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●風水別館 Annex version 2012

旧型Androidスティックmk802は実用可能かのナゾ
スマホ/タブレット陣容と予想外のwillcom解約顛末のナゾ
スケルトン懐中時計落下故障のナゾ
アップル対サムスンのスマホ裁判のナゾ

独立版トモヤドットコム発電所のナゾ
スタインウェイD274とベーゼンドルファM280弾き比べのナゾ
トモヤドットコム発電所一年間の発電量のナゾ
86とアクアはどちらがスポーティーか?のナゾ

プリウス2年半の燃費事情のナゾ
エキエル版ショパンバラード一番のナゾ
外国ではバイエル、ツェルニー、ハノン、ブルグミューラーは使われているか?のナゾ
東京都尖閣諸島寄附金のナゾ
トモヤドットコム発電所開設(3Qデータのナゾ)

リーフはプリウスより本当にエコなのか?のナゾ パート2(リーフはプリウスよりCO2を多く出している)
Webmaster的視点によるプリウスの燃費のナゾ
レトルトカレーライスの最小環境負荷料理法のナゾ
流行のラクチンダイエット作戦始動のナゾ
新年に誓うエコとの戦いのナゾ


旧型Androidスティックmk802は実用可能かのナゾ

最近手元で増殖を始めているAndroid機器であるが、今回旧型Mk802なるスティック型のAndroid端末をサンプルしてみた。その目的は、液晶テレビでyoutubeやロケフリのSlingPlayerを使うためである。

最近増殖しているスティック型のAndroid端末はスティック型PCとかUSB型Androidとか呼ばれているシロモノで、画像はHDMI端子でモニターを駆動する。あとは通常のUSB端子、マイクロUSB端子、そして電源だけである。LANはwifiのみだがドライバーさえあればUSBにEthernetアダプターは接続可能だろう。

すべてが9x3.2x1.4cmにすべて詰まっているのは驚きだが、集積度の高いチップを使えばこうなるということだ。これに無線部、液晶ドライバーとタッチスクリーンドライバー、音声入出力、マイナスHDMIドライバーでスマホになるわけで、実際のスマホでも一番大きいのは電池である。

現在は無線式のマウスを接続しているので、電線はたったの2本である。かつてWebmasterは近未来のパソコンはUSBハブみたになるだろうと書いたがこれほど早く具現されるとは思わなかった。ただしモニター端子がUSBにならなかったのは大人の都合(ディ○ニーなどの著作権対策)ということであろう。

これを買う前にこちらの記載を参考にしたが、この端末の進歩はメーカーが予想した通りにはならなかったのである。

本来オリジナルのMK802はHDMIがメスでケーブルを介しモニターに接続する。また電源は別途専用ACアダプターから供給される。一方MK802IIはHDMIがオスでそのままモニターに接続でき、電源はUSB由来で特に電源アダプターを持っていない。中のハードは同一(DRAM1GB)、OSは発売時期の差だ。

本来MK802はMK802IIに置き換えられるものであったが、実際には換気口を増やすなどの改良を受けて販売が続いている。また筐体も塗装でなく梨地の樹脂になっている。つまりMK802IIではなくMK802ver2というべきシロモノがやってきたのである。

なぜ旧型が改良されて未だ販売されているのだろうか?まずMK802IIのHDMIは本体が当たって挿入できないモニターがある。またモニター裏のノイジーな環境ではwifiが補足し難いことがある。さらにUSB由来の電源は容量や電圧が十分でない場合がある、などがサバイバルの理由であろう。

接続して立ち上げた時点で(電源スイッチは無い)GmailとGooglePlayはインストされていた。そこでwifiをセット、OperaやYoutube、SlingPlayer、Simeji、ZonerAntivirusをダウンロードして走らせると、余計なプレインストが無いこともあって操作は軽快だ

この時点でYoutube、SlingPlayerを経由して地デジ、BS、ケーブルのすべてのチャンネルの視聴と制御が可能になり、我が家でもっとも性能のしょぼい液晶テレビが一躍最新のスマートメディアに変身した

ただしこのシステムには電源off機能が無い。もともと電源が不安定なモバイル用途を前提としたAndroidは突然の電源オフでもシステムが破壊されにくいようには設計されているが、やはりSRAM書き込み時などは避けるべきであり、スタート画面に戻ったところで電源を落とすべきであろう。

DRAMが1GBあることと余計なプリインストが無いことで特にrootを取っていないが、外にパケットを飛ばすアプリはチェックし書き換えてある。課金される電話関係のファイルが無いことで非常に負荷は軽くなっている。

