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□キャンピングカーの鑑札更新のナゾ(準備がたいへん編)
□スクーターのタイヤは雨に弱くて良いのかのナゾ(温故知新パターンのタイヤ編)
□NC700Sの4回目の鑑札更新のナゾ(書類に微妙な変化あり編)
□Webmasterの邪馬台国考のナゾ その3 宇佐神宮が示唆する邪馬台国のナゾ(今頃気付くとは迂闊編)
□過熱で落ちる除湿器変造エアコンの鍛錬のナソ(電流センサー封印編)
□キャンピングカー用変造エアコンのバリスターの恐怖のナゾ
□22年選手キャンピングカーの長期性能維持計画のナゾ(重点ポイント編)
□キャンピングカーの冷房のナゾ(TAD-22と変造CV-U100C-W編)
□故障した特殊冷蔵庫の中華製コントローラーによる復活のナゾ
□画期的!山本式ワイパーブレードセーバー(PATpend)のナゾ)
□キャンピングカーのマルチルームを温水シャワー仕様にする編)
□キャンピングカーの名義変更編(費用は400円+ナンバー代8200円編))
□出番の減ったプリウス4回目の車検のナゾ
□うるさい車内インバーターを静かにする編
□キャンピングカーを考える(楽しい候補えらび編)
快調なJB470だが鑑札更新(車検とも言う)が迫ってきた。ネットではキャンピングカーのユーザー車検でのご苦労の数々が報告されているので、前車の轍を踏まないように準備する必要がある。備忘録を兼ねて対策を書いておくこととした。
過去のご苦労に学ぶ
基本だが、タイヤと締付けボルトの点検である。キャンピングカーは重いので空気圧不足による発熱でのパンクが多いという。空気圧はドアの表示より0.5kgcm2多めに入れるのが無難らしい。
締付けボルトの緩みによる折損も多く、その殆どがアルミホイールで起きている。理由は、スチールホイールはボルトを締め付けるとバネのように弾性変化を起こして緩みにくいが、アルミホイールは塑性変化を起こすので緩みやすいからである。ボルトが緩んでいると検査員の印象をいたく損ねるらしい。タイヤはBSブリザードで8分山だが、イオンクラックが目立ってきたので近く交換の予定である。
次が灯火類のチェックで、フロント車幅灯、尾灯、ウインカー、ナンバー灯の電球をチェックし、わずかでも黒変しているものは交換した。またポリカのカバー類は清掃し研磨した。ランプ内の空気は点灯で膨張し消灯で収縮するのでホコリを吸う。清掃と研磨で尾灯やナンバー灯は格段に明るくなった。
ヘッドライト対策だが、なぜか左はハロゲンH4交換式で右は真新しいシールドビームだった。右もハロゲンH4の交換部品を入手しているが、これまで合格してきたので、敢えて交換せず車検に臨むこととした。
合格すれば、右の交換後に左の光軸と揃えれば手間が省ける。ヘッドライトは両方いっぺんに交換しないほうがベターである。なお、この年式のものはハイビームでテストされた。
ブレーキだが、フロントのブレーキパッドは購入時に消耗無しだったが、念の為に内視鏡(ピストンを覗いたやつ)でチェックしたところ8mm程度残っているようだ。
リアはブレーキの効き不良による不合格が多いらしい。後輪ブレーキはあまり減らないのでシュー表面が硬化して効かなくなっている場合がある。この子は信号停止でのサイドブレーキの効きは良いものの遊びが多い印象である。
そこで、三菱車で効くかどうかわからなかったが、バックしてサイドブレーキで止めることを数回試したところ、明らかに遊びが小さくなった。これはトヨタ車でも有効だが、マツダ車で有効かどうかはわからないが、試す価値はある。ネットによるとブレーキ試験はリアルタイムの重量測定に応じたブレーキ力が必要とされ、重量オーバーだと不合格になると言う。
次はステアリング系である。これについてはリンク類の目視点検を行い、またパワステフルイド(ATF)も可及的に交換してある。
エンジンオイルとATFは最近交換補充してあるので問題はない。
排気の黒煙濃度が高いと不合格になる。対策としてまずエアクリーナーを新品に交換してある。これが詰まるとエアが不足して黒煙を吐きやすい。さらに車検の前々日の夜に高速を時速100kmで30分ほど走って黒煙を焼き切っておいた。もともと4D56ターボとしては85PSと最も低馬力仕様なので、フルスロットルでも黒煙は殆ど吐かない。
最大の問題は重量オーバーである。JB470はデリカトラックベースとボンゴとほぼ同クラスで、車検証上の車両重量が2230kg、車両総重量が2560kg(定員@55kgx6名)となっている。おそらく8ナンバー取得のときの重量と思われるが、車両総重量はベースシャーシーに乗員を含んで1.2トン少々載せた計算だ。
最大積載量=車両総重量−(車両重量+乗車定員数×55kg)
なので、JB470に限らずキャブコンは定員乗車なら殆ど荷物を積めないということになる。なお車両重量には燃料が満タンでオイル、クーラント類は規定量含まれる点が昔の乾燥重量とは異なるが、スペアタイヤやジャッキ等の工具を含まれない。
それでは現実の走行状態を反映しないでは無いか、と言いたいが、燃料満タンという条件の数字である。現実には平均して燃料タンク半分なので、半分の燃料の重量がスペアタイヤとジャッキ等の重量と相殺されるようである。なかなか役人は頭がいい。
とすれば、全くの新車のままにナビやスピーカーを載せて燃料満タンでスペアタイヤと工具類を積んで車検ラインに入れば不合格になってしまうので、50kgまでの重量オーバーは合格になるらしい。これもなかなか渋い計算である。
JB470ではタイヤは一本約12kgx2本(前後タイヤ径が異なるため)+工具ジャッキ類を5kgとして約30kg、とすれば余裕は20kgしか無いとことになる。
現状ではソーラーパネル200wが20kg、セカンドサブバッテリー105Aが25kg、電子レンジ11kg、テレビ+1500W+100Vインバーター+サブウーハーで6kg、ナビ+スピーカーが5kg、飲料水18kg、清水20kg、ポータブルトイレ+クーラーボックス3kg程度と、このままでは重量オーバーである。
従って、寝具、食品や什器にセカンドバッテリー、電子レンジ、サブウーハー、トイレ+クーラーボックスを下ろし、飲料水と清水を空にした。さらにトイレのドア3kg、バンクベッドのハシゴ2kgも取り外した。これでプラス30kg程度となったはずだ。なお燃料残は10Lとなるように抜いたので、満タンより35kg減となって最終的に車両重量+αで納まるはずである。
万一これで不合格となれば、スペアタイヤ2本と工具等を下ろせばいいだろう。もともとスペアタイヤと工具類は車両重量に含まれていないので車検時に降ろして良いし、燃料もギリギリまで減らして良いことになっている。
車検の予約
いつものようにNALTEC 独立行政法人 自動車技術総合機構でオンライン予約を入れる。車種は普通車特殊を選ぶ。
車検の持参物
必須書類は、
1)車検証
2)自動車納税証明書
3)24ヶ月適期点検記録簿
だが、納税されていれば証明書は不要だ。あとは鉛筆、ボールペン、念の為認印(本人申請では不要)、最低限の工具(ランプ交換とスペアタイヤを降ろすレンチ等)である。
車検の実際
四輪の車検ラインには7時半過ぎから車が並び始めるので、事務処理の前に車をラインに並べておくのが得策だ。福岡ではラインは二輪、新規、兼用1、兼用2、マルチ3、マルチ4,マルチ5と並んでいるが、キャンピングカーは兼用1か兼用2に並べる。
事務は、まず陸運協会で次の書類と証紙類を入手する。、
1)現行の自賠責証明書と更新したもの(24ヶ月分)\30210
2)自動車検査票(自動車審査証紙1400円と自動車検査登録印紙\400を貼る)
3)自動車重量税納付書(8ナンバーで車両総重量2〜3トンで18年経過のため印紙\37800を貼る)
自賠責\30210は乗用車の\25830より少し高い。重量税は本則(13年以下)は\24600と1.5トン以下の乗用車と同じだが、18年以上は実に54%もの理不尽な超課金がかかる。8ナンバーの自動車税は乗用車より2割ほど安い。
しかし、皆様には衝撃のニュースだがマツダのボンゴはまもなく廃番になるのだ。すでに後輪が小さい超低床仕様は廃番となっているので、今後JB470のような全高が低いコンパクトキャブコンは無くなる。大手の架装メーカーはボンゴベースのキャブコンモデルを持っていて、
結構な数が売れているのでパニック状態である。先日のキャンピングカーショーでは、各社ともボンゴモデルは在庫のみで終了とのことだった。
各社が代替ベース車両と考えているのはライトエース/タウンエースか日産NV200だが、どれもキャブ重量が800kg程度に限られるためボンゴより200-300kg軽くしなければならない。ハイエースやキャラバンベースのキャブコンも考えられるが、価格的にカムロードベースと同じになってしまう。というわけで、コンパクトながら装備が充実したJB470はますます貴重になるのだ。そう考えれば重量税に対する腹立ちも紛れるというものだ。
車検ラインに並ぶ
その前に検査がある。タイヤ、灯火類、ホーンなどで、次にエンジンルームを開けてエンジン番号、車両番号の順だった。検査員はにっこり笑って「エンジンをもっと磨いてくださいね」と言った。意味を測りかねたが、Webmasterを整備マニアとでも思ったのだろうか?Webmaseterはコーションプレートとオイル、クーラント、ブレーフルイド等の蓋は磨くがエンジン自体はブレーキクリーナーを吹きかけただけで磨く趣味は無い。車体もコーティングはするが原則として洗車しない信条である。
次にキャンピングカー装備のチェックがあった。まずシンク、コンロの目視で、座席は2つとも前向きにしていたのをベッドに展開させられた。検査員は「座席が2つともハイバックでベッド展開できるんですね」とか「コンロが2つあって装備がいいですね」、とか言った。彼らも乗用車やトラックばかりだと飽きているのだろう。
キャンピングカー装備をチェックする理由は、一時流行した偽装8ナンバー車を排除するためらしい。8ナンバーの特殊車両は4ナンバーの商用車より自動車税が安く、車検が1年毎から2年毎になるなどメリットが多いからである。現在では自動車税の差は小さくなっているが、依然として車検とその整備の間は車が使えないことが商売の負担になる。チェックは特にバンコンで厳しく、単に荷室に台所ユニットとベッドを置いただけではなかなか認められないらしい。
ラインに入るとディーゼル排気チェックだが、前述の対策で一発合格だった。
次に前輪ブレーキで一度で合格。次に後輪ブレーキも重量オーバー対策のせいか一度で合格。パーキングブレーキも一度で合格した。
次は難関のヘッドライトチェックだが、年式によりハイビーム検査で一度で合格と調子が良い。次はピット上に進サイドスリップ、ステアリング、ブレーキ等のチェックも合格。
前に4台並んでいたが、9時にラインが開始されてライン終了が9時25分、新しい車検証とシールをもらったのが9時33分と、車検自体の処理能力は実務的、社会通念上許される範囲にあると思う。
しかし、結構な人手と手間をかけてホコリや排気を浴びながら騒音下でのチェックと事務手数料が合計1800円に過ぎないのに、重量税が37800円というのは、バランス的に明らかに狂っていると言わざるを得ない。
というわけで、とりあえずJB470は絶好調で正月を迎えることとなったのである。状態の良いJB470に巡り会えたのは本当にラッキーだったと思う
距離の伸びないNC700Sと裏腹に、いつもエンジンが元気一杯のアドレスV125(k5)は順調に距離が伸びてリアタイヤが減ってきた。
残り3分山だが、雨の日の道路塗装部分でのグリップが著しく低下して危険を感じた。最近のスクーター用タイヤのドライグリップは良くなっているが、ウェットグリップは昔より悪くなっている印象があり、その原因はセミスリック風のパターンのせいだと思っている。
新車装備のタイヤには結構細かいパターンが刻まれていてウェットグリップも考慮されているようだが、リプレース用はどれも4輪のスポーツタイヤのように溝が少ないパターンになっている。
そうなった理由の一つは、グリップの良い柔らかいコンパウンドではブロック剛性を保つためにブロックが大きくなったことがある。それと、やはりセミスリックのようなカッコいいパターンが売れるからではなかろうか。一流品から怪しいアジア製までどれもカッコがいいパターンだがウェットに弱くなっているのではないか?
4輪のタイヤでも最近まではスクエアショルダーでセミスリック風の見栄え重視のパターンが流行していたが、低燃費で寿命の長いタイヤが要求されるようになり、現在はラウンドショルダーに硬目のコンパウンドと排水性も重視した細かいパターンが中心となっている。
4輪が日常的に雨の日も使われるせいもあるだろう。タイヤも完全なコモディティー時代となり、ルックスやグリップ重視は遠い過去になり、低燃費は当たり前で、今後はオールウェザーに中心が移りつつある雰囲気である。
しかし、スクーターはスポーツモデルより日常使いが中心でウェットグリップも重要なのに、カッコのためにそれが犠牲になっているのではないか?
