今日の必ずトクする一言
-- TODAY'S REMARK --
□年末恒例の故障家電品一斉修理と新型特殊研磨紙コンタクトRのナゾ
□季節恒例の始動不良発電機のジェット掃除のナゾ
□ハロゲンヘッドライト掉尾の一振のナゾ
□しょぼいカーオーディオはiPodの夢を見るか?のナゾ
□ニジミ液晶電卓は再生の夢を見るか?のナゾ
□風水サスペンションはダルな操縦性に効くか?のナゾ
□山本式方向性ダンパーマウントのナゾ
□東風は和風を圧倒するか?のナゾ
□ゼロスピンドルパソコンはNT族の夢をみるか?のナゾ
□ゼロスピンドルパソコンはDMAモードの夢をみるか?のナゾ
□格安自転車に見る工業国日本の将来のナゾ
□ビリーなんとかエリートにはまってみる?のナゾ
□ゼロスピンドルパソコンは超石器時代の夢をみるか?のナゾ
□発掘されたPalm端末でネットが楽しめるか?のナゾ
□WindowsVistaからWindows2000へ先祖返りのナゾ
□典型的WindowsVistaマシン見参のナゾ(AT仕様からの乗り換え)
□ありがちなCRTモニター故障のナゾ
□難物トゥールビヨンの修理のナゾ
いよいよ平成19年も押し詰まってきた。ここの所、家を空けることが多く、知らない間に多くの家電品が不調となっていた。本来なら年賀状を刷らなければいけないのだが、まだ喪中のはがきがパラパラくることから、年賀状は後回しにすることとした。
故障No.1 言うことを効かない炊飯器
炊飯器がヘンだと言う。炊飯、保温はするのだが、電源が切れず、日時の設定もできない状態だ。症状からすると基本的な炊飯ロジックは保たれているが、ファームウェアのどこかが正しく動いていないようだ。
この手のパソコンのような不具合では、バックアップされている制御用のマイコンの設定データが、落雷や停電などのノイズで書き変わった可能性がある。過去にも
□Sept. 27:続、誘導雷のナゾ(FAX編)
でも同じような故障を経験した。炊飯器はさほど古くないので、マイコンをリセットすることを考える。通常はリセットのための隠しコマンドが仕込まれていることが多いが、メーカーに問い合わせるのも面倒なので、内部のバックアップ用リチウム電池を一時的に切り離すこととした。
取り外したのが写真の制御基板で、時計は設定不可だが表示は正常に見える。
中央は、黄色のリチウム電池の電極を一時的に浮かしたものだ。当然ながら液晶表示は消えるが、を元に戻したのが右の写真である。全ての動作が正常となり、新たに時計の設定も可能となった。
というわけで、マイコン機器の動作が怪しい場合は、リチウム電池を一時的にはずすなどしてマイコンをリセットするのも一つの方法である。
ただし、この手の電熱器具では配線の取り回しが重要なので、発熱部や水濡れしやすい部分などの配線の取り回しは分解しながらデジカメで写真を撮っておくと良い。
故障No.2 回らない衣類乾燥機
こんどは大物だ。衣類乾燥機のドラムが回転しないのである。この乾燥機は10数年を経ていて、寿命は期待値を大きく上回っている。Webmasterから見ても、この時代のSンヨーの白物は値段の割に品質が良かったと思う(今はどうか知らない)。
この乾燥機は数年前に一度、裏側の冷却乾燥ファンのベルト切れを経験している。その時にドラムのベルトを点検したところ表面にヒビ割れが目立ってきたのでそろそろと覚悟していたのだが、それから5年以上毎日問題なく動作してきた。この乾燥機ががんばっている間に進化の激しい洗濯機は3代目になっている。
ベルト(\2300と高い)を手配してバラすのだが、熱と振動が加わるためか非常に頑丈にできている。中央はパネルを剥いだところで、左側に見える4つの茶色いモノがセラミックヒーターである。随所にセンサーがあり、乾燥したら自動的に停止するようになっている。
本来ベルトを通すにはこのパネルもはずさなければいけないが、ベルトを潜り込ませてドラムを回せばうまく掛けることができる。写真右はベルトのテンショナーで、チャチな仕掛けのわりに絶妙なテンションがかかるようになっている。
内部には回転部分と発熱部分が有るので、配線の取り回しは厳密にオリジナルと同じにすることが重要である。配線の取り回しは絶妙に組まれているが、さすがに15年の動作で一部配線に筐体と擦れた跡が見られたので、配線と筐体の両方に絶縁を加えるとともにクリアランスを設定して修理を終えた。
やはり故障の少ないメーカーと多いメーカーの差はこのあたりの細かい作りにあるのだろう。
故障No.3 時々電源が入らないテレビ
Webmasterの部屋のテレビは未だブラウン管式の21インチである。実はこのテレビは画像が水平線になって、叩くと治る状態になったことがある。その原因は、
で紹介したように、垂直発振用ICのハンダ不良であった。垂直発振用ICは水平発振ほどでは無いが、かなりの電力を扱うので発熱する。このためICには放熱板がついているが、これが振動で揺れると基板から電極を引き抜くモーメントが発生する。これに発熱、テレビ内で発生するマイナスイオン?(オゾン)が加わり、早期にハンダが劣化してクラックが入る。
それを修理して使っているのだが、時々電源が入らなくなった。今時テレビの廃棄にはカネがかかるし、依然として動画はブラウン管の方が見やすいので、使える間は修理する理由が十分ある。
動いたり、動かなかったりということで、怪しいのは電源リレーである。これにはテレビ内部を開ける必要があるので、残留の高電圧には注意が必要だ。理想的には一晩位電源を抜いて着手することをお勧めする。
問題のリレーは写真中央の黒い長方形のものだ。UR規格のマークはあるがアジア某国製とある。写真下がその内部で、単極の単純な構造である。写真では電極のコゲまでは写っていない。
リレーの電極を目の粗い紙ヤスリで磨くのは憚られる。そこで紹介するのが新型特殊研磨紙コンタクトRである。これは、どこにでも転がっている(正確には散らばっている?)もので、白い紙に領収書とか、ポイントとか印刷(正確には感熱)されている。このタダの白い紙の表面で接点を磨くとピカピカとなって非常に具合が良い。
組み直して電源を入れたところが写真である。フォーカスも合わせてごきげんな映像である。なお繰り返しになるが、内部は高圧がかかっているので、くれぐれも取り扱い、配線の取り回しはは注意が必要だ。
故障No.3 時々動作しないシャワートイレ
次の故障は時々動作しなくなるシャワートイレである。何度か座りなおすと動作することから、着座センサーが不調のようだ。シャワートイレの写真は美しいものでは無いので、ここでは部品の写真だけとしておく。
実はH社製のこのシャワートイレには購入して2,3ヶ月の頃から不具合があって悩まされている。実は着座センサーのマイクロスイッチが原因であることは解っており、何度か接点を磨いたのだが、またすぐ不良となる。どうやら、マイクロスイッチ自体が欠陥品のようだ。
写真は下が某一流メーカーのもので、上がシャワートイレのものである。見てのように外見はほぼ同じだが、一流メーカーのものにはURマークがあり、上の物には無い。樹脂にも輝きが無く、品質の劣るコピー品のようである。
一流メーカー製のものに交換すると、その後はまったく動作不良が無い。ということは、やはりスイッチの接点の材質が悪かったのである。シャワートイレは温水を発生するので、作動雰囲気として良好では無い。電流が少ないこともあって、質の悪い接点が早期に酸化するのであろう。
うっかりしていたのだが、この記事を書くために型番をインターネットで検索すると、同じ故障が多数報告されていることがわかった。つまり製品が欠陥品なのである。修理に出しても同じ部品を使われれば治るハズがないし、水道の配管もはずさなければいけないので、部品箱にころがっていたスイッチに付け替えたのである。
個人的には、以前は重厚な作りが身上だったH社に、かくも品質に問題がある製品が存在することはショックである。さらにネットを検索進めると、H社はサイクロン機構が存在しないのにサイクロンと名前を付け、すぐゴミ詰まりする電気掃除機を販売しており、消費者だけでなく、まじめにサイクロンしている同業他社にまで迷惑をかけていることを知った。
というわけで、H社はもう昔存在したH社では無いのである。今は日本ブランドにも油断がならない。これは、製品の品質までがグローバルレベルになった?あるいは落ちた?というわけで、あぶない時代になったものである。
コンスーマーレポートのような信頼できる消費者雑誌が乏しい日本では、購入前にインターネットでトラブルを検索しておく事が必要なのかも知れない。とくに高価な製品、重くて動かし難い製品などで欠陥があると被害が大きく、修理に日時と手間がかかるので、特に注意が必要である。
妙に暖かい日が続いているが、それでも季節は着実に冬に向かっている。とすれば、毎年恒例のファンヒーター、次に発電機EB550、そしてクルーザーのメンテが待っている。
4台の年代物ファンヒーターのメンテはちょっと気が重い(要するに面白くない)のでしばらくはエアコンで凌ぐことし、始動に不安がある発動機のメンテに着手することとした。不具合の如何にかかわらず、エンジン物はメンテ後に調子よく噴き上がるカタルシスが魅力である。
発電機については、
でも取り上げたのだが、保存方法は悩ましいものがある。以前はキャブのフロート室のガソリンを抜く通常の方法をとったのだが、そうするとニードルバルブからコックの間に残ったガソリンによってニードルバルブが固着し、オーバーフローとなった。
その後はガソリンを抜かずに2,3ヶ月毎に始動するオーソドックスな方法をとったのだが、8月に始動したときにかかりが悪く、また回転がわずかにハンチングしていた。この手の発電機は周波数、つまり回転を一定にするためにガバナーが仕込まれているのだが、ハンチングするということはキャブのどこかが詰まり気味ということである。
で、早速整備である。この発電機はバブル期の設計で左右のカバーと取っ手がダイキャスト製なのだが、キャブまわりが狭く整備がやりにくい。明らかな設計ミスだと思われるのは、ダイキャストにひっかかってキャブが外し難いのである(エンジンをひねると抜けるが燃料のエルボーが壊れる可能性がある)。
その代わり、ジェットはキャブの底では無く、手前に向いて付いているのがしょぼい設計に対するせめてものメーカーの罪滅ぼしなのだろう。手順として、エアクリーナーをはずしてキャブが少し動くようにしておくと手が届きやすい。
写真はフロート室のカバーをはずしたところで、ジェットが前を向いているのがわかるだろうか。カバーの底にはガム室が付着しているが、これをキレイにしておかないとガム質がガム質を呼んでジェットが詰まりやすくなる。右側のレバーはガバナーで、これが一定の回転数になるようにキャブの開度を調節する。
写真左がジェットの状態で、緑色のガム質で詰まっている。これを銅線をほぐしたものでジェットの口径を変化させないように掃除したのだが、ジェット全体が汚い。そこで、サンポール浸漬15分の刑に処したところが写真右である。
これも反省なのだが、単にジェットの穴をつついて開けるだけでは、ジェット周辺のガム質が成長してすぐ再度詰まるので、全体をキラキラの状態にすることが重要である。かといって、雑に掃除するとジェットの穴が大きくなるので、テグスや銅線など柔らかいもので掃除する必要がある。交換の目安だが、ジェット穴がスポンジ状に腐食していなければ再使用が可能である。
というわけで、発電機は完調となり、気になるハンチングも消えた。やはりジェットが詰まり気味で、ガバナーがキャブを開けても十分なガソリンが供給されず混合比が薄くなって失速し、回転が低下すると混合比が濃くなって回転が回復をすることを繰り返していたのだろう。
これでどんな災害が来ても、5時間ほどの電力は保証されたわけである。あとは自動車からガソリンを調達すれば数日の電力は確保できるし、カセットコンロを使えば調理と暖房が可能だ。あとは食料と飲料水があれば数日は籠城が可能であろう。
これがあればどこでも車やクルーザーの修理のために電動工具を使えることが有り難い。インバーターが無い旧式のため、電動工具などの少々の過負荷にも耐えることが利点でもあり欠点でもある。何より発電機がある安心感は何事にも代え難い。
しかし、正直を言うと簡単な整備ではあるが、毎度毎度のキャブ掃除は面倒ではある。やはり今後はソーラーバッテリーなどの他の手段を講じるべきなのかもしれないが、果たしてWebmasterの能力でハイテク機器が修理できるのか、自信が無いのである。
さて、このEB550は国内では絶版となっているが、末裔(EB650)は依然として世界中に発売されている。発電能力は同じなのに、型番が大きめなのはハッタリであろう。自動車でもバイクでも輸出用は型番の数字が大きいのがお約束である。
さらに、同じエンジンを使った製品ながら、開発途上国では灯油仕様(EBK550)もある。これには、燃料タンクがガソリン用と灯油用の2つがあって、始動はガソリンを使い、その後は灯油を使用する。ガソリンタンクは始動専用なので、容量は0.27Lと小さい。さらにはLPG仕様(EB550GP)まで存在する。
ということは、EB550も点火プラグの熱価を変えれば灯油が使えるはずである。この発電機のエンジンはサイドバルブ式という最も古典的なものだ。シリンダー頂部から横にポートがあり、そこにクランクシャフトと同じレベルにあるカム軸から上方に突き上げられて開く吸気バルブと排気バルブがある。
サイドバルブ式では圧縮されない盲腸のようなポートがあるために圧縮比が低く、燃焼室の表面積も大きいために熱損失が大きい。しかし、圧縮比が低くエンジンが冷えやすくいために灯油を使うことができる。これは、要求オクタン価の低いロータリーエンジンが灯油や水素ガスでも動作するのと同じ原理である。
つまり、旧式のエンジンだからこそ石油が使えるわけで、サバイバルという点でエンジン進化のパラドックスとも言える。とすると、将来石油資源が枯渇してマッドマックスやウォーターワールドのような時代になっても、粗製な原料でも使えるということである。そう考えると、旧式のエンジンにも俄に愛情が湧いてきた。
いままで石油製品は品質が向上する歴史が続いてきた。しかし1バレル100ドルを越える時代となり、あるいは近い将来には質の悪い石油製品しか入手できない時代が来るのかも知れない。そういう暗い未来の可能性も視野におきつつ、次回ジェットが詰まった時は、修理がてら灯油駆動も試してみようと考えている。
最近はサスペンションやオーディオに手が入ったお陰で、俄に若返った190Eである。かなり運転が楽しくなったのだが、問題はヘッドライトの暗さである。Webmasterが老化したこともあって、雨の夜の運転は億劫だ。