と書いたのだが、あれファイラーでルートフォルダーからやけに見通せるぞ。。。ひょっとしてsuperuser.apk、busybox.apk、、を阻止しない。rootの増進になってしまった。4.0.4の最新ファームもOK!だった。

まだ解析は十分でないがOSのレポートでは、

Model BC218
Android 4.0.4
Baseband 1.4
Kernel 3.0.8+ (Build Nov 3 2012)

とビルドに関する限り出来立てで依然としてまだOSに手を入れているようだ。この端末は中国から直接通関して来たが、どうやら工場かそれにごく近いところからやってきたようである。ストレージのレポートによれば、

DRAM1GB
内部SRAM 2GB
とある。CPUはAllWinerA10と称するARM Cortex-A8世代のシングルコアで L2Cacheは512KBのようだ。HDMIはHDの720pと1080Pが設定できるが、1080pでも特にカクカクする印象が無い。あやしい中華製ながら大きい液晶モニターを不足なく駆動できることにも一種の感慨がある。

Webmasterが払った金額は中国からの送料を込めてたった約3k円である。国内のすべてのハイテク産業が瓦解するかのようなインパクトだ。これにUbuntuをインストールすれば、windowsなどの重厚なOSは不要かもしれない。USB経由の外付けドライブも駆動すれば、もはやパソコンの筐体は不要になったのである。

老婆心ながら製品には当たりハズレがあるので、この端末が無事に一生を終えることができるかどうかわからないし、あなたが入手する端末がこれと同じかどうか解らない。気になるのは放熱である。オリジナルMK802と比べ表裏に放熱穴が増設されているが、それでもやや熱を持つ。

対策としてはUSB/電源/wifiアンテナのところの半透明カバーを外方に少し浮かせて空気穴を作り(写真参照)端末を縦に立てて使うことだ。煙突効果で殆ど熱くならない。集積度が高くパーツが少ないので、まず冷却が製品寿命を決めることになるので、この点は注意が必要であろう。!?

さて、この極限価格にはWebmasterは語るべき言葉もない。3k円弱からACアダプター代を引き、HDMIケーブル代を引きしていくと、このパソコンはおそらく数百円の原価ということになる!!次第に人件費が上昇する中国の次はベトナム、インドあたりであり、究極にはアフリカの赤道直下の熱帯ギニアあたりに工場は引っ越していくのではないか?

空想として太陽光で発電し冷房し水を浄化しながら一切の社会インフラに頼らず熱帯雨林に忽然として出現する未来の工場が目に浮かぶ。そこでは原住民の子供がハイテク機器を組み立てているのかも知れない。

われわれは安い価格でハイテク機器を享受することができるようになるが、職は奪われていく。その連鎖はどこで止まるのかWebmasterにも想像がつかない。

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スマホ/タブレット陣容と予想外のwillcom解約顛末のナゾ

ちらほらメールをいただくので、Willcom03に始まって次第に陣容が揃ってきたスマホ/タブレット艦隊の陣容を紹介したい。写真からわかるように、ハードにかかわらずホーム画面や壁紙もどれもほぼ同じにセットアップするのがWebmasterのやり方だ。10インチ以外はすべてrootをとり内部を掃除するのことを原則としている。まず売られている状態では使い物にならないからだ。

旗艦 REGZA Tablet AT700/35D

スペックは10インチ1,280×800、OMAP1.2Gx2、RAM1GB、SRAM32GBとまずまずである。ThinkPad無き今、コーポレートユーザーが満足できる国産の高品質な製品が減っているので、T芝のサポートには不安がありながら入手した。特徴として厚みが7.7mmと非常に薄いことでハンドリングは良好だが剛性が心配である。ヒモをつける所が無いので裏面に両面テープを貼りつけている。

10インチの液晶表示がきれいで電池が数時間持つことがメリットである。CPUパワー、RAM SRAMとも十分で何よりゲームやらの余計なプリインストールが無いことから(東芝のネット商売が全敗したからか?)わざわざrootを取る必要はない。キャリアは高い金をとりながら、さらに金を稼ぐために余計なプリインストールを載せるなど犯罪的である。μSDがあるが内部に32GBのSRAMをもつので、データーの出し入れやファームのインストに使う設定だ。

当初のAndroid3.2は不安定で、GUI操作もFroyo2.2に比べ不可解で解りにくかった。特にブラウザは標準もOperaも突然異常終了する癖があって、OSの不具合に起因すると思われる。通常はリソース不足でフリーズするものだが、この端末では何事もなかったかのような顔をしてホーム画面に戻るのだ。その後4.0にアップグレードして異常終了は減ったことからOSのバグに間違いないのだが、今度は別のバグが出た。