例えば最新のレース用レインタイヤ(BS RACING BATTLAX W01)でも排水性を最大限に重要視したデザインなっている。コンパウンドや構造が進歩した現代にあっても、やはりレインタイヤは排水性が命なのである。
ロッシやロレンソやマルケスのような天才ですら排水性の良いレインタイヤで戦っているのに、なぜに腕が良くない庶民が雨の日にセミスリックで走らなければいけないのか?四輪の流行はオールシーズンタイヤに向かっているのに、二輪だけが取り残されている雰囲気である。
そこで、今回は日本のメーカー製で排水性が良さそうな細かいパターンのオールシーズン志向のタイヤを探したが、なかなかない。やっとIRCのMB3(3.5-10前後輪兼用)が見つかったので、試してみることにした。
手元には前後ともスペアのホイールがあり、それから以前履いていた3.5-10のD306を外すのだが、ビードが固く一苦労である。一方、MB3は本来チューブ用なので比較的簡単にセットできた。
スズキの塗装が薄くすぐ錆びる安っぽいホイールにはジンク塗料とシルバーを厚めに塗り、スポークには遠くから見えるように反射テープを貼っておいた。
MB3は同じ3.5-10でもラウンドフェースで細く見えるがハイトはD306と同じくらいある。MB3のパターンはD306とは全く異なり、リブ主体にラグ要素を盛り込んだ古典的オールシーズン、オールテレイン風のもので、タイカブあたりが履いていそうな代物である。昔の実用バイクもこんなタイヤを履いていたかなあ、と温故知新の雰囲気である。今どきD306もMB3もタイ製である。なお本来はチューブ用だが今回は空気圧を高めに保ってチューブレスとして使用する。
パターンやサイプが細かいということは排水性は良いもののコンパウンドが硬く、ドライグリップは落ちるはずだが、肝心のウェットグリップはどうなのか。
試運転では、チューブ用のタイヤで柔らかいので空気圧を0.5kgf/cm2程度高くする必要があるが、それでも乗り心地は柔らかく、リブパターンのせいか直進性の強さを感じる。ドライグリップやブレーキ性能は日常用としては大きな問題はないようだが、横荷重をかけるとトレッド面の変形が大きいせいか若干グニャっとした印象がある。
問題のウェットグリップはD306より圧倒的に良く、雨の日の塗装面でもいきなり滑ることはなくなり、初期の目的は達成できた。D306ではウェットな塗装面ではリアが先に滑る雰囲気だったが、現在はD306のフロントが先に滑るような印象である。絶対的なブレーキ性能は前輪のD306で決まるためか大きな違いはないが、制動中の後輪の安定性は良くなった気がする。
まだ耐摩耗性などはわからないが、しばらくして再度ご報告する予定である。
先日、NC700sの7年目で4回目の鑑札更新(3回目の車検)に行ってきた。
走行は9600kmで前回車検から1600kmしか走っていない。この子は初回車検切れの一か月前にオークションで入手したが、その時点で走行が3 年で4300kmと少なかった。目立つ傷もなくただ錆びだけが増えていく状況で、走行距離に関してオーナーに恵まれておらず不憫ではある。一方、アドレスV125Gは走行25000km超と、順調に距離が伸びているところである。
今回も備忘録を兼ねて手順を書いておきたい。まず車検を予約し番号をとっておく。毎回IDとパスワードを忘れた、をクリックして登録時のメアドを入力するとIDとパスワードを送ってくる。予約は車では混んでいるのでほぼ必須だが、二輪は前日予約でも空いているので必須では無いかも知れない。
用意する書類は、車検証、自賠責の控、24か月の点検整備記録簿(二輪用別表第7、ネット検索で)、軽自動車税(継続検査用)納税証明書だが、きちんと納税されていれば納税証明書は不要ということは、車検事務で納税の有無をチェック可になったのだろう。
点検整備簿は一通り埋めておく。今回は今年オイル交換、クーラント補充、チェーン給脂と書いた。フレームとねじ類のさび止め塗装を施したのでパッと見きれいである。前後ともタイヤ溝は依然として6mmあるがそろそろ交換時期だろう。パッド厚も6mm以上と新車装備品は耐久性重視である。
車検ラインは9時からだが事務受け付けは8時30分からである。陸運協会なるあやしい団体のドアは8時30分前に開くので、書類(重量税、継続申請書、自動車検査票1、いずれも無料)を貰い、自賠責の更新と印紙および証紙を購入して所定のところに貼る。
車検自体は審査証紙代が1300円、車検登録印紙代400円の合計1700円は変わっておらず、世界でも最も安い部類のようだ。しかし時限立法でとっくの前に廃止されているはずの重量税が3800円と検査料自体より高いのには腹が立つ。自賠責11520円が4輪より安いということは台数の割に重大事故は少ないということか。
書類には大きな変化が無いが、細かくみると車台番号は最後の3桁からすべての桁を記入するようについ最近になった。ということは、車台番号に関する何らかの不正行為があったのだろう。3種類の書類と24か月点検整備記録簿は陸運協会でいつでもタダで入手できるが、細かい変更があるので車検前1か月くらい前に入手して記入しておけば時間の節約になる。
なお、検査の順番は運輸支局の受付順でなくラインに並べた順になるので、2輪、4輪にかかわらずライン前に車を並べてから書類の事務に行った方が賢い。
なお、現在4輪では警告灯が全て点灯しエンジン始動で消える事、およびエアバッグなどの重要リコール対応が必須になったので、あらかじめリコールを確認する必要がある。問題のエアバッグ交換には日時を要するようでその間は車検が受けられない。
さて、今回は二輪でも検査ラインに入る前に車体チェックがあった。以前はライン検査後のチェックだったが、今後はチェック不合格だとラインに入れない。ということは、二輪では車体の改造が問題となる例が増えたのだろうか。今回2番目はBMWのK1300S、3番目はモトグッチのV7-IIIで目の保養になった。
この子はほとんど無改造なのでハンドル、ミラー等のチェックは無かったが、前後長と高さだけはきちんと測られた。巷では昔からのハンドル変更だけでなくリアフェンダーの短縮化や改造が多いようである。ハンドルステムとエンジンの刻印がチェックされるが、エンジン刻印はNCの場合エンジンとスイングアームの間にありわかりにくい。
さて緊張のライン入りである。その前にスピードメーターが前後どちらの車輪を計測しているかボタンで指定する必要がある。
ラインに車を入れ、最初に前輪がローラーに乗って固定される。ギアはニュートラルへ。電光掲示板の指示に従って必ず前後両方のブレーキをかける。今回から前後ブレーキをかけるようになったのは、ABSや前後連関ブレーキが法制化されるせいだろう。ABSによってはどちらかの車輪が停止していてもう片方だけが回転しているとスリップしていると誤判断してフルブレーキがかからないからだと思われる。
合格で〇がつくとギアを入れて前に進んで後輪をローラーの上にのせて固定されたらニュートラルへ。指示があると、やはり必ず前後ブレーキをかける。速度計検査はNCでは後輪で測り、時速40kmで左フットスイッチを離す。
合格で〇がつくとギアを入れて前にすすんでニュートラルに入れる。車輪が固定されるとライトチェック(通常ロアビーム)である。ライトが水平より上を向いていると絶対に不合格なので前方に体重をかけて、光量を増やすために軽くエンジンをふかすのが礼儀とか。
合格で〇がつくと前方に進みエンジンをかけたままスタンドをかけ、排気検査のプローブをマフラーに入れるが、プローブをマフラーに差し込めない場合のための各種アダプターが用意されている。検査に少し時間がかかるので、その間に検査票1をプリンターに挿入して印字し、排気検査がおわればそのプリンターに挿入して印字する。
その付近に騒音計が置いてあるが、検査員が耳で判断して問題があれば検査される。以前、次の古いSR400はランプ類やウインカーは車検用の仮設らしくそこいら中電線がぶらさがっていて排気音も相当うるさかったが年式が古いせいかノーチェックだった。旧車の排気と騒音のチェックはかなり甘いようだ。
検査員の部屋に検査票を持って行き合格印をもらい、事務に提出して待ちが多くなければ5分程で新しい車検証とシールがもらえる。今回は検査待ちの先頭だったせいで9時にライン検査が始まり、9時16分にはシールを貰って帰ることができた。しかし、その時点でもK1300Sは電子制御か何かの問題なのか、まだラインにつかまっていた。最新の電制がなにかとトラブルを起こしていたようである。
以上で終了だが、Webmasterの場合、最大の出費は任意保険で、次が自賠責、一番安いのが検査料で、その間が重量税というのが納得が行かない。
ユーザー車検でいろいろな批判も多いせいか、車検事務とラインはかなり効率化されているが、それなりに毎回変わったところがあり、車両行政でどういった問題が発生しているかが伺えてそれなりの社会勉強になる。
そのためにもやはり法規に書かれているように、自分でチェックして自分で車検をとるのがベストなのである。
老婆心コーナー
1.エンストについて
この子は、まだ暖機が十分でない間にアクセルを殆んど吹かさずにクラッチをつなぐとエンストすることがある。それは、燃費コンシャスのため、ホンダのバイク史上初めてアイドリング付近がストイキになっているためと思われる。対策のECUファームがあるらしいが、慣れたので特に書き換えていない。
2.フロントサスの堅さについて
高速ではあまり感じないが、低速では前サスの硬さを感じる。これは、エンジンが60度前傾のためホイールベースが長く、前輪荷重が小さいためだと考える。ホイールベースはハヤブサやCB1300より長いのである。 そのため、前空気圧は指定より(0.1-0.2kg2/m)少なめでバランスが取れるようだ。フロントサス径は41mmでコストがかかったものではないが、わざわざコストを落としたものでもなく、ホンダ車では標準的なものである。
3.デザインとエンジン性格の矛盾について
いろいろ試乗したなかで、NC700Sにエンジンの性格が近いと感じたのはハーレーの水冷750である。270度点火間隔を含め、エンジン特性が良く似ているが、低速トルクはNC700Sの方が細かい工夫により大きい。問題は、エンジン性格はV90度ハーレーに近いのに、デザインはストリートファイター系であることだ。
しかし、いろいろなバイクに試乗後にNC700Sで帰宅すると、家のコタツに入った如く平和で落ち着く。現状ではアドレスV125があるので、市中では駐車場や取り回しの点でどうしてもV125優先になるが、もし大型一台ですべての用途をこなせ、と言われれば最右翼のバイクであることは間違いない。
バイクの錆びについて
スズキのバイクが錆びやすいと言われるが、本田のバイクも鋼管溶接のパッチ部分が錆びやすい。パッチのエッジが加工されておらず鋭角になっていて塗料が乗らないから錆びるのである。
パッチは一度サンド等でエッジを削ってから使ってほしい。この点に関しては、Webmasetrが乗っていたVT250Fの時代から35年間全く進歩が無い。VT250Fではパッチの隙間をシリコンシーラントで埋めていた。そうしないと、どんなに鋼管をケアをしても、パッチの内側から赤水が落ちてくるからである。
今どきの四輪はシーラーや塗装の改善で本当に錆びなくなった。それに比べ、バイクのフレームは溶接部付近が錆びすぎる。
錆びを防ぐ方法は簡単で、ラグやパッチはエッジを落とし、溶接後に十分に酸で洗い、スプレーでなく四輪と同様にドブ漬けでパーカライジングと塗装を施す。スプレーではどうしてもピンホールが発生しそこから錆びる。四輪が錆びなくなったのに二輪だけがすぐ錆びるのは時代遅れだと考える。
世間では韓国に対する輸出基準の訂正やホワイトリスト解除など騒がしいところである。これに対する韓国の論調は平壌のそれとそっくりである。
さて、1700年溯っての三世紀頃の半島事情だが、まず現代の半島に住んでいる人種と当時半島に住んでいた人種が同じであるという保証がない。
しかし、倭国に人質を送り、倭国と連合していた百済(および馬韓あるいは慶尚道)のメンタリティーが日本人のそれと近いものがあるのに反し、新羅(および辰韓)のメンタリティーは現代半島のそれ(あるいは慶尚道)と近いものを感じる一方、好太王碑文にみる高句麗のメンタリティーは大陸的なのか極めてドライな印象だ。
さて三世紀の倭国事情について最も史料価値が高いのは100%の信頼性は無いものの覇権国家である魏の三国志魏志倭人伝であろう。古くより東アジアでは中国に朝貢し、自分の領地の覇権を印綬によって権威付けるのがスタンダードである。
ただし、朝貢には貴重な特産品や生口(見目麗しい男女の奴隷)を送り、その帰りには数倍もの褒美の品と印綬等を授かるので、途中で略奪される可能性もある。
邪馬台国がたびたび北魏もしくは西晋に朝貢しているという事は、覇権国の出先機関である半島北部の楽浪郡(現在の平壌)までの旅程が倭国もしくは友好国の支配下だったということである。
旅程となる西海岸の百済(あるいは馬韓)は友好的であったと考えられるが、東海岸の新羅(あるいは辰韓)がどうだったか、である。
我が国の古事記および日本書記は大和朝廷の正当性を示すために編纂されたので信頼性は魏志倭人伝などより劣るが、百済三書(百済記、百済新撰、百済本記)と例えば七支刀の記載を例に挙げても大きな矛盾が無いので、同程度の資料価値なのだろう。
問題は新羅(辰韓)の動向であるが、三国史記新羅本紀の信頼性は不明であるものの、3世紀、4世紀に倭人がたびたび新羅を侵略した記載がある。
広開土王碑文には、391年に倭は新羅を臣民とし、399年には百済は倭と通じて新羅の王都(平壌)を落とし王を臣下とした、とある。また、梁職貢図には新羅は或るときは韓に属し、あるときは倭に属したため国王は使者を派遣できなかった、とある。
その後、倭国は663年の白村江の戦いで唐と新羅の連合軍に敗北し半島の橋頭保を失ったが、その後新羅は一転して唐に離反し倭国に助けを求めて朝貢した事実がある。まこと、新羅の一貫しない動向は最近の半島国家の振る舞いを想起させる。
ともあれ、三世紀に邪馬台国が魏もしくは西晋にたびたび朝貢するには楽浪郡までの旅程が保証されていたわけであり、その頃も半島にそれなりの橋頭保があったことは間違いない。
そこで問題になるのが、三世紀の神功皇后および三韓征伐の真偽とその旦那である仲哀天皇の実在性である。日本書紀では神功皇后がすなわち卑弥呼であると示唆しているが、卑弥呼の在位と、神功皇后の子の応神天皇の在位とは100年あまりの時間差がある。その矛盾を埋めるためか、応神天皇は日本書紀では111歳、古事記では130歳まで生きた事になっている。
現時点での最有力な説は、三国志魏志倭人伝にあり信憑性の高い卑弥呼を神功皇后として記紀に組み入れて大和朝廷の系譜を正当化した、というものである。神功皇后は戦前の反動あるいは左派勢力の影響で戦後否定されていたが、最近は一部に復活の動きもある。
いずれにせよ記紀の3世紀もしくは4世紀と想定される三韓征伐の時期に、三国史記新羅本紀に記されている倭の半島の侵略ないし橋頭堡の存在は内容的、時期的に一致することは確かである。
最近の日経新聞の連載された池澤夏樹氏の小説「ワカタケル」がそのあたりをどう描写するか興味があった。
「ワカタケル」では神武天皇の次代から九代までは実在せず女帝ヒミコが支配した、としている。面白いのは、小説中でワカタケルが武内宿禰に神功皇后の三韓征伐は実話だったかどうかを尋ねるシーンが複数回出てきて、それに対し宿禰はそれなりの行動があったとしている。これはワカタケルを借りて作者が疑問に思っていることなのだろう。
この小説では、卑弥呼と神功皇后は一応は別人物と考えている雰囲気だった。それ以外の部分はファンタジーが多く、尺不足のせいか消化不良の印象だ。
思うところがあって、先日Webmasterは宇佐神宮を訪問した。そして、迂闊ながら宇佐神宮について完全に勘違いしていたことを認識したのである。
宇佐神宮は出雲大社などと並んで格式の高い官幣大社、別表神社そして勅祭社であり現在も天皇陛下が参詣されるほどであるが、その理由について、Webmasterは神武天皇が東遷の時に立ち寄ったから=宇佐神宮が東遷のために武人なり兵站なり費用なり便宜(通行証など)を援助したからだと思っていた。
宇佐神宮はその後も東大寺大仏開眼法要や道鏡の神託などを始め、大和政権に伊勢神宮を超えて大きな影響力を持ち続けたことは史実に明らかでもある。
記紀の両者に、神武天皇は筑紫国の 菟狭(ウサ)国に至り、菟狭津彦 菟狭津媛が、菟狭の川上に 一柱騰宮(アシヒトツアガリノミヤ)を造り饗を奉った、とある。宇佐神社は神代の時代から田畑や小作人に軍隊組織をも持った治外法権的な領主であった。
しかし、宇佐神宮が祭っているのは、実在したかどうか不明で卑弥呼と同一人物かも知れない神功皇后と、その子である応神天皇、そして比売大神 ( 宗像三女神の多岐津姫命・市杵島姫命・多紀理姫命)であり、東遷の旅程で立ち寄ったハズの神武天皇は祭られていないのである。
とすると、神功皇后と応神天皇は神武天皇よりエライのか? 神話的には神武天皇の方がエライと思っていたのだが?