とすれば、最近手頃になってきたHIDへの換装を、と考えるのが普通だろう。190Eは2灯式のH4だが、市場を当たってみると、H4には4種類あることがわかった。
1)ハイ用、ロー用と2個バーナーを仕込んだもの。理想的ではあるが高価であり、バーナー、バラストも特殊なので補修品が入手できるかどうかわからない
2)一つのバーナーがハイ、ローで首を振ったり伸縮する物。これが主流だが、駆動機構のためにお尻が出っ張っており、またメカ的な故障もあると言う。
3)ロー用にバーナー、ハイ用にハロゲンを仕込んだもの。故障は少なそうだが、ハイは旧来の明るさである。
4)ロー用一個のバーナーしか無い物。故障は少なかろうが、ハイが全く無いと困ることもあるだろう。
当然、2)の切替式が候補なのだが、190Eの場合は細工が必要だ。というのは、バーナーのお尻がハウジングに当たるだけでなく、そのお尻がレベライザーによって首を振るのである。ということは、ハウジングに大穴を開けてお椀のようなもので塞がないと、水やゴミが入ることになる。
どう細工するか思案するために、ハウジングを開けて前後のクリアランスを見てみることにした。ついでにガラスレンズを掃除すれば、3dB(堀越氏の説)明るくなるだろう。
190Eの場合はウインカーと下の飾りをはずすと、ヘッドランプを固定している3個のネジが見える。上2個のネジの輪郭をマークした後にはずし(光軸調節がラクになる)、ツメが折れないように注意深くはずして前に傾けると、隙間からガラスを掃除することができる。掃除しながらランプの構造を観察すると、重大なことに気が付いた。それは巨大な遮光板である。
最近はガラスレンズではなくて反射鏡の形状で配光を決めるマルチレフレクタータイプが主流である。しかしこのタイプは設計が悪いと、余計なグレアがレンズで拡散されずに出ることは、
で指摘した。このため、最近はマルチレフレクターであっても、反射鏡はグレアの少ない真円のものが増えてきた。良く観察していただくと、H4のランプが直接見えるものと、遮光板のために見えないものがあることに気付くだろう。
通常ロービームの時はフィラメントから上向きの光束のみが利用されるが、一部はランプの台座付近に反射して、中央付近にわずかに漏れる。従来のガラスレンズに依存するタイプでは中央にこれを拡散するためのレンズを仕込めば眩惑は小さいが、レンズにパターンが無いマルチレフレクターでは気になるところである。
といっても、現在販売されている車のおよそ半数には遮光板がなく、ガラスレンズも素通しだが、車検でも何の問題も無い。そもそも遮光板は必須ではないのである。
ところが190Eに限らず、このころのメルセデス車には写真のような直径6cmの巨大な遮光板があり、光束をムダにしている。これが無くなればハロゲンでも明るくなるのではないか?遮光板があると、HIDの先端が当たる可能性もあるし、換装しても明るくならない可能性もある。
さて、この遮光板はつまんでひっぱると簡単に取れる。自らの弾力で挟まっているだけで、戻すこともできる。これをはずすと、ガラスレンズの下方(ハイビーム)からランプが透見できるようになった。
その効果はフェノミナルである。ハロゲンってこんなに明るかったのかと思うほどである。ロービームでは以前と異なり上下の境目がスパっとはっきり分かれるようになった。以前は遮光板でロスした光束が乱反射してボケた光を散乱させていたのであろう。当然ながらハイビームも明るくなり、夜間の不安も減少した。このため、怠惰なwebmasterのHID換装計画は延期になってしまった。
さて、メルセデスはこんなボケたヘッドライトをつけていたのだろうか?。当時メルセデスのヘッドライトは暗いというのがもっぱらの評判であった。しかし、暗いのにはそれなりの理由があったのだろう。
WebmasterがスターレットやRX-7で元気に走っていた(運転が苦にならなかった)80年代初頭には、ハロゲンヘッドランプは禁止されていた。当時は一般道も高速も車が少なく、交通量の少ないところで先頭になるとSAE規格の暗いシールドビームでは心細かった。
そこでWebmasterは、ご禁制の輸入品(マーシャル)を、なけなしのお小遣いで購入した。当時、市場には未認可のハロゲンが溢れていた。これは国外品のため、ロービームのキレがほぼ水平になっていたので、ランプハウジングの固定用出っ張りを削って、左上がりになるように回して固定して使っていた。
一度ハロゲンの威力を味わうと元には戻れない。そうこうするうちに、またまたご禁制の○PFの逆輸出品が手に入った。これも不思議なことに、未認可品ながら潤沢に流通していた。これはレンズがほぼ素通しで、ハイビームの遠投能力が強かった。そこで、右に遠投能力の高い○PF、左に配光が良いマーシャルをつけて、やっと安心して走ることができたのである。
当時これらの製品は規制の15000カンデラを越えていたと思う。そこで多くのユーザーは、車検の度にシールドビームに戻し、車検後戻して光軸調節をする、という面倒な儀式ををやっていたのである。
その後、国産でもハロゲンが許可されたが、15000カンデラという規制のため、反射板もしくはレンズ、遮光板で光量が規制値以下に落とされてようで明るくなく、依然として輸入品が流通していたのである。
問題はこれだけでなく、当時は光軸を走行中に調節できるレベライザーが禁止されていた。欧米ではトレーラーを牽引したり、荷物を満載することがめずらしくなく、輸入車の多くはレベライザーを装備していたのだが、日本では輸入後にわざわざ無効にされていた。
これにも明確な法的根拠は無く、その後すぐに許可されることになった。禁止の理由は、レベライザーが正しく操作されていないと前の車を幻惑する?、とか大きなお世話だったらしい。Webmasterは、メルセデスのヘッドライトが暗いのは、光量規制とレベライザーを許可してもらうため、わざと暗目に設定されていたものと信じている。
HIDにしても、道路運送車両法では未だ15000カンデラの規制が残っているが、国土交通省保安基準は225000カンデラ以下とのことで、既成事実に対抗できず黙認されている。ハロゲン採用には長々と抵抗したくせに、HIDは基準を越えるにもかかわらず比較的早期にと黙認となった。輸出立国の立場上、グローバルな規制に国内規制を合致させる、という国際的な約束のためらしい。
以前のオーディオやサスペンションも同様であるが、車の部品のいくつかは、本来の能力を発揮せずに一生を終えてしまうのである。いや、この車だけでなく、現在売られている車の多くの部品が、そのポテンシャルを発揮しないまま廃棄されてしまうのである。
俄に眼光が鋭くなった190Eを見ると、まだまだこの旧車にも本来の能力を発揮していない部分が多数あるのでは無いかと思えて来た。どうやらこの車とは長い長い付き合いになりそうである。
先日の山本式方向性ダンパー+風水サスペンション変造により俄に若返った190Eであるが、その純正オーディオは実にショボイものである。
オールロジックコントロールのチューナー+カセット+4アンプのヘッドユニットの品質は並だが、スピーカー、特に後側はダブルコーンでも2wayでも無く、磁石も小さい。CDチェンジャーがFM経由なので音質がショボく、とても音楽を楽しめる状態ではなかった。まあ、ステレオラジオといったレベルである。
と、ある日その音がさらにショボくなっていた。調べると、後ろの右側のスピーカーが鳴っていない。アンプが飛んだのかと思ったが、スピーカーの網線とボイスコイルの継ぎ目が切れていた。通常はハトメで止めている部分が接着剤だけだったので、剥がれて切れたのである。
あまりのショボい作りに修理する気にもなれず、市販のありがちな16cm級スピーカー(P社)に付け替えたところ、俄に音がよくなった。期待していなかったFM放送でも十分な低音が聞こえる。とすると、FM放送より劣る音質のCD入力をなんとかしなければいけない。
これを解決するには、このヘッドユニットに直接信号を入力すれば良いのだが、ユニットにはAUX入力が無い。純正CDチェンジャー用のRCA入力端子があるのだが、純正チェンジャーとのシリアル通信が成立しないとミュートされたままで役にたたない。
昔からこの業界は閉鎖的で汎用性が低い。これは、チェンジャーなどの付加装置のインタフェース規格を各社とも非公開の独自規格とすることで、乏しいシェアを囲い込んで来たからである。メーカーやシリーズが揃わないと単なるコントロール不能のゴミにすぎないのだ。
幸い、最近はiPodの普及によってCDチェンジャーが存在価値を失うと同時に、突如パネル面に禁断のAUX入力が出現した。今はカーオーディオもナビのオマケにすぎないというレゾンデートルの危機に瀕して、やっと汎用性が確保されたのである。
さて、この古いヘッドユニットをどうするか、である。最近は1万円ほどでCD+チューナー+アンプが手に入る。CD-RのMP3やwindowsMediaファイルも認識するし、パネルにもAUX端子があり、アンプもMOS素子で50Wx4と強力なので、通常はこれに更新すべきだろう。
問題は、古いヘッドユニットしか電動アンテナをコントロールできないことだ。また国産と違ってハーネスキットが無いので、10本以上の線を加工する必要がある。また、最近の場末のキャバレーのような液晶は旧車にはミスマッチである。
どうせ多数のハンダ付けやギボシ加工をするくらいなら、古いヘッドユニットをiPOD対応(要するにAUX端子を強制増設)にすれば良いのでないか?トータルとしてのリスクは漏電や接触不良、接続ミスの可能性があるハーネス細工より少なく、音質的にもベストではないか、というのが甘い期待であった。
しかし、開けてみるとヘッドユニットはマイコン制御のため、信号の流れを掴むのが難しい。オールアナログであれば、ボリュームの端子を拉致し、そこから強制的に信号を押し込めるのだが、このユニットでは入力切替(AM、FM、カセット、CD)がアナログスイッチであり、音量や音質、バランス、フェーダーもすべてマイコン制御である。
これらの機能を生かしたまま入力を奪うためには、アナログスイッチと電子ボリュームユニットの間で配線を切り、切替スイッチを挿入して入力を押し込めば良い。
純正CD入力からのパターンを追うと、CD4052なるアナログスイッチが見つかった。ネットでデータシートを当たると、出力は3番と13番のハズだが、CADで描いたらしいムダなランドばかりで、パターンが非常に読みにくい。
パターンでは一点アースは全く守られておらず、ジャンパーと抵抗値000のチップ抵抗で無数の望ましくないループがつくられている。写真で緑色の000チップが無数にあるのがわかるだろうか。これが全てジャンパーなのである。基板中央にもCPUが鎮座しており、アナログ系統とデジタル系統のパターンの分離がうまくない。
CPU付近にはカセットのヘッドやドルビー回路が配置されており、カセットが非常にノイジーだった理由が今になって納得できた。Technicsの名を冠するには低レベルで、まだCPUや表示回路のデジタルノイズの影響が考慮されていなかった頃の作品である。
基本的にステレオであることから、パターンを読むには同じ値のCRや似通った部品番号が並んでいる箇所が手がかりとなる。ちょうど、写真のアナログスイッチ左側に同じ値の黒いチップRが並んでおり、そのパターンを追うとオーディオグレードのCを経由して電子ボリュームユニットに入力していることが確認できた。
そのCの直前で入力をインターセプトしたところが写真である。このヘッドユニットには中央に大きく重いロジックコントロールのカセットメカが鎮座していた。これを取り払ってもチューナーは正常に動作するし、iPODの時代にはチューナーとアンプ以外の価値は無いのである。
メカとその電源ユニットを取り外すと内部もひろびろとしており軽くなった。ノイズをばらまくカセットメカが無いことで、電源のマージンも増えて音質にも有利だろう。切替スイッチとRCAのメスのハーネスをカセットの部分から外に取り出したまま車に戻して、ひとまず試聴である。
ポータブルCDを接続してみると、低域と高域のレンジが広がり賑やかな音になった。低音の効いたストリート系の曲を鳴らしてみると、16cmユニットもかなりの大ストロークに耐えて十分な低音を発生するが、それでもアンプの出力には余裕がある。
思えば、このショボいヘッドユニットも、さらにショボかったスピーカーが数ワットで飽和していたため、今まで実力を発揮していなかったのである。いわゆる、丙丁つけがたい、というやつである。
最終的に使い勝手と信号の左右、位相などを確認してダッシュに納めたところが写真である。カセットのフタの切替スイッチがシャイニーなのが興醒めだが、時代遅れな車には時代遅れのドライバーと時代遅れのヘッドユニットが良く似合う。
このように、信号の入力点さえ判明すれば変造は容易である。アナログスイッチ付近の解析に少々時間がかかるが、ボリュームまでフルデジタルのヘッドユニットはあまり無いので、殆どの機種で入力ポイントが見つかるハズである。工作は10本以上のハーネス加工よりラクだし、音質的にもアナログスイッチを経由しないので有利である。
細工の途中でユニットを壊すこともあり得るので、同じユニットが入手できるのかネット検索してみたのだが、何と未使用のカーオーディオが山のように出品されている。いずれもモデル専用のダッシュパネル(非DIN規格)に工場で組み込まれたものが、オプションのナビやオーディオに追い出されて、放出されたのである。
新品同様でもったいないのだが、パネルが特殊で汎用性が無いため、誰も購入しない。”個性的”なダッシュボードのために多くの電子機器が生まれたまま、一度も使われずに廃棄される時代なのである。今やカーオーディオもアパレル同然なのである。
その意味で、極限まで能力を絞られるこの骨董ヘッドユニットはまだまだ幸せなのかも知れない。もしお気に入りのヘッドユニットがあったら、iPOD対応変造して、ダイレクト入力の音質を味わうのも一興である。
P.S.
この状態でテレビ塔の下を通ると電波の混入によるバズ音が入った。ありがちなフェライトフィルターを挟むことで解決したので、同様の変造を計画される方にはあらかじめ手配することをお勧めしたい。
子供が血相を変えてやってきた。なんでも大学で関数電卓を無くした、というのである。理系の学生で無二の道具であり、これ無しには単位取得は難しいかも知れない。
それでどんなのを無くしたのか、と残された説明書を見ると、これがWebmasterが30年前にその登場を目撃したピタゴラスシリーズの末裔であることを知った。しかし、この末裔は30年もたっているのに大きな進歩が見られない。唯一の進化は価格が1/3になっていることだけか。
”こんなものを使っているんじゃ成績が悪いのもあたりまえだ、パパの秘密兵器はこれだ!”