一つは無線LANのWEPがリトライを繰り返して異様に遅いことだで、WPAやセキュリティー無しでは問題が無い。これをT芝に報告したら誤魔化されそうになったが、強く再現実験を求めたところT芝でも再現された。まだ公衆サイトにはWEPのものもあるし、無線LANの基本なので出荷前に試しておくべきだろう。T芝は出荷前テストが甘い旧弊が治っていない。

以前某メーカーの出庫前テスト手順書を見たことがある。それこそ社員全員ですべての選択肢を手分けして虱潰しで調べるように書いてあったが、世界的な企業であるはずのT芝は明らかに真面目にやっていないようだ。やっていないからスマホでもしくじるのである。

もう一つは相変わらずFlashが落ちることである。基本的に不良品であるAdobe Flashはかなり重装備のパソコンでも良く落ちるので、T芝の責任では無いかも知れない。総じてハードは高い品質感があるものの伝統的にT芝のサービスが信頼できないところが残念である。今のところ経験したバグはマイナーで回避可能(WEPを使わなければよい)のでお勧めはしないが及第点はとれていると思う。

戦艦 REGZA IS04 + 予備の白ROM端末

T芝がスマホ事業をF通に売り渡す過渡期の作品で、当初スペックを欲張ったためにバグが多く、それを解決できないまま型遅れになり、廃番後にアップデートでやっと使える端末になったものだ。これは

続々Android増殖のナゾ第2弾(IS04編)

でも登場した。その後バージョンはBB43と進化しているがrootは取れている。BB39ではrootをとるのに試行錯誤したが、今は熱心なユーザーのお陰で簡単にrootが取れる。スペアの白ROM機を入手したので安心して試すことができる。

rootといっても目的は邪魔なプレインストールを消すためであり、rootを取るかなりの人の動機がこれだろう。Sャープ製のIS03やInfobarA01ではroot権限なしで多くのプレインストールを消せるのであえてrootをとる必要は感じなかった。キャリアはroot取りを嫌うが、それは自分が金をとって不要なプレインストールを載せるのが悪いのである。同様に評判が悪いwindowsのプレインストもユーザーが消すことができるのとは大きな違いだ。

特にfacebook、mixi、twitterはユーザー登録しなくてもプロセスやパケットを喰う極悪なものだ。これらは後からストアで自由にインストールでき消せるのだから、ユーザーの希望が無いのに消せない特定の社外企業のプレインストールを乗せるのは、”優越的地位の濫用として不公正な取引方法(独占禁止法第二条第九項第五号)”に相当するのでは無いか。過去windowsのブラウザーや動画再生ソフトで問題になったのと同じであり、この件は個人的に近々法的な対策をとる予定である。

スペックはQualcomm Snapdragon1GHz、RAM500kBと一昔前だが、4インチ液晶や1200万画素カメラのおかげでカッコは付いているし、ワンセグ、Felica、赤外線などはひと通り使える。何よりいらないプレインストール類を一掃しただけで軽快になり電池の持ちも良くなった。何度か文鎮化したが出先でもμSDから復活できる。

最近のスマホは高スペックだが、過度の発熱や電力消費などAndroidという屋台骨には過大なソフト、ハードが載っていてバランスが悪い。その点IS04はCPUパワーと電力消費がバランスしていて、rootをとりゴミを一掃して使う前提なら電池消費も納得いくところだ。

感心するのはSnapdragonS1の音声通信まわりの消費電力が小さいことで、パケットOFFだと一週間以上の待受である。AUはパケットOFFでもezwebメ−ルには着信音とLED表示があるので、Gmailや他キャリアに転送登録しておけば他の端末からもメールは確認できる。新品の不良在庫が安く処分されている(5000円以下)所を見るとT芝はこの製品のために相当な損害を被ったようだが、root前提で使い倒すには悪くない端末である。

今回、willcom03を解約してIS04に一本化するつもりだったが、予想外の顛末は後述することとする。

戦艦 Dell Streek 001D 

これは解約期限に間があるWillcomの契約を生かして音声端末X-PLATEとセットで入手した。音声はPHS、パケットはSOFTBANKの3G従量だがSIMは普段は入れていない。

液晶が5インチと大きい以外はSnapdragon1GHz、RAM500kbとIS04の同世代の標準的なものだが、16GBと大容量のμSDカードが付属するところがパソコンメーカーらしい。筐体にはもう一つシステムが使用するμSDがある。電池の持ちは非常に良い。筐体も丁寧に作られていて品質感がある。

この端末はグローバルモデルのためrootは簡単にとれるし非純正ROMも出回っている。同様にテザリングもスイッチソフトだけで可能であり、自宅ネットが落ちたときにバックアップに使える。何度か文鎮化したが純正ROMで復活することができた。