以下はWebmasterのファンタジーではあるが、目からウロコの話かも知れない。
もし神功皇后と応神天皇が先で、神武天皇の東遷はその後の話とすればどうだろうか?
神功皇后(あるいは卑弥呼)と邪馬台国が存在したのは3世紀であり、北九州にあった邪馬台国が東遷したとすればそれは3世紀後半以降の話である。4世紀以降には近畿で大和朝廷が成立したと考えられている。
とすれば、宇佐神宮に神功皇后と応神天皇と宗像三女神だけが祭られているのが当たり前で、東遷に関わる多くの業績を神武天皇一人に集約して後で付け加えられた話とすれば、すべて納得がいく。いずれにせよ、記紀によれば仲哀8年には都は筑紫の橿日宮(福岡市の香椎宮付近)にあったことになっている。少なくとも大和王権は近畿と北九州を結びつけているのだ。
また宗像三女神が祭られていることは、宇佐神宮が宗像大社と同盟関係にあったことを示している。
宗像大社は、当時の標準的な釜山までの行程(壱岐と対馬経由)と異なる沖ノ島経由の独自の行程を支配し、交易による莫大な利益を独占していた。だから宗像大社には数えきれないほどの金ぴかの国宝がある。
一方、宇佐神宮はその位置関係から豊後水道から瀬戸内海西部の海上交易を支配していたと考えられる。だからこそ、神武天皇が東遷のときに立ち寄ったわけであり、また、その後瀬戸内海を支配した平家を宇佐神宮が庇護しており、かの厳島神社も宇佐神宮と同じ宗像三女神をまつっていることからも明らかであろう。
この二社が同盟を結べば西日本の海上交易を支配する地政学的なパワーが大きく、それが神武天皇のスムーズ?な東遷にも一役買ったのかも知れない。
三世紀に北九州に存在したと考えらえる邪馬台国は多くの都市国家の連合国家であり、その中には卑弥呼との同一性が問題となる神功皇后とその子の応神天皇を祭っている宇佐神宮、また宗像三女神の本家である宗像大社も含まれていた、と考えるのが自然であろう。いずれの要素にも女王が絡んでいる点がミソである。
その連合がどの程度確固としていたかはわからないが、少なくとも魏や西晋に使いを送る国力は有していた。そして利益が相半する都市国家群を束ねるには超自然的な宗教的パワーを持つシャーマンが必要だったのだろう。
現代でも、資本主義対共産主義なる対立点が消滅した後に、キリスト教(一部ユダヤ教)対イスラムなる宗教的対立点が支配している。宗教の求心力は強力であり、有史以来、そして現代においても、異人種という分類より異教徒という分類のほうが遥かに強力である。
もちろん、シャーマンによる鬼道と神社群とは相容れないという考えもあるだろうが、心の広い日本人は神仏混交ををあまり気にしない。それが徳川家康でも菅原道真でも、エライと思われる人は神社に祭られるのが日本である。そもそも宇佐神宮も近世まで弥勒寺と一心同体であったし、神宮でありながらも東大寺大仏開眼法要に深く関与している。
そして、邪馬台国の有力勢力が東遷し大和朝廷となった後にも、九州には邪馬台国の残滓が存在し続けた。宇佐神宮も宗像大社のそのひとつであり、また磐井の勢力もその一つであったのだろう。だからこそ、あれほど大和朝廷に楯突いた磐井の勢力も屯倉を寄進することで許され7世紀以降まで生き延びたのであろう。
いずれにせよ、宇佐神宮に行ったのは無駄ではなかった。大きな勘違いと、またそれに対する答えを思いついたからである。神功皇后+応神天皇が神武天皇より先かもしれない、というファンタジーはいかがであろうか?
老婆心コーナー
以前は九州国立博物館に展示されていた三種の神器の一つの八咫鏡との同一性が問題となる糸島平原遺跡出土の46cmの銅鏡は、なぜか現時点では展示されていない。博物館に尋ねたところ、現在は国立の某研究機関で解析中とのことで、今後何らかの動きがあるのかも知れない。
参考
□Webmasterの邪馬台国考のナゾ
□新春特別企画 Webmasterの邪馬台国考のナゾ(その2卑弥呼の墓はどこか編)
ついに除湿器CV-U100C変造エアコンのトラブルが一通り解決し、サーモスタットも設置できたので報告したい
コンプレッサー過熱で落ちる制御をどうするか? まず、
□キャンピングカーの冷房のナゾ(TAD-22と変造CV-U100C-W編)
のようにダクトをつけた。この状態で5月に使う分にはよいが、7月になって気温が上がると10-20分で止まってしまう。その時にはルーバーのランプが点滅しているが、取説によるとルーバーランプ点滅で止まった場合は40分くらい放置後に再度電源をいれろ、とある。
そのときにコンプレッサーに触れるとかなりの温度であり、コンプレッサー自身か、あるいは周囲のサーミスタが過熱を検知して止まったと推測した。
過熱の原因はダクトかも知れないと思って裏蓋をはずしてみても、気温が高いと20-40分ほどで停止してしまうのだ。ようするにもともと使えない除湿器であり、だから中古にもかかわらず内部に綿ホコリが皆無だったのである。
内部を観察すると、コンプレッサーが過熱でオーバーロードリレーが働き停止すると、電流変化をCPUが感知して制御が落ちる設計なのである。とすれば、コンプレッサー配線にサーモスタットを割り込ませても接点が開いた(OFF)時にもCPUはオーバーロードリレーが動作したと考えて落ちてしまう。
ネットで除湿器の回路を検索してみると、どの社の製品もサーミスタはエバポレーターの氷結を感知するのみで、コンプレッサーの保護は備え付けの温度式オーバーロードリレーだけであることがわかった。
これでも、コンプレッサーが冷えてオーバーロードリレーが復帰すればそのまま動作を続けるので、ユーザーは特に意識することなく水タンクが満水になるまで使うのだ。
しかし、今回の機器では一度でもオーバーロードリレーが動作すれば落ちて止まってしまう。これをまともに使うには、二つの対策が考えられる。
1.本体のECUをまったく使わずに制御回路を新設する。これは、
と同じ手法で、昔のクーラーと同じように、電源スイッチ、送風強弱切り替え、、温度調節の機械式サーモスタットのみに変造する方法である。送風は室内用ファンとコンデンサー用ファンをAC100Vに対して直列または並列の2段切り替えとする。あとはサーモスタットでコンプレッサーを制御し、満水となればリードリレーで電源を切るという設計だ。
エバポの氷結感知サーミスタの処理は特に行わないが、そのような環境で使うことが無いし、昔のクーラーにはそもそもサーミスターは無かった。
2.現存のコンプレッサーの電流センサーを無効化し、オーバーロードリレーが切れてもCPUが落ちずに制御が持続するようにする。
この方法では今のCPUを使ったまま電流センサー回路だけに細工すればいいが、どのような処理なのか回路解析する必要があり、やっかいである。シャープ社はメカトロは下手糞だが、電子回路にはトップクラスの実力があるので、懲った変態的な回路かも知れない。
制御基板を良く見ると、コンプレッサーの電流がトランス一次側を経由し、その二次側付近にダイオード2個とケミコンが見えた。二次側を整流した電圧で制御しているのでは無いか?ケミコンの電圧を計るとコンプレッサー動作時が1V、停止時が0Vで、ここからCPUに行っているのでは無いか?
パーツとパターンを解析し見取り図と想定回路を作成した。非常に汚い図で間違いもあるがWebmasterの雑な思考過程がよく解るだろう。
回路はトランス二次側の交流を整流して直流にするが、ダイオードが2個あるので両波整流かと思ったが違っていた。この回路はCPU直結なのでAC100Vにサージが入っても5V以上にならないように1個はクランプ用のダイオードであった。ケミコンで平滑し適当な時定数でコンプレッサー動作時に1VがCPUに入力されている。
とすれば、5Vクランプ用ダイオードと並列に抵抗10KΩを入れて吊ってやれば、コンプレッサー動作に関係なくCPUには常に1Vが加わることで、電流検知を回避できる作戦である。
ところが作動させてみるとケミコン電圧が4Vもある。よく見ると抵抗コードの老眼による読み間違いで、100kΩに変更したところ0.9Vの出力となり、コンプレッサーの動作中にその配線をはずしてもCPUは落ちなくなった。電流センサー無効化が達成されたのである。なおコンプレッサーリレーコイル巻き線ホット側からは後述するファンへの配線が出ている。
これで少なくともオーバーロードリレーが動作しても変造クーラーは少なくともファンは回り続け、コンプレッサーの温度が下がりオーバーロードリレーが復帰すれば再度冷房が続くことになる。
しかし頻繁にコンプレッサーが止まると冷房能力が下がり使い物にならないので、何らかの冷却が必要である。
そこで冷房サイクルを解析するが、断熱処理が実に不思議である。通常の冷凍機器ではコンプレッサー出力配管がもっとも熱くなるので断熱処理される一方、コンプレッサー入力配管は裸が普通だ。
ところがこの機械では、コンプレッサー出力の配管が裸で長くとぐろを巻いている一方、コンプレッサー入力配管が厳重に断熱されているなど処理がまったく逆なのだ。なにかシャープは勘違いしているのか?
いやわざとそうなっている。おそらくコンプレッサーが頻繁に過熱で止まる問題をシャープは意識していて、コンプレッサー出力配管を長くとぐろを巻かせて露出させることでコンプレッサー冷却の一助としたように見える。
またエバポもコンデンサも裏蓋との間にパッキングが無く隙間が開いていて、エバポからファンにかけても隙間がある。これは、筐体内の空気をエバポやコンデンサーに吸わせることで換気してコンプレッサー冷却を助ける設計としたのであろう。
こういう高等戦術?はいくつかの冷房機器で見ていたので、最初からエバポやコンデンサー周囲の隙間をシールせず様子を見たのである。
しかし気温が上がればそれだけの対策では不足しコンプレッサーが過熱する。その理由の一つはコンプレッサーが筐体の隅の換気の悪い部分にあることだ。
とすればコンプレッサーを強制的に空冷すればよいのでは無いか。ただし配管類が混みあって断熱材が巻かれている状態ではファンを設置するスペースが無い。
そこで殆どの配管の断熱材は剥ぎ取り、振動を抑える部分のみにした上でファンのスペースに合わせて変形させた。またコンプレッサー入力側のアキュムレーターはソフトに押して奥にわずかに移動した。これでパソコン用の12V8cm角を押し込むスペースができた。
ファンの電源は、コンプレッサーリレーの一次側12Vからとった。これでコンプレッサー動作時にファンが作動するし、オーバーロードリレー作動でコンプレッサーが停止している間もファンが作動して冷やしてくれる。
ファンは1.5Wほど消費するが、冷風/除湿ダンパーおよび上下、左右ルーバーの駆動用ステップモーター配線コネクターもはずしたので、減った分の容量で不足しないだろう。
それよりも電源を入れるたびにルーバーが時間を喰う無用なイニシャライズ動作が無くなる。そもそもルーバーは手動で調節する方が遥かに使いやすい。
コンプレッサーの底面付近にもドリルで孔を多く開けて空気の抜けを良くした。また前面の水タンクとの隔壁にも孔を開けた。ただしコンデンサーやエバポの隙間からもエアを吸われる事を考えて、コンプレッサー周囲の流れがよどまないように考えた積もりである。
サーモスタットを設置する
クーラーとして1KWの能力は車載用の標準的なエアコンの半分弱しかない。炎天下では連続動作させるのでサーモスタットは不要かも知れない。しかし夜間は能力が余るので温度調節と電力節約のためにはサーモスタットがあったほうがいいかも知れない。
そこで、冷蔵庫修理時に入手しておいた機械式サーモスタットを使うことにした。問題はサーモスタットと感熱チューブをどこに設置するか、である。通常チューブはエバポからわずかに浮かして設置するがスペースが無い。
そこで、感熱チューブもサーモスタットも裏蓋にタイラップで設置し、配線はメンテしやすいようにコネクターではずせるようにし、筐体には一切手を加えずに設置できた。サーモスタット付裏蓋をはずしても直結で点検動作可能なように内部にコネクタを配置している、
感熱チューブの位置が適正なので動作は確実だが、サーモスタットの目盛りは中華製らしくアバウトなので実測で29度でON、27度時でOFFとなるあたりに印を付けておいた。通常はこの位置に固定で問題ないだろう。
以上の記載は備忘録ではあるが、同じように除湿器を改造して変造クーラーを作成する参考となるのではないか。
と言うわけで、写真は設置状況である。
スペースを食うので、マルチスペースの扉は夏季の間ははずしてカーテン仕様となる。クーラーは若干の移動は可能で、冷蔵庫を開けるときには少し左側にずらす必要がある。排気は後部の窓にポリエチレンフォームカーペットを二枚接着して重ねたものに孔をあけ周囲にスポンジを貼った物をはめ込んであり、取り外しも簡単である。廃熱ダクトには断熱のためプチプチを2重に巻いてある。
炎天下のキャブ内35度で稼動させるとコンプレッサーはたびたび止まりファンで冷やされての復帰を繰り返すが平均的な能力は低下してしまう。やはり最初にエンジン駆動エアコンでキャブ内を30度以下に冷やした後に変造エアコンで維持するのがベターだろう。
と言うわけで、我が家のキャンピングカーはクーラーが稼動可能となった。能力は1kwながら稼動可能時間は現在の最新最高水準のキャンピングカーに匹敵する。というわけで、ぜひ皆様も変造エアコンで炎天下でも快適なキャンピングカー生活をエンジョイしていただきたい。
老婆心コーナー 除湿器のチョイスについて
1.コンデンサー冷却空気取り込み口とエバポ冷却用空気取り込み口が独立していること。
2.コンデンサーの熱気排出口が独立していること。
が大事である。
コンデンサーの熱風をダクトに排出する経路は厳重にシールするが、エバポとコンデンサーの空気入り口は筐体の空気を吸い込むように考慮すべきである。夏季の連続動作にはコンプレッサー冷却のための空気孔や冷却ファン設置が効果的である。webmasterと同じ製品が入手できれば、上記の記載により改造は容易であろう。
