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□:October 26:特殊バイオ清浄剤バイオトイレンZ(R)のナゾ
□:October 19:W-CDMAのサルベージを考える・その2
□:October 5:W-CDMAのサルベージを考える・その1
□:September 21:センチメンタルツーリングのナゾ(原付2種その1)
□:September 7:旧車の自動陸戦エアコン制御装置のナゾ
□:August 24:ターボベンチレーションシューズのナゾ(晴れたお空に靴が鳴る編)
□:August 3:シーズン到来発発整備のナゾ



October 26
特殊清浄剤バイオトイレンZ(R)のナゾ

21世紀になったばかりなのに、世の中の雰囲気は早くも世紀末の様相を呈している。これは、この文明にも限りが見えてきたということだろう。電脳は言うに及ばず、遺伝子治療やクローン人間など、SFの世界に存在していたものが現実となっている。いまだ完成していないのは物質転送装置?とかタイムトンネルの類のみである。

かつて高速旅客機を開発するにあたって、3つの壁があったと言われている。最初の壁は音の壁、そして2番目の壁は熱の壁、そして最後の壁は”金の壁”であったという。コンコルドが示すようにテクノロジー的には可能だが、開発費と運航費がペイしないということである。同様に、現在のテクノロジーの最後の壁は地球リソースの壁だろう。

しかし、そんなハイテクな世の中でもかかせないのがトイレの掃除である。トイレの汚れに対しては通常の洗剤(界面活性剤)では歯が立たない。細菌叢に対してはハイ○ーなどの漂白剤が有効だが、カルシウムの沈着には塩酸が入った強いサン○ールが必要となる。

しかし一度掃除しても1週間もたてばもとの黙阿弥である。賽の河原のように未来永劫に続くこの作業がなくならないのだろうか。ちょっと智慧のあるヒトは酸化チタン触媒とか特殊ポリマーとかに走りがちだが、これも理科教育の底の浅さを示しているし、このようなアプローチは本ラボにはそぐわない。本ラボのプロジェクトはすべからく地球にやさしく、また後には廃棄物すら残さない、まるでスパイ大作戦の撤収のあざやかさでなければならない。

今回のプロジェクトは実は我が家では随分歴史がある。この特殊清浄剤は子供の自由研究の過程で見つかったものである。Webmasterのポリシーに従えば、子供の自由研究と言えども地球リソースを消費するものであってはならないし、研究の終了後に廃棄物を残してもいけない。そこでこのプロジェクトが選ばれたのである。その過程で、この特殊清浄剤は驚くべき効果を発揮しプラント内の汚れが一掃されたのである。依頼3年間の実地テストを経ているので、効果は保証できる。

今回のバイオトイレンZの製造過程を紹介しよう。バイオトイレンZはバックツーザフューチャーのごとく残飯から作られる。古い写真で恐縮だが、これが本研究所の製造プラントである。

原料は特殊球形有機物であるが、小さ目の物が適している。これを良く洗った後10時間水浸する。その後、ステンレス製の保温水筒に入れ、100度のお湯を入れ5時間放置する。もちろん5時間グタグタ煮ても良いのだが、地球リソースの観点から無加熱製造法をお勧めする。なおこの過程で原料が大きく膨化するので注意が必要だ。

次に水気を良く切って弁当箱(湿気を吸う木製が良い)にあけて、熱いウチに(80度以上)残飯から抽出した有効成分を混ぜ合わせる。あとは、図のようなプラントでまる1日間36-40度程度に保つ。図中の袋状のものは保温剤で、これは時々入れかえる必要がある。アヒルは単なる温度計であり、字の間違いにも深い意味は無い。

コタツがあれば冬でも保温がやりやすい。あとは冷蔵庫で2,3日熟成すると完璧である。製造中は時間と温度を管理のためにきちんとしたラベリングをお勧めする。人の記憶は当てにならないもので、過ぎ去った時空間エネルギーは二度と回収できないのである。蛇足ながら、この次の年の自由研究は同じプラントを使ったヨーグルト製造であった。

この製造法はWebmasterが米国滞在中に知ったもので、中西部の駐在員のなかでは結構ポピュラーらしい。驚くべきことだが、なんと我が国にはコンピューターの廃熱でこれを製造しておられる方もいる。これこそ、電脳とバイオの結合、すなわちサイバーバイオの結晶とも言えるだろう

さてバイオトイレンZの使用法だが、非常に簡単である。ます数個をトイレのタンクに投入する。さらに、3個ほどをペースト状にし、タンクのフタのウラに擦り込んでおく。当然のことながら、他のトイレ清浄剤は併用できないが、その必要も無いだろう。使用後数日するとアンモニア臭が減ったことが自覚できると思う。

他には、窓の結露に発生するカビにも有効である。これは、窓の上部にペースト状にして薄く塗っておく。もちろん、台所の流しや風呂など、カビが発生しやすい所にも有効である。汚れが発生するものより上に塗っておくと良いようである。塗った直後はわずかに特有のにおいがするが、乾燥すると殆どにおわない。