Webmasterが手にした最初のAndroidで、当初はありとあらゆるアプリを載せてみたが、載せれば載せるほど遅く不安定になるという当たり前のことを学んだ。基本的にはrootを取って不要プレインストを消した時点で使うのがAndroidの鉄則だろう。

筐体は220gと重いがギリギリ背広の胸ポケットに滑り込むサイズになっている(背広は歪むが)。液晶下のボタンは静電式でタッチして光らないとボタンの所在が解らない間抜けな設計である。5インチ液晶に上下に大きな耳が張り出していて顔にあてて会話するのには違和感がある。最近大型化したスマホもおおむね4.8インチ止まりというのもStreakの教訓かもだろう。

、 当初はビジネスマンが使う高価な端末で、基地ではドックに挿してパソコン的に使うコンセプトだったようで、HDMI、メインカメラ500万画素/サブカメラ30万画素、赤外線通信などと装備は十分だが、サイズが災いしたのか我が国では不良在庫となったようだ。コネクターが特殊ケーブルを要するため持ち出すのは億劫なので、主にトイレでニュースを読む時に使っている。

駆逐艦 WM8650 

続々Android増殖のナゾ第3弾(WM8650編)

で登場したもので、有名中華企業VIAが作った鬼っ子の7インチタブレットである。一応OS本体はFroyoであるがFlashが更新できないなどドライバー類は限りなくEclair(2.1) に近いものだ。ハードも本来WindowsCEやナビ、フォトフレームなど汎用の設計だったようである。

当初は反応が遅く使い物にならなかった。それはハングではなく、メモリー不足で先行アプリを殺すのに時間がかかって前に進まないのである。RAMが256kBしかないので漢字フォントや日本語変換のオーバーヘッドが重いのだ。

これはZ4rootでrootをとりSwapper2で仮想記憶をONにすると速度が上がってきた。そしてオプティマイズされたUniversal Uberoid WM8650 1.5.5 HoneyCombMOD v9.1.2をいれると俄然軽快に走りだした。

ただしちょっとしたアプリの追加でメモリーが不足してがっくり遅くなる。速度を保つためには壁紙もオープニング動画も壁紙も禁物で徹底的に軽量化する必要があった。現状ではブラウザー起動前に100MB以上空いているようにしているので、ほどほどの速度で使える。

この端末をいじっていて気付いたのだが、Androidではブラウザーさえあれば他のアプリは殆ど不要である。極論すればブラウザーがあればGmailもカレンダーも連絡帳もyoutubeも地図も何も要らない。どうしても必要なら毎回apkをインストし、終わればアンインストすれば良いのだ。

Androidのアプリは何かとGoogleとお話し(Sync)したがるが、ブラウザー経由なら起動しないかぎりSyncしない。アプリのようにクリック一発といかないが、OperaのSpeedDialに登録すれば手間は無いし、メモリー空間さえ空いていれば軽快に動く。

というわけで、現在は防水パックに入れて主に風呂場で活躍している。7インチという大きさは風呂場にちょうどよい。

駆逐艦 Willcom03 

この端末はwillcomストアのデータカードNS001Uと共にやってきた。NS001UのW-SIMを別途入手したwillcom03に挿すことでパケット、メール放題が月980円と格安な端末になる。ただし音声は相手にかかわらず31.5円/30秒とやや高目である。

私の知るかぎりWillcom03+NS001Uのつなぎ放題契約月980円はパケット定額では最安値であろう。これに匹敵するのはHYBRID W-ZERO3+新ウィルコム定額プランGSの月1450円である。470円高いGS契約はつなぎ放題契約に比べウィルコム同士通話がタダ、他社電話が31.5円/30秒に対し21円と安いので、通話時間によってどちらがトクかが決まる。

Willcom03は古いながら高機能なWindowsMobile、3インチながら800x480液晶、フルキーボード、ワンセグ、Wifi、青葉、カメラ、赤外線、μSDとまずまずの装備である。最大200kbpsと遅いながらテザリングも可能でMS-Officeも使えるなど侮りがたい。さすがに動画は苦しいが文章作成やサーバーの遠隔管理にはHYBRID W-ZERO3に無いフルキーボードが威力を発生する。

980円は二年縛りで期限が過ぎると「新つなぎ放題」契約にかわり月980円から3880円に値上がりしたので、これを解約し浮いた金銭をIS04のISフラットにまわすのが目論見だった。解約してもwifiで使用可能であるしワンセグなどの使い道はある。

ネットからは解約できないのでwillcomに電話すると解約はDTMFでは選べずにオペレーターにつながった。解約を申し出ると理由を訊かれる。解約を思いとどまらせるためか?

