今日の必ずトクする一言
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掲示板らしきもの。信頼性不明。
必ずトクする特集
Version September 1997

September 29 (Mon.)
不良債権のナゾ
September 28 (Sun.)
続オーディオのナゾ(スピーカーケーブル編)
September 27 (Fri.)
続、誘導雷のナゾ(FAXマシンとトルセーバー編)
September 25 (Wed.)
オーディオのナゾ(スピーカーケーブル編)
September 24 (Tue.)
110000th Visitor決定!
September 23 (Tue.)
PETボトルのナゾ
September 20 (Sat.)
アルファ級原潜のナゾ
September 18 (Thr.)
オーラトーンスピーカーのナゾ
September 17 (Wed.)
PC98とIBM-PCの歴史のナゾ
September 15 (Mon.)
オーディオのナゾ(メインアンプ編)
September 12 (Fri.)
大団円を迎えたCDMAのナゾ
September 9 (Tue.)
車の板金修理のナゾ
September 7 (Sun.)
電気ポットのナゾ
September 5 (Fri.)
ブラウザーのセキュリティーホールのナゾ



September 29. (Mon.)

不良債権のナゾ

9/28日の日経朝刊を見てのけぞってしまった。そこには最近紙面を賑わしているHT銀行の”合併に向けたHT銀行の経営方針について”という1/3ページ大の広告があった。

内容は、”不良債権処理について”と”経営合理化策について”である。このグラフは総経費をリストラでどのように削減するかを示しているらしい。

一見”すごいなあ”と思った。平成5,8,9年度と、総経費が半減しているではないか。よほど店舗売却、人員整理などドラスティックなリストラをやっているのだなあ、背水の陣かと思った。

しかしよく見るとこのグラフは下の方に切れ目がある。総経費は平成5,8,9年度それぞれ、1045億、978億、920億と約5%ずつ減っているに過ぎない。

切れ目より上の変化具合で表示すると、グラフ全体が実に約40cmにもなる。従って切れ目より下は実は35cmにもなる所をたったの4mmに圧縮されている。他の人件費、人員数などのグラフ全てが同じ調子だ。

私がのけぞったのは不良債権でもリストラでも無い。巷で信用を損ないかねないこの手のグラフ表示をするセンスにである。

この手の話については

続インターネットテレフォンとマーケット情報
エコノミストと金利
大手町にセキュリティーホールを見る
ファーストフードのナゾと不良債権の簡単な算数

も参照して欲しい。

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September 28. (Sun.)

続オーディオのナゾ(スピーカーケーブル編)

水を飲む平和鳥というのがある。第二種永久機関(太陽熱利用)のこのオモチャは、あのアインシュタインでさえ原理が解らなかったらしい。しかしアインシュタインの偉いところは、部下が”バラして中を見ましょう”と言ったとき、それを科学者的態度でないと拒絶したことである。

さて、

オーディオのナゾ(スピーカーケーブル編)

で触れたように現状のオーディオでは、スピーカーのインピーダンス変動とケーブルによる特性劣化が避けられない。その解決策はFig3のようにすればいいことを説明した。

ところで、ヤマハがASTシステムとして同じ事をやっているようだが中身を見たわけではなかった。私の場合実験も済んでいるので、AST方式のスーパーウーハーYST-SW-40をバラしてもばちは当たらないと思う。

まずヘルムホルツの共鳴器であるが、これは特に変わった物ではない。さてアンプの方は実に私が考えた物と全く同じであった。細部まで書くと差し支えるかもしれないが、スピーカーが6オームで電流帰還用抵抗Rは0.1オームであった事くらいは書いてよいと思う。この場合Z:Rが60:1となるから、初段での帰還は3:1程度でいいわけだ。入力100mVで出力40Wの場合の計算である。

というわけで、今度は\2800のスーパーウーハーを電流帰還化してみたいと思う。問題と言えば、0.1オームによりダンピングファクターが悪化する危惧だが、0.1オームなら大した影響は無かろう。またスピーカーのインピーダンスがfo付近で数倍上昇するから、それに見合うアンプ出力電圧が必要になる。是非試して見て欲しい。

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September 27. (Fri.)

続、誘導雷のナゾ(FAXマシンとトルセーバー編)

以前にシャープのFAXマシンUX-1が誘導雷で壊れた話は

誘導雷のナゾ

に書いた。ところが代用のキャノンの業務用FAXに、エアコンからの漏水がかかってしまった。エバポレータ下端に綿ゴミがたまり、それから水がFAXに垂れてしまった。

すぐに治ると思ってばらしたがラチがあかない。リチウム電池のコネクターをはずしリセットするが直らない。初期化で重大なエラーがあるらしく部品がやられているようだ。家族は操作が煩雑なこの機械が嫌いで捨てろと言う。家族の意見に素直に従って廃棄することにした。

実は私より家族がFAXや簡易コピーとしての使うことが多いので、”何とかしろ”と言われる。近くのスーパーにはFAXを2万で売っているのでそれにしようと思ったが、

”まてよ、確か雷で壊れたUX-1はまだ捨てていない。修理出来るかも”

UX-1は受信のネゴで失敗するが、簡易コピーと送信ができるので捨ててなかった。受信のモデムチップのみがやられるというのも変な話だ。しかし設定(マークシート方式の紙を原稿として読ませる)をやりなおしても直らない。

シャープの窓口は”おそらく雷でモデムが焼けたのだろう。修理には2万ほどかかるかも”と言った。リセット用隠しコマンドを聞くが、”この機械にはそういうコマンドは無い”と言った。

とするとまだ完全にリセットされておらず、内部の未公開レジスターが狂って誤動作している可能性がある。仕事場のNECのSpeaks7も誘導雷で動作不能になったが、NECサービスが教えてくれた隠しコマンドによるリセットで直った経験がある。

さっそくバラす。思ったより複雑な構造で修理のことはあまり考えてない。ソニーほどでは無いがシャープ製品にもそういう傾向がある。創業者初期付加価値を重視するメーカーにありがちである。リチウム電池を発見したが、直に半田付けでだ。

そこで半田付けを一旦はずす。注意を要するのはリチウム電池を切ってもしばらくSRAMに記憶が残る事だ。SRAM自体も結構しぶといし、回路にコンデンサーがあったりすると記憶喪失まで長くかかるので、念のため数時間ほって置いた。同じ事はAT互換機のマザーボードでも言える。その後組み立てて設定シートで設定すると受信できるようになった。

教訓として、調子が悪くなったファームウェアがあったら、たとえ見かけ上の設定が正しくてもリチウム電池をはずして(それもしばらくほって置いて)リセットする方法を覚えておくとソンしない

FAXが直って家族は喜んでいる。このUX-1にはダイヤルするしかけ(NCU)が無く他の電話器に寄生する形なので、操作ボタンがスタートとストップしか無いのだ。余計な部分が無いので学習の必要が無いからである。

一般に女性はハイテク機具に弱いと言われているが必ずしもそうでないと思う。マニュアルを読破してから操作に取りかかる女性もけっこう多い。以前”私の留守電話はトルセーバーの設定回数が短いけど、長くするコマンドがあるのだろうか?”と聞かれびっくりした。

トルセーバーというのは、留守電に伝言がある場合は呼び出しベル2回で留守電が起動するが、伝言が無い場合はベル5回で起動するシカケである。外から伝言をチェックする時、呼び出し音を3回聞いて留守電が起動しなければ伝言が無いから回線を切ればいいわけだ。その場合電話料(TOLL)がかからないのでT oll Saverと言うワケだ。

国産留守電で困るのは、伝言アリ時のトルセーバー回数設定が短すぎる点である。在宅でもベル2回で留守電が始動して困る事がある。こう言うときは、メーカーに直接電話して聞くと設定回数を変える隠しコマンドを教えて貰えることがある。残念ながら自宅のケンウッドの留守電は固定であった。

トルセーバーの使用方法は、なぜかあまりマニュアルに詳しく書かれてないことが多いが、詳しくかけない事情があるのだろう。

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September 25. (Wed.)

