり中高音が出にくくなるが、それにはやはり能率が低いが指向特性の良いドーム型のスコーカーやツイーターと組み合わせる。

全般的に能率がものすごく低いシステムになるが、半導体の進歩で大出力が簡単に得られるようになったこともプラスに働いた。システムを本棚に埋めるのは、見かけのバッフルを拡大し能率と低音を稼ぐためである。従って、最近良く行われるように空中にスタンドで支持する方法は原則的に想定されていなかった

音質的には今ひとつスッキリしない音なのは、吸音材を詰め込み過ぎでオーバーダンピングになっているからだと思う。本家アコースティックリサーチの模倣品は我が国でも多数出現し、中でもビクターのSX-3はベストセラーになった。一方訳のわからない設計のスピーカーも登場した。その代表がヤマハのNS-10で、

□Sept. 9:NS-10Mの不思議な変造のナゾ
□Sept. 2:NS-10Mの不思議な音のナゾ

にも書いたように、まずウーハーのコーン紙が軽く強度が不足で密閉箱の音圧に負けていてfoも高すぎる。このため低音が全く出ないわりにツイーターがうるさいというバランスの悪いもので、これが良く聞こえる人はあまり耳が良くないのかも知れない。

それを改善するには、コーン紙に木工用ボンドを塗って剛性と重量を増加させ、また吸音材を効果的に配置して箱の空気ばね効果を緩和させる方法がある。幸い箱はヤマハの高い木工技術で丈夫にできている。しかしそうしなかったのは、能率が低下してツイーターとのバランスがさらに悪くなるからである。

上のトピックで書いたように、Webmasterは裏の端子盤を浮かしてスリットを作り、多めの吸音材は少し減らした。有効長32cmx幅0.4cmと長く細いスリットでバスレフに制動をかけるとともに、等価ダクト長2.2cmで共振を計算上約70Hzとした。極端に細く長いスリットの共鳴ピークはブロードであり、適切なQoとなだらかな肩を持つF特性になった。

絞ったバスレフ穴で問題になる気流雑音はスピーカーの裏面にあるので聞こえて来ない。バスレフの効き目はスペーサーとネジの締め加減で調節可能である。さらにウーハー用のネットワークを無効化して効率も改善させた。

おかげで、この山本式バスレフ変造法はまたたく間に日本中に広がったようで、NS-10Mの神格化された設計が実はポンコツであることが露呈したと思っている。それでも、元々軽めのバスレフとして最適化設計されているBOSE201やコントロール1に比べてどうしても満足の行く音とはならなかったので処分した。なお後継モデルのNS-10MTは設計が下手くそなバスレフになっている。それはバスレフポートがウーハーに近すぎなので音抜けが多いと思われる。

さてTS-WX11Aに戻るが、我が国の音響メーカーナンバーワンのパイオニア製なので高度に最適化されているに違いなく、手を入れる気になれず我慢していたが、ある時ネットでこのシリーズの内部写真を見てしまったのだ。なんとシケた吸音材がお飾りに入っているだけで、アコースティックサスペンションの公式に反している

基本的にこのサブウーハーはアコースティックサスペンション式で、丈夫なエンクロージャーとガスケットで空気の漏れを防いでいる。コーンはアルミ製で丈夫で重量のあるものとし、マグネットも強力でトータルとして60-70Hzのfoとしている。しかし強い空気ばね効果と重い振動系のためにダンピングが悪くなっているようだ。

分解方法についてはネットを検索したところ、純正TS-wx11aサービスマニュアルを入手できた。回路図ものっているが、面白いのはリモコンが電圧制御になっていることで、車載品に多い方法である。回路は堅実で左右とも差動入力でゲインやLPFはトランスコンダクタアンプの電流制御となっていて、簡潔な回路で済ませているK社や、D級アンプをディスクリートで組みながら随所に素人臭さが残るA社とは対照的である。分解時の注意点は、密閉用のガスケットを丁寧に扱うことで、これが伸びて切れたりすると密閉度が下がってしまう。長さについては調節する穴がある。

今回はポリエステル綿をほぐして密度を薄くふんわりと全体的に一様に入れている。堅く巻かれたままだと内部に気流が侵入しにくく効果が弱くなる。定在波を防ぐ意味からも壁ではなく中央の振幅が大きい部分にふんわりと雲が浮いているように入れるのが効果的である。あくまで音圧が隅々に届く途中で繊維との空気抵抗でエネルギーをロスさせて空気ばね効果を緩和し、低音音量とダンピングを両立させるイメージである。

写真左のマグネットの左右が元から入っていた吸音材である。それに比べ、今回追加したものは雲のような密度である。ユニットの下半分は厚いアルミダイキャスト製でアンプの放熱が良くあまり温度が上昇しないので、その周辺は吸音材を少なめとした。

箱の内容積が限られている場合は特に目一杯ぎゅうぎゅうに吸音材を詰めれば良いというものでは無い。個人的にはアコースティックリサーチ社のオリジナルが吸音材がパンパンに詰まっていたので、模倣品の多くはそれに習って吸音材を入れ過ぎで、オーバーダンピングだと思っている。そのせいで、低音は出るものの曇天のような音である。吸音材は気流に対する空気抵抗で効果が出るもので、気流の乏しい部分にぎゅうぎゅう詰めにしても箱容量をロスするだけである。

丁寧にガスケットを整復し、ネジを締めて視聴である。

吸音変造の効果は明らかで、音量を上げても不自然な感じはせず、スカっとした明るい雰囲気となった。特に、男性アナウンサーの声が不必要に響かないので、ボリュームはノッチ1つ上げて常用できる。Webmasterは低音の評価として、男性の声の聞きやすさを評価の一つに使っている。まあ人間の声が明瞭に聞き取りにくいスピーカーは例え数千万円しても落第なのではないか。

というわけで、例え一流音響メーカーの製品でも理想的に製造されているかはわからない。ダイソーのパンヤ100円を雲のように薄く入れただけでこれほど音が変わるというのはちょとした驚きだ。おそらく、当初の試作品には吸音材はもう少し端まで入っていたのが、量産化過程での「まるめ」で堅く貧弱なものに変わったまま長々とシリーズが製造されているのでは無いかと思っている。ベストセラーでアンプがD級になるなどの改良は続いているが、ヒアリング評価は”どうせ騒音が多く特性が凸凹の車内用だし、若者は低音の音量さえあれば満足するのでは”、とおざなりにされてきたのえはないだろうか。。

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止まる時計と不思議なカケラのナゾ

それは少し前のことである。Webmasterの職場の壁時計が止まるようになった。電池を交換してもまたすぐ止まるのである。

それは針がステップではなく滑らかに動くやつで、定価は少し高めのようである。ものは、とある女医さんが寄付されたもので、Gなんとかで有名な一流?メーカーの製品である。

基本的にステップ運針はクオーツの中でもトルクは高めだが、滑らかに動くやつはトルクが弱いらしい。おそらくホコリか切子が挟まって止まるのだろうと思った。基本的にナイロンでできた歯車は低速で動くかぎり自己潤滑性が高いので油は要さないことになっている。

この手の壁時計の場合は、前面のガラスをはずし、針をとってムーブメントを取り出すところから始まる。そしてムーブメントを分解するのだが、その時に変なカケラが机の上にあった。

Webmasterはおそらく蓋を外すときに部品のどこかが折れたのかと思った。まあ一流メーカー品で数年たっていて止まるとすれば通常は修理せずに廃棄されるものだから、Webmasterが部品を破損させたのなら自分で買って寄付するか、と思った。

カケラは帯状のもので、ムーブのどこをみても折れた形跡が無い。分解は職場で行ったので、自宅のように妙な部品が転がっていることもないから、由来が不明である。

中の歯車類には汚れが無く、軽くブラッシングして組み込んだ。すると針は滑らかに動き出したので治ったのかも、と思った、のだが。

10分ほどして時計を見ると止まっている。とすれば、回転子の磁石が弱くなったのか、あるいはまだ歯車にホコリが残っているのだろうか。再度丁寧に歯車類を清掃して再度組むとまた動き出した。

しかし、裏蓋を強く抑えると(時計学的には裏が表だが)止まるでは無いか。どうやらアガキ(クリアランス)がきつめのようである。そこで、分解のときに発見した由来不明の帯状のカケラを蓋の上辺(紙が挟んであるあたり)に挟むと滑らかに動くではないか!

