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今日の必ずトクする一言
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●風水別館 Annex version 2020

アドレスV125k5の近代化延命化構想その2(リアフェンダー、スターターとリレー、リアタイヤ、リアブレーキ編)
アドレスV125k5の近代化延命化構想その1(買い物かご、タコメーター、リアショック編)
JB470キャンピングカーのタイヤの更新編
JB470キャンピングカーのタイロッドエンドブーツの更新編
Vendee Globe2020世界一周レースに見る最新外洋レース艇のナゾ

怪しいクラウドSIMモバイルルーターのナゾ(期待を裏切ってまとも編)
PC版マイナポイント申請の憂鬱のナゾ(落とし穴多数あり編)
無料の0-simよ、さようならのナゾ(超低速無料サービス終焉編)
カップラーメンの塩分との戦いのナゾ(山本式ラーメン塩分節約法編)
キャンピングカー太陽光本位制のナゾその3(電流逆流のバッテリーアイソレーター編)

アドレスV125K5の15年経過メンテのナゾ(ブレーキ整備と圧縮比アップ編)
進化する車検マルチテスターと進化しない重量税のナゾ
キャンピングカー太陽光本位制のナゾその2(無駄に電気を食うバッテリースタビライザー編)
今頃になってやってみたグランツーリスモ6のナゾ(コントローラーのガタ改善編)
キャンピングカー太陽光本位制のナゾ

JB470の運動神経改善のナゾ(過給圧コントロールをいじる編)
NC700Sの新しい靴のナゾ(ライン装着年代物BT-023からRMC810へ編)
JB470の車高調整のナゾ(なるべくクルマを水平に近づけたい編)
ETCサーバー不調のナゾ(ゲートは徐行しましょう編)
JB470のオルタベルト調節のナゾ(ディーラー整備能力の憂鬱編)

アーロンチェアのガスシリンダー抜け修理のナゾ(汎用品で直す編)
動作不良の全自動食器洗い機をコストゼロで解決編
KVKの欠陥シャワー切換弁のナゾ20年版(ついに自前解決編)
WindowsXPは2019年までの寿命を全うしたか?(XP改は2019年までサポートされていた編)
太陽光発電はペイするのかのナゾ(8年6月間のコストを計算する編)


アドレスV125k5の近代化延命化構想その2

引き続きである。

7)リアフェンダー変造

V125のエアクリーナーと一体のリアフェンダーはサイズが小さいため効果が不十分である。後輪からの飛沫がリアショックだけでなく、スターターモーターやスロットルボディー方面にまで飛び、寿命を損ねる恐れがある。そこで、リアフェンダーはプラ板(VHSのケース剤)を使った延長変造である。これは少し前に設置したものだが効果が高いのでここで紹介したい。

7)スターターモーターメンテ

少し前から朝一番スターターモーターから異音が出るようになった。リード110でも経験があるが、これは奥のベアリングの油切れである。

スターターモーターをはずすには、ヘルメットケースをはずし、モーターのプラス電極をはずす。次に、エアクリーナーケースと吸気音センサー、スロットルボディーへのゴム管をはずす。これには、エアクリ下部のネジ2個、ゴム管バンド、吸気センサーのネジをはずす。

最後にモーターをクランクケースに固定するネジ2個をはずせば取れる。モーターはネジ2個をはずし前後ケースと中間ケースに合いマークをつけ、木槌でたたくと分解できる。奥のブラシを掃除したところが写真である。ブラシはかなり残量があり、あと3万kmは持つ感じだ。

全体を清掃し奥の真鍮ブッシュにMoS入グリースを補給する。エンジン側のベアリングはクランクケース内から油煙が飛ぶので油切れになることは無い。問題はカーボンブラシをどうはめるか、だが、写真のように網線を円柱状の突起にキツめに巻きつけてブラシが引っ込んだ状態にして組むと簡単だ。あとは振動で網線が緩み勝手にブラシが出てくる。

モーターを組むときはOリングを清掃しシリコングリースを塗っておく。V125のリアフェンダーは設計が悪いので、雨水がモーターの内部に入るとオシャカである。Oリングがあっても、発熱したモーターが冷える時に水を吸い込むので不良になるのだ。今回はさらに塗装して隙間を埋めてある。

8)リアタイヤ交換

後タイヤが減ったので交換である。空気圧が少し高過ぎだったのか中央が減っているが、寿命は6500km程度だろうか。

今回はダンロップD307を選んだが、その理由はD306の不思議なパターンから太くて深い溝の排水性が良いパターンに改良されたからである。

以前のD306はこんなパターンだった。わざわざ接地面の脇にある水を中央に寄せてタイヤを浮かすパターンである。

9)リアブレーキシュー交換

タイヤ交換の折にブレーキシューを交換した。シューはまだ3mm残っていたが新車以来交換されていなかったので、純正新品(4mm)と交換した。

手順としてはシューをはずしてパーツクリーナで清掃する。そしてカム、カム軸ともう一つの軸にグリースを少量補給する。シューはスプリングをかけて2つを平行にして縦に置いて広げると簡単にはめることができる。

摩耗具合からみると、シューの寿命は5万km以上あるようで、駆動系のクラッチとほぼ同寿命の設計のようである。

10)スターターリレー接点清掃

スターターボタンを押してもモーターが動かないことがあった。数回押すと回りだすので様子をみていたが、整備することにした。

スターターリレーの内部接点不良かと思ったが、リレーのコネクターが腐食し粉を吹いていた。接点を磨き、コンタクトZ処理することで一発で動くようになった。リレーもスターターも完調となり始動性がよくなったので、スターターのブラシの寿命の伸びることが期待できる。

以上である。次回の大掛かりな整備は走行5万km時に駆動系のベルト、ウェイト、スライダー、クラッチ、ギアオイル交換、およびフロントショックの分解清掃とオイル交換等の整備を予定している。その時期はほぼ3年+後と予想される。

その後はWebmaserも仕事から半引退になり走行の伸びが鈍ると思うので、V125が10万kmを迎えるころにはWebmasterも寿命を迎えていることだろう。

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アドレスV125k5の近代化延命化構想その1

以前は原付2種で圧倒的なシェアを誇ったアドレスV125も減っていて、そのかなりがPCXやNMAXに更新された様子だが、逆に、しつこく残っているV125は高馬力の初期型が多いような印象がある。

さて、WebmasterのV125k5は、

アドレスV125K5の15年経過メンテのナゾ

にように割とマメに手入れしているつもりだが、走行3万kmを迎えるにあたり10万kmを視野に?近代化および延命化を行うことにした。

1)買い物かごの装備

V125の輸送力を極限まで追求するために買い物かごを装備した。フラットなステップによる輸送力が旧型となったV125のPCXやNMAXに対する強力なアピールポイントだからだ。

カゴは汎用の安いものだが、ウインカーの邪魔にならないように金具で高さを下げ、また幅を狭く整形している。また錆びないように厚く塗装しておいた。

2)タコメーターの装備

安いものを装備した。設定は03(エンジン1回転に1点火)で良いようだ。単位が600回転毎と荒いものだが役には立つ。タイヤが3.5-10の場合、回転数は概ね時速x95だが、ドライブベルトの摩耗によって変わる。

これを装備してからはなるべく低回転になるように急加速を避けてエンジンをいたわるようになった。

3)アイドルエアコントロールソレノイドの掃除(写真左側)

ソレノイドをはずし、プランジャーが軽くフルストロークに動作するように掃除した。その後始動性がよくなり、アイドリングも安定してエンストが減った。スロットルバルブも同時に清掃した。

4)クランクケース内圧低下バルブ等の掃除(写真右側)

内部にブローバイからのオイルが少量溜まっていた。清掃し、バルブの動作を確認した。

5)リアショックを後期純正品に交換

ある時期から急激に乗り心地が悪くなり、タイヤをハイトの高い3.5-10に交換してしのいでいたが、後期ショックの新品取り外し品を入手できたので交換した。

後期のリアショックはバネ定数が下げてあり乗り心地が良くなっている。古いものを廃棄のために穴を開けたが、少量のガスだけでオイルは出てこなかった。V125はリアフェンダーが不備でショックの軸に雨水がかかり錆びて油が抜けていたようである。

なお、リアフェンダーはプラ板(VHSのケース剤)を使って延長されていて、ショックにも雨水がかかりにくいように改良してある。

6)フレームの錆取りと塗装

V125k5は国産でフレームが藤色塗装である。スズキの塗装は薄くサビが出ていたので、リン酸で処理した後に黒く塗装した。下回りは10万kmを意識して特に入念に塗装した。

その2に続きます。

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JB470キャンピングカーのタイヤの更新編

さてJB470のタイヤだが、2012年のものでサイドウォールに細かいヒビが見られた。ブランドはブリジストンのブリザード(スノータイヤ)で8分山というところだが、さすがに古くなって旅先でパンクされると面倒なので交換することにした。ひとつには車両の状態が良好なので、まだまだあと10年は使えるかもしれない、ということもある。

JB470はデリカトラックの超低床車フレームのため、後輪は特殊な小径タイヤになっている。超低床車は以前はボンゴのバン等で多数見かけたが、後輪のタイヤを軽トラック用の12インチのダブルとにすることで、荷室の床を下げてタイヤハウスをなくすことができる。

以前はデリカ、ボンゴなど超低床トラックベースのキャンピングカーが多数あり、重心が低い、全高を抑えられる、乗り降りしやすいなどメリットがあったのだが、最後まで残ったボンゴの超低床車もかなり以前に廃番になっている。超低床車は荷物の積み下ろしが簡単で評判は良かったのだが、国内産業の変化によりボンゴ自体の需要が減ったために、通常タイヤのものに統一されてしまったようである。

ダブルタイヤはメンテの手間が増える欠点はあるものの、ダブルの片方がパンクしても走れるというメリットもある。またボンゴ自体もフレームが改良され、185/80R14でも以前のものより若干底床にはなっているようであるが、電動のリアゲートの普及も超低床でなくとも良い理由なのかも知れない。最近ではこのクラスでは無くむしろ大型トラックでの超低床車が増えているという。

ボンゴもマツダ製も数がでずに赤字ということではついに廃番となった。このためにボンゴベースのコンパクトサイズの値頃なキャンピングカーも続々廃番になってしまった。それにコロナの影響もあって、キャンピングカーは大きなものより軽自動車ベースが売れているらしい。

ボンゴの新型はトヨタのライトエースのOEMになったが、最大積載量がボンゴより500kg程度軽く、ボンゴベースのキャブは乗らない。ライトエースや日産NV200ベースのキャブコンも発売されているが、最大積載量が厳しく装備満載にはできないようである。

JB470のタイヤは、前が175R14-6PRと一般的なライトトラック用だが、後ろが 225/50R12.5 98Lと特殊なサイズの扁平タイヤである。これは小径ダブルタイヤのメンテの手間を減らすために作られた規格である。リム径が12.5インチと半端なのは、外径を145R12-6PRLTのダブルとほぼ同じにするためらしい。ちなみにこれの外径は225x0.50x2+12.5x25.2=540mm、ダブルタイヤの場合はインチ表記バイアスタイヤの扁平率が90%前後として、145X1.00x2x0.9+12x25.2=563mmとなりほぼ同じである。

この特殊扁平タイヤが流通するようになってメンテが面倒な小径リアダブルタイヤ淘汰されたかと言うとそうではない。ダブルだと場所をとりデッドウェイトとなるスペアを積む必要がない、とか、軽トラのタイヤは2本でも特殊扁平タイヤ1本の半額以下であるとか、それなりにメリットがある。

前輪の175R14-6PRは依然として多く出回っているが、175/80R14 91/90N、もしくは外径が近い185/80R14 97/95Nのラジアルへの更新がゆっくり進んでいるところである。今回は車検時に無用なトラブル(指定タイヤで無いとか)を招かないように、敢えて175R14-6PRをチョイスした。

価格的には175R14-6PRはTOYO(中国製)が1本8000円弱だが、225/50R12.5 98LはDUNLOP(日本製)のせいか1本12000円とやや高かった。175R14-6PRのHYFLY等の中国製は5000円前後であるが、旅先でトラブルと困るので日本ブランドのものを選んだ。225/50R12.5の価格は軽トラのリアタイヤ2本の3倍以上する。

タイヤの交換は、輸入タイヤA社の協力工場として掲載されていた近くのKモータースに依頼した。そこには続々通販のタイヤが到着していて、ブランドとしてはHIFLYとNANKANが多かった。メカニックに聴くとNANKANの品質には定評があるが、HIFLYもバランスとかはまずまずだという。

交換のトラブルは、後ろのホイールがハブと固着していたことだ。ハンマーで数度叩いただけでははずれなかったが、ハブキャップをはずしてCRCを吹いてしばらくしてから叩くと外れた。見るとホイールの穴とハブと噛み合う部分のみに僅かなサビがあるだけだった。

この特殊サイズのホイールは純正品なので、ハブとのかみ合わせの精度が高くキチキチで、おそらく融雪剤が入ったために固着したのであろう。メカニックも一瞬はずれないのかもと焦ったそうである。

これだけ固着していれば、万が一スタッドボルトが緩んでいてもタイヤがすぐに外れることがなさそうである。やはりハブ径とホイールが合っていることが大事だと再認識した次第である。

交換作業は非常に丁寧で、ホイールにこびりついたビード部のゴムの残りも毎回ワイヤーブラシで丁寧に除去するなど好感を持てた。聴くと、ごくごくまれに空気漏れを起こすことがあるから毎回丁寧に掃除しているとのことである。プリウスのタイヤも古くなっているので、次回はここに頼もうとおもった。

さて乗り心地だが、同じ空気圧であっても乗り心地は柔らかく轍のショックが軽い。惰性で走る距離が長く、燃費もわずかに向上するようである。やはりライトトラック用のタイヤであっても着実に進歩しているのだ。

というわけで、サスとブレーキの点検、タイロッドエンドブーツの交換、タイヤ交換などの寿命延長近代化改修が終わったところで、少し長距離を走らせてみようという気になった今日このごろである。

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JB470キャンピングカーのタイロッドエンドブーツの更新編

今の所JB470は絶好調である。夏季がすぎてエアコンを使わなくなると、ディーゼルターボ4D56の吹き上がりもよい。いくらターボで2000rpmから200Nmのトルクがあると言っても、やはりエアコンはそれなりの負荷になる。

エンジンは入手早々に水ポンプとファンカップリング、クーラント等を交換したこともあって、アイドリングで数時間エアコンかけっぱなしでも水温はメーターの半分以下と安定している。

個人的には1997年式なのであと数年の寿命かと思っていたが、パーツ類は全般的に乗用車より丈夫なようで、あと10年は持ちそうな雰囲気である。

目下の課題は8年経過したスノータイヤで、さすがにサイドウォールに亀裂が入っているので交換が必要だろう。そこでタイヤの状態とブレーキパッドの残量確認のためにタイヤを外してみた。

そこで発見したのが、右タイロッドエンドブーツの破れである。距離と年数からすれば無理からぬところで、一瞬興ざめしたものの、何故か微笑んでいるwebmasterであった。メルセデス190Eを手放した後に多くのSSTを処分したが、サス脱着の工具一式は温存しておいたのだ。

理由はプリウスのダンパーを交換するか、あるいは車高調でも入れてみるかな、という気持ちがあったからである。しかし年に1000〜2000kmしか走行しない現状で、またダンパーのヘタリも感じないところからサスを交換する予定はたっていない。

当然もう片方のタイロッドエンドを確認したところ、こちらのブーツは過去に交換したのかまだ新しく見える。この手のものは左右対称に減ると思われるが、左側通行の国内では右折より左折が多く、アッカーマン理論によりコーナリング内側のタイヤはより大きく曲がるので、ブーツの負担が大きく先に交換されていた可能性がある。

さっそくブーツの手配であるが、さすがネット社会で社外品のブーツはすぐに見つかった。もちろん純正がベストだが大野ゴム工業(OHNO) ならいいか。しかし送られてきたのは555マークのS社でそろばんの玉型のものだった。オバQ型のブーツは汎用性は高いものの早期に折れて寿命が短く、そろばんの玉型の方が寿命が長いようである。

ブーツには露出した金属の輪っかがついていて、これでタイロッドエンドに固定するようになっているが、その輪っかがやけに貧弱でいやな悪い予感がした。輪っかは接着剤でタイロッドに固定してあり、マイナスドライバーの先を研いで鋭くして挿しこんだが固くて取れない。結局、はみ出た外周にマイナスドライバーをひっかけてハンマーでたたくことでコロリと取れた。

RX-7の時代から190Eを含めて何度かブーツの交換をしたが、

旧車の抜けたストラットとタイロッドのナゾ
焼き餅焼きな旧車のタイロッドのナゾ

毎回手間を食うのはブーツをタイロッドにはめる時である。

ベンツはスパイラルリングで止まっていて、ブーツを用手で嵌めた跡にこれを回転させながら嵌めればわりと簡単だった。RX-7のときはタイヤのビードのようにワイヤーがゴムに埋まっていて手間を食ったが、最終的にベアリングプーラーで嵌めた記憶がある。なおベアリングプーラーの角でブーツに傷をつかないように、ヤスリをかけおくのがミソである。

タイロッドエンドをはずしてみると、ジョイントは適切な節度が残っていてまだ寿命では無いようだ。190Eのタイロッドは数万キロで内部のテフロンが破砕していたのに比べると、品質は国産のほうが良いようだ。メルセデスに限らず、ドイツ車の金属部品は上等だが、樹脂、ゴム、電装、特にコネクターと電線類の品質と耐久性は異様に低い

結局今回もベアリングプーラーを用いたが、プーラーをかけたブーツの金属の輪っかが曲がってしまった。何方向をかけて一様にはめることができたが、純正品に比べると555印のものは、輪っかが明らかに柔らかい。まあ整備工場では大きなレンチのコマ(外形45mm程度)ではめるのだろうが、Webmasterの手元になかった。次回(あるかどうかわわからないが)見つけておこうと思っているが、ブーツよりWebmasterの寿命が尽きる方が先かも知れない。

作業のついでにブレーキパッドの残量を確認したところ、内外左右ともに8mm程度あったので次回のチャンスまで延期した。その他、サスとフレーム類のネジを確認したが錆びているものも緩んでいるものもなかった。おそらく出荷時の塗装と、その後の管理が良かったのだろう。

唯一、後輪のリーフスプリングが錆びて摺動音が出ている。見ると、1枚目と2枚目が融雪剤によるサビで固着していたようで、大きくストロークしたときに結構大きな摺動音が出る。この車は以前はいわき市付近に長く止まっていたようで、下回りは厳重に塗装されてサビがまったく見られないものの、さすがにリーフスプリングの間は錆びるのである。これは油をさしてほぐしていることで、少しずつ音は小さくなっている。

というわけで、次回はタイヤ交換について書きたいと思う。

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Vendee Globe2020世界一周レースに見る最新外洋レース艇のナゾ

ついに、Vendee Globe2020世界一周ヨットレースがはじまった。これはスキッパー一人で世界一周に挑戦す世界有数の酔狂なレースである。

レギュレーションは過酷で、途中に補給も寄港することが許されず、まったくのノーサポートで一人のスキッパーが世界一周するレースである。

船はモノハル(船体が一つ)で60fTだが、船舶の技術だけでなく、一人で世界一周を競うためのITサポート技術など世界最先端の技術がフルに投入されており、その後の業界の方向性が明らかになることが特徴だ。そのため、世界中の船舶技術者の視線を集めているレースである。