”個人的には気に入っているが契約が月980円から値上がりしたので、他キャリアのスマホもあることから解約したい。willcomはもう一回線ありそちらは今後も維持する心算だ”と言うと、会社からコールバックする、と言う。

次は男性から電話がかかり、同様の質問に答えたところお得な契約を提案できるという。内容は詳しく書けない基本料金タダ、willcomへの電話タダ、メールはどこへでもタダ、パケットは従量で最高2800円で、オプションとして980円で誰とでも割もつけられる。しかも縛り期限なしで解約自由とも言う。条件は親機のないもう一台割契約子機?と同じなので素直に提案を受け入れた。

来年にはStreakと組でやってきたXPLATEの契約が切れるので、Willcom03はこのもまキープすることこととした。というのは、現在WSIMを使う新規端末が無く新たなW-SIMは入手できない。手元にはwillcom03が2台とブラウザーを装備した9+があるのでW-SIMが故障しない限りジャケットは自由に選べる。高機能が必要ならWillcom03に挿し、身軽さが欲しいなら9+に挿せばいいのである。

ということで予想外な結果になったが、金銭的にはケリがついた。willcomの優良顧客を自認する方には試す価値のある話かと思う。実際IS04を常時パケットONとすると2,3日しか電池が持たないので、待受が一週間を超えるwillcom03と組での運用にはメリットがあるのだ。

番外 iPohne3GS

我が家にはなぜか以前から未契約未使用のiPhone3GSがある。iPhoneも一通りアプリを追加し、使い、消し、OSを変え、脱獄し、文鎮化して復活し、アプリを整理して動作を軽くして使い勝手を自分流にするなど一通りのことはやってみた。実物を使わずに評論をするどっかの無責任なサイトのようなことはしたくないからだ。

現状はiOS 5.0.1で脱獄したものをwifiで使っているが、これをガラケーでパケット定額で使い倒している子供に貸すこととした。作戦としてiphoneをwifiで使うことでガラケーのパケット代がダブル定額料上限より安価になったら、その差額を小遣いに加算するというものだ。

家族内であっても契約するところがユダヤ的かも知れないが、電話代の重みの教育にはいいと思う。そもそも自宅でwifiでつながるパソコンを渡してあるのにパケットを浪費するほうがおかしいのである。おそらく布団の中で見るのだろう。

子供が型遅れの3GSに狂喜したのには驚いたが、これが巷で言うところのiphoneの魔力なのか?4Sより解像度は低いが液晶サイズは同じで徹底的に中身を整理してあるので反応は良好である。渡した日は深夜まで離さなかった。

しかし翌日にはすでに飽きていた。全てのアイコン(cydiaを除き)を試してできる事できない事を察知したようである。情報過多時代にはそれなりに機器の限界をつかむ能力が育っているのだろう。

iPhoneは初心者に向いている。まずAndroidのようにホーム画面にウィジェットがひしめいていることは無い。どの端末でも同じ静的なアイコンが並んでいるだけだ。メーカーによってホーム画面が違うことも無いし、過度に高機能なこともない。どの機械でもメニュー構造は同じで解らなければ他のユーザーに聞けばいいアイコンもフォントも趣味のいいもので、端末の手触りもよい。

一方、ホーム画面でリアルタイムの天気やニュースが見れないなど、設計は不備なままである。ガラケーにすらある機能だがiPhoneだけを使うユーザーは宗教的なマジックなのか不備に気づかないようだ。自由なパソコンの世界で育ったWebmasterはiPhoneの箱庭的感覚には我慢ができない。たとえ脱獄してもアップルの塀の中で動いている感触にも耐えられないしホーム画面もフォントも独自に選びたい。ただし過載ダンプのような最近のAndroidが初心者に耐え難いこともよく理解できる。

しかし圧倒的なシェアを持つAndroidがコモディティー化するうちに、iPhoneのシェアは初心者や高齢者などに限られたニッチなものになる流れは否定できないと思う。

android端末の最大の欠陥は何か?