とすれば、アガキの設計の問題なのか、あるいは射出成形時の歪(ヒケ)によるものか、とにかく最初から止まりやすい時計だったのではないかという疑いが出てくる。それが経年変化で回転子の磁石が弱くなり止まるようになったのではないか、とも考えた。

しかし、である。確かに分解後に机でこのカケラは発見された。しかし、Webmasterはそれが時計から出てきたもので、もともと挟まっていたと言い切れる確証も自信は無い。しかし、そのまま組むと時計は止まり、それを挟むと快調に動くことは確かである。

工業製品という観点からみると、ピアノとかではアクションの微細な調節のために部品に紙を貼ることがある。例えば、ハンマーのシャンクフランジという部品がある。説明図はJMG社のグランドピアノアクション図と部品名称を参照してほしいが、これの42番である。

これは弦を叩くハンマーの蝶番の部品で、アクションレールにネジ止めされるのだが、基本的には木製(ABS製ものものある)で、蝶番は金属ピンをフェルトで巻いたものである。そこから先にハンマーを付けた長いシャンクという柄が丁番を経て上下に回転するが、ハンマーとシャンクの接着や部品と湿度等で微妙な狂いが発生することがある。ハンマーが僅かに斜めに回転したり、あるいシャンクが僅かにねじれていたりすると、ハンマーが正しく弦(2本もしくは3本)の中心を叩かないことになる。

これを治すのに、フランジをアクションに止める部分に紙を貼るのである。またシャンクのねじれは古くはアルコールランプ、最近は電熱製の部品で挟んで治すのである。現在のアクション部品はすべてがミクロン単位でNC加工されているが、所詮は木製なので温度や湿度で僅かに変形するのである。他にも鍵盤の高さを揃えるために、レーザーでスキャンしたデータに応じてフロントペーパーパンチング(109番)という薄い紙の厚みと枚数で調節する。

おそらく日本製ピアノのアクション部品の精度は、世界の一流品と呼ばれるレンナー社を凌ぐ精度があると思われるが、それでも紙でクリアランスを調節するのだ。車のエンジンでもベアリングやバルブ、ギア類で僅かなサイズの違いで部品やシムを4−5クラスにわけてクリアランスを合わせることは当たり前のように行われている。

その伝からすれば、工業製品である壁時計のアガキをカケラで調節するのは何ら問題無いとも言えるが、あの芸術的な設計と精度で組まれていて世界的に絶大な人気のあるGなんとかを製造するメーカーがこういうことをするはずもなく、Webmasterの単なる錯覚?誤認?なのかも知れない。

というわけで、カケラをはさんだ時計は現在も快調に動作している。まあ、信じるか、信じないかは別として、もしあなたの壁時計が止まるようなら、蓋になにか挟んでみるのも良いかしれない。

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ロケフリSlingBox停止対策開始編その4(SlingBoxSB100と350ペア)

前回までのシリーズで、SlingBoxSB100(Slingbox Classic )とProHDについてはSlingBoxのサイトが廃止されてもSlinbPlayerのver1,ver2ではダイレクトにルーターのWAN側IPアドレスを入力することで視聴できることがわかった。

現状はPCとAndroid系のスマホ、タブレットから視聴でき、画質も640x480まで使えるので不満は無いが、不安なのは12年以上前のSB100がいつまで持つかだ。オークションでもクラシックの出物は少なく、大半は350で1000円前後で多数出品されている。

そこで、1台落札して初期化後にPC用アプリSlingplayer ver.1.4.0.195(Copyright2004-2006)を動作したところ、リストに見えるが初期化に失敗した。手持ちのSlingPlayer ver2の二種類でも初期化できないので故障かと思い、再度落札したが同じ状態である。アプリの問題だと気付いたときにはすでに3台目を落札していた。

結局、この世代はアプリは廃止され、SlingBoxサイトで初期化するように変更されたことが解った。以前のように個々のBoxにパスワードを設定するのではなく、ユーザー毎のIDとパスワードで複数のBOXを一括管理するようになったのだ(内部的にはサイトとBoxの間で、MacアドレスによるIDと、ユーザーに非公開のパスワードで紐付けされている)。これで3台とも稼働状態になったが、これだとサイトが廃止後に動くかどうかわからない。

3台とも格安(送料より安い)で入手したもので、上に載っている代物はWiFiを100BASE-Tに変換する小物で、WiFiルーターから離れたところで100BASE-Tのネットワーク機器を複数使うときには便利である。

なお、ChromeやFireFoxでは初期化は不能で、InternetExplore(win10ではIEver11相当)のみで初期化可能である。Win10にも残っているIEはWindowsの深部までカスタマイズできる一方、セキュリティーの面で穴が多く攻撃に弱いのが欠点である。度重なるアップデートで現状のIEver11はかなり頑丈にはなったが、M$はChromeベースのEdgeに乗り換えろとしつこく言ってくる。しかし多くの業務用アプリがIEを必要とするので、いまだIEが搭載されている。

初期化には、IEで起動されるAX(ActiveXという配布用DLL)が必要だが、高いカスタム能力を持つAXはセキュリティー上の穴にもなるので、現時点では簡単にインストできないようになっている。一旦IEによる初期化が済めば、ChromeやBrave、FireFoxでも視聴は可能になる。

このためIEへのインストには若干のコツがあり、説明書にもサイトにも書いてないことも多いので、3台に数回インストした経験からの近道を備忘録的に書いておく

1)Boxを初期化する。まず電源以外何も繋がない状態で、リセットを押たまま保持すると、数秒後にネットワークランプが1回、30秒後くらい2回ブリンクするのでリセットを離す。その後初期化でいろいろランプが点灯するが3分ほど放置する。
2)一旦電源を抜いて10秒待つ(これはどこにも書いてない)。その後に100BASE-Tと入力(コンポジットと左右音声のRCA)を挿したあとに電源を挿す。この状態で2,3分放置するとDHCPでIPアドレスが定まり、入力をスキャンしてコンポジットが指定される。

3)次にPCでIEを起動する(windowsアクセサリーのところにある)。いろいろEdgeに乗り換えろとの宣伝や警告がたびたび出るが一切無視する。
4)歯車メニューからインターネットオプションに入り、AXをインストのために、インターネットセキュリティーを「中」とローカルイントラネットを「低」にし、保護の□のチェックをはずした後にIEを再起動する(これも書いてない)。一旦初期化が終わればセキュリティー設定を元に戻すことをわすれずに。
5)IEでGoogleでslingboxで検索し「www.sling.box」を選びアクセスする。URLに直接アドレスを入れると蹴られる。AXを配布するwww.slingbox.comは灰色サイトと判断されていて直接アクセスできないようだ。
6)クッキーにOKを押しその後、「Watch」を押すとしばらく初期化に時間がかかった後に国を選ぶ画面が出る。出なければIEのセキュリティー設定を確認し再起動後に再度トライする。
7)国でJapanを選ぶとしばらく初期化に時間がかかり、次にID(メアド)とパスワード画面で入力しログインを押す(アカウントが無ければ新規で作る)
6)Slingboxプラグインをインストールしますと出るのでダウンロードをクリックし、下に出るダイアローグで実行を選ぶ。途中でNEXTを数回押す。一度自動的にIEを閉じると警告されるのでYesを押し、その後もYesとNextを数回押す。エラーが出ても繰り返しYesかNextを押す。最後にCloseを選びIEが再起動すれば成功だ。

ここで初期化が終了で、SlingBoxが登録されてサイトの管理下に入ったことになる。M$がAXをインストさせまいとする邪魔と、IEを諦めてEdgeを使えという邪魔がしつこいが、すべて無視して敢行する勇気?が必要だ。なぜかwww.sling.comはインストが成功後は直接URL欄に入力できるようになる。

個々のSlingbox設定

1)引き続き、「次へ」「続く」を押すと、「Slingboxを一覧から選択してください」が出る。複数Boxがあってもこの時点では名称で区別がつかないので、不要なBoxは電源を抜いておくのが良い。
2)設定画面に移行するので、まず国を入力、次に赤外線リモコンする機種を選ぶで、上の「選択」をクリックし、DVDレコーダー、メーカー、機種を入力する。目的の型番がなければ、同じ世代で表示されるリモコンが似たものを選び、動作するか確認すればよい。Webmasterの場合はシャープのBD-S560だったが、BD-HDS43ですべてのボタンが正しく作動した。
3)ここで、IEのセキュリティーを元に戻しておく
4)IEによる初期化が成功していれば、あとはFireFoxでもChromeでもBraveでも使用可能である。www.slingbox.comにアクセスすると、「SlingplayerForWebInstaller.exe」のインスト指示がでる。その後ID、パスワード等を入力すると、Boxを選びリモコンを設定できるようになる。

設定が完成の暁には、図の夢のような画面である。右のSB100はCATVを、左の350はDVDレコーダーの録画一覧をしめしている。リモコンが実機同様に動くので家にいるかのように操作できる。なお、ブラウザーからはSB100と350のどちらも視聴できるが、古いアプリからはSB100だけ視聴できる。ブラウザーのアプリからはスライダー操作で直前のものを再度視聴できる一方、古い右のアプリではチャンネルボタンが下部に並んでいて便利である。

さて、問題は350が初期化と管理を公式サイトに依存していることだ。正確には初期化と設定についてはIEにインストしたAXが、Boxの設定と管理は「WBSP_IE_Setup.exe」が行い、ブラウザーは窓を提供するだけである。一旦視聴が始まったら自宅のBoxからユーザーに直接画像を送ってくるのであり、サイトはあくまでもBoxのIP追跡と登録を行うだけである。

というわけで、サイトを経由せずに350を見る仕掛けを調査中だが、一つ目の鍵はブラウザーで「Watch」および「設定」が見えている画面で「設定」、「高度な設定」をクリックすると、

とネットワーク内にあるBoxのみを選べるようになる。自宅ネットワーク内からBoxのリストを出して視聴できることは確認できたが、SlingMediaのサイトが廃止になった場合にどうやってIDやパスワードを要するこの画面を出すか、現在模索しているところである。現状ではSmartEtherVPNがあれば、モバイルであっても自宅ネットワーク内にいるような操作は可能である。

二番目の鍵が現在配布されているアプリの「SlingplayerDesktop-5.0.0.83.exe」である。このアプリは現状ではSlingbox350をサポートしておらず、初期化や視聴する能力が無いはずだが、なぜかリストに350が見える場合がある。しかし見えない場合もあるので、その理由を現在調査中である。

というわけで、個人的には古いSlingBoxクラシック(SB100)を入手したいところである。画質はより新しいCodecを持つ機種より若干劣るが、マニュアルで640x480を選べばさほど変わらない画質が得られる。古いアプリはチャンネルボタンが並んでいて操作性はもっとも良い。

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その3(IPアドレス変更通知アプリ編)

さて今回は決定版といえるIPアドレス変更通知アプリを使う方法である。

この方法は現在管理サーバーが廃止されているWiTVを接続のために使っていた方法だが、slingplayer ver.1.4.0.195でも簡単に使えることに気付いた。気付いたって、遅すぎ?だが、WiTVを動作させるのに必死でSlingPlayerは試していなかったのである。

図の通りslingplayerの接続メニューをよくよく読むと、

「ダイレクト接続 □リモート接続に関して、Slingbox Finderの代わりにドメイン名またはIPアドレスを使います(上級者向け)」と書いてある。個人的にはこれはプライベートネットワーク内で使うものだと思いこんでいたが、よくよく読むと「リモート接続に関して」と書いてある。ということは、自宅にあるSlingBoxが接続されているプライベートネットワークのグローバル(WAN側)IPが分れば繋がるのかも知れない。

そこで、WAN側IPを調べ、PCをモバイルルーターに接続し、それをダイレクト接続欄に入力すると接続されて視聴できた。なんだ、えらく簡単じゃないか!