さて効果の持続であるが、ハイ○ーを使わない限り数か月は持続するが、どうも冬を過ぎると効果が低下するようである。やはりバイオ製剤は温度管理がキモのようだ。汚れの防止効果はハイ○ーのように真っ白とはいかないが、汚れはブラシと水洗だけで簡単にキレイになる。効果が低下したなら、再度数個を投入する。恐るべきメインテナンスフリー性であり、もしバイオトイレンZが普及したなら洗剤業界と地球環境にかなりのインパクトがあるだろう。

さて、それなら風呂釜や全自動洗濯機のカビにも有効では無いかと考えたアナタ。Webmasterも同じことを考えた。確かに有効なのだが、どうも特有のニオイが残るのである。洗濯物が乾燥している間はにおわないが、湿潤になると何となくにおう感じがするのである。あるいは、洗濯物に付着した有効成分が汗と体温で再活性化するのかも知れない。もちろん生体には無害で気にしなければ良いのだが、敏感な向きにはお勧めし難いことを老婆心ながら付け加えておく。

なに、バイオトイレンZとは何か??それはしばし考えてみて欲しい。これまた老婆心ながら付け加えておくが、バイオ農薬としてはバイオトイレンZの親戚が昔から使われているそうである。

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October 19
W-CDMAのサルベージを考える・その2

F○MAの将来はますます不透明である。以前はホームページにF○MAのアイコンが光っていたが、今は第二線に退いている。トップを飾っているのはPDC端末504iシリーズである。

もうひとつの疑問が7月発売のPHSビジュアルホンP751Vである。筐体はテレビ電話が可能なF○MA端末P2101Vと同じものを使っているし、通信速度も64k/32kbpsとF○MAと同じでP2101Vともテレビ電話が可能である。待ち受けは約300時間であり、音質もエリアもF○MAよりはるかに有利だ。

というわけで存在価値が問われるF○MAの現状だが、今になってF○MAのサルベージは可能だろうか。というわけで、前回の続きである。

4.基地局の密度を上げない(いや、上げれない)

もし一つの基地局に2Mbpsもの帯域で通信している子機があれば、それは基地局の殆どの能力を占めてしまうだろう。では、基地局を密に配置し、また一つの基地局のセクターを多分割すれば解決するのだろうか。それはあやしい。

いかに基地局の配置を工夫しようが、アンテナの指向性を高めようが、セクターの境界で起きているハンドオーバーの不安定性は、基地局の境界で起きているハンドオーバーの問題とまったく同じである。基地局の密度を上げれば上げるほど、境界では端末に時空間的に非同期のマルチパスを伴った信号がやってくる。2GHz帯では端末が数ミリ動くたびに電波状況は激変するのである。

問題は、2Mbpsもの高速通信を拡販できないことであるが、それは問題無い。というのは、現状で2Mbpsに遠く及ばないが上下384kbpsを実現できる唯一のF○MA弁当箱は、電池動作が不可能の上に室内には電波が来ないから使えない。従って無線LANに対する優位性も無いし需要も発生しない。つまり高速通信は無かったことにしようということである。

5.W-CDMAの帯域を狭くする

CDMAの原理として、帯域が広いほど通信速度も上げられるし、特定の周波数で発生する妨害波や欠落にも強くなる。これは理論的には正しい。

しかしである。2GHzでは電波の波長は15cmほどになる。仮に5MHzの帯域を占有するとすれば、帯域の両端での波長は約0.25%、つまり約0.4mm違うことになる。たとえば基地局からあなたの端末に到達するマルチパスにミリ以下の距離差があれば、帯域中に干渉によって欠落が発生する。もちろん一部がドロップしても通信は可能だが、それはノイズフロアが上がったの等価になる。

もちろん、帯域が狭いQualcomm方式でも同じような状況はF○MAより軽いながら発生する。しかし800MHzでは波長が約2.5倍も長いから、移動距離あたりのマルチパスの変動が少ない。

そして広い帯域で高い通信速度を実現しようとすれば、シャノンの定理から言って帯域幅とS/Nの積に比例した電力が必要になる。しかし2GHz帯では送信、受信ともアンプの能率は帯域を広くするほど低下するし、ノイズフロア付近でのS/Nも厳しくなる。

従って帯域を広くすることによって得られるマルチパスに対する耐性と、複雑な電波伝播によるロスとアンプの能率低下のどちらが大きなファクターになるかは微妙なところである。このあたりがQualcommがあまり広い帯域を取りたがらない理由の一つかも知れない。帯域を狭くすれば、これまた高速通信は無かったことにしなければいけない。

6.第3の同期方式、つまりF○MAとQualcomm方式の折衷案を採用する

残念ながら、今までの対策を実現したとしても改善の幅はあまり大きくないだろう。というのは、たびたび指摘しているように、F○MA問題の根源は非同期な基地局にあるのではないかと思えるのである。

どうして「みかかのこども」が非同期式にこだわるかは良くわからない。理由としては基地局群の時間管理が不要になることが上げられるが、技術要件として既存のQualcomm方式より高度の技術を狙った側面は否定できない。それには高速に同期を補足可能な(はずの)マッチドフィルターが実現できたことも大きいだろう。