Vendee Globe2012までの優勝艇と、2016年に最大の話題を集めたアレックストンプソンのHugoBoss2016については、

世界一周レースに見る最新外洋レース艇のナゾ

を参照いただきたい。これまでの進歩を極めて簡潔ながら深く記載してあると自負している。

さて、最新の技術を誇る船は、やはりHugoBoss2020であり、今後のレース艇の方向性を示す船でもある。(画像はオフィシャルサイトより)

基本的なハルの形状はHugoBoss2016の発展型であり、艦首から舷側の上の角をさらに削ることにより凌波性を犠牲にしつつ、空気抵抗を減らしている。最新の船では揚力を発生する水中翼(フォイル)と、傾いたキール(カントキール)のため艦首は空中に浮いている時間が長くなっており、最高速も時速65kmを超えるので空気抵抗の影響が無視できないのである。

たまさか揚力を失うと艦首は海中に落下するが、その場合の回復は舷側の角を削ったほうが甲板上の排水が早くなる。有力な競合艇、例えばThomas RUYANTのLinkedInやCharlie DALINのAPIVIAも同様の形状となっている。

第2はレース艇としては大きい閉鎖式コクピットを備えている。彼の船ではウインチまでがコクピット内に設置されていて大半の操作を行えるようになっている。アレックスによれば、最近のVendee Globeでは多くの船が波と風と寒冷を防ぐために露天コクピットをビニールや布等で半閉鎖状態にしていたという。彼の船ほどでは無いが、今回は多くの船が露天コクピットの覆いを後方に延長しており、Charlie DALINのAPIVIAも閉鎖型のコクピットで後部の横窓から出入りする。

コクピットの上面にはセイルを直視できる非常用ハッチを兼ねた窓があり、また複数のカメラで外部を観察できるようになっている。ちょうど車のアラウンドビューモニターのように船全体を上から俯瞰した画像を表示可能で、その開発にはNIKIAとベル研究所が参画したという。

オートパイロットを始めとして多くの電子機器の電力を賄うためにコクピットとその周囲には多数の太陽電池が装備されている。これにより発電機の燃料を減らせる効果がある。画像技術とIT技術のサポートにより過酷なスキッパーの体力や注意力の保存する目論見である。

なお、コクピットの拡大はあるい意味先祖帰りでもある。航海技術が進歩しリギン類が増えてその操作が複雑となるにつれて閉鎖コクピットは小さくなり、それに反して周囲やセイルの状況を確認しやすい露天コクピットが拡大してきたが、ITやカメラ技術の進歩により露天である必要がなくなったのである。

もう一つは空気抵抗をへらすための艦首の形状も関係しているかも知れない。荒天時は凌波性が減ったことで、常に船の上面を波が洗う状況になるので、コクピットを閉鎖式することで露天コクピットが冠水してブローチングを招く可能性も減る。ボルボオーシャンレース艇は時代錯誤的な露出コクピットに水が溜まりブローチングしやすいので危険である。

なおコクピットをマスト直下付近まで前方に延長したことにより、さまざまなセイルをコントロースするリギン(ロープ)類はマスト直下の操作板に集中配置されている。通常はマスト下から後方の露天コクピットまでトンネルを作りレギンを長々と引っ張っているが、コクピット中央にトンネルが突出し見通しと使い勝手を悪くしていた。

マスト直下でリギンを操作する配置によりトンネルを廃止でき、またレギンのトラブルにも対応しやすくなる。さらに、最新ヨットのアキレス腱である可動式キールの基部もこの下にあり、その機構の修理もしやすくなっている。コクピットはひろびろとしていて、全ての見通しがよくなっている。

第3は水中翼が引き込み式になったことである。実はVendee Globeの最大の敵は浮遊しているブイや落下コンテナなどの正体不明の浮遊物UFO(Unidentified Floating Object)に衝突して船体を損傷することである。船の最高速は30ノット(時速55km)を超えるので衝突のダメージは大きい。

過去多くの船がUFOとの衝突による損傷のためにリタイヤを強いられている。極限の性能を誇ったHugoBoss2016が2位に終わった最大の原因は、大西洋で右の水中翼をUFOとの衝突で失ったことであり、このため最後までフォイルに損傷のなかったBanque populaire VIIIのArmel Le Cleac'hに及ばなかった。

今回から通常カメラと赤外カメラの画像をAiが解析して減速や転進させるOSCARという装置が多くの船に装備されているが、これがあらゆる天候や波浪の状況でどの程度の効果があるかはレースが終わってみるまで解らない。

今回のHugoBoss2020は最大規模のフォイルを持っているが格納式である。これにより、必要の無い時にはフォイルを格納し、またフォイルの出し具合を可変とすることで、衝突によりフォイルの全てを失う可能性を減らしているようである。

日本からは、KOJIRO SHIRAISHIが出場している。彼はVendee Globe2016ではスピリットオブユコーのマストがケープタウン到着前に倒壊しリタイヤとなった。その時の船はアレックストンプソンがVendee Globe2012で3位に入賞した船でもある。今回彼は、JeremieBeyouと同じ最新のCharal VPLPを使用しており、成績が期待される。

さて今回はフォイル付きの船が増えているが、過去の操作性に実績のあるダガーボード2枚の船も多く出場している。

現時点のトップは過去4回場し、2位と3位に入賞したアレックス・トンプソンである。

現時点の2位は過去4回出場し、2位、5位、6位に入賞したベテランのJean LE CAMである。

彼の船Yes we CAM!はVendee Globe2008でMichelDesjoyeauxが優勝した時に使われた船を大きく近代化した船で、左右にダガーボードを持つもつがフォイルは持たない、彼の熟練と戦闘力はトップクラスであり、フォイル艇に不利な速度の稼げない荒天での走り方によっては上位入賞の勝機がある。

アレックスによれば、フォイル付きの船の操縦性は非常に難しいという。それは、一つにはフォイル艇は回頭性が悪いことであろう。

通常フォイルの大部分は先端がV字型になっていて、船が風下に傾いた(ヒール)時に水没している翼の面積が増えて揚力も増えるだけでなく、傾いたフォイル先端が水平に近づくことよってさらに揚力を生むようになっている。これは航空機の上反角、車のトーインのようなもので、強風を受けても船はオーバーヒールから回復する力が働く。しかし同時にフォイルは回頭によるヒールを妨げる力にもなるのである。

この図は多くのレースで優勝した艇の建造で有名なVPLPが説明のために作成したものである。カントキールの蝶番はわずかに後ろに傾いていて進行方向がわずかに上向きになることで、速度が上がるにつれてキール自体の重りの作用より揚力が大きくなるが、これはヒールを増やす働きもある。

風に直角に走っている時(アビーム)から上り付近では、フォイルの揚力、キールの揚力と重量のバランス、そして艇のバラスト水がバランスして、通常ならオーバーヒールと考えられる状態で少々の外乱でも安定して走ることができる。しかしこの状態で安定しているということは舵が効きにくいということでもある。

もうひとつ、船のセイルの空力中心CEは通常はキールが発生する横方向の抵抗中心CLRより後ろにあるため、基本的に船は風見鶏のように風上に向く(ウェザーヘルム)。風上に向かう力が常に働くため、風下に走るよりも風上に走るほうが安定するのである。実際風上に走っていてオーバーヒール等で不安定になったときは、メインセイルやジブのロープと舵から完全に手を離すと、船は風上を向いて止まるのである。

しかしフォイルはマストより前方にあり横からの水流に抵抗するため、CLRが前方に移動して船を風上に向ける力が強くなるので、絶えず舵を引いて船を風下に向ける必要があり、それが抵抗となる。

さらに、ヨットの世界ではウェザーヘルムの強すぎる船はブローチングやワイルドジャイブしやすく危険だと言われる。

ブローチングとは、船が風下に走っている(ランニング)時には前のめりになりピッチングやヨーイングを起こして不安定となるが、船が波に乗り艦尾の舵が空中に浮いて方向安定性が弱くなったときに風上側に回転して横風横波を受けて転覆することである。

あるいは、風下に走っていて波や突風で船体がセール側に回転しセールに裏風が入ったときに船体がセールと逆側にロールすると、セールが突然反対側に回って(ワイルドジャイブ)その反動とウェザーヘルムのために更に船体が風上に回転して横風を受けて転覆することがある。

いずれもウエザーヘルムの強い船に起きやすく、さらに大波をかぶるのでキャビンが浸水して、いずれも結果は”沈”である。

シングルハンドのVendeeGlobeでは人手が無いのでスピネーカーを使うことは少なく、ジェノアとスピネーカーの中間的なジェネカーを使用する時間が最も長い。ジェネカーは1辺がハリヤードで固定されているのでスピネーカーより安定していており、風下だけでなく風上に45度まで上がることもできるからだ。通常はジェネカーよりマスト寄りにジブを貼るハリヤードが2,3本用意されていて、これらのジブは巻き取った状態でファーラーごと取り外し可能で敏速に交換できるようになっている。

追い風では不安定なランニングより30度ないし45度のクオーターリーで走ることが多い。これは追い風だけでなくジェネカーが揚力を発生するために風速を超える速度が出るからである。またクオーターリーのほうがランニングよりブローチングが起きにくく安全ということもある。面白いことは、風速より船速が早い場合のジャイブはタックの操作になることだ。

なおダガーボードは位置的には前方にあるフォイルよりマストに近く、ウェザーヘルムをあまり強くしないし、上げておけば抵抗をへらすことがもできる。それはなぜダガーボードが出現したのかを考えれば理解できる。

ダガーボードの出現はカントキールと関係がある。カントキールは風上側に傾けることによって重量的にヒールを戻す働きがあるが、キールが横を向くと横方向風に抵抗する力CLRが弱くなり、CLRも浅い方へ移動する。これを補うためにダガーボードを下ろすのである。

カントキールとダガーボードが最初に出現した2000-2001 優勝のMichel DesjoyeauxのPRB2000では1枚でマストのすぐ前方にあった。

しかしこの位置だとCLRがキールより前に移動するし、船体のもっともぶ厚いところを長いダガーボードを挿すことになり、上げた時にジブ操作の邪魔になる。そもそもキャビン中央に船底まで貫通する穴をあけるといろいろなリスク不都合が発生する。そこで、マストをはさんで両側に2枚装備するようになった。そうすればダガーボードでCLRも移動しないし、万が一ダガーボード付近が損傷してもその区画だけ独立させればキャビンが浸水することもない。

一方フォイルは通常マストより前方にある。それは船の重心はCLRつまりキールにほぼ一致するので、舳先を浮かせるためにはフォイルはそれより前に設置する必要があるからだ。そのため、フォイルが効果を発揮している間はCLRは前方に移動し、それがウェザーヘルムを強くする原因となる。特に荒天で風向きや速度が頻繁に変わる状況ではウェザーヘルムを強くすることなく調節の効くダガーボードの方が安全なのである。

さらに微風ではフォイルによって抵抗が増えるために速度が落ちてしまう。フォイル艇が真価を発揮するのは船体が浮いた状態であり、それには概ね11ノット以上の速度を要する。それ以下ではフォイルの無い船より抵抗が大きく遅いのである。さらにフォイル艇は一般に同クラスのダガーボード艇より走行抵抗が低いのでセイルが一回り小さいことも微風で遅い理由の一つである。

このようにフォイル艇には利点も欠点もある。また彼の船では船体を究極的に軽量化することにより、フォイルの位置をマスト近くに後退させてある。競合艇はどれも重量が8トンあるが、彼の船は7.7しか無い。経験が豊富なアレックスが設計した最新のHugoBOSS2020ではフォイルを上げることができ、ありとあらゆる天候状況で常に最速を狙うための工夫に満ちているのだ。

フォイルの利点欠点を検討の上で今回もダガーボードで上位を狙っているスキッパーも多数いる。たしかにフォイル艇は条件の良い場合は圧倒的に速度がでるが、微風や荒天時の時間もかなり長く、そのときにはフォイルは効かないか逆に足をひっぱることもあるからだ。慎重に風や波を読めば上位に食い込めるというのが、ベテランのJean LE CAMなどのダガーボード派の読みである。

現在の下馬評ではアレックスが優勝の最右翼であるが、なんせ2ヶ月を超える世界一周のレースであるから、UFOのフォイルやキール、ハルへの衝突を始めとしてさまざまな故障や障害に機器類の故障などの可能性があるので、楽観を許さない。

現在Webmasterは船を処分した代わりにキャンピングカーに乗っているが、クルーザーに寝泊まりしていた経験が役に立っている。ある意味、キャンピングカーは陸を走るクルーザーなのである。

アメリカズカップのAC75も興味を引くが、それは恵まれたコンディションで限られた短距離のレースというか、一種のショーである。

その点、Vendee Globe2020一人のスキッパーがまったくサポート無しに地球を一周するという点で究極のレースである。船はすべて衛星通信で位置や速度、進行方向などが表示されていて、スキッパーの日々活動の動画が公開されている。物理的なサポートは一切無いものの、技術的なアドバイスは可能であり、SNSを通じて動画を見るものも参加し共感が持てる仕掛けになっているところが新しい。

Webmasterが感心したのは、女性のスキッパーはみんな極めてタフであり、腕力も知識も技術力もあり上位に食い込んでいる点である。欧米の女性はそこらの軟弱な日本男児よりよっぽどタフで頭も良いのである。

ともあれ、Webmasterは今後のレース艇の将来を示すVendee Globe2020の成り行きを日々注視しているところである。

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怪しいクラウドSIMモバイルルーターのナゾ(期待を裏切ってまとも編)

Webmaeterは2019年9月からwinmax2+のモバイルルーターを使っている。それまで、willcomのPHSデーターカード特別巻き取りで入手したymobileスマホのテザリングを使っていた。普通は7GB契約を使い切らなかったが、それは上限に対して無意識に自己規制していた感もある。

3台もスマホを使うのも面倒なのでymobileを解約しWnmax2+ルーターを契約した。ペイバック最高額(37000円)のH社の一代古いW05をチョイスした。速度は30MBPS程度とwifiの制限もあって売り文句ほどではないが、通勤や昼食タイムでも速度低下しない点が格安SIMとは一線を画している。

何より上限限が無いことがストレスを減らしてくれる一方、Winmax2+のエリアは狭めで、観光地とかでは圏外のためAUのLTEとなるがこれには7GBの縛りがある。これを使い切るとwwinmax2も減速となるので注意が必要だ。

ところが、家人がテレワークに使うとのことでルーターを取られてしまった。そこで、流行の安い上限なしクラウドSIMルーターを試すことにした。

ところが、クラウドSIMルーターの業者がほとんど全滅状態だった。原因は、

1)テレワークで需要が急増したが中国製ルーターがコロナ騒動で供給不足になった。
2)クラウドSIMの上限無し契約が事実上不可能になった。

1)はともかく2)の原因は少し複雑だ。クラウドSIMでは、通常端末に挿すSIMが業者のサーバーに挿さっていて、ルーターにはSIMが挿さっていない。

ルーターには種となるSIM情報が記録してあり、これで最寄りの基地局の情報を業者のサーバーに送る。サーバーは基地局の情報から適切なキャリアのSIMを選び、端末にその情報を送り、その情報で端末は通常の端末と同じように振る舞う。このシステムを開発し世界中に供給しているのがuCloudlink社である。

国内で良く売れたのが「どんなときもWiFi」だが、たびたび通信障害を起こして○務省による行政指導も受け、現在廃業準備中である。

なぜこうなったのか、D社のサイトの説明を読んでも意味不明だが、Webmaster的に読み取ったところ、SIMを売る3大キャリア、そしてクラウドSIMシステムを供給するuCloudlink社、サービスを提供する代理店の兼○コミュニケーション社、そして販売するD社間の契約問題のようである。

そもそもD社に楽観的な上限なし?のクラウドSIMサービスを提案したのは代理店K社のようである。しかし、大手キャリアは上限無しのSIMは販売していない、と言う。それなら、どうしてD社が上限なし?のシステムを提供できたのか?

それは、殆どのユーザーは契約パケット量を使い切らないので、余った分を融通すればユーザーから見ればほぼ上限なし供給できるように見えるし、実際のSIM数を超えるユーザーを獲得できる。つまりK社はMVNOがやっている一般的なトリックを使っていたと推測している。

当然、パケット上限が無く大手キャリアのモバイルルーターより安いD社に客が殺到しサービスが低下した。なかには、テラバイト級のデーターを使ったユーザーもいたとかで、スパムや宣伝の商用業務にでも使われたのではないか。

ところが、ある時点でキャリアから十分な量のSIMの供給を受けられなくなったために、新規契約を止めざるを得なくなった。

それは混乱した状況を見て、どこからか、おそらく、現実的なパケット上限と価格を設定して消費者に安定したサービスを供給するように、のような指導があったのでは無いかと想像している。というわけで、Webmasterが調べた業者はほとんどが廃業していて、少数残った業者は全て有限のパケット容量のサービスになっていた。

そこで、Webmasterはその一つのZeusu社の月40GBが2680円というサービスに加入した。40GBは、Webmasterの過去最大の使用量の3倍にあたる。端末はリースで、いつでも解約できる契約を選んだ。

Zeus社は新興企業だが、経営者に才覚があるようなのでチョイスした。これを選んだのは、自宅のwifiをグレードアップする予定があり、そうなるとWinmax2+が戻ってくるので、いつでも解約できるリース契約ということも理由の一つである。

契約はすべてネットで行い支払いはクレジットのみである。ルーターはH01という他社も使っている端末である。端末は会社のロゴをデザインした箱の中の銀箔押しの紙箱に入っていた。この手の業種は変化が激しく今後どうなるか余談を許さないが、少なくとも社長はこの会社をすぐ潰す気では無いように見えた。

端末はカラー液晶のきれいなものである。D社のルーターは液晶が無くLEDだけだったのに比べるとかなり親切な感じがする。ただし、現在どのキャリアに繋がっているか表示されないし、通常のルーターと異なりIPアドレスを直接ブラウザに入力しても設定ページは開かない仕掛けである。

電源を入れるとZ社のロゴがあらわれ、数秒でwifiがつながるが、この時点ではアンテナマークはたっていない。その後アンテナマークと4Gの文字が表示されるが、実際に使えるまで30秒以上かかるので外出前には電源を入れておくのがいいようだ。

写真は、ファイルの表紙を切り取って作ったケースに端末を両面テープで貼ったものである。ケースには孔をあけて紐と洗濯バサミをつけてある。また端末の上下区別のためにZeusのロゴをコピーして貼ってある。Webmasterは携帯の創世記のモトローラマイクロタックの時代からこの手の自家製ケースを作っている。

通信速度だが、通勤や昼食タイムでも20-30Mbpsとキャリア並で、この点は格安SIMとは差がある。電池の持ちも動画ばかりでも3時間は持つようだ。

なお、仕事場のビル中央のAUとドコモとWinmax2+が届かないトイレでも、SBは不安定ながら電波を掴むことがある。このルーターもトイレで使えることから、SBの電波を掴んでいるようである。それ以外の場所でもSBの電波を掴んでいる雰囲気である