問題は、出先から自宅ネットワークのWAN側IPを知るのは難しいが、LAN側からは知ることができる。SlingBoxやWiTVは自宅ネットワーク内から絶えずWAN側IPを管理サーバーにブロードキャストしている。これらのアプリは単に管理サーバーから自宅のWAN側IPを知りBOXに繋ぐだけである。だから、WAN側アドレスがわかればいいのだ。

モバイル環境からWAN側IPを知るには便利なAndroidアプリがあり、スマホを自宅ネットワークにWiFi接続して起動するとWAN側IPを指定先にメールしてくれて、さらにIPが変化する度にメールで知らせてくれる。iPhoneにもそういうアプリはあるのかも知れない。

その前に周りくどいが、自宅のVPNサーバーが正しく動作してるかチェックのために接続し、ルーターのWAN側アドレスを調べてみる。現状ではSoftEtherVPNが一番電気を食わないAtom330で稼働しているので、これにモバイルのWin10パソコンから接続する。

クライアントの設定は前述のようにコンパネ下にある「ネットワークと共有センター」から「新しい職場への接続」を選び、IDとパスワード設定は「PC設定」のVPN設定から行う。こうした方がドライバー等が正しく設定されるようである。

接続されたらブラウザーでルーター(この場合192.168.10.1を指定、それぞれのネットワークで異なる)にログオンしWAN側アドレスを表示させた図である。これをSlingPlayerのディレクトリー設定のプロパティの編集のダイレクト接続欄に記入し、□にチェックを入れると接続された。

なお、SlingPlayerのPC用(Mac用アプリも)IODATAのSB100のサイトにあるver1.4.0.195(SlingPlayerPC1.4.0.195Setup-JP.exe)を使用している。なお、PC用Slingplayerのver2もあるがver2.0.4.522以外はサイズが大きく、すでに閉鎖された公式サイトの助けが無いと設定できない上に、一発でチャンネルを選ぶボタンが無いなど不備で全く使えない。

ただしver1.4.0.195ではSlingBox350のセットアップは出来ずver2.0.4.522か、あるいはInternetExploreからしかセットアップできない。このあたりが複雑なところである。

Android(Fire用と記載されている)のアプリは日米のAmazonストアに無料である。なお本家にあるSlingPlayer for DesktopはslingBoxのMシリーズ以外には使えないのでご注意を。iPhone用は試したことが無いのでご自分で探してみてほしい。

前述しているが、WiTVもいくつか条件の上に(自宅で一度接続してwizardでMACを要求しない状態にして持ち出してIPを入力すれば一度は動作する)、アプリが終了すると設定がすべてクリアされるのでお勧めできない。アプリも不安定で異常終了の頻度が多い。

さてWAN側IPアドレスを教えてくれるAndroidアプリとしてはサムソフトの「IPアドレス変更通知」がある。しかし、Androidのスリープのバグのためバックグラウンドで動作しないバージョン(ver8)があるようだ。自宅に転がっている電池が死んでいて充電不能だが起動する型遅れスマホを電源につなぎ、「電源に接続されている間はスリープしない」設定をONにすればよい。

Windows版もあるが、レジストリを含め設定がいくつか必要である。それ以外にもwifiのプロパティーでスリープで省電源設定で目覚めない機種もある。いくらAtomが省電力でもシステム全体では20-30W食うので、廃用スマホを使う方がエコであろう。なお、特定のアプリを推薦するものではなく情報を提供するもので当方は責任をとれないが、サムソフトさんには感謝している。

というわけで、廃用スマホを使ってWAN側IPアドレスを使うのが一番簡単だと思うが、VPN接続についてはITリテラシーの維持とボケ防止だけでなく種々の使い道があるので、一度はトライをお勧めする。

ところで、WAN側のIPアドレスは殆ど変わらないようだ。PCやタブレット、スマホ以外に、SlingboxやWiTV、太陽光発電のデーターやAmazonのFireスピーカー等が間欠的にブロードキャストしているので同じIPアドレスが維持されるようである。従って、よほど長時間の停電でも無い限り、「IPアドレス変更通知」の出番はあまり無い雰囲気である。

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ロケフリSlingBox停止対策開始編その2(SoftEtherVPN編)

さて、本編のSoftEtherVPNによるSlingBox接続を説明したい。その前になぜVPN接続を試すか簡単に説明したい。

slingboxには二種類あり、直接slingboxのIPアドレス(家内ネットワークのルーターのWAN側アドレス)とパスワードを指定すれば、slingmedia社のサーバーに依存せずに使えるハード(slingbox-SB100とProHD)と、サーバーにパスワード設定等を依存するハード(350、M1等)の2種類がある。ただし、いずれもVTRやチューナーの操作用の設定ファイルを得るためには最初だけサーバーに接続する必要がある。

slingboxのクライアントアプリにも、slingmedia社のサーバーに依存しないもの(ver1とver2の一部ver2.0.4.522)と依存するもの(SlingPlayerDesktopとブラウザーから試聴するプラグインやAX)がある。

クライアントアプリのver1ないしver2の1部でSB100もしくはProHDを試聴する場合、slingboxと同一ネットワーク内にある場合、もしくは家内ネットワークのルーターのWAN側IPアドレスを指定すれば試聴できる。一方、slingmedia社のサーバーに依存するアプリとハードの場合は、サーバーが消滅すれば使えなくなる可能性が高い。

その対策として、リモートからVPNで自宅のネットワークに接続してしまえば必ず視聴できるので、VPNネットワークを時前で構築しよう、というのがこのトピの骨子である。まあ、それは絶対に必要では無く次のトピで他の方法も紹介するが、技術的な勉強のためである。

さてVPNの詳細についてはネットで調べていただくとして、VPNでは通常のパケットが暗号化された別の入れ物に入れて運ばれる。サーバーにつくとそれが通常のパケットに戻されるが、それまで入れ物の内容は読むことが困難である。しかし、SoftVPNでは通常のブラウザー等で使われるパケットに似た入れ物をつかっているので、通常ルーターやファイヤーウォールを通過することができる。

そのため、SoftVPNサーバーは自宅でも職場でもLANに自由に設置できるが、そのアドレスはローカルであってグローバルではないのでWAN側からは簡単には到達できない。それを仲介するのがAzureシステムである。これはちょうどSkypeやZoomがローカルなアドレスから使えるようにするための仲介サーバーがあるのと同じである。

その前に、巷にある多くのサイトやYoutubeのSoftEtherVPNの解説の通りやっても、今どきのユーザーのネット環境では繋がらない!

それは、今時は家庭のPCは殆どがwifiと自宅ルーター経由でネット接続しているが、NAT設定しないと繋がらないということである。 信頼性不明のネット情報に頼るまえに、一次情報源である、筑波大学SoftEtherVPNサイトからアプリをダウンロードし、共同事業者のVPN Azureサービスの解説通りにインストすることだ。

個人的にはネット情報を見てインストしたが接続できなかった。一晩かかってNAT設定にするという解決策を見つけたが、VPN Azureサービスに書いてあることに気付いて脱力した。クライアント(win10)の設定にも落とし穴があるので最後まで読んで欲しい。夜中の数時間をロスしたWebmasterと同じ轍を踏まないように、である。

一旦VPNが繋がればいろいろ可能になる。例えばどこでも自宅の書斎と同じ環境になるからだ。苦労はあるがそれなりに果実は大きい

インストだが、筑波大学のSoftEtherVPNサイトからダウンロードするが、UNIX界の常識として、最新版より少し前のバージョン(できれば前バージョンの最終版あたり)を勧めたいが、時期的には(SoftEther VPN Server and VPN Bridge (Ver 4.29, Build 9680, rtmあたり)が無難だろう。

最近の改変は複雑化したネットトポロジーへ対策が主なので、一般ユーザーにはあまり関係ない。SoftEtherVPNはHTTPプロトコールと古くからWindowsに実装されているVPNサービスを使うので、対応も幅広い。

(Windows 98 / 98 SE / ME / NT 4.0 SP6a / 2000 SP4 / XP SP2, SP3 / Vista SP1, SP2 / 7 SP1 / 8 / 8.1 / 10 / Server 2003 SP2 / Server 2008 SP1, SP2 / Hyper-V Server 2008 / Server 2008 R2 SP1 / Hyper-V Server 2008 R2 / Server 2012 / Hyper-V Server 2012 / Server 2012 R2 / Hyper-V Server 2012 R2 / Server 2016 / Server 2019)

とwin98以降の全てと、相当古いPCでも使えるのがミソである。といっても安定度とセキュリティーからは

WindowsXPは2019年までの寿命を全うしたか?(XP改は2019年までサポートされていた編)

