Omake--おまけ


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コンピューター業界の癖 (Mar.1996 追加)

1.ハッタリ

コンピューター業界はハッタリが多い。スーパー、パワー、オープン、ハイパー、ターボ等の言葉を恥ずかしげも無く使う。ハード、ソフトの進歩が激しいので、そのうちにハッタリを実現化できるようになるので、とにかく先にぶちあげたほうが勝ち

もし敵がハッタリをブチあげたら,すかさず似たようなハッタリをブチあげないと、客を取られてしまう。今実現できるかどうかは問題でない。カタログには**年第2四半期以降に提供予定として客を引き留める。この手法は国際事務機器が発明したが林檎や微小軟体も良く使う手だ。

コンピューター会社の言う数字はかなり割り引く必要がある。国際事務機器の発売している1.44MBフロッピーには”2MBディスケット”と誇らしげに書いてある。ベンチマークもエプサンは486DX66MHz搭載機を54MIPSと広告していたがで、自ら計測すらしていなかった。つい最近もアンテルがPentiumのSpecint92を訂正している。バスやネットワークなどの最大データ転送速度もその3割程度が平均転送速度と考えて間違いない。

2.内部事情

コンピューター会社の振る舞いを理解するには,その内部事情を知らなければならない。大衆商品となったパソコンに対して外部のみならず内部にも敵がいる。外部の競争はユーザーに良く見えるのでみんなが納得するが、内部事情はなかなか解らない。なんか変だな、というときにはたいてい何らかの内部事情がある。このため国際事務機器も日の丸電気も,マイコン部署は最初は周りを刺激しないように,また失敗したときに本体にダメージが及ばないように外様から始まっている。パソコン部署に特機とか、変な事業部名がついているのは、それなりに理由があるのだろう。

3.内部対策

内部の敵はまず大型汎用機グループであるが、汎用機をサーバー,パソコンを高性能端末として妥協する。オフコン、ミニコングループはパソコンの業種別パッケージに特化させて吸収をはかる。抵抗が大きいのはワークステーションや同じようなアーキテクチャーの機械に高い値段をつけていた部署だろう。日の丸電気にはN5*シリーズがあるし、F通にはFM16Rとか、TOWEENとかある。他にも、自前のCRTやハードディスク、独自のCPUの製造部門を抱えているところの抵抗は激しい。

4.何で儲けるか?

100MIPS程度のパソコンがモニターソフト込みで20万円以下でスーパーに並んでいる時代、利益をあげるのは難しい。利益を何であげるかというと、サーバーとネットワークである。しかし、ただのサーバーじゃお金が取れない。とすると、ECCやディスクのRAID,ミラーリングなどで稼ぐ(ボる)ことになる。サーバーのハード、ソフトは高価だし、サポートの料金も取れる。また、頻繁にCPUのグレードアップをはかって買い換え需要を喚起しなければならない。

5.今後のサーバーは?

今後サーバーの主流がWIN-NTになるだろう。UNIXは何ともしまりのない古くさいOSだが、忠実でマニアックなユーザー群と通信ユーティリティー類がある。UNIXユーザーもSUNからAT互換機へplatformを移しており、彼らも同じハードウェアの上で動くWin95とWinNTを気にしている。UNIXにあってWin-NTにないユーティリティーやデーモン類がまだあるがライブラリーが揃えばUNIXはいらなくなる。Win95は今はWin3.1の後継と考えられているが、むしろWin-NTと同一のアプリが走る確固としたファイルシステムと通信機能を持ったプチWinNTと考えるべきである。

最近のハードウェアの進歩はめざましく、結局Win-NTが要求しているリソースレベルはすでにwin95パソコンで実現されている。Win95は主にメモリー要求量と互換性維持のために16bitの部分を残してあるが、たっぷりメモリーとハードディスク容量があれば簡単にWin-NTに移行できる。

6.マックはサーバーとして使えるか?