とごそごそ出してきたのがS社のPC-1245である。
実際には関数電卓ではなくてBASICの走るポケコンなのだが、その関数電卓機能は非常に強力である。わざわざBASICでプログラムを組むまでもなく、複雑な関数計算は全く式のまま関数や数値を代入すれば良い。あまりの便利さにNYでも使っていた。
しかし、である。液晶がニジんでいる。しかし、この手のニジミは山本式液晶再生法で治すことができるかも知れない。見極めとしては、ニジミと正常な部分がはっきりわかれておらず、グラデーションになっているものなら可能性がある。
一方、ニジミと正常な部分がはっきり分かれている場合は液晶容器が壊れている可能性があるのでダメかもしれない。
まず修理法を理解するには液晶の原理をしらなければいけない。液晶には極性を帯びた有機物質が封入されており、それは通常はバラバラに配列しているが、液晶の裏表から電場をかけると整列する。バラバラの時と整列した時では光の通り具合(偏光面)が違うことで画像を作っている。
この手の機器に使われている反射式の液晶の表面には偏光フィルターが貼ってあり、通常では入射面から入った光が同じ偏光面で帰ってくるので透明だが、電場をかけたときに反射光の偏光面が回転して黒く表示される。
問題は使わていれる物質がイカのコレステロールから進化したネマティック有機物であり、温度特性が良くないことである。バターのように低温では反応が遅くなり、また高温では表示が薄くなる。北米などの寒冷地の携帯端末で未だLEDが使われているのはこの理由による。
そして、長い保存の内に液晶が電圧をかけたのと同じ方向に配列したまま固定してしまうことがある。これが液晶のニジミである。もし液晶物質が漏れていなければ、穏やかに加熱すれば再度液晶分子がバラけてニジミが治るというのがその原理である。
問題は温度だ。当然ながら液晶が沸騰するような温度では容器がパンクしてしまうので、お勧めは50度程度で処理時間は2〜3時間である。多くのTN液晶は定格として動作範囲0℃〜+50℃、保存範囲-10℃〜+60℃となっているので、絶対に60度を超えないことが重要である。
写真が白熱電灯で暖めている様子だが、くれぐれも温度が上がりすぎないことに注意して欲しい。60度とはアッチッチではなく、ちょうど玉露がおいしい温度である。
さて処理後の画像が写真の通りである。まだムラは少々のこっているが、十分使える範囲である。この程度のニジミは通電するうちに装置の発熱で次第にとれてくるので、使用範囲と判断したらそこで止めるのが無難である。
さて、ピタゴラスに慣れた子供に使い方を実演するとかなり驚いたようである。しかし、このポケコンの真価は関数電卓機能ではなく、もちろんBASICにある。
Webmasterが学生のころはBASICがハヤっていて、多くの学生が実験課題のプログラムをシコシコ入力していた。というよりも、プログラムすることで場合によっては徹夜となる実験と解析が早く終わるので、必要にせまられて使っていたのである。
現在はどうだろうか。厳しい中学校では技術家庭でかなり難しい課題があるようだが、大学生になると不思議なことに電脳の能力が著しく低下している。おそらく入試にこの手の課題が採用されないからであろう。
過去Webmasterは共通テストの監督を長らくやっていた。監督中に問題をチェックするのだが、学科により難易度にムラがあり、平均点数にして10点以上違うのである。しかも、難易度のムラは毎年同じ傾向でありながら、何年も放置されたままなのが、現代の不思議の一つである。従って学生が選択する科目は決まっていて、それが高校のカリキュラムまで偏向させることになる。
一方、最近の学生は、このように難易度にムラのある課題をマルチタスクとコミュニケーション能力で解決するようだ。連中は携帯やネットを用いて情報の収集、課題の分散など、いわゆるネット型分散処理に長けているのだが、個々のプロセッサの能力はむしろ低下しているようだ。
そういえば$ONYの新しいゲームマシンは、分岐予測やアウトオブオーダー処理の弱い単純なコアを多数ならべて処理速度を稼ぐようだが、これも最近の学生に似ているのかも知れない。このような場合は、試験対策委員とよばれるリーダーの処理分配能力が重要なファクターとなる。
現在もWebmaserは試験課題を作成するのだが、最近はそんなマルチコアCPU、いや学生たちが処理しやすいように、お友達が知恵を結集して、結果クラス全体の点数が高くなるように心がけている。
つまり、過去問題調査、答え作成の分散処理を十分にしていただき、その結果を紙に書く瞬間に覚えていただけばいいのではないか、と考えるからである。というのは、試験科目が20以上もあり、しかもその内容は毎年増えているので、少しでも彼らの能率をあげてやりたいからである。
従って、問題は短く完結した文章題の穴埋めであり、文章自体はほぼ同じだが穴埋めの場所が毎年変化する。しかし、漢字の練習を兼ねて穴埋めは自筆で埋めさせる。別に勉強をしていなくても、試験のときに漢字で答案を埋めることで知識を視覚野、運動野と連動させて脳に固定していただくのである。
ただし、試験対策委員の分散処理が不適切であると、クラスの殆どが同じ間違いをしてしまい全体の平均点が下がってしまう。これもマスコミのバラ撒くデマゴーグがもたらす結果の縮図を見るかのようで、多くのバリエーションを持つ変体少女文字とともに、採点時の楽しみのひとつでもある。
さて、前回の変造で操縦性が一変した190Eである。もともとダルな操縦性に設定されているので、どうしようも無いのだとwebmasterも思い込んでいたのだが、15年たった旧車のポテンシャルはもっと高いところにあったようである。
ダンパーのアッパーブッシュを強化したことで乗り心地が締まることは予想通りだが、まるでステアリングギアボックスの減速比が変わったようにシャープに感じられるのは意外であった。
理由としては、微小ストローク域でダンパーが作動するために、ステアリングからタイヤへの伝達がスムーズになり、タイヤのコーナリングパワーが素直に立ち上がることが考えられる。サスペンションが緩いと、ステアリングを回しても4輪のサスがそれぞれ微妙に逃げ、タイヤは向きを変えないのである。
例えば、フロントタイヤの方向を司るナックルは通常車輪の後ろ側についている。ナックルに接続するタイロッドは直線走向時にはほぼ水平に保たれるので、サスがバンプしてもリバンプしてもタイロッドに角度が付きナックルを内側にひっぱるためにタイヤはトーアウトとなる。このため、例えば右にステアすると左前車輪に荷重がかかりバンプするとタイヤの操舵は意図したよりも少なくなる。
一方、最近のマルチリンク化されたリアサスは、バンプするとトーイン、リバンプするとトーアウトとなるよう設定されている。これはカーブで荷重がかかりバンプする外側の車輪がトーイン、内側の車輪がトーアウトとなり、オーバーステアを防ぐためである。
従って、通常走行時にわずかにステアしても、ダンパーの減衰力が立ち上がる前にブッシュが先に撓むことでロールが発生すると、それぞれのサスはドライバーの意図より車を安定させる方向に逃げてしまうのである。
先のトピックではフロントサスのアッパーマウントを伸び側だけ強化したがのだが、わずか1cm角のゴムを挟んだだけで路面の不整は心地よいレベルの留まると共にステアリングの反応はかなりシャープになった。しかしリアからはフロントに比べと路面の不整を殆ど伝えてこない程度なので、若干リアのブッシュも強化する必要があるのでは無いか、というところで今回の変造である。
今回の材料は写真のようなもので、座金の厚みは1mmである。これを今回はリアダンパーのアッパーマウントに挟んでブッシュのプリロードを強化した。黒い物は純正のリアブッシュで自由長は17mmであり、これをペンチで力一杯圧縮すると10mm程度まで潰れる。従って厚さ1mmの座金を入れるといい加減な計算では15%程度プリロードが強化されることになる。
手順は非常に簡単である。まずトランクの内装を剥ぎ、ダンパーの取り付け部を露出する。ダブルナットをゆるめ、軸に写真のように座金を挟み、あとは元のように締めるだけである。走向安定性に影響が大きい部分なので、ダブルスパナで確実に締め付ける必要がある。
早速試乗であるが、路面の不整に対する反応は1枚ではあまり変化は感じられないが、2枚でちょうどフロントとバランスした感じである。フロントの1cm角のゴムの影響も驚くほど大きいが、リアブッシュのプリロードの2mmの強化も影響が大きい。
練り物を型にはめて加硫して作られるゴム部品には、もともと硬度やサイズのバラツキが避けられない。また常時荷重がかかる部品なのでヘタリも速い。ブッシュのわずかなプリロードの差は操縦性に大きな影響があるので、我々もタイヤ空気圧のようにブッシュにも愛情をもつべきであると思う。
なお、締め具合であるが、路面の不整を車体にトントンと感じるが、人や物が揺すられない程度が適当である。言葉の表現は簡単だが、実際にはご自分で調節して頂くしかない。トヨタのようにブッシュをひょうたん型にして潰れ代を大きくとっている場合は多めの枚数が必要になるが、コンベンショナルな単なる輪状のブッシュでは2,3枚あたりが適当だろう。
さて、前回のトピではブッシュの縮み側のみを強化する変造を紹介した。今回の変造では、車体板金より下側、つまりバンプ時に圧縮されるブッシュも同時に強化されることになる。しかし、ブッシュの受けの座金の形状を工夫することで、方向性や強度の非直線性をねらうこともできる。
190Eでは板金を挟む2つのブッシュは同じ部品を使っているが、細かいシカケで方向性を出している。図はリアサスの板金付近を示しているが、板金の車内側だけにU字型に受けが溶接されている。これにより上側のブッシュが圧縮されても幅の膨らみが拘束されるため、伸び側の強度が高くかつ非直線的に立ち上がるように工夫されている。
この時代のメルセデスには、小さなブッシュひとつにも細かい注意が払われていた。しかし、しかし、である。トヨタの場合はU字型の受けは下向き、つまりバンプ側に付いており、一方伸び側のブッシュはひょうたんの形をしていて大きな撓みを許容している。
つまり、縮み側が堅く伸びが側がゆるゆると、メルセデスとは逆の設計なのである。Webmasterは理解に苦しむのだが、故意に微小ストロークでダンパーを動かさず、むしろ積極的にゴムにダンパーの身代わりをさせる設計であることは間違いない。
というわけで、操縦性というとわれわれはすぐタイヤ、ホイール、ダンパー、サスアーム類のブッシュに目が行きがちなのだが、ダンパーについているちっぽけなブッシュの特性はさらに大きい影響があることを理解しなければいけないのである。
Webmasterの190E(92年モデル)は11万キロを越えて20万キロを目指して距離を稼いでいる。手元に来てから前後ダンパー、ブッシュ、ジョイントブーツ、エバポレーター、エアコンコンプレッサー、ファンモーターなどを交換しているが、調達済みのエンジンマウント、ミッションマウント、コンパニオンディスク、燃料ポンプ、燃料フィルターなどは予定より劣化が遅く、出番をまっている。
車のハンドリングを大きく変えたのはダンパーである。リアは純正と同じSachs製で、フロントはモンローのReflexを付けたのだが、これは堅すぎだったようだ。説明では純正より約30%程度堅いとあるが、おそらく直6やディーゼル仕様に対する強化であり、直4には堅すぎてマウントが負けているようだ。
190E(W201)は多くの部品をW124と共有しており、また部品の多くはW202、W210などでも使われている。純正品もOEM品も、またアフターマーケット物も次第に型番が整理され、より後期のモデルの型番がつくようになっている。本来ブッシュやダンパー類もエンジンや車重によって使い分けられていたのだが、モデルが進むにつけれて最も堅いものに整理される傾向がある。
実際にはW201とW124のフロントサスのストラットは寸法的には全く同一でダンパーの減衰力のみが違うのだが、いくつかの社外ダンパーでは同じ型番が対応していることから、車重が軽い車にはオーバーダンピングになっている雰囲気である。
ダンパーは堅ければいいというわけではなく、堅いダンパーは微小なストローク域では伸縮し難く、かわりにブッシュ類が伸縮する。そうすると、低速では路面の不整でポンポンと弾み、高速では路面の継ぎ目などのゆれが長く続くことになる。これに対しては、
□April 6:風水サスペンションチューンのナゾ
で示したように、ダンパーのアッパーマウントのブッシュにプリロードをかけることで緩和できるのだが、ダンパーのバンプ(縮)リバンプ(伸)の両方のブッシュ硬度を上げることになる。
ダンパー強化では、バンプ側よりリバンプ側を強化するのが基本である。これは、
1)バンプ側を強化すると路面の不整に対して乗り心地が悪くなる。一方、
2)リバンプ側を強化すると、車体を低く安定させる方向に働く、という性質がある。
そこで問題はフロントダンパーのアッパーマウントである。この車はストラット式だがスプリングは別体になっている。通常の荷重ではダンパー上端はゴムで支持されているが、マウントの上下に金属製のストッパーがあり、これはジャッキアップするとか、あるいは車がジャンプして接地する場合以外はマウントの金属枠には接触しない。従って普段は隙間が空いている。
そこでマウントの金属枠とストッパーの隙間にぴったりの厚みのゴムを挿入すれば、リバンプ時だけマウントのゴムの硬度を上げることができるはずだ。
それはダンパーの伸び側を強化したのと同じであり、乗り心地を悪化させずに締まった乗り心地になるのではないか、というのが今回の計画である。
そこで、写真のように間に隙間に灯油缶のパッキング(厚さ3mm)を挟んでみた。
さっそく試乗だが、これは明らかな失敗であった。走り出すと、ナビや電波探知機など室内のものがビリビリと振動を始め、道路の不整がゴトゴトとボディーに伝わってくる。ステアリングは軽く、まるでカートを運転しているようだ。
翌日高速で郊外まで出かけたが、高速ではゴトゴト感はなく快適である。路面の継ぎ目などの揺れも一発で収まるだけでなく、ステアリングがシャープになり、まるでステアリングの減速比が小さくなったかのようである。感覚的なステアリングの切れ具合というのは減速比だけでなくシャーシ全体の反応性に大きく影響されるのである。
カーブにもノーズが素早く入って行くので気持ちがいいが、ハンドリングが過敏になった気がする。気持ちの良かった高速から降りると、低速では再度カートのようにゴトゴト振動が伝わり快適とは言い難い。
Webmasterとしては、やわらかい灯油缶のパッキング(3円くらいか?)を挟んだだけで、こんなに車の挙動が変わるとはびっくりである。車の挙動を左右するパーツとしてはちっぽけだが、かくも影響が大きいものなのだろうか。
そこでプランBとして、同じゴムを1cm角と小さくして挟んでみると、ちょうどいい感じである。走り始めると明らかにハンドリングはシャープだが、道路の不整はゴトゴトではなくトントンという感じで、揺れが一発で収まる。夜になるとライトの水平線の揺れが素早く収まるのがよく分かる。
小さなゴムが金属枠のゴムに小さな面積で接するため、硬度の上昇が緩やかではあるが、確実に効いている。わずか1cm角のゴムの操縦性にもたらす変化はかなり大きい。
さて、これを国産車に応用するには注意が必要である。それは一口にストラット式といっても、アッパーマウントとストラットの回転に対して3つのタイプがあるからだ。それは、
1)ストラットのダンパーの軸がアッパーマウントに直接固定されており回転しない。転舵時には、ダンパーのピストンがダンパーケースに対して回転する。190Eはこれである。構造は簡単で剛性も高いが、ダンパー軸やオイルシールの負担が大きくなる。ストラット式でもスプリングがトーションバー式や別体になった欧州車に見られる。
2)ストラットの上部にスプリングがついている通常のストラット式で、ダンパの軸はアッパーマウントに固定され回転しないが、スプリングの上側のお椀(サポート)はベアリングでアッパーマウントに対して回転する。ダンパーのピストンはダンパーケースに対して回転するが、スプリングはストラットケースと一緒に回転する。
3)ストラットのダンパー軸はスプリングの上側のお椀とともにベアリングを介してアッパーマウントに固定される。従ってダンパーの軸はストラット全体やスプリングと一緒に回転する。国産車に多い形式でステアリングが軽くなるが、古くなるとコトコトとガタの音が出ることがある。
この見極めは簡単で、アッパーマウントを貫通しているダンパーの軸が転舵時に回転するかどうかを見れば良い。回転すれば3)であり、回転しなければ1)か2)である。
3)のタイプでマウント硬度に方向性を持たせるのはちょっとやっかいであるが、1)か2)のタイプであれば、ダンパー軸の固定ナットを長いものに変更し、ナットの上部に適当な水平板を固定して、マウントの金属枠との間にゴムを仕込めば実現できるが、何よりストラット式の構造に十分な理解が必要なことは言うまでもない。
また、リアダンパーのようにダンパーの軸が回転せず、上部に突出している場合は、ダンパー軸の上部に水平に金属板を固定し、それとボディーの間に適当なゴムを仕込んで、ダンパーの伸び側だけ効くようにすれば良い。
この変造でのリスクというのは無いが、ボディーがヤワな車には向かないだろう。そもそも、ボディーがヤワな車では、サスをどんなに強化しても、何ら良い効果は得られないので、むしろサスもヤワなままの方がマシである。そもそもマテリアルを選ぶことが一番重要である。
現在は市販車にも強化サスペンションの仕様があり、またアフターマーケット品にも多くの強化サスペンションが販売されているが、ダンパーのアッパーマウントの硬度が低いままでは効果が得られないばかりか、低速ではポンポンはずみ、高速では後席の人間が車酔いする、という最悪な結果になりかねない。
なかでも、大メーカーの量産車でありながら、オプションの強化ダンパーに標準車のヤワなアッパーマウントを組み合わせている例が少なからずある。特に、車室を広くするためにスプリングをストラットの下部に仕込み、スプリングの上側のお椀がリアのアッパーマウントまで長く伸びている車種で、アッパーマウントの構造が複雑になるために一種類のマウントで間に合わせている場合がある。
メーカーのやっていることには大きな矛盾がある。自動車のカタログには、”この強化ダンパーは微小ストロークでもスムーズにストロークするようにオイルシールに工夫をするとともに、微小ストロークから減衰力が立ち上がるようにバルブに工夫がしてあります”と書いてある。
しかしながら、一方では乗り心地職人?が、ダンパーが微小ストロークで動作しないように、わざわざアッパーマウントのゴムにひょうたん型のくびれを入れて売っているのが現実なのである。それで経験の浅いユーザーは一見のりごこちが良いように感じるのだが、後席の家族は車酔いに苦しむことになる。
今回の実験からも、以前からあるような、ダンパーの減衰力を電子的に制御する機構よりは、マウントゴムの硬度を制御する機構の方が、よっぽど乗り心地とダンピングを両立させるのに効果的では無いのかと、思うようになってきたのである。
先日短期間であるが北京を訪れることがあった。通常の旅行記を書いても仕方が無いので、特にwebmasterの注意を引いた点をリポートしたいと思う。
北京の自動車は高級車ばかり?
北京空港はオリンピックに向けて新しい空港ビルを建設中であり、新しい建物自体は完成している。入国にはかなりの時間がかかったが、外に出て圧倒されたのは黒い高級車の群で、それもアウディのA6ばかりである。
他にレクサス、クラウン、メルセデスなども見かけるが、A6の多さは異常である。しかも、中国では現在ストレッチ版のA6L(全長5012cm!)しか販売されていないので、押し出しはメルセデスのSクラス並である。
中国では車の登録や所有に高額な費用がかかるので、持っている人はお金持ちに限られるという。自家用の大衆車(ジェッタ、シャレードなど)は少数を見かけるだけで、なぜか新しい高級車ばかりなのである。
ガイドに聞くと、以前はジェッタ、サンタナ、Audi100の現地モデル(独自に進化したもの)が多かったが、最近は裕福な人も官公庁も国内で生産されるA6に更新したとのことである。アウディの価格は日本より10%程度、レクサスやメルセデスは日本より30%以上高く、いずれも高値の花である。
やけにA6が多いのは統計でも明らかで、2006年1−9月で中国でもっとも売れた車種はタクシーに使われるHyundaiのElantraの118,826台に次いでA6は83,998台も売れていて、良く見かけるのは当然なのである。
物価水準が日本と数倍違うので、A6の価格は日本円で3000万円にも相当するが、なぜそんな車が大量に走っていて、大衆車クラスがあまり走っていないのか、所得格差は想像を絶する。Webmasterは中米にもインドにも行ったことがあるが、高級車とタクシーばっかりで大衆車クラスが走っていないという経験が無い。
さて、タクシーを利用する機会があったが、最初はHyudaiのElantra(日本のランサー級)で、内外装とも新しかった。北京では政策的に北部で生産しているHyundaiをプッシュしているとのことである。以前はドライバーは無骨なケージに入っていたが、現在は写真のような開放的なタイプになっている。
乗り心地は日本の大衆車と似てNVHが感じられ、フロア剛性も弱い印象である。いっぽうシトローエンのタクシーも多く、車体はかなりヤレていたが乗り心地だけはエランティアより明らかに猫足であった。
料金はメーター表示なので安心だが、北京市には駐停車禁止地区が多く、主要な政府施設の前では下車できない。
北京で電動自転車が大流行?