Qualcomm方式では基地局同志の長周期拡散符号が直交していないので、GPS計時を基準として基地局のタイミングをわずかにズラせて相関を減らしている。しかし基地局群の同期のタイミングは大まかには一致しているから、端末は電力節約のタイミングを合わせることができる。

F○MAでは基地局群は非同期だから、端末は常に電気を入れて見張らなければいけない。さらに、長周期拡散符号と短周期拡散符号を復調するための計算量が大きいから電力を消費する。さらにハンドオーバー時には基地局のタイミングをアライメントするための計算と通信の負荷がかかる。従って、同じ技術水準で製造される限り、F○MA端末の電池寿命はQualcomm方式の端末より確実に短くなる。

しかし、着実に電池やLSIの技術は進歩している。従ってこの際、F○MAの良いところとQualcomm方式の良いところをとれば良いのではないか。F○MAが非同期式ということは、同期していても良いわけである。長周期拡散符号といえども完全に直交する保証が無いので、やはり基地局間にはわずかに時間差を設けるべきだろう。

方法は非常に簡単である。各基地局はGPSから基地局の絶対的な位置(緯度経度)と時刻を得ることができるから、適当な格子点を設定し、格子点からの距離で時間差を自動的に設定すれば良いのである。何も時間差を人手で調整する必要は無い。

そうすれば、少なくとも端末の待ち受け時間は延ばせるし、ハンドオーバーも安定するだろう。しかし、ここを手直しするとすれば、かつてDDIがやったように、全国一斉に停波して同期タイミングの調整を行う必要がある。大きな手直しになるが、それは基地局と端末の数が少ないほどやりやすい。これまた、非同期式という売り文句は無かったことにすれば良い。

5.パケットをATM網を経由させない

F○MAの技術要件が決定されるにあたって、非常に大きな影響を及ぼしたのが某社である。このファブレス会社はかつては独自の技術を用いたLSIを開発していたのだが、最近はPHSとADSLを用いた第一種通信会社に変身している。

この会社は効率の悪いF○MAの将来性を見限って、ADSLに無線LAN、それにモバイル電話を実現するためのPHS、そして無線LANのハンドオーバーを実現するためのポケベルを組み合わせたサービスを提供するらしい。その細部は流動的であるが、メインとなる考え方は電話もデータもISDN網−ATM網ではなくてIP網に流す考え方である。

F○MAに影を投げかけているのはパケット通信が従量制であることだろう。みかかが構築し、今や時代遅れの烙印を押されているATM網をペイさせるためには、どうしてもパケットを従量制にしてATM網を経由させる必要がある。しかし、それではユーザーは高速度通信を使うたびに財布が干上がってしまう。

とすれば、ちょうどADSLと同じように基地局でパケット通信だけを抽出して、そこから公衆ATM網ではなくてIP網に流してしまえば良いのではないか。もちろん、ハンドオーバーのためのルーティング情報は別に処理をする必要があるが、確固とした端末の位置登録システムがあるから難しくはない。

この方法は間違いなく可能であるし、おそらく次世代携帯(4G)はパケットだけではなく音声もIP経由となるだろう。その場合、電話会社は位置登録とルーティング情報だけを提供し、そのサービスに課金することになるだろう。その場合、F○MAは無線LANと同じようなインフラを提供する技術となる。

しかしその実現はなかなか難しい。それは技術的ではなくて公衆ATM網の放棄という通信会社としての「みかかグループ」根幹の問題に抵触するからである。しかし、結局はそうせざるを得ないのではなかろうか。その実現は早いほど出血は小さい。もちろん、出血のツケは会社ではなくて常にユーザーが担保するのではあるが。これまた、ATM網は無かったことにすることになるのだろうか。

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October 5
W-CDMAのサルベージを考える・その1

深刻な経済状態のなかで、W-CDMA(F○MA)の将来に暗雲が立ちこめている。はたしてF○MAをサルベージする方法があるのだろうか。もちろん、F○MAがどうなろうとWebmasterにとってはどうでもいいことなのだが、これで地球のリソースが損なわれるとしたら大問題である。はたして技術的に解決策があるのかどうか、簡単な方法から考えてみよう。

基本的な考え方としては電池寿命が短い、接続が不安定、という2つの問題点に対処法があるのか、ということである。

1.外部アンテナをつける

過去にこちらで触れたように、F○MAには筐体から伸びる外部アンテナが必要と考える。これは最近のPHSがどれも立派な外部アンテナを備えていることからも明らかである。

この問題には既にケリがついている。後発のダイアモンド印の羽子板端末D2001にはちゃんとした外部アンテナがおり、外部アンテナが無いことを特徴とするF○MAの技術要件は破綻している。

2.Rake受信機の系統数を減らす

Qualcomm方式と違い(F○MAはQualcommの特許を数多く導入している)、F○MAの基地局は非同期である。そして、エリアの境界では端末に複数の基地局からマルチパスを介して非同期かつ不安定な電波が到達する。目的とする基地局からのマルチパス信号の時間的なズレを補正して加算することと、複数の基地局からの信号を同時に補足することがRake受信機の仕事である。