そこで、とある所でtracerouteをかけてどのキャリアを掴んでいるか調べてみた。


  1     1 ms     4 ms     1 ms  k1.ucloudlink.com [192.168.xx.x]
  2   254 ms    46 ms   238 ms  pwXXXXXXXX.panda-world.ne.jp [xxx.211.161.105]
  3    46 ms    31 ms     *     pwXXXXXXXX.panda-world.ne.jp [xxx.211.161.106]
  4    43 ms    34 ms    43 ms  pwXXXXXXXX.panda-world.ne.jp [xxx.211.163.50]
  5    47 ms    46 ms    45 ms  pwXXXXXXXX.panda-world.ne.jp [xxx.211.160.65]
  6    71 ms    34 ms    86 ms  xxx.103.120.157
  6    77 ms    53 ms    37 ms  xxx.103.120.161
  7     *        *        *     要求がタイムアウトしました。

k1.ucloudlink.com の名前だがIPアドレスはローカルのものである。接続レイヤーがどうなっているかはIPアドレスからだけではわからない。次のpanda-world.ne.jp は中国っぽい名前だが、whoisをかけると、

BBTEC Japan Nation-wide Network of ○oftbank Corp

とでた。panda-world.ne.jpまではやけに時間がかかっているようで、モバイルのために論理的あるいは物理的時間がかかるのだろう。次の xxx.103.120.xxx をwhoisしたところ、

○フトバンクテレコム株式会社

とでた。やはりSBを経由しているようで、その後タイムアウトが続き、その先は相手先のサイトで変化する。

このように、SBのサーバー群しか見えずキャリアと同等の速度がでていることから、ネットワーク層も通常のMVNOとは異なってキャリアそのもののようにも見える。クラウドサーバーに差さっているSIMはキャリアの単純再販型MVNOではなかろうか。

SBは自社でもクラウドSIMを使用していて、キャリアのなかではucloudlinkとの距離が1番近いようである。おそらく他のキャリアもそれに遅れまいと並んでいるのだろう。

という訳で、トラブルを期待していた向きには残念ながら、1ヶ月経過した時点では何のトラブルも起きていない。クラウドSIMシステムといっても、最適なSIMを流動的に割り当てるアルゴリズム以外はさほど複雑なものでは無いようである。

ただし、キャリアの話を信用してよいのか、キャリアとucloudlinkとの関係には深い闇があるように感じられたのが収穫の一つであろうか。

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PC版マイナポイント申請の憂鬱のナゾ(落とし穴多数あり編)

マイナポイント制度が9月1日より始まったらしい。ポイントを貰うには、マイナンバーカードとそのパスワード(4桁)が必要だ。

次に、申請には最新のAndroidスマホか、iPhoneか、Windows10のPCが必要だ(最近はwindows8以降でOKになった)。iPhoneは試していないが、Androidの場合はOSのバージョンが9もしくは10で、Felica機能も必要だ。

個人的には、お金が絡む申請をスマホでやるのは抵抗がある。スマホでは複数のブラウザーの窓が同時に見られないし、指がすべって入力しそこなう可能性もある。しかし、敷居はFerica付きのスマホの方が簡単のようだ

PCでは、マイナンバーカードに対応したカードリーダーが必要となることがネックになる。いずれにせよ紙と鉛筆は必要となるが、それは、スマホポイントを貰うのにマイナンバーカードのサイトと、クレジットカード等の決済機能のサイトと両方に行く必要があるからだ。

カードリーダーといえば、手元に確定申告に使う目的で買ったシャープのRW-5100があるが、マイナポイントの指定カードリストに含まれていない。理由はwindows10対応のドライバーが正式に提供されていないからだと思われるが、実際にはWindows8対応ドライバでコロナ対策の10万円給付金の申請はできた。

他にもいろいろ落とし穴があって、指定OSがWindows10であるだけでなく、ブラウザーはインターネット・エクスプローラー11(IE11)のみの対応だったが、つい最近になってEdgeとChrome対応になったらしい。

以前はIE11ではキュリティーやJAVAscript等の設定をいろいろ変えなければ動作しなかった。8月になってEdgeとChrome対応になったものの、細かい注意書きがあるので注意が必要だ。

設備要件が合格したら、マイナポイント予約申し込みサイト(https://id.mykey.soumu.go.jp/mypage/MKCAS010/)にアクセスしよう。

マイナンバーカードをカードリーダーに差し込んでから、マイナポイントの予約(マイキーIDの発行)をクリックしよう。運がよければ、マイナンバーカード発行のときに決めた公的個人認証利用者証明用パスワード(4桁)の入力パネルが出る。入力するとマイキーIDが表示されるので、メモしておこう。ただし、実はマイキーIDだけでは何もできず毎回マイナンバーカードが必要になる。

次に、クレジットカードやプリペイドカード、○○Payなどの決済事業者のマイナポイント事業サイトに行って、マイナポイントの対象となるサービスを登録する。登録は1種類だけで、いったん登録すると変更できない

例えばクレジットカードなら番号、新たな決済サービスIDパスワード、電話番号などを記入すると、決済サービスID10桁とセキュリティーコード8桁が発行される。番号は必ず紙にメモしておこう。

再度マイナポイント予約申し込みサイトに戻り、先程の決済サービスIDとセキュリティーコードを入力すると、マイナポイント申込みが完了となる。

この際、決済サービス名称、決済サービス区分、利用方法、登録サービス番号(一部)、決済サービスID(一部)、電話番号(下4桁)、申込日時、申込処理番号等が表示されるので、メモしておくか印刷しておこう。

以上のように、マイナポイント予約申し込みサイトと決済事業者のマイナポイント事業サイトの2箇所で処理し、パスワードを入力する手間があるのがやっかいである。

役割的に見ると、マイナポイント予約申し込みサイトの目的は、マイナンバーカードを認証して個人情報を確定することにある。次に、決済事業者サイトで決済サービスのIDとセキュリティーコードをもらい、最後にマイナポイントサイトに戻って決済サイトのの情報を個人情報と紐付けすることで、個人情報と決済サービスが合体する、という3段階の仕掛けである。

しかしよく考えたら、マイナポイントのサイトで決済業者をチョイスして決済情報を記入すれば、こんな面倒な3段階処理は不要では無いか。例えば通常の通販サイトでは、そのサイトから決済方法(例えばクレジットカード)を選んで情報(例えばクレカの番号等)を記入すれば、決済が済むはずである。決済業者にしてみれば、マイナポイント制度からもらった情報は運転免許よりさらに信頼性が高いのでトラブルは少ないはずである。 さらに問題は決済事業者の数が限られていることだ。

例えば、クレジットカードにVISAのマークがあっても、そのカードが数少ない指定の銀行で発行されたものでないと使えない。たとえVISAの胴元は三井住友VISAであっても、カードを発行した業者がマイナポイント事業に参加してなければ使えないのだ。だから、多くの地銀や企業が発行しているクレジットカードの殆どはマイナポイントには使えないのである。

というわけで、電子カードリーダーやブラウザーを用意しても、クレジットカードがマイナポイントに参加していなければ、くたびれ儲けで終わるのだ。

それと、リア充の方なら数種類のクレジットカードと〇〇Payに加入しているだろう。不正チェックやポイントのからみ等でクレジットカードを使い分けている場合も多いと思うが、1種類の決済サービスしか登録できないのだ。

いろいろな手間の割にポイントが最大5000円ということもあるので、なかなか普及しない雰囲気である。この5000円で、今後間違いなく拡充されるの電子政府とマイナンバーカードの事務に必要な公式カードリーダーを買いなさい、という意味なのかも知れない。

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無料の0-simよ、さようならのナゾ(超低速無料サービス終焉編)

0simは2015年末にsonetが始めた無料SIMで、デジモノステーション 2016年02月号の付録として提供されたことで話題になった代物である。

ドコモ回線を使ったもので、500MBまで無料、それ以上は100MBごとに100円ずつ課金されて2GBで1600円に達するが、それ以上は5GBまで課金されないという契約である。5GB以上は速度規制がかかるが、別途でチャージ可能ということになっていた。

Webmasterは当時AU1回線に加えWillcomを2回線契約していたが、当初0simはそれなりの速度が出ていて課金領域まで使うこともあった

しかし、1年ほどするとまったく速度がでなくなって、印象としては32kbpsとか64kbps程度だろうか。しかも朝夕や昼食時などのアクセスの多い時間では殆ど止まってしまう有様であった。それでも土日はある程度流れていて、Googleマップのナビゲーションに使える程度の速度が出ていたので、キャンピングカーでナビ代わりに使っていた。

と、メールがやってきた。

0simを2020年8月31日で終了する、というものである。終了に伴う解約料は無しとのことである。

ただし救済策??があり、SIMの交換や手数料無しでsonetの有料契約であるNUROモバイル契約に移行できる、というものである。チョイスは、

1)お試しプラン 月300円 上限0.2GB 上限超は64kbps、解約金0円
2)Sプラン 月700円 上限2GB、上限超は128kbps、解約金あり
3)Mプラン 月1500円 上限7GB、上限超は128kbps、解約金あり
4)Lプラン 月2700円 上限13GB 上限超は128kbps、解約金あり
*最初の1ヶ月は無料。プラン相互の変更は常に無料

現状では、AU1回線、Willcom改Ymobile1回線に、UQmobileのモバイルルーター(パケット上限無し)があるが、お試しプランも最初の1ヶ月は無料とのことで、それにして様子を見ることにした。

パケット料金はともかく、はたしてパケットの速度が出るのかどうかが問題である。これまで0simは懲罰的に低速度だったので、単純にsonetを信用してよいのか疑問である。

新たな契約では8月中は無料とのことなので、上限0.2GBまでどの程度の速度が出るか?試してみた。

環境は日曜日の自宅で、付近はは大きなアウトレットがあるせいで基地局も潤沢にあり、キャリアのSIMでは速度に不満を持ったことが無い。

さて、お試しプランのSIMをASUSのZenFone 2 Laser (ZE500KL) Android6.0.1に挿し、テザリングでYoutubeの動画シリーズ(速度自動設定)を再生してみた。

最初の数本は、480p以上で再生できたが、そのうちに速度が144pまで落ちた。その後は480pを指定しても240p程度しかでなかった。タスクマネージャーで見ると、スパイク状に1000kbps近くまで伸びることがあるが、平均的には400kbps以下である。

AUとymobileでテザリングしてみると、どちらも最低でも数Mbpsはコンスタントに出るところを見ると、やはりNUROモバイルは明らかに遅いのである。

というわけで、残念ながらNUROモバイルとは8月31日でお別れの予定である。みすみすユーザーを取りこぼすSonetの商売の下手さには呆れるしか無い。お試しプランでこの程度の速度しか出ないのであれば、Sonetに残る客はいないだろう。sonetは0simで信用を完全に失っており、シェアも底辺まで落ちていることから、このままではSIM商売から撤退となるのでは無いか。

なお、上限の0.2Gbps超では64kbpsになるハズが128kbps程度は出ていて、動画以外なら使える雰囲気だったことを書いておきたい。

やはり、いくらパケット上限が大きくても、実速度がでなければ画餅にすぎない。その点では、YmobileやUQ-mobileなどサブキャリア系の速度が早く、コスパ的にも狙い目のようである。

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カップラーメンの塩分との戦いのナゾ(山本式ラーメン塩分節約法編)

Webmasterも高齢化で血圧が気になるところである。

毎晩寝る前に測っているが、気付いたことは塩分の多い食事をとると確実に血圧が上がることである。余分な塩分は浸透圧のために水を呼ぶので、循環血流量が増えてしまうのである。

一般的には、一日の食塩量は10g以下、高齢者や高血圧の場合は6g以下に抑えるように、と我々は職業的に患者さんに説明するのだが、自分自身がそうるのはなかなか難しいものがある。仮に1日6gとするには、毎食を2g以下に抑えなければいけない。

その目でインスタント食品を眺めると塩分オーバーの製品が多い。人類の祖先は海の中で、そこでは塩分も水分も無尽蔵にあった。しかし動物が陸にあがると塩分と水分は常に不足気味となった。細胞を保つには浸透圧が必要だが、塩分が不足すると水分を失って細胞はナメクジのように縮んで死んでしまう。

そのために発達した臓器が腎臓で、老廃物を排出した尿からナトリウムと水分を再吸収して節約するのである。陸上では汗や蒸発と尿から塩分や水を失うが、植物を食べてもカリウムばかりでナトリウムは少ないのである。

そこで進化したのがレニン-アンギオテンシン系である。腎臓の動脈にセンサーがあり動脈圧=循環血流量が下がるとレニンが分泌される。レニンは尿からのナトリウム再吸収を増やすとともに、動脈を収縮されるアンギオテンシンで血圧を保ち、脳や心臓、腎臓などの臓器を保護する非常用メカニズムである。

一方、現代人は塩分のとりすぎで、それが高血圧の原因になっている。塩分は生命維持に必須なので、脳は塩分を摂取しようとする。だから、脳が塩分や糖分を要求し、それを摂取するとハッピーになるように遺伝子的にプログラミングされている。

昔から高血圧の薬としては利尿剤がある。これが余分な塩分を尿に出すと血圧が下がる。次に開発されたのがカルシウム拮抗剤で、動脈の収縮に必要なカルシムと拮抗して血圧が下げる。この2者は強力で現在も使われている。

ちょっと前に一世を風靡したのが、レニン-アンギオテンシン系に拮抗する薬である。しかし、効き目が弱く、また治験での不正が露見して、現在では利尿剤とカルシウム拮抗剤の脇役として合剤に配合されている。

考えてみれば、レニン-アンギオテンシン拮抗薬の効果が低いのは当たり前だ。そもそも、現代人は塩分が過剰なので、塩分不足という非常事態のためのレニン-アンギオテンシン系があまり働いていないから、薬の量を増やしても効果が乏しいのである。

なのに、製薬会社は膨大な広告費と、ディオバン事件で露呈した不正な治験で医療を捻じ曲げていたのである。

さて、好きな食べ物の上位にはラーメンがある。インスタントラーメン、そしてカップ麺が発明されて大量に消費されているが、塩分量が多いのが難点である。 カップ麺の塩分は1杯あたり3.5g〜7gもある。たった一杯で1日6gを越えてしまう。では、どうしたら塩分を減らせるのだろうか?

カップ麺の表示を見ると、一杯は300-500Kcalで体積は250-400ml程度だが、麺+かやくの塩分が1.5g-2gあり、これは製品の差が小さい

麺のコシは主としてグルテンによるものだが、塩分で両性電解質であるグルテンが電荷を失って沈殿してコシが出るのだ。これは麺類、そして同様にグルテンを発泡させるパンの宿命で、ごはんベースの和食より常に塩分が多いのである。

インスタントラーメンでは通常麺を茹でた汁にスープの素を加えてつくるが、茹で汁を一旦捨てれば若干の塩分を減らせるかも知れない。そこでゆで汁の塩分を光学式屈折計で測定すると、何回測っても高く測定された。

写真は手持ちの屈折計の数字で、brix値=3ということは、塩分の重量%がbrix値に0.86を乗じて2.58%となるが、味を見ると塩味は相当薄いのだ。通常のお吸い物の塩分が1%で、2%となると相当塩辛いことからして、1%を下回っている。

その理由は、茹で汁に麺のでんぷんやグルテンが溶け出しているからである。光学式屈折計は溶質や電解質の種類にかかわらずモル濃度の合計に比例した値を出すので、塩分だけは測れないのである。これは糖の屈折率から発酵の進行を測ろうとしたが、アルコールも屈折率を上げるためうまくいかなかった失敗からの考察である。印象としては300mlの茹で汁を捨てても塩分はせいぜい0.5-1g程度しか減らないようである

となると、スープの塩分を減らすしか無い。カップヌードルのような最初にスープの素が仕込まれている場合は、一旦お湯を通して1,2分でスープを洗い流すのが良いようだ。しかし、カップヌードルとかでは不必要に塩分が多いのでこれだけではまだ塩辛く、さらに1,2分でもう一度湯を100ml程度かけて洗い流すことが必要なようである。この場合、塩分は麺が約1.2g、スープが1g強となり、合計2g台で合格と考えていいだろう。

しかし湯をすべて出してしまうと食べにくいので、卵を1個入れてかきまぜて食するのが良いようである。

カップ麺でもスープが別の袋に入っているものがある。この場合は、一度茹でた汁を捨てて、その後スープ袋の1/2ほどを入れ、お湯を100ml入れてよくかきまぜてつけ麺的に食するのが良いだろう。あるいは、スープをさらに捨てて、卵を1個入れてかき混ぜれば、塩分は合計2g少々で仕上がるであろう。

問題は、カップヌードルのように最初からスープが麺と一体となっているカップ麺の場合である。その場合にWebmasterがやっている方法を紹介したい。

1.まずビニール包装をとる。カップの底を破り、全体の形状をなるべく保存して取り去る。これは後で、卵の殻を包んで捨てるのに使うのである。

2.次にハシでお湯を捨てる穴をあける。写真のようにハシの先端を鉛筆削り器で尖らしておくと空きやすい。カップ麺の上のシールを剥ぐ前の方が張力があって開けやすい。

3.指示通り(この場合は300ml)のお湯を入れる。通常は指示の半分の時間になったら麺を十分にかきまぜて、スープを捨てる。

4.そして、Webmasterは乾燥ワカメを穴と反対方向に入れて再度お湯をワカメの方向から1/2ほど入れる。その後軽くかきまぜてワカメを麺の底においやる。これは、スープを捨てる穴がワカメで詰まらないように、である。

5.指示の時間の半分ほどたったら、お湯を適当量捨てて食する。やはり薄くても汁が全くないと食いにくいものである。あるいは、汁をすべて捨てて卵一個をいれてかき混ぜて食すると良い。その場合は、塩分の少ないラーメンにワカメと卵で、ほぼ完全食となるであろう。

なお、食事の前にカップ麺に表示されている食塩量をチェックして欲しい。食塩量が4g程度の製品なら、1度スープを捨て、1/2のお湯でゆすぐだけで目標近くの塩分に下がるが、塩分が5gをはるかに超える製品では、1度スープを捨て、最初と同じお湯で再度ゆすいで洗い流さないとなかなか塩分が低下しない。いずれにせよ、麺の汁を一度捨てた後に袋1/2程度のスープを入れて、麺と最小限の薄いスープで我慢できる限界としても、やはり塩分は3g前後になってしまう。塩分を2gに収めるには汁は少量楽しんで大半は残すしかない、ということになる。

Webmasterは食塩を恐れるあまり、しばらくカップ麺を避けていた。しかし、この方法で塩分を2g台に抑えることで、他の2食の塩分を節約すれば1日6g前後でまかなえることが解ってからは、カップ麺も楽しめるようになった。塩分の問題さえ解決できれば、多種多様なカップ麺があって楽しめると思う。

次に、焼きそばの塩分節約法も紹介したい。この場合は調理法を抜本的に変える必要がある。それは、最後にソースをまぶすのではなく、湯をすべて流す前にソースを希釈して麺の表面にからめた後に捨ててしまうのである。

1.通常通り、指定量のお湯を入れる。
2.指定時間後、お湯を半分すてる。乾燥わかめを手前に入れ、浮いてこないように底に沈める。
3.ソースを溶いて混ぜ、お湯とともに捨てる。

この方法で、麺は薄いソースに短時間浸るが大部分は流れてしまうので、味はするものの塩分を節約できるという算段である。もし味が薄いようであれば、ごく少量スープを残して、つけ麺のようにするのも手である。