行きの飛行機の新聞の広告は、携帯電話と電動自転車ばかりであった。北京の中心地では自転車の半分程度が電動自転車であったのには驚いた。日本と違って電動が主で人力が従(電池がなくなったとき)である。免許も不要で走行音が無いので、事故が多発しているとのことである。なお新しいモノはリチウム電池である。
しかし郊外ではやはり普通の自転車が多い。北京は巨大なので、電動自転車では一晩の充電で都心まで往復できないのかもしれない。原付クラスのバイクは駆逐されたのか、少なかった。
北京の物価は非常に高い?
ホテルは中国大飯店(world china hotel)だった。朝食の請求書は230元(約4k円)と日本のホテルより高い。地下鉄が3元(50円)、タクシーが市内を走って25元(400円)と安く感じられるが、普通の労働者の給料が日本の1/10〜1/5であることを考えると高い。
ちなみに、マクドナルドはドリンクのセットで10元+(200円)、ケンタッキーは12.5元+(200円)と手頃に感じるが、現地の物価を考えると高い。北京市内の旧市街は90%近く強制執行で取り壊されたとのことであるが、京劇の劇場(湖広会館)付近には旧市外が残っており、このあたりでは数元で食事ができるようだ。
北京のマンションは非常に高い?
北京では現在地下鉄6線!が同時工事中であり、数え切れない高層ビルが同時に工事されている。高層ビルはかつては日本のゼネコンの施工であったが、最近はKoreaの会社が進出しているとのことである。
高層ビルは意外にSR造が多く、かなり丈夫に見えるが日本のものほどの強度は無さそうである。そもそも北京は有史以来地震が少なく、風水的にも縁起が良い場所なのだそうである。
マンションは場所によるが数千万円〜ということで、東京よりやや安い。もっとも、引き渡し時には内装は完成されておらず、客が自分で10-20%の費用をかけて内装をオーダーするシステムなので、トータルでは近い金額になる。
当然ながら普通の労働者の給料では一生購入できない。新興企業のオーナーか、あるいはお役人の購入が多いとの噂である。
北京の水は飲めない?
地球温暖化の影響か、北京付近は砂漠化が進んでおり、多くの川が枯れている。しかしオリンピックに向けて北京市は必死で水を確保している。しかし高級ホテルであっても蛇口の水は飲めない。
ミネラルウォーターは可口可楽(コカコーラ)ブランド品が3元(50円)だが、現地の物価としては高いらしく、偽物(詰め替え)が横行しているという。現地の人は一度沸騰させてお茶にして飲むのが普通である。
何でも、オリンピックまでに蛇口の水を飲めるようにする目標があったらしいが、水不足で頓挫したようである。なお、主要な観光地には水洗トイレがあり、どれも節水型であった。観光地のトイレにも、また人民大会堂のトイレにも赤外線の水洗装置がついていたのには驚いた。
北京では電気が足らない?
北京市の急激な電力需要のために、日本の借款130億円で観光地の明十三陵の近くに巨大な揚水発電所(800MW)が作られた。これでオリンピックまでは電力は足りるようだが、厳しい節電が実行されている。
このため、白熱電球はどれも電球型蛍光灯に変えられていた。人民大会堂でも同様で、不要な部屋の照明は落とされていた。よく考えると、巨大な揚水発電所は北京にはなく本当は東京に必要なのかも知れない。
北京の治安は悪い?
治安は予想より良い。というのも、多くの公安が配置されているからである。主要な交差点には交通公安がスズキ系の125ccバイクに乗って見張っている。政府の建物近くの地下道で金銭を乞う人がいた。近くに公安がいたが、見て見ぬ振りをしていた。そこのところの空気は、ちょっと旅人には読めなかった。
以前福岡での一家4人殺人事件の犯人が中国で逮捕されたと聞いた時、広大な中国でどうして逮捕できたのかが不思議であったが、公安の編み目は辺鄙なところまで及んでいるようである。
北京のマスコミは自由なのか?
北京では国営のチャンネルが8つほどある。不思議なことに、食品などの広告がある。うち一つは一日中、抗日戦争の映画やドキュメンタリーをやっていた。番組はニュース、ドラマ、バラエティーとさまざまである。ラジオも国営である。民放のように効果音を交えた軽いノリのディスクジョッキーもあったが、全てはコントロールされているという。
ホテルではCNNもスターチャンネルもHBOもNHKのBSも流れていた。外国人はパラボラを立てて衛星放送を見ることができるが、現地の人がそれを見るのは違法とのことである。官製のニュースには興味をひくものはまったく無く、世界とは隔絶されている。もちろんインターネットや短波放送を完全に遮断することはできないので、主要な事件は程なく口コミで広がるようである。
北京のネットは自由なのか?
残念ながら、市内のネットカフェを試す機会は無かった。ホテルにはLAN端子があり、同行の人が試したらyahooo.comやCNN.comに接続されたが、細部を見るうちに次第に速度が低下し、ついにはリロードに反応しなくなったとのことである。
ただし、しばらく時間をおくとまた繋がったとかである。当然ではあるが、国賓が泊まるホテルには何らかの制約があるのだろう。
市内には液晶画面を持つ高機能な公衆電話が多数あり、クレジットカードだけでなく日本から持参したNTTのプリペイド(1k円)で日本まで38分間の通話が可能だった。ちょうど1分30円程度の課金になる。
インターネット可能な電話もあったが、クレジットカードは不可で、専用のICプリペイドでないと使えない。課金の問題だけではなく使用者を特定する仕掛けがあるような気がする。
公衆電話は目抜き通りや観光地に多数配置されており、どれも状態は良好だったが、携帯の普及のせいなのか料金のせいなのか、使う人は少なかった。
北京オリンピックは間に合うのか?
これも北京ではホットな話題のひとつである。Webmasterはメインスタジアムの鳥かごと水泳競技の青い泡を目撃した。写真では見たことがあったが、実際に見たときのデザインは驚異である。
この2つの建物はほぼ完成しており、内装と外構の工事に入っているように見えた。他に自転車競技場も完成に近い状態であった。しかし、バスケット競技場は建設が遅れているそうである。同時に作られている膨大な数の高層の選手村の建物は、オリンピック後にマンションとして販売される。
Webmasterは東京オリンピックの前後の東京の景色の変化をかすかに覚えているのだが、それとは一回り規模において差がある。なお、この時期の都心と観光地の混み具合から考えると、オリンピック期間中はかなりの混雑や渋滞になると予想されるので、レンタルチャリを借りるのが賢いかもしれない。
北京の大気汚染はひどいのか?
行く前にさんざ脅かされていたので、マスクと目薬を持参した。砂漠化は北京郊外の万里の長城付近まで迫っており、春には激しい砂嵐が吹くそうである。また市内いたるところで工事が行われており、粉塵も多いが、テレビで見たほどでは無かった。。
webmasterは咳き込むことは無かったが、同行にはひどく咳き込む人がいた。目が赤くなることが多く頻繁に目薬を差したが、これが大気汚染によるものかドライアイによるものかはわからなかった。
北京のバスは黒煙を吐くのか?
これには興味があった。信じられないことだが、今時世界の主要国で、ディーゼルのバス、トラックが黒煙を吐くのは日本だけである。
韓国でも中国でも主要都市で黒煙を吐くバス、トラックは無い。滞在中に一台だけフル加速時にわずかに白煙を吐く観光バスを見たのみである(オイル上がりだろう)。
今回のバスは、NEOPLAN社のライセンス製産の上物だった。観光地には兵器メーカー名のあるバスもあったが、いずれも仕上げは良好である。車体がうっすらと汚れているのは西から飛んでくる砂ほこりのせいだが、リアボディーに黒煙のススは無くエキパイまでピカピカである。エキパイの内側を指で擦ってもカーボンは少なく匂いもしない。
日本のガソリン車の排気規制は、抜け穴はあるにせよ世界のトップレベルにある。しかるにディーゼル車の黒煙は開発途上国よりひどい。それも東京都の独自の取り組みがあったにもかかわらず、国全体の対策が遅れている。どうしてこんな国になったのか、理解に苦しむ。
北京では偽札が横行しているのか?
政府が管理している観光スポットや高級な店では、100元札を出すとしげしげと紙幣を眺めた後、識別の機械に通していた。
最近の紙幣にはホログラムの金属泊と一見ランダムな模様が施されていることから、かなりの頻度で偽札が出回っているのだろう。
観光スポットの薄い入場券には、スクラッチすると暗号が現れる仕掛けがあった。何か賞品でも当たるのかと思ったが、偽造防止のためと書いてある。それだけのコストをかけるということは、入場券などにも偽物が出回っているのだろう。
なお、ホテル地下のコンビニにはレーザースキャンでクレジット処理可能なレジがあった。しかし、同行の人が出したクレジットカードは認証されなかった。北京ではキャッシュが無難のようである。
人民大会堂の食事はおいしいのか?
人民大会堂は国会議事堂にあたる建物であり、非常に多くの人間を収容することができる。赤い絨毯がひかれている大理石の階段を昇ってみると、建物の威容がいやがうえにも強調される。
主ホールは数千人を収用できる規模であり、天井の照明も非常に美しい。華麗な内外の演出は市中のバブリーな建物とはレベルが異なり、まさに人民宮殿と呼ぶにふさわしい。
晩餐会の料理の材料は高級なもので、飲み物も”国宴特供酒”とあるが、味付けはグルメでないwebmasterにとっては微妙としか表現できない。某元総理が一行に居たので気を使っているのだろうが、人数が人数なので公務員のコックが風呂のような大鍋で作っているのだろう。量は過剰でずいぶん残ってしまった。人民にはまことに申し訳ないが、この国では過剰な量は歓迎という意味しい。
公務員とおぼしき服務員は青緑色の制服を着ており、化粧、スタイルともあか抜けた美人ばかりだが、態度はぶっきらぼうである。治安の点でアウトリソースは無かろうから、しかるべき素性(高官)の子女らしい。要所要所には目つきが鋭く体がしまった、しかし品が良い若者が配置されていた。公務員の愛想が悪いのは世界共通だが、ここで働くには容姿の基準があるようだ。
中国の高級役人は、時には叫び、ときにはささやき、抑揚の強い雄弁な演説を行う。これに比べると日本語の演説は抑揚が無く平板に聞こえる。テニオハ無しで意志を伝えるには十分な抑揚が必要なのであろうが、迫力という点では完全に負けていた。
建物には多数の絵画が飾られていた。どれも国宝レベルのものであるが、中でも目を引いたのは毛沢東、周恩来、ケ小平が人民大会堂に入るところの絵である。描かれた(あるいは更新された)のが1999年と比較的新しいことから、歴史上のある時期重要な地位を占めた特定の人たちは見あたらなかった。
日本は、近い将来に○○レン民共和国日本民族自治区になってしまうのか?
北京に行くまでは、近い将来に解放軍がやってきて、それに日本国内のJADF、公安、マスコミに潜んだ草が呼応し、なしくずし的に武装解除される(解放される)イメージがあった。
しかし訪中後は、ゴビ砂漠からの砂嵐が北京を席巻したように、経済発展の砂嵐に日本全体が巻き込まれる形で席巻されるイメージを持つに至った。そして、それは不可避のような気がしてきた。
しかし、幸いなことに、中国の暮らし向きが良い方々は、ソニーやキヤノンなどのデジカメ、ハンディカムを持っておられたし、レクサスLSはメルセデスのEクラスを圧倒する人気とのことである。
薄汚れた紙幣までを認識する自動販売機が空港にあったが、日本製であった。蛇足ながら人民大会堂のエレベーターもトイレの便器にも日本製のものがあった。人々は暮らし向きが良くなると、より質を求めると、かつて李鳳氏は語ったそうである。
従って、経済の砂嵐に対して独自性を保つには、唯一高レベルの知的所有権で対抗するしか無いのである。しかるに、ホリエモン事件以降、日本の起業家マインドはかつてないほど低調であり、また株価も低調を続けている。
ひとつには、ホリエモンは起訴されライブドアは上場廃止となったにもかかわらず、大粉飾の大手証券会社は上場廃止とならず、また起訴もされなかったことがある。この明々白々の不公平さで証券市場の信用は崩壊した。また公安や弁護士団体のOBが外国勢力と関係するなど、信じられない司法の現状も露呈した。
バブルの後の永いデフレの間に、出る釘は打たれる、リスクをとらない、とする風潮が醸成された。一時元気が出てきたのだが、昨年あたりから再度そんな風潮が猛威を振るっている。あるいは中国経済の砂嵐に巻き込まれる前に国が自壊しかねない様子である。
Webmasterは日本民族自治区の将来がますます心配になって帰国したのである。
前回の変造でやっとのことでDMAモードが使えるようになった汎用CFであるが、OSをwin98SEからwin2kSP4にupgradeすることとした。
一般にNT族ではwin9X族よりノロくなるのだが、DMAモード化でノロさがチャラにできるのではないか、という淡い期待でwin2kを載せてみたのである。実際にはHDD時代のバックアップをコピーして修復インストールを行うことになる。
前回途中でハングしたインストールが無事終了すると、コントロールパネルではDMAモードと表示されるようになったが、詳細なモードがわからない。レジストリ(HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Class\{4D36E96A-E325-11CE-BFC1-08002BE10318}\0001)のMasterDeviceTimingModeの値を調べると0x00000410(410)とある。
どうやらMultiword DMAのモード2(16.6MB/s)で動作しているようだ。まあ、汎用CFには十分な速度だろう。
印象としては、Win98SEほど軽快では無いが十分使える範囲である。ちなみに、立ち上げ時のコミットチャージはアンチウイルスソフト、無線LANを稼働させた状態で110MBと、まずまずの減量が効いている。システムにnetscapeなどの常用アプリ+Openoffice2.2を載せ、384MBのスワップ、128MBのハイバーネート領域を確保したところで、4GBCFの空き容量は1.6GBとなった。通常の用途には十分だろう。ちなみに立ち上がり時間は電源ONから、
パナソニック(BIOS)のロゴまで7秒 黒画面に windowsを動しています まで15秒 白いパネルにパソコンを起動中までが18秒 ログイン画面まで65秒
であった。周辺機器が少ないとは言え、366MHzのセレロンでありながらAthlon64x2マシンより速い。何も起動せずにそのまま終了すると、21秒でシャットオフとなった。CFへのレジストリ書き込みは若干の時間を要するが、特に遅く感じるほどでは無い。
さて、Win98SEと同じようにCRYSTALMARK(0.9.121.320)を走らせてみると、
PIO mode [ HDD ] W2kSP4 スコア 582 Read : 3.47 MB/s ( 138 ) Write : 2.59 MB/s ( 103 ) RandomRead512K : 3.44 MB/s ( 137 ) RandomWrite512K : 1.37 MB/s ( 54 ) RandomRead 64K : 3.43 MB/s ( 137 ) RandomWrite 64K : 0.34 MB/s ( 13 ) W98SE スコア 517 Read : 3.52 MB/s ( 140 ) Write : 1.39 MB/s ( 55 ) RandomRead512K : 3.48 MB/s ( 139 ) RandomWrite512K : 0.83 MB/s ( 33 ) RandomRead 64K : 3.49 MB/s ( 139 ) RandomWrite 64K : 0.29 MB/s ( 11 ) muti word DMA 2 mode[ HDD ] W2kSP4 スコア 2032 参考Athlon64x2 3800+ & ST3160812AS 160GB SATA Read : 13.90 MB/s ( 556 ): 55.83 MB/s ( 2233) Write : 7.47 MB/s ( 298 ): 52.70 MB/s ( 2108) RandomRead512K : 13.88 MB/s ( 555 ): 29.61 MB/s ( 1184) RandomWrite512K : 1.93 MB/s ( 77 ): 31.46 MB/s ( 1258) RandomRead 64K : 13.38 MB/s ( 535 ): 6.41 MB/s ( 256) RandomWrite 64K : 0.29 MB/s ( 11 ): 12.21 MB/s ( 488) W98SE スコア 988 Read : 6.60 MB/s ( 264 ) Write : 3.77 MB/s ( 150 ) RandomRead512K : 6.49 MB/s ( 259 ) RandomWrite512K : 1.05 MB/s ( 42 ) RandomRead 64K : 6.51 MB/s ( 260 ) RandomWrite 64K : 0.34 MB/s ( 13 )
であった。win9X族とNT族データではディスクキャッシュの実装が異なるので、数字の解釈には注意が必要だが、フル32bitOSのメリットなのか、DMAモードのREADとWRITEはWin98SEの約2倍高速のようだ。一方、PIOモードでは両OSともほぼ同じ速度だった。