MacOSはplatformとして立ち後れており、もはや手遅れだ。現在のWWWユーザーのプラットフォームのシェアについてはここを参照されたいが、すでにインターネットでもマックユーザーは少数派になっている。プリエンプティブでない現状のMacOSでは、厳密な意味でのサーバーにはなり得ない。エラーからの回復能力もない。

従って、多くのアクセスが輻輳した場合、プロセスによってはタイムアウトとなってハングしてしまう。これを根本的に解決するにはMacOS自体がプリエンプティブなCoplandに生まれ変わるしかないが、Coplandでは現状の機能拡張やコンパネはすべて使えなくなる。また、68k用のCoplandは提供されない。おまけにappleでは頭脳流出がつづいており、投資に不安を感じる。この5月、アップルはついにCopland発売を米国版1997年夏、日本語版1998年以降に延期しているが、これは事実上出来ないということと同じかもしれない。

と書いたら、MacOS8はNEXTのUNIXシステムをベースに作ることになった。と書いたら、MacOS8自体の定義も変えることになった。

7.インターネットは儲かるか?

インターネットも、コンピューター業界にとっては両刃の剣である。インターネットの回線、サーバー、ルーター、モデム、ソフト、パソコンなどの業界全体では莫大な需要創出である。しかし今まで独自のCPUを独自の通信機器と独自の通信網でつないて莫大な利益を得ていた部門にとってはいい話ではない。世界中から良くて安いネットワーク機器がやってくる。

ことインターネットに関する限り、あらゆる種類のコンピューターが簡単につながってしまい、高度なデジタル通信技術(ハードウェア、ソフトウェア、プロトコール)が素人の知る所となってしまうので、今後高い料金を取るのが難しくなるであろう。そこいらの商店のおじさんがネームサーバー、プロトコール、アドレスなどという言葉を知っていて、F通のSEが知らないことがすでに起きている。


スーパーに並んだパソコンをどうみるか

パソコンを見ると、一体型や小型のデスクトップが多く,どれも小型で拡張スペースやドライブスペースが少ない。これはクライアントや家庭用として小さいほうが良いという目的と、他にこれらをサーバーとして使ってもらっては困るということ。中にはオプティバのように、カタログでサーバーとして使う信頼性は無い、とはっきり書いてあるものもあるが、これはユーザーへの注意というよりは身内に対する言い訳だと思う。また、拡張性に富むと、周辺機器の追加などで、なかなか新型に買い換えずにねばるユーザーが出てくる、というのもあるかもしれない。

F通のFM/VはマザーボードはBCERのOEMで、Aki電気、観音カメラなどと名字は違うが兄弟関係にあるが、中でもFM/Vがもっとも出来が悪い。他の兄弟は前面に5inch2台、3.5inch1台、内部に3.5inch2台の計5台もドライブスペースがあるのに、FM/Vは前面に3.5inch,5inch各1台、内部に3.5inch1台の計3台と無理矢理拡張スペースを削った様子が見て取れる。

おそらく、身内のサーバーや他機種に遠慮したのだろう(私はもう一台無理矢理押し込んでいるが)。おもしろいことに日の丸電気もF通もWinNTクラスの高価なサーバーはWin-NTを前提としているが、DOS/V互換機とは宣伝しない。エントリーレベルの機械でも以前PC99やToweenが上級機種に遠慮してCPUやグラフィックで三味線を弾いているあいだに、輸入AT互換機の介入を許した歴史に学び、とにかくCPUやグラフィックは最新のものを積む。しかし、差別化するためにドライブスペースなどは控え目にしているように見える。

さて、一般ユーザーはどう対処したらよいであろうか。まず、上述の業界の性質を頭に入れてまずDOS/Vマシンを選ぶ。ハードはflagship(最高級機種)は買わないことである。今ならPentium-PROの機械やPowerPC9500などがそれだ。トヨタのクラウンじゃあるまいし、”一番高いのをもってこい!”と信頼性が定かでない最新最高機種をサーバーとして導入する会社がある。つい先頃までGataway2000(初期型pentium)を自慢していて後でバグペンユーザーとして素人に笑われた例も多い。初物は高く付く

かといって、一体型や小さいデスクトップは拡張スペースに問題がある。前面に顔が出るドライブスペースとして3.5inchFDD,CD-ROMともうひとつ(5inchFDDやMOなど)、内部に3.5inchHDD2台分欲しい。拡張スロットはグラフィックカードなど以外にサウンドブラスター、ネットワーク、SCSI,ビデオキャプチャー類として最低4個は欲しい。