過去は、焼きそばの塩分節約はソースを減らすしか考えつかなかったが、その場合全体にまぶすのにソースが足らない様子だった。ソースを薄く湯に溶いてしまえば、粘度も下がって全体にいきわたらせることが容易になる。味が薄くて寂しい場合は、やはり卵を1個入れて混ぜるのがいいだろう。

これらの山本式ラーメン塩分節約法は、

レトルトカレーライスの最小環境負荷料理法のナゾ

と哲学を同じうするものと考えている。

老婆心コーナー

光学式屈折計は、糖度計であっても塩分計であってもBrix値目盛りがあるものが便利である。例えばあらゆる食品、洗浄液、油、クーラントの濃度もbrix値からの換算で計れるが、前述したように糖分やタンパク質など複数の成分がある場合は目安にしかならない。これは市販の糖度計や塩分計も同様である。

塩分については標準溶液を作り、舌で比べる方が正確だが、味噌ラーメンでは味噌の味のために通常のラーメンより塩分が少なめなことが多い。

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キャンピングカー太陽光本位制のナゾその3(電流逆流のバッテリーアイソレーター編)

今回は、キャンピングカーの最新電気事情について、

キャンピングカー太陽光本位制のナゾ
キャンピングカー太陽光本位制のナゾその2(無駄に電気を食うバッテリースタビライザー編)

の続編である。

従来のキャンピングカーの待機中のサブバッテリーの充電は外部からのAC100Vに依存していた。JB470もご多分に漏れず充電器として一般的な未○社製Powertiteブランドの”すぐれ者充電器”を搭載している。以前登場した、バッテリースタビライザーと同じメーカーである。

これは、サブバッテリーを無理の無いように充電するとかで”すぐれ者”なる名称である。具体的には充電電流を細かく制御してバッテリー寿命を伸ばすというのが売り文句らしい。しかし、我がJB470は太陽光で常時満充電なので、購入以来一度も外部AC100Vに接続したことが無い

バッテリーはありふれたAC-DELCOのVoyager M27MFを使用しているが、ネット情報では満充電するには16Vを要するという。Webmasterも充電最終電圧をいろいろ設定して放電経過を見たが、16V以上で充電しても、負荷をかけると早期に13V台に低下し、その後は一般的なバッテリーと同じ経過をたどるので、満充電には16Vを要するというのは都市伝説だと思っている。現時点では充電最終電圧を13.9vに設定している

もうひとつ、オルタネーターからバッテリーアイソレーターを介してサブバッテリーを充電する系がある。JB470も一般的な未来○製のSBC-001を積んでいる。これはメインバッテリーが放電して電圧が低いとき、あるいは高すぎる時ににはサブバッテリーの充電を制限する代物だ。JB470ではメインキーをイグニッション(IGN、ディーゼルなので点火しないが)時のみ充電するようになっている。

しかし、JB470の場合は、サブバッテリーは太陽光で常に満充電である。いっぽう、メインバッテリーはキーオフでもナビ等が常時電流を消費していて、長く放置すると電圧低下して始動不良になる。JB470には2秒で始動可能となるグローシステムがついていて、当初グローに短時間ながら相当な大電流を流す。このため、くたびれたバッテリーではグロー通電だけで電圧が低下してセルが回らなくなる

特に、出来の悪いパイオニア製のHDDナビがキーオフでもかなりの電流を消費する。このナビは電気を節約することにはとんと無頓着であり、取説には、

<本機をお使いになるときは、必ず車のエンジンをかけてください。エンジンがかかっていないときに本機を使用すると、バッテリーが消耗します。なお、環境保護のため、必要以上の停車中のアイドリングは避けましょう

と書いてある。エンジンをかけろと言いながらアイドリングを避けろ、と言うのだ。。更にAMではナビ本体からのノイズが激しく使い物にならない。よくこんな物を製品として売っていたものだ。

ナビやバッテリーアイソレーター等で、合計すると50mA前後も消費しているようだ。従って、これに見合う充電をすればメインバッテリーは常時満充電に保たれることになる。そこで、山本式メインバッテリー常時満充電システム(PAT PEND.)の出番である。

仕込み方だが、バッテリーアイソレーターにメインバッテリーとサブバッテリーへの端子が並んでいるので、サブバッテリーから10Aショットバリアダイオードと抵抗を経由してメインバッテリーに給電する。JB470では常時満充電のサブバッテリー電圧が14V近いので、抵抗値を100Ω(金皮)としている。

アイソレーターは配電盤の上の板に逆さまに実装してある。写真ではチューブとテープで絶縁したダイオードと抵抗がアイソレーターの凹みに押し込んであるのが見えるだろうか。赤い配線はキーがIGNの時にアイソレーターをONにするためのものだ。

充電電流を欲張りすぎるとメインバッテリーから水素が出て電解液をロスするので、満充電に保つことができる最低の電流に設定するのが望ましい。ナビやの電子機器の待機電流は車によって異なるので、それぞれの車で抵抗値を通常は50Ωから100Ω前後で調節することになる。

いくらサブバッテリーが満充電であっても、メインバッテリーが放電していたらエンジンは始動できない。その点、このシステムがあればフールプルーフでそ心配がなくなる。いずれにせよ、全ての電力事情が太陽光本位性になるのがこれからのキャンピングカーの姿なのである。

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アドレスV125K5の15年経過メンテのナゾ(ブレーキ整備と圧縮比アップ編)

ときどき登場するWebmasterの愛機アドレスV125K5だが、今日トク的には珍しく何時どのようにやって来たかのトピが無かった。その理由は先代のV100の消え方とも関係がある。

先代のV100は低走行ながら外装の程度が悪い代物を整備したもので、2002年の、

□Sept. 21:センチメンタルツーリングのナゾ(原付2種・その1)
□Nov. 16:センチメンタルツーリングのナゾ(原付2種68cc・その2)
□Feb. 1:センチメンタルツーリングのナゾ(原付2種98cc・その3)

の原付3部作に登場する。ライブDioはその後すぐ希望者にお譲りした。それから2010年の、

アドレスV100のレゾンデートルのナゾ

に、ブレーキパッド交換の話が出てくる。しかし、当時Webmasterの興味はプリウスの燃費だった。寒さや雨はライダーに過酷で、さらにプリウスより燃費が悪いV100の存在価値に疑問を持った時期である。そして、今思えばかわいそうなことをしたのだが、燃費の話をしたところ友人が欲しいというのでお譲りしたのである。

しかし、一月も立たないうちに、風を切って走る感覚が忘れられずに後悔の毎日だった。特に2ストオイルの匂いへの郷愁は、その後リード100をリストアする伏線となった。リード100については、

多走行リード100リストアのナゾ(その3)
多走行リード100リストアのナゾ(その2)
多走行リード100リストアのナゾ
を参照いただきたい。そしてV125が登場するのは、何と5年後の2015年で、

カブリのとれないイリジウムプラグのナゾ(アドレスV125k5編)
始動がいま一つのV125ナゾ
焼き餅焼きのアドレスV125のブレーキ整備のナゾ
アドレスV125に見る老齢者用バイクのナゾ
タイヤバルブのキャップ材質のナゾ(アルミキャップはだめよ編)
V125リアタイヤサイズアップ作戦のナゾ
ハイオクガソリンは本当に燃焼室をきれいにするのか、のナゾ

ライバルとなるリード100やEN-125などのために走行距離が伸びず、プラグCR7HSAも湿り気味だった。V125もその後のモデルはデチューンされ、CR6HSAが標準となっている。

最高に程度が良い貴重なV125K5(走行8000km)は2011年6月に譲っていただいた。受け取りに行った帰りのドライブはよく覚えている。V125K5は座席の後ろ側に座ってアクセルをうっかり開けるとウィーリーするほど元気が良く、大台の速度が出たような記憶が有るような無いような。

しかしV100譲りのディスクブレーキは動力性能に比して十分とは言えないので、ブレーキの整備はわりと頻繁にやっていた。他にも、フロントサス分解整備、ドライブベルト交換、ウェイト交換、タイヤ交換なども行ってきた。

V100の前トレールリンクがテレスコになり、エンジンハンガーの幅が広がるなど車体剛性は強化されたものの、ホイールベースが短く、タイヤもV100の前後3.5-10から前90/90後100/90へと逆に小径となったため、高速度域の安定性が心もとない。そのためか、スズキも敢えて最高速が伸びない設定としたように思う。

高速の安定性はタイヤをV100と同じ前後3.5-10に変更て外径が5%大きくなったことで若干は改善した。さらに、後輪のハイトが18mm上がったことで、段差でも車体下部を擦ることもなくなり、車体もわずかに大きくなったような印象もあった。フロントサスの整備も安定性に効いたように思う。

最近にパッドが減ったためかブレーキのタッチが悪くなってきた。純正を重視するWebmasterだが、頭の片隅に大径ディスクが浮かんだのも事実だ。そこで、今回は徹底的にブレーキをメンテした後にちょっとした細工を施し、それでもダメなら大径ディスクやむなしという作戦をたてた。

パッドは内側が減っていたのでスライドピン(正確にはガイドピン)を点検したが特にサビなどはなかった。ピンを光るまで磨き、凹みも十分清掃し、最高級の電子顕微鏡用高真空シリコングリース(HIVAC-G)を塗ってスムーズな摺動を確認した。このグリースはコンタミになるような成分が全くないので、基本的には殆どのゴムや樹脂を変質させず密閉性も非常に良い。これに高純度アルミナ粉(コランダム)を混ぜて最高の熱伝導グリースを作ることもできる。

次にピストンをはずしてみると、内部にゲル状の汚れが溜まっていた。2,3年おきにフルイドは入れ替えていたが、やはり古くなると分解しないととれない汚れが残るようである。

キャリパーのシール類は良好だったが外側に粉を吹いていたので、シール類をはずし溝を徹底的に清掃してグリスを塗り込んだ後丁寧にシールを戻した。ピストンもわずかに腐食していたが十分に磨き込みグリースを塗り込んだ。今回はシールの状態が良かったのでピストンとともに再使用した。ピストンは指で押し込むだけで軽く動くようになるまで十分になじませた。

パッドは10年以上前からのデッドストックのYAMASIDAブランドで、フェノール樹脂にキラキラ輝く成分を練り込んだものである。軽く角を落とし、組み込む際にはパッドの穴とパッドサポートピンの両方にグリースを塗り込んだパッドスプリングとパッドとの摺動部や、ピストンと外側パッドシム間、またパッドホルダーと内側パッドシム間にもごく少量のグリースを塗った。パッドには複数の摺動部分があり、ブレーキトルクがかかると摺動が渋くなる可能性がある。

最新のスライドピンを使ったフロート式キャリパーでもパッド周辺にはいろいろなところに摺動部が残っている。キャリパーの摺動部のフリクションを意識するようになったのは、RX-7のSA-22Cのブレーキ整備の経験からである。それ以後、Webmasterはフリクションの設計に関してブレーキメーカーをあまり信用していない。

その理由は、初代RX-7(SA-22C)のDBA社ライセンスのF型ディスクブレーキに対する疑問から始まっている。このブレーキはキャリパーをサポートに固定するのにストッパプラグという摺動板を挟み、その両端をスピゴットピンで固定していた。

SA-22Cのプレーキタッチは甘く、Webmasterは原因はリアのドラムブレーキのシュー調節の問題と思い、走行1000km毎に下に潜って遊びを調節していた。シューの遊び調整は自動式でなく、前後シューともカム軸で遊びを調節しナットで固定するという原始的なものだった。

しかし、いくらシューを念入りに調整しても遊びが大きく、ブレーキの遊びが大きく、タッチも良くなかった。ひょっとしてフロントブレーキのせいかと思って、発見したのがストッパプラグである。この原始的で低レベルな構造を知ったときは、あまりの落胆に腰が抜けたのを思い出す。

ストッパプラグの摺動面をピカピカになるまで念入りに清掃しモリブデングリースを塗布、さらにパッドのクリップ類や周辺との摺動部分を磨いてごく少量のブレーキグリースを塗って丁寧に組み込むと、ブレーキのタッチは一変したのである。遊びが小さく、ダイレクトかつ繊細にブレーキが調節できるようになったのである。

ストッパープラグの摺動面は全く防水されておらず、水もホコリもサビも付き放題という原始的な設計に腹がたったことを覚えている。その後も、タイヤを外すたびにストッパプラグ周囲に注油していた。このころは必要もないのに毎週のようにRX-7のどこかを分解整備して、マツダの原始的な設計を発見しては、いちいち憤慨していたことを思い出す。

その後にキャリパーの固定はストッパープラグ式からスライドピン式になってフリクションは低下したが、何故かパッドが片減りするブレーキは存在するが、その原因の一つは、パッド周辺の摺動部の整備状況であろう。

今回はマスターシリンダーのフルイド溜めも清掃し、フルイドが循環する経路も清掃し、エア抜きも入念に繰り返した。

組み込みサポートの固定にも工夫を加えている。キャリパーサポートを固定する2つの穴の下側を外側に削ることでキャリパー全体をディスクに対してわずかに角度をつけ、パッドの端がディスク外側ギリギリまで摺るようにした。これでわずかながら摺動面積を増やし、ブレーキモーメントも稼ぐ作戦である。写真でも過去の整備毎に加えた処理のために耳の一部が削れた跡が見えるだろうか。

組み上がってテストしてみると、最初は当然効きが悪いが少しずつ効きが戻ってきた。キャリパーに角度をつける工夫は過去数回わずかずつ行って調子を見ているが、最初はパッドの端がディスクの耳を削るのでしばらくは遊びが大きい印象になる。

しかし、数日走行するとびっくりするほどの効きになった。もちろん、ロードスポーツのように走行中の前輪を即座にロックさせるような効力は無いが、止まる寸前に食いつくような感覚となり、同時に前輪のテレスコが沈み込むようになってきた。

要するに、V125のプアなブレーキも、ありきたりの整備では持てる能力を発揮していない、ということである。

ブレーキを組んだ後でも、外からタッチを改善する方法はある。おすすめは、パッドの穴をピンで固定する部分に、スポイトもしくは目薬の瓶でオイルを一滴さすことである。この部分は露出して雨やホコリに触れてサビて摺動が悪くなっているので、1滴オイルをさすことでタッチが良くなるのである。特に後輪のキャリパーではこの部分が上を向いて露出しているのでサビがきやすい。

今回はプラグも交換した。プラグは毎日法定速度で長く巡航するせいか。過去と異なってやや焼け気味となっている。以前からこのサイトで何度が書いているが、ノギスでプラグとピストンの間隔を測った上で、プラグをP型(突出型)に変えたり、座金を薄くすることで圧縮比を稼ぐことができる。

V125はピストンとの間隔に余裕があるが、プラグCR7HSAには突出型がないので、薄い座金を使うことで1.2mmプラグを深くすることができる。これで減少する燃焼室の体積が0.1cm3(=0.5x0.5xπx0.12cm3)減り、圧縮比が10.07程度に上がるはずである。

微々たる圧縮比アップではあるが、プラグの点火ポイントが突出して燃焼室の隅々までの距離が小さくなり火炎伝搬時間も短くなるのでメカニカルオクタン価があがり、ノッキング耐性が高まることになる。このことで、圧縮比の僅かなアップによるノッキング傾向が帳消しになると目論見である。

他に同じ10mm口径ながらリーチが12.7mmのCR7HSAの代わりに、リーチが19mmのCR7Eを使い、リーチの差6.3mmを座金で調節する作戦も試したが、虎の子のK5エンジンが壊れると入手が困難なので、通常使用は断念した経験がある(写真はCR7HSAとワッシャ盛りのCR7E))。

わずかな圧縮比アップの効果は、ストックでもV125k5は少なくとも低中速に関しては最新のNMAXより優速なのでわからずじまいだが、何となく良い感じではある。

今回はエアクリーナーも清掃した。灯油で洗いオイル30Wを染み込ませて十分ペーパーで吸い取った。エアクリナーケースにも細工があり、写真のようにラムもどきのエアスクープをつけている。効果は中速から上で気分が良い感じがする。V125K5が最新のNMAXとの出足競争で抜き返されるのは制限速度をかなり超えた時点なので、制限速度まででは効果はわからない。特に副作用もないし、V125のエアクリは一旦最下部の部屋に降りてから吸い上げる構造なので、ゴミや水分を拾ってもエアクリーナーまでは行かないようになっている。

なお、走行1万kmころより、ブローバイ配管にPCVバルブを入れている。これにより、明らかにエンジンブレーキは弱くなっているが、性能や燃費への影響は少なくとも悪くなることは無い、という程度である。

今回の点検ではオイル粘度に注意しているせいか、ブローバイ配管やバルブ、スロットル系の汚れあまりなかったが、一応キャブクリーナーで清掃は行っている。

他には、ここ数ヶ月はガソリン補給毎にATFを5-10ml加えている。PEAの効果はヒューエルワン等で有名だが、ATFによる燃焼室清掃効果は知られていなかったが、

を見たからである。なお、ATFはJB470の経由補給時に燃料ポンプ保護のために20ml程度加えて効果を見ているところだ。 このProjectFarmは非常にポピュラーなサイトで、面白い実験を多数しているが、Webmasterのおすすめは、70年前のオイルと最新オイルの性能比較である

驚くことに、チムケン試験の結果は殆どイーブンで、現時点でも十分な性能を持っていることがわかる。70年間に変質した部分も計算に入れると、あるいは最新のオイルを凌ぐ性能があったのかも知れない。かつてのペンシルバニア算出の緑色上物オイルが優れていたという話はよく聞くが、信用するに足る話である。

プラグ交換の際にシリンダ内を内視鏡カメラで観察してみた。前回2018年のシリンダ写真は、

今回は、

前回よりピストン周辺のスラッジが減っており、ATF添付には一定の効果があるようなので今後も続けることにしたい。ATFはJB470用に20L缶を買ってあるのでなくなることは無いだろう。

今回は白化した黒色樹脂部分もエアガンで焼いてお化粧したので、ぱっと見は若返った感じである。現在走行は3万km弱というところだが、今後の予定としてはタイヤ、オイル、ブレーキパッドやフルイドの交換を予定どおり行い、走行5万kmごろにドライブベルトとウェイト交換とクラッチ点検、ギアオイル交換等の予定である。

Webmasterも今後は筋力が年齢と平行して低下していくであろうから、NCをいつまで維持できるかわからないが、少なくともV125はバイクに乗れなくなるまキープしたいと考えている。

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進化する車検マルチテスターと進化しない重量税のナゾ

豪雨をついて、車検をとりに運輸支局に行った。9時の予約だったが、今回は都市高速が雨で止まっていたようで大渋滞にはまって遅刻してしまった。車検でやることは基本的に同じだが、毎回手続きや検査手順が世相を反映して微妙に変化するので、備忘録的に書いておきたい。

まず、敷地内にある怪しい団体(陸運協会)で自賠責を更新するが、記載内容に変化なければ2,3分以内というスーパーな速度で新しい保険証書がでてくる。

次に、審査代証紙1300円、検査登録代印紙400円、そして問題の重量税代印紙を購入する。印紙は国に納付され、証紙は国の関連団体(この場合独立行政法人 自動車技術総合機構 自動車検査法人)か自治体向けという違いがある。

車検(継続検査)に必要なのは、

1)車検証
2)自動車納税証明書(きちんと納税していれば不要)
3)24ヶ月適期点検記録簿(新車に着いてくるものかネットで入手して自分で書き込む)
4)自賠責保険証明書(車検までの分と今後24ヶ月分)
5)自動車重量税納付書(支所にあり、印紙1を貼る)
6)自動車検査票(支所にあり、審査証紙と検査登録印紙4を貼る)
7)継続検査申請書(支所にあり、OCR)