これをQualcommは3系統としている。これは基地局が同期式であること、また端末の現実的な受信能力、処理能力、電力消費、それに見合う電池寿命などを勘案し、フィールド実験から決められたパラメーターであろう。Qualcommの場合は基地局が同期しているから、端末の電力を間引くスケジュールが立てやすい。一方F○MA端末は非同期の基地局を常に補足する必要があるから、省電力のスケジュールが原理的に立てにくい。

F○MAはrake受信機を6系統としている。円滑なハンドオーバーを実現するためにはより多くの系統が必要と考えたのだろう。しかしrakeの系統数は多いほど良いのだろうか。このようなパラメーター決定に必要なシミュレーションやフィールド実験が十分行われたのだろうか。もちろん、現行のサービスが大規模なフィールド実験であるとする考え方もある。

もしRake受信機の系統数を減らせば計算量や電力消費は減るし、ネットワークを介したアライメント制御も減るだろう。それでうまくハンドオーバーができるのかという疑問が沸くが、現状のF○MAではハンドオーバーがうまく行っていないから、パラメーターを煮詰める価値はある。

3.電力制御の頻度を減らす

CDMA方式のキモはQualcommが特許を持つ電力制御にある。CDMAでは符号が直交する複数の通信は互いにノイズにしか見えない。しかし通信は確実にお互い同志のS/N比を低下させ、同一基地局が収容する回線数を減少させる。このために基地局は端末に対し頻繁に電力制御の指令を出して、端末が不必要に高い出力を出してノイズレベルを上げないようにしている。

F○MAは電力制御の頻度を毎秒1600回と、Qualcomm方式の毎秒800回よりはるかに高いことを売り物にしている。確かに2GHz帯では端末がミリ単位で移動しただけで時空間的なフェージングが発生して基地局から見た通信品質は大きく変化する。

かといって電力制御の頻度を上げても、ネットワークが不安定になるエリア境界での制御が混乱し、不要な通信負荷や計算量が発生する可能性がある。単純に制御の回数が多いほど良いのか疑問がある。もし電力制御の回数を半減すれば、通信負荷も端末の計算量も格段に減少するだろう。このパラメーターにもどの程度の根拠があるのかは疑問である。

どうやら、F○MAサルベージのためにはパラメーターを根本的に変える必要があるのでは無いか。スペックが先走りして十分なフィールド実験や電力設計がされてなかったと思われるが、今さらそれを言っても手遅れである。しかし国民の財産と地球リソースがみすみす失われるのを見守るのも口惜しい。

というわけで、このトピックはまだまだ続く。次回は、基地局の密度を上げることが不安定な通信の解決策となるのか?、帯域が2MHzのCDMAより帯域が5MHzのW-CDMAのほうがマルチパスに対して理論通りに有利なのか?、またF○MAの非同期式とQualcommの同期式の中間となる第3の同期方式はあるのか?、いやF○MAでの最大の問題は技術要件では無くて面子なのか?、などを考えていく必要がある。

なお、今回も次回も過去のお話と同じようにフィクションであるので、哲学的な議論はなじまないが、ある程度のリクエストにはお答えしたい。

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September 21
センチメンタルツーリングのナゾ(原付2種その1)

文明も煮詰まってきたと感じる今日このごろである。Webmasterの危惧をよそに炭酸ガス排出は増える一方である。以前からwebmasterは過熱CPUによりパソコンボヤが発生するであろうと予想していたが、はからずも過熱パソコンの報道である。発熱パソコンをお持ちの方は、目を離す時にはOFFにされることをお勧めする。

え、それじゃサーバーとして使えない?その通りである。Webmasterなら2GHzを越える高発熱P4マシンをサーバーとしては使う気は無い。もしボヤになったら大事なデータがパーになってしまう。実際に大手サーバーメーカーの主力機種がPenIIIの1.26GHzクラスであるのが良い証拠である。

過酷な地球温暖化の中、webmasterは平日に一日オフをとることにした。今日のセンチメンタルツーリングの相棒はライブDIOである。かわいらしい外観に不似合いな7馬力のエンジンは信号でも侮れない出足を見せる。K社のハイスピードプーリーに交換されていて、ノーマルエンジンのままで最高速は70キロに達する。

見かけはセル付きのお気軽バイクであるが、チューンは立派なチェンバーをぶら下げていた昔のレーサーと変わらない。何気ないエアクリーナーケースやマフラーにはパワーと燃費、そして真夏の渋滞路でも焼き付かないための極限とも言えるチューンが施されている。

通常はパワーを求めると低速がスカスカになってしまうのだが、ベルトによる無段階変速が回転数を常にトルクのピーク付近に保つので問題無いのである。その意味では通常のミッションやATよりも遙かに高度なシステムである。

一方、30キロ規制を前提としたサスやブレーキは原付2種としては力不足である。特にWebmasterのDioは廉価版なので、高級版のZX仕様と異なってドラムブレーキだし、オイルダンパーに見える前サスはバネとバンプラバーだけのホンダ伝統手抜きサスである。このメーカーは昔からエンジンほどはサスに魂が入っていないようで、小さなタイヤと相まって悪路には要注意だ。