立ち上がりに関しては、DMAモードとPIOモードでの時間差は数秒と誤差の範囲であった。Win9Xと同様に、wink2でのシリコンディスクのPIOモードはHDDのPIOモードほど悲劇的に遅くは無く、十分に実用範囲である。
これは、WindowsにおけるDMAモードの実装が、PIOモードによる転送設定のための遅いハンドシェーク+DMAモードによる高速な転送という成り立ちのためオーバーヘッドが大きいこと、またシリコンディスクのランダムアクセスの速さが転送速度の遅さを隠蔽するからと考えられる。
また、立ち上がりでシリコンディスクが速い理由は、上記の数字からすると、やはりRandomread64kBのデータが、現時点で代表的VISTAパソコン(VISTAのディスクスコア5.5)の2倍以上速いところが効いている。予想外にwindowsの立ち上げ時には細切れのアクセスが生じるのだろう。
シリコンディスクとHDDをいろいろ比較すると、ちょうどメモリーの今昔をみるかのようなデジャブーを感じる。昔のメモリーは転送速度が遅かったがレイテンシーが短かった。最近の高速メモリーは紙の上での転送速度はすごいがレイテンシーが非常に大きい。
最近のメモリーはシークエンシャルな読み書きが速いが、小さいサイズのランダムな読み書きは速くない。その原因は、個々のセル一つの速度があまり改善していないことである。従って、一度に読むセル数の単位を大きくしてメモリー内部のバッファーに貯めて一度に吐き出すため、ごく小さいサイズのランダムな読み書きでも余計な部分まで読み書きすることになるため、見かけの速度が低下するのである。
ところが、windowsは極めて多くのDLLの集合体であるため、有効なコードがハードディスクの広い領域に散り散りに分布している。それを読み込んでメモリーに配置しても、コードやデータの時間的空間的なローカリティーが低く、キャッシュ効率が低下するとともに頻繁にタスクスイッチが発生し、CPUのパイプラインもストールしてしまうのである。
これに対し、VISTAでは低速なUSBメモリーがシステムの処理を加速する機構が組み込まれている。その機構の存在そのものが、いくらメモリーやCPU、HDDを速くしても、肥大したOSでは処理が遅くなる現状を示している。やはり、人間もOSもすべからずリーンで無ければいけないのである。
長らく時間がかかってしまったが、やっとwin2kに回帰することができた。その理由は、シリコンディスク上のwin98SEがやけに安定していたためである。唯一のデメリットは動画サイトでwin9Xというだけで門前払いを食らった程度であろうか。常用の銀行や証券関係のサイトでは、ActiveXもJAVAも安定して動作していた。
一方、win2kのメリットとして、win98SEよりセキュリティーが強化されていること、windows_updateが続いていることが上げられる。インストールサイズの小さいwin2kがおすすめだが、WinXPも若干のダイエットで十分可能である。足らない容量はUSBメモリーなどを併用すれば良い。
さて、あとはみなさんのシリコンディスク時代へのごく短いジャンプを待つだけである。
以前報告した、モバイルパソコンCF-A1のシリコンディスク化であるが、PIOモードとwin98SEの組み合わせで特に不自由無く毎日実用に供している。
使用したCFは汎用クラスの4GBのもので(rev20070115、SN:TSS2501107020xxxxxxx)、転送モードとしてはPIOの他にmulti-word DMAのモード2まで対応していることになっている。
IDE-CFアダプターはオークションで入手した写真のようなものだが、売り文句としてUDMA対応とのことであった。しかし、前述のCFとの組み合わせでは、BIOSではDMAモードが可能と認識されているにもかかわらず、実際にはDMAモードでは動作しなかった。BIOSで強制的にPIOモードに設定できないCF-A1では、DMAモードを前提とするWin2kのインストールは途中で止まってしまったのである。
その理由は、UDMAモード対応のアダプターとmultiword DMAモード対応のアダプターとでは結線が異なるからだ。このアダプターでは、2.5インチIDEの21ピン(/DMARQ)とCFの43pin(/INPUK兼/DMARQ)の間、そしてIDE29ピン(/DMAACK)とCFの44ピン(/REG兼/DMAACK)の間は結線されていない。そのかわり、なぜかIDEの21,29ピンは実質VCCに吊られている。
従って、このアダプターでmultiword DMAモードを使うには、VCCに吊られている結線を切り、IDE21ピン-CF43ピンおよびIDE29ピン-CF44ピンを直接結線すれば良いのである。VCCへの結線を切るには上の写真の右側にある3つのスルーホールのうち右2つ(IDEソケット側)をドリルで削ってスルーホールを破壊すれば良い。
実際にジャンパーを飛ばしたところが2枚目の写真である。このアダプターではCFは裏返しに実装されるので、CFコネクター上段の写真上側から下側に50ピンから26ピンまでが並んでいる。ピンピッチが狭いので慎重にハンダ付けする必要がある。
CF側の43、44ピンはどこにも接続されておらず、またIDE側の21,29ピンにはジャンパー用のランドがあるので、目安になるかもしれない。実際にはIDE側はそのランドにジャンパーをつないである。写真では下側の3つのスルーホールランドの右2つがドリルされているのが見えるだろうか。
さっそくWin98SEを立ち上げてみると、PIOモードよりは速くなったようである。あくまでも目安に過ぎないが、CRYSTALMARK(0.9.121.320)の数字としては、
PIO mode [ HDD ] 517 Read : 3.52 MB/s ( 140 ) Write : 1.39 MB/s ( 55 ) RandomRead512K : 3.48 MB/s ( 139 ) RandomWrite512K : 0.83 MB/s ( 33 ) RandomRead 64K : 3.49 MB/s ( 139 ) RandomWrite 64K : 0.29 MB/s ( 11 ) DMA mode[ HDD ] 988 Read : 6.60 MB/s ( 264 ) Write : 3.77 MB/s ( 150 ) RandomRead512K : 6.49 MB/s ( 259 ) RandomWrite512K : 1.05 MB/s ( 42 ) RandomRead 64K : 6.51 MB/s ( 260 ) RandomWrite 64K : 0.34 MB/s ( 13 )
のようである。シークエンシャルとランダムの数字が殆ど変わらないのがシリコンディスクの特徴だ。わずかな違いはCFのごく小容量キャッシュのせいである。一方書き込みはランダムの方が遅くなっている。これは、メモリーチップセルの書き込みの単位が大きくオーバーヘッドとなるからである。
このためか、DMAモードではPIOモードに比べ、シークエンシャルのREAD、WRITEが約2倍、ランダムのREADが約2倍の速度だが、ランダムのWRITEはあまり速くならないようである。シリコンディスクはシークエンシャルの読み書きは最新HDDの10分の1程度にすぎないので、ファイルのコピーなどでは時に気絶したようにレスポンスが遅くなることがある。
しかしながら、DLLファイルの集合体であるwindowsではランダムアクセスが非常に多いため、実際の使い勝手を決めるのはランダムアクセスである。汎用クラスのCFであってもランダムREADはHDDの10倍程度速く、ランダムWRITEは同じかやや速いことが良好なレスポンスの理由である。
システムが軽いWin98SEということもあって快適である。以前も書いたように、Win9X族は16ビットコード実行時のリソースに制限があるだけでなくプリエンプティブな制御が働かないので、16ビットコード側が定期的にOSに制御を戻す必要がある。従って処理が重くなってI/Oが輻輳して処理が遅延すると、プロセスがタイムアウトとなってしまう。
このためシステムが不安定となるわけだが、シリコンディスクではランダムアクセスが輻輳した場合にも一定のレスポンスが確保されるために、システムの安定性が保たれる。実際に、このシステムもActive-XやJAVAなどの重い環境で数時間放置してもまったく落ちる様子が無いので、win2kへの更新が億劫になっている。
もちろん、Win9Xと言えども上部構造はNT族と共通のコードを多く含んでいることから、セキュリティーのupdateが停止している現状ではなるべくファイヤーウォール内に置いてアンチウイルスソフトを併用するなどの注意が必要である。
さて、DMAモードではPIOよりレスポンスが2割程度速く感じられる。しかし、CRYSTALMARKのトータルスコアではPIOモードの4725に比べDMAモードの5242と1割程度の改善にすぎず、感覚と一致しないのがベンチマークの常である。さいわい、シリコンディスクではHDDとは異なってPIOモードでも激遅にはならない。
現在のパソコンでは、バックグラウンドで漢字変換、ネットワークやアンチウイウイルスソフトなどの負荷があり、例えばWinXPではつねに300MB程度のコミットジャージが発生している。この状態では恒常的にランダムアクセスが発生しているので、PIOモードであってもランダムアクセスがHDDより速いことで、その欠点が隠蔽されるのである。
汎用クラスのCF価格は6K円程度と、シリコン逼迫のせいで底値を過ぎているようだ。CFの汎用クラスはmultiword DMAのモード4が限界であり、UDMAモードをサポートするクラスは2、3割高い。しかし、CFのサステインドの転送速度は高速タイプであってもUDMA33モードの速度に及ばないので、必須という訳でもない。
深刻なのは、CFの仕様の転送モードとIDE-CFアダプターの相性である。これについてWebmasterが複数のIDE-CFアダプターを解析したところ、市場には最低3つのタイプが流通しているようである。それは、
1.PIOが前提のアダプター。実際には、CFの43、44ピンが結線されていないもの。これはどんなCFをさしてもPIOモードでしか動作しない。従ってBIOSでCFの申告に従ってUDMAやDMAモードが可能と表示されていても、PIOモードでしか動作しない。従ってWin2kやXPでは、BIOSでPIOモードに強制的に設定できない場合はインストールできない。
2.Multiword DMAが前提のアダプター。CFの43、44ピンが結線されている。このアダプターでは多くのCFがMultiword DMAモードで動作する。このクラスのアダプターが相性的には一番無難かもしれない。
3.UDMA対応を歌うもの。今回のアダプターがコレであるが、どこがUDMA対応なのかよく解らない結線となっていた。従って、単純にMultiword DMA対応への細工したわけである。
CFのピンピッチは狭いので、この3つを見極めるには眼力を要するかも知れない。しかし、振動やショックに気を使う必要が無いモバイルパソコンは快適なので、労働の果実は十分に期待できる。CFの寿命も気になるところだが、シリコン化して3ヶ月間、毎日ActiveXアプリを日中に走らせているが、今のところバッドセクターは発生していない。
というわけで、この文章を読まれたあと、シリコン化するかどうかはあなた次第である。実際にシリコン化してみると、インテルやM$がさかんに喧伝する高速CPU、高速メモリー、高速バスよりも、極端にランダムアクセスが遅いメカニカルなHDDの問題が深刻であることが良く理解できると思う。
つまるところ、”OSの敵はランダムアクセスにあり”なのである。
まじめにビリーなんとかを毎日欠かさなかったWebmasterだが、1ヶ月少々で約5kgのダイエットに成功した。おかげで俄かに体が身軽になり、無性に?自転車を漕ぎたくなったのである。
家庭内地政学的に現在Webmasterが占有のお許しをいただいているのは、プジョーのマウンテンバイクとママチャリであるが、デブったためか前傾姿勢の強いプジョーは出番が少なくなっていた。久しぶりに漕ぎ出してみると変速がおかしい。変速ワイヤーがサビていたので交換して調整したところ完調となり、久しぶりに遠出してみたのである。
このプジョーはダイナモまで含めても12kgと軽量なので、路面の不整が車重で緩和されずにビシビシと体に響く。そこでハンドルのステムをサスペンションタイプに、またサドルをママチャリのスプリング付に交換しているが、それでも肩や腰にはかなりの負担となる。そこで目が向くのが前後にサスペンションの付いた自転車(フルサス)である。
さっそくプロショップに漕ぎつけるのだが、どうやら店員はフルサスが嫌いのようだ。彼に言わせると、本来、フルサスはいわゆる落っこちバイク(ダウンヒル専用車)しか意味が無いが、その手のバイクのサスは町乗りでは堅すぎて殆どストロークしない、と言う。
彼がしぶしぶ見せてくれたのはGINATのWARPという車だったが、ダウンヒルにはヤワすぎてムリ、また町乗りには上等すぎるから、町乗りにはホームセンターで売っているフルサスもどきの安物の方がマシだ、と言うのである。
彼が勧めるのは、ロードタイプに近いクロモリフレームのクロスバイクであった。どうやら、彼の遺伝子には、か細いクロモリフレームに華奢なカンパのコンポという美学が組み込まれているようである。
Webmasterにもその美学は十分に理解できるのだが、コンクリートジャングルを走るには段差との戦いが避けられず、華奢なロードバイクではタイヤバーストや車体各部にダメージが大きく、また乗り心地も良くない。
そこで、オークションで安物の21速フルサスに\12kの入札をかけたところ、思いがけず落札されてしまった。あれよあれよという間に送料代引き手数料込みで\16kで我が家に届いてしまったのが今回の主役である。さて、webmasterはとんでもない粗悪品を掴んでしまったのであろうか、さっそくパーツをチェックしてみる。
まず、この製品はJIS規格を満足しているが悪路での強度は保証しない、とある。つまりマウンテンバイクルック車ということになる。またシートポストは生意気にもアルミだが、サドルはママチャリと同じようなバンドで止まっている。このあたりは安物クサイが、パーツを仔細に見ると必ずしもそうでは無い。
まずコンポだが、リアディレーラーはSHIMANOのTURNY(RD-FT30、7S)と、永い歴史をもつ鉄板プレスパンタ式の最終型である。SHIMANOの下位機種ではパーツの樹脂化が進んでいるので、耐久性が過大なこのタイプは遠からず廃番になるだろう。生意気にもリアギアセットは大きく肉抜きされた軽量なものである。
SHIMANOの場合、見栄えや重量はともかく、安物でも十分な精度と性能を持つことが利点でもあり、欠点でもある。高価な車種にも場違いに安物のSHIMANOパーツが使われていることが良くある。
フロントディレーラー(FD-TY22)はTURNYシリーズだが、フロントギヤとアルミのクランクは社外品のようだ。チェーンは KMC-Zである。生意気にもペダルの枠はアルミである。プジョーは鉄なのに、である。
Vブレーキは生意気にもアルミのムクのもので、軸にガタもなく片効きや引きずりも無い。ブレーキレバーは生意気にもアルミのムクだがさすがに支持部は樹脂だ。前後シフターはRevoshiftで、STXのRapidfireよりむしろ使いやすい。生意気なのは、ステムが不相応にしっかりしたアルミのアヘッドシステム(NECO製)であることだ。またまた生意気にもフロントサスはZOOMでクラウン(二股部分)がアルミである。
しばらくバイクを取りまわして見ると、予想以上に軽いことに気づいた。そこで電子体重計で計ってみると15.2kgである。無骨な鉄製スタンドが付いていることを考えるとかなり軽い。ひょっとしてと思って、リアサスのステーに磁石を近づけるが付かないではないか。
そう、フレームは生意気なことにフルアルミだったのである。この自転車は安物のくせに、やたらアルミ部品が多い。さらに、リアサスにはディスクブレーキのステーがあり、リアエンドまわりが肉厚になっている。ちなみにフレームは中国製で、かの国ではアルミフレームが安価に大量生産されているのである。
細部を見ていくと、アルミなどの金属材料が高騰している時代にどうやったらこの価格で成立するのかが不思議である。パーツの値段を見積もると、どれも常識外の納入価格になってしまう。実際にフルSTXコンポのタンゲクロモリフレームのプジョーと乗り比べてみても車体剛性、変速の具合などに値段ほどのな違いは無く、ギャップの乗り心地は遙かに優れている。
この時点で、Webmasterは軽いめまいを感じた。勃興するアジアではフルアルミ、フルサス自転車がこの値段で生産されているとすると、今後日本はどうやって工業国として喰っていけるのだろうか。わずかにSHIMANOの設計部門が日本にあることだけが救いである。
最近米国アップルからiPhoneなる携帯端末が発売された。多くの人間が早速ばらしてネットで中身を公開していたが、残念なことに日本製の部品はコネクター、液晶、チップコン、多層基板などコストが低いものばかりだった。メインCPUとメモリーはSEC、つまむ操作が可能なタッチパネルはドイツ製、また無線LANや青歯チップは欧州製、そして、超高密度実装の組み立ては中国なのである。
その意味では、まだ自転車の方がコンポ技術の知的所有権が日本発であるだけマシと思わなければいけないのだろう。自転車だけでなく、数年の内に大衆車クラスまでが中国製に価格的に太刀打ち出来なくなるのではないか?