5).6).7)は検査後にブランクを一式貰っておいて、次回記入して持参すれば時間が節約できると思うが、時々様式が変化するのに注意が必要だ。例えば最近では継続検査申請書に記入する車台番号が後ろ3桁から7桁になっている。

これを支局に提出してチェックを受けて注意書き(ホイールキャップをはずせ等)とライン番号の指示を貰う。前回も書いたが、最近は支局の方で地方税である自動車税の納税状況やリコール実施状況が把握できる様子である。

なお、窓口に、”ライン○はホイールベースが3mまで”みたいな注意書きがあったが、その理由はあとで知ることとなる。

ラインに並ぶが、遅刻にもかかわらず豪雨のためか3番目だった。まず、車体番号、エンジン番号、灯火類、クラクション等の検査があるが、今回はパワーウインドー4箇所の検査があり、最低運転席のパワーウインドーが動作しないと事故時に脱出できないということで不合格になるらしい。

それと後席シートベルトのチェックもあった。2008年からは一般道で高速でも後席シートベルトは着用義務になったことで、チェックされるようである。

それと、前回書いたが、キーONですべての警告灯が点灯し、エンジンONで消えないと不合格となる。不調の機器のランプやヒューズを抜くだけでは不合格になる。

ラインに入ると、目指すテスターのローラーは随分奥にあった。というのは、現在のスーパーマルチテスターは、一度ローラーに4輪を乗せると、スピードメーター、ヘッドライト、ブレーキ、パーキングブレーキ等をその位置で検査できるからだ。サイドスリップもローラーに乗せる段階で検査スミらしい。

このため、ローラーまでの距離が長くなるが、そこで番号や灯火類の検査をするので雨の日でも検査員が濡れないのだろう。ただし、ホイールベースが3m超とか左右ホイールベースが異なる車(後輪サスの左右のトーションバーが前後に横置きの仏車とか)は、このラインでは検査できないので、その注意書きが支所に掲示してあったのである。

次にピット検査だが、検査指示板の下に、ピットでの検査様子がディスプレーに表示されるようになっていた。退屈しのぎなのか、あるいは作業中にドライバーが車を動かさないようにするためか。個人的には係員にホコリがかからない程度床下は洗っておくのが礼儀だと思ってそうしている。

最後に排気ガス検査だが、これはいつもと同じでだった。

継続検査申請書にハンコを貰い支局に提出する。スーパーマルチテスターのせいか、検査員の表情には何かしら余裕が感じられたが、単に豪雨で客が少ないせいかも知れない。

受付後何分で車検証とシールが出てくるか測ったが、何と約3分であった。支局の人間も、客が少ないせいかサービスが良かった。なお、受付の上にはコロナ対策のビニールシートがはられてあった。

以前も書いたように、車検自体は1300円+400円=1700円とコスパは非常に高い。混み合う日本の交通事情で重要なポイントの多くは網羅されており、最近の事故解析に基づく検査の高度化も図られている。書類の記入箇所は年々減っているし、事務処理も敏速だ。

日本の車検は厳しく、思った通りのカスタム化ができないという批判があることは確かだ。しかし、厳しいといいつつ抜け穴が多いのも事実である。

例えば車両のサイズをとってみても、例えばネジ止めで脱着可能なものは、糊で貼ったものなどはOkである。キャンピングカーなら、例えばはしごや荷台が後ろにはみ出していてもネジで脱着可能ならお咎め無しである。バンパーもライダーと称する突起物は許可される。保安基準に書いてなければ許されるということも確かだ。

それと、厳しい規則も、それが施行される前に作られた車には適応されない。例えばもともと触媒のついていない車なら排気ガスの基準は甘いし、 1985年より古いバイクにはそもそも騒音規制が無い。

以前支局で見かけたバイクは、ウインカーやヘッドライトとその配線は車検のために即席でつけられたものが適当にぶら下がっていたし、排気音もバリバリうるさかったが、なんと合格していた。

今日は、床下から向こうの景色が見えるくらいものすごい車高長の古い4WDが来ていたが、これもおそらく合格するのだろう。

しかし、車検自体の費用や自賠責と比べても、そもそも時限立法であった重量税が残っていることが腹立たしい。中でも、13年を経過すると軽自動車は20%、乗用車は39%の増税となり、18年が経過すると33%の増税となる。

少なくともガソリン車については、技術的には昭和53年排出ガス規制で完成し、平成元年排出ガス規制で10・15モードが策定後は基本的に変化していない。さらに車検時にCOおよびHC検査が行われているために排気の品質については十分担保されているはずだ。

衝突安全基準も少なくともフルラップについては継続生産車を含め1996年までに対策されている。もちろんオフセット衝突には十分では無いかも知れないが、おそらく統計的にはドライバーに恵まれてか長年大事にされて生きてきた車は簡単に事故らない可能性が高いのではなかろうか。

とすれば、高い重量税は、古くてとんでも無い車でさえ車検を通すかわりの免罪符の料金なのかも知れない。ちょうど、タバコの税金と似たようなものか。

というわけで、毎度重量税の話で終わるが、とりあえず車検が終わりシールを貼るとごきげんになる。車検も世相を反映してか、毎回いろいろと変化があり、それなりに楽しめる。

今日は予約の時間に遅刻し、書類を提出したのは9時20分すぎだったが、車検証とシールを貰ったは10時前だった。ある意味、無改造で整備状況が良ければ、ディーラーに車検に出すよりトータルの時間が短いとも言える。

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キャンピングカー太陽光本位制のナゾその2(無駄に電気を食うバッテリースタビライザー編)

先の、

キャンピングカー太陽光本位制のナゾ

でも触れたが、この手のキャンピングカーには未○舎製のバッテリープロテクターなる代物がついている。バッテリーが消耗して10.5V付近になると負荷をシャットオフし、充電不足から起こるサルフェーション等の不可逆的変化からバッテリーを保護する働きである。

通常はプロテクターからメインスイッチが出ており、大電流の流れるインバーター以外の照明やシガーソケットなどの12V負荷をオンオフするようになっている。

ウェブマスターのJB470の電気回路は後期型であり、負荷はバッテリープロテクターではなく、そこから駆動されるリレーに接続されている。前期型はプロテクター内部の容量30Aのリレーから直接12V負荷につながっていたが、後期型では30Aを超える負荷に対応するために別途大容量リレーが使われている。その眺めは、

のようである。取説によると、左側から2つの端子間にメインスイッチをつなぐ。左側から4番目の端子はGNDである。一番右側には12Vバッテリー+をつなぎ、そこからジャンパーで左側から3番めの端子に繋ぐ。一番右側の端子から12Vがリレーを介して右側から2番目の端子に出力され、そこに12V負荷を繋ぐことになっている。

回路を解析すると、1番右側のバッテリー+端子からジャンパーが飛んでいる左から3番目の端子から電圧監視回路に入り、そこからメインスイッチが繋がっている。

しかし写真ではそうなっていない。まず左側から2つのスイッチ端子は短絡されている。一方、スイッチは一番右側の端子と、左から3番目の端子を結ぶジャンパーの代わりにつないである。なぜだろうか?

ある時、Webmasterは夕方にバッテリー電圧が13.2Vであることをチェックしてメインスイッチを切った。しかし翌早朝にはバッテリーは13.0Vまで下がっていた。バッテリーからは直接インバーターにつながっているが、そのスイッチをオフにすると完全に切れる。他には、ソーラーコントローラーがつながっているが、消費はわずか数mAであった。ではどこが電気を食っているのか?

正解を書くと、このアホなバッテリープロテクターはメインスイッチを切ってもバッテリーからジャンバーを介して左側から3番目の端子からの電圧監視回路が働いていて常時50mAを無駄に食っているのだ。これは太陽が登るとすぐに充電されて無駄な消費が露呈しなかったが、早朝に限り消費が見えたのである。

そこで、Webmasterはメインスイッチをバッテリーと電圧監視回路の間に変更した。これで、夕方チェックしたバッテリー電圧が翌早朝に下がっているというアホなことはなくなった。

まあ、この製品は回路的にはバイポーラーICのコンパレーターでリレーを駆動するという昭和のものである。Webmasterは2000円プラスで買えるALL Powers社製ソーラーコントローラーを使っているが、これがあればバッテリープロテクターはそもそも不要である。

ソーラーコントローラーには太陽光パネル、バッテリー、電圧監視下出力の3端子がある。電圧監視下出力からスイッチを経てリレーコイルに通電し、バッテリーからリレーを介して12V負荷につながるようにすればよい。実際には適宜ヒューズを入れる必要はあるだろう。

ソーラーコントローラーには充電終期電圧設定、日時で負荷の自動オンオフ、バッテリー電圧低下保護等のいろいろな機能があるうえ、液晶表示で動作がわかりやすく、細かい設定も可能の上、無駄な電気を食わないという令和時代の設計である。

この昭和設計のままの未来○社製コントローラーは未だ多くのキャンピングカーで採用されているが、それがメインスイッチがオフでも無駄な電流を食っている。

もしキャンピングカーをお持ちなら、ぜひ配線を変えて貴重な電力を節約していただきたい。

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今頃になってやってみたグランツーリスモ6のナゾ(コントローラーのガタ改善編)

ある時、職場近くのブックオフに行ってみたところ、ドライビングコントローラーを1250円で売っていた。状態は良く殆ど使われていなかったようだ。GT-Forceというグランツーリスモ(GT)3以来の古い型であるが、グランツーリスモ6でも使えるようだ。

かつてGT4prologueバンドルのPS2とコントローラーのセットを入手した記憶があり、このときには教習所コースをクリアするのに相当手こずった。その理由は、ステアリング操作系にかなりのガタがあったせいだが、それを改善してやっと卒業できた。まあゲームなのでリアリティーは高く無いが、有名コースのレイアウトを覚えたことが収穫だった。ステアリングとゲームとPS2はほぼ入手金額で処分できた。

ゲーム体験が実際の運転に役に立った自覚はあまりなかったが、最近図体がでかく動きが鈍いキャンピングカーの運転で、無理の無いラインを一定の舵角で前後左右の荷重移動が少なくなるように運転すると挙動が安定するなど、それなりの効果は自覚できた。一方、プリウスではコーナリング性能に余裕があるので雑な運転になりがちである。

最新版はPS4で走るGT7だが、PS4はまだ高価である。ヤフオクを調べると、GT6バンドルのPS3が8500円前後で複数出品されており、GT-ForceもGT6対応を確認できたので入札、落札した。コントローラーを含め一式1万円以下で揃ったのはラッキーである

GT6にもGT4prologue同様に教習所があったが、なぜかGT6の方が遥かにやさしかった。しかし実戦シーンではコントロールがGT4より過敏で、ステアリングのガタもありうまく操縦できない。ステアリングの軸も上下左右にガタがあるし、ステアリングと回転センサー間にもガタがある。さらに、フィードバック系の動作にもガタがある。

そこでGT4prologueの時と同様の改造を加えて改善することができたので紹介したい。

GT-Forceの分解だが、下面のネジ4個はずす。ねじ穴は一見7個あるように見えるがネジは4個のみである。次に上面中央のカバーをはずし、ネジ2個をはずすと筐体を上下に分割できる。

ステアリング軸の先端には赤いボリュームの軸がついている。ボリュームのケースから下に棒が伸びていて、その先が筐体下面の隙間に収まり固定されているがその固定にガタがあるので、ボンドで固定する。

フィードバックモーターのガタは、モーターの固定にわずかに角度をつけることで少し減ったがことはできたが、ギアトレーン自体に盛大なガタがあるのであまり改善しなかった

ステアリング軸自体の上下左右のガタは軸と筐体の間にフェルトをはさんで固定することで解決できた。

なおブレーキも軽すぎて調節が難しいので、ブレーキペダルの下にスポンジを挟んで重くした。これらの改造で実車とのリアリティーの差が若干縮まり、無事国内A級まで進むことができた。

問題は、ミッドシップ車のみが参加できるレースだが、ミッドシップは高価で高性能な車が多く、一番安価な初代MR2ではまったく歯が立たなかった。まあAiドライバーに操縦させてポイントを溜める方法もあるが、そうはしたくない。

そこで気付いたのは、このゲームでは車をいくらぶつけてもペナルティーが無いということだ。また、性能が高く先行する上位の車に一番接近できるのは、ヘアピンコーナーで全制動をかける瞬間である。

そこでインチキだが、先行する車がブレーキをかけてヘアピンに入って荷重が前方に移動した瞬間に、こちらはブレーキを遅らせて、先行車のアウト側のリアにヒットすると、先行車がスピンモードに入り大きく遅れる一方、こちはブレーキで前輪に荷重がかかっているのでスピンせず、またヒットで速度が落ちるので、ブレーキを遅らせた分を取り戻せるとともに先行者を楽に追い越しできる

そうして上位グループに近づければ、再度先行車にヒットすることで、場合によっては一挙に数台をスピンモードに追い込むことができる。そうすれば上位に入賞できるので、そのポイントでMR2を極限まで強化できた。

まあゲームなので、ポイントが貯れば初代MR2でも実際にはあり得ないほど極限まで強化できるが、なぜか車両重量はあまり増えないので、無敵に近いMR2が出来上がるというわけである。

実際には極限まで馬力強化した初代MR2なんて危険な操縦性になるハズだが、そこはゲームなので操縦性は鈍い初代MR2のままで、ものすごく戦闘力の高いクルマになるのだ。実際のMR2が危ないのは、もともと乗り心地のためにコンプライアンスが大きくホイールの位置決めが甘いFFのドライブトレーンをリアに持ってきたためである。

通常のFFではフロントのアウト側ホイールがトーアウトになってもアンダーステアになるだけで危なくないが、リアのアウト側ホイールがトーアウトになるとスピンモードに入り危ない。

コントローラーが2ペダルなので左右の足でアクセルとブレーキを両方操作するが、ゲームではなぜかブレーキをかなり強く踏みながらでもアクセルを踏めばかなり強力に加速するという不思議な設定である。そこでトリッキーな複合コーナーではブレーキを軽く踏みながらアクセルで調節することができる。実際にこういう操作を多用すればすぐにブレーキもフェードするしタイヤもタレてしまうだろう。

ブレーキ自体もあり得ないほど強力でしかも絶対にフェードしないので、おそらく多くの場合はツーペダルのAT設定のほうがスリーペダルのMT設定より早く走れるのでは無いだろうか。

最近のパワーのある車(例えばスイフトスポーツ)などは、サーキットでプロが運転してもMTよりATの方が早いことが多いようである。ATのほうがトラクションが穏やかにかかるのでホイールスピンしにくく、またコーナリング中にブレーキを軽くかけながらアクセルを踏むことでインのホイールスピンを防ぐリミテッドスリップ的な効果をもたせることができる。

ATのハンディーはエンジンブレーキが弱くブレーキの負担がかかることだが、ゲームではブレーキは基本的にフェードしないのであまり問題にならない。あとはクラッチの断続でリアを故意にドリフトに持ち込めないことだが、これもフェイントをかければドリフトに持ち込むこともできなくも無い。

というわけで、やればやるほど実際にのドライブとは異なる部分が目につくが、やはりライン取りの勉強になるのが一番だろうか。そして、天候を土砂降りに設定すれば雪上レースのように滑って楽しめる。WebmasterもKP-61やSA22Cに乗っていたころ、雪が積もるとするとすかさずドリフトの練習に出かけていた事を思い出した。雪上ではいくらドリフトを楽しんでもタイヤがあまり減らないから財布にやさしいのある。

というわけで、どんなに進化しても実車とは程遠いゲームではあるが、個人的には土砂降りモードが一番楽しめて勉強になると思う

最近はアドレスV125で通勤することが多くなりプリウスに乗る機会が激減している。そこで、現行のGT7が少し古くなったころに入手して楽しみたいと思っている。

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キャンピングカー太陽光本位制のナゾ

Webmasterはキャンピングカー購入が構想段階だったころに900w級発電機を3台入手し、また消音ボックスを作成していた。それはキャンピングカーの厳しい電力事情を考えてのことである。

しかしラッキーな事に、中古で入手したJB470には太陽光パネル200Wが設置されていが、これがキャンピングカーの電力事情を一変させたと言っても過言ではない。

事実として、JB470を購入してもうすぐ1年半になるが、キャンピングカーを一度も外部のAC100Vや発電機に接続したことがない。というのは、常にサブバッテリーが満タン状態だからだ。

図は現時点でのキャンピングカーの電力事情である。図ではヒューズやスイッチは省略されている。

1)まずはバッテリーとインバーターの配線やり直し

納車時にはサブバッテリー(105Ah)が2台搭載されていたが、配線は古典的で、バッテリーはセレクター(A,B,BOTH)に長い配線を介して接続されていた。このため、700Wの電子レンジや350Wのミニエアコンを駆動すると電圧降下が激しく、すぐにインバーターの下限電圧10.5Vを切って停止しまっていた。

例えば従来型電子レンジ700Wは作動時に1400W消費するので、インバーターに行く12V配線には120Aというセルモータ並の電流が流れるのである。

そこで、マルチルームにあった2台めのサブバッテリーを1代目のサブバッテリーの上に2階建てで設置し、電線を引き直して2つの電池とインバーターを交互に太く短い配線で接続しなおした。バッテリーとインバーターが密に結合し、これに従来の配線に加わる形である。これにより、ミニエアコンは2時間程度、電子レンジは30分ほどの連続駆動が可能となった。その間も天気が良ければ太陽光から最大200wの電力が供給される。

2)次は電気式温水ヒーターとシャワー

マルチルームから2つ目ののサブバッテリーを追放したことにより、マルチルームにスペースができた。ここにはポータブルトイレ(使い捨て式)と温水を貯めるクールボックスを置いていたが、ポータブルトイレの使用頻度が低いため、普段は運転席上のバンクベッド部分に収納している。

クールボックスに水をためて、ソーラーパネルからコントローラに向かう配線にシガーソケットを設置し、これに45度のサーモスタットを装備した電気ヒーター120Wを沈めてある。これにより、晴天時は3時間ほどで電動式温水シャワーに十分な湯が湧く仕組みである。冬季で曇天の場合は温度が不足するので、コントローラーの出力側のシガーソケットに接続する。

電動シャワーは出力側のシガーソケットに接続する。マルチルームは塗装とコーキングで完全防水仕様にし、そこから廃液は床下の廃液タンクに貯まるようになっている。

3)昔と逆で、太陽光本位制ではサブバッテリーが主役でメインバッテリーが従

写真はJB470を上から見たところで、パネルと2箇所のサンルーフが見える。サブバッテリーは太陽光で常に満充電に保たれる。巷ではデルコのディーブサイクルバッテリーは高い充電電圧が必要という説があるが、ソーラーコントローラーを最高充電電圧13.9vと設定しているが、充電後わずかでも電流を使うと13.2Vに低下するところを見ると、これは都市伝説なのかも知れない。あるいは、ALL POWERS社製のソーラーコントローラが賢いのかも知れない。

キャンピングカーのトラックはディーゼルエンジンなので、始動時以外は電力消費が少ない。問題は設計が非常にプアなナビで、これが数十mA程度の待機電力を食っている。さらにACCでラジオを聞くだけで50W近い電流を食っている。このため、説明書ではキーをACC状態でラジオを聞くなと書いてあるくらいだが、これって設計の前提が完全に間違っていると言わざるを得ない。