さっそくバイクでトコトコと走り始める。最初に向かったのはWebmasterが学生だったころの西区の町並みである。当時黄色いJRのディーゼル車が走っていた線路は道となり、すでに渋滞の名所となっていた。当時webmasterはこの付近をミニトレで走っていたのである。

次に向かったのは東区の学生アパート街であった。当時走っていた路面電車は廃止となり、いまは専用バス道となっている。夏休み中のせいか、若者で賑わいを見せているはずの商店街は何となく元気が無い。郊外のモールに客を取られたのだろうか。路地では道に水を撒いて涼を求めているが、温暖化の進む都心ではエアコン無しに夏を凌ぐのはむつかしいだろう。近かった海岸線も度重なる埋め立てで遠くなり、涼風も届きにくくなっている。

最後にバイクのショップに行ってみた。大手フランチャイズのショップNにはキレイに部品が並べられているが、全般的にオーバープライスである。おまけにバイク維持に必要な純正部品や整備書の類が無いという不思議な店である。何でも揃っているように見えて何も揃っていないから、バイクを道具と割り切る客には役にたたない。

その中で、過剰なまでに賑やかなコーナーが3つあった。一つは原付スクーターのコーナーで、ボアアップキット、ビッグキャブ、駆動系、マフラーとお花畑のように部品が並んでいる。なるほど、小さい時から出来合いのゲームをあてがわれたキッズにとって、いぢり廻せる原付スクーターは夢のようなオモチャであるに違いない。しかしこのクラスも排気対策のために、何時までステキでいられるかは解らない。

次に賑やかなのはモンキーのコーナーである。この倒立エンジンはちゃぶ台の上で変造した後は床の間に飾ることも可能で、住宅事情にマッチした盆栽バイク(PAT PEND)である。しかし、いくら10馬力以上にチューンしてもこのサイズでは中央のレーンを走るのは危険だろう。親切にもメーカーはそのためにエイプという次世代のおもちゃを用意しているようだが、Webmasterの見るところ、そのエイプの問題は床の間に納まらないことである。

もう一つはスカバイクのコーナーである。これは250cc単気筒バイクのエンジン後部をスカスカにするのである。4気筒と比べスカスカなバイクをさらにスカスカにしてどうするのだと思うのだが、これも以前に流行したレーサーレプリカに対するアンチテーゼだろうか。メーカーは騒音規制のため必死でエアクリーナーとマフラーを設計するのだろうが、無情なことにノーマル部品は納車時には既に捨てられているのである。

ただ、その手法はカスタマイズという言葉に反し完全にパターン化されている。まずサイドカバーとエアクリーナーケースをはずして、小さな濾紙フィルターをつける。バッテリーをはずしてランプ類と計器類を小さくする。最後になんとかトラップという騒音発生マフラーをつける。来るバイク来るバイクどれもがまったく同じ部品であるところを見るとファッションなのだろう。とすると、長くは続かないと思われる。

そして、もっとも廃れているのがリッターバイクのコーナーである。現代の交通事情ではフルパワーを発揮することもできないし、高度な4気筒エンジンには素人が手を入れる余地も無く、車検もそれを許さない。マフラーを交換すればそれが検定品であっても普通のヒトには暴走族御用達騒音マフラーとしか見えない。Webmasterにとって、いぢり廻せないバイクにはまったく引力が発生しないことになっている。

おまけに車検は経済的な関門でもあるから、250cc以下のように納屋に廃車同然でほったらかしという訳にも行かない。リッターバイクには車検かしからずんば死(廃車)しかチョイスが無いから、ちょっとたそがれて車検にカネがかかるようになると即廃車である。結局多くのリッターバイクの寿命は原付スクーターよりも短いことになりもったいない話だ。

個人的な好みからすると、ホンダのホームページの絵のような納屋スタイルのカーライフは理想的に見える。ここに描かれているバイクはCB250RSと思われ、単気筒で取り回しが軽いバイクである。車は軽量のため予想外の性能を示した初代CR-Xだろう。どちらも素人のオーナーがメンテしながら長く維持できるシロモノである。

これを見る限り、やはりホンダの真髄は小排気量の製品にあるのだろう。蛇足だが、絵のシグニチャーをクリックするとBow氏のギャラリーが楽しめる。(実はもう一台車があって、これはそいつがお出かけ時に犬とCRXがお留守番をしている設定らしい)

カスタマイズと称するバイクの群れを見る限り、若者はなにかを変造したいパワーに溢れているようだ。しかしそれは理想的な姿には導かれていないような気がする。もしwebmasterがバイクショップを経営するとすれば最初にサービスマニュアルと純正の消耗部品を並べるだろうが、それではすぐ倒産してしまう気がする。

次回は49ccから98ccに格上げして足を伸ばし、Webmaster若き頃の愚行の後を巡る予定である。

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September 7
旧車の自動陸戦エアコン制御装置のナゾ

我が家に190Eがやってきて8ヶ月以上になる。古い車(実質92年式)なのでオイル、フィルター、クーラント、ラジエーターキャップなどの消耗品を中心に交換している。ATF(DIII)やパワステオイルはWAKO'Sのペール缶を買ってきて自分で交換した。いろいろな不具合(いくつかは新車からのもの)も直って、ご機嫌である。