つらつら考えていると、Webmasterのめまいは頭痛に変わってきたのである。実に日本の工業力のアドバンスはかつて無いほどきわどい段階に来ているとしか思えないのである。
P.S.
多数の安物自転車が流通しているので、皆様が満足の行く品質の自転車に出会えるかどうかはギャンブルでもあります。同じ価格でも品質の劣るものから、理解できないほど良いものまであります。わずかに手がかりとなるのは、アヘッドシステムであること、21変速であることあたりです。あとはブレーキやブレーキレバー、クランク、クラウンの材質がアルミであることあたりが手掛かりと思われます。
最近webmasterは地上波テレビを見ることが減っている。安易なバラエティーで時間を稼ぐ番組が多いからである。そのかわりケーブルテレビを見る機会が増えていて、なかでもヒストリーチャンネルとディスカバリーチャンネルがお気に入りである。問題はCMで、数が多いのがビリーなんとかという格闘技風エクササイズ(workout)である。
意外?かも知れないがwebmasterは大学時代には体育会系クラブのキャプテンだった。試合は下手で寄付金集めが得意だったのだが、それなりの運動はやっていた。おかげで今まで大病しなかったのだが、最近は足腰がめっきり弱って、ゴルフでは古希(こき)の老人についていくのがやっとである。
個人的には、”楽してやせる”手合いはそもそも信用していない、もしくはリバウンドが来るものと信じているので、格闘技をベースにしたビリーなんとかは魅力的に見えた。もうひとつ、興味があったのがなんとかバンドなるゴムヒモである。通常筋肉に負荷をかけるのは体重もしくはウェイトだが、これだと重力方向の負荷しかかけられないので、適用する筋肉が限られる。
一方、ゴムひもはひねりなど、重力とは別の方向の負荷がかけられる。また、ゴムの弾力で腹筋運動を補助するなど、負荷を軽減する方向にも使える。そこで、ゴムヒモとその使い方を知りたくて入手したのである。
米国のサイトを検索すると、ビリー氏のエクササイズは以前から売れスジで、数世代を経ていることがわかった。また国内で約¥15kの製品は米国では$40以下ということがわかった。さらに現在売られている日本語版は昨年のバージョンで、最新版(エリート)は英語版しかないが、国内でも約8K円で売られていることがわかった。
最新版はDVD3枚組で、なんとかバンドはウェイト脱着可に進化していた。DVDの1枚目はBASICと呼ばれる基本的な動作で、過去のバージョンの延長である。2枚目はMaximum Powerと呼ばれるヘビーなもので、ゴムひもで心肺に強い負荷をかけるエクササイズである。3枚目はAB(abdomen)と呼ばれる腹筋モノである。特に2枚目はヘビーで、ビリー氏の娘を始めとしたモデルの方々も途中でヘバるほどなので、当然ながらWebmasterも安心してヘバることができた。
感心したのは3枚目の腹筋モノで、ゴムひもを使って腹筋に様々な方向で負荷をかけている。過去のバージョンも見る機会があったが、以前の心肺能力を高めるもの(Cardioと称する)から、効果的におなかの贅肉を取る方向にフォーカスが変わっているようだ。もちろん、ゴムひもを使わなくても日本人には十分な運動量であり、特に2枚目はゴムひもを使うと日本人には負荷オーバーに思える。
肝心の体重だが、通常の食事をしながら毎日エクササイズ2クール、そしてお夜食カットで、最初の一週間が2kg減だった。2クールはやりすぎで、床の汗を雑巾掛けするほどである。2週間目は1クール/dayで1kg減だった。それ以後は脂肪が筋肉に変わって行く印象で、体は締まるが体重はあまり減らなくなる。思わぬ効果は、Webmasterのドタバタを見て家族もマネするようになったようで、その分の効果をトータルすればまずまずの出費である。
テレビではさまざまな減量グッズを売っているが、ビリーなんとかが流行するのは、誰もがやせるためには結局運動するしかない事に気付いているからだろう。しかし、運動のやり方がわからない。単純に歩いたり走ったりするだけでは、なかなかおなかの贅肉はとれない。もちろん腹筋をすれば効果があるが、楽しくないのである。
明るいビリー氏は51才にもかかわらず、どこかの知事になったスターと違って良好なスタイルを保っているところに説得力がある。また隣の美人が実の娘さんとのことで、エクササイズが家業のようで見ていておもしろい。彼らは財をなしたとおもわれるのだが、裸一貫の商売であざとさが感じられないところが人徳なのだろう。
後ろのモデルさんも素人くさく、人種や体型が様々なのも米国の企画らしい(米国では人口比を反映した人種のモデルを選ばないと法的に問題となる)。音楽とその歌詞も思わず手足が動きそうになる巧みなものだ。思えば米国も、ハードウェアを売る商売から世界中の人間をハッピーにしながらお金を回収するソフトウェア商売のスキームに転換しつつある。
パッケージと言っても、DVDとゴムひもしか入っていないながら、これがしかるべき値段で世界中で売れるところが賢い商売であり、マイクロソフトの商売にも似ているが、ハッピーを売る点ではディズニーの商売にも似ている。
Webmasterはストイックな運動は嫌いな方だが、興味の赴くところ、しばらくは明るくミーハーなエクササイズにどっぷり浸かってみようと思っている。いつまで続くかはわからないが、本格的な肥満時代を迎えた日本ではこの手の流行はしばらく続くように思う。
思いがけず発掘されたCLIEはモバイル端末として活躍している。いきなり電源ON/OFF可能、デリケートなHDDがない、電源ONからネット接続まで約10秒など、パソコンでは逆立ちしても不可能である。
もっともパソコンのXGAの画面と高機能も捨てがたい。webmasterが持ち歩いているレッツノートCF-A1は匡体が頑丈なので、ハードディスクをシリコン化すれば、瀕死ハードディスクサルベージのナゾのようなヒヤヒヤ経験も無くなるだろう。
そこでCF-A1をシリコンディスクでゼロスピンドル化することとした。ゼロスピンドル化はモバイルマニアでは古くから行われていた。しかし、ここのところ、vistaのようなOSの肥大がシリコン集積度の進歩を上回っていたせいか、下火だった。おなかの贅肉と同じように、OSは簡単に肥大化するが、シリコンの集積度を上げる事はダイエットのように難しいのである。
幸いな事に最近フラッシュメモリーが急に安くなった。とある店頭で4GBytesの格安CF(約¥6k)を見つけたことから今回の計画の発端である。CF->IDEアダプターも約\3kだったので、計約\9kで4GBytesのシリコンディスクとなった。HDDなら40GBytesの価格だが、Webmaster的には4GBで十分であり、ネットワークとUSB接続の記憶機器を併用すれば容量の制限は気にならない。
ちなみにCF-A1のHDDを確認したところ、ダイエットがすすんでいて、Win2kにnetscape7.2、office2000(含PPT)、常用アプリを含め使用量は2GBytes程度であった。スワップを確保しても十分いけそうである。いい時代になったものである。
問題はCF-A1にシステムをどうやって引っ越すか、である。CF-A1では起動可能なCD-ROMドライブが存在せず、HDDを取り出す必要があり面倒である。HDD容量が約6GBytesとCFより大きいので、HDDのパーティションを4Gbytes以下に縮小し、引越しツールで一気に転送した。
ところが、なぜか起動途中で無限ループに入ってしまう。後で解ったことだが、Win2kで起動中にHDD転送がUDMAになった時点でトラブルとなるのである。そこで、評判が悪いWinMEをインストールすることとした。手順としてはまずDOSからWin98をインストールし、その後にWinMEをたち上げる必要がある。
DOSからシリコンディスクにWinMEのインストールセットを転送するには、パラレルポート接続の古きよきCD-ROMドライブを使った。これは、
□ThinkPad220にWindows95をインストールしてみると....
で登場した今は無き大和事務機器の関係企業アイメスの製品である。そもそもCD-ROMドライブの無いパソコンにOS2をインストールするために造られたものらしい。転送速度は遅いが機器を選ばない点がメリットである。今ならCD-ROMドライブをUSB接続し、DOSにM下製のUSBドライバを組み込むのが良いかも知れない。
重量的には、有線モデムをはずし、3セルリチウム電池を装備したところで1kgを割っている。最新のモバイルパソコンもCPUが強力になったぶん電池や放熱器が大きくなっているので、1kg以下の軽量はなかなか厳しいのである。重量バランス的にはHDDが無い分液晶パネル側が重く感じられる。
今回のシリコンディスクの仕様?は、IBM(現日立)のfeature_toolでは、次のようである。
Model name ;CF4G (注:format時につけた名前)
Serial nuber :06115***
Drive Capacity: 4.06G (7928928 LBA's)
Cache size : 1KB
Firmware revision: 20070115 (注:比較的新しい製品らしい)
S.M.A.R.T : Disableded or not supported
Ultra DMA : Not Supported
Acoustic management : Not Supported
Power Management : Not Supported
Win98が立ち上がると、シリコンディスクは真価を発揮しはじめた。というのは、CFの低い転送速度のわりに動作が機敏なのである。再起動してもすぐに立ち上がるので、最初はスタンバイ動作かと思ったほどである。そこで無線LANを仕込み、母艦のCD-ROMからWinMEを立ち上げた。
Webmaster的にはWin9Xで一番出来が良いのはWin98SE2だと思う。SE2になってCPUのアイドルプロセス制御や広範なUSB接続が可能となった。しかしSE2はアップグレード版でしか提供されないので、WinMEにアップグレードする手間とかわらない。またWinMEの方がサポート期間が永いと思い込んでいたが、これは勘違いでどちらも昨年に同時に終了している。
WinMEをインストールしてみると、思いのほかOSのサイズが大きい。世代的にWinMEはWin2kよりわずかに新しく、プチXP的なレジストリやドライバの復帰、動画編集、デジカメやスキャナー制御などが組み込まれているからである。そのための過大に大きい上部構造+安全機構がOSのリソースを食い尽くし、意図に反してWin9X史上もっとも不安定なOSとなってしまった。
WinMEはダイエットしたインストールベースでも1Gbytes程度喰っている。高機能のままダイエットしたWin2kが1.5Gbytes程度に収まること、Win2kのサポートが2010年まで続くことを考えると、WinMEのウマミは少ない。リソースの制限はmsconfigのスタートアップを掃除することで90%程度確保することができた。
Win2Kへのアップグレードをたくらみながら使ってみると、シリコンディスク化したWinMEは予想外に快適である。起動は電源ONからパスワードまでが無線LANカードを挿しても30秒である。CF-A1は仕様上メモリーは128MBytesが上限(細工すれば256MBまで可)なのだが、巨大なアプリもサクサク動く。
これはシリコンディスクのスワップのレスポンスが良好で、メモリー増設に近い効果があるからだ。だからこそ、高速なCPUとHDDを必須とするVistaでも低速なフラッシュメモリーを利用した”Windows ReadyDrive”が有効なのである。このあたり、Windows族におけるHDDとシリコンディスクの振る舞いには転送速度だけでは計れない違いがある。
そして、WinMEは予想以上に安定している。Win9Xの不安定な理由としてリソース容量の制限の他に、16bitコードが動作中にプリエンプティブなマルチタスクが働かないことがある。16bitコードが一定時間毎に制御をOSに返すように書かれていることでマルチタスクを実現しているので、16bitコードが走っている間はプロセス制御や通信のレスポンスが制限される。
Win3.Xから引き継いだ16bitコードは、タイトなアセブラで書かれていて処理が速く、システムが小さいうちはボロが出なかった。しかし、プロセス制御が煩雑化するなか、16bitコードが処理に手間取って制御をOSに返さなくなるとプロセス制御が破綻する。さらに16bitコードは同一メモリー空間をシェアするためにお互いに保護されていない。
OSの制御の中で頻繁に待ち時間が発生するのがディスクアクセスであり、これが滞るとタイムアウトとなりシステムが不安定となる。シリコンディスクではバースト的な転送速度は遅いが、ランダムアクセスでもレスポンスが低下しないためにWin9Xの脆弱性が隠蔽されるのである。特にwin9Xでは、巨大なActive-XやJAVAでは不安定となりやすいが、シリコン化したWinMEはNT族のように安定している。
念のため計測すると、今回の普及品CFの転送速度能力(read)は約3.5MBytes/secと最新のHDDの一桁下の速度であった。しかしシークエンシャルとランダムアクセスの性能はほぼ同じであった。厳密には数%違うが、これはCFのコントローラーに存在するキャッシュ(1KB)の働きだろう。ランダムアクセスで性能が落ちないことが良好なレスポンスの原因であると考えられる。シークエンシャルreadが100MBytes/secに近い最新のHDDでもランダムreadが1MBytes/s以下にすぎないのと対照的である。
起動時にはコードの読み込み、ハードウェアのイニシャライズの他に、頻繁にレジストリへのアクセスが発生する。Win族のレジストリはM$が頻用するデータベースエンジンJETの雛形であり、キーに関連づけられたデータにindexを用いて高速にアクセスできる。しかし、これはランダムアクセスであり、ディスクアクセスが交錯する起動時には予想以上に速度が落ちる、というのが一つの説明である。
またWindowsの終了時にはレジストリ書き込みが行われるので、書き込みが遅いフラッシュでは激遅になるはずだが、むしろHDDより速い印象である。このように、シリコンディスクが仕様以上に高速に感じられる理由は、Windowsの処理でランダムアクセスが非常に多い特質によるものだろう。ただし、単純なファイルのコピーなどはデフラグが効いたハードディスクよりかなり遅い。
気を良くしたWebmasterはちょっと失敗をした。ディスクのDMAモードをうっかりENABLEにしてしまったのである。これでWinMEは起動しなくなり、DOSからレジストリを書き戻す必要があった。Win2kが起動しなかったのは、今回のCFがWin2kが期待するU-DMAモードをサポートしていなかったためだろう。
対策は2つ考えられる。まず、BIOSもしくはファームウェアでCFを強制的にPIOモードに設定できれば回避できる可能性がある。しかしCF-A1のBIOS設定にはそのようなメニューが無く、CFのファームを書き換えるツールも知られていない。もうひとつはIDEコントローラーをPIOモードに設定したWin2kのディスクイメージをシリコンディスクにコピーすれば良いはずである。
そう、そうすれば良いのだが、シリコンディスク化したWinMEが予想外に好調なので、未だサボっている。このマシンはwin9Xのくせに負荷をかけてもなかなか落ちないのである。もう出番が無いと思ったwin9Xも、セキュリティーが緩い環境ではまだ使える余地があるということだろう。
通常HDDがPIOモードの場合、CPU時間が他のアプリに消費されて起動時の音楽が途切れることが多いが、なぜかシリコンディスクではPIOモードなのに音楽が途切れない。実際にはATA規格のDMAはハンドシェークの多くをPIOで行い、データ転送の部分だけがDMAで行われるため、かなりのオーバーヘッドがある。従ってPIOで安定したレスポンスが得られるメリットと、DMAを持たないデメリットが速度的にかなり相殺されるものと考えられる。
そもそも、世間ではUDMAモードの性能には間違った期待が大きい。DMAモードとはピーク転送速度を実現するためではなく、ディスクアクセスが重くなったときでもCPUをムダに拘束しないことが一番の目的なのである。もちろん、ディスクアクセスが滞るとCPUのお仕事も事実上止まってしまう。仕様的には遅いシリコンディスクが意外な速度を発揮するのは、ランダムアクセスに依存性が高いWin族の根元的な問題と深くかかわっている。
以前から本サイトでは、2ndキャッシュに依存したCPUはコード、ファイルとも時空間的に低いローカリティーを強いられるwindowsシステムでは効率が低く、特に漢字フォントやIMEが必須の日本版では激遅になることを再三再四述べてきた。にもかかわらずインテルはローカリティーの低いコードに弱いP4で大失敗をやらかし、またM$は生産性を低下させ地球にやさしくないOSの肥大化に走った。
時代はめぐり、インテルはP3派生のコアに先祖帰りし、P4は無かったものとして歴史から抹殺される見込みである。そして膨大なリソースを要求するvistaもシリコンディスク上の時代遅れのOSのレスポンスに遠く及ばない。ちょうど、ジュラ期の恐竜vs哺乳類の先祖の関係を見るかのごとくである。個人的には各メーカーがシリコンディスクに肥大化したvistaをどうやって搭載するのか、ちょっとした見物である。
性能的にはプアながらきびきび動くマシンを使っていると、先日更新したばかりのアスロン64x2 w/win2kまでもが色あせてきた。片や30秒で無音の内に立ち上がるWinME、片やカリカリカリカリ言いながら2分を要するアスロン64x2。カタログデータを超越した現実にあなたは耐えられるであろうか?正直言えば、Webmasterは耐えられなかった。