以前よりシャープの除湿冷風器CV-U100C-Wを1kw級キャンピングカー用エアコンに変造する作業は続いている。試用した範囲では、キャビンを炎天下でも死なない程度、また夜間であれば十分快適に保てる目算である。
もちろん手当てしてある2.2kw級のトヨトミTAD-22でもいいが、図体がでかく置く場所が助手席後部に限られること、電力消費が670Wと大きい点が難点である。
JB470はサブバッテリー2台で臨時に12V210AHに車体用のバッテリーのお古を追加することで、おおむね300Ah、電力にして3.6kwhの能力がある。しかし他に照明や扇風機、AV用途にも使うことを考えると、エアコンに割ける電力は容量の50%の1.8KWh程度であろう。
これだとTAD-22はフル運転で3時間の容量になる。一方変造1KW級であれば6時間程度もつ計算になる。現時点では能力には問題が無いが、問題は40分ほどでコンプレッサーが過熱のために止まってしまうことだ。これについては解決のメドがたったところである。
さて開発中にバチっと音がしてダウンしてしまった。なんやら焦げ臭い匂いもするではないか。さっそくパネル類を剥いで基板をチェックすると、125V4Aのヒューズが飛んでいて、またその上の緑色の部品が裂けているではないか。
バリスタの煙はその上のリレーにも付着している。基板をはずして回路を解析すると、バリスタはコンプレッサーなどのリアクタンスが発生するスパイクを制御の電子回路を破壊しないように吸収するが、経年劣化のためにショートモードとなり、その前のヒューズが飛んだことが解った。
バリスタは上面が裂けているが側面は焼けておらず240なる数字が見て取れた。規格を漁るとAC150V以上でONとなる規格だが、50%の余裕では足らなかったようである。
部品箱を漁るとバリスターが出てきた。これは、近くの落雷でFAXの設定が飛んだ経験から避雷装置を自作した時の残りで、規格は270(ON電圧はAC170V)である。270のチョイスはWebmaterが決めたわけでなく、仕様書を漁ったらサージ回数の多いAC100V回路には240より270が適当と書いてあったからである。
現時点でも日本ケミコンのガイドの2Pには、AC100Vでも容量性負荷のある場合は271を、また頻繁にコンプレッサーがオンオフする用途として11Pの自動販売機の例では271を使えとある。
コンプレッサーが頻繁にオンオフする用途ではバリスタが劣化しやすいので、余裕を見て270を使うのが常識らしいが、どうやらシャープはその認識が薄かったようである。
今後もこの変造エアコンについていろいろ紹介する予定であるが、個人的な経験では、これでいいの?という設計が散見される。シャープは電子回路は得意であっても、この手のメカトロ製品は苦手のようである。個人的な経験では、
で2.2kw級インバーターエアコンの制御素子不良を2件経験している。その前に、水冷却セットフリーエアコンも明白な設計不良で苦労した経験もある。
シャープがメカトロに弱い理由は、重電や産業機器の部門が無いからだろう。同様な廉価白物メーカーでもサンヨーは有力な産業用冷凍機器部門があるせいか、それなりに耐久性があることと対照的である。
個人的には、バリスタの恐怖については電気機器の避雷設計のプロの方から教わった。
FAXなどの電子機器の保護に電源ラインと電話ラインにバリスタを入れたいと相談したところ、バリスタはどこにでも入れればいいと言うものではなく、また破損モードがショートで真っ赤に発熱発煙するので保護ヒューズを入れる必要があると言う。
そのヒューズも規格が大きすぎると切れるまで時間がかかり、その間に機器が全焼全損になるとも言っていた。
バリスタは基本的に消耗品で、サージが多い用途では少しずつON電圧が低下し最後には燃えるらしい。現在でも電子機器の発煙発火事故のかなりは劣化バリスタによるものらしい。バリスタは便利だが消耗品で使い方には注意が必要なのだ。
さて今回の除湿器は入手時に外部にはスり傷があるものの、内部には綿ホコリが皆無で、殆ど使われていない様子であった。ラッキーだと思ったが、なんとこの除湿器は30度以上の部屋で動かすと30分ほどでコンプレッサー過熱でオーバーロードリレーが切れ、コンプレッサーに向かう電流(バリスタ左のトランスで検知)が止まったことを制御装置が感知してルーバーランプ点滅して過熱を知らせながら落ちる設計なのである。
除湿には2時間4時間6時間という設定が可能でも、過熱で止まると復帰しないので、さしたる時間使われずに放置されたもののようである。コンプレッサーが過熱する理由は冷却のための通気などの設計が基本的にプアだからで、さらにプアな設計を抜本的に変えずに何とかしようと悪あがきした様子が見て取れる。
そんな訳で、バリスタにかかったサージの回数は多くないはずなのだが、それでも焼損したのである。要するに、そもそもこの除湿器は気温が上がったら使えない代物であり、あるいは低温で使っているとたいした使用時間でなくてもそのうちバリスタが焼損してヒューズが飛ぶ有様なので、人によっては”欠陥品”と呼ぶ代物なのかも知れない。
取説にはルーバーランプが点滅して止まったら40分間待って電源スイッチを2度押して使えとある。通常なら、コンプレッサー周囲にサーミスタをつけて、過熱でオーバーロードリレーが動作する前に停止させて、冷えたら自動復帰するように設計すべきだろう。当初Webmasterもコンプレッサー付近に過熱を検知するであろうサーミスターを探したが、霜検知サーミスタしかなかった。、
さて、この欠陥除湿器をいかにエアコンに変造したが、については近く報告したい。
22年選手のJB470には過去10年以上の整備データがついており、13万km弱の経過でオイル類は結構頻繁に交換されていた記録はある。
しかしベルトカバーを清掃すると、「タイミングベルトは10万kmで交換」 なるシールはあったが交換日時を示すシールが無く、どうやら交換されていないようである。
4D56エンジンはデリカなど多くの車種に搭載されていて(海外ではコモンレール仕様が未だ現役)ネットでも情報が多い。腰下は丈夫でガソリン、ディーゼル両用だが、ディーゼルではタイミングベルトとバランサーベルトの2本が使われている。ベルト交換時にはテンショナーとオイルシールも交換するのが普通らしい。
フロントカバーを剥ぐなら水ポンプも交換すべきで、当然ながらサーモスタットやクーラントも交換となるし、各種ガスケット類も交換となる。
以上の費用として最低10万は覚悟していたが、ディーラー見積もりはこれをかなり下回っていて若干驚いた。
はずしたタイミングベルトにはヒビや欠けはなかったが、突然切れることもあるだろう。
予想より大きい水ポンプはベアリング不良はないが22年経過しているので交換が無難である。パーツ類を見た印象としては普通のガソリンエンジンの10年10万キロ走行はディーゼルエンジンでは20年20万キロに相当するようである。リアヒーター配管があるのでクーラントの量が多いことは耐久性には有利に働くようだ。
ラジエーターはキャブ下部の風通しの悪いところにあり、冷房のコンデンサーがラジエーターの前に付いていて電動ファンもあるが、やはりエンジン駆動のファンが冷却と冷房のカナメである。
こには流体式のファンクラッチがあり、水温が低いときは空回りして馬力を節約し、水温があがるとバイメタルが流体の通路を塞いでエンジン回転数(の近く)で回って冷却する仕掛けである。部品は2万以上と高く良品と不良品の見極めが難しいが、ベルト+水ポンプ交換費用が予想を下回ったので交換することにした。
ラジエーター上部のスポンジが劣化していたので交換した。これにはラジエーターを抜けた熱気がラジエーターの前面に還流するのを防ぐ大事な働きがある。これについては、、
を参照いただきたい。
ラジエーターとコンデンサーのコアを水で洗い、その間の隙間をスポンジテープで塞いだ。これがないと隙間からエアを吸ってコンデンサが冷えないので、これもバカにできない働きがある。
エアコンのガス圧は正常範囲でやや低めと出た。エアコン配管の低圧ポートは数年間は開けた形跡が無いので、少なくともリアエアコンを含め配管に孔は無いようである。コンプレッサーオイルも消耗していることを考え、オイル入りガスを補充した。
その結果、運転席もキャブコンも冷房の効き目はおそらく新車以来、あるいはコンデンサーの隙間も塞いだので新車以上かも知れない。補ったオイルはベアリングやOリングに回って今後もガス漏れを防いでくれるだろう。
ファンベルト3本も早目だが交換した。理由はベルトが新しいと弾力があるのでべアリング類の負担が減るからだ。エンジンオイルは既に交換していてハンマーオイルも注入してあるので、これでひとまず安心である。
ディーラーに次に壊れる可能性のある部品を聞いたところ、細かい部品ではいろいろトラブルがあるが、分配型燃料ポンプがやられると高くつくという。そこでお守りとして軽油に0.1%ほどのATFを追加している。外国の情報によるとATFは潤滑性と清浄作用が強力らしい。
次はパワステフルイドで、タンク内のATFにはかすかにワイン色が残っていたが可能な限り交換した。それでも新油は3割程度にしかならないが、スラッジが剥げるトラブルを避けるためには少量づつ数回の交換が望ましい。
と、これを読んでいる方はATはどうしたのか?と思われるだろう。整備資料では4速ATのATFは8万kmで交換もしくは無交換となっている。
巷では、10万kmくらい無交換でも調子が良ければATFを交換すべきでない、という説がある。下手に交換するとスラッジが遊離してバルブボディーの経路に詰まったり湿式多板クラッチの当たりが変化してフェースが剥離したりして故障につながる、というのである。しかし古いATFは粘度やせん断力が低下するので効率が低下し変速タイミングも変化する上に潤滑能力も低下する。
もっと一般的な説は、多走行車では少量を時間を置いて数回交換することでスラッジが急に剥げることなく次第に新油に近づけることができるというものである。その際にバッテリーを遮断して学習効果をリセットするのも良いとも言う。
Webumasterはメルセデス190Eでは頻回に少量ずつ交換した。最初に1L、その後1.5Lを数回交換した。5L以上あるATFのうち交換できるのはオイルパンの1.5Lに過ぎないが、交換を繰り返すうちに次第にワイン色となり、オートマの調子も良好に保たれた。その後は5000km毎に1.5L交換することでサーキット走行でも問題なかった経験がある。
そこで、今回もまずATFを1L交換して観察してみた。抜いたATFはワイン色が弱く粉っぽい印象だった。その300km走行後に1.8Lを交換したときには粉っぽい印象が減りかすかにワイン色になっていた。3回目交換後には濃いワイン色に透明感が出てきた。6.8LのATFのうち交換できるのは1.8Lなので、3回の交換で古い油は、
5.8/6.8 * 5/6.8 * 5/6.8 = 0.46
と半分以下になった計算になる。次回は5000km後に交換予定である。使ったATFは190Eの時にストックしたシェブロンのISOSYN (DEXRONIII)である。SYNとあるので全合成油と思っていたが、シェブロンが世界をリードして開発し現在広く使われているグループIIIの高度精製水素化鉱物油らしい。
さてATFと普通のエンジンオイルはどう違うのだろうか? それにはATの構造と原理を考える必要がある。
まずATにはトルコンがあり、変速のショックを吸収してトルクを増強する働きもある。かつては自動車用も鉄道用も変速段数が少なくトルコンのトルク増強作用に頼っていた。ホンダのスターレンジや、鉄道ではキハ181系がそうである。しかしトルコンのトルク増幅作用は効率が悪い。現在はトルコンは変速時のショック吸収だけに使われ、通常はロックアップされて無効となっている時間が長くなっている。
変速器は遊星ギアが使われていて、中央のサンギア、周囲のリングギア、その中間のプラネタリーギアが一セットで増速、減速、逆回転、そして等速を実現する。どのギアに入力しどのギアから出力するかを決めるのが湿式多板クラッチとリングギアを固定するのがバンドブレーキである。なおホンダなどは通常のMTと同じ常時噛み合いギアを使っている。
次に油圧ポンプがエンジン回転数に比例した油圧を発生する。走行速度を検知するガバナーもある。機械式では油圧とガバナーの組み合わせで油圧バルブを順次開いてクラッチを制御し変速するが、変速ポイントはアクセル開度、負圧、水温、油温、キックダウンなどで修飾される。機械式では変速の選択とタイミングは油圧回路を長々と走らせて途中にオリフィスを入れて調節していた。
現在はバルブがコンピューター制御しているが、油圧でクラッチを制御する原理は旧来のままで、故障時に帰宅するための回路も用意されているので、依然として迷路は残っている。
湿式多板クラッチは乾式のようにフェース同志が直接接触するわけでなく、フェースに含まれるオイルのせん断力で動力を伝える。このためクラッチの接続は穏やかで磨耗しにくく大トルクに耐えてジャダーも出にくい。マニュアルの常時噛み合い式変速器と違い、遊星ギアの厚みと湿式多板クラッチの枚数を増やすだけで大トルクに耐える。だから大出力車にはMT仕様が無くAT仕様のみのものが多い。
ATFの粘度はエンジンオイルならSAE規格10あたりに相当する。鉱物油でも合成油でもグレードが高いベースオイルが使われていて、せん断性能と潤滑性能に特化している。ATでは燃焼で発生する酸化物を中和する必要が無いので、潤滑剤の配合が高い。ブローバイを発生しないので環境には良くない?が潤滑性の高い特殊成分を使うこともできる。
湿式多板クラッチは通常では殆ど減らないが、乱暴なクラッチミートではフェースが痛むことがある。ATはトルコンの助けも借りてあくまでもソフトにクラッチをミートするように設計されているが、そのミート時のせん断力の出方が重要なのだ。