そもそもAndroid端末には大きな欠陥がある。それはAndroidの基幹のGmailや連絡帳、カレンダーを始め多くのアプリが情報の同期や更新のために勝手にポーリングするので無駄なパケットトラフィックが発生し電気を食うことである。

従来のガラケーではメール着信の情報は、端末の基地局とのハンドシェイクに寄生してプッシュされるショートメール機能(SMS)と同様の仕組みでリアルタイムかつコストゼロで届く。この仕組はあらゆる携帯に実装されていて同期のためにポーリングは必要が無い。GPSによる端末位置問い合わせなども同じ仕掛けである。

一方Android携帯はオープンアーキテクチャーである代わりにこの同期機構を十分に利用できていない。従って新規情報がなくてもリアルタイム性を確保するために無駄なパケットをポーリングしているのだ。

巷ではVoIPでのSIPの整備が進んでおり、これにより電池寿命が延びるという期待があるがそれは間違いである。SIPは基本的に端末のIPアドレスを追跡登録するプロトコールに過ぎないからで、実装によりいかようにもなり得る。

SkypeやLINEのようなVoIPが発呼着呼するためにはユーザー口座(あるいは050電番)と端末のダイナミックに変わるIPアドレスを追跡し紐付し続ける仕掛け(サーバー)が必要で、そのために端末は定期的に自分のIPをサーバーに知らせる必要があり、またデータ通信が可能な状態でなければ着呼しない。

このシステムはVoIP業者によって独自であったものをSIPにより規格化されることで業者をまたぐ接続の可能性が出てきただけである。SIPがSMSとリンクしない限り、端末は相変わらず無駄なデータをポーリングし続ける。IPが端末の位置登録とリンクしていなければ絵に描いた餅である。

端末の実装から見れば、IPが変わった時、あるいはGPSによる移動や加速度センサーへの入力があったときに移動したと判断してパケットを送る実装は可能だが、全ての端末が同様のセンサーを装備しているわけでも無く、またセンサー稼働による電池消費があるため統一的なアプリは書きにくい。さらに難しいのは着呼で、発呼から着呼までにユーザーが待てるリーズナブルな時間(おそらく30秒以内)を保証するためにはポーリング間隔が短くなり電池を消費する。

初期のVoIPでは会話を始める前にメールを打ってお互いのIPアドレスを知らせる方法があり、Webmasterも使ったことがある。これだと相手のIPを常時追跡するサーバーの仕掛けは必要は無い。ただしPPPやDHCPなどでは時間が経過するとIPが代わってしまうために、定期的にpingを打ってDHCPのIPが変わらないようにするなどの原始的な細工があった。原始的ではあるが、どうも未だGoogleは同期のために同じような原始的な細工をやっている形跡がある。

他にはIPを携帯のSMSで送る方法があり、これなら相手が端末を持っていれば通信要求に気付いてVoIPが可能となる。無用なIPの追跡は必要なく、携帯に備わったメカニズムを借用するという原理である。こうすれば無駄なポーリングも電池消費も生じないわけだ。

既に共通メールのようなキャリア純正アプリではSMSを使いリアルタイム性を確保しているが、それには機種毎に非公開モジュールが必要だ。またパケット余白をオマケ的に利用するので情報量や条件にも縛りがあり軽々とは公開できない。電池を食わずに安定したVoIPを実現するにはキャリアの協力が必要だが、VoIPでARPを失うキャリアにはできない相談である。

本来はGoogleはSMSを一般のアプリに開放するAPを作成するべきだが大人の事情で難しいので、現状ではアプリを増やせば増やすほど、無駄なポーリングのためのパケットを垂れ流し、電気を消費することになる。

これを解決するにはGoogle自体がキャリア兼端末メーカーとなるか、あるいはSMSを介するAPの開放をキャリアと交渉しなければいけない。たとえば特定のサーバーから同期を必要とすればグーグルのサーバーを叩き、それがSMSを使って端末に伝わって同期される、あるいは逆に端末アプリが同期を必要とすれば特定APを叩きSMSを使って特定サーバーに届くことが必要で、しかもそれが無料もしくは低廉でなければいけない。

キャリアにしてみれば、メカニズムを公開するよりは通話料金を安く、また低廉でリソースを食わない端末と償却の済んだシステムで商売をしたほうが良い。最近好調なWillcomがその好例である。携帯はもともとVoIPであり、電池とCPUを喰う高額なパケットをデータでなく音声に使うのは屋上に屋根を架するようなリソースの無駄と考えるので、Webmasterはwillcomを使っている。海外通信でもないかぎりVoIPのコスト効率、音質、確実性、電池ハンドリングはWillcomより劣ると考えるからだ。

実はSMSを使った個人認証はGoogleサーバーに既に実装され利用中である。Gmailアカウント新設の確認メールはSMSで各端末に届くのだ。SMSを介した認証機構はGoogleにおいて稼動中であり、GoogleはそのSMSを用いた同期のインフラを整備中と推察される。