最低限、WinXPをPOS仕様にして2019年までアップデートしたものにAVASTを載せたものより新しいものが安心だろう。

インストの詳細はVPN Azure サービスの左側に書いてあるが、UNIX界の常識に反して初心者が迷いそうな点(たとえばAzureサーバーの指定方法)も懇切丁寧に書いてある。なかでも、

1)基本的になるべく管理者権限でインストする。具体的にはインストールするファイルを右クリックして”管理者として実行”を選ぶことである。Vista以降は\ProgramFilesに設定を書き込む権限が必要となったからである。これについては、

「もしあなたが Windows のシステム管理者権限 (Administrators 権限) をお持ちでない場合は、ユーザーモードでインストールするオプションが表示されますので、ユーザーモードでインストールしてください。この場合は、システム管理者の手を煩わせる必要がありません。」

とある。次に、

2)サーバーとなるPCがwifi接続の場合はNATの設定が必要になる。個人的にもwifiは繋がってしまえば10BASEと同じ(歳がばれる)と思っていたが、トポロジー的に異なる。

「この画面の下のほうにある「3. ローカルブリッジの設定」にコンピュータ上で存在する LAN カードの一覧が表示されているかどうか確認してください。 コンピュータの LAN カードの一覧が表示されている場合は、社内 LAN に接続されている LAN カードを選択してブリッジ接続するように設定してください。この場合、無線 LAN カードは選択しないようにお勧めします。ほとんどの無線 LAN カードでは、ローカルブリッジを正しく行うことができません。社内 LAN には有線 LAN カードを経由してブリッジしてください。 もしパソコンに無線 LAN カードしかない場合は、ここではローカルブリッジは行わずに、代わりに仮想 HUB の設定画面から「仮想 NAT および仮想 DHCP サーバー機能」を有効にしてください。

また、VPN Server を一般ユーザー権限でインストールした場合は、この画面ではローカルブリッジを行うことができません。代わりに「仮想 NAT および仮想 DHCP サーバー機能」 (SecureNAT 機能) が自動で有効になっていますので、何も設定する必要はありません。」 とある。それ以外は記載通りである。

次にクライアント設定である。

その前に、デバイスマネージャー(win10ではコンパネ下に)に「WAN Miniport(IP)、WAN Miniport(IPv6)、WAN Miniport(PPTP)」が揃っていることを確認する。うまくいかない場合は一旦アンインストールし再起動すると自動的に正しくインストされる。

Win10の場合、PC設定のVPN設定を使う解説が多いが、VPN Azure サービスにはコンパネの「ネットワークと共有センター」から始めるように書いてある。理由は定かでないが、必要なプロトコールの実装を確実にするためだと思われる。

このようにWin10は「PC設定」と「コンパネ」に多くの設定が分散していて非常に迷惑である。例えば、アカウントは「PC設定」で行うが、「UAC設定」はコンパネのアカウントからしか変更できない。多くの下部構造のダイアローグをWinNTから使いまわしはともかく、その上に重く不安定な被り物がありレスポンスも悪い。ネットワーク関係には似て非なるダイアローグが多数あってわかりにくい。

コンパネ等をすぐ選べるように、Classicshellのインストを強くすすめたい。これで右下に「スタート」があることで初心者も実利的にも精神的にも救われるし、エキスパートも多くのオプションに簡単かつ即座に手が届くようになる。

とにかく、コンパネ下にある「ネットワークと共有センター」から入り、「新しい接続またはネットワークのセットアップ」、「職場に接続します」、「インターネット接続(VPN)を使用します」からAZUREサーバーを入力するように指示されている。

Win10の場合はその後PC設定に移り、「ネットワークとインターネット」、「VPN」、作成したVPNをクリックし「、詳細オプション」、「編集」でUSERIDとパスワードを入力する。Win7、Win8では上記のコンパネに引き続き入力するが、win10では余計な「PC設定」に移るために操作が複雑になっている。

VPNがうまく接続されているかは、家のルーターのLAN側からみたプライベートIP(通常192.168.x.1)をpingするとわかる。ルーターのIPはコマンドラインでipconfigと入力するとdefault gatewayとして表示される。ネットワーク内からのpingには数msしかかからないが、モバイルからのpingは100ms以上かかることから区別がつく。なお「tracert 192.168.x.1」で経路が確認できる。

自宅ネットワークに接続後も、NAT経由なのでネットワーク上の機器のIPやMACアドレスは直接見えないがアクセスはできる。ルーターがDHCPで割り振ったSlingBox等のIPを知るには、ルーターにログインすればよい。ブラウザーにルーターのIP(通常192.168.x.1)を入力し、パスワード認証を経て設定に入り、LAN側DHCPのリストとMACアドレスで探す。あるいはSlingplayerのMENUで「slingbox」、「プロパティ」、「情報」のLAN項目でIPが表示される。

ああ長かった。しかしこれからは収穫の話である。

それでは、モバイルPC側をモバイルルーターかテザリングで接続し、通常通りslingplayerを起動できることを確かめておく。次にVPNを起動し、家のルーターのLAN側IPアドrス(通常192.168.x.1)にpingして、家内からのpingの数msより時間がかかっていることを確認する。この状態ではそのままslingplayerを起動しても失敗するはずだ。

slingplayerを再起動し、slingboxディレクトリーの左側にスリングボックスが見えていることを確認する。右側の「プロパティーの編集」をクリック、最下段の「ダイレクト」の欄で、「リモート接続に関してslingbox finderの代わりにドメイン名またはIPアドレスを使います(上級者向け)」の□にチェックを入れ、slingboxのIP(通常は192.168.x.287だが設定で異なる)を入力、「OK」を押し、再度slingbox (LAN)をクリックすれば起動するはずだ。場合によっては管理者パスワードを要求される。

slingplayerのディレクトリでは、同じネットワークにslingboxがある場合は(LAN)と表示されるので、slingmediaのサイト経由か、LANのダイレクト接続かを区別しやすくなっている。

なお、WinXPまではSSTPによるVPN接続の設定が無いので、SoftEther VPN Client(ここからダウンロード)を使用する。かなり重いアプリである。

サーバーのネットワーク帯域を見ると、SlingPlayerの表示の2倍弱で、Chrome Remoe Desktopに比べるとかなり低く、標準画質でも1Mbpsを相当下回るので、パケット消費や電力消費の面でも有利である。

なお、Androiスマホ標準のVPNクライアントはSSTPプロトコールを実装していないのでそのままでは接続できない。今回はアプリストアからOpen SSTP Client1.4.0をインストしたところ接続された。pingを打ったスクリーンショットは、

経過時間の変化からネットワークに備わる最適化処理が見えるだろうか。なおターミナルは「端末エミュレーター」を用いた。WebmasterはiPhoneを所有していないが、同様のSSTPクライアントは入手可能らしい。とにかく、これでPCでもスマホでもSlingBオxは今まで通り使えることになり、何よりである。

なおWiTVの方は、モバイルPCを一旦家のネットワークから接続したあと、モバイルでVPN接続し、設定ファイルWiTVPlayer.txt、ウィザードの静的IPアドレスとMACアドレスを直接指定すると視聴できるが、アプリを終了するとすべてがクリアされてしまう困った仕様のため使う気が無くなる。

おそらく今後はオークションでSlingBoxが投げ売りされるので、VPN環境が実現できるユーザーなら安価で良いものが拾えるかも知れない。SlingBoxのユーザーは世界中に依然として多数いて、種々のサポートのコミュニティーも存在する。個人的にはSlingMedia社は年に1000円ほどの会費をとって存続させるビジネスも可能だったと思うが、米国的な考え方ではトントンの商売であっても株主に潤沢な配当を出せない会社は潰してしまえ、ということらしい。

SlingBoxの最新のMシリーズについては公式サイトにPCやスマホ用のアプリがあるが、Mシリーズより古いものに対応していない。ただし、I/Odata社サイトにはSlingBoxSB100-120のところにBシリーズより古いモデル全てににつながる2015年版アプリがある。

サーバーとしてはXP世代のノートブックかネットブックの100BASE接続が良いかも知れない。ただしスリープ処理はすべてオフにし、長期戦対策としてファン開口部と排気口、入気口は掃除機のホースで吸って掃除し、可能ならファンの軸受に注油すれば安心だろう。なおSoftEtherVPNはアプリでは無く自動的に開始されるサービスとして自動的に起動する。不要な場合はサービスを停止すればPCの負担は無くなる。CPU負荷はAtom330の場合で10%前後である。

(最後にSoftEtherVPNを実用化し供用されている登大遊氏および関係者の方々に敬意と感謝を表しておきたい。)

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ロケフリSlingBox停止対策開始編その1(ChromeRemoteDesktop編)

我が家にはSlingBoxとWiTVというロケフリ機器があって、モバイルのPCやスマホからケーブルTVやBS、地デジ放送のチャンネルを視聴できる。これについては、

格安ロケフリWiTVのナゾ

に書いたが、WiTVを購入したのが2014年で、SlingBoxSB100-120はそれよりさらに数年古く、自宅にADSLがやってきた後だと思う。

写真では雑然と見えるが、各機器は微妙に空中に浮いていて、換気のための空間が確保されている。残念なことにWiTVは廃業してしまいモバイルからは接続できなくなったが、自宅ネットワーク内ならどの部屋でも視聴可能なので未だ使っている。

この手のシステムは、基本的にインターネット電話などと同じで、視聴には夫々のIPアドレス交換が必要だが、胴元サーバーが刻一刻と変化するモバイルとPPPoEの自宅機器のIPを仲介するのである。