水温の安定に効果があったのはクーラント交換だと思う。トヨタ、デンソー、アイシンが出資した某ショップで交換してもらった。サーモスタットが開くまで加熱したクーラントを真空で沸騰させてエクスパンションタンクから吸い出すのである。抜かれたクーラントはまだ真新しかったが、沸騰で剥がれたと思われるオリも少し混じっていた。ただしオリで穴がふさがっていたような車だと不具合になるかも知れない。

エアコンは手元に来る前にドライヤーとエキパンは交換されていたが、ガスは半年程度で抜けていた。この手のスローリークはエバポレーターのピンホールによるものが多いらしいが、漏れが軽いと真空引きではボロも露呈しないしオイルの付着もはっきりしない。

スローリークはサンケンのスーパーシールを注入することで止まっている。これは漏れ部位を水分で硬化する樹脂で塞ぐ方法だから、ドライヤーが古くて管路に水分があると詰まってしまうので注意が必要だ。注入後に上記のショップでガスを補充したが、ショップはR12代替品(TS-012)を使っていた。

TS-012のマニュアルによるとR12との混用は不可と書いてあるのだが、デンソーの子会社がやっているところを見るとOKなのだろうか。TS-012の中身だが、調べた限りでは95%は代替フロン134aで、これに炭化水素(プロパン)1.5%と有機溶媒(エタノール)3.5%が入っているようだ。このため現状ではガスは殆ど134aに代替された状態になっている。同様の製品にSP34Eというものがあり、こちらはR12と混用可とされている。どうやらTS-012がR12との混用を不可としているのは、回収や管理のためのようである。

安定なフロンR12は親油性なので通常のコンプレッサーオイルと相性が良い。ところが代替フロン134aは親水性なので、潤滑剤として親水性のポリアルキルグリコール(PAG)やポリオールエステル(POE)が使われている。従ってR12を134aに転換するには管路をPAG(ブレーキフルイド)で洗浄し、ドライヤーやOリング類を交換し新しい潤滑剤を注入後に134aを規格の85%程度充填するのが正式な方法である。

しかし世の中にはR12用オイルを除去しない転換方法もある。この場合はR12と134a両方のコンプレッサーオイルに親和性がある有機溶媒(アルコール類)と、134aの能率低下を補う冷媒として炭化水素(プロパン、イソブタン類)を併用することが多い。ちょうどガソリンの水抜きにアルコールを混ぜるのと同じである。プロパンやイソブタンの冷媒としての性能と環境負荷は優れているが、トータルで不燃性とするためにわずかな配合となっている。

頭のなかで考えると従来のコンプレッサーオイルと親水性の134aが混和すると乳化して潤滑が悪くなりそうだが、有機溶媒によって134aが1%弱溶解することで問題が無いとされている。またコンプレッサー以外の管路にコンプレッサーからオイルを持ち出しが少ない方が能率が良いとも言う。実際にサイトグラスを見ても乳化している様子は無い。

少なくともSP34Eは米国EPAの代替フロンプログラムに自動車や冷蔵庫用のR12の代替品としてacceptableとして収載されている(詳細)。ほかにアイスオン49(ISCEON49,R413A ASHRAE収載)という134a88%、イソブタン3%、R218(C3F8)9%の混和物も出まわっている。いずれもコンプレッサーの潤滑が長期間うまく行くのかどうかはわからない。そもそも現在使われている134aのシステムが10年後どうなるかも解っていないのである。いつ壊れても良いように新品のコンプレッサーだけは手当てしてある。

エアコンにはもうひとつ不具合があった。時々ブロアファンが低速で回らないのである。これはベアリングの油切れの兆候なので、放置すると軸が焼きついて配線やヒューズホルダーが加熱しボヤになる可能性もある。新品の部品も高価だから、完全に壊れる前に注油するのが賢い。

幸い原始的な190Eの整備は簡単である。ワイパーのモーターをはずすと、ブロアファンとエバポレーターが入ったユニットが顔を出す。カバーの留め金をはずしたところが写真である。まだベアリングは焼き付いておらずグリースが硬化した状態だったので、注油だけで調子を取り戻した。カーボンブラシもまだ寿命があるようである。同じ要領でエバポレーターも室外から交換できる。

エアコンが完調になったところで気になるのは出足の悪さである。190Eは2速発進だから、コンプレッサーの負荷がかかると規制前の原付1種(7.2馬力)に負けるありさまである。敵のベルト変速はアクセルオン直後から約7000rpmに達し、ほぼフルパワーで加速するからである。簡単ではあるが、ATよりは遙かに優れたシステムである。これに対抗するには、

  ●山本式Gセンスカーエアコン制御装置のナゾ

しか無い。ビータからはずしたものを使うことにする。この装置は動作のON/OFFが可能なように室内のエアコンスイッチの配線に介在させるのが本当だが、今回は手抜きしてエンジンルームのエアコンドライヤー付近のガス圧センサーの配線に割り込ませた。加速中はエアコンのガスが不足したと騙されてコンプレッサーが止まる仕掛けである。水銀スイッチの傾きは固定用の両面テープを重ねて調節した。