エンジンが動いている間はオルタネーターからアイソレーターを介してサブバッテリに充電される仕掛けだが、実際にはサブバッテリ太陽光によって常に満充電なので、この系は事実上動いていない

しかし、長時間停車するとナビが電流を食うために、エンジンの始動不良になる可能性がある。そこで、サブバッテリーからメインバッテリを充電する回路を加えた。これにより、ナビが電流を食ってもメインバッテリーがほぼ満充電に保たれるため、始動時のセルの回り具合は常に良好である。

この件については、また別の機会で紹介したいと思う。

4)バッテリープロテクターの配線を変更する

サブバッテリーの電圧はボタンを押すと液晶に表示されるようにしているが、前の夕方に満充電だったのに、翌日朝には電圧が僅かに下がっていることに気づいた。

回路図上はバッテリープロテクターのメインスイッチを切ればサブバッテリーからは電流を消費するものは無いはずなのに変である。

そこでバッテリープロテクターの回路を調べたところ、メインスイッチがオフであっても常時バッテリー電圧をチェックするように配線されていて、その回路が50mAほど消費していることに気づいた。

そこで、バッテリープロテクターの接続板の配線を変えて、メインスイッチがオフの状態では電力が消費されないようにした。これについては、別のトピックで紹介する予定である。

太陽光パネルの定格は200Wだが、本当に200W発電できるのは気温が低い晴天の日だけである。しかし朝6時から夕7時まで曇天や雨の日でも、わずかなら確実に発電しており、一日の発電量は平均で300ないし400Wh程度になる。

このため、昼間に19型テレビにパソコン、換気ファン等をつけているが、JB470には天窓が2箇所あり室内の照明をつけることが殆ど無いこともあって、曇天でもバッテリー残量は80%以上で保たれている。日中に通常の生活をしても、夕方の時点で十分なバッテリー残量があり、就寝時までバッテリー残量が60%を切ることは殆どない。

電力を食ううものの代表は電子レンジだが、長時間使うことが無いので残量にはあまり関係しない。問題はミニエアコンで、2時間程度使用すると、バッテリー残量が50%になってしまう。

夏季のみサブバッテリーを3台(合計315Ah)とすることも考えられるが、ミニエアコンの冷房能力が低いこともあって、キャンピングカー冷房の実用性については依然として問題が残っている

近い将来にはリチウム電池が安価となり500Ah程度の容量+太陽光パネル500W程度を積めば冷房の実用性は改善すると思われるが、そもそもキャンピングカーのエアコンが必要化は意見の分かれるところであろう。実際に高地であるとか、海岸に近いところではエアコンがなくても過ごせないこともない。今の所、安価な冷風扇がかなり効果的なわりに電気消費も少ないので、ミニエアコン無しで過ごせるか試しているところである。

5)旧式ながら3wayのガス+電動コンプレッサーの冷蔵庫は実用性が高い

冷蔵庫は3way(走行時12V、外部100Vとガス)+12V電動コンプレッサーの4wayである。通常は、まず電動コンプレッサーを10分ほど稼働して室内を冷やした後はカセットガス駆動で維持することが多い。ガス使用時の冷蔵能力は電動コンプレッサーより弱いが、貴重な電力を殆ど消費せずに長時間使用でき、しかもほぼ無音である。

走行中はオルタネーターから12V駆動できる設計になっているが、能力が相当低い。ガスは走行中は使用できないと取説に書いてあるが、高速走行しなければガスが消えることは無いようである。ガスの火が消える状況になると、それを検知してイグナイター動作し始めパチパチ音を出すので、運転席で走行中も冷蔵庫の作動状況は把握できる。なお、ガスの炎は冷蔵庫内のガラス窓から確認できるようになっている。

カセットガスは2本装備できるが、弱の設定なら1本でまる1日駆動できる。ガスは100円ショップにもあるのでコストは非常に安い。RVパークなどで外部電源が使えれば冷蔵庫にも使えるが、冷蔵庫をガスで駆動すれば特に外部電源につなぐ必要も無い。

太陽光本位性時代のキャンピングカーでは日中は潤沢に電力が使えるので、テレビを見ながらモバイルルーターを持ち込んでパソコンでテレワークが可能である。必要があれば、スマホからテレビにキャストして拡大表示も可能だ。しかも、ガスで冷蔵庫を維持し、お湯も沸かしてコーヒーも飲めるし、温水シャワーも使える。キャンピングカーでのテレワークはオフィスより快適かも知れない。

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JB470の運動神経改善のナゾ(過給圧コントロールをいじる編)

JB470のエンジンは4D56ディーゼルターボ2.5Lターボ1997年式でインタークーラーは装備していない。スペックは62kW (84PS) /4200rpm 201Nm /2000rpmで、2.5Lのノンターボ版が55kW (74PS) /4200rpm 142Nm /2500rpmであることから、ターボは馬力より中低速トルク強化を狙ったものである。

JB470の最高速度は120km/h程度、最適高速巡航速度は90km/hというところで4%の坂も60km/h以上で登れる。車両総重量(6名)2.5トンに対しトルクが201Nmなので、例えば軽自動車スズキアルト(車両総重量850kg、トルクが63Nm)よりトルク荷重が低く、日常使用で特に性能には不満が無い。

4D56は1972年からの4G5系ガソリンのアストロンシリーズの一員で、丈夫(旧式とも言う)な鋳鉄ブロックを利してディーゼルとしたもので、パジェロやデリカで繁用され、現在でも世界的にはコモンレール仕様が生産されている。

これよりわずかに小さい1979年からの4G6系ガソリンのシリウスシリーズも丈夫な(旧式とも言う)鋳鉄ブロックを利した高出力ターボ仕様が歴代ランエボに搭載され、現在でもこのシリーズは世界中で生産されている。

4D56にはインタークーラー可変ノズルターボ仕様131kW (178PS) /4000rpm 400N?m/2000rpmがあることから、JB470の84PSには相当な余裕があると考えられる。そこで、最高出力やトルクはそのままで、中低速での過渡的な性能のみを強化するのが今回の目論見だ。

そのためにはまず過給圧を解析する必要がある。Webmasterの手元にバキューム計はあるがブースト計が無いので、ネットで一番安いDragonGageのものを入手した。着いたものは内部照明のムギ球が断線していた。とすれば精度も不安だが、手元の血圧計で250mmHgを発生させたところ0.3気圧付近を示したので、10%程度の誤差のようである。内部を見た所、ブルトン管だけはしっかりした作りだった。

4D56では、過給圧で燃料をリッチにするブーストコントローラーへの配管がアクセスしやすいカムカバー前端にあったので、つないで過給圧の過渡的な変化を観察してみた。

中低速では+0.5程度のブーストで、高回転では0.85、針の勢いで0.9を示すこともあった。持続して+0.85を超えないので、ウェイストゲートが+0.85付近で開くのだろうか。

そこで、ウェイストゲートアクチュエーターへの配管を抜いてみたが、勢いで0.9まで行くものの持続的にはやはり0.85を超えない。とすると、リリーフバルブが開くのかと思ったが、このエンジンにはそもそもリリーフバルブが無い。どうやら、ブーコンによる燃料増量がこのあたりで頭打ちになることで過給圧も同様に頭打ちになるようだ。

ハイチューンエンジンではピーク性能付近で燃料がリーンとなるとエンジン損傷につながり危険だが、このエンジンはチューンが軽く燃料制御で十分との判断かも知れない。なお、4D56のハイチューン版にはちゃんとしたリリーフバルブが装備されている。

今回の目論見は、最高出力はそのままで、過渡的に過給圧が上がりやすくすることで中低速のアクセルのレスポンスを良くすることである。そのために、ウェイスゲートに行くブースト配管に空気室もしくはオリフィスを仕込むことが考えられる。

ウェイストゲートは過給圧がダイヤフラムを動かして開くので、特定の過給圧に達しして突然ゲートが開くわけではない。その前から過給圧の上昇に比例してアナログ的にゲート開度が大きくなるので、その開き始めをコンマ数秒遅くすることでレスポンスを稼ぐのが目的だ。量産車でも過給圧の過渡的なタイミング調整のためにオリフィスを仕込んでいる例は多い。

いろいろ試した結果、内径1mmのチューブで長さ7mmのtチューブをオリフィスとして仕込んだ(写真緑色)シリコンチューブをアクチュエーターへの配管に挿入した。結果、市街地での発進と、オートマの変速タイミング、またアクセルオンオフのレスポンスが早くなり、鈍重なキャンピングカーが少し身軽になった印象になった。

当然ながら長い坂道のような持続的な負荷では最大過給圧は変わらないので馬力も変わらないが、22年たったエンジンなので無理は禁物である。以前のメルセデス190Eと同様に、オイルやATF、クーラント等を頻繁に交換することで良い状態を維持する作戦で、オイルは指定の10W-30に対して堅めの10W-40を使っている。

というわけで、古いJB470ながら装備もエンジンレスポンスも最新のモデルに劣らないレベルになったと個人的には思っている。あとはこのクルマを何年良い状態に維持できるかだが、Webmasterの老化速度を考えれば、あと数年維持できれば十分と考える今日この頃である。

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NC700Sの新しい靴のナゾ(ライン装着年代物BT-023からRMC810へ編)

昨年JB470の車検を取った時に、そろそろタイヤを交換しなければと思ったのだが、良く考えてみたら2012年式のNC700Sのタイヤの方がさらに古いことに気付いた。

アドレスV125が重用されることもあって、可愛そうなNCは未だ走行1万kmに達していない。オーナーはツーリングはあまりせずに、気まぐれに8の字とスラロームの練習に短時間連れ出すだけなので、タイヤがいっこうに減っていない。一応サイドウォールの老化防止にワセリンを塗っておいたのでひび割れ等は見当たらないが、さすがに経年で硬化しているに違いない。

そのため、グリップが低下している雰囲気→こけるかも→乗るのが億劫→そろそろ交換か→チラシで値段を確認→近い内に変えるか→(前に戻る)、という悪循環なセンチメントが続いて出番が減っていた。これを打破するにはタイヤの交換が必要だ。もともと大型は生活に必須な存在ではない上に車検や保険代や税金とか結構コストも食っているから、タイヤにお布施して少しは楽しんで元をとらなければ損である。

さて、ライン装着のBATTLAX BT-023は、当時最先端の三分割トレッド(中央が固くサイドが柔らかい)とシリカ配合を採用したラジアルで、最初こそグリップの進歩に驚いたもののすぐ慣れてしまった。

当初BATTLAXブランドは四輪で言えばアドバンやポテンツァのような高性能モデルだけだったが、今やバトルしない未舗装路対応タイヤにも広がり、その中でBT-023はスポーツツーリングという位置付けだ。そして、二輪四輪をとわず、パフォーマンスブランドでもライン装着品はリプレース品より耐摩耗性を念頭にチューンされているのである。

新しいタイヤはIRCのRMC810という最新モデルで、コンサバなバイアスが多いIRCでは現時点で唯一のオンロードラジアルである。チョイスの理由は日本製で値段が安目だったことと、後輪のグルーブが深いまま真ん中まで伸びていて、ウェット性能が良さそうに見えたからだ。BT-023はグルーブが中央に向かうにつれて浅くなって真ん中まで伸びていないせいか、ウェット性能がいまひとつだった。

Webmasterは、二輪四輪でもドライでのグリップと見栄え重視のため排水性が悪くウェット性能が劣るタイヤが多い、と疑っている。

メーカーはカーブで深くリーンした状態でのトレッド外側の排水性を重視していたが、実際の市街地走行ではさほどリーンしないのでトレッド中央付近の排水性が重要である。例えば信号停止時にペイントや鉄板に乗った時に中央付近の排水性が悪いと転倒する可能性がある。ビジネス用バイクのタイヤでは当たり前の中央付近の排水性がスポーツバイクで軽視されてきた歴史がある。

先にアドレスV125用に採用した、

IRC mb3は、D306と比べてウェットグリップが格段に良く、雨の日のペイントや鉄板でも滑りにくく安心である。今回IRCを選んだ理由の一つはMB3のウェット性能が良かったからでもある。

グリップ一辺倒だった各メーカーもこの点をやっと悟ったようで(遅いんだよ)、突然ウェット性能を重視するようになった。ドライならブレークはある程度予期できて立て直せる可能性があるが、ウェットで滑った場合はロッシでも対応はできないだろう。だからこそレースでもレインタイヤは、

みたいに未だ旧態依然とした溝だらけなのである。しかし、やっとのことで二輪タイヤ業界も風向きが変わった。

例えば最新ツーリングモデルのBATTLAX SPORT TOURING T31の宣伝では最初に、突然の雨、みるみる変わる路面状況でも安心感を持って走行できる。SPORT TOURING T31は、ウェット性能を大幅に向上させた。特にウェット路面における制動距離短縮とコーナリング時のグリップ向上はライダーに安心感をもたらす。とか言っている。

最新スポーツモデルのBATTLAX HYPERSPORT S22でも、走った後の、急な雨。そんなシーンでも安心感をもって帰れるこのタイヤは、心強い相棒だ。とか言っている。

ダンロップの最新モデルロードスマートIVも、高WETグリップとロングライフを両立させると共に、摩耗によるグリップ低下を抑制。グリップ性能が続く。が最初に来ている。

ミシェランの最新モデルROAD5も、MICHELIN 2CT / 2CT+テクノロジーと最新のコンパウンド、更にサイプデザインの採用により、ドライ性能を妥協することなく、優れたウェットグリップを発揮と、これもウェット性能が筆頭にある。

RMC810の売りの一つはウェット性能で、スポーティーで太目なワイドグルーブのパターンと、センターからショルダーまで変化の少ないネガ比(トレッド面における溝の比率)を採用することで、コーナリングの最中でも直進時と同等の高い排水性能を確保したと宣伝文句は似たようなものだ。

最近は、トレッドもサイドウォールも丸くすることで直進性や乗り心地を改善し、深いグルーブを真ん中付近まで伸ばして排水性が良くし、グルーブの立体形状を工夫して偏摩耗をおさえ、さらにシリカを配合してコールド性能やウェット性能を改善する、というのがメーカーで流行である。

ブリジストンの旧モデルBATTLAX TS100では、通勤・通学、買い物などの街乗りからツーリングまで幅広い用途に対応、もちろんワインディングを安全に楽しめるグリップ力をも備えている。とグリップを強調していた。

ダンロップの旧モデルロードスマート2では、コンパウンドが効果的に機能してタイヤ摩耗末期まで安定したグリップ性能を発揮!と、これもグリップを強調していた。

ミシェランの旧モデルPILOT ROAD2も、デュアル・コンパウンド・テクノロジー(MICHELIN 2CT)の採用により耐摩耗性能とグリップ性能を両立だった。

これは、この頃に各メーカーで中央が硬めでサイドが柔らかめのトレッドでグリップと耐摩耗性を両立できるようになったからだろう。しかし、パターンはツーリングモデルでもパフォーマンスモデル風でグルーブが少なく、ウェット性能がなおざりにされていたように思う。最近はグリップ性能では差別化できなくなって、やっとのことで悪化する市街地の道路状況でのウェット性能が重要視されるようになったのだろう。

その間、ウェット性能が劣るタイヤで、多くのライダーが市街地での転倒による怪我やバイクの損傷で相当な被害を強いられてきたのでは無いか。

さてRMC810について店員は、”ツーリングモデルで寿命も長いですが、一昔前のスポーツタイヤに近いグリップもあります”、とか言うが、本当だろうか。そこで、ロートルなWebmasterのしょぼい腕で、低速8の字とスラロームでステップを擦るまで削ってみた結果が写真である。NCにはバンパーがあるので少々こかしても損害が無いのが心強い。

BT-023はトレッド硬化のせいかグリップの端のかすった所が幅広く光っているが、RMC810ではグリップの端は狭く鈍い色をしている。低速と技量の問題で端まで使いきっていないが、プロファイルが三角形に近いBT-023が端まで接地しやすいのに対し、丸いRM810はある程度横Gをかけないと端まで接地しにくいようである。シリカの配合が増えたせいか、最近のタイヤはあまり黒くなく灰色っぽい。

いずれにせよ、あらゆる点で8年落ちのタイヤよりは安全なことは間違いない。といわけで珍しくショートツーリングに連れ出したところ雨に降られたが、ウェットグリップには全く不安を感じなかった。これが新しいタイヤの一番のメリットだろう。

久しぶり高速に連れ出してみたところ、ETCカードが期限切れでゲートで止められてしまった。このETCは四輪用と違ってゲートで止められてLEDが点滅するまで期限切れとは教えてくれないのである。どれだけ長い間ツーリングしていなかったが明らかである。

気を取り直して走り出すと、直進性は良いが倒し込みが重くやや抵抗しすぐ立ち上がろうとする。プロファイルが三角形から丸形になったかも知れないが、タイヤは練り物で勝手に削れていくから、そのうちにいいところに落ち着くのだろう。このあたり、ネットでプロライダーの試乗記事を読んだが、相変わらず肝心なことは書いてなく、エクスパートであられるアマチュアユーザーの記載には似たような指摘があった。

というわけで、新しい靴を履いたし気温も上がってきたので走行距離が伸びる予感のするNCの今日この頃である。

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JB470の車高調整のナゾ(なるべくクルマを水平に近づけたい編)

JB470は快調だが、以前から前下がりの姿勢が気になっていた。

もともとJB470はデリカトラックがベースなので、最大積載量で水平になるとすれば、それより荷物が軽ければ姿勢は前下がりのはずである。重量については、

キャンピングカーの鑑札更新のナゾ(準備がたいへん編)

に書いたように、約1.3トンの車体に最大乗員6名(一人55kgx6+α)を含めて約1.2トンの荷物を乗せる計算である。従って乗員1名乗車では最大積載量より55kgx5名=275kg軽いことになる。

ただし、車検証の数字は燃料満タンながらスペアタイヤと工具類は含まない勘定なので、それらに水タンクを加えると、実際には最大重量まで200kg程度しか余裕は無いことになる。1.2トンの荷重のうち8割方は既に乗っているとすれば、わずかに前下がりの姿勢でいいことになる

話は単純でなく、トラックでは乗用車と異なり過載が前提で設計されているという。例えば10トンダンプで荷台の壁の高さまで土砂を積むとちょうど10トンになるように設計されているが、殆どのトラックはそれ以上積んでいる。

産業廃棄物運搬用と称したトラックでは壁が高い荷台いっぱいに重量物を積んでいて、噂によれば国産大型トラックは50-100%、小型トラックでも20-50%の過載を考慮して設計されているとの話がある。

走行中のトラックの火災の原因の多くがエンジン過熱だが、ハブベアリング過熱も多いという。なお、ハブベアリング過熱からの出火事故は車両の経過年数とは関係が無く、過載がその原因の一つとも言われている。ということで、やはり現状ではJB470をわずかに前下がり姿勢に持っていくのがよいだろう。

デリカトラックの前輪サスのスプリングは、ダブルウィッシュボーンの上側のリンクに直結したトーションバーであり、その後端が車両中央付近でラダーフレームに前輪荷重を伝えている。これはデリカに限らず、ボンゴもハイエースもカムロードなど多くの商用車が前輪サスがトーションバー式になっており、トーションバー後端を車体に固定する部分の調節で車高を調節できる。というわけで、今回JB470の前側の車高を少し上げることにした。