それが証拠に、webmasterの手の中には、もう一台のシリコンディスクがデスクトップのHDDを脇役に格下げするために出番を待っている。そう、今やシリコンディスクによる超石器時代(PAT PEND)なのである。場合によっては一瞬で銀塩カメラが陳腐化したように、メカニカルなHDDも陳腐化する恐れなきとしない。
新年度となり模様替えの季節だが、このたび我が家で掃除中に$ONY製のCLIEなるPalmパソコン(PEG-SJ33)が発掘された。何ゆえこれが存在するか議論になったが家族の記憶をたどったところ、親戚から役にたたないが電子辞書は使えると、贈呈されたものらしい。
Webmasterが知っているPalmはIBMの黒いビジネスライクなもので、所有者は色々な機能を披露してくれるのだが、Webmasterにはあまり興味が湧かなかった。というのは、彼の機械は常に最新型だが、去年のスケジュールが残っている気配が無いからである。今、彼はZEROなんとかを使っている。
SJ33は$ONY製品らしくキレイなデザインで、旬は過ぎているが捨てるのは惜しい。最近のWalkManは石鹸箱みたいで今ひとつであるが、そのデザインスキームはこのころから試行されていたようである。しかしwinXPが発売されブロードバンドが常識となっていた2003年発売にしてはCPUも16MBytesのRAMもしょぼい。いまどきフラッシュでさえ1GBytesが1500円である。メモリースティックでの増設は可能だが、持ち合わせがない。MP3も再生できるがメモリーが少ないので実用的ではない。
しばしオマケのゲームを試したが面白くない。長い電池寿命や良く出来たHotsync機能があっても、ネット端末として使えなければ魅力が乏しいのである。説明書によれば、別売の通信アダプターにCF規格のPHS端末を挿せばネットにつながるとあるが、出費がかさみそうである。
幸いな事に、ネットで通信アダプターが格安で入手できたし、b-mobileのPHS端末が使えるようなので道具はそろった。ブラウザはXiinoの試用版があるので、何とかなるのではないかと思ったが、後述するようにいろいろ問題があった。
通信アダプターにはドライバーが必要で、これはパソコン上で解凍されHotsyncで転送される。説明書通りに通信環境を設定すると、さっそくCLIEはダイヤルをはじめ、”接続”と出た。
ここまでは良かった。おもむろにブラウザXiinoをたち上げ、自分のサイトのURLを入力すると、PHS端末のLEDがピコピコ輝いて繋がった雰囲気だが、”サーバーが無い”と出る。不思議に思ってパソコンからXiinoのサイトにアクセスするが、既に店じまいである。
どうしてXiinoは繋がらないのだろうか。思い当たったのはXiinoは携帯電話のフルブラウザと同じように支援サーバーが必要なのではないか、ということである。設定に画像サーバーなる指定があり、これをブランクとすることで使えるようになったが、画像は見えない。
問題はXiinoが90日限定の試用版であることだ。購入してもいいのだがサイトが閉鎖で情報が得られない。Webmaster的にはサイトに転居先は書いておくべきだと思う。現在Xiinoはmobirus社から発売されており、mobirus社の画像サーバーを指定することで画像が表示可能となった。
以前MP3プレーヤーに付属していたソフトのメーカーは、廃業時にノンサポートながらフル機能の最終版へのアップグレードをサーバーに残してくれていた。ソフト会社はかくあるべし、である。Xiinoの微妙な立場には後述するようにPalm_Source社の去就が絡んでいるようだ。$ONYのサイトには購入のリンクがあるが、MY_$ONY_IDが必要で頓挫した。他にVectorからも入手可能である。
Xiinoの将来が微妙なので、保険の意味で使えるブラウザを検索したところ、無料配布版のEudra(メールソフト)に簡易ブラウザEudraWebがついていることがわかったが、本家ではリンク切れだった。もともと無料なので文句は言えないが、ファイル名”EIS_2.1.exe”は世界のどこかに存在しているので検索してほしい。(リンクを書くと消滅する可能性がある)。
おまけのEudoraWebは非常に軽快で、当サイトを表示したところタイトルが文字化けしているが本文はちゃんと表示される。高解像度に対応していない(訂正、対応しております)ので初期の漢字トークのようにフォントも荒く、文字コードもEUC-Pに対応しないが、新聞社などのメジャーなサイトではA社をのぞけば問題無かった。情報によれば、JAVA環境でopera_miniが動作するとのことだが、現在の環境(PalmOS4.1)ではまだ成功していない。
とりあえず2種類のブラウザが使えることを確認したことで、CLIEは廃棄を免れた。青歯より古臭いCFスロットの方がこの種の用途には便利である。常時ネット接続可能(しかも定額)となると、少々能力に問題があっても我慢できる。スイッチONで直ちにキャッシュされた内容が表示され、10秒以内にPHSが繋がるとなると、ちょっとトイレへと持ち出すなど便利である。
情報を検索すると、日本ではPalm用のハードやソフトの販売会社は2004年から2005年頃に廃業したところが多い。その後は輸入品をJ-OSをはじめとしたパワーユーザーの努力により日本語化されて使われている。廃業の理由は、モバイルパソコンが普及したから、では無いようだ。Webmaswerが使っているワンスピンドルのCF-A1(366MHz、XGA)の類でさえ、XGA画面とキーボードを付けると1kgよりさして軽くならないから、最初からPalmの仮想敵では無いのだ。
やはりPalmの仮想敵は携帯端末の普及だろう。常時接続のWINやWILLCOMの高機能端末(QVGA)はちょうどPalmとバッティングする。Palmをネット接続するにはそれなりの出費が必要だが、携帯端末には最初から通信機能が標準なので勝負にならない。
携帯端末とモバイルパソコンの間にあってPalmの存在は微妙であるが、ほど良い大きさ、長持ちする電池と出来の良いSync機能、メモリーをムダにしない設計には評価すべきものがある。それに比べるとパソコンのOSはwin2kにしても肥大しすぎで、モバイルには相当なダイエットが必要だ。
それでは、Palmには将来は無いのか?ということになるが、そうでは無いようだ。というのは、Webmasterの周辺では、米国から医学用のアプリを購入して現用しているPalmユーザーがいる。それは、米国では最新のPalmアプリが供給されているからである。米国ではPalmはまだ健在なのだ。
健在というよりも、米国では携帯端末と合体した製品(スマートホン)が人気なのである。PalmOSベースでは高機能が簡単に実現できるだけでなく、過去のアプリも使用可能である。通信機能が付いていればPalmにも競争力があるのだ。面白いことに、2005年にはPalm_Source社は日本の携帯向けブラウザの供給会社ACCESSの子会社"となっている。
最初はPalmの少ないメモリーにびっくりしたが、思えばWin95では仮想記憶があるもののメモリー16MBytesでOffice95が動作していたのである。Vistaで作成している文書の99%はWin95でも作成可能だったし、当時のATOK11は現在Vistaに付属しているIMEよりはるかに賢こかった。Win98の頃には我が家でもATIのALL-in-wonderでHDDレコーディングが実現されていた。
そう考えると、Vistaになって消費電力が増えた割には生産性は向上していない。また、二つ折りの物理的に脆弱なノートパソコンはモバイル機器として問題が多い。なぜか日本ではタブレットPCの類が少ないので、PDAにも十分にサバイバルできる可能性がある。わが国で汎用性の高いPDAやタブレットPCが販売されていないことは、将来の電子タグ時代に禍根を残すことになるだろう。日本にいると気づかないが、わが国では特定の領域の商品がごっそり無いということが良くある。
Palmの親会社が存在する日本で、Palmベースの携帯が存在しないことには日本特有の事情があり、それは逆に日本の高機能携帯端末が国外で売れない理由の一つでもある。絶望的に少ないメモリーできちんと仕事をこなすPalmを使っていると、アプリより大きなリソースを消費しながら機能はWin9Xと大差ないVistaはやはり間違っていると再確認した次第である。
前回のお話の通り、Vistaの使い心地はWindows Defenderとユーザーアカウント制御(UAC)をDISABLEとすることで、かなりWin2k/XPに近くなった。ところが、以前からあったシステム領域で複数のファイルが選べないバグが次第に拡大して、通常のデータ領域にも広がった。
これは、IShellViewインタフェース以下のメンバー関数CreateViewWindow(ファイル選択の窓を作成)が呼ばれるときに、ファイル選択動作を規定するフラッグFWF_SINGLESELが権限にかかわるバグにより間違ってセットされるためである。さらにcopy、moveなどのファイル操作が遅くなってきたが、これはvistaの仕様変更によるものらしい。
それだけでなく、通常使いの古いOfficeやNetscape7.2が頻繁に落ちるようになった。Webmasterはカネを払ってβテストをやるヒマは無いから、単純なファイルの読み、書き、選択のバグが直っていないOSを使い続けるリスクはとれない。
というところである。少なくともWin2kやWinXPは初期であってもこれほどひどくは無かった。
マウス操作については、米国の某所にあるVisualBasicのスクリプトFixSingleSelect.zipで修復できた。これはレジストリ中の多数のFWF_SINGLESELを操作する危険なものだが、バグは即座に直る。M$はこのバグを認知しているが、公的なパッチは出ていない。
他に我慢がならないのは、エクスプローラーの樹状図とアイコンが見にくいこと、フォルダーが開いているか閉じているかわかりにくいこと、IE7の<- ->とリロード、中止のボタンが離れていること、メニューのデザインをカスタマイズできないこと、既存のアプリが不安定であること、などから、Webmasterは現状のVistaは使用に耐えないと判断した。重要な仕事をまかせるには少なくともSP1まで待つべきであろう。
そうなると話は早い。システムをWin2kかXPに戻せば良いのである。XPは未開封のシステムがあるが、前のWin2kマシンから内容ごと全部引っ越す事とした。WinNTではPCMCIAやUSB、P&Pが不可であり、Win9Xでは安定性とセキュリティーに不安がある。かといってXPでは余計なオマケが多い。とすると、Win2kが個人的なチョイスである。Vistaスコア4.8のCPU、5.5のHDDがWin2kではどれほどのレスポンスを示すかが楽しみである。
まず調査が必要だ。幸い、同じE521でXPプレインストールマシンがあり、そのデバドラを調べるとIDEドライバーはOS標準品であった。VIAやSiSのチップセットではかなり改変されるシステムデバイスも、nVIDEAのものは一つだけであった。チップセットの正式名称はNVIDIA GeForce 6150 LE GPU and NVIDIA nForce 430 MCP featuring HD videoらしい。
準備
まずインストールの前に、下記のファイルを外付けUSBハードディスクなどに確保しておく。
1.日本Dellのwin2kドライバサイトから、
nVidia GForce 6150 ビデオドライバ v.91.48 (32-bit)
SIGMATEL STAC 92XX C-Major HD サウンド ドライバ v.5.10.0.5143
DellDesktop システム構成ユーティリティ v.1.15.0
2.日本DellのWinXPドライバサイトから、
Broadcom 440x 10/100 オンボード ネットワークドライバ v.v4.47c, A00。Win2k用ではないが動作する。何よりこれが無いとupdate類をダウンロードできない。
3.ついでに、NVIDIAのサイトから、
nVIDIA Business PlatformのWindows XP and Windows 2000 driver package。これはdellでは必須ではないが、上記が不調のときに走らせる価値はある。仕様の異なるデバドラは当たらない仕掛けになっている。サイズは巨大だが役立つ情報も多い。
手順
1.Win2Kのクリーンインストール。パーティションをNTFSでフォーマット後にインストール。
2.Win2kが立ち上がったら、ビデオとネットワークのドライバをインストール。HDDはSATAになっているが何の問題もなく立ち上がる。ここではサウンドドライバはインストールしない。Win2kのSP4ではWinXPのSP2と同じドライバが必要で、素のWin2kにはうまく当たらない。
3.Win2kのService Pack4を当てる。
4.IE6のService Pack1を当てる。
注意、上記の3、4はWindows_updateの指示と違って逆の順番が良いという指摘がありました。再確認しましたが、Windows_updateの指示は上記の順序です。
5.Windows updateユーティリティーをバージョンアップ。その後Windows updateを2回行ない、パッチ50個以上を当てる。
6.dellシステム構成ユーティリティーを当てる。
7.サウンドドライバを当てる。
これで、”?不明のデバイス”が消えれば成功で、E521のXPバージョンとデバドラの記載がほぼ同一となった。ただし前述のようにシステムデバイスドライバがインテルシステムと同じなので、dellのセットアップでnVIDIAチップセットが最適化されているかどうかは疑わしい。単に2CPUのパワーで押し切っているだけかも知れない。
あとは、windows media player ver.9とDirectX run time 9Cをインストールすれば一応完成である。実際にwin2kSP4とwinXPSP2のコアはほぼ同一である。win2kが発売以来セキュリティーパッチに忙殺されているうちに、2003サーバーやXPなどの派生バージョンが多数発生したため、M$も手抜きしたのであろう。
win2kで欠けているものにmsconfig.exeであるが、これはwin98、MeもしくはwinXPから引っ越ししてもらった。もうひとつ、winXPのシステムの復元機能が無いと不安というユーザーがおられるかも知れない。
webmasterは次のようにしている。まず、プログラム->アクセサリ->システム->システムツール->バックアップを起動。次にフロッピーを空にして、上のメニューのツール->システム修復ディスクの作成を選び、”修復ディスクのレジストリのバックアップを作成する”にチェックを入れOKを押す。フロッピーが空という警告とともにレジストリーのバックアップが\WINNT\repair\Regbackに作成される。\Regbackを\Regback20070401のように日付を含んだ名前に変更するのがミソである。同時にハードディスクのどこかにシステム状態のバックアップを日付を含んだ名前で造っておく。
修復だが、ファイルシステムがFAT32なら、Win98以降の起動フロッピーで起動し、\WINNT\repair\Regbackの内容を\WINNT\systenm32\configに書き戻す。うまく起動したら、システム状態のバックアップを書き戻せば完璧である。
NTFSは修復がやっかいなのでWebmaserはセキュリティーさえ許せばFAT32でフォーマットしている。120GB以上のHDDでもバグフィックス版fdiskでFAT32フォーマットが可能であり(容量をパーセントで指定する)、WIN2k/XPもインストール可能である。
またXPでは省電源制御のCPUドライバがインストールされるがWin2kには無い。インテルCPUの場合は、インテルサイト(注:現在は無いのでレノボサイトあたりから)からSPEEDSTEPユーティリティーをダウンロードすればXPとほぼ同等になる。アスロン64x2のWin2k用がAMDサイトにみあたらないが、dellではBIOS設定によって起動時にCool'n'Quiet機能 がENABLEにされているので、ドライバーは不要である。設定は標準的で細かく設定できないが問題無い。
windows2000のSP4に関しては、AMDのathlon64/fX用Cool'n'QuietユーティリティーCNQ_1_0_8_1.EXEで、Cool'n'Quiet機能は2つのCPUで独立して問題無く動作している。なお、実際の周波数については、同ページのAMD Clock Version 2.0.1で確認することができる。
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不要なサービスを止めればさらに軽くなる。参考のために、常用のIE6のメニュー部分と2CPUのタスクマネージャ、最小限の起動サービス一覧を示すが、モデムを使う際はIPSEC Policy Agentを自動にする必要がある。なお、仮想記憶の最小と最大を同一サイズにしておくとスワップが早くなる。
コミットチャージは、上記の環境にHPプリンタドライバー、ウイルスソフトAVG_free7.5などを組み、PAINT画像を切り貼りしている状態である。起動時で130MBytes程度であり、その多くがその後開放されるので、メモリー128Mbytesでもブラウザーやoffice程度の使用であればあまりスワップは発生しない。Vistaのために1GBytesを実装したマシンでOSが消費するメモリーが15%程度ということは、広大なメモリーがアプリケーションに提供できるわけだ。本来OSというものはそういうものではないだろうか?