エンジンルームに設置した場合の問題は走行中に動作をOFFにできないことである。当然ながらものすごく急な坂での停車中はエアコンが効かない。しかし、このシステムを20年来使っているがそのようなシチュエーションはマレであるし、万が一の場合はUターンして頭を坂を降りる方向に向けてやれば良いのである。

というわけで、発進で原付に負けることも無くなったし、エアコンも定速時や減速時に傾斜して動作することで、一種のエネルギー回生装置としても働いている。Webmasterはこのシステムをひそかに自動陸戦エアコン制御装置と呼んでいる。

シャーシやエンジンが丈夫で、電気回路が単純なアナログ回路で構成されている190Eは整備が簡単な車だ。一方、現代の電脳化が進んだ車の不具合はパソコンと同じように、一般ユーザーの手にも、並みのディーラーの手にも余るものである。多数のコネクターやセンサー類を持った複雑なシステムが10年後も調子よく動く保証は無い。当分この旧車をオートマをいたわりながら維持していくつもりである。

追加

配線であるが、本来はエアコンスイッチの配線に直列に水銀スイッチを入れ、制御を無効化するときは水銀スイッチをショートするようにスイッチをつけるのが普通である。

もう一つ、エアコンスイッチと並列に入れる方法がある。この場合は水銀スイッチと直列に動作を無効化するスイッチを入れる。通常のエアコン動作は、水銀スイッチ側で選択する。この場合はもとのエアコンスイッチが強制ONスイッチとして働くことになる。この方が配線を切断しないので簡単かも知れない。

エアコンスイッチがデジタル制御の場合は、今回のようにガス圧センサーと直列に入れるのが簡単だろう。しかし高度な制御の割に発進時の負荷制御が無いのはずいぶんマヌケではなかろうか。

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August 24
ターボベンチレーションシューズのナゾ(晴れたお空に靴が鳴る編)

やっと台風が過ぎたところで、気になるのは庭の雑草と船の手入れである。しかし何よりも大事なものはドメスティックなサービスである。これがまずいと生産財の拡大再生産が遅滞して輪廻が不可能になる。というわけで、今日は映画「スターウォース”」への引率に行ってきた。

映画のスジを書いても仕方がないが、いかに精緻なCGもワールドトレードセンター崩壊のナマ画像には勝てないことがわかる。破壊、そして暗黒の都会に乱舞する乗り物が消費するエネルギー負荷に宇宙は耐えられるのだろうか。

近未来では化石燃料以外のエネルギーも利用できるかも知れないが、それが空中に放出されたら地球のみならず宇宙の環境もひとたまりも無いだろう。放出されたエネルギーが再利用できるならばいいのだが、映画には爆音をあげる乗り物や黒煙を吐く工場地帯が出現するところを見ると、ルーカスの想像する宇宙社会でも廃棄物は垂れ流しのようである。

歴史が示す通り文明には寿命があると仮定するとなら、今の機械文明もかなりいい所まで来ているように思う。俗に分化には寿命が無いが文明には寿命があると言う。そして、現在の技術の発展を規定するファクターはコストではなく環境負荷である。

例えば宇宙戦艦ヤマトに出てくる文明には、あらゆる物を破壊する波動砲を作る技術があっても放射線汚染を処理するコスモクリーナーを作る技術が無い。同様に、今の世界を先導する米国のポリシーにはより多くのエネルギーを消費する技術はあっても地球リソースに対する配慮が欠けているのである。

とは言っても、われわれ地球小市民にとっては身の回りの環境負荷を下げる努力が大事である。そこで、過去数年に亘って開発を進めてきたターボベンチレーションシューズを紹介しよう。

長々と前書きを引っ張った割に、写真を見れば終わりである。ちょうど足指間の付け根の4カ所に小さなターボベンチレーションシステム(要するに径4mmの穴)を置くだけだ。この部分の圧力変動によってジェットをムレ易い足指の間に噴出させるわけである。

写真は内部からシステムを照明した状態である。皮革に穴を開ける道具はDIYショップや裁縫道具屋にある。ウラに新聞紙を重ねたものをあてがると、キレイな穴を開けることができる。歩行だけでなく足の荷重が変化するだけ、例えば貧乏揺すりをする度に、またアクセルやブレーキを踏む度に換気されるようである。

このシステムのメリットは簡単に理解できるし、デメリットも即座に理解できるだろう。意外なことに、雨の日にはこの穴からは水はさほど入ってこない。それはおそらく着地時点では逆にこの穴からジェットが外界に放出されるからだと思われる。同様に白い靴下に黒いホコリのスポットが付くかと思ったが、それも思ったほどには目立たない。

靴に不思議な穴が空いているのを気にするムキもあろう。そのときにはその穴と対称な位置にダミーの穴(表皮のみを剥離)を作れば自然かも知れない。この部位にタッセル等の飾りがあれば目立たないし、飾り穴が多数あるウイングチップであれば、どれに穴を開けるか迷う楽しみもリザーブされている。