その昔、インターネット電話の創世記には、まずメールでお互いのIPアドレスを交換してからつなぐ手間があった。これを胴元のサーバーが自宅機器が定期的にブロードキャストするIPを記録していて、お互いのIPを教えるのである。一旦つながれば胴元は関係なくなるが、AV機器のリモコンキー情報やアプリのアップデート等のメンテは行う仕掛けである。

この仕掛はいまだ生きていて、例えばモバイルユーザーが自宅のパソコンとVPNでつなぐ場合も管理サーバーに接続してIPを交換する仕掛けがある。携帯電話でも、端末が移動するとその地区のビーコンを受信して自分の位置をサーバーに登録するので、どこでも受信できるわけで、原理は同じと言えば同じだ。

SlingBoxもWiTVもMACアドレスをIDとして使っている。MACアドレスはユニークでネットワークを超えないのでセキュリティー的に安全だからである。なので、同一ネットワーク内なら胴元が廃業してもつながるのである。おそらくSlingBoxが廃業したあとも、自宅ネットワーク内では繋がるはずである。

実はWiTVでも胴元廃業後に接続する方法は見つけている。まず自宅でWiTVを接続する。そしてそのPCを持ち出してWiTVPlayer.txtのIPアドレスを自宅のIPアドレスで書き換え後にアプリでもIPとMACを設定すると一旦は接続できることは確かめているが、面倒なのでSlingBoxを使っていた。

ところが、今年の11月にSlinBoxは廃業するという。

全世界の駐在員ファミリーがSlingBoxを使っているので、その影響は大きく代替のサービスをいくつかの会社が立ち上げている。しかし、例えばSONYから引き継いだBuffaloのNSNEのアプリTV SideViewなど、有料なものも多い。できればSlinBoxが今のままで使えるのが望ましい。SlingBoxなら有名なアプリVideoLANでも再生できる。そこで考えられる方策は、モバイルでは視聴できなくても自宅のネットワークなら視聴できることが鍵になる。それなら、

1)VPNを仕込む(例えばSoftEtherVPN) そうすればモバイルでも自宅内ネットワークと同様につながる。

2)簡単にはChoromeRemoteDesktopでモバイル機器(スマホかPC)から家のPCで再生しているSlingBoxの画面を見る

試した範囲では、2)は圧倒的に簡単だが、かなり帯域を食う上に音が途切れる欠点がある。これはWindowsだけでなくLinuxでも動作するらしいく、アプリ自体はApacheベースである。1))はSlingPlayerだけの帯域しか食わないが、仕込みが複雑である。VPNの場合はIPを仲介するサーバーが必要だが、それにはVPNAzureが無料で使える。

1)については次回に紹介するとして、2)ChoromeRemoteDesktopから簡単に備忘録的に説明したい。

まず、

1)サーバーとするPCでChrome、設定、拡張機能、左上三クリック、最下段で、Chromeウェブストアを開きます、Braveでは、設定、拡張機能、機能拡張をさらに取得ウェブストアを開く、を選ぶ。

2)ストアを検索、に、Chrome Remote Desktopと入力、Chrome Remote Desktopをクリック、Chromeに追加、拡張機能を追加、ブラウザーに戻って右上、拡張機能(ジズソーみたいなアイコン)クリック、Chrome Remote Deskutopを有効に、閉じて右上の拡張機能の欄のデスクトップアイコンをクリック。

3)出た画面で、パソコンにアクセス、をクリック、右下のインストール、さらにもう一度インストール、を選ぶ。あとは指示にしたがって進む。サーバーにわかりやすい名前とPINコードを指定すれば終わり。

4)クライアントは、Chrome Remote Desktop拡張機能だけをインストしてクリックするか、GoogleでChrome Remote Desktopを検索したページにアクセスすると、左で、リモートアクセス、を選ぶと候補となる サーバーが表示されるので、クリックしてPINコードを入力すると、サーバーのデスクトップが見える。

5)全画面が見えるので、そこでSlingPlayerを起動する。この状態では数Mbps食うので、一番小さくして左に寄せておく、右>パネル、を開き、チェックをすべてはずし、Slingplayerだけ見えるように窓を小さくする。この状態で1-2Mbps程度。

6)サーバーとなるPCは電源設定で、時間でスリープしない、パネルを閉じてもスリープしない、にしておく。なおBIOSのLANで電源が入る設定をしておくと、スリープから自動的に回復するらしいが、試していない。

図は、WiTVとSlinPlayerで動画を流しているDesktopuを他のPCから見たところだ。WiTVのほうがコーデックが進化していて帯域の割に画質がいいが、アプリ自体がドットNETで書かれているらしく不安定である。SlingPlayerは画質が劣るが安定している。

なお、この方法には明らかな欠点がある。

1)サーバーの音量を下げるとクライントの音量も下がるので、サーバーにはヘッドホンを挿しておいて家人には音が鳴ることを説明しておかないと、電源を切られてしまう可能性がある。

2)何故か音が途切れる。SlingPlayerの設定をどう変えてもこれは治らない。帯域をみていると、リモートでもパソコンを操作中はパケットは途切れないが、Slingplayerの画面が動いていても操作が止まると定期的に途切れる。これはおそらくChrome Remote Desktopが動的に帯域を変化させる上での仕様だろう。見たところ種々のパラメーターを変える方法は公的には無い。

3)サーバーで自分自身のデスクトップを表示させるとこんな画像になり、無駄なCPUタイムと帯域を食う。これは一種のバグだろう。

いずれにせよ、なるべく電気を食わないAtomマシンとかでサーバーを動かすのが得策かもしれない。次回はSoftEtherVPを使った方法について紹介したい。

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不良在庫のAtomD2500マザボは日の目を見るか?のナゾ(恨みが怖い編)

終活に向けて不良在庫を整理中のなか、棚の下からインテルのマザーボード(BOXD2500HN)が出土した。2012年の製品で2GBのDDR3メモリーも挿されている。Atom330マシンのレスポンスが良いのとCPUにファンが無い事で、ネットワークサーバーでも作ろうとメモリー込で1万円くらいで買ったとたん興味がなくなり放置されたようである。

AtomD2500はCedar Trail世代の1.86GHzデュアルコアだが、なぜかハイパースレッディングは無効になっている。同世代のD2550はハイパースレッディング有効なので、おそらく同じダイながらレーザーか電気で機能が殺されているのだろう。わざわざある機能を無効化してクラス分けするのがインテルの常套手段である。多種類のCPUを売っているが、実際に生産するダイの種類は少なく、最低電圧での最高動作速度を調べ、出来の悪いものや需要の少ないモデルは機能を殺していろいろなグレードのCPUとして売るらしい。

リソグラフィーは32nmのDDR3と、45nmでDDR2のAtom330より進化しているが、TDPは10Wと一体化されたMMUが電気を食うのかさほど省電力化されていない。このD2000系とN2000系コアに分岐予想機能を復活させたものが現行のCeleron や Pentium(Bay Trail系)らしい。一口にCeleronやPentiumと言っても種類が多く、主流コアのキャッシュ容量を落としただけのものだったり、Atom系だったりといろいろで区別しにくいが、TDPが低いものはAtom系と考えてよい

データシートによるとmicroATX(miniITX)ファクターで、チップセットはNM10、内蔵グラフィックはGMA3500だという。PCIはあるがPCI-Expressは無い。電源は24ピンで各種I/Oピンヘッダーもオーソドックなものだ。

インテル純正マザーボードは基本的にはリファレンスモデルである。各マザボメーカーにこんなふうに作ってね、という代物だ。だから組み込み用途とか、ソフト/ハードのコンパチビリティーテストベッド用途なので、A330マシンのようなオーバークロック機能が無い。CPUのクロック倍率は12xの固定だが、マザーボードにあるクロック生成IC(ICS952018AFコンパチ)の分周設定の抵抗をいじればオーバークロックは不可では無いかもである。

問題は小さなマザーボードなのに巨大なサーバーケースしか手持ちが無いことだ。しかもIDE時代の代物で、DVDドライブもIDEのものしかない。そこで、IDE-USB変換アダプターと、IDE-SATAに変換アダプターの電源部分だけを借りることにした。PCがジェネリックになり安い既製品があふれる時代になって自分で組むのをやめたのが、ちょうどIDEからSATAに変わった時期と一致している。

あと3.5インチと5インチのフロッピードライブがついているが、これはオブジェとして配線せずに残しておこう。出来上がりはこんな感じで、小さなマザーボードに違和感がある。

BIOSの設定が限られているのでインテル純正マザーボードは不人気で、最近はマザーボード事業をやめてしまった。何とBIOSのupdateもサイトから消えている。一流マザボメーカーとはえらい違いである。

インテルがマザボ事業に参入したのはPC-ATが普及した後で、当時のIBM-PC(8088)のISAスロットに80286や80386搭載のABOVE Board ATとかInboard 386なるものを挿して、母屋のI/Oを乗っ取る製品を発売した。これが当たって本格的にマザボ市場に参入したものの、やはりオーバークロック関係の設定が無いことが不人気で赤字だったようだ。

Lubuntuの18.04.5LTSにBraveブラウザーをインスト(Debian流コマンドライン入力が必要)することで、win10群のブラウザーと同期が可能である。Amazon Prime Videoを再生中もブラウザーのレスポンスは悪くない。印象としてはD2500コアはCoreiコアの7-9割程度の能力はありそうである。

個人的には購入したのに一度も使わずに廃棄するには抵抗があり、やはり組み込んで動作を確認しておかないと成仏できず、インテル方面からの祟りで他のPCにも祟りがあるかもしれない。

ということで、D2500の1.86GHzのデュアルは十分映画鑑賞に耐える。しかもCPUファンが無く、電気を食わないせいかオーディオにも雑音が載っていないようで、電源も既に静音変造されている(ファンに抵抗を入れてある)ので映画や音楽鑑賞に向くが、なによりケースがでかすぎてジャマである。小さければテレビの裏に隠せるのだが。さてこの代物をどうしようか?