オーディオのナゾ(スピーカーケーブル編)

先日ハイエンドオーディオ雑誌を読んでいたら、びっくりするほど高額のケーブルがあった。スピーカーケーブルは329万でRCAピンケーブルが134万。その詳細はこちらにあるので、信じられないかたは目撃して欲しい。

私が小学生の頃は、オーディオとはHiFiをめざすものだと思っていた。しかし中学生になったときには、すでにそれが間違いだと気付いたのである。確かにスピーカーケーブルは重要なパーツではあることは、

純正自動車部品のナゾ

にも書いた。オーディオでは電源から終段トランジスターを経由してケーブルを介しスピーカーに直接電流が流れ込む。スピーカーから戻った電流はまた電源に戻り、交流分は電源の電解コンデンサーを経由して回路を形成しているからである。

私はなるべく太い通常の撚り線を使っている。周波数が高くなるほど電流は表面を流れる(表皮効果)ため、同じ断面積でも撚り線の方が表面積をかせげるからである。

しかし、通常のアンプ出力をスピーカーケーブルを通じてアンプに運ぶのでは、永遠にHiFiにはならないと気付いたのは大学生の時だった。それは2つの理由によるからである。

1.通常のオーディオアンプには電圧帰還がかかっていることは、

オーディオアンプとヘルムホルツの共鳴器のナゾ

に書いた。でスピーカーは純抵抗ではなくコイルとコンデンサーの成分を持っている。スピーカー自体だけでなくネットワークなどはコイルとコンデンサーの固まりである。

さらにfo付近ではインピーダンスは上昇し高域では位相も回転する。それを単なる電圧帰還アンプでは制御できないし、位相が回転するとアンプが発振する可能性もある。それが出力や負帰還ループにコイルやコンデンサーが必要な理由である。

余計な部品が入っていると当然音は悪くなる。しかし入れざるを得ないのは、ユーザーがいったいどんなスピーカーやケーブルをつなぐかわからないので、音質を犠牲にして安全寄りに設計されているわけだ。

このため、いかに理想的なスピーカーケーブルを使おうが、現状のスピーカーとアンプを長いケーブルでつなぐ限りHIFiとは縁遠いのである。

2.じゃあ現状のアンプとスピーカーをケーブルでつなぐ形で理想を目指すとどうであろうか。電気的にケーブルの特性を消すことは可能だ。もし手元にスイッチング電源(AC->DC)があったら見て欲しい。出力端子以外に電圧センス端子があるはずだ。

いい加減な使い方として、出力と電圧センス端子を直結すれば電源の出力電圧は負帰還で一定に保たれる。しかし大電流をケーブルに流すと電圧低下は避けられない。センス端子から別の電線(これには電流が流れないので細い電線で良い)で負荷の入力端子に繋げば、負荷の入力電圧を一定に保てる。つまりケーブルによる電圧降下をキャンセルできるわけである。

同じように、スピーカーのプラス端子からもう一本電線をアンプの負帰還ループに繋げば良い。この方法に比べればバイワイアリングなどは笑止な位程度が低い。

回路的には超簡単だ。メインアンプ(Tr式)の出力Trの中点を探すと、そこから初段に戻る帰還回路が見つかるだろう。これを元の所からはずして、スピーカーの+端子に繋ぐ。Fig.2を参照して欲しい。

これをパイオニアの20W+20wアンプの片チャンネルで試したことがある。先日壊れてFE-103を焼いてくれたシロモノだ。スピーカーはFE163SRとかという口径16cmのものだったと思う。左右に同じソースを入れてみるが、残念ながら大した違いが無い。スピーカーを入れ替えてみると何のことはない、スピーカー自体も微妙に左右の音が違うようで、私の耳も左右特性がそもそも同じ保証も無いわけだ。

フルレンジ一発に短いケーブル(1.5m)ではあまり差が出なかったが、おそらく大型アンプとスピーカーで長いケーブルを引く場合は差が出てくると思う。こういった工夫をせずに300万のスピーカーケーブルとは笑止である。 自分のケーブルがどの程度問題か気になるムキは、オシロでケーブル両端の電圧差をモニターしてみて欲しい。ここで簡単な測定を行ってみた。

パソコンのサウンドブラスターのグラウンドとアイワの安物コンポのスピーカーのグラウンドのケーブル両端電圧を計ってみた。スピーカが6ohmで1Vp-p出力時に実にグラウンド間電圧差は80mVp-pもあった。概算でアンプ出力160mWp-pの時にスピーカーのマイナス側ケーブル約2mで12.8mWp-pもロスしている。両側で25.6mWp-pだから16%ものロスである。

時々本当に一介のDr.が”今日の一言”を書いているのか?という質問があるが、写真のように全て実践するのが私の哲学である。写真では上段がケーブル両端(10mV/div)下段がアンプ出力(100mV/div)である。写真の下のシロモノが秋月通商から\2800で買ったスーパーウーハーである。

上下の波形が微妙に違うのが解るだろうか。低域の振幅の大きなパーカッションは、fo付近のインピーダンス上昇により、スピーカー電流(上段)は出力電圧(下段)より小さくなっている。

ケーブルは可及的に太くなければならないが、いくらケーブルが太くてもパワーを入れれば、ロスは避けられない。ウソだと思ったら手持ちのスピーカーケーブルの抵抗を計ってみて欲しい。普通のケーブルだと5メートルの往復でかなりのロスになるハズだ。

おまけにアンプ出力電圧とスピーカー電流の波形は写真で解るとおり見事に違うのである。つまり電圧帰還アンプとスピーカーケーブルでは理想にほど遠いのである。

3.どんなに太くしてもロスが避けられないならいっそスピーカーケーブルを無くしてしまえという考え方もある。アンプとスピーカーを一体化すればいい。もう30年以上前だが、パイオニアにインテグレーテッドスピーカーというのがあった。それはアンプとスピーカーが一体でスピーカーネットワークを廃するためにマルチアンプ構成(つまり音域によってアンプを分割する)になっていた。

当時のパイオニアの考えでは長いスピーカーケーブルよりは入力ケーブルを引っ張る方が害が少ないし、マルチアンプ構成でスピーカーネットワークを廃するメリットが大きいと考えていたのである。これから考えると、オーディオの現状は進歩どころか30年以上取り返しが付かないほど退化しているとも言える。日本の魅力の無い量産オーディオが不況な上に、国内外のベンチャー企業に負けるはずである。

実はパイオニアのシステムの欠点は、依然として長い入力ケーブルを要する点にあった。現在はデジタルが進んでいるから、光フファイバーか同軸で入力を送れば良い。一体型にすればスピーカーにMFB(motional feed-back)をかける事も可能になる。金に糸目を付けないムキには、金の電線とボイスコイルはどうだろうか。

現状で一番HiFIなCDトランスポートの出力をデジタルでアンプ一体型スピーカーに送れば、いまいましいグランドレベルの問題も簡単に解決できる。もっとも評論家は、デジタルの音は生硬で暖かみがないと言うに100%違いないが。

4.現状のアンプ、ケーブル、スピーカーという構成ではHiFiは望めない。エンジニアなら簡単に気付く事だが、これを解決するシステムは今後も日本の量産メーカーからは出てこないような気がする。以前、

オーディオアンプとヘルムホルツの共鳴器のナゾ

にも書いたが、ヤマハはASTシステムと称して電流帰還のアンプとヘルムホルツ共鳴器を用いたスピーカーとで、スピーカーケーブルの問題にまじめに取り組んでいたが、専用のアンプとスピーカーという組み合わせは趣味の世界では受け入れられなかったようだ。大量のアンプとスピーカーが廃版になっていてる。

もっともASTシステムは、強力なドライブを要するスーパーウーハーや、小型にして低音を必要とするマルチメディアスピーカー用としては生き残っているようだ。不毛なオーディオマーケットよりは家庭用シアターに注力したほうが賢いと思う。

結論として、Fig.3のようにすればケーブルのロスをキャンセルし、さらにアンプを電流帰還にすればスピーカーのインピーダンス変動の影響も消すことが出来る。この場合スピーカーのインピーダンスZと純抵抗Rの比率によって、R1とR2は調節する必要がある。すなわちFig1,Fig.2のR1:R2の比が100:1であったとする。Z:Rのが10:1であれば、R1:R2を10:1にする必要がある。

高額なスピーカーケーブルを見ると、ビンテージカーに最新低扁平率セミレーシングタイヤを履かせるようなもので、これも趣味の一つということかもしれない。

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September 24. (Wed.)