というわけで、地球リソースの配慮は自らの足もとから地道に始めなければいけないのである。

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July 6
シーズン到来発発整備のナゾ

レジャーシーズン到来なのに、期限の過ぎた原稿に呻吟しているWebmasterである。こういうときは一つ機械の整備なぞやって気炎をあげてから一気に片づけるのが吉だろう。そう言えば、不動の発動発電機(発発)があったでは無いか。台風シーズンでもあることだし、これを修理することにしよう。

今回の肴はコレ(2.5kW)で、2000年問題の折りに手当したものである。本来ならもっと気の利いたホンダの消音型にしたいところだが、Webmasterが買い出しにいかなかったので仕方がない。騒音(排気音)がものすごいので、2000年を無事迎えてからは次第にテスト動作の間隔が伸びていった。

昨年の台風シーズンに燃料コックを開けるとキャブからガソリンが漏れてきた。おそらくフロート室のニードルバルブが固着してオーバーフローしたのだろう。いつか直そうと思って放置していたのだが、動かない発発はいざというときに役にたたない。そこで、今回気合いをいれて直すことにした。

Webmasterは発発を整備した経験は無い。しかし、2.5kWと言えば約4馬力の原チャリ相当だからたいしたことは無かろう。キャブを見るとバイク用と違って固定ベンチュリーである。バイクだと負圧やアクセルワイヤーでベンチュリー径が変わるようになっているが、一定の回転数(3600rpm=60Hz)で回る発発は固定ベンチュリーで充分なのである。

写真はMikuni製のキャブをチョーク側から見たところで、上部に全開のチョークバルブが見える。左のパイプからガソリンが入る。白いフロートの根本にはニードルバルブがあって一定の液面を保っている。バラした時に振動のせいか、ニードルバルブの動作は直っていた。

フロート室の円柱の手前に付いている小さな真鍮製のニップルのようなものが定格出力時のガソリン量を規定するメインジェットで、今回はこれが完全に詰まっていた。円柱の中にあるエマルジョンチューブを外してみたが、これは詰まっていなかった。もうひとつはキャブの上面にもアイドリング付近を規定するパイロットジェットである。パイロット系には空燃比を規定するネジもあって、これは印を付けて締め込みまでの回転数を数えると1+1/4回転であった。

しかし良く考えてみると、バイクと違って発発はアイドリングしないからパイロット系はあまり関係ないのである。発発は負荷があろうが無かろうが一定の回転数で回っているので、かなりのガソリンをムダに喰っている。さすがに最近はインバーター式のものがあって、負荷が軽い時は回転を下げるものがある。この場合は交流はインバーターが創り出すので、エンジンは一定の回転数で回っている必要は無い。

ジェット類は柔らかい真鍮製だから堅い針金でつつくのは望ましくない。そこで今回はママレモンと超音波洗浄機の組み合わせを試してみた。今後のエコロジー時代では有機溶媒の使用も削減しなくてはならないのである。20分ほどするとメインジェットに穴があいてきた。ジェット類を元通りに戻し、キャブの経路をキャブクリーナーとエアで吹いて完成である。

キャブを固定して配管やリンク類を戻して試運転してみよう。チョークを効かせてヒモを引くと一発で始動である。チョークを戻すと最初は咳き込んでいたが、次第に安定してきた。電圧は105Vで規定出力を示す緑のランプが点灯した。これで台風が来てもOKである。構造が簡単なキャブ式は修理が簡単なのが唯一にして最大のメリットだろう。

テストが終わったら燃料コックを閉めてキャブのフロート室のガソリンを抜いておく。タンクのガソリンを抜いた方が良いのか、あるいはサビを防ぐために入れて置いた方が良いのかは議論が分かれる所だ。今回は即用のため入れたままにしたが、ワインと違ってガソリンは古くなるとどんどん悪くなる。

発発の整備はバイクいじりに慣れた人には何と言うほどのことも無いのだが、Webmasterにとって発発はとっても気になる存在だ。将来構想として電気を太陽光発電でまかないたいと考えているのだが、夜間のバックアップとしては発発も必要になるだろう。それには必要に応じて自動的に起動し、負荷が軽いときは回転が低く、負荷に応じて回転が上がるインテリジェントな発発かマイクロタービンが欲しいところだ。

もちろん排気ガスはキレイでなければならないし、廃熱も回収して使いたい。またサービスインターバルも十分に長く、メンテが簡単でなくてはいけない。いわば小型の家庭用コジェネであるが、市場にある発発の多くは建設現場での用途がメインのせいか、一般家庭での使用には向いていない。不景気な時代ではあるが、この当たりに商売のネタが転がっているように思う。

以前某ガス会社の方と話をしたことがある。その会社の本社ビルは表向き電力会社からの配線は無く、すべてガスエンジンのコジェネでまかなっていることになっている(保安用の配線があるという説もあるが)。できればWebmasterもいつかは電力会社から自立したいものである。まだ一般家庭の話としてはムリがあるのだが、コンビニやレストランなどの業務用ではすでに応用が始まっているから、技術革新によっては意外と実現は早いかも知れない。

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