通常は動摩擦は静摩擦より小さいので、一旦摩擦物が動き出すと摩擦力が低下する。クラッチフェース同志の速度差によってせん断による摩擦力が変化するが、ATFではショックを防ぐために低速のせん断(静摩擦)力が弱めで高速のせん断力(動摩擦)が強めに設定されている。
クラッチが切れていてフェースの速度差が大きい場合は高速せん断力が働き穏やかに各フェースの回転差を詰めて行き、フェースが接近して速度差が低下すると低速せん断力に移行してそっと着地させる。この移行が急速すぎたり、低速せん断力が強すぎると急激に動力が伝わりショックを発生する。
その場合エンジン回転数が下がりクラッチ制御圧が落ちる一方、加速したタイヤ側のクラッチはエンジン側のクラッチを早く回そうとするのでクラッチがすべり、高速せん断の動摩擦領域に戻る。高速せん断領域と低速せん断領域を繰り返す経過で制御圧の変動にダンパー要素やガタ要素が加わって断続的にミートすることになる。
これがジャダーである。いったんジャダーを起こすとフェースに波型に性質が異なる部分ができてますますジャダーし易くなるのはマニュアルのクラッチやブレーキと同じである。
ジャダーを防ぐためには、高速せん断力による動摩擦を強めとする一方、フェースが近づいた時点の低速せん断力の静摩擦が弱めのATFが必要である。
電気的な等価回路に置き換えると、電圧を高くすると電流が増えるのが通常の抵抗だが、逆に電流が減る抵抗を負性抵抗と呼ぶ。半導体はこの性質を持ち、それにより増幅や発振が起こる。
同様に、クラッチフェースの速度差と摩擦力の関係をグラフに書くと、低速せん断つまり静摩擦で摩擦力が急速に立ち上がり、動摩擦になって摩擦力が急に低下すると負性抵抗と同じで発振しやすくなる。これがジャダーである。
つまり、せん断特性の出方がATFとエンジンオイルが最も異なる所である。おそらくジャダーに関する説明は見た事がないと思うが、負性抵抗による発振と同じと考えると理解しやすい。
いずれにせよ、走行距離が増えるとATF劣化でせん断力が低下するとともにフェースのペーパー材もわずかながら薄くなるので、変速に時間がかかったりショックがでたりする。そこで、電子式ATではクラッチミートの圧力と変速タイミングを学習してスムーズな変速をするように工夫されている。
最近はラジエーターの水冷ATFクーラー配管から直接ATFを注入してより多くの古い油を新油と交換する機械があるが、スラッジが飛んでバルブやオリフィスに詰まって不具合になったり、クラッチフェースのなじみやATの学習機能とのATFの相性が急変してジャダーや変速ショックが出て、致死的な故障となる可能性があるので、古い車にはお勧めできない。
やはりATFを少量づつ数回交換することでゆっくり新油に近づけるのがお勧めである。その過程で電子制御ATなら数回バッテリーを遮断して学習効果をリセットする方法もある。
さてATFを数回効果した後に峠を登って見た。ATFが新油に近づいたことで、加速の変速時のすべりの時間が減って見かけ上の加速が力強くなったように感じる。一方、多くのATで感じられるように加速時に急速にアクセルを戻したり急なエンジンブレーキ操作時にかすかなショックも感じるようになった気がする。いずれにせよATでは”急”のつく操作やメンテを避ける気の長さが必要ということである。
デフオイルも交換したが、料金も驚くほど安かった。ディーラーによればデフオイルもけっこう汚れていたとのことで、交換する意味は十分にあったように思う。基本的に走行距離が増えれば交換可能な消耗品は早めに交換するに限る。
トラックなどの営業車両のメンテ費用は乗用車に比べると安いようである。というか、一般乗用車のメンテ費用が過大(ぼられているとも言う)ような気がする。
エンジンの不安が取り除かれた時点で、次はエアコンの整備だ。ポートを覗くと若干泡が多い印象だが、冷えることは冷える。この車のリアエアコンは車室の最後部にあるので、そこまで長い長い配管がひっぱってある。
不安があるのは冷媒よりもコンプレッサーのオイルである。巷では冷媒は補給してもオイルを入れることは少ないようだが、ガスだけでなくオイルも経時的に減っていく。その理由は、コンプレッサーの密閉がカーボンとゴムシールの摺動で保たれているからだ。この構造は水ポンプとまったく同じだが、密閉のためにはオイルなりクーラントがごく少量ずつ漏れることで確保されるのだ。実際にはクランクやカムやダンパーのオイルシールも同様で、どれも微量漏れることで密閉が保たれている。
低圧は40PSIを指していたので、今回はデンゲン社PAGオイル10ml+ R134a40g(OG-1040F)2缶とA134a200g1缶を注入した。まだ気温が低いので注入には時間を要した。冷媒のラインが長いので圧力の上がりは遅いが、古いクルマなので低圧は43psi程度と控え目にした。
古いクルマの廃車の原因としては第一にAT故障、第2がエアコン故障が多いと思われる。過去の190Eもそうだったが、エアコンのリークの殆どが汚れに溜まった湿気によるエキパンの腐食が原因なので、エンジンを止める前にコンプレッサーオフにして送風のみの時間をなるべく作るようにしている。また停車中は外気導入に切り替えておくこともエキパンを乾かすために重要だ。配管のつなぎ目からのリークはオイル不足によるOリングの痩せが原因となるので、オイルの補給も重要である。
ということで、完調となったJB470だが、ヨットと同様にFRP筐体の寿命が長い反面、トラックの部分は確実に老化していく。今後も消耗品類を早めかつ潤沢に交換することであと10年くらいは好調を維持したいところである。
JB470のディーゼルターボ4D56は好調で、峠も登坂車線を使わずに一般車に伍してぐんぐん登るなど動力性能は最近の2Lガソリンのキャブコンより優位にある。高速も常用は80-90km/hに抑えているもののパワーには余裕があり、また100km/hでも2800rpmと騒音も許容範囲にある。
予想以上にエンジンの調子が良いので長期性能維持を目的として水ポンプ、クーラント、ファンクラッチ、ATF、パワステフルイドなどを交換した、それらの詳細については次回触れたい。
電力は200Wのソーラーシステムのおかげで一度もAC100Vに接続せずにすんでいる。カセットガスのコンロ、電熱式温水シャワー、電子レンジ等も完調で装備にはほとんど不満は無い。エアコンも少量のガスとコンプレッサーオイルを補充し後部クーラーを含め完調である。唯一不安があるとすれば、炎天下でエンジン停止時の冷房をどうするか、である。
というか、別にWebmasterの車に限らず、最新最高級のキャンピングカーでもAC100Vが使えず発電機が禁止の環境ではエアコンを長時間動かすことは難しい。
機器的にはトヨトミのTAD-22を格安で手当てしてあり、試用では6畳の部屋でも冷暖房の能力は十分であることは確認した。しかし図体が大きく、インバーター式で無く定格650Wながら起動時には1.2kwを要する。
電力はバッテリー105Ax3+1500wインバーターで最大能力で3時間、部分負荷で5時間稼動可能な計算だが、でかい図体が問題で、運転席とキャブコン継ぎ目にしか置けるスペースが無い。
巷にはキャンピングカー専用のエアコンもあり、たとえばセパレート型のクレクールV3(冷房能力1.25kw)やコイズミラクール(0.8kw)、一体型のクレクール3(0.8kw)などがある。ネットでも除湿兼冷風器(0.8〜1kw)を改造して吸気廃気ダクトを付けて使っておられる報告もある。
しかし1kw弱級といえば車載の標準的なエアコン能力2.5kwの半分以下なので炎天下には能力が不足するのでは無いか?
ただしJB470は運転席をカーテンで仕切れば床面積は2.5畳と小さく断熱性能も民家や乗用車より良いし、屋根の1.4平米のソーラーパネルが日よけとして働く。大型ベンチレーターもあるので、冷房無しでも外気温28度以下ならなんとか過ごせる。
従って走行中に後部クーラーでキャブを冷やしておけば炎天下停止時に1kw級でも気温30度で湿度60%以下に保てるのでは無いか。夜間なら気温28度湿度60%以下に保てるのでは無いか?
1kw級なら消費電力が350Wなのでバッテリー持続時間はTAD22の倍になるし、同時にAVも十分楽しめるであろう。おそらく上記のキャブコン用エアコンも除湿器改造品を使用されているユーザーもそういう前提なのだろう。
加えて炎天下ではソーラーシステムから200wの供給が期待できるから夜にも電力を残すことができるかも知れない。世の中には常時25度以下にキンキンに冷えて無いと我慢できない方もおられるだろうが、おそらく90%の人間は扇風機も併用して我慢できる範囲ではなかろうか。
そこで、除湿冷風器シャープCV-U100C-Wを格安で入手した。写真でわかるようにTAD-22とは親子ほど大きさが違う。これはいわゆる二乗三乗の法則のせいである。冷凍サイクルの能力はコンプレッサーでは無く放熱器の面積で決まるので、TAD22はCV-U100C-Wの2.2倍の放熱面積が必要となり、体積は面積の3乗/2乗で3.2倍になってしまうのである。
これにmonotaroから排気ポート(フカガワ定着カラー#17773394(\439)と吸気ポート(ロスナイシステム給排気フランジ(VL-150KP専用)#19771072(|(\1190))を入手してネジ止めした。排気孔のグリルを切り取り網は網戸の目の荒いものと交換した。ダクトはamazonでOOPPEN 換気用アルミホース(ビニール被覆10cmφ付4m)を入手した。本体と全ての部材を含め約10000円というバジェット作戦である。
いきなりテストだが、6畳で2時間回したところ気温は1度低下に留まったが湿度は65%から60%以下へ低下と、気温より湿度低下の効果が高い。これで水タンクには1/3ほどたまっていた。
ネットでは各ユーザーさんは内気と外気を遮断すべく内部をかなり改造されているが、今回はまだ内部には手を加えていない。それは冷気の一部がコンプレッサー周囲に回って冷却するよう故意に設計されている疑いがあるので様子を見ている。
冷風時に温度制御がないが、冷え過ぎるような能力が無いし電力消費が少ないので常時フル動作で可という考え方もあろうが、幸い冷蔵庫修理でストックしてある機械式サーモスタットがあるので、必要があれば吸気28度でコンプレッサーをオンオフさせる予定である。そのときに内気外気の遮断の具合も見る予定である。
実用のレポートは追ってだが、JB470にはキッチン横に冷蔵庫の排気の観察窓があり、そこに排気ダクトをつなぐ予定である。
このシステムの完成で酷暑が予測される夏に向けて快適まで行かなくとも耐えられる見込みがたったので気分的には相当楽になった。Webmasterは最近になって数十年間のオンコール生活からやっと開放されて余暇を楽しむ余裕がでてきたので夏が楽しみである。
Webmasterは小型冷蔵庫を主にビールや飲料を冷やすために使っている。
以前はペルチェ式のものを使っていが夏には能力が不足するし、おおむね5年位でペルチェ素子が死んでしまうのである。
そこでネットで小型冷蔵庫を探した。個人的にはスリムで冷気が逃げないように上に蓋がついている物が欲しかったが、見つかるのはサイコロ状で横開きの物ばかりである。
さらに探すと、所望の品がみつかった。蓋が上に開いて、内部のカゴをはずすと20Lほどの容量がある。温度は調節できないが摂氏3−5度に保たれるという。なぜかシャープご自慢のナノイーを内部に発生させる仕掛けがついている。
ナノイーは脱臭用だと思ったが、正式な名前は「プラズマクラスラー脱臭ボックスDG-PB2A-W」とある。説明書を読むと、オムツや生ゴミなどをゴミ出しの日まで冷蔵保管する代物らしい。
いかにもニッチな製品である。おそらくナノイーを使った製品を何か考えろと言われて、赤ん坊がいて深夜早朝のおむつのゴミ出しに悩んでいた社員が無理に企画したもの?ではなかろうか。
とても売れるとは思えない代物だが、滞留した在庫が処分され、ネットでほそぼそと冷蔵庫としても使えますということで売られてきたようである。開発型企業として輝かしい歴史を持つシャープの営業面の暗黒面が偲ばれる製品でもある。
しかし、2年ほどで突然電気が入らなくなった。この先暑くなるのに冷たいビールが飲めないではないか。これほどスリムで蓋が上についた冷蔵庫の代わりはなかなか見つからない。それに処分するにしてもコンプレッサー式で規制ガスが充填されていおりゴミとして出すのも費用がかかる。
そこで修理できるかどうかバラして見た。写真のように後面下部の樹脂ケース内にコントローラー基板が見つかった。ここから前面のスイッチと動作を示すLED、温度センサーのサーミスタ、白色のナノイーの放電装置および黒色の内気循環用のファンの配線が出ている。AC100Vは写真右下コネクタから入って近傍のリレーを経てまた右下コネクタからコンプレッサーに向かっている。
この基板は最終的には一定温度になるように冷蔵サイクルをオンオフ制御するだけのもので、試しにリレーをジャンプするとコンプレッサーは問題なく動くことは確認した。
さて、この手の故障はコンプレッサーなど機器の振動で重量のある部品の基板のランドでハンダのクラックが起きていることが多い。そこでコネクター、コイル、リレー、ケミコンなどの重量物のランドのハンダをさらってみたが、うんともすんとも動かない。
一応スイッチング電源部が動作してLSIに電源が供給されている所までは確認したが、ハンダの溶けと塗れや切れが悪く、基板にRoHSと書いてあって無鉛ハンダが使われている雰囲気である。
まだ2年程度しか使っていないのにハンダ不良が発生したとすれば、同様な不良がもぐら叩き的に出て修理に追われる可能性がある。
それに、Webmasterはアマゾンで中華製の古き良き機械式サーモスタットが500円で売られていることを知っていた。昔からエアコンや冷蔵機器についている長いチューブとガス溜まりのついたやつである。また、中華製の電子式サーモスタットが980円で売られていることも知っていた。基板をこれらにすげかえれば使えるのでは無いか?