というのは、仕事場向かいのパソコンショップがビル建て替えによる廃業でHDDを抜いたリースバックノートを安価(\1500)で処分していたのが我が家に大量にあるのだ。適宜ジャンクHDDを入れ、貼ってあるプロダクトキーでwin10をインストし各方面に数台配ったが、それでもまだ7台もある。世代的にはCore2Duo後期からCoreiシリーズ第4世代までのもので、32bit版win10なら実用性能はある。

今までは一台のCPUに複数モニターを並べていたが、現状では複数のノートを開いて立てて並べてて使っているくらい余っている。

現状のHDDはUSB-HDDからの借り物なので返さなければいけない。LUBUNTUではストレージはHDDもUSBメモリーも区別なくSCSIのdisk扱いである。windowsではあくまでリムーバブルメディアは区別されているのとは違う。ということは、USBアダプターに挿した32GBのSDカードにもインストできるはずである。

図のように、Generic-SD/MMCとしてインスト可能であった。BraveブラウザーとLibreOfficeをインストしてもまだ20GBが空いている。クラス10のSDカードでも大きなファイルの読み書きは遅いが、ランダムアクセスが早いので立ち上がりは早く、映画再生にも問題は無い。ただし本物のSSDよりキャッシュ機能が弱いのか、全般的に動作がヌルヌルとした印象はある。もちろん、どの程度の回数読み書きが可能かは不明であり、本物のSSDのような自動で動的なセクター代替処理は無いので、大事なファイルは別のUSBメモリーに保存するのが無難だろう。

ということは、SDカードに適当なケースと電源があればこの17cmx17cmのマザボはスタンドアローンで動作する。電源は5V、12V、3.3Vが必要だが、電源だけ買うよりCore2Duoか初期Coreiを積んだNECのジャンクなスリムPCを買うほうが安い。その世代のNEC製品は電源やI/OのコネクターがジェネリックなATX仕様だからである。しかし、そのままでも動くPCのマザボをわざわざ遅いAtomD2500に入れ替えるのも愚かな話だ。

今は便利な時代で、12Vから5Vと3.3Vを作るインバータは\300円と安く数個在庫している。マザボを適当なケースに入れて単一電源のプラグを挿して動作するようにできそうだ。しかし20ピンの電源コネクターの在庫が無い。どうしたものか、考えているところだ。いずれにせよこのマザーボードも成仏するまでしばらく時間がありそうである。

そうそう、最後に発見?したことを書いておきたい。

以前にもLinux族をUSBメモリーにインストしたことはあった。しかし、WebmasterはそのUSBはそれをインストしたPCもしくはCPUやハードが近縁のPCでしか使えないと思っていた。少なくともWindowsをインストしたHDDをCPUもチップセットも異なる他のPCに載せ替えても、そのままフル稼働することは無くかなりのドライバー類の入れ替えが必要になる。

D しかしこのSDカードで、我が家のAtom330からCoreiシリーズまでのPCはすべて正常に動作し、BraveブラウザーもLibreofficeもAmazonPrimeVideoも問題なく動作した。個々のCPUやチップセット、Wifiチップはハード的にも世代的にも異なるにもかかわらず、である。考えてみればLUBUNTUのインストールDVDはどのPCでもブート可能なので、ジェネリックなコードだけでPCを働かせるのは可能であろうが、インストDVDやUSBそれ自体に記録できない。しかし、SDにインストしたシステムではデータやアプリも設定もセーブされるし、著作権やコーデック処理が関わる映画再生も可能なのである。

これって、一種の万能ドライブなのだろうか?ジェネリックなコードでそれなりのパフォーマンスと著作権がかかわる映画再生が可能なら、今までwindowsもマシンも世代が変わる毎に何回も買い換えさせられてきたのは何だったのか?その必要はあったのか疑問になってくる

M$とインテルは一種の運命共同体で、新しいOSは新しいCPUとハードで使えなくなるのが公式なスタンスである。新しいハードを最大限のパフォーマンスで働かせるには新しいOSとドライバーが必要という説明である。特にパフォーマンスとコーデック、そして著作権保護機能を要する映画配信には新しいOSやドライバーが必要だとWebmasterは思っていた。

しかしSDカードにインストしたLUBUNTUでatomからCoreiシリーズまで動作し、著作権保護機能やコーデックを要する映画がAtom330でも再生できるのである。LUBUNTUのドライバー類はジェネリックなコードで書かれていて、グラフィック等の能力を極限まで発揮させているとは思えないが、とりあえずユーザーにとって大事な映画配信では十分な機能を発揮する。

もう一つ、インテルのCPUは世代枚に性能が向上したはずだが、確かに消費電力は減っているもののパフォーマンス的にはクロックとコア数以外に早くなっている印象が全く無い。どうしてなのか、M$とインテルに聞きたいところである。

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不良在庫のAtom330マシンは生き残れるか?のナゾ(首の皮一枚編)

来るべき終活に向けて不良資産の処分を進めているが、問題は古いPC群である。さて、ユーザーがこのPCはもう時代遅れで使えないと判断する基準はどのあたりだろうか。

普通のユーザーにとって最新のブラウザーやオフィスアプリが一通り動作することは当たり前で、さらにYoutube等の動画が再生できることと、そしてAmazonPrime Video等の映画が再生できることが最低の要求ラインであろう。

映画再生は基本的なシステム能力だけでなく、OSとブラウザーに著作権保護やコーデックを処理する能力を必要とするので、現状では一番要求が厳しいだろう。もちろん先鋭的なゲーム用途なら発売1年で型遅れとなり使えないと感じるユーザーもいるかも知れないが。

そのため、Webmasterは多数の時代遅れPCにLubuntuを搭載して動画再生に使えるか見極めてきた。

Dell PP10S(CeleronM-1.3 GHz)のLubuntuによるによる再生のナゾ
HP2230s(WindowsVista Core2duo)のLubuntuによるによる再生のナゾ
VAIO PCG-7E1N(CeleronM1.5GHz)のLubuntuによるによる再生のナゾ
DynabookSSM36(CeleronM1.73GHz)のLubuntuによるによる再生のナゾ
Versapro VJ13m(CeleronM-1.3 GHz)のLubuntuによるによる再生のナゾ
Gateway LT2000(AtomN280-1.66 GHz)のLubuntuによるによる再生のナゾ
Thinkpad T23(PenV-1GHz-512KB-HDD20GB)のLubuntuによる再生のナゾ

結論として、主流のCore系CPUではAmazonPrime等の映画再生にはシングルで1.7GHzが最低限だが、それでは動画再生中に満足に操作に反応しない。

高画質で操作への反応を求めると、最低限としてデュアルCPU(Core2duoもしくはCorei3以上)の1.6GHzが必要であることがわかった。動画が満足に再生できないとすればZoom等によるテレワークにも使えないというわけで、コロナ禍の続く今どき動画再生能力が低いPCは引退とならざるを得ない。

意外なことに、Core系とそのチップセットは種々の世代で能力差があることになっているが、ベンチマークの結果とは関係が薄く、結局はコアの周波数と数が決定要素であることもわかった。実際には単一コアのintegerとFlotingPoint性能は、Core世代間で殆ど進化していない。もともとCore系はP4系が失敗し、イスラエルで細々と開発が続いていた80486由来のPentiumM(P6)系が先祖で、ほどほどの分岐予想能力で周波数とマルチコア化で進化したものである。

整理中に、マウスコンピューターのAtom330マイクロタワー(Nettop LM-M110S リンクは2009年のASCII記事)が出土した。これは長らく手術記録や治療成績の記録に使っていたが、電子カルテに過去データーを巻き取られて退役となった。当初はAtomということで能力に不安があったが、1.6GHzの2CPU4スレッドは軽快で、P4系シングルコアのセレロンよりレスポンスは良好だった。

ものはECS社のMD110のOEMで、S.O.DIMMや19V電源とノートパソコンに近い作りである。Atom1.6GHzx2(Diamondville世代)、i945GC Express、DDR2の2GB、HD320GB、DVDスーパーマルチドライブ、SDカードドライブで定価49800円と当時としては廉価のわりに装備は良かった。

しかし、80486系から分岐予測能力を省いたものが起源のAtom系の能力はCore系より低いので動画再生は厳しいのではないか?意外なことに64bit化されていたので、64bit版のLubuntuでChrome系のブラウザーが動作すれば、著作権的にもコーデック的には映画再生は可能ではないか?。さらに、このマシンには隠し機能がある

というわけで、64bit版lubuntu-18.04.5をインストールしてみた。最新のFireFoxが標準搭載されており、早速AmazonPrimeの映画を試すと淀みなく再生されるものの、操作への反応はかなり遅れがあった。設定を高画質から標準画質にすると反応は少し改善したがまだ常用にはストレスがある。パフォーマンス的にはCeleron440(シングルコアの2GHz)相当程度と思われる。

しかしこの機械には奥の手がある。BIOSにオーバークロック機能があり、CPUクロックは133MHzx12=1.6GHzを165MHzx12=1.98GHz程度まで高速化できるものの、コア温度が80度を超えて映画の途中で落ちることがあった。ちなみにインテル資料ではTDPは8wでTcaseは85度とあり、温度が上昇するとHALTがかかるのだろう。