同様の同期トリック、つまりスマホのデータ通信はオフのままメールを受けるシステムをユーザーが自前ででっち上げることは簡単だ。

まずAUのAndroid端末はパケットがOFFでもキャリアメールの着信をランプと音で通知する。同時にキャリアメールをGmailやwillcomなど2ヶ所に転送する設定にすれば、willcomのように電池待受時間が長くメール無料端末で着信して返事すれば良い。同様にFacebookやTweeterの状況変化もアプリを起動するのでなくメールを介すれば、パケットoffでも新着チェックが可能である。

今回willcom03を解約しIS04に一本化を画策したが、パケットONでの電池の持ちが問題になった。IS04でrootを取り無駄を限界まで削ってもパケットONだと天気やニュース確認のみでも電池は3日程度しか持たないからだ(静止状態で0.6%/h程度)。ただしパケットOFFなら電池は一週間持つ(0.6%/h程度)。想定に反しwillcom03が無料契約で生き残ったのでIS04のパケットは定額であっても電池温存のために必要時以外はOFFということになった。

現状のスマホの電源事情ではパケット使い放題というのは絵に書いた餅である。といのはスマホでは電池容量が制約となり到底パケット制限量に達するほど使うことはできない。

逆に大型バッテリーを繋ぐなり、ACに繋ぐなりして光回線やADSLの常時接続のように使えばパケット制限量には容易に到達してしまう。個人的には、絵に書いた餅であるサービスに多くのユーザーが高い料金を払い続けることと、パケットの多くが無駄な同期のためであることに違和感があるので、些細な抵抗を続けているのである。

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スケルトン懐中時計落下故障のナゾ

子供が機械式の懐中時計が壊れたと言って持ってきた。今時風流な時計を使っているのは世間へのアンチテーゼなのか解らないが変わった趣味である。

何でも落としてから動かなくなったと言う。さっそく蓋を開けて調べると、危惧していたテンプの軸(真)が折れたわけではなく、ショックでテンプが回転しなくなっている。通常はテンプの振り石がアンクルを戻すのだが、テンプが異常回転してアンクルを戻すとは逆の方向へ抑えつけたままになっているのだ。これならWebmasterの技術でも十分直せる。

テンプの軸受は衝撃を吸収するようになっていて衝撃時にはかなり動くのだ。衝撃時には軸が移動しながら振れ幅を超えたところで戻ってアンクルと噛み合ってしまったのである。

暴力的に戻す方法もあるが振り石が壊れると修理がやっかいなので、テンプを一度外すのが良いだろう。その前にこの時計の構造を把握する必要がある。まずテンプ(金色の輪)とゼンマイ(香箱)の一番大きい歯車(角穴車)に注目して欲しい。この2つは性能のためには大きいほど良いとされているので、通常はお互いに180度で向かい合っているが、この時計では約120度になっている。とすると、

    □ベストセラー機械式時計お手入れのナゾ

の図Cの構造にあたる。この場合、まずゼンマイの回転は中心の2番車に伝わる。2番車は分針を回す歯車だ。そこから中心からオフセットした3番車に伝わり、それから2番車と同軸の4番車に戻り秒針を動かす。これにガンギ車が噛みあい、アンクルを経てテンプを動かすのである。

この構造はETA社の前身の一つのファウンテンメロンのCal.97の系統で、中央に3つの貴石が三角形に並ぶのが特徴である。実は日本のセイコーやオリエントの普及ムーブメントの大半がこれのコピーである。

そういえばセイコーが誇る天文台クロノメーター45GS V.F.A.(Cal.4580)も、この系統のムーブメントに歯車を2個追加しテンプを両持ちの10振動としたものだった。すなわち3番車から秒針を駆動する4番車経由でガンギ車へでは無く、3番車から独立した2個の歯車を介して増速してガンギ車を駆動していたのである。

この輪列とした理由は2番車と4番車の同軸のカナの位置によるアガキによる誤差を嫌ったものとWebmasterは解析している。基本的に同じCa.4522の輪列は正ちゃんの時計修理blog(無断リンクk)で見ることができる。確かに精度には優れたCal.45であるが、地板などの仕上げはスイスの高級品とは比べるものにならないほど質素であり、姿勢の歩度調整は古典的方法と異なる一種のトリックがある。機械時計の頂点を極めたとのセイコーの思い込みは過大であろう。

代表的なセイコーの7S26の写真を示すが、当初Cal.97でアンクルを固定するブリッジの剛性が低い欠点があったのでその後両持ちとなり、その後もう片方から固定されるように改変された。45GS V.F.A.は先祖還りして両持ちとなっている。

このムーブメントが国産の系統かそのコピーかと言われると異なる。国産は三番受けが自動巻きを載せるために強化されているが、サンプルの三番受けはシンプルなままである。おそらくファウンテンメロンの基本設計が旧共産圏や開発途上国に流れ、その後独自にコピーされ発達したもののように見える。かつてクオーツ時計が全盛となりスイスから加工機械やライセンスが捨て値で放出されたことがあった。