しかも、こいつにはパッキング用のヒーターも、霜取りタイマーも無いから話は簡単である。もっとも、温暖地ではパッキンが貼りつくことは無いし、霜とりタイマーも必須ではないから、たとえ超大型の冷蔵庫でもサーモスタットすげ替え手法は使えるはずである。
そこで、アマゾンに機械式と電子式のサーモスタットを同時に発注し、どちらか先に着いたものを使い、残りをスペアとすることにした。とにかく早く冷えたビールを飲みたいからである。
中華製なので機械式も接点不良になるかもしれないし、電子式も中華製ケミコン不良とかで駄目になる可能性もある。中華製は当たりはずれがあるのでスペアを用意すれば長く冷えたビールが飲めない事態は避けることができるであろう。
とはいえ、心の中では機械式が先に届くことを期待していた。機械式なら接点不良くらいしか故障が考えられないし、その場合も接点を磨けば復活するであろう。電子式は細かく制御できるかわりに細かい設定が煩雑で、しかもこの手の中華製マニュアルは不備があったり間違いが多いから手間をとる。
しかし期待に反して電子式が先に届いてしまった。とりあえずAC100Vを接続すると数字が現れた。まず温度上昇でONになるか(冷蔵庫用)OFFになるか(温蔵庫用))設定するが、予想通り中華製マニュアルの記載は間違っていて逆になっていた。
次に摂氏3度でオン、5度でオフに設定しようとしたが受け付けない。他に制御する温度範囲の設定があり、目的の温度がこの範囲に入っていないと受け付けないのである。
最後に制御用端子にコンプレッサーをつないだが動かない。汎用品なので端子にAC100Vが出て来るのでなく接点が提供されているだけなのであった。物はおそらく先進国の製品のデッドコピーであろう。
サーミスターを庫内にテープで固定して一応動作を確認したので、筐体のちょうつがい付近の樹脂に孔を開けてサーモスタットを庫内に固定し、配線は後面左の板金の溝に沿ってテープで固定した。
さらに、後パネルの一部を曲げてコントローラーの表示が常時見えるようにした。写真の表示が縦になっているが右が下面であり、正しくは8.5度ではなくて5.8度と読む。常時庫内の温度が見えるとプロ機器のようにかっこいいし、コントローラーの制御特性も良く解る。
庫内の品物の温度変化はサーミスターより常に遅れる。またサーミスターにコンプレッサーのノイズが載ることなども考えて、制御が神経質にならないようにディレイとヒステリシスが設定されている。従って摂氏5度になったとたんコンプレッサーが動くのではなく、さらに上昇してしばらくしてから動きだすし、摂氏2.5度程度まで冷えてしばらくしてからコンプレッサーが停止するようになっている。
動作的には機械式サーモスタットの更新用途も考えてか、旧来の機械式サーモスタットと似たヒステリシスとディレイ特性を持たせてある。Webmasterが昔使っていたエアコンも冷蔵庫も機械式だったし、現在でも業務用の冷蔵庫や冷凍庫には機械式のものもある。
昔のエアコンは室内機の前面に機械式サーミスターのチューブが設置されていたが、少し暑くなってきたなと思うとてカチンと音がして作動し始め、少し寒くなってきたなと思ったらカチンと切れるという雰囲気だった。ただし冷蔵冷凍庫では鈍さは問題にならず、むしろ神経質にオンオフしないことが冷凍回路の保護にもなる。コンプレッサ停止直後には出力側に液相が残っていて、それが気相になるまで再起動させると無理がかかるので、通常は保護回路で再起動まで時間を稼ぐようになっている。
そういえば、家庭用冷蔵庫の省エネ性能にはインチキが多く、JISでは何度も測定法が変更されている。メーカーは冷凍サイクルの効率や断熱性能の向上を歌うが、実はそれらによる改善幅は小さく、パッキンのヒーターや霜取りタイマー制御を間引く方が効果が大きいと言う。かつては(今もかも知れないが)JISの測定条件を検知すると、その手の電力を食う制御を間引いてカタログ性能を稼いでいる製品が多かったと言う。まるでモード燃費に特化した自動車みたいなテクニックである。
これでうまいビールが飲めるようになったが、温度表示をみると庫内を一定の温度に保つためにはサーミスターの位置が重要であることが解った。上に蓋がついているこの製品では深さが2/3のところで、樹脂の網目の中に筐体から1cm程度浮かしたところがベストのようである。ある程度通気がありながら扉の開閉の影響を大きく受けないように配置するのがミソのようである。
なお、電子式サーモスタットは零下の設定も可能なので冷凍庫としても使えるが、それ相応の断熱性能が無いと蓋が凍って張り付くとか結露水が断熱材に染みて氷の塊になるといったリスクはあるものの、短時間なら製氷したりビールをキンキンに冷やすとかの使用法はあるかも知れない。
ネットを見ると、この特殊冷蔵庫は1万5000円程度でまだ少数の通販在庫があるようだが、すでに述べたように2,3年でコントローラーが壊れる可能性が高い。しかし、1000円コストをかけて修理できる人にとっては買い物かも知れない。やはり、スリムで廊下に置いて邪魔にならず、しかも蓋が上についた冷蔵庫はなかなか入手できないからである。
最近は電子制御が簡単になったので、いろいろな省エネ機能や付加機能を持った性能が多く売られている。細かい制御で電力が節約できることは事実だが、電子回路の寿命は今回の冷凍サイクルのように根本の部分より短いことが多い。製品の寿命が短いと製造と廃棄に要する環境負荷とコストは回収できないのである。
今後はこういう修理の方法がある事も知っておいて損はないかも知れない。
久しぶりの更新だが、そうなった理由は、皆様が容易に想像されるように、ヒマさえあればキャンピングカーJB470で走りまわっていたからだ。キャブコンのなかではコンパクトで軽快な車だが、それでも運動性能は鈍重である一方、視界が非常に良いので運転はしやすく、どこででもすぐ一休みできるメリットは非常に大きい。燃費は郊外で10km/L程度だが、軽油なので費用的には大衆車並みである。
さて、この車のコンロはカセットガスx2をセットするようになっているが、毎回悩むのがカセットガスの蓋だ。ポリエチレン製と思われるが、捨てるには罪悪感があり、かといって取っておいても使い道が思い浮かばない。
一方キャンピングカーのあおりを食ってプリウスの出番が減り、ワイパーブレードにへたり癖がついた上に大量の黄砂が溜まっていた。これらの状況をすべて解決してくれるのが、本日紹介する、
画期的!山本式ワイパーブレードセーバー(PATpend)
である。まず写真を見てほしい。カセットガスの蓋と長さ10mm程度のステンレス製タッピングビスである。
蓋の中央内側からねじを締めるが、少し中心からずれたほうが都合がいい。その理由は後述する。
セットアップした様子が、
である。蓋をワイパー下の樹脂部分にタッピングビスで固定し、ワイパーアームが蓋の縁に浅くかかってブレードが浮くようにする。
使用時にはバチン!と音がしてアームが蓋の縁から外れるが、一旦外れるとアームが戻っても蓋の縁が変形して受け止めるので邪魔にならず再度蓋に乗り上げることがない。それどころかアームをスムーズに跳ね返す効果すらあるようだ。
ビスが完全に中央に無い方が良いと書いたの、ビスが偏心していると蓋を回転させてアームのかかり具合を微調整できるからだ。しばらくは毎回外れる度に音がするが、使っているうちに縁が適当に削れて音は小さくなるようだ。なお雨水がたまるので、下側に穴をあけておく。
車の種類によってアームと樹脂部分の距離はさまざまである。距離が短ければカッターでカットすればよいし、長ければもっと深い蓋を探してほしい。とにかく蓋の端でしっかりアームが把持できて、はずれたあとは返ってきたアームで柔軟に変形すれば良いのである。
従って蓋の材質としてはポリエチレンのような柔らかいものが適している。いろいろ試してみて、やはりカセットガスの蓋が長さ的にも柔軟性でも一番適しているように思う。
実は過去いくつかこの手の仕掛けを考案して試してみたが、どれも耐久性が今一つで紹介するに至らなかった。個人的には今回のシカケが一番優れているように思う。
世の中にはみんなが問題意識をもっていながら100年改善されていないものが多数あるが、使わないとヘタる上にゴミが溜まるワイパーブレードの問題もその一つだろう。ダグラスはDC-8で高圧空気を使うことでワイパーを廃止したが、パワーを絞ると効きが不十分になる上にパワーも食うとのことで、DC-9以降は普通のワイパーに戻ったそうである。ぜひお試しあれ。
我が家にやってきたJB470は種々の整備を経て完調である。
最初にチェックしたのは、オイル交換、クーラント補充、パワステフルイド補充、エアクリーナー交換など依頼した部分である。驚くべきと言うべきか、当然と言うべきか全て依頼通りに整備されていた。大手ディーラーでもチェック漏れを経験しているが、この販売店(T-P〇AN)は良心的である。
今回の改良は、マルチルームに増設された木製箱中の追加サブバッテリー100Ahを移設してスペースを回復することだ。本来のサブバッテリーの蓋をねじ止め固定し、その蓋に追加バッテリーをハーネスで固定することにした。マルチルームの木製箱と床材をはずすと、本来のビニールシートを引いた床が出現した。
もともとカセット式トイレが標準装備でマルチルームは防水合板とビニールシート+コーキングで簡易防水となっていたが、今回はアクリル系防水塗料2回塗布+十分なコーキングで完全防水とした。
マルチルームは70x70cm強あり、出来合いの防水パン65cm角ではサイズが足らない。パンの周囲を幅25mmの木材で埋めることも考えたがコーキングの量が多くなるので、床に防水塗料を3層塗布の上入念なコーキングとした。外に開くハッチは戸当たりゴムが劣化していたので、断面が半円上のシーリング材と交換した。
電動ベンチレーターがついていて、ONにしなくともタワーの形状でかなりの換気がある。ただしベンチレーターのモーターが旧式で電流を食うので、軽量で電気を食わないパソコン用ファンに交換した。
さて床に排水孔を開けよう。
車両が少し尻上がりなので、孔は前辺に開けることになる。左側通行なので道路は左に傾いているが、左に前後に走るフレームがあるので、それを避けるとほぼ中央に開けることになった。これだと傾きによっては水が溜まるが、走行すれば車両が左右に揺れるので水ははける。さらに前辺にナイロンロープをわたし、その中央を排水孔に入れて毛細管効果で排出するようにした。これは予想以上に効果がある。
この車には最初から50L弱の排水タンクがあり、さらに飲水タンク20L、清水タンク40Lと贅沢な設計で、最終型には温水ボイラーまで標準だった。最近のバンテックの製品は時代を考えれば装備が劣っており、キャブ設計も細部が適当な感じで、そのあたりがナッツ社に首位を譲り渡した原因だろう。
排水タンクは車体左後輪の後ろにあり、排水バルブはオレンジ色の樹脂製だ。
当初は出来合いの排水孔を用意したが、床面から少し浮くしトラップのために上下サイズも大きく、車両右側のマルチルームから車両左側の排水タンクに導く間に大きなトラップができてしまう。
そこで排水孔は外径20mmの塩ビパイプを短く切ったものとし、ここから内径20mmのナイロン強化ホースを穏やかに下垂させてトラップを形成後に、車両の左右フレームを水平に連結する管状メンバーの中を通して(写真では左右のレベルが異なって撮影されている)左側の排水タンクに流すことにした。
本来は排水タンクに穴を開ける必要があるが、今回は排水バルブの蛇口(外径20mm)に接続し、排水バルブを開けたままで排水はタンクに入るようにした。排水時にはバルブ下端のキャップを緩め内部のバルブごと抜く。
今回気を使ったのは、どこでトラップを形成させるか、また配管と排水タンクの高低差をどう設定するかである。写真のように絶妙の高低差になっていて、排水も良好で使用後に走行しても逆流しない。
というわけで、温水シャワーの排水は風水学的に最小の投資で解決したが、ありがちな事ながら、排水孔やパイプ、バルブ、接手など手当てした多くの物品がデッドストックになってしまった。
次は温水をどう供給するか、である。
当初はギャレー下の後部ヒーターのクーラント配管から分岐し、クールボックス内の水を蛇管で加熱する仕掛けを考え、実際にT型分岐等の部品を用意したが、温水用タンクをどこに収めてどう補充するか、温度調節をどうするか、さらにクーラントが漏れるリスク等を考えて断念した。
次にガス瞬間湯沸かし器+カセットガス3本アダプターレギ付+電動水ポンプで携帯式ガス給湯器を作ることを考え、実際に一式購入したが、温水の使われ方をリサーチの結果、これらの投資もまたまた無駄なデッドストックになってしまった。
自宅の温水シャワーの流量を測ると毎分5.5Lだった。これを毎分4Lまで絞っても特に不満はなく、毎分3Lでも実用になることが分かった。次にシャンプーと全身を洗うのにシャワーを使う時間を計測すると正味3分以下だった。意外やシャワーの実時間は短く、男性なら温水は一人当たりシャンプー有りで10L、シャンプ−無しなら5L程度で済むことがわかった。
良く考えると大型キャンピングカーでも温水ボイラーのタンクは20Lで、90度の湯を冷水と混ぜて4人が全身を洗う量なのである。
とすれば、摂氏40度のお湯が入ったクーラーボックスと電動シャワーがあれば良いのだ。電動シャワーは12Vのシガーソケットに接続する汎用品が大量に出品されているので、お湯をどうするかが最大の問題である。
40度のお湯10Lを作るには、20度の水7Lに沸騰水3L弱を混ぜれば良い。そこで5Lのやかんを買いお湯を沸かして試用してみると十分に実用レベルであった。
しかし、さらに考えると、やかんも不要であることが解った。(やかんで茶を沸かすのでデッドストックにはならなかったが)
車内でコーヒーを沸かす120W/12Vヒーターを買ってあった。これをソーラーコントローラーの入力に接続し、摂氏20度の水10Lに投げ込んでおけば、好天なら2時間少々で40度になる。天候不良時や急ぐときはコントローラーの出力につなげばよいし、万が一バッテリー電圧が低下しても自動的にカットオフされるので安全である。最初から40度以上のお湯を持ち込めれば、保温だけなのでさらに電力は少なくてすむ。
完成したのが写真のシステムである。まず25Lクーラーボックスに電動シャワーのポンプ(オレンジ色)を投入する孔(白いエアコン配管ダクト)を開ける。孔は移動時には蓋(右下網の中)で閉鎖できる。これに水10-20Lを入れてハッチから搬入する。
そしてヒーター(壁面と距離をとるためにステンレス管に封入しシリコンコーキングで固定、ボックス上)を投入する。ヒーターには直列に摂氏45度でOFFとなるサーモスタット(ボックス上手前の黒い代物で、現在はヒーターと一体化。右側の黒い物は電動シャワーのスイッチ)をつけたので放置しても過熱しない。
ヒーター配線は壁グロメットを通し、使用時にヒューズ入りシガープラグをシガーコンセントに接続する。シャワーポンプの配線も同様に壁の中を通し、使用時にヒューズ入りシガープラグをソーラーコントローラーの出力側のシガーコンセントに接続する。
シャワー使用時には電動ポンプをクーラーボックスの穴から投入する。シャワー配管には流量を3Lに制限するオリフィス(プラスター板用樹脂ねじ受けを短く切ったもの)を仕込んである。
このままでもシャワーはOKだが、スペースが欲しければクーラーボックスをトイレの上に載せて右に寄せる。温水シャワーがあれば、トイレ後におしりを洗うことも可能である。
このように、トイレとクーラーボックスを並べるにはマルチルームに70cmの幅が必要だ。それより狭いなら、シャワー時にトイレを室外に出すか、あるいはクールボックスを室外に出すことも考えられる。
室内が防水処理されていなければ防水塗料を二重に塗って厳重にコーキングし、外径20mmの硬質ビニールパイプで排水口を作り床下にぶら下げた蛇口付ポリタンに導けばよいだろう。
マルチルームが無い場合は、床に排水パンを置き、天井に環状にカーテンレールを設置してカーテンを防水パン内にたらせば即席のシャワールームができる。防水パンを撤去するか蓋をして上にポータブルトイレも置けるようにすれば、マルチルームが無くても温水シャワーとトイレが可能になる。ベンチレーターがあれば完璧だろう。
トイレはパナソニック製でビニール袋+凝固剤+猫砂の使い捨てとしている。通常は道の駅やSA、コンビニのトイレを借りるとしても、僻地や深夜に急な腹痛や下痢などの非常事態でもトイレがあれば安心だ。
タンク式トイレも考えたが、たった一回の使用でグレータンクの処理が必要となる。一方凝固剤使った使い捨て式なら掃除の必要が無いし移動でき、汚物の処理も簡単である。なおパナソニック製のトイレはサイズがやや大きいので、もう少し小ぶりのものが良いかもしれない。
つまり、ソーラーシステムがあれば温水ボイラーなどは不要になるし、クーラーボックスはシャワー以外にも多用途に使えるので無駄が無い。設置コストもクールボックス、エアコン配管ダクト、電動シャワー、12V電気ヒーター+サーモスタット(要防水処理)と格安であった。