Atomの放熱器にはファンが無いので、厚紙でダクトを作ってリアのファンが引く風が放熱器を通るように細工し、155MHzx12=1.857GHz、コア温度が80度以下で2時間以上の映画でも安定するようになった。ちなみにバス速度も133.34x4=533MHzから155x4=620MHzに高速化される。これで、映画再生中にも必要最低限のブラウザーの反応が得られるようになった。

というわけで、2009年の物故PCも最新の映画が再生可能となり引退から免れそうである。最近Lubuntuがver20にアップデートされたが再生状況にはかわりない。64bit版Win10では4GBメモリーでは動作がもっさりだが、Lubuntuなら64bit版でも2GBで実用になる。というわけで、Atom330は首の皮一枚でテレビの後ろに隠れた映画再生専用機、あるいは静音ネットワークサーバーとして命脈をつないだのである。

映画配信はPCの能力要求が厳しいので最新の機械でないとダメだろうと思うユーザーは多いと思う。しかし、実際には機械の能力よりはOSやブラウザーの著作権保護機能等の要求が一番厳しいのであって、新し目のLubuntuと最新のブラウザーがあれば解決できる。

一般に映画配信はwindow7以降しか対応していないが、XPやVISTA世代のパソコンでもパーティションの後半にLubuntuをインストすれば、オフィス用途には古いwindowsを、映画再生にはLubuntuと起動時にOSを切り替え可能なので、失うものは無い。通常の64bitLubuntuはシステムが6GB前後なので、20GBも確保できれば十分である。

さらに不良資産を整理していたところ、これより若干新しいインテル純正のAtomD2500のITXマザーボード(リンクは2011年の紹介記事)が出土した。Atom330の成績から1.86GHzデュアルのAtomD2500はさらに性能が良いはずだが、インテル純正ボードのBIOSには通例としてオーバークロック設定が無いので、動画再生能力は試してみるしか無い。

どうして買ったのか記憶にないが、おそらくAtom330の性能が良かったことから、消費電力が低く冷却ファン不要で静かな常時動作のネットワークサーバーでも作ろうかと考えて購入したまま不良在庫になってしまったのだろう。問題は我が家にはIDE仕様の古く巨大なサーバーケースしか無いことである。種々の変換小物があるので、うまくいけば次回紹介できるかも知れない。

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不良在庫に救われたラジオシャックテスターのナゾ

今回の体験は少し背中に寒気を感じた体験についてである。長年使った道具には魂がこもるので、おろそかに扱ってはいけないということである。

電子細工をされる方なら最初に手にしたサーキットテスターには思い入れがあるかも知れない。Webmasterの場合はサンワのSP-6Dであり、過去

大古テスター復活のナゾ・その3(太陽光発電モニター編)
大古テスター復活のナゾ・その2(スーパーフラックスZ編)
大古テスター復活のナゾ

に登場したが、現在も太陽光発電の電圧監視に活躍している。

Webmasterにはもう1台思い入れのあるテスターがある。それは米国に留学中の1986年頃にマンハッタンのラジオシャックで購入したMicronta 22-212 multimaterである。作りはSP-6Dとは比べようもない韓国製のプアな製品ながら最低の機能は満たしている。仕事場にはテクトロのオシロ等があったもののテスターが無かったので結構頻用していた。帰国時に持ち帰り、最近までSP-6Dとペアで電圧監視に使っていた。

それがある時に電圧レンジにしたつもりが電流レンジになっていて焼損してしまった。テスターの焼損はら殆どが電流レンジでの誤使用だと思う。電圧レンジでは少々のオーバーでも直ちには焼損しないものだ。

写真の左の真ん中あたりの抵抗R7が焼損しているのが見える。このため表示が過大となり使い物にならなかった。しかしR7の抵抗値がわからない。写真左下の感度調節の半固定501があるので、若干の誤差があっても何とかなるので、適当な半固定をつけて抵抗値を探ればいいのだろうが着手しかねていた。

しかし、テスターがWebmasterの視界に入るたびに、恨めしそうに睨んでいるように感じていた。

ラジオシャックという電気店はかつては全米にあり、電化製品から抵抗1本まで売っていたので、米国で電気細工をする人はみんな知っている便利な店だった。我が国でもパソコンの創成期にTRS-80なる製品が輸入されていて、仕事場では先輩のK先生が使っていた。生意気にもちゃんとしたTRSDOSが乗っていて、フロッピーディスクも使うことができた。5インチフロッピーが片面単密度で78KBで、それに穴をあけて両面使っていたのを思い出す。

その後もTANDYはCB無線機や携帯電話から衛星TVチューナー、オーディオ、パソコンに至るまで独自ブランドのものを売っていた。京セラOEMのTRS80-100ラップトップはプレスに大人気で、これ以降は記者が世界中からモデムで入稿するようになったクラブ100なるユーザーグループもあり、未だ組み込み機器のコンソールとしても多数生存しているようだ。かのビルゲイツもTRS-100の設計に参画しており、自らコードを書いた最後の作品だと言っていた。その後は格安で大量の輸入される電子製品に埋没して倒産し、全米中のフランチャイズ店は散り散りになってしまった。

ラジオシャック製品の多くには動作原理の説明や回路図がついていて修理や改造が容易だったので、ラジオシャックと共に育ったプロアマの技術者も多く、製品のコミュニティーも多く存在する。ラジオシャックのカタログ(1939-2011)の全ページを参照できるサイトもあり、驚いたことは自宅にあったAKAI-1710オープンリールデッキのOEMモデル1660がラジオシャックで売られていたことを発見した。

1986年頃のカタログでは多くの製品が日本製OEMだった。ポータブル電話もリースしていて、毎月49.95ドルと書いてあった。留守番電話79.95ドルも購入して帰国後も使っていた。他にはタイマーやブロックコンバーター(CATV全波をUHFにシフトする)、300bpsモデム、NiCad電池やその他多くのラジオシャック製品を使っていた。コンピューターもトイやゲーム機からシャープやカシオOEMポケコン、TRSDOS、IBMコンパチからプロユースの68KのXENIXマシンまで幅広く扱っていた。問題のMicronta 22-212は1986年版の134ページに載っていて10.95ドルとある。

ネットで検索すると22-212のマニュアルに記載されていた回路図が出てきた。

テスターの回路図はどれも似たりよったりだが、22-212は分圧回路は精密抵抗で作られているものの、メーターまわりには感度調節の半固定があるなどメーター感度のバラツキを許容する冗長度がある。すべての抵抗値が精密で決め打ちされていて感度調節用の半固定が無い日本製のテスターとは設計哲学が異なるようで、古くなって部品が劣化したり焼損しても修理調整が簡単な設計である。このあたり、先の大戦で米国の船はダメージを負ってもなかなか沈まないのに対し、日本の船は少々のダメージで沈んでしまったという話を思い出した。

回路図からR7は4.67Ωであることがわかったが、調節が効くので5Ω前後のものがあれば何とかなりそうである。そこで長期不良在庫を漁ると、写真のようにおそらく一生では絶対に使い切れない数の4.7Ω抵抗が出土した。

これはおそらく70年代の大学時代に秋葉原を遊弋中に購入したバルク品だったと思うが、それが40年以上の年月を経てテスターに収まったのである。そのままでも誤差は殆どなかったが、固定抵抗の調節で最新の電子テスターと同じ精度に追い込むことができた。

とすると、このバルク抵抗は40年以上後になって故障テスターと出会うべき運命だったのだろうか?そもそも秋葉原でWebmasterがこのバルク品に出会った事自体が運命だったのだろうか?そう考えると背筋に寒気が走ったのである。

そういえば、手元のオシロ(岩通SS-5100)にも魂がこもっているのではないかと感じた経験がある。これはTRS-80を使っていた先輩K先生が、デジタル式発話積算計を設計した頃に使っていた代物だ。これは音声を増幅しコンパレーターがカウンターを動作させるもので、保母やアナウンサー、電話交換士などがどの程度音声を酷使しているかを解析するのに使われていた。

その後医局で電気生理学に使われていたようだが、ある日廃棄されていたのを拾ってきたのである。そして、

特別企画普及型D級ICアンプで山本式電流帰還!!(理論編)

の時に久しぶりに通電したら、画面の半分しか掃引しなくなっていた。そのうちに焦げ臭い匂いがしたかと思うと筐体から煙がでてきたので慌てて電源を落とした。ついに年貢の納め時を迎えたてデジタルオシロに更新される日が来たのか?と思った。

2,3日後に内部を点検したが発煙した部位がどうしても確認できなかったのでダメ元で通電したところ、なんと画面半分しか掃引していなかったのが治っているでは無いか。校正用の矩形波を入れると感度は少しずれているが使えることは使えるがトリガーがかからず、シンクロでなくオシロになりさがっていた。おそらくトリガー極性のスイッチかレベルを変えるボリュームが接触不良なのだろう。

ということで、SS5100はまだ手元にある。というか、拾われたからには、身を焦がしてまで二度と廃棄されないぞとの怨念を感じたので、デジタルオシロに更新できなくなったのである。

実は数千円の安いデジタルオシロを買ったのだが、蓄電池デサルフェーターの波形をチェックしていたら発煙した。入力は耐圧50Vp-pのはずだがパルスが大きかったのか、入力回路のパターンが焼損していた。WebmasterはこれもSS-5100のヤキモチではないかと恐れたのである。本格的なデジタルオシロを買うと発煙しかねないと考えるといまだ買えないでいる。

なお、上の写真がファジーに見えるのはデジカメのピンぼけでもオシロのフォーカスボケでも無い。D級アンプのノイズがバラックでポンコツなアンプのいろいろなところに乗ってこういうふうに見えるのである。D級アンプ恐るべし。