分解していると工作は全般的に荒いものの、要所要所はNC加工で精度が出ており歯車にも最低限の仕上げは施され、テンプも釣り合いの切削の跡がある。現在はNC加工機の普及で昔は超高級時計にだけ許されたスケルトン加工も格安で可能なのである。この時計は市価2,3千円に過ぎないのだ。

これがはずしたテンプである。驚くべきことに、NC加工のおかげで日本の機械式時計が全盛を誇った頃の加工より良い所も散見され(悪いところも多数あるが)安物ながら美しい。穴石もシャトンにキレイに収まっており低レベルながら飾りまで入っているでは無いか。見栄えは現行セイコーやオリエントの普及品よりむしろキレイである。

ただ個人的にはテンプをはずしたく無かった。というのは見て解るとおり脱着でテンプのゼンマイにストレスがかかり変形する。従って戻した後キレイに同心円状に伸縮するようにゼンマイの振れを整形する手間がかかるからだ。組みあがった印象では、出所不明のムーブながら、実用に問題無い程度の精度になっている。おそらく汎用として数が出ていてそれなりに手が入り煮詰まってきたのだろう。さてゼンマイの振れ取りの仕上がりはどうだろうか。

図をクリックしていただくとビデオがご覧いただけると思う。(見えないときはGomplayerなどをインストールして欲しい)。

ゼンマイの整形は今一つの所だが、乾いた音がしており振れ幅も十分で日差30秒程度の誤差なので、これで良しとした。

久しぶりに覗き込んだ機械式時計は実に美しい。今はアジアの片隅の名もない工場で作られ、驚くほど安い値段で流通しているムーブメントなのだが、それでも十分美しく加工されて立派に動作するのだ。

再度機械式時計に魅了されたWebmasterなのであった。あなたは機械式時計の魔力に勝てるだろうか?

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アップル対サムスンのスマホ裁判のナゾ

先日米国でアップル対サムスンの米カリフォルニア州の連邦地裁におけるスマホ裁判の判決が下った。米カリフォルニア州の連邦地裁陪審員団は全員一致で、サムスンがアップルに10億5000万ドル払えという評決であった。ものすごい金額ではある。

今回問題になったのは主に意匠の特許に関するものだ。内容の割に10億を超える判決はフェアで無いような気がする。そもそもアップルの意匠にオリジナリティーがあるのか?ということだが、個人的にはiphoneのデザインにはオリジナリティーは無く、過去多く存在したPDAや端末のデザインの寄せ集めに過ぎないと思っていたし、現在でもそう思っているからだ。

今回のアップル側の主張をアップルVSサムスン裁判を一枚の画像でおさらい の情報に基づいて論評したいと思う。この際、サムスン側の主張は議論しない。というのはWebmasterは今回の裁判をアップル対その他すべてのスマホという観点で見ているからだ。

1)iPhoneの装飾デザイン

これは、角が丸くバスタブになった本体に最小限のボタンをつけたもの、という意味らしい。これがアップルのオリジナルかといわれれば絶対に違う。これを見てほしい。

これは、

     □発掘されたPalm端末でネットが楽しめるか?のナゾ

で登場した$ONYのPalm端末CLIEシリーズの一台PEG-SJ33である。$ONYにとってデザインが自信作だったのか、未だ公式サイトが残っているほどである。この製品の半透明なカバー(着脱式)をとると、デザイン、角、バスタブ、ボタンのデザインなどiPhoneやiPadに実に似ている。

触ってみると非常に手にやさしく裏まで角がなく平滑なバスタブ型に仕上げられているが、それが災いして滑り易く落としやすいのはiPhoneと同様である。これの発売が2003年1月、対して初代iPhoneは2007年である。

なんでサムスンが裁判でこのモデルを反論に使わなかったのかが解らないが、Webmasterが最初にiPhoneを見たときはアップルほどのデザイン重視の大会社が同様にデザイン重視の大会社$ONYの製品をパクっていいのか?と思った。iphoneのデザインはパクリであり、まさかこれが意匠パテント067、677として認められていたとは思わなかった。実際に$ONYはCLIEシリーズではありとあらゆるデザインを模索しておりネタの宝庫である

我が国で真に使い物になるスマホが一般に認知されたのはW-ZERO3で発売はiPhoneより2年前である。個人的にその末裔であるWillcom 03を使っているが、ワンセグや青葉を除けば機能の殆どは初代W-ZERO3でも実現されていた。

W-ZERO3は今から見