従って、現在のキャンピングカーにとって最も重要な装備はソーラーシステムである。今時100Wパネルは15000円程度でコントローラーも3千円弱である。パネルは屋根からゴムで5〜10mm浮かして前後左右6箇所をアングル材+ネジ+シーリング材で固定すれば良い。配線は既存の配線を無視してコントローラーからサブバッテリーに直結で良い。コントローラーにはヒューズ機能があるので特にヒューズ等をつける必要が無い。
ソーラーシステムは常にバッテリーを満充電に保ってくれるしエネルギー的に自立できるので、外部AC100Vに接続する必要がない。エンジンも走行時充電が減って楽になるし、オルタネーターの寿命も延びる。実際にこのキャンピングカーをAC100Vに接続したことは一度もない。
他には後部の冷蔵庫の上の物入れに電子レンジを装備した。出力が500Wでも動作中は1KW食うが、なぜか定格1200Wのはずのインバーターのプロテクターが3分で落ちる。調べるとプロテクターは8A仕様だったので交換した。ホシデン製12Aプロテクターは入手難だが、ヤマハ発電機EF2800isのDC用プロテクターとしてmonotaroで入手できる。サーモ式プロテクターにはDC、ACの区別はない。
プロテクターは200%の過負荷で60秒以内に切れればOKという規格である。手元の発電機で試したところ、200%の過負荷で20秒以内、150%で2分以内、120%で3分以内に切れるようである。スペアとして定格2000Wのインバーターも購入したが、価格が1/10、サイズと重量が1/5となっていて半導体の進歩を実感した。
というわけで、20年選手のキャンピングカーは電力、トイレ、シャワー機能を含め自立能力において最新の同クラスと遜色ないか、あるいは凌ぐようになった。2500ccのターボディーゼル4D56は快調で商用車としては十分な性能があり、出力と燃費で2Lガソリンのカムロードを圧倒する。
全長480cm全幅1950cm(内オーニング10cm)全高260cmとコンパクトなキャブは重心が低く、屋根の角も落としてあるので駐車場のゲートの屋根にも当たらず駐車場を選ばない。長年マークしていたJB470にソーラーシステムが装備された車を安価で入手できたのはラッキーであった。
Webmasterが常に自問自答していることは、その装備ひとつひとつは本当に必要なのか?他に代用する方法は無いのか?ということである。コンパクトなJB-470であっても本当に必要なのか?そもそも軽バンで十分ではないか、という疑問は常に持っている。
軽バンでも荷台に子供用プールを置き、天井からのカーテンをめぐらして、プールの中央に座って温水シャワーにかかることも不可ではないし、カーテンがあればトイレも置けるだろう。お湯はクーラーボックスのヒーターをソーラーシステムにつないで置けば夕方には適温になっているだろう。
もっとも夏なら屋根の上に濃色ポリタンを置いておけば勝手に湯になるだろう。いずれにせよ40度のお湯を用意できれば電動の温水シャワーはどのキャンピングカーでも実現可能である。
カタログを見ると魅力的な装備が満載されているが、全ての装備には重量がありスペースを消耗する。一度も使わない装備を常時運ぶのは全くの無駄である。その装備は絶対に必要なのか?他のものと兼用や代替する方法は無いか?など自問自答し、装備を厳選する工夫が必要だと思う。
キャンピングカーがやってきた。
おそらく皆様の予想通りJB470である。
JB470はバンテック製のコンパクトなキャブコンでベストセラーであった。後輪が12.5インチ幅広タイヤの超低床フレームのため全高が低く、車体とキャブに一体感がある。キャブはFRP一体構造の上半分、後壁、スカート部の3ピースからなるが、バンテック創業者がヨットデザイナーだったのでヨットのボトムをひっくり返した工法とデザインになっているらしい。
バンテックにはこれに先立つJB500というモデルがあり、これを徹底的に凝縮したモデルがJB470である。コンパクトで重心が低く、4WD仕様もあり高トルクのディーゼルターボを積んでいて積雪地でも多数売れたようである。今回購入したショップではJB470やJB500の売れ足が速いので重点的に仕入れていると言っていた。
キャブにはパネル工法のような継ぎ目がないので丈夫で汚れが溜まり難く古くなっても雨漏りやキシミ音が出にくい。凹凸が少ないので古びて見えないのもメリットである。細部は上級車のZILよりも丁寧にデザインされている。天窓が2か所あり室内が明るいのも特徴である。
商売的には一体構造はパネル工法よりコストが高く、一旦型を作るとモデルチェンジしにくい欠点がある。バンテックもJB470のキャブをトラック車体を変えながら12年間発売していた。その後パネル工法のATOM403を発売したが、ATOM407以降は再度FRP一体構造に戻っている。5mクラスもレオバンクスでパネル工法を採用したものの、その後全てのモデルがFRP一体構造に戻っている。
現状では製法の進歩で重量的には大差無くコストはスケールメリットで安くなることから、耐久性や断熱性などの点で一体型にメリットがあるというメーカーの判断なのだろう。
多くのメーカーが5mより短いコンパクトクラスに参入しているが、装備を満載すると5mクラスと価格が接近するせいか、バンテックは最近このクラスに注力していない。一方、世間の潮流はハンドリングや駐車場の問題からよりコンパクトなキャブコン、バンコン、軽キャブへと推移しており、バンテックが利幅が大きい5mクラスモデルに固執したことがトップシェアから陥落した原因だとWebmasterは考えている。
スペックは以前書いたwebmasterのわがままな要求をすべて満たしている。
1)デリカトラックベース、全長480cm、全高260cm、車幅195cm(内オーニング10cm)
2)エンジンは2.5Lディーゼルターボ4D56
3)ベッドは4名+α(バンク2名、ダイネット方向転換FASPx2台)
4)カセットガス2器+コンロ2器
5)3way(ガス、12V、100V)冷蔵庫、LED室内照明。
6)FFヒーター
7)電動ベンチレーター付マルチルーム(カセット式トイレは撤去され追加サブバッテリー設置)
8)200Wソーラーシステム+追加サブバッテリー(計200Ah)+1200Wインバーター
9)リアキャリアベース+リアラダー
10)フルセグナビ+バックカメラ2種+ETC、19インチ液晶テレビ+ブースター
10)網戸ブラインド付アクリル二重窓4箇所+MAX電動ベンチレーター+オーニング
11) 前後ランチョRS9000XLダンパー
12) リアエアコン+リアヒーター
JB470はクラスの割に装備が豪華で、リアヒーター、リアエアコン、FFヒーター、電動ベンチレーター付マルチルーム、カセット式トイレ、3way冷蔵庫、網戸ブライド付窓、リアラダー、屋上のマウント、キャブのグラフィックなどは標準だった。ありがたいのはソーラシステムで、テレビや電子レンジが使えるし、エアコンも動作可能ですでにTAD-22HWを手当て済みである。
車には過去の整備資料とマニュアル類がついてきて、消耗品等はおおむね指定どおりに交換されていた。屋根は再塗装され、運転席、助手席、ダイネット、バンクベッドは純正生地で張り替えてあった。前オーナーの好みなのか個人的なカスタム化が皆無なのも珍しい。
Webmasterのキャンピングカー計画は10年以上前からあり、クルーザーの経験からぜひ欲しい装備も頭に入っていた。しかしそれらを全て装備すると700万円超となるので、車内泊仕だけならプリウスでいいかと考えていたが、現実にマークしていたJB470に欲しい装備が全部ついている出物に会った時には正直びっくりした。
今回は名義変更を当方でやることとし、その分の費用を納車整備と消耗品交換に回していただいた。ショップは複数のオファーがあり即決の契約を渋ったが、即金全支払いすると言ったWebmasterのものになったのである。この車がいつまで走れるかはキャブではなくトラック部分の消耗度によるだろうが、寿命が来たらエブリイバンなど軽キャブ改造を試したいと夢想しているところである。
名義変更については備忘録として手順を書いておきたい。
希望ナンバーの手続き
まず「つくば」のナンバープレート交換となるが、過去、希望ナンバーにしなかったためにとんでもないナンバーを貰ったことがある。手続きは煩雑で、名義変更に先立つ数日前に、一般社団法人全国自動車標板協議会なる天下り団体?にお布施をしなければいけない。
サイトで希望なり抽選なりを申し込み、指定の銀行に振り込み、メールで指示された希望番号申込書(予約番号)を印刷し、運輸支局の隣の予約センターに見せて希望番号予約済証を貰い、名義変更の書類に予約番号を記入して予約済証とともに提出する必要がある。今回は覚え易いようにプリウスと同じ番号にした。
車庫証明の手続き
車庫証明(自動車保管場所証明)には、他人の駐車場であればその管理車から保管場所使用承諾書を貰い、自宅なら保管場所使用権原疎明書面を自書する。都市部ではキャンピングカーは駐車場が見つからないことが多いが、料金所のゲートの屋根をくぐれる全高が幸いして自宅から歩いて数分の駐車場と契約できた。
キャンピングカーは大きいものほど値落ちが激しい理由の一つは駐車場を選ぶからだろう。全高が3m、幅が2mを超えると入れる駐車場が少なくなる。宅配便やコンビニの集配車もすべて全高3m全幅2m以下である。駐車場確保が難しいことがバンコンが人気な理由だろう。
次に保管場所の所在図・配置図を自書する。保管場所は原則として自宅から1km以内で、運転免許や郵便物など自宅の住所を証明するものの提示を要求される。
あとは、自動車保管場所証明申請書(2通)と保管場所標章交付申請書(2通)だが、ショップから一つづりになっているものを貰うか、管轄の警察署のサイトからダウンロードして記入する。日付やわからないところは空けて置いて窓口で聞いて記入する方が無難だ。
これらと駐車場賃貸借契約書の写しを持って管轄の警察署に行き、署内で申請費用2,100円と標章交付手数料500円の証書を買って提出すると、問題なければ保管場所標章の受け取り日を書いた紙をくれる。その後、警察関係者が保管場所と自宅を確認に来るが、物言いがつくこともあるようだ。
要するに、名義変更前に希望ナンバーと車庫証明の手続きに最低一週間かかる。なお希望番号および車庫証明には有効期限がある。
いよいよ名義変更手続き
運輸支所に、希望番号予約済証、保管場所証明書とシール、車検証、自賠責の証明書、売り主の実印を捺印した譲渡証明書および委任状と印鑑証明書、譲り受ける人間の実印、印鑑証明書を持って行けば良い。
書類受付後、隣の県税事務所の出張所に行く必要がある。ここで県税である自動車税を払うための書類に記入するが、理解に苦しむことに車検証に書いてある車のサイズや重量など再度記入する欄がある。管轄が違うとはいえ無駄な作業である。再度運輸支所に戻って書類を見せ、次は今のナンバーを隣の希望ナンバー予約センターに返納する。
封印をはずす工具は置いてあるが、ニッパーとドライバーは持参するのが得策だ。なお、必ず運輸支所の指示後に封印を破ってナンバーを返納しないと、事務にトラブルがあった場合にナンバーが無く運転できない車になってしまうので注意が必要だ。再度運輸支所で新しい車検証をもらい、再度県税事務所に見せ、希望ナンバー予約センターから新ナンバーを受領する。
運輸支所と県税事務所と希望ナンバー予約センターをめぐる順番や旧ナンバーを返納するタイミングは都道府県によって若干異なるようだが、基本的にどちらも2度は通う必要があるようだ。新しいナンバーをゲットしたらネジで止めて封印所に行き、車検証と車体ナンバーを確認して封印して貰ったら終わりである。
全ての作業は1時間程度である。運輸支所自体の事務はスムーズで、処理が終われば数分で新しい車検証が出てくるし費用も500円と安い。一方、2回通う県税事務所の事務は旧態依然で接遇も悪く煩雑であることと、希望ナンバー発行に手間が必要なことが腹立たしい。まことに自動車には縦割り行政の弊害が如実に現れている。
ようするに、運輸支所よりは車庫証明、県税事務所の処理と、希望ナンバー処理がガンである。
というわけで、自分のものになったキャンピングカーだが、なにより程度と装備が良いことがラッキーであり、前オーナーに感謝するばかりである。車体下を見てもリーフスプリング以外には錆が皆無である。
なおデリカトラックは梯子フレームにキャブが乗った純然たるトラック構造で、1993年の「道路運送車両の保安基準」による時速50kmフルラップ衝突試験合格しているものの、その後のオフセット衝突等には対応していないので、運転には注意する必要がある。この手の車の所有は初めてだが、鼻先が短く視界が良いので運転は楽である。個人的にはセダンが一番運転が楽だと信じていたが、それは間違いだった。
2.5Lディーゼルターボは86PS/4200rpmの馬力ながら201N・m/2000rpmのトルがあり、殆どの商用車やトラックより出足は軽い。インタークーラーもなく純然に低速トルク強化のためのターボだが、同じエンジンにはインタークーラー+可変ノズルの178PS+400N・mの仕様もあることから、86PSなら耐久性には余裕があると期待したい。ランチョのダンパーは設定を7にするとロールはあまり感じないが、カーブのスピードオーバーは禁物である。またホイールベースが220cmと短いため悪路でピッチングが起こりやすい。
というわけで、webmaseterに残された仕事は簡易防水仕様のマルチルームの防水を強化し温水シャワーと排水タンクを設置することで、これについては追って報告したい。
用意したインバーター発電機はこの季節ではまだ出番が無い。必要になるのは夏季のエアコン使用時と思われるが、ソーラーシステムがありサブバッテリーをあと一個確保しているので、実際に出番があるかどうかは不明である。なお発電機には防音箱も用意している。
今後の整備状況については追ってまた報告したい。
早いものでプリウスも4回目の車検となった。出番の減ったプリウスの年間走行は3000km程度で故障もないものの一通りの整備はしなくてはいけない。
基本はオイル交換で、チョイスは大手カ社の10w-30である。粘度が指定の0W-20より高いのはエンジン騒音とブローバイ減少を狙ったからだ。ブローバイはありとあらゆるインテーク系のトラブルの原因となる。これについて、
□エンジンオイル粘度と燃費、そしてスラッジの関係のナゾ(0W-20でブローバイが増える疑問氷解編)
で論文を紹介している。最新のエンジンといえども低粘度オイルは燃費稼ぎのためであって、ブローバイが増えることがはっきりしている。なおオイルは5000km/2年のどちらか早い機会に交換しているが、オイルフィルターはオイル交換5回毎にしか交換していない。これについても、
に根拠を挙げている。フィルターを頻繁にかえると目が粗い時期ばかり使うことになり大き目の粒子の通過を招く。オイルフィルターは相当期間使っても目詰まりしないし、みんなが恐れるリリーフバルブはそもそも冬季の始動時には低温による粘度上昇で開くのである。
なおプリウスの変速器ではATFに遊星ギアとモーターとデフが浸っている。ただしMTのようにギアが移動し変速することは無いがデフがある点では似ているものの、ATのようなペーパー材を貼った湿式多板クラッチは無い。
そのためメーカーはATFを無交換としているが、個人的には10年10万kmが目安だと思っている。無交換の理由の一つは、二つのモーターがATFに浸っているので交換時の異物混入を恐れているからだろう。まだ走行10万kmにはほど遠いが10年という年月を考えれば次回あたりの車検時に交換が潮時だろう。
両側フロントのブレーキパッドを点検した。プリウスでは電気ブレーキを優先するので殆ど粉を吹かないし磨耗も遅い。殆どの車両は生涯パッド交換を経験しないという。リアのブレーキパッドはさらに磨耗が遅い。
逆に、電気ブレーキ優先なのでいったんディスクが錆びるとかなりの距離を走らないと錆が取れずにガリガリ音が続く。さらに放置するとディスクの錆がパッドと固着し、最悪ディスクの交換になると言う
webmasterの個体も長い時間の駐車後にパッド固着して発進せず、強くエンジンを吹かしたらパカーンと大きな音がして固着がとれた経験がある。予防のためかリアキャリパーにはパッドを広げるバネがついているが、それでも固着しやすい。エレキの時代には過去想定していないトラブルが起こるものである。
車検の手続き等は、
と基本的に同じであるが、いくつか変わったところがあり、厳しくなった面と甘くなった面があったのだ。