というわけで、Webmasterの周りには因縁というか魂というべきか、いろいろな思いのこもった古い機械が捨てられずに溜まっている。過去にも似た事があり、丁寧に分解して鍵となるパーツを保管することで祟りを逃れたような経験がある。

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今日のトクする一言サーバー移転の顛末



謹賀新年

今年もよろしくお願いします。


文頭にあるように、”今日のトクする一言”サイトはkiwiサーバーに引っ越しした。ここで簡単に歴史を書いておきたい。

このサイトは、九州大学に1995年8月に開設したばーちゃる耳鼻科のパソコン情報などの付属ベージとして始まった。当時大学にはグローバルアドレスが割り振られていたのでサーバーを立ち上げればすぐにサイトを公開できた。

しかし、サーバーの突発事故で1995年ころの記載のかなりが破損し失われてしまっている。今回、サーバー移転の折に回復に努めたが、1996年のwindows95に関する記事あたりからしか回復できていない。

失われた分に何が書いてあったか記憶をたどると、ばーちゃる耳鼻科の最初のWWWサーバである1994年発売のマッキントッシュLC630で走るMacHTTPによるサイト構築情報だったように思う。このマシンはモトローラMC68040の33MHzで動作していた。

当時仕事場にはすでにPowerPCの6100や7100があったが、System7とPowerPCと68xxxコードを走らせるエミュレーションの出来が悪く、買ってきてパワーを入れて数時間放置するだけで勝手にハングしているという代物だった。それまでWebmasterも医者に多いマック真理教の下僕だったが、このころにマックに見切りをつけたと思う。

68040はシステム7から不要な付加物を徹底的に取り省くことで、遅いながら安定して安定して動作していた。その後のPCの風水学的変造のアイデアはこのあたりからだろう。

その後ばーちゃる耳鼻科のアクセスが増えてMacHTTPでは処理が追いつかなくなったので、誰も使わない、というか使えずに余っていたピザボックスSPARCstationに引っ越した。これはBSDでなくSolarisで動いていたが、ある日sendmailの脆弱性がハックされていた。グローバルアドレスは外部からの攻撃に直面するのである。

米国のどんな機関からか覚えていないが、「お前のマシンはハックされてSPAMを撒いているので、ただちに処置しないとIPを抹消する」的なメールが来て肝を冷やした記憶がある。その後このマシンは二度と電気を入れられることがなく数年後に廃棄された。

そこで、Sendmailなどの危険なサーバー機能がなく、また種々のワクチンソフトがあるWin95マシンに引っ越した。手元にあるいろいろなDOS/Vマシンをサーバーにしてみて、ネット機能の性能がCPU性能と比例しないのを知ったのもこのころである。記載としては、

Windows95setup tips ---Windows95でインターネットver.March 24
Ethernetカードで構内LANを介して接続する方法、IRQ衝突対策
ethernetの基本
Win95附属のping,ftp,tracert使用法
転送速度表示
ダイヤルアップIP接続の方法(ppp,slip,cslip,スクリプトツール設定)、モデムのノイズ対策などなど
PC9800DAなどの9種類の型遅れマシンにWindows95をインストールするとどうなるか,CyrixCPUのCache制御、各マシンのトラブル対策などなど
WWW Server on Windows95 ---Win95でWWWサーバー。MS Personal Web Serverについてver.1996

特に最後のMS Personal Web Serverは数年間に数百万ページのダウンロードをこなしていており、掲示板などの機能も提供していたが、その後大学が独自のWWWサーバーを立ち上げることになり、ばーちゃる耳鼻科のコンテンツは大学の部門サイトへ、また今日のトクする一言は個人のサーバーとに分離したのである。

その後今日のトクする一言のサイトはRed Hat Linu5.1のLinuxサーバーやNT3.Xなどいろいろな機械をジプシーのように移動していた。

□August 23:楽しくて長いLINUXな一日のナゾ

なお、LC630のMacHTTPはその後も別のIPで文中の特定の画像、例えばのアクセスログ採取だけの目的で稼働し続けていた。

□August 3:アクセス解析(Nov.1997-July,1998)

その後、アクセス数が非常に多く雑誌にも掲載されている個人コンテンツが学内IPに存在することが問題になりそうな気配があったので、個人コンテンツはbekkoameに移動した。当時はbekkoame.or.jp/~jh6bha/なるURLで動いていた。

さてドメインwww.tomoya.comは日時ははっきりしていないが、現在はGMOの子会社になっている「お名前.com」?の創業時に10円でドメインが取れるキャンペーンで取得したような記憶がある。そしてwww.tomoya.comからbekkoameサーバーにリダイレクトするようになった。

さてcoaraとの付き合いであるが、coaraは大分県の第三セクター事業として始まった。当初はモデムを使ったパソコン通信だったが、ネット創世記の地産地消をテーマに、1999年に日本で初めてADSLサービスを始めたことが有名である。福岡市でもADSLが開始されると聞いて、2001年に天神coaraと契約した。

□June 31:ブロードバンド最適パラメーターのナゾ
□June 24:アジアの風ADSLの速度のナゾ

契約したものの、福岡市西区初めてのNTT局内のモデム設置とのことで、調整や回線調査に若干の時間を要した。IPアドレスはグローバルでモデムも米国規格のものであった。米国規格のモデムはISDNとの相性が悪いということになっていたが、家電からのノイズやラジオ放送波の干渉のほうが影響が大きかった。ISDNとの干渉云々はNXXの妨害工作だったような気がする。

過去のSPAMサーバーの恐怖体験からメルコの無線LANのルーターを設置した。速度は1Mbps程度だが当時は驚異の速度であった。日々日々速度上昇を狙ってパラメーター調整やノイズ対策をやっていた記憶がある。当時は子機のPCMCIAカードが1枚3万円近かったと思う。現在だと500円でUSBのキャラメル大のものが買えるのは隔世の感がある。

その後coaraもWWWサーバーサービスを始めたので、個人コンテンツをcoaraに移した。coaraはwww.tomoya.comからリダイレクトするようにしてくれたが、その方法は最近kiwiサーバーにサイトを引っ越したときに初めて判明した。

さてcoaraもいろいろ変遷があり、当時の米国規格のモデムを使った独自ビジネスから、NTTフレッツ系プロバイダーに変わり、グローバルIPからPPPoEになった。グローバルアドレスの怖さを知っているだけにPPPoEへのグレードダウンはあまり抵抗にはならなかった。

その後coaraは事業を縮小し、第三セクターから2019年に九州電力の傘下に入った。これで一安心と思ったのだが、昨年の9月にプロバイダー事業とwwwサーバー事業を12月末日をもって中止するとの手紙がやってきた。まさに晴天の霹靂である。メールもcoaraドメインのアドレスには来ていたが気づかなかった。個人的には多数の地元企業や個人ユーザーをかかえていたサーバー事業をやめる理由が全く理解できないでいる。

手紙に書かれた移行説明を読むと、kiwi社への移行には若干の優待サービスがあるとのことで、11月1日に契約し、サーバーはその後開設されコンテンツを移動することはできた。

問題はwww.tomoya.comドメインからどうやってkiwiサーバーにリダイレクトするか、である。技術的には、wwwサーバーの構築と、www.tomoya.comからのリダイレクトは全く別の問題なのだ。

10円サーバーで獲得したドメインであるが、その後「お名前.com」からレジストリの権利をMelbourne Itに譲渡したので、勝手にそちらと契約しろとの知らせがあり、クレジットカードで管理費を支払いしていたが、ドメインは管理していてもそこにサーバーがあるわけでなく、リダイレクトの方法がわからなかった。

wwwサーバーの技術書を読むと、「.htaccess」を使う方法が書いてあった。とにかくネームサーバーにサイトの引っ越し先を一度でも知ってもらえばあとは自動的にリダイレクトされるようになるが、URLに「~」が使われているサーバーでは「.htaccess」は使えなかった。それは「.htaccess」の記載にも「~」があるので混同されるからであろう。

何度かcoaraに今までのリダイレクト方法を問い合わせたが返事がない。おそらくcoaraでは業務終了で大混乱していたのだろう。そこで、kiwiと相談して、まずドメイン管理をkiwiに移すことにした。そしてkiwiとリダイレクト策を検討することにした。

AUTHコードをMelbourne Itに問い合わせるが、なんとドメイン管理ページで特殊な処理をすると表示されてた。それをkiwiに伝達したところ、ドメイン管理が引っ越したとの連絡がきた。

しかしzone情報とcoaraでのリダイレクト方法がわからないという。そこでcoaraにメールを3回かいた。過去2回書いたが返事がなかったが今度は返事がきて、zone情報とリダイレクト方法がかいてあった。それによれば、


www.tomoya.com へ飛んできた通信が、下記の設定で、http://www3.coara.or.jp/~tomoyaz/ へ転送されています。

;META HTTP-EQUIV="Refresh" CONTENT="0; URL=http://www3.coara.or.jp/~tomoyaz/higawari.html">」

知ってしまえばなんということもないが、www.tomoya.comなるサイトを設定し、coaraのネームサーバーに登録したのである。そのサイトのindex.htmlにリダイレクトのためのMETA記述が1行書かれていたのだ。「.htaccess」よりも安直な方法で設定されていたのである。実は、サイト内では長らく、

;META HTTP-EQUIV="Refresh" CONTENT="0;URL=higawari.html">

でindex.htmlからhigawari.htmlにリダイレクトされるようになっていた。この方法の欠陥は、サイトを移動した場合Google等に蓄積された過去のアクセス情報が継承されないことであるが、アフィリエートとかしていないので問題ないである。

ということで引っ越しが完了した。今後もkiwiサーバーの今日の必ずトクする一言をよろしくお願いします。

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