おそらく新車から調節されたことが無く、22年間のヘタリで3cmほど前車高が下がっていると想像した。トーションバー後端のリンク長と、前サスのタイヤまでの長さの比は約4.5と推定した。ということは、トーションリンク後端を約8mm締めると、前の車高が4cm弱上がり、違和感が減るという目論見である。

実際の手順だが、まず前輪中央でのタイヤハウス外端の高さを測った。次に、トーションバー後端のネジ部の長さを図り記録した。調節の前日にCRCをまんべんなくスプレーし、一晩おいて調節することとした。

まず左前輪に純正ジャッキをかけ、さらにフレームにもう1基ジャッキをかけ、前輪右側に車止めをかけ、車体に潜りリンクを8mm締めた。これで左前輪の車高が4cm上がったので、左側も同様にリンクを8mm締めた。両方締めるとさらに車高が上がるかと思ったが、そうならなかった理由は良くわからない。

ともあれ、手直し後の写真を見ると、予定した通りほぼ水平でわずかに前傾した姿勢になっている。テーブルで試すとパチンコ玉は転がるが電池はころがり難いところで、寝っ転がってテレビを見ても違和感な消失して快適になった。

さて、車高が4cm上がるとまた、運転席からの視界がさらに良くなり運転しやすくなった印象だが、乗る時はよっこらしょという感じである。

乗り心地につていは設計よりバンプストロークが短くなっていて時にバンプラバーに接触していたのが無くなり、格段に良くなった。サスのランチョRS9000XLダンパーの設定は4と一番堅いところから一段下げたところだが、バンプストロークが拡大したことでダンピング力が増して好まし乗り心地になっている。

というわけで、車高は予期した通りとなり、さらに快適なキャンピングカーとなった。もし前輪トーションバーのサスで長年経過したクルマをお持ちの方は、車高をチェックされることをお勧めするところである。

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TCサーバー不調のナゾ(ゲートは徐行しましょう編)

休みの日に身辺整理をしていたら、面白い領収書がでてきた。通常はなかなか拝めない代物だ。

それは2年ほど前のものだが、

高速道路の領収書のようだが、”ETC割引\670があるが、通常はETCでは領収書はくれないはずだが?" その証拠に、”あなたもETCをつけてみませんか!”とあるではないか。

よく読めば”領収書”では無く、”利用証明書”となっている。

それは法事に熊本県まで行った帰りである。

植木インターに入る時にETCゲートをくぐったが、通常通りゲートが開いて、ETCも”ポーン”と鳴ったような気がする。インターによってはゲートの前に準備を促す”ポーン”が鳴ることがあるが、その時鳴ったかどうかは記憶が無い。

その日は渋滞があったが太宰府に近づくにつれて解消し、いつものように太宰府インターのETCゲートに入ったのだが、ゲートが開かない! 減速していたから良かったものの、予期していなかったので飛ばしていたらバーに当たったかもしれない。

係員が飛んで来てゲートが開いた。

”係員:すみません、すみません、左前の線のところまでお願いします、すみません。"

指示に従ってその方向に向かうと、4−5台分の停止線が引いてある。

”係員:すみません、ETCカードをお預かりします。” 待つこと数分でカードとこの紙を持ってきた。そこで尋ねた。

”高速に入ったときはいつも通りゲートが開いたんだけど、カードかETCの機械(パナソニック製)にまずいことがあったんですか?ETCの故障?”

”係員:いや、お客様の問題でなく、どうやら植木から本部のサーバーに情報がうまく飛んでいなかったようです。

”そんなことってあるんですか?”

”係員:ちょくちょくあります(だから数台分の停止線が引いてあるのか)。今日はどうも調子が悪いようで....

まず植木インターのゲートが開いた、ということはゲートでETCのカードと機器、車両情報を認識したハズである。

通常の考え方なら、回線不調で電文が到達しなければACK?が帰ってこないので再送するはずだが、あるいは植木インターの機械がWebmasterがゲートをくぐった事をまんま失念して電文も送らなかった可能性もある。

以前読んだ記事では、最初にゲートをくぐる時に、各ゲート側にあるデータベースのカードや機器とその車両登録およびカメラで読み取ったナンバープレート等の情報に何らかの矛盾があればゲートが開かない、と読んだことがある。

しかしデーターベースが全国全てのユーザーと車両に関する情報を網羅しているのか、あるいはその地域と最近利用したユーザーの情報等に限られるのかは不明である。またどの程度厳密なチェックを行うかも解らない。しかし、当日は行きも同じ植木インターで高速を降りたのだから、まともなデーターベースならその日に同じインターを降りたユーザーぐらいは覚えているハズだと思うのだが、どんな実装になっているか興味あるところだ。

というわけで、やはり先を急ぐ場合も、やはりETCゲートは徐行したほうが良いという話である。

この経験はトラウマになっていて、ゲートをくぐるたびに悪夢がよみがえるが、その後起きていないところを見ると稀のようだ。

しかし、あなたのカードやETC機器に問題がなくてもたまさか起こるようなので、やはり皆様もゲートをくぐるときは徐行することをお勧めする。

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JB470のオルタベルト調節のナゾ(ディーラー整備能力の憂鬱編)

JB470は好調で毎週のようにお出かけしているが、気温が下がるについれて始動後にエンジンを吹かすとしばらくベルトが滑る音が聞こえるようになった。これについては随分前に自前で解決したが、今回のトピを書くべきか迷ったすえに書くことにした。

JB470のエンジンは4D56ディーゼルターボで、オルタネーターベルトは後期型からはダブルになっている。ディーゼルでは始動時にグローやスターターの電力消費が大きく、オルタネーターの負荷が大きくなってベルト滑るようだが、しばらくすると滑りは止まる。4D56の資料をみると、グロー中はオルタネーターは電気的に切り離されており、始動後アフターグローが切れると充電するようになっている。

ベルトは便利な代物で、分離したコンポーネントを自由な位置設置して接続できるし、プーリー比も自由に選ぶことができる。充電や冷却が不足すればプーリーを小さくして回転数を上げることで簡単に埋め合わせできる。しかしベルトは消耗品でいつかは消耗し切れることもあるし、強く張りすぎるとベアリングが不良となり、張りが弱いと滑る。

過去整備をディーラーにまかせている複数の友人の車のオルタが早期に不良となった。それはディーラーがベルトを締めすぎ、さらにスチーム洗浄してわざわざベアリング不良を生産していたからである。

個人的にはプリウスで水ポンプが電動となりベルト類が全廃されたときにはちょとした感慨があったが、その後ハイブリッドエンジンでも水ポンプだけベルトが残っている車種を見つけて落胆した経験がある。

というわけで、webmasterはベルトまわりのトラブルを避けるために、機会があれば迷わず新調する方針できある。新しいベルトは弾力があるため、低目の張力でも滑らずベアリング類も長持ちするからである。そのため、

22年選手キャンピングカーの長期性能維持計画のナゾ(重点ポイント編)

でも、まだ新しいファンベルト類もわざわざ全て交換して貰ったのだが、交換から半年で新しいベルトが滑るものだろうか?点検するとベルトはま新しいままである。

整備書をみると、オルタベルトは、

のようになっている。キャブオーバー車での調節は厄介なためかアジャスターがついていて調節は簡単に見えるが、後述のとおり少し変なアジャスターなのである。探すとベルト類の間からかすかに見えるが、かなり深く遠い所にある。

ベルトはオルタとエアコンコンプレッサーとパワーステアリング用の3本あるが、パワーステアリングポンプのベルトが手前にあるので、緩めてベルトをはずして避けてみた写真である。

手前を向いている調節ネジ10mmにはレンチにエクステンションを二重にかけて到達できるが、側面のロックボルト10mmにはどうやっても届かない。

そういえば整備をディーラー依頼した時に、整備士のチーフはキャブオーバー車は整備し難いが、運転席を外すとアクセスがよくなりさほど難しくなくなると言っていたことを思い出した。

そこで運転席をはずし、その下の点検口をはずすことにしたが、なんと座席の4本のネジのうち1本と点検口のネジ1本がバカになっているではないか。受ける側ではなくネジがバカになっているのだ。点検口は前後のメンバーも形成し、またパーキングブレーキも固定されているため頑丈な作りで、多くのネジで固定されている。座席のネジもけっこう太いものである。

原因はお解りと思うが、不用意に強トルクのインパクトで締めたのだろう。そもそもインパクトで締めるべきでないし、ネジをバカにしたら気付くはずである。気付かないようなら整備士の資格は無いし、ネジをバカにしたと気付いたら交換すべきではないか。

とにかく運転席側からアクセスして、ピボットボルトとアジャスターのロックボルトを緩めることができた。さあ調節と思い調節ネジを締めるが、何か変である。再度図をみてほしい。

普通のアジャスターではネジを締めるほどベルトが締まるが、このアジャスターはネジを緩めるほどオルタネーターは遠ざかりベルトが締まるのである。

しかし実はネジは逆ネジになっていて、時計回りにまわすとネジが緩むのである。緩めていき次第にベルト張力が上がると調節ネジの頭が台座から浮いてきた。調節ネジの首の固定には遊びがあるのでベルトの張力で調節ネジは手前に動き、頭が台座から浮いて来るのだ。

というか、調節ネジが浮いて来ないとベルトに張力がかかっていないということでもある。少し浮いたところでロックボルトを締め、さらに調節ネジを軽く締めて調節終わりである。

当初ロックボルトを緩めた時にこの調節ナットは浮いて来なかったので、ベルト張力が不足していたことは確かである。ディーラーはベルト張力を正しく調節していなかった疑いが濃厚である。その後はベルトの滑る音は消えた。

運転席と点検口のネジは今回の整備時には既にバカになっていたのか、今回バカにしたのかは分からないが、いずれにせよネジがバカになったことに気付くはずだが、知らないフリをしたのだろうか

ネジは手元にあった厚手の座金で浮かすことで十分なトルクで締めることができたが、ベルト調節が不良もあり後味が悪い話である。

Webmaeterは今まで三菱車を購入したことがなかったが、その理由は些末なトラブルが多いと聞いていたからである。会社はその後の度重なる欠陥騒動が露呈して現在は日産の子会社になっている。

ベルトの調節不良も初歩的な問題ではあるが、ドライバーも周囲の人間も驚くほどうるさい音をたてるし、そのうち充電不足になるかもしれない。一事が万事とも言うし、その程度のディーラーが最近の高度なエンジンを整備できるのだろうか疑問も湧いてくる。

ディーラーは家に近く今後いのだが、次回安心して整備を頼めるだろうか?。またディーラーには伝えていないが、ディーラーのために伝えるべきだろうか、思案しているところである。

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アーロンチェアのガスシリンダー抜け修理のナゾ(汎用品で直す編)

ある日、アーロンチェアの座面を下げたところ、シューという音がしてオイルが漏れて座面が擱座してしまった。ガスシリンダーと呼ばれる部品の故障でガスが抜けたのである。

このチェアは20年近く前に購入した代物で、コントロールが少ない廉価版ながらかなり高価だった記憶がある。かと言って、国内価格だけが高価なのではなくて、グローバルでも同じような価格である。それでも売れ続けるのはやはり掛け心地が他の追随を許さないからだろう。

チェア自体は12年保証らしいが、ガスシリンダーは2年保証とのことである。個人的にはガスシリンダーは次第に伸びる力が弱くなって寿命を迎えると思っていたが、今回のようにおそらくバルブが一気に故障したのは初めての経験である。まあ20年近くたっているので寿命なのだろう。

米国ハーマン社のサイトで調べてみると、日本で売られているこのチェアは国際的にはAサイズと呼ばれているもののようで、欧米ではさらに幅が広く全長が高いB型やC型も流通しているようだ。

古いものでもハーマンの日本支社は修理対応しているのは立派ではあるが、それなりに修理も高価でネット情報では送料込みで数万円かかったともいう。ネットで純正かどうか不明だが交換用のガスシリンダーを売っているが、シリンダー頂部の長さ調節部位の形状が異なっていて若干の改造が必要とか、である。

修理に払う金で上等なチェアが1台買えるものの、アーロンチェアの掛け心地は捨てがたいし、程度の良い中古が半額で買えることもチョイスとなり得るので、思案のしどころである。

今回はまず自前で非純正のガスシリンダーを探してみることにした。可能なら信頼性の優れた日本製もしくは日本向け製品が望ましいところだ。それにはまずオリジナルのシリンダーの寸法を測る必要がある。

下部の太いシリンダーの長さ215mm、その上端がΦ=50mm、下端がΦ=47mmでテーパー状。
ロッドはΦ=28mmで上端がΦ=26mmのテーパー状で、長さが50mm〜170mm、全体の最大長385mm


であった。米国のオークションサイトでアーロンチェア交換用ガスシリンダーの情報を検索してみると、以上の計測はかなり正確であることがわかった。ガスシリンダーにはいろいろな長さのものがあるようだが、下部がΦ=50mm、ロッドがΦ=28mmで上下端がテーパー状で小さくなっているのは国際的に標準規格のようである。

とすれば適切な長さのものが見つかるのでは無いか?

実は、Webmasterはアーロンチェアの高さに長らく不満があって、机に向かうと高さが1〜2cm足らない印象があった。もう一つは、下部のシリンダー部分が短いためかロッドの支持剛性が低く、一杯に伸ばすと座面がグラグラするのも気になっていた。

そこで、最大長が3cmほど長く、かつ下のシリンダーが長く支持剛性がしっかりしていそうなものを探したところ、SANWA SUPPLY SNC-CYL OAチェア用低ガス圧シリンダー なるものが見つかった。世界中を探したのに入手が容易な国内大手メーカーの補修パーツが希望にぴったりというのが意外であった。品物はアマゾンで2500円前後と安価で翌日には配達された。

写真では上が純正で下がサンワサプライのものである。サンワサプライの品は下部のシリンダーが35mm長く250mmあるので支持剛性が高そうである。全長も400mmと長いので全高がわずかに高くなることが期待できる。実際には脚のテーパの嵌まり具合で全高は変わり得るが、国際的な規格ならほぼ同じ具合に収まるのではないか?

さっそく工作だ。ガスシリンダーが抜けてロッドが短くなって座面が脚に当たるまで下がっていたせいか、ロッド上端のテーパーの固定は抜けやすくなっていたので、脚からガスシリンダーを抜くだけで交換できた。

もしロッド上端の嵌合が固いなら後述する”てこ”ユニット(+ネジ2個で固定されている)をはずし、CRC5-56<を吹いてしばらく置いた後にロッドの頭に適当なソケットレンチのコマを置いて木槌で叩けばはずれると思う。

具体的には脚は上下をひっくり返して適当な木箱の上に置き、シリンダーと脚との隙間にCRC5-56を吹いて一晩おいた翌日に木槌で数回叩くと予想より簡単にガスシリンダーは抜けた。

組み立ては脚の孔を清掃し、ガスシリンダーを差し込み、チェアー本体を上端のテーパーに嵌めればOKである。

しかし、話は簡単ではなかった。ガスシリンダーが固定されず伸びっぱなしで、どうやらガスシリンダー頂部のボタンが押されっぱなしのようだ。

ネジ4つをはずして座面を取り除き、調節機構の樹脂カバーの上半分をマイナスドライバーでこじって外したところが写真左である。

シリンダーの上部には”てこ”があり、右側のワイヤ末端が下に引っ張られると、左側を支点として”てこ”が下に動き、ガスシリンダー頂部の白いボタンが押されるシカケである。”てこ”の中央にアレンボルトがあり、ボタンの押し具合を調節できる。上のボタンの形状やストロークはパーツによって差があるので、調節できることで汎用ガスシリンダーが使える設計なのだろう。

当初はワイヤーシースを切ってストローク調節する手間が必要かと思ったが、調節ネジを2mmほど緩めることでレバーの調節が効くようになった。今回は観察と改造が必要と考えて座面を外したが、座面を外す必要はなく、樹脂カバーの上半分をはずせば”てこ”の調節が可能である。

交換後の可動範囲を写真に示している。ガスシリンダーの脚へのハマり具合がわずかに浅くなったこともあり、チェアの最大高は5cmほど高くなり調節範囲が増えた。ロッドの支持剛性も改善して座面のグラ付きも減るなど、修理と同時に長年の課題も解決したのである。

これで、例えば機械時計などの精密機器をルーペでメンテする時には思い切り下げ、一方上から実体視顕微鏡でメンテする時は思いっきり上げるような操作が可能になり、オリジナルより使い勝手や汎用性が劇的に改善したのである。

今回はパーツが容易に入手できたおかげで翌日には修理できた。アーロンチェアのガスシリンダーが壊れた方は、注文と同時に脚にCRC5-56を吹いておけば翌日には修理できるかも知れない。

アーロンチェアに限らず、お気に入りの椅子ながらガスシリンダーがヘタったチェアをお持ちの方とか、高さが僅かに不足、と感じている方にも同じようにガスシリンダー交換は有用である。

作業もチェアと脚からガスシリンダーさえ抜ければ、あとはボタンの調節程度の作業だけと日曜大工が得意な方なら容易な部類であろう。この記事がアーロン教信者の方々の参考になれば幸いである。

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動作不良の全自動食器洗い機をコストゼロで解決編

我が家の全自動食器洗い機NPBM1Wが故障で動かなくなった!