win2kでいろいろなアプリを動かしてみると、間違いなく演算はセレロン900MHzの数倍速く感じられるが、ディスクアクセスはせいぜい2倍程度だ。ただし、多数の操作を同時に発生した場合のレスポンスの低下は2CPUのため間違いなく小さい。
絶対的な能力では同価格帯のインテルcore duoと拮抗しているが、ローカリティーの低い複数のプロセスが交錯するwindows環境では、レスポンスにおいてアスロン64x2にメリットがある。素材としては、これに仰々しくないビデオカードをのせれば十分であろう。普及品のシステムがこのレベルに達すると、もうパソコンを自分で組む時代は終わったようである。
ともあれ、重要な用途にはSP1が出るまでvistaを見送ることをおすすめする。そして、vistaに我慢できなくなったら、速攻でwin2kかXPに戻すのが精神的にすっきりする。
ちなみに、win2kは最低2010年まで、winXPは2014年までサポートされ、特に重要なセキュリティーパッチについてはその後も提供されるので、お気に入りのアプリを捨ててまで慌ててvistaに移行する必要は無い。どうかすると、vistaの寿命がXPより先に尽きてしまう可能性すらある。
仕事場のメインマシンをVistaマシンに更新することとなった。前任の機械は、
のもので、ATX仕様ではなくてAT仕様だった。終了後に電源スイッチを手動で切るやつである。この観音ブランド(ACERの430HX)が登場したのはWin95の時代で、CPUはP54の133MHzだった。その後、CPU電源が1系統(ソケット5)のものを、
のように、VRMジャンパーにダイオード噛ませて二系統電源(ソケット7仕様)と変造してP55Cに換装しサブとして使っていた。BIOSはアフリカのftpサイトに転がっていたものを使っていた。その内にCPU周りのSW電源が壊れると予想していたが、しぶとく生き延びたのである。しかし、
で紹介した、メルコマシンをK-6-II+(450MHz=83MHzx5.5)に換装したメインマシンが能力の限界に達したため、これをサブにまわし、観音カメラマシンをメインとするために更新したものである。
変更したマザーはセレロン(900MHz=100x9)+SiS630Eチップセットで、ノートパソコンにも使われる高集積度のため、ケース内は閑散としていた。
さすがに内蔵グラフィックの画質は不十分で、早々にVooDoo Banshee(3Dfx)PCI仕様を加えてツインディスプレーとしていた。
さて、新しいVistaマシンはDellのdimension E521(Athlon64X2 3800+)と20インチモニターセットである。電源を入れるとVista Home Prenumが起動した。
画面はAeroテーマで、例の3Dの窓が十分な速度で回転するのを確認した直後には、Win2kクラシックテーマに変更した。
最初からAeroテーマだったのは意外だった。というのは、先日同僚が仕入れたLet's Noteは最初からクラシックテーマだったからである。
”3Dでパラパラめくるのをやりたい”
と言う同僚のリクエストだが、やり方がわからない。見ると一枚の紙が添付されていて、
”基本的にこのマシンでのAeroはお勧めしないし、電池の持ちも悪くなる。どうしても、ということならこう設定するが、クラシックテーマに戻すにはかくかくしかじか。。。”
とあった。業務用にはAeroはおすすめしないらしい。
早速ネットワークでデータを転送するが、問題が発生した。Webmasterは互換性とセキュリティーのためにNetBEUIを使ってきたが、XPでは使用可能であったNetBEUIもVistaでは完全にサポートされなくなったからである。しかたなくover_tcp/IPとして使うこととした。
まず古いOFFICE2000だが、2CPUだけあってすばやくインストールされた。同メーカーの製品らしく互換性チェックは入らなかった。これはずるい。というのは他社のソフトはことごとく互換性警告が出たからである。
次にNetscape7.2をインストールしたが、いろいろ警告がでて頓挫した。2回目にはインストールに成功したが起動しなくなった。これは\Program Files\Common Files\mozilla.org\GRE以下のファイルが壊れたためで、これを削除して3回目のインストールで起動するようになった。
これは、W2kからVistaにバックアップファイルを転送した時に、ファイル転送Wizardが勝手に起動し、ファイルを指定したディレクトリーではなく、論理的に似たディレクトリーに配分してしまったからである。\programfiles以下に不完全に組み込まれて、インストールが失敗したのである。
その理由は、Vistaでは\Documents and Settings\my_documentなどの論理構造(化身?)が変更されたため、例えば\mydocument以下のファイルを転送すると、指示ディレクトリーではなくて\documentに配分されるからである。便利だが危険である。
次にNetscapeの設定とメールを引っ越そうとしたが、各ユーザー毎のApplication Data領域に書き込めない。
Vistaではユーザーがアドミン権限でも、システム領域のファイル操作ができないのである。これはシステムの復元機能をOFFにしても同様だ。ユーザー権限設定で、指定したディレクトリーの以下にも権限が及ぶように、チェックを入れないと書き込めないのだ。
しかもこの指定は毎回に行わないといけない。他にも、システムファイルはマウス操作で一度に複数を選ぶことができない。おそらく、ユーザーが通常の業務をアドミン権限で行っていて、無意識にシステムを壊すのを防ぐためだと思われるが、システムを操作するユーザーには面倒である。
わずらわしいチェックをWin2k/XP並に減らすには、
1.Window Difender(SpywareやVirusの一部を防御する)をDisableにする。
2.コントロールパネル、ユーザーアカウント、ユーザーアカウント制御(UAC)を無効にする。
3.Vistaに適さないアプリのプロパティ、互換性でWin2korXP互換をすべてのユーザーの設定で。
と、厄介だ。ほとんどの市販品にワクチンソフトがついていくるし、OS自体にもfirewallがある。場合によっては3重にも似たような防御があるので、経験あるユーザーならDisableで良いように思う。逆にXPまでが無防備だったことが意外でもある。
このあたりの不便はメディアの紹介記事には殆ど触れられていないようで、彼らはまともな仕事をやっていないことが見え見えである。Vistaでは、過去のリソースを多く持ち、なまじシステムの知識がある人ほど逆にトラブルに遭遇することになる。
ファイル圧縮ユーティリティーをインストールすると、エラー終了するものがあった。その多くは、shell_enhancement(メニューや右クリック機能)を操作するもので、shellが変更されたためエラーが出たのである。
他にマルチメディア関係で、ミキサーなど独自のものを組み込むものはエラーになった。ミキサー入出力が多くのリソースに分割されていたものが一元化されたためである。これも便利なようで不便である。
電源コントロールはXPまでのハードウェア的な操作から、論理的なIntelのSpeedstep的なものに変更されたが、これも改善とも改悪とも判断が付きかねるところである。ACPIと通信するユーティリティーは動かなかった。
Dellのハードウェアも大きく変化していた。シリアル、パラレル、PS2キーボード/マウス端子は廃止されており、キークリックでモニターを切り替えるハードが使えなくなった。
過去、PS2ケーブルに介在させていたカードリーダーやセキュリティー機器の多くはUSBに移行しているが、古いハードを使っているユーザーほど困るだろう。このため、メーカーによってはPS2端子を残している業務用パソコンもある。
NVIDIA製のマザーボードではIDE端子が廃止されSATAx4となっていて、過去のHDDや光ドライブは繋がらない。必要ならUSB接続のハードディスクの箱に収容して接続することになる。幸いPCIスロットが2個、PCIexpress x1が1個、x16が1個あるので当面の問題はない。
驚くべきことは、IBM-PC以来のフロッピー用コネクターが残されていたことである。単にFDを読むだけならUSB接続で良いので、これはファームウェア更新用なのだろう。古いマシンから3.5インチと5インチのFDDを引っ越したが、どちらか一台しか動作しない。オンボードのグラフィック(GeForce 6150LE)はvistaスコアが3.5と十分な性能ではあるが、アナログ出力だけなので高解像度では画質に不満が残る。
文句あればボードを買え、ということなのだろが、最近のグラフィックボードは放熱器のオバケのようで、個人的には3D性能よりデジタル出力がほしいところである。このマシン、レガシー一掃かと思いきや、意外なところが古いままである。
HPのプリンター付属のインストーラーは作動しなかったので、HPサイトから驚くほど巨大なインストーラーをダウンロードして使っている。vistaに移行する前にはプリンターのドライバーが存在しているか確認しておく必要がある。
というわけで、Vistaへの変化はWin2kからWinXPへの変化に比べると非常に大きい。Vistaだけの機能と言えば、パラパラめくれる3D、メディアセンターぐらいである。メディアセンターもiTuneやWindows_Media_ver.10と機能的に大差なく、強いて有用なものを上げるとすれば、子供の権限を制限する設定くらいであろうか。
OFIICEやブラウザーを使うのであれば、パラパラを体験したのちにクラシックテーマに変更すれば問題は少ない。ただし、古いハードやソフトが必要なユーザーであれば、迷わずWinXP仕様を選ぶべきであろう。
問題は、初心者にとって自分が作ったファイルがどこに存在するのか、把握が難しいことである。これは、ユーザーは物理的なディレクトリー構造を知る必要はなく、文書は全てここ、画像は全てここ、というように論理的な位置を知っていれば良い、とするM$の考え方なのであろう。同じような考えはMacOSXにもある。
これは、どの自動車でもATのDレンジに入れれば車種を意識する必要が無い、ということと同じ考え方なのだろう。問題はデジカメやプリンターなどの周辺機器メーカーが考えるDレンジとM$が考えるDレンジの場所が異なることで、彼らが想定するファイルの保存先がまちまちであることだ。
従って、ユーザーがデジカメの画像をブログにアップしようとすると、とたんにファイルの絶対的な場所が要求される。Webmasterへの初心者からの相談は、
”私のファイルが無くなった!!!”
というものが圧倒的に多い。
なかには、ファイルが行方不明になるのを嫌い、全ファイルをデスクトップに貼っているユーザーも多い。名前が同じで世代の違うファイルがシステム中に散らばっていることもある。ファイルの絶対的な位置を知るには、エクスプローラー上の樹状図を見る事がベストである。
しかし、vistaのエクスプローラーでは最初は樹上図は見えてこない。左のパネルには役にたたない論理的な項目がある。わかりにくい上下の分割線があり、分割線より上の項目を隠すとやっと大事な樹上図が見えてくるのだ。
M$は、ファイルの位置がわからなくなったら検索すれば良い、と考えているようだが、デジカメやスキャナー、カードリーダーを持ったプリンターを接続したとたん、ファイルの絶対的な場所が要求され、初心者は迷路にはまってしまう。
もうひとつ、Internet_explorer7のメニュー構造はまったく理解できない。← →と再読み込み、中止のボタンがURLを挟んで離れており、カスタマイズも全く効かない。この配置は耐えがたく、おそらく早々に変更されるものと考えている。
こうしてみると、Vistaが本当に良くなったのかどうかは議論がわかれるところだ。個人的にはWin98で確立したGUIはなかなか論理的なもので、MacOSから持ち込んだ画面上の小物は統一を乱す非論理的な存在だと考えられる。
GUIの進化過程を考えてみると、それは仏像や寺院建築、あるいはクラシック音楽が全盛期をすぎて質が低下したように、GUIも旬を過ぎれば品質がデテリオネイトするものなのかも知れない。
Wembasterが考える望ましいOSというのはWin2kとXPの中間程度のもので、無線LANやCD焼き、マルチメディア機能など新しく便利な機能はどんどん組み込まれてもかまわないが、一部の企業ユーザーしか使わない遠隔管理機能はオプションでよいと思う。その手の機能は一般ユーザーにとって無用なバックドアを開けるだけで何のメリットも無い。また、単に窓を透明にするだけにマシンの大半のメモリーを占有するのは明らかに間違っている。それは、たとえばエンジンとガソリンタンクばかりで車室がほとんどない自動車のようなものだ。
えらいことである。超音波診断装置が故障して、モニター画像は昔なつかしい水平線である。
当然ながらこの手の故障に対する修理は、たたくことである。そうすると、一瞬画像が上下に伸びるが、またすぐに水平線に戻ってしまう。
この手の故障に詳しい方には蛇足になるが、これは電子ビームを上下に振る垂直発振回路の故障である。
たたくと一瞬正常な画像が出ることから、故障は接触不良もしくはハンダのクラックであろう。
モニター内部には電源を切ったあとも数万ボルトの電圧が残っているので、内部に触れることは危険です
モニターをバラして最初に確認するのは、図のような直線に並んだ垂直発振回路のICパターンである。表側に大きめの放熱器がついているのが目印だ。ハンダを拡大すると細いクラックがあるようで、大目のハンダを盛って試運転すると、正常の画像となった。
実は、この手の故障はテレビやCRTモニターでは定番である。Webmasterの家のテレビは2台とも同じ故障を経験している。下手に修理したために、未だ我が家に液晶テレビがやってこないと、家族の非難を浴びているところである。webmasterとしても修理不能な故障を心待ちにしているのだが。
さて、なぜ毎回同じ所が故障するのだろうか。下の写真のように、このICには大き目の放熱器がついている。CRTの電子ビームを上下に毎秒60回以上振るための電力は大きく、かなり発熱するからである。
基板にも放熱のための穴が空けてあるのだが、このために基板の剛性は低くなっている。モニターに振動が加わると放熱器はその角を支点として大きく揺れ、ICの足をテコの原理で基板から引き抜こうとするのである。この部はかなり発熱し、また高圧回路から腐食性のオゾンも発生するので、ハンダにとっては条件が悪い部分である。
これを予防するにはICの足をまげて固定強度を上げるか、あるいは放熱器を基板に固定すればいいのである。国産モニターではそう対策されているものもあるが、コストがすべてのNIES製モニターに細かい細工は期待できない。
もちろん、パソコン屋に行けば最新の液晶モニターが2、3万で並んでいるから、それに交換するという考え方もある。実際に修理するまで液晶モニターを試してみたのだが、画像がしっくりしない。
超音波の画像は白黒ではあるが、プローブを動かしながら見るモヤモヤとした淡い模様が大事なので、反応速度の遅い液晶モニターは不向きなのである。静止画でも、真っ黒になるべきペデスタルレベルが明るく浮いてしまうので今一つである。
これは最近盛んな内視鏡手術でも同様で、高輝度のトリニトロンモニターになれたドクターには最新の液晶モニターをもってしても評判はよろしく無い。しかし、納入時にCRTモニターを指定しても、既に廃番となっていて手に入らないのである。
したがって、液晶モニターの画像がCRTを完全に凌駕するまでは、このような修理も今しばらくは意味があるのかも知れない。
問題は、モニターを持ちあげる時に無理した腰が痛む事である。今後は少々画像に妥協しても軽くて腰にやさしい液晶モニターを選ぶべきなのかも知れない。
それは一瞬のできごとだったそうである。複雑時計が水平に回転しながら床に落下したという。
ウイーン
竜頭を巻くとケージがものすごい勢いで回転する。どこの時計屋でも修理を引き受けない、とのことで何とかしてあげあたいところである。写真がケージを拡大したところであるが、ケージが傾いていて天輪側がわずかに低いように見えるが、どうだろう。
まずトゥールビヨンのケージを調べてみた。この時計については、”怪しげなトゥールビヨンのナゾ”でとりあげたものである。その構造については、図のようである。しかし解析を進めると前回の図には2箇所間違いがあった。それはケージの支持がボールベアリングとあるが、実際には特大のルビー円盤に金属製の円盤が接して回るプレーンベアリングになっている。
もうひとつは、ガンギ車の下に一箇所しかルビーの軸受けが無いことである。しかし、ガンギの軸は天輪の受け板の穴をとおっている。
故障は、ガンギ車から下方に伸びた軸が軸受けから脱落していたためであった。
時計が水平に落下したため、ケージが衝撃でたわみ、軸がはずれたのであろう。幸い、軸も軸受けも損傷がなく、軸受けに戻すと時計は正しく動き出した。
壊したら部品が二度と手に入らない代物で緊張したが、修理自体は簡単であった。再び動きだしたところをビデオに収めた。ケージの動きが良くわかると思う。
しかし、である。よくよく見るとケージの位置によって振れ角が違い、止まることがあった。まだケージの歪が残っているのである。そこでテンプ側を持ち上げて修正したがまだ振れ角に差がある。
そこで粘度の低いsyntAをベアリング部分に少量注油したのだが、かえって振れ角が小さくなってしまった。オイルの粘性が抵抗になっているわけだ。そこでケージ全体をSyntAとなじみの良いアルコールで洗浄除去することで、ほぼ満足の行く結果となった。といっても、稼動分の摺動になじみがでて歩度が安定するまで、2週間ほどエージングする必要があった。
この時計のトゥールビヨン機構はかなり手馴れた設計であり、かなり丈夫に作られている。しかし、決してクオーツやセイコーファイブのように丈夫なものではなく、どんなに軽い衝撃も禁物である。また、わずかなケージの狂いが振れ角や歩度に大きく影響するために、調整には手間と時間がかかる。
つまり、この手の複雑時計は日常使用には耐えない、という当たり前のことが再認識されたのである。またwebmasterもたびたび失敗しているのだが、注油は最小限が良く、迷ったら注油しない勇気?が必要なのである。