110000th Visitor決定!

110000th Visitorが決定しました。本日静岡県浜松市のKYさんに決定し、本日賞品を送付いたしました。送付が遅れ申し訳ありませんので若干賞品を増額致しました。もし届かないときはご連絡をお願いします。

発表が遅れたのは、実は2名の方が110000thを当てられたようなのです。ちょっとびっくりしましたが、どちらの方もきちんとした画像を添付されました。両方の方にご連絡したところ、一人の方は米国在住なので賞品(図書カード)をご辞退されましたので、KYさんが当選されました。

このカウンターは米国digit.comの物をお借りしているのですが、時々変な振る舞いをします。リロードしたにも関わらず数が20位一旦戻って、その後また20位進むことがあります。ネットの随所に存在する有形無形のproxyやcacheのいたずらだと思われます。

以前から当方のログに比べこのカウンターはけっこういい加減で、数%の数え損ないがあります。おそらくレスポンス不良でabortされているのでしょう。タダで使わせて貰っているので文句は言えませんし、くじのような物ですから、はずれた方もどうぞご容赦下さい。

次回予定の200000th Visitorsにも賞品を用意したいと思いますので、ご贔屓の程を宜しくお願いします。今のカウンターの増分からすると約半年後だと思われます。もちろん、それまでに地球環境やネット、もしくは私を取り巻く状況の変化(左遷とか)がなければの話ですが。

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September 23. (Tue.)

PETボトルのナゾ

PET(ポリエチレンテレフタラート)樹脂は人類が量産するなかで上等な樹脂の一つであろう。中に液体を入れて落下しても割れない。PETボトルの回収を巡っていろいろ問題があるようだが、PETボトルを一切買わないというのも一つの方法である。はたしてPETボトル無しで生活できるものだろうか。実は我が家はここ数年清涼飲料水入りのPETボトルは殆ど買っていない。

以前NYに3年住んでいたが、そこではPETボトルも缶入りドリンクもすべて5セントのデポジット(預かり料)を取っていた。5セントといっても物価の安い米国では侮れない値段である。一日100本も集めれば十分暮らせる。

そのころメリダというメキシコの地方都市に旅行したことがある。水を飲みたくなってミネラルウォーターを買うと約50円だと言う。メキシコにしては少し高いかなと思ったが、実は中身が15円で瓶代が35円であった。瓶は返せば35円戻ってくる。そういえば日本でも牛乳もコーラそんな時代があった。

こちらの統計によると、一見そこらじゅうに廃棄されているような清涼飲料水の鉄缶、アルミ缶、ガラス瓶のリサイクル率は50〜70%だそうだ。一方PETボトルは1〜2%とリサイクル率が悪い。ということは、現状ではPETボトルは30〜60倍もよけいゴミになるわけで心苦しい。

従ってデポジットのような確固たる制度無しに認可されたPET大瓶には抵抗がある。そこでPETボトルのリサイクルが軌道に乗るまでは次の方針で行くことにした。家族が反対するかと思ったが、デポジット制を経験があるせいか反対は無かった。

で結果だが、ここ数年で購入した1l入りのPETボトルは病気時のポカリスエットの数本のみであった。しかしそれ以外に多くのPETボトルが侵入してくる。まず偶然立ち寄ったガソリンスタンドからジュースを数本貰ってしまった。”いらない”と言えばよかったのだろうが、くれる物には弱いものだ。他にどこからかともなくおまけとして数本ウーロン茶が侵入してきた。

暑いときにウーロン茶などはどうしても飲みたい事がある。なるべくその場でお茶を入れるようにするが煩雑ではある。そのかわりルイボス茶やハーブ茶など、上等なお茶の葉を各種揃えておくと、それなりに楽しめる。空のPETボトルを廃棄する手間と後ろめたさをイメージすると、少しは我慢できるものである

しかし醤油やみりん、油類は瓶入りや紙パック入りが少なく、どうしてもPETボトルになる。しかし清涼飲料水のPETボトルに比べれば本数も少なく大きさも小さいので目をつぶって買っている。

私の周りを見ても、PETボトルを良く買う人と、なるべく買わないようにしている人と二種類あるようである。この現代化学の粋をつくしたPETボトルは確かに文明の利器であることを否定しないが、一回こっきりで廃棄するのには抵抗がある。デポジットなどのある負担を伴ったリサイクル制度が稼働するまでは今のままで続けようと思う。我が家のような乳児を含め5人家族の意志が弱い夫婦でも実践できるくらいだから、だれにも決心ひとつで可能だと思う。

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September 20. (Sat.)

アルファ級原潜のナゾ

本日の話は、聞きかじりなので、細部に間違いがあるかもしれない(予防線)。先日テレビで”レッドオクトーバーを追え”という映画をやっていた。ずいぶん前の映画で、トム・クランシーの原作より格段にシリアスさが低下しているが、それでもなかなか見応えのある作品であった。

話は旧ソ連が革新的な推進機関を持ったミサイル原潜を完成するが、艦長は船ごと米国への亡命をはかる。それを沈没しようとする双方の攻撃型原潜とフリゲートが絡む話である。

何でこの映画がおもしろいかというと、旧ソ連の原潜技術は進んでいて何でもあり得ない話では無いとする認識があったからである。

殆ど騒音を発生しない革新的推進機関については詳しく書いてないが、”超電導”という言葉が登場することから、超電導を用いてキャタピラーのような推進装置を動かすのか、あるいは直接海水に対して推進力を発生する物らしい。

映画の中でも出てくるとおり、スクリュー音やタービンの騒音で原潜の型を判別できる。世界中の”海峡”と名前が付くところには殆どの聴音機が仕掛けられているという。従ってスクリュー音がしなければ原潜の隠密性が遥かに高まる訳である。

以前某会社がココムに違反して、旧ソ連にスクリューを削るNC機械を輸出し処分を受けたが、旧ソ連が騒音を発生し難いスクリューを製造する事に対して米国がいかに神経質であるかを認識させられた。タービンの音は原潜の船体にびっしり貼ってあるゴム板である程度消せるが、スクリューの音は消す手段が無いのである。

旧ソ連のヴィクターIII級原潜が1978年に出現したときに物議を醸し出したのが、その後尾の垂直安定板の頂部にある巨大な流線型ポッドであって、おまけにお尻に孔が開いている。これは超電導推進装置であるとする説があった。超電導磁石でくるんだ水路に電流を流すと推進力が発生する。この原理による船が日本で試作され、その残骸が東京の船の博物館の前に陳列されているから、荒唐無稽な話では無い。

現在ヘリウム冷却超電導磁石は日本中の病院にMR用Iとして多数存在する程完成した技術である。加えて原潜なので電力には事欠かない。原潜1隻の発電能力は小規模都市をまかなえるほどである。別の説では、あれは超電導磁石のためのヘリウムタンクであろう、とも言う。

しかし技術者が出した結論は、超電導推進もあり得るが、あの穴のサイズではたいしたスピードは出ないだろう、というものであった。しかし旧ソ連なら、たとえ遅くてもスクリュー音を消すためならやりかねないと専門家が思ったのである。このポッドはアクラ級にも引き継がれている。

結局あのポッドには曳航式ソナーが収まっているらしいということになっている。ミサイル原潜の後ろには、別の国の攻撃型原潜が金魚のフンみたいにつきまとっているので、これを探るために長いワイヤーを付けたソナーを水中で曳航する。攻撃型原潜はもしミサイル原潜がSRBMを発射するそぶりを見せたら、その前に即撃沈しなければならない。

実は、金魚のフンの後ろには、さらにミサイル原潜と同じ国の攻撃型原潜が金魚のフンしていて、攻撃型原潜がミサイル原潜を撃沈するそぶりを見せたら、攻撃型原潜を即撃沈することになっている。というわけで、攻撃型原潜の中にもも曳航ソナーを持っているものがあるという。何十隻という原潜がこの金魚のフン行動を港を出てから何ヶ月もの間世界中の海底で延々と続けると言うから、気の長い話である。私には乗組員は勤まらないと思う。

もうひとつは、アルファ級原潜が出てくるが、これは現実に存在する(した)とんでもないシロモノである。この比較的小型の攻撃型原潜の主要構造にはチタンが大量に使われていて40ノットというとんでもないスピードと他を圧する700mもの潜行深度を持ち、魚雷を振り切ることが出来るという。さらにすごいことに原子炉は液体金属冷却(鉛ービスマス)と言われている。

そのかわり全速力ではとてつも無い騒音を発生するうえに、液体金属冷却の原子炉には事故が多発したらしいが、ともかく実用化にこぎ着けたことは確かだ。情報によると液体金属とはナトリウムでは無いが、ナトリウム冷却炉の技術応用であるという。某教団も旧ソ連からヘリや技術を導入したが、旧ソ連はトンデモ技術の宝庫である。そうそう、ヘリの技術もすごいと言われている。

旧ソ連は多数の各種トンデモ潜水艦を有しているらしい。先日隣国で発見された小型潜水艦の類の他にも北欧のフィヨルドの奥の海底で何やら不可解な行動をする特殊潜水艦が多数存在するらしい。

話は変わるが、今後アジアが経済発展するとエネルギーが不足するという説がある。湾岸戦争で明らかとなった覇権国家はまたウランの供給国でもあるという。東洋の某国は生命線である石油もウランも輸入している。余計な事だがCPUもOSも供給を受けている。

核拡散防止条約の本来の主対象であった東洋の某国は、諸般の事情から覇権国家と距離を置く欧州F国と核燃料サイクルで組んでいる。そしてナトリウム冷却高速増殖炉の技術は欧州F国と旧ソ連にあるという。これらを考えに入れると、アルファ級原潜の向こうに東洋の某国の高速増殖炉を巡る国際的状況がかすんで見えるかも。

再度話が変わるが

Feb. 6,1997 (Thr.)
ThinkPad220にWindows95をインストールしてみると....

を更新したので、TP220に興味のある方は是非ご覧下さい。

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September 18. (Thr.)

オーラトーンスピーカーのナゾ

先日、 安物オーディオ機器のナゾ で触れたようにオーラトーンというスピーカーがある。実物は大きさが20cm角ぐらいで口径12cmのフルレンジ一発のシロモノである。以前から私の知り合いにオーラトーンマニアがいてフルサイズの銘品であるとさかんに私に吹き込んだ。確かに重低音はまったく出ないがクセの無いフラットな特性のスピーカーで特にボーカルが美しい。個人的にはYAMAHAのNS-10あたりはこれを意識したモノだと思う。用途も似ている。

もう10年ほど前の話だろうか。当時日本にも細々と輸入されていて、雑誌の後ろの方に控えめに宣伝されていた。私もオーラトーンが欲しくなって日本一の電気量販店であるBデンキに聞いたが、輸入数量が少なく代理店がコロコロ変わり入手難との事あきらめていたのである。このBデンキのオーディオ担当は全くの勉強不足でやる気が無い。

ところが、何気なく市内のスーパー寿屋のオーディオショップに訪れたら、限定200ペアのオーラトーンスーパーキューブエコライズドが1ペアのみで売っているではないか。あの入手難のシナがスーパーの片隅に!。これは銘品で有名なオーラトーン5Cの周波数特性をさらにフラットにした限定数量のシロモノである。

といっても、オーラトーンをご存じ無いし、ましてや音を聞いた事が無い人が大半であろう。ためしにyahooかgooで、オーラトーンとかauratoneと入れて検索してみて欲しい。YAMAHAをはじめとした国内外の大手スタジオのエディター室には必ず置いてあることに気付くであろう。

この小さなスピーカーは一部(スタジオのプロ)では有名というよりは、ミックスダウン時にニアフィールドで聞くモニターとしては定番であることがわかるだろう。丁度ミキサー卓の向こう側にちょこんと置いてある。

個人的にはこれをステレオのテレビにつないでいた。ステレオの後ろにプリメインアンプを置き、それでドライブしていたのである。従って家族全員でオーラトーンでテレビの音を聞くのが当たり前であった。どんなソースでもクセが無く鳴っていたのでその存在すら忘れていた

ところがある日そのアンプが死んだ。長年つかっているパイオニアのアンプだが開けてみるとヒューズが飛んでいる。どうも部品が飛んで出力にDCが流れたようだが、なぜか安全回路がうまく働かずにスピーカーにDCが流れてそのうちヒューズが飛んでしまったらしい。

さしたる修理もせずにヒューズだけ換えて手元にあったフォスター(今はFOSTEXっていうんだっけ)のFE103につないで電源を入れた時に、ボイスコイルから煙りが上がって10秒もたたない内に焼けて断線してしまった。と言うことはオーラトーンは大量のDCが流れてもヒューズが切れるまでおそらく1分以上焼けなかったのである。おそろしいシロモノである。

FE103の耐入力はおそらく30W以上あり決してヤワな品では無いのに、エライ差であった。かわいそうにFE103はモノラルになってしまった。米国のスピーカーはBOSEなどでもやたら耐入力が大きく数100Wはザラであるが、この12cmのスピーカーの耐入力は軽く100W越えるようである。

最近安物のミニコンポとYSTのスーパーウーハーに繋いで絶好調のオーラトーンであるが、もうワンペア欲しくなった。ワンペア\30000で手に入るはずである。\300000じゃないよ、たったの\30000位でプロの使うスタジオモニターが入手できるのである。ほーら欲しくなってきたでしょう

そこで雑誌で探してみるが広告が見あたらない。どうも代理店が倒産し日本では入手困難らしい。おそらくあまりにも安いので商売のウマミが無いのだと思う。最近ではペア数百万もするノーチラスとか言うスピーカーもザラらしいから、こんな値段でスタジオモニターがあると商売のジャマかもしれない。ノーチラスあたりとは100%対局に位置する品だ。

探すと中古品は見つかったが。おそらくこれを読んでいる人も欲しくなるであろう。でyahooで"Auratone Corporation"を検索すると米国内では多く販売店があるようだ。それよりリンクをたどると驚くほど多くのプロのスタジオで使われていることがますます実感されるだろう。うーーん。欲しい。

不思議なのは、こんなに安くて良質なスタジオモニターが日本で手に入らないのかが不思議である。日本のオーディオ界のバブルな内情をかいま見る思いである。

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September 17. (Wed.)

PC98とIBM-PCの歴史のナゾ

最近の報道によるとNECはDOS/V機を主力に方針変更するようだ。最近ではパッカードベルを介してDOS/V機を売ってきたし、サーバーマシンにはずいぶん前からDOS/V機があった(ただしWinNT用として)。

ところで、巷では初代PC9800(通称無印1982年発売)はIBM-PC(1981年発売)を模倣したと言われているが、これはまったく当たらないようだ。いや模倣しなくて良かったと思うくらいIBM-PCはプアな機械であった。

私は個人的にIBM-PC、IBM-XT、IBM-ATほか多数の互換機をバラした事があるので、PC9800無印やPC9800F2と比べて論じてみたいと思う。

1985年にPC9800F2を携えて米国に渡った私が目撃したIBM-PCはとんでもなくプアなマシンであった。CPUのi-8088というのは内部16bitだが外部8bitで当然バスも8bitしか無い。つまりインテル社のi-8088大規模システムモデルそのままであった。写真はちゃんとINTELのコピーライトの入った日本製フィリップス社印P8088である。

まだ驚くのは早い。リアルタイムクロックが無いないので電気を入れる度に時間と日付を入れなければならない。IBM純正TTLモニターに映し出される緑色のモノクロ画像(MDA規格)は意外や鮮明であった。これは解像度は720x350相当でキャラクター表示のみ(ハイライトなどのアトリビュートは可)である。

正確に言うとこのアダプター(HGA規格でMDA上位互換)はIBM純正では無く、当時一世を風靡したグラフィック表示可能なハーキュリーズ(HERCLES)社製で、当時純正MDAを買うヒトはほとんどなかったのである。HGAは歴史では忘れ去られているようだが。

アダプターの後端にはプリンターポートがしけたSUB-D25ピンで出ているが、普通の機械とオスメスが逆(今もそうだが)で、当時米国人もこれに間違えてシリアルをつないだヒトが多かったようだ。

中身を見ると(箱は前方にはずれる)。ボードにFDDインターフェースがさしてあり、しょぼいシュガート製FDD(めちゃくちゃ遅い)に繋がっている。システム設定はDIPスイッチで行う。シリアルボードがこれまた別にさしてある。その機械は主にワープロ(当然ワードスター)専用に使われていた。

さて次がIBM-XTでありこれは1983年発売とPC9800無印より後の改良品だが、FDDだけでなくウェスタンデジタル社製コントローラーとシーゲイト社製高速大容量10MBHDD(フルハイト)がついている部分を除けば相変わらずプアでのろい機械(i-8088-4.7MHz)であった。

グラフィックカードはCGAが差してあった。これはカラーグラフィックだが解像度320x200とひどいシロモノで米国人は良くこれで長い間(6年間これしかなかった)我慢できたと思う。しかしHDDの搭載がFDDしか無いPC98とその後の明暗を分ける。いかにCPUがのろかろうが、HDD搭載が常識的なIBM-PCは躍進する。またIBM-PCの配線図とBIOSが公開されていた。これらについては在庫しているので希望箇所があればコピー可(膨大であるが)である。

しかしこれも純正ではリアルタイムクロックが付いていない。私がバラした機械は、当時大流行のAST社製マルチファンクションカードが差してあった。これはリアルタイムクロックと640KBまでのメモリー、シリアルポート、パラレルポートが一緒になったものだ。つい最近まで日本でASTA社としてDOS/V機を売っていた会社の創世記の大ヒット商品である。

さらにこの機械は改造してあった。4.7MHzのi-8088に替えてNECのV-20(μPD7018D-8)が差してあった。これはi-8088の内部バスを2重化し、マイクロコードを一部ハードウェア乗算器で行うようになっており、クロックも外ツケボードで8MHzに改造されていた。今も有名なノートンユーティリティーのSI指数がオリジナルのIBM-XTは1だが、この改造で4程度に高速化されていた。SI指数は時間のかかる乗算を多用していたために、実際の能力以上に高く算出されたのである。

写真は私がPC互換機(EPSON EQUITY-1)で使っていたホンモノのV20だが、INTELのコピーライトが入っていないことに注意。このためINTELとNECの間で裁判になったシロモノである。実はPC9800F2のCPUも8086-2相当品のμPD80886-D-2であり、これにもコピーライトの無いコピー品である。NECには他にもZ80のコピーライトが入っていないμPD780(Zと7が似ている)もある。

このIBM-XTは当時DECのVAX780のシスオペの所有物だった。そいつにPC9800F2を見せたときの驚きを忘れる事ができない。当時私のPC9800F2はNECのV30(μPD7016D-8)に換装されており、当時世界最高水準のグラフィックアクセラレーターμPD7220を贅沢に2個も使用し、640x400の8色グラフィックVRAM2面から繰り出すカラーのゲーム画像は本職のSE達をびっくりさせたのであった。

PC9800F2にはリアルタイムクロックも付いていたし、バスはフル16bitで、シリアルもパラレルも標準のオールインワンである。システム設定もバッテリバックアップのRAMであった。

というわけでしばらくPC9800F2はVAX780の高速カラーグラフィック端末として研究室の住人の注目を集めたのであった。1985年頃にPC9800F2は世界最高水準のグラフィック能力を持ったパソコンであったと断言できる。これをIBM陣営が仕様上越えるのは実に1987年のPS/2シリーズのVGAグラフィックであり、それとて描画スピードはグラフィックアクセラレーター2個内蔵のPC98には遥かに及ばなかった。

自信を持ったNECはPC9800F2をAPCシリーズとして輸出したが、独自のMS-DOSのせいかまったく売れなかった。当時はDECもHPもサンヨーも独自のMS-DOSマシンを売っていたがどれも商売として成功していない。

実際このIBM-PCがあまりにもプアな仕様なのでとても漢字表示はムリであった。このため日本IBMはIBM-PCの日本導入をあきらめ、わざわざ日本国内用IBM-5550(i-8086の16bitバス)を起こしたのである。それでも漢字表示は、専用GDCμPD7220を持つPC98より遥かに遅かった。当時FM-16もMULTI-16もみんなPC98より表示が遅かったのである。日米共通ハードとなったのはPS/2(日本ではPS55,1988年)以降であり、日米共通OSとなったのはつい最近のDOS/Vver5のころである。

当時IBM-PCのグラフィックがトロかったことがアタリなどのゲームマシンがはやった原因と言われている。その後パソコンのグラフィックが発展したので一時ゲームマシンメーカーはつぶれてしまい、後のNINTENDOまで米国でゲームマシンは空白だった。

グラフィック能力が高いと慢心してその後の改良を怠ったのがPC98陣営の没落を招いたと思う。真の意味でPC98が世界をリードしたのはPC9800F2までで(丁度そのころジャパンアズNo1という本が出ていた)、その後はCPU能力に関してはAT互換機の後塵を拝し続けることとなった。グラフィックも仕様上は次のEGAはほぼ同程度で、VGAで負けてしまう。

そうそう、忘れていた千両役者がIBM-AT(1984年発売)である。それにはやっとリアルタイムクロックが付き、システム設定もRAMになった。ハードディスクは欠陥品として有名なIBM製30MBでその大半がクラッシュしたと伝えられるが、私が使っていたのやはりクラッシュした。

マザーボード(IBMはプレーナーボードと呼ぶ)の細工はこれがIBMかと信じられないほどプアなもので(PS/2もそうだが)、多数のジャンパーが飛び交う中、メモリーはなんとチップの上にチップが半田付け(いわゆる亀の子拡張)されていた。未だかつて私は純正品では亀の子をこれ以外見たことが無い。

CPUはその一生欠陥品であると言われ続けた80286であるが、IBM-ATはなぜかクロックは6MHzでありパフォーマンスはV30に換装されたPC9800F2とどっこいであった。実際には8MHzで設計されたが6MHzになったのは社内の某部門(IBM-RT)からの横やりのためである。つまり80286-8MHzはオフコンやRISCマシンより速すぎたのであった。総じてMS-DOSで使う限り処理速度はぱっとしないシロモノであった。ただi-80286の潜在力とバス拡張力(スペース)が後でものをいうことになる。

ところがである。私の見たサンプルはグラフィックボードには普通のCGAでは無くてPGA(professional graphic adaptor)なる大変なシロモノが載っていた。この表示は一見ただのCGAである。ところがオンボードに80186を積んだインテリジェントなシロモノで画像の回転などをこなす。後にこのボードはマトラックス社製のセカンドソースに市場で取って代わられる。このPGAは多くのIBM-AT機の歴史に関する雑誌記事では記載されてない。いかに皆が実物を見ずに記事を書いているかがわかるというものだ。

その後PGAは廃番となるが、マトラックス社をはじめとして多くの会社が独自に高解像度グラフィックアダプターを発売していた。それが現在のグラフィックアダプターの隆盛に繋がるのである。

この頃になるとPC,XT,ATには雲霞のごとく互換機が登場しており、その中で最高の品質を誇ったのがコンパック社である。当時コンパック社のパソコンは社名の通りポータブル、と言ってもトランクくらいの大きさでDCGAと呼ばれる小さな高解像度モニターを仕込み、キーボードがフタになっており、空港ではこれやMacPlusを担いだビジネスマンが見られた物である。商売先でパソコンをプレゼンに使うハシリであった。

しかしコンパック社が頭一つ抜け出たのは80386DXを積んだデスクプロ386以後である。CPU速度とバス速度を分離すると共に、メモリーインターリーブやキャッシュを用いてメモリーアクセスを高速化するなどは、コンパックの先進性が光った時期であった。IBMがPS/2でISAバスを捨ててマイクロチャンネルに鞍替えしたために、ISAバスのままのコンパックの一人勝ちし、それは今も続いているのである。

もっとも米国でこのような高機能マシンが次々に出現したのは、Netwareのようなスモールビジネス用LANのサーバーとしての用途があったからであり、そのクライアントがみんなが高機能マシンだったわけでは無い。また科学用にはSCOのUNIXなどで高機能マシンの要求もあった。スモールビジネス用LANは日本で発達が遅れていた領域(つまりNetwareあたりで安上がりに仕上げられるとオフコンが困る)で、日本ではいまだに良く理解されていないように思う。

そうそう、中身はPC9800F2のAPCシリーズで失敗したNECは以後AT互換機(デスクトップとラップトップ)を一貫して米国で発売してきた。米国ではNECの互換機はマルチシンクモニター(これ自体NECの登録商標であるが)と共に、信頼性が良いがやや高価なマシンと認識されている。

しかし国内ではPC98に固執してきた。実際にはサーバー機やパッカードベルNECとしてDOS/V機を出しているが表向きにはPC98を推してきたのである。

たしかにNECは偉い。DOSの古いアプリが使えたし、Win3.1やWin95でも大きなボロを出してないし、買ったヒトに大迷惑(小迷惑はあった?)を掛けてはいないし、故障が少ないのは大したものである。しかし世界水準を超えるPC98の輝かしい歴史は実はPC9800F2までであり、あとはずっと追随者にすぎなかったのである。

もっともAT機のDOS/V画面の漢字のスクロールがPC98に匹敵するようになったのはi-80386の後期であるから、それまでは国内では安価で高速なPC98にも存在価値はあったし、実は米国の企業も漢字障壁を越えてまで進出する気がなかったのである。

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September 15. (Mon.)

オーディオのナゾ(メインアンプ編)

ちゅっと古い話だが、友人が大枚をはたいてオーディオの超弩級重量級メインアンプを買った。彼はS水の比較的良質なプリメインを使っていたのだが、雑誌で絶賛されていた超弩級メインアンプをつい買ってしまったのである。何十万円もした質量30kgのシロモノだ。ところが表情が暗い。

聞くと、”ラジカセより音が歪んでいる”という。特に夜間小音量で聞くとトランジスターラジオのような音であると言う。そこで試聴するとなるほど小音量では歪んでいる上にノイズっぽい。

”超弩級メインアンプは小音量では歪むのは常識だヨ”

と言うとびっくりしていた。そんなことオーディオ雑誌のどこにも書いてないという。そりゃ書いてないよね。図を見ていただくとわかるように、ちゃんとした現代のアンプであれば定格出力(つまり高調波歪みが一番少ない部分で最大出力の寸前)時のひずみはおおむね0.05%位と優秀である。

しかし通常の日本の木造家屋で近所迷惑にならずに聞くときの平均出力は数W以下で夜間なら1W以下であり、この部分は彼の前の国産プリメインの方が歪みが少ないのだ。

メインアンプのこのような歪み特性の多くはクロスオーバー歪みと呼ばれるモノである。詳しくは専門書に譲るが、簡単に言うと超弩級メインアンプに使われているトランジスターは小入力時の特性が鈍なのである。

これは純A級アンプでない限り避けられない特性なのである。純A級アンプというのは、たとえ入力が無いときにもトランジスターにたんまりバイアス電流を流して置いて、動作点を立ち上がりの鈍な所から上にズラしてあるわけだ。当然小入力時の音は良い。

ならば全部純粋A級アンプにすればいいのだが能率が超悪い。たとえば超弩級メインアンプ(AB級)で定格出力200Wのシロモノは純A級では定格出力30Wになってしまう上に、常時まるで電熱器のように発熱し、夏は火事の危険すらある。実際に某評論家が推奨した通りメインアンプの上におもりを置き、過熱で火事が数件起きている

メーカーはそんなことは百も承知で、以前はA級(A級と似ているが異なる)とかスーパーA級とかいうアンプに力を入れていた。これは小入力時にはバイアスを少し多めに流してA級に近いところに動作点を持っていって、大入力時にはバイアスをAB級に戻すシカケである。国産全メーカーに蔓延した準A級アンプだが、最近はとんと見かけないところをみるとたいしたモノでは無かったのであろう。

しかしメーカーは以前こんな事をいっていた。”最大出力の小さなアンプは大入力時に飽和して大きな歪みを出すのでスピーカーを壊す”とか。これはウソである。最大出力の小さなアンプは残念ながらスピーカーを壊すほどの歪み出力がそもそも出ないからである。ただ100%ウソかというとそうでも無い。

ご自分で楽器演奏を録音したヒトならすぐわかるが、楽器の出力レベルの大小差(ダイナミックレンジ)は大きく100dBを越える。録音レベルを大きめに設定すると小音量が良く拾えるが大音量は飽和してしまう。おまけに小音量時には楽器でなく空調やイスなどのきしみ音ばかり聞こえる。かといって録音レベルを絞ると小音量ではノイズしか聞こえない。

こういった音をPAとして観衆に流す時には小音量時の歪みなど無視してダイナミックレンジの広い超弩級アンプで無いとムリである。人間の耳はSPL換算でも100dBを軽く越えるダイナミックレンジがあるが現代の最高のオーディオ機器もこれには遥かに及ばないので、ミキサーでしょっちゅうレベルを調節しないといけないのである。

ただ我々がCDやFM放送を再生する場合、音量レベルは既に圧縮されている。つまり小さな音は大きめに、大きな音は小さめに補正されている。そよ風の音からフルオーケストラのフォルテッシモまでをたった16bitの量子数で再生するのはハナからムリなのである。従って平均聴取レベルではメインスピーカーの平均出力は数W以下(あるいは1W以下)とすると、ピークもかなり圧縮されているから、通常の国産プリメインで出力が飽和することは無いのである。

この記事を書くために久しぶりにオーディオカタログをあさったが、あい変わらずトンデモ物ばかりであきれてしまう。例えばS水のメインアンプであるが(以下ママ)

"NEW HYPER α-Xバランス回路の最大の特徴は、回路内部で発生する電気的ノイズの発生を動作上ゼロにすること。”

とあるが、内部ノイズがゼロのアンプに是非お目にかかりたい物である。これはアンプがBTL式(詳細はカーステレオのナゾを読んで欲しい)であるために、グラウンドレベルの影響を受けにくいというだけの事である。カタログにウソが多いのがオーディオ機器の特徴である。

オーディオ雑誌にはトンデモインプレッションが多い。以前スピーカーケーブルを数十種類聞き比べる記事があったが、それぞれに音のヌケ、ツヤ、キレ、歪み感などがインプレッションで数字になっていた。ケーブルで音が変わることは確かであるが、何十種類ものケーブルを聞き分けるのはムリだと私は思うがどうだろう。こういうインプレッションを信じて大枚をはたくヒトが多いのに驚く。

最近はオーディオも不況なので、この手の評論家もコンピューターモニターの色調、鮮明度評論家に転職するのかもしれない。

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September 12. (Fri.)

大団円を迎えたCDMAのナゾ

最近オヤと思ったのは、”みかか”の資材調達問題が日米政府で協議されている折りもおり、保留されていたみかかの米国内営業免許がおりる見込みという報道があった。このに関しては

受話器の長さのナゾ

に触れたが、何らか大きな案件がクリアされたと思われた。その2日後に日米欧が次世代携帯電話規格について統一する方向であるとの報道。次世代携帯電話については

”みかか”のWCDMAのナゾ

を参照して欲しいが、日経の解説では”日米欧がそれぞれ孤立を恐れて妥協した。日欧の一定の連携が、米国規格がそのまま世界標準となることの歯止めになった”と言っているが、私の見方によるとみかかが折れたと読む。みかかの米国内免許とのバーターで無いかという読みが成り立つ。

ITU2000年の規格に向けて、米国のCDMA(ISA-95、CDMA-ONE)に対抗してみかかはワイドバンドCDMA(W-CDMA)を提案するつもりであった。ところが既に世界中で実用化済みのISA-95に対してW-CDMAは室内での実証実験すら済んでないみかかのプレスリリースによると(以下引用はママ)

(2)スケジュール
2000年度中の次世代移動通信システムのサービス開始を目指し、
以下のスケジュールでシステム実験を行う予定です。

           〜1997年12月 試作
      1998年4月 〜1999年3月 室内実験
      1998年10月〜1999年9月 屋外実験

ITU2000に間に合わせるには相当苦しいスケジュールである。CDMAのカナメは回線収容能力とノイズの無いハンドオーバーであるが、その基本技術の多くが既に米国クアルコム社の特許となっており、みかかがこれに抵触せずに実用化するのは難しいと言われている。W-CDMA危うしと思われた。

ところが予想に反し北欧ノキアとエリクソンがW-CDMA支持に回った。これらは拡張GSMではITU2000年に勝てないと読み、国外特にアジア地域で優位なGSM規格共用のW-CDMA端末というバーターでW-CDMA支持に転向した。W-CDMAとPDAとGSMを包括した端末とはハナからムリな話だと思うのだがW-CDMA挽回か、と思われた。

ところがDDIとIDOがISA-95の国内採用を決め、みかかのW-CDMAに強硬に対抗したためW-CDMAの国内一本化が破綻した。そこに今回の報道である。

日経の報道によると、米モトローラ、ルーセントテクノロジー、クアルコム、ノーザンテレコム、エリクソン、ノキア、シーメンスの7社は次世代携帯端末の標準化を打診してきており、U政省と端末業界団体ARIBはこれに応じる見込みと言う。注意を要するのは、ノキアとエリクソンが米国連合に寝返った上にシーメンスも加わり日本対欧米連合になった点であり、これで関ヶ原の戦いも帰趨が決したようだ。

ここの所通信を巡る動きが激しい。携帯電話以外でもテレウェイが親会社トヨタの増資後減資(わかりにくい資金操作だが基本的に持参金)し累損を一層するらしい。今回トヨタが親会社のIDOが次世代携帯端末にISA-95を採用しDDIと連合した事と考え合わせると次の読みが可能である。

テレウェイの累損一掃(持参金)は結婚前にエステに通って贅肉を落とすようなもので、DDIとの提携準備であろう。国外通信はKDDと組むらしい。携帯電話では関東しかエリアが無いトヨタ系IDOと関東のエリアが無いDDIとはISA-95を核に業務提携が決まっている。これらが国内外の通信と携帯電話を核として、みかかに対する勢力結集となるのであろう。

携帯電話と通信に関してはこれからも大きな動きがありそうで目が離せない。

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September 9. (Tue.)

車の板金修理のナゾ

たいてい運転に慣れたヒトでも、時には車をブツけることがあるだろう。ひどいキズのときはやはり修理しなければならない。私も中破や小破を経験しているが板金修理のためにディーラーに持っていったことは一度も無い

ところでディーラーで塗装しているところを見たことがあるだろうか?塗装ブースをディーラーでみかけたことがあるだろうか?無いと思う。

普通板金修理はディーラーでは無く協力工場でやるのである。ディーラーで塗装までやっていたら敷地と人手が足らない。板金修理は通常長くかかるから、新車販売や点検をやっている方が遥かに効率がよい。当然ディーラーは協力工場から口銭を取るわけである。

だから板金工場と直接交渉して”即金で払う!”と言うと料金が半額から2/3くらいになる。おもしろいことに、協力工場ではベンツとBMWとか、異なるディーラーの車が並んでたりするが、それは高級車の板金の得意な工場はだいたい決まっているからである。

だからソういう工場を見つけだすのが一番安くつく。高級車ばかりやっているところ、営業車ばかりやっているところ、様々である。ここ福岡では空港近くに集まっているようだ。 コツは"キャッシュで即払う!"という言葉。なぜだろうか。特に領収書が要らない、というとさらに安くなるし、修理に即着手して貰える。理由は、保険で払うと書類や証拠写真、査定、交渉などけっこう面倒で、入金までヒマがかかるからである。他にもイロイロ理由があると思われる?

しかしこういう所は飛び込みの客をきらう。それは板金修理にはピンからキリまであって料金も10倍以上違ってくるからである。客がどの程度の仕上がりを要求しているか、急ぐのか、相場はいくらかなど、わかっていない客を相手に説明するヒマがあったら、本業の板金だけをやっているほうがいいからである。また仕上がりでもめるのもいやがる。

見積もり編

例えばウレタンバンパーを割れない程度にこすったとする。修理には松、竹、梅とある。以下は冗談として受け取ってもらいたいし、私に金額をE-mailで相談するのはやめて欲しい。

3万円コース

まずキズを埋める。名人がホイホイと色合わせしてちょいちょいとタッチアップしたらその段階で殆どキズが見えなくなっている。乾いた後にペーパーとコンパウンドをかけて終わり。明るい色の車だとバレないが、黒い車だと映った景色が若干ゆがむかも。

メーカーも工場内での新車のスリキズはこうして直している。以前私が見学した、T社のM町工場の片隅にはチョークでキズに印がつけてある車が多数並んでいて、名人がタッチアップしているのが見られた。

5万円コース

キズを埋めるまでは同じ。そのかわり、バンパーは全塗装する。

10万円コース

バンパーカバー全体を交換して全塗装。

というようにピンキリなのである。そうそう塗料にもピンキリがある。国産車の板金部分の塗装はアクリル系(つまり合成樹脂)で、薄くノビが良く塗れ、安いわりに程々にきれいで乾きが早いが、色や艶に深みが無い。

もうすこし上等なのがウレタン系である。これは塗膜に弾性があり丈夫でヒビが入りにくいが、やや厚ぼったく、重合タイプなので塗るのにテマがかかりアクリルより高価。米国デュポン製が有名だ。国産車ではバンパー部分がこれ。

もっとも歴史があるのがラッカー系。これは何層か塗るのでテマがかかるが、厚く色に深みがあり、発色や輝きがすぐれている。高級外車やショーカーはこれで、これをプロがカルナバ入りワックスで磨くと鏡のように光る。

だから、このあたりをわかっていない客に来て貰うとプロは迷惑なのだ。いちいち説明を要求するならディーラーへ行ってくれ、という感じかな。

だから、初心者?はディーラーの言い値の6かけ(60%)位から初めて、板金交渉に慣れる?のがいいかも(もちろん慣れずに済むのが一番のぞましいが)。

実践編

行きつけ?の板金屋での会話シュミレーション

客 ”あのー、すみません。ここすっちゃったんですけど”

オヤジ ”それで?”

客 ”で、埋めて貰ってタッチアップか部分塗装でいいんですけど。運転がヘタだから、同じ 所を何度かぶつけるかもしれないっすから。”

オヤジ ”そうかね。3万円だね。”

客 ”お願いします。仕上がればキャッシュで即払います。あの領収書も要りません けど”

オヤジ ”そんなら2万でいいや。いまからとりかかるから置いていっていいよ。あした取りにおいで。”

という感じ

そもそも日本の板金修理が高いのは、客がディーラーまかせにすることと、車両保険のため何でも新品に替えてしまうためとか。その分が回り回って車両保険の掛け金を上げて自分で自分のクビを締めている。今後経済は安定成長になり、所得も頭打ちとなる上に損害保険も市場開放されるので、考えなければならないところだ。

ところで、金属にキズを付けたらとりあえずカーショップに行って、タッチアップペイントを塗って置くことだ。ほっておくとサビが塗装の下でどんどん進行して板金が高くつくから、少々無様でも金属が露出しないように対策することが重要である。

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September 7. (Sun.)

電気ポットの寿命のナゾ

どこの家庭にも電気ポットがある。電気でお湯を沸かして上のボタンを押すとお湯が出るシロモノである。我が家のは3年くらいたっていて、ボタンを押してもお湯が出難くなった。

みると水槽の上方のゴムパッキングが当たるところにカルシウムが沈着している。フタの空気ポンプを押してもここから空気が漏れてお湯が出なくなる。カルシウムは割り箸でこすり落とすせるし、また市販のカルシウム除去用のクエン酸で除去することができる。沈着が高度な場合はFAST&FIRSTに書かれているように、サンポールを使う手も無いことは無いが、ちょっとためらわれる。

しかしである。3年も使用すると、水槽を密閉するパッキングが劣化している。メカに詳しいヒトならこれを交換したいと思うであろう。そこで日本一の電気量販店Bスト電気本店に注文した。

部品入荷には1週間以上かかった。ピックアップに行くと約\1500と結構高い。新品ポットを買った方が良かったかナと思いながらも、交換すると調子良くお湯が出るようになった。

しかしである。さらに2年ほどするとまたお湯が出難くなった。カルシウム沈着もパッキング劣化もそれなりにあるが様子が違う。バラしてみるとフタ中の空気ポンプのダイヤフラム(膜)が劣化し破れている。良質のシリコンゴム製のようだが、数年間も高温で圧力がかかる所だからムリも無い。

そこで注文を考えるが、値段は\1500程度と高価な上、部品入荷まで1週間以上使用不能となると、乳飲み子を抱える家族の見る目が厳しい。買い出しに行くと一流のZ印のマイコン電動ポットが\5000程度だし、Pコック社製でならさらに安い。おまけに新しいのは電動でお湯が出る。電動は不用意にお湯が出て危険で省エネに反すると思うが、驚いたことに空気ポンプ式の製品が見あたらない。お湯が出るボタンにはロックがかかるので妥協した。

このあたりが日本製品の不思議である。以前

ガスコンロのナゾ

にも書いたが、まるでどこかで談合でもやっているんじゃないかと思う位、どのメーカーも同じ様な電動ポットばかり売っている。車で言うと、カリーナEDとプレセアとエメロードとペルソナの関係か。

早速更新して古いマイコンポットをバラしてみるが、パッキング類以外はどこも悪くないのでなおさら恨めしい。パーキンソンの法則というのがあって、お役所で予算審議に要する時間はその予算額に反比例する、という。

普段数万円の電気製品を買うときには慎重になるが、300万の車を買う時は数万円のオプションは気にならないのと同じである。ジャンクや安物買いでホイホイ無駄遣いばかりしているくせに、修理するか更新するか迷う自分が情けないのである。

そこで教訓であるが、電気ポットの不良は\1500のパッキング交換で直るが、さらに2年後にはポンプのダイヤフラムがやられるのでさらに\1500かかる。しかし修理金額合計\3000で安いポットが買えてしまう。

メーカーは昔の魔法瓶の栓のようにもっと安く部品を供給する義務があるとは思うが、こんなに毎日使う安いシロモノで何年もねばられたのでは商売が成り立たないのが資本主義の原則である。

昔の話だが大変良心的な電気屋があった。そこは故障した物も大変丁寧に安く修理してくれるので、お客が次々にお客を紹介して店は繁盛していたがついに倒産してしまったとか。この話には歯科や病院バージョンもある。

従って部品交換は乳飲み子をかかえてなくて、省資源小エネの哲学のために出費をいとわないヒトにしか薦められない。また哲学のために交換するときにはパッキングとポンプのダイヤフラムの両方を同時交換することをお勧めする。あくまでも予想であるが、電動式は空気ポンプ式より寿命は短いであろう。

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September 5. (Fri.)

ブラウザーのセキュリティーホールのナゾ

今回は少し怖い話である。皆さんはどのブラウザーを使っているのだろうか。おそらくNetscapeか、InternetExplorerの類であろう。多くのユーザーはホイホイ喜んで新しいバージョンにあげていくようだが、私は以前

バージョンアップ地獄のナゾ

に書いたようにバージョンアップに慎重である。特に最近のブラウザーの方向には若干の危惧を持っている。以前のブラウザーは単なる覗き窓(クライアント)だが、現在のブラウザーは相手にこちらの端末のコントロールを許すサーバーになりつつある。

まずブラウザーのインストールだが、N社もM社もどのプラットフォーム、OSのバージョン、端末(IP)にインストールされたか把握できる。おそらくインストールした段階で先方のログに残っているであろう。

問題を複雑にするのがJAVAやACTIVE-Xの類である。我々はこの手のアプレットで楽しんでいるが良く考えなくてはいけない。この手のものは勝手にダウンロードされて端末で動いてしまう。しかしアプレットの内容はコンパイルされていて、それが何をするものかはまったく分からない。まさに一種の"トロイの木馬"(トロージャンホース)だ

巷ではブラウザーのさまざまなセキュリティーホールが報道されているが、個々の問題を論じるのがここの目的ではない。個人的にはダウンロードしたJAVAに端末のコントロールを許す限り完全なセキュリティーは不可能だと思う。例えばシステム管理者がJAVAを何の目的に使いたいかを考えてみると見えてくると思う。

汎用機の世界では端末は単なる窓であり、汎用機がすべてを支配する。同様にUNIXやパソコンにもディスクレスステーションでは端末にハードディスクが無くてサーバーからメモリーにアプリケーションをダウンロードしインテリジェント端末として作動するわけで、これも管理者が全て管理できる。

他にもCPUクラスターがあるが、これはサーバーに多数のCPUが乗っていて端末として各人の前にあるのはCRTとキーボードだけである。これらの特徴は重要なデータを管理者が手元で厳重に管理できることで、雇用者の手元にある端末にはフロッピードライブが無い方が管理には都合がよい。なぜなら顧客データーなどを持ち逃げされる心配が無いからだ。

ネットワークコンピューターの利点もそこにあると思われる。この手の機械にはハードディスクが無くOSやアプリ自体をダウンロードできるわけだ。管理者からはすべてが見えてセキュリティーは万全である。

いま一般に普及しているものでネットワークコンピューターに一番近いのは通信カラオケ兼インターネット端末であるタイトーメディアボックスではないかだろうか。これについては

通信カラオケ装置でインターネット?(タイトーメディアボックス)

に詳細に書いたが電話回線でカラオケのデータ(MIDI)をダウンロードし音楽を演奏する。当然課金は固有のIDに請求される。またゲームやブラウザーもダウンロードされ、インターネット端末やゲームマシンとして動く。この電話回線をネットワークと考えると、これはネットワークコンピューターそのものである。

同様にパソコンでもJAVAなどの稼動環境としてのブラウザーは、当然JAVA等にファイルの読み書き、入出力などのコントロールを許すわけで、この環境にはセキュリティーホールがあるのは当然である。それが最新のブラウザーへのバージョンアップに素直になれないである。

ひらたく言うと、ブラウザーのユーザーが相手のWWWサーバーの中身を覗いているつもりが、実は逆に自分がサーバーになって母屋を覗かれていて情報が流出する可能性があるわけだ。

管理者にとってJAVAの類の魅力には抗いがたいものがあるだろう。情報管理や雇用者、顧客管理が容易になる。ソフトハウスなら顧客端末のバグフィックスやバージョンアップをリモートででき、不法コピーを根絶できる上に、課金を組み合わせればメンテに関する持続的なビジネスが実現できる。

考えてみるとブラウザーだけではない。携帯電話やPHSも同じで、これらはユーザーの所在を複数の基地局から絶えず把握されている。その誤差は携帯は500m程度で、またPHSは50m程度であろう。

つまり我々はネットワークやモービル機器のおかげでかつて無いほどの活動範囲を実現できたかわりに、かつて無い精度で行動や物産をモニターされる可能性が増えたわけである。ビッグブラザーはネットの上で実現可能なのである。少し考えすぎだろうか?

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