この要求だとデスクトップケースとしては大きめとなるが、買う前に必ず後面をチェックすることをおすすめする。ポイントは

1.キーボード端子がDINサイズかミニDINサイズか。メーカー品はミニDINで無印にはDINのものもある。ミニDINでもケースにDINサイズの穴が開いているとマザーボード交換しやすい。

2.PS2マウス端子の有無。メーカー品はPS2マウスが多く、今後増える傾向。無印には無いものが多く、ケース交換しやすい。

3.マザーボード後端から直接シリアル、パラレルポート,VGAポートが出ているか。メーカー品にはこれが多く便利だが、ケース交換しにくくなる。

4.拡張ボード類は、マザーボードに対して垂直か平行か。平行の場合はマザーボードからライザーと呼ばれるボードが垂直に立ち上がっており、それに拡張ボードを差すことになる。ライザータイプのマザーボードは種類が少なく改造しにくいし、ケースも少ない。もっともライザータイプでも拡張スロットが5つ以上,内部HDD2台以上、前面に開いたドライブスペースが3台以上あれば十分。

ただ、一概にライザータイプが悪いとはいえない。それはタワータイプでもCPUや放熱器、放熱ファン、SIMM,などに当たってフルサイズボードがまったく差せない機種があるからである。ところが小型の薄いピザボックススタイルのライザータイプでフルサイズボードが3枚も差せたりするからおもしろい。


いぢりたがりユーザーには?

もし中身をいじるユーザーならばミニタワー型がおすすめ。机の下や横に置くとデスクトップよりかえってスペースを取らない。選ぶポイントは、

1.前面に開いたドライブスペースが4台以上あること。内部に3.5inchHDDのスペースが2台以上あること。メーカー品は専用のマウント金具が必要なものがあるが、直接ねじ止めできるほうが便利。巨大なタワーもかっこいいが、ケーブル類の長さが足らないことあり。

2.ケースのカバーが開けやすいもの。後面でねじ止めするものは不便。横が開いたり、前方へカバーがはずれるものが便利。底面を開けるものや、後方にカバーをはずすものは使いにくい。

3.空き拡張スロットが4個以上開いていること。

4.シリアルパラレルの端子板が拡張スロットを占領していないこと。拡張スロット以外にシリアルパラレルの端子板の穴があるものが良い。

5.マザーボード後端にシリアルパラレルVGA端子があっても対応できるケース。具体的にはマザーボード後端の部分にとりはずし可能の蓋がついているもの。これだとマザーボード交換が容易。

6.拡張スロットにフルサイズのボードをさせるもの。大きなタワーケースでもCPUの冷却ファンに当たってさせないものがある。かえって小さなデスクトップのライザータイプは問題なかったりする。

7.電源の容量があるもの、コネクターの数。大手メーカーのデスクトップ、ミニタワーはどれも電源が弱い。

私が見たもので(中身は別)観音カメラ、SANY-QuarterLやTAECのタワーケースが良くできていると思ったので、是非一度自分の目で確かめて欲しい。Cononのイノーバのタワーケースには、フルDINのキーボード端子も、ミニDINのキーボード端子も使える。ミニDINのマウス端子もある。マザーボードは、その後端に端子が付いている物も付いてない物も使える。拡張スロットはフルサイズでもCPU放熱器と干渉しないように工夫されている。HDDが、上面からと、側面から追加できるようもなっている。おもしろいのは前面のディスクベイの蓋で、右からも左からも開くようになっている。むかし冷蔵庫にそんなのがあったが。後ろには鍵もかかるようになっている。

もうひとつは、最悪のサンプルとしてエプサンのタワーケースをあげたい。これはライザータイプの上に、底板をはずして拡張ボードやSIMMを差す変な設計で、デスクトップモデルとマザボードを共用するためだろうが、これほどひどい設計を見たことがない。メンテの度にタワーモデルをひっくり返して(どっちむきに倒せというのだ)、底板をはずせというのか。さらに全体のケースカバーは後ろに抜くようになっている。サーバーケースなら前に抜けないと不便だ。Super-Asciiの記事では”便利”と書いてあるが信じがたい。むしろマザーボードの天地を逆にして電源を下に、拡張スペースを上に配置して、上からアクセスするように設計するべきで、そうしたマシンも存在する。