スイッチをいれてもザーザー音がするだけでその先に進まなくなったのである。電源を数回入れ直すと動き出したが、乾燥のところでアラームが鳴って停止する。

保証書で確認すると購入は2006年で、以来ほぼ毎日使う状況で、優秀なパナソニック製ということで天寿を全うした、とも言えるが、逆に優秀なパナソニック製なので直るかも知れないとも思える。新規に購入すると箱など大量の梱包材が出るし、廃棄するにも図体が重く大きいので気が重い。

実は3年程前にも同様な症状があった。最初は乾燥の手前で止まるようになり、その状態で我慢して使っていたが、起動してもザーザーポンプ音がするのみで動かなくなったのである。

多くの全自動洗濯機のトラブルと同様に、水の回路にヘドロとカルシウム分の沈着が起きて不調になったと考えた。そこで、中の水受けにハイターを直接流して数度運転、その後クエン酸溶液を直接流して数度運転で機能が回復していたのである。

その時にシャワーを切り替える水切換弁まで分解清掃したが、かなりのヘドロが蓄積していて驚いた。まあ、ヘドロも毎回80度の温水で殺菌されるのではあろうが、一度見てしまうと気持ちは良くなかった。

その経験から、ハイターとクエン酸で内部を洗浄したが機能が回復しないので、さすがに寿命と考え新規購入を考えたものの、解体処分の手間と分解修理の手間はあまり変わらないのではないか、ということで修理を試みることにする。

そこで型番で検索すると、kakaku.comにかなりの修理情報が書かれていた。この機種の構成要素は極限までのパナソニック哲学的割り切り(ケチとも言う)で絞り込まれていて感動的でもある。また、構成部品が少ないせいか15年前のモデルでも修理の成功例があることがわかった。

さらに、パナソニックのサイトでは古い機械ながら修理の見極めと簡単な料金の見積もりや出張修理受付までしてくれることにも少し驚いた。

皿洗い機の基本的な構成部品は少なく、

1)水ポンプ(回転方向で内部循環と排水を切り替える)
2)水位センサー(フロートで水位を調べる)
3)水切換弁(水を3つのシャワーと室内シャワーを切り替える)
4)給水電磁弁
5)温水ヒーターと乾燥エアファン
6)電子制御機構
7)筐体とシール類

しかない。水ポンプは給電極性で水流が反転することで水回路を簡略化している。ポンプには方向切換弁があり、弁のゴムの不良や脱落もあるという。洗濯機で多用される電磁弁もこの製品では給水弁の一個だけである。

水切り替え弁はセクター状の切り欠けのあるゴムの円盤で、水の圧力で浮き上がった時に上のカムに嵌り(同時に僅かに回転する)、切り欠けから3つの回転式シャワーと筐体シャワーへの給水を切り替える。ポンプが止まり水切換弁が落下すると、上のカムと位相がずれた底のカムに嵌ることでさらに回転し、次にポンプが動作したときに次の経路に給水する。ポンプのオン、オフの度にセクターが浮き上がり回転することで、水路が自動的に切り替わるが、電磁的なシカケは一切無い設計である。

トラブルの原因で一番多いのは水回路のヘドロとカルシウム分の沈着で、ハイターとクエン酸による洗浄で一度治癒したのはそのせいであろう。

他には水位センサーのフロート固着や水位によって動作するマイクロスイッチの接触不良があるという。他には、経年による水切換弁のゴムや筐体パッキングの不良があるという。

早速分解である。その前に内部の水を排出するために、後面のゴム栓を抜く。かなり堅いのでラジオペンチで引っ張る必要がある。これで排水してもポンプや水位センサーには水が残るので、バスタオルをひいた上で分解すべきである。

ネット情報では筐体内のシャワー等の樹脂部品は全部外すとあるが、実際には必要ない。今回は水切換弁のゴムのチェックのために分解したが、特に問題はなかった。

底板と前板の見えるネジを全部はずし、後ろ左右の角カバーのネジ2箇所をはずすと見えてくるネジをはずすと、底板と前板がはずれることで全ての機能要素にアクセスできる。

図右が前面、左が後面。下左コーナーが水位センサー、その上丸いものがポンプ、左中央が休止電磁弁、左上は乾燥用エアファンである。右下にスピーカーと配線があるので要注意。この機械はしゃべることを長年音量を絞って止めていたので忘れていた。パナソニックの現行機も基本は同じ設計のようである。

まず水ポンプを見ると、洗浄のせいで水垢は殆どない。右上の弁とゴムは良好。回転方向で水路を切り替える仕組みである。組む時に弁の軸に注意。

次に水位センサーだが、やはり洗浄により水垢は殆どない。フロートには底が無いが、毎回排水するので底は要らないという割り切りである。上から突出した2本の電極は泡センサーで、泡が発生したら通電して動作にウェイトがかかるようだ。

水位センサーは通常なら磁石付きフロートとリードリレーで構成するところが、安価なマイクロスイッチで済ましていて、今回はその接触不良を予想していた。ここはパナソニックはケチり過ぎである。

水位センサーの接触不良で、排水しても水位が上がったままと誤判断されると乾燥に移行せずエラーとなる。さらに接触不良が進むと、水位が高いと誤判断され起動時にポンプが起動したまま先に進まなくなる。

マイクロスイッチは小型で、通常はモナカ状に縦割りするが、今回のは底板とカバーに分離できた。接点と端子を磨き、バネの形を整えて修理完了である。過去日立の温水洗浄便座でもマイクロスイッチの故障が頻発したが交換で治った。接点が錆びやすい材料でできた怪しい代物て、日立がバッタ物を掴まされたようであった。

これ以外のトラブルとして、温水ヒーターの熱による反り上がりがあり、箸を入れる樹脂製カゴの底を溶かすことがあった。これはスチーム発生時にヒーターの下半分だけ水に浸かるので、空中に露出した部分との熱膨張の差で上に反るのである。コストゼロでスチーム機能を組み込んだところに若干の死角があったのかもしれない。これは物理的に反りを直し、穴が空いた樹脂カゴの底に網を追加することで対応した。

今回の修理は総工費ゼロ、時間にして1時間半というところか。内部はハイターとクエン酸洗浄により新品同様に光っている。

この記事を見て自信が持てない場合はパナソニックに修理に出してみるのも手であろう。販売店に持参できない場合は、ホームページから出張修理を受け付けていて、およその修理金額を提示してくれる。それでも修理代は新品を買う場合の数分の1ですむようである。

このように、電源を入れて表示がついて、運転を開始して水ポンプがから廻りしてザーと音がするがそれ以上進まないなら自分で直せる可能性がある。修理手順としては、

1)ポンプが動いてザーという音がしている間に、内部に直接ハイター10%をポンプ音がなくなる注入して2,3サイクルさせる。
2)同様に水のみで洗浄モードを数サイクルさせる。
3)次に、内部に直接クエン酸液(電気ポット洗浄用で可)を注入して2,3サイクルさせる。
4)それで治らなければ分解して水位スイッチの動作確認。フロートがフリーに動くなら水位スイッチ確認し修理ないし交換。

であろう。ただし水にかかわるメカトロ製品なので、下手すればそこいら中水だらけとか火傷とか漏電か起こりかねないので、ある程度の修理の知識とテクニックが必要なのは言うまでも無い。

現時点でも基本的なパーツは14年間の使用に耐えてまだ余力を残しているようだ。やはり機能、信頼性、メンテ性、コストの全ての面でパナソニックの設計と品質は高度で、それはトヨタ車にも通じる特質であることは認めざるを得ない。

通常機能を追加する時にパーツを足し算するのは簡単である。T芝とかはそういうポリシーだ。しかし、逆にパーツを引き算するには高度の設計技術が要求される。それがパナソニック流であろう。

皿洗い機が直ったことは嬉しいが、それ以上に修理中にパナソニックのケチに徹した(高度なと言うべきか)設計哲学を垣間見できたのは収穫であった。次に食器洗い機を買うことになれば、やっぱりパナソニック製を選ぶべき、と思った次第である。

老婆心コーナー(R3年11月記載)

一般家庭用食器洗浄機は結局パナソニック以外は自社生産をやめて、各社とも中国もしくは韓国からのOEMになった模様である。値段はびっくりするほど安いが、パナソニック製のように10年以上機能し、故障しても修理の余力を残すものを選ぶ方が、結局安上がりかもしれない。

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KVKの欠陥シャワー切換弁のナゾ2020年版(ついに自前解決編)

2018年にKVKの欠陥シャワー切換弁を交換した話は、

サーモ付き風呂シャワー水栓水漏れ2018のナゾ

に書いたが、またしてもカラン-シャワーの切換弁の閉じ具合が甘くなり、中央のカランもシャワーも出ない全閉領域が狭くなって調節に気を使うようになった。

この水栓は新築以来ほぼ6年毎に4回も交換を要した欠陥品で、今回も2018年に交換してからわずか2年で全閉領域が狭くなった。シャワー水栓は一日数回しか使わないので欠陥と言っていいだろう。実に腹が立つトラブルだが、しかし今回は止水不良のメカニズムを解明できたことで完全解決できたので報告したい。

基本的には、切り替え水栓は弁が上下についていて、バネでつながっている。動作原理は、

全閉状態から弁の軸がネジ機構で上に動くと手前のカランへの弁が開き、下に動くと上のシャワーへの弁が開く。実際には弁のゴムにはごく僅かなリップ状の高まりがあるが、これが早期に摩耗して全閉できなくなるのだ。砲金性の弁座も確認したが傷や摩耗や認められなかった。

上下の弁はネジで固定されていて、ある距離以上は開かないようになっている(図左の上限矢印)。この距離が設計不良もしくは製造誤差のため不足していて、弁のリップ部分がわずかに摩耗しただけで閉鎖不良になる。呆れるのは、KVKはこの問題を20年以上も放置していることで、その間に相当数の顧客と工務店の信頼を失ったであろう。

したがって、ネジ止めで規制されている弁の間隔をわずかに広げることで、弁の寿命を遥かに伸ばすことが可能なハズである。

方法としては2つの弁の間隔を広げればよい。一つの方法はネジを少し浮かした状態で固定することで今回の修理がこれである。他には弁を固定するネジに入っている座金を薄くする方法もあるが、これだと稼げるストロークに限りがある。

さて、修理にはまず切り替え水栓をはずす。このネジには前回シリコングリースを塗っておいたので問題なくはずすことができた。Webmasterはコンタミの可能性が限りなく小さい高真空グリース信越HIVAC-Gを使っている。このネジが固着すると外す時のトルクで弁体が歪んで使用不能になるから注意が必要である。

弁を貫通して固定している+ネジは逆ネジで、つまみのスプライン部を万力で固定すれば軽いトルクでネジを外すことができる。当初はネジの一部潰して奥まで入らないように試みたがうまくいかないので、適当なものを挟むことにした。ステンレスワイヤーも試したが、一番適しているのはシュリンクチューブを輪切りに切ったものである。(写真の青いもの)。締め付けはネジ緩み止めを塗布し、確実なトルクで行う必要がある。

これを挟むことで2つの弁の間隔が1mm程度広がるが、たった1mmがされど1mmで効果は劇的である。組み上げると、つまみで全閉の部分が交換当初のように拡大して、確実かつ容易に操作できるようになった。

弁にはまだリップ状の部分が残っているし、リップが摩耗しても下のゴムが確実に閉鎖するので、さらに10年以上は持つ目算である。なお、ネジにはさまっているワッシャーを除去するだけでも距離拡大の効果があると思われる。ワッシャーは弁の回転による摩耗を防ぐ目的のようだが、強いスプリングで挟まれているために有効に働いておらず、むしろ弁距離拡大でスプリングのプレロードを減らすほうが有利に働く可能性もある。

個人的には2年を経ずして閉鎖不全の兆候が始まるKVK製品は論外であるが、機構自体は他のメーカーでも同じなので、弁の間隔を広げる細工が可能なら数年以上の寿命の拡大は可能だと考える。

全国あるいはグローバルで弁不調で失われる温水冷水のロスや精神的ストレスを考えれば費用的はバカにできない問題である。技術力を自認される方ならトライする価値があると思うのだが、いかがであろうか?

追加 シュリンクチューブとねじゆるみ止めでは強度が不足ぎみだったので、真鍮のねじを数ミリ切ったものをねじ穴に入れ、ねじが2,3mm浅く固定できるように改良した。ねじゆるみ止め剤も併用している。この改良のあとは3年経過しているが、中央の湯と水が停止するエリアが十分広い状態で保たれている。このメーカーの切換え弁は数種あるが、ネット検索すると他社のものより交換の情報が多く問題があるようである。

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WindowsXPは2019年までの寿命を全うしたか?(XP改は2019年までサポートされていた編)

巷ではWindows7のupdateが終了するとかで大騒ぎである。多くのwindows7マシンが現時点では無償でwindows10に更新できることは一部?では有名で、それはグレーな方法ではなく、M$本家のページ

Windows 10 のダウンロード

に行って、「MediaCreationTool1909.exe(18804kb)」を入手し実行すればよい。このツールで直接ネット経由でアップグレードするか、得られるISOファイルを焼いて実行すればよい。

アップデートにはいくつかの落とし穴があるが、最新のwindowsupdateを施し、「msconfig.exe」の全般パネルで診断スタートアップを選び、サービスパネルでMS以外のサービスを全部はずして再起動後に「MediaCreationTool1909.exe」を起動するのが基本だ。

しかし、手元ではNECの1機種では最終段階でBIOSがWin10の起動を阻止してアップデートできないものがあった。

Win7は不評だったVistaから余計なものを取り除いてWinXPに似せたバージョンで玄人筋では人気であった。同様にWin10はWin8の余計なものを取り除いてWin7に似せたバージョンだが、依然として余計なものが多くて不人気である。個人的にはWin7では動作していた多くのアプリが不調になり(いくつかは互換性のトラブルシューティングで動作したが)、実に迷惑千万な話である。

WinXPにはファンが多かったが、メインストリーム サポートは2009年4月14日に終了し、延長サポートは2014年4月8日に終了したことになっているが、実はEmbedded POSReady仕様は2019年までサポートされていた

Embeddedとは組み込み専用OSであり、POSReady とは高機能レジPOS(Point of Sales)用途である。高機能レジとは、処理内容がそのまま本部のサーバーに送られたり、クレジットカード類の決済ができたりとか、例えばコンビニのレジのようなものである。

高機能レジの開発には多機能で枯れたWinXPが便利だが、通信機能を持つためにセキュリティーのアップデートが必要ということで2019年まで更新が続いていたのである。

そして、通常のWinXPに細工をすることで、Embedded POSReady Embedded仕様として2019年までサポートを受ける方法があり、それについては、

焼き餅焼きのVaioG故障のナゾ(ファン注油とXP延長サポート編)

にこっそり?書いておいた。

基本的にはXPのレジストリーに3行書き加えるとM$のWindowsUpdateサーバーがあなたのXPをEmbedded POSReadyと判断してアップデートしてくれる。具体的には、

Windows Registry Editor Version 5.00
[HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\WPA\PosReady]
"Installed"=dword:00000001

なる内容のテキストをxp.regとかファイル名をつけて作成し、それをダブルクリックするのである。

さて、本当にこれで2019年までXPがアップデートされてきたかどうか、2019年末に念のために数回アップデートを重ねてかけてみて、履歴を調べてみた。その結果は、

このように、2019年のアップデートは確実にかかっている。表示は必要でないアップデートもすべてトライした結果で、アップデートの重複も正しく処理された記録がある。履歴を見ると、XPがWindowsServer2008やPOSready2009と同様にアップデートされているのが解る。

というわけで、もし手元に使われていないXPマシンがあれば、この手法で2019年にサポートが終了したwin7に近いセキュリティーレベルまでアップデートできるできるということでもある。おそらく大手メーカーが有償サービスとして高い金をとって提供してきたXPの延長サポートの中身もこれと殆ど同じではなかろうか。

なお、蛇足ながらVistaに対しても2019年までの累積セキュリティーアップデートの一部が最近になって提供されている。

やはり、

善良なユーザーは常に騙されて不必要な機械の更新とOSやソフトのアップデートを強いられる

という都市伝説には一面の真実があるのだろう。

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太陽光発電はペイするのかのナゾ(8年6月間のコストを計算する編)

先日youtubeを見ていたら、真顔で太陽光発電を住宅につけるべきでない、とする動画が結構多いことに気付いた。もちろん、Webmasterも導入時に最終コストはそれなりに計算したが、費用的には若干の黒字になるという試算だったし、それ以外にも多くのメリットがあることも知っていた。

というわけで、今回は導入後8年6ヶ月間の費用対効果を計算してみた。果たして太陽光発電はペイするのか?

まず我が家のパネルやパワコンはシャープ製3.2kwhである。買電は最初の10年間はKWhあたり42円(税込み)である。税込みの意味がわからないが、とにかく42円で計算した支払金額が記入されている。

サンプルとして、2019年11月の売電の支払い金額は 9,114円(内諸費税828円)、購入電力量 217kwh (42円/kwh)である。

一方の買電は当初よりかなり高くなっていて、その理由の一つは再エネ賦課金である。当初はフラットなプランだったが、読者の方からの情報で時間帯プランに変えている。

このプランにした理由は、昼間は太陽光のために買電量が少ないが、夜はすべてが買電となる。したがって、昼間高い料金にしても問題なく、夜間が安いときに電気を食う乾燥機などを回せば良い、という計算である。なお、シャープ提供のデータには切り捨てか四捨五入による誤差があり細部が合わないが、概算として見て欲しい。

買電請求金額8,536円(内消費税776円)、使用量358kwh 

基本料金 1,210円、再エネ賦課金1,056円

内訳は
最初の80kwh(8時-22時) 1,833円 (22.9円/kwh)
81-172kwh (8時-22時) 2,755円 (30.2円/kwh)
電気代は累進性で、使うほど単価が高くなる。8時-22時の合計 171kwh(平均26.8円/kwh)

夜間(22時-8時)187kwh    1,961円 (10.5円/kwh)

内訳は時間制料金のために複雑だが、トータルでは基本料金と税金、再エネ賦課金を含め、8.536円となり、これを(171+187kwh)で除すると23.8円/kwhとなる。季節変動と年次変動があり、料金も変更がたびたびあっているので、ここでは買電は単純に24円/kwhとする。

2011年6月から2019年12月までのデータは、

太陽光発電による利益を計算するには、

仮に太陽光が無くすべて買電に頼った場合のトータル消費量61950kwhx24円/kwh=1,486,806円

太陽光がある場合は、

買電(47071kwhx24円/kwh=1,129,699円)、売電(17442kwhx42円/kwh=73,2547円)

したがって、利益は1,486,806円 - 1,129,699円 + 73,2547円 = 1,089,654円 (8年6ヶ月間)

ということになり、太陽光システムから補助金を引いた金額のローンはほぼペイしており、10年目までには若干の利益となるようだ。誤差はあろうが、計算は大きくは外れていないと思う。というか、悪徳業者に詐取されない限り、政府の太陽光事業の制度ではわずかな利益がでるように最初からできているのであろう。

なお、再エネ賦課金についてはいろいろな意見があろうが、殆どのホームオーナに補助金とローンのため実質負担ゼロで太陽光を設置するチョイスはあったし、地震津波と原発事故という非常事態があったことからも、是とすべきであろう。

太陽光のメリットはそれだけでは無い。まず昼間は停電になっても太陽光で液晶テレビや扇風機ぐらいは動かすことができる。また屋根の上に屋根を重ねることにより、盛夏でも2階は涼しく真冬でも温かくなって住みやすく、空調費用も減るので、この点だけでも感覚的には10年間に数十万円分の価値はあると思われる。

一方地震の影響だが、屋根の上に300kg程度の荷重が増えるが、さる平成 28 年4月14日の熊本で震度7の時に福岡市大濠で震度3.0平成 28 年4月16日の熊本で震度7の時に福岡市大濠で震度4.1だったが、外壁にヒビは無く、内装もクロス切れがなかった。また台風の被害もなかったので、これらに関してまずは一安心というところである。

300kgという重量は大きなものに思えるが、実際には2階でデブ4人が雀卓を囲んでいる重量よりはかなり軽いと考えれば、納得がいくかもしれない。

10年を経過すると売電価格は7円/kwhに低下するが、上記試算から7円になっても年に6万円程度の利益になる計算だ。パネルやパワコンの不具合は10年まで保証されるが、数字を見るかぎり多結晶パネルの劣化は数字に現れるほどでは無いようだ。性能が維持されるなら10年以降の延長保証にも価格によっては入る価値があるかもしれない。

なおパワコンの価格は驚くほど低下しており、新古品や中古が多く流通しているので、更新はさほど難しくなさそうである。屋根の上のパネル不良の修理は厄介だが、3系統の全てが不良になるまではある程度の発電は続くであろうし、不良の系統もすでにペイしたものと考えれば諦めもつくだろう。

というわけで、太陽光発電はペイしない、というのは基本的には誤りのようだ。その理由は、もともとペイするように制度設計されているのが大きな理由だろう。

ただし、屋根に十分数のパネルを並べることができて、かつ悪徳業者にかからなければ、の話ではあるので、悪質な訪問販売などには十分注意していただきたい。

Youtubeでは、「実はあなたは騙されている」的な動画を多く見るが、少なくとも太陽光に関しては「あなた騙されている」に再度「あなたは騙される」という事になるかもである。ただし、今後も太陽光は常にペイするであろうが、これからの新規投資は時期を失した感があることは確かである。

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