1)手続き的には、更新車検に限り滞納が無ければ自動車税の納付証明の提示が不要となった。理由は定かではないが、都道府県管轄の自動車税の納付状況が国交証の車検システムで見える?ようになったらしい。ただし他県からの名義変更では県税事務所出張所へ2回の往復が強いられるところをみると、完全な情報が伝わるわけではないようである。
2)フロントウインドーに期限切れ定期整備シールなどのシール類があれば全て剥がすように言われた。初めての経験であるが、衝突予防のカメラやレーザーなどの装置の邪魔になるシール類は一切貼るな、という理由かと邪推している。あるいはNシステムなどからの撮影で顔面が隠れる可能性を減らすためかもしれない。
3)インパネの警告灯のチェックが厳しくなった。 以前はアイドリング時に警告灯が点灯していないかのチェックだったが、今回からは係員が運転席に乗り込み、起動時に警告灯類がすべて点灯し、エンジン始動で全て消灯するまでをチェックするようになった。
理由だが、過去ABSやエアバックが不具合になると、ランプやヒューズを抜いて警告灯がつかなくすることでチェックを逃れるケースがあった。今後増えていく衝突予防装置や車両安定装置など付加機器を含め厳しくチェックするようになったのであろう。
4)欠陥エアバッグのリコールを受けていないと車検が受けられなくなるとの掲示があった。タカタのエアバッグのことだが、H28年4月までにリコールの対象となったエアバッグを交換していないとH30年5月より車検を受けられなくなる。H28年以降に判明したリコール対象も今後車検が受けられなく見込みである。詳しくは、エアバッグのリコール未改修車両を車検で通さない措置について(国交省) を参照されたい。
国交省の発表には興味深い一文がある。
車検申請を受けた運輸支局等においては、自動車登録検査業務電子情報処理システム等を活用して、措置対象未改修車両の場合は車検を通さないこととします。
システムでリコール処置をしたかどうか解るようになったらしい。先の自動車税の納付状況もこのシステムでわかるようになったのであろう。縦割り行政の弊害の最たる車検システムでも国交省の部分の改善は著しいが、都道府県やナンバーなど、それ以外のシステムの改善が遅いのである。
さてプリウスを今後どうするか?である。電池をはじめ基本的な性能には問題なく、引越しでは軽トラックに近い積載能力があり、後席を倒せば二人が車中泊するスペースもある。唯一の問題は衝突予防装置が無いことである。もうひとつ、我が家には近々キャンピングカーがやってくるのでますます出番が減ると思われる。
というわけで、プランAはプリウスはもうしばらく維持し、最近マイナーチェンジされたプリウス50のモデル末期に新車か中古車に更新するという作戦である。
プランBは、キャンピングカーが退役することになれば、プリウスともども車中泊が可能なカローラフィールダーやNV200、あるいはエブリーワゴンあたりに更新する作戦である。基本的にはWebmasterの放浪癖を満足できる車ということである。
プランCは車、キャンピングカー、バイクなどのすべてを維持し、80代のある時点ですべて廃車として潔く免許を返上し、電動アシスト自転車のみ残す、というものである。将来はタクシーなどがAi化されて利用しやすくなっていて、残りの移動は電動アシスト自転車で代替できるという目算だ。
いずれにせよ、どのプランになるかは最終的にはwebmasterの老化の具合で決まるというところであろう。
WebmasterのFXは車庫証明が取れて納車と名義変更を待つ段階である。問題は自宅駐車場に空きがないので他に確保しなければいけないことだ。
最初の駐車場候補はキャンピングカーがだめだという。そこでかたっぱしから電話するがどこも空きがない。近所を探索していると商用バンとハマー!が止まっている駐車場を見つけたが管理の看板が無い。神社の旗が立っていたので神社に電話をすると、とある組合の経営だという。
組合の対応は好意的で、全長が5m以下、全幅が2m以下ならOKだが、カードゲート機器の屋根が2.6mだという。幸いゲートは3m幅あるので端に寄れば屋根に当たらないし、側面上の角が斜めに落とされているので(これで車種がわかる人もいると思うが))普通に通れることがわかり無事契約できた。
この時点で、なぜこの車に多数のオファーがあったか理由がわかった。一方、大型で装備や程度が良い中古が売れ残っている理由も見えてきた。全幅が2m以上で全高が3m以上かつ全長5m以上となると都心では駐車場を確保しにくいのである。ちなみに、宅配便ヤコンビニのトラックの全高は3m以下におさえられている。
さて以前からプリウスにはシガーソケットに挿して100Vの150W出力のインバーターを積んでいて便利に使っているが、常時ファンが回っていてうるさい。今後はキャンピングカーでの出番も増えると思うので、サーモスタットで放熱板が熱くなった時だけファンを動作させることにした。
手持ちの温度スイッチは250V5Aで通常でOFF、95度でONになる(ノーマリーオフ)ものである。後述するが、温度は60度あたりがベターだが、必ずノーマリーオフのものが必要だ。
細工は簡単でファンの配線に温度スイッチを割り込ませ、スイッチ自体をもっとも熱くなる放熱板に接着するだけである。今回はエポキシ系の接着剤で固定し、ぶらぶらしていたパワーMOSの放熱板も接着剤で固定した。
100W電球で耐久試験すると、意外なことに旧式の12V12Aインバーター電源がうなって熱を持つのに対して、この安物インバーターの熱量は小さくファンが回らない。新しいものほど半導体の効率が良いようで、半導体技術は日進月歩である。
結局20分間100Wを流しても熱いが触れれる程度(70-80度程度)にしかならず、ファンは回らずじまいであった。
というわけで、温度スイッチの動作温度は低め(60度程度)をおすすめする次第である。
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webmasterの昨年の興味対象は発電機であった。ET600、EF900、EF900is、EU9i、EG550のジャンクを復活させ、全てが完調で手元にある。これ以外にも3台入手したが整備は施したものの好みに合わずにネットで処分した。
そのWebmasterの深層心理を考えると、
1)発電機は車やバイクの心的代用品
なのかも知れない。発電機は車やバイクと違って登録も車検も保険も不要である。最近気付いたもうひとつの深層心理は
2)手放したクルーザーの心的代用品
というのもあるだろう。クルーザーは帆とエンジンがついているだけでなく、5名が足を延ばして寝ることができるプチ別荘でもある。トイレもキッチンもあるし、ソーラーパネルがついているので、テレビラジオにスマホなどの電源の心配もない。さらに博多湾であっても海に出れば現実社会から一時的に逃避できる。
それなら、再度クルーザーを入手するか?確かに団塊の世代が手放したクルーザーの中古は潤沢にあるが、メンテに修理と金とヒマがかかることと、既に30数年間セーリングしたので飽きたということもある。一緒にクルージングした友人達もみんな健康に不安があるお年頃でもある。
とすれば、Webmasterの心の穴を満たすものは何だろう?、おそらく、
1)エンジンやエレキがついていてメンテが楽しめること
2)隠れ家として十分な空間があること
2)そして自由に移動できること
ではなかろうか。これを満たすのはキャンピングカーしかないようだ。
Webmasterのプリウスには車中泊のためスポンジシートと寝袋を積んである。後席を倒すと170cmの凹凸のない荷室となり、倒した後席のヘッドレストと前席コンソールボックス後端で支持する板も積んでいて、約185cmのフラットな空間がある。俗にいうプリウスホテルである。発電機に電気ケトル、カセットコンロ、電気コンロも積んでいて料理も可能だし。冷暖房もバッテリー駆動+間欠的にエンジンが働いて利かすことができる。、
何回か車中泊をしてみてかなり快適だが、トイレが無いために、夜間にトイレまで歩かないといけない。贅沢言えばきりがないが温水シャワーも欲しい。過去数年の間、キャンピングカーの間取りや装備品を検討してある程度ターゲットは絞っていた。
Webmasterが考えるキャンピングカーは
1)ボンゴ(OEMバネット)やハイエース級2トントラックベースで全長500cm以下、全高270cm以下、車幅が200cm以下(190cm前後が望ましい)。サイズ的にはクロネコが使っていたクイックデリバリー(全長514cm、全幅mm178.5cm、全高265cm)が近い。このクラスだと駐車場の料金所の屋根(260-280cm)をクリアできる。全高300cm以上では入れない駐車所や道路、くぐれない橋がでてくる。
2)エンジンはディーゼルがベターでオートマが良い。当地は温暖なのでAWDの必要はない。
3)ベッドは4人+α(運転席上のバンク2人、中央のダイネット2人+α)でよい。
4)キッチンは狭くてもよいが、カセットガスコンロが使えることこと。
5)冷蔵庫は3way(ガス、12V、100V)が望ましいが、12Vコンプレッサ駆動でもよい。据え付けでなくてもキャンピング用でも可とする。
6)FFヒーターは欲しい。エンジン動作中に動作するリアヒーター、リアエアコンも欲しい。
7)電動ベンチレーターを備えたマルチルーム。ポータブルトイレを置けるし、防水処理すれば温水シャワーも可能となる。
8)ソーラーシステムと追加サブバッテリーとインバーター。電子レンジや家庭用100Vエアコンも短時間なら使える。ソーラーパネルがあればガスやエンジンクーラントで加熱する温水ボイラーは不要。
9)後面に発電機を乗せるキャリアのベース。発電機とソーラーシステムとで電気が不足することが無い。リアラダーも欲しい
10)バックカメラは必須。
10)網戸、電動ベンチレーターにオーニングもあればうれしい
通常のボンゴクラスだとベッド6名分を前提とすればマルチルームが無くなり、トイレを置けない製品が多い。
米国では、キャンピングカーサイトに行けば電気、上水道、下水道を接続できるが、日本ではせいぜい電気だけである。トイレは、据え付けもしくはポータブルのタンク式水洗付きか、災害用トイレ(おまる+ビニール+凝固剤)になる。実際には道の駅やサービスエリア、コンビニなどのトイレを使えばいいが、腹痛などの非常用として積んでおきたい。
自宅の駐車場にマンホールがあるのでタンク式でもいいが、一回でも使えば中を洗って薬液を入れる手間が面倒などで凝固剤を使った使い捨てのほうが便利かもしれない。マルチルームが広ければトイレを置いたまま温水シャワーが使えるが、狭い場合はシャワーの時にトイレをマルチルームから出すことになる。
というわけで、候補となるのは、
1)東名モータース カービィーDC 後端にドア、キッチンと広いマルチルームがある。ベッドはバンク2名、ダイネット3名(おひとり様幅61cm)計5。この間取りを仮に後端ドア型と呼ぶ。価格は455万とベンツCクラス程度だが、難点は現行のボンゴベースではガソリン仕様しかないことだ。以前はディーゼル仕様もあったが、排気対策で高価になったので燃費で価格差を回収できない。
さらにFFヒーター、バックカメラ、外部100V充電器、100Vインバーター、サイドオーニング、リアヒーター、リアクーラー、ソーラーシステム、リアラダー等々を加えると約150万のプラスになってしまう。
2)東名モータース カービィーR2B、DCとの違いはドアが真ん中にあること。後端に常設の2段ベッドがあり、バンク2名、ダイネット1名+αとで5名+αだが、マルチルームが狭くシャワー兼用が苦しい。仮にこれを中央ドアA型と呼ぶ
3)エートゥゼットのアミティーLE。カービィーDCと同じ後端ドア型であり定員5名で417万。LXは中央にドアがあるが後端ベッドが無くマルチルームが広い。これを仮に中央ドアB型と呼ぶ。LEは417万からと安いながら電子レンや12V冷蔵庫、サブバッテリーや小形エアコンが標準と装備が良い。オーニングやラダーはオプション。
4)マックレーのホリディーX(レイアウト#2)。中央ドアA型の変形で中央にマルチルームがある。ベッドはバンク2名、ダイネットは横向き1名、後端2名。定価450万プラスだが、標準で防音室+1600w発電機とエアコン、バックカメラ、ソーラーパネル100W、サブバッテリー、冷蔵庫があるのはお得か。
5)ロータスRV販売のマンボウANV は中央ドアB型で、ベッドはバンク2名、ダイネット2名。マンボウシリーズは老舗で過去人気だったバンテックJB470(中央ドアB型)に似ている。EXEは後端ドア型でキッチンとマルチルームが後部にあり、ダイネットベッドが3名。オプションでソーラーパネル、エアコンなどが装備できる。仕上げがデラックスで価格は高めか(要問い合わせ)。
6)カトーモーターのボーノD は中央ドアA型でマルチルームがあるがシャワー兼用には狭い。 価格は560万からで、ハイエースベースのディーゼル仕様のボーノクイーンD型もある。この会社はバンコンの品ぞろえが多い。
7)ファンルーチェエル・ニド タイプWは中央ドアA型でベッド5名+αでマルチルームあるが狭い。472万から。REは後端ドア型で広いマルチルームがありベッド5名+α。どちらもGL仕様で472万からだがFFヒーターがオプションで、いろいろ加えると+150万程度になる。
8)ナッツRVのマッシュW。クレソンボヤージュで急成長した新興でボンゴクラスにも注力中でデザインやグラフィックに工夫がある。Wは中央ドアA型でベッド5名でマルチルームがあるが後端ベッドともども狭い。REは後端ドア型でマルチルームがありベッド5名。価格はGL仕様で460万からだが、FFヒーター、オーニングなどで+150万程度になる。
9)バンテック シーダ。老舗で品質に定評があるが、カムロードベースのZILが中心でボンゴクラスは1車種と力が入っていない。ベストセラーだったLB470(中央ドアB型)の後継だが間取りは中央ドアA型である。ベッドはバンク2名、ダイネット1名+α。後端2名でマルチルームは狭め。価格は538万からと高いがLB470で標準だったFFヒーターはオプションなので、FFヒーターやエアコンが標準のコルドリーブスより高くなってしまう。
以上のように、マルチルーム前提のボンゴクラスでは、間取りは中央ドアA型、中央ドアB型、後端ドア型の3種に大別される。
中央ドアA型はテーブルを出したダイネットのままでも後端ベッド2名分が常に使えてベッド5名+αの欲張り仕様だが、マルチルームも後端ベッドもサイズ的に狭い。中央ドアB型は後端に広いマルチルームがあるがベッドは4名+αに限られる。後端ドア型は後端に広いマルチルームとキッチンがありベッド5名には余裕があるが、走行中はダイネットのベッドを起こす必要がある。
スペースに関してはゼロサムゲームなので、最適解は3通りしかなく、べッドとマルチルームとキッチンのどれを重視するかによってチョイスが定まる。以前のキッチンは広めだったが、冷凍やインスタント食材の進歩で料理の比重が低下したせいか狭くなっている一方、電子レンジの要求が強くなっている。
最近は入口とキッチンが後端にあってベッド面積を稼ぎやすい後端ドア型が増えている。最も古いタイプのキャブコン(ピックアップに箱を乗せるタイプ)では荷台の関係で後ろに入口があるものが多かったので、温故知新と言えるかも知れない。
個人的にはキャンピングカーと名乗るにはニ、三日は篭城できる設備が必要だと思う。最低でも災害用トイレ、できればシャワーがないと車中泊車であってもキャンピングカーでは無いかも知れない。道の駅やサービスエリアで車中泊するだけならプリウスや軽バンでも可能だし、カセットコンロで簡単な料理もできる。そもそも道の駅に泊まるなら料理は店で食えばいいのである。
ただしマルチルームが無くても、床に防水パンを設置するスペースがあってカーテンで囲めれば即席のトイレ兼シャワースペースとすることはできるので、不可というわけではない。
各メーカーともベース仕様では必須なFFヒーターが標準でない製品が多い。今時は電子レンジやエアコンも需要があり、それには追加サブバッテリー+ソーラーシステム+インバーター+発電機が必要になる。さらにオーニングや大型ベンチレーター等々を足すと結局は600万+αとなる。ただし、高年式の中古車ならフル装備のものが400万+αで視野に入ることもあろう。
仮に2名で旅行して宿泊費が1泊で2万浮くとすれば300日分、4名で旅行し宿泊費が4万浮くとすれば150日分、さらに食費や移動費が浮くとすれば600万は高くないとも言えるし、到底ペイしないとも言える。
ベンツEクラスの価格でワンルームマンション的な移動空間が付いて来るとすれば安いとも言えるし、プリウスや軽バンに比べれば無駄に高いとも言える。あるいは経費的には全くペイしなくとも子供の小さい内に家族でキャンピングカーで旅行したという記憶が子供に残れば良いという考えら方もあるだろう。
価格は考えようでどうとも解釈できのだが、ダラーワイズを目指すWebmasterはどうするのか?その結果についてはまた別の機会で紹介しよう。