国際事務機器のオプティバのタワーケースも良く見るとへんだ。いっけん通常のタワーケースのように見えるが、実はマザーボード(この会社ではプレーナーボードというらしい)に拡張スロットにライザーボードが平行に乗って、それに拡張カードが垂直にささるので、マザーボードもケースも普通のものは使えないという変な設計で、これもデスクトップとマザボードを共用しているためだろう。マザーボードを交換するのは困難だが逆にフルサイズカードは差せるようだ。さらにSIMMソケットもランドは6個あるが、4個しか実装していない。メモリーやHDDの容量などは十分だがFAXモデムが特殊な設計なので、今後のOSやソフトの設定ではまる可能性があるし、この会社の機械は一般に電源が弱い

ただ満足のいくタワーモデルは値段が高く、おまけソフトの少ないモデルが多い。この意味ではFM/Vデスクパワーのミニタワーはおまけ満載でちょうどいい妥協かもしれない(赤字らしい)。もっともFM/Vについてくるマウスは最低の出来である。どうも良く滑らないと思ったら、マウスボールカバーのプラスティックにバリがある。さらに内部の光学エンコーダーの部分の精度が悪く、LEDとフォトダイオードの傾き具合を調節する必要がある。


ATXケースへの対処

現在IntelではATX規格というマザーボードを提案している。このマザーボードはいままでのベビーATサイズと違って、CPUやSIMMソケットが、拡張スロットの延長線上に無い。また、マザーボードの後端に各種端子が並んでいる。現状ではATXのマザーボードはまだ主流で無いし、ATX仕様のケースも少ない。しかし、もし古い資源を有効に使うなら、ここらでATX規格以前のフルタワーケースをひとつ仕入れておかないと、市場がみんなATXになると困るかも知れない。また、拡張バスがすべてPCIになってISAの無いマザーボードが将来主流になるかも知れない。そうすると困ることがあるので、古いマザーもひとつおさえておきたい


番外改造編

1.今あるデスクトップで拡張スペースが足らない場合。もしそのマザーボードがライザータイプでなく、またマザーボード後端から端子類が出ていないなら、たいていのデスクトップやタワーケースにマザーボードごとすべて組み替えられる。キーボード端子には注意。これだと電源付ケース台1-2万のみ。

2.デスクトップでライザータイプでないが、マザーボード後端から端子類が出ている。同じくマザーボード後端に蓋のあるケースに入れ替えれば良い。

3.デスクトップでライザータイプで、しかもマザーボード後端から端子類が出ている。このタイプにあうタワーケースはほとんど無く、薄くて大きいデスクトップケースが少数ある。どうしてもタワーにというのであれば、ケースとCPUのついていないマザーボード(2-4万)を買う必要がある。

4.デスクトップでライザータイプで、とにかくもうひとつHDDを積みたいが、お金をかけたくない。これには、方法がいくつかある。私が実践したものでは

a.コンパックプロリネアでは、既存HDDの直下にもう1台HDDを金具(車用品店にある薄い穴あき鉄板)でぶらさげる。

b.IBMのPS/Vでは、電源の上にマジックテープでもう1台HDDを張り付ける。

c.初期FM/Vでは、電源をいったんはずし(ねじ6本)、電源の下にマジックテープでHDDを張り込み(基盤を上に)、電源を戻す。

d.SCSIインタフェースを増設してCD-ROMやHDDを外に出す。

この手の機械は電源コネクターが不足することがあるので二股のものを用意しておく。

電源容量に注意

変造には電源の容量を確認しておくこと。最近のHDDはあまり電気を喰わないが(数W)、CD-ROMやグラフィックカード、ネットワークカードにはけっこう電気を喰うものがある。また、パソコンによっては2台の設定の違うHDDを使用できないものもあるので注意が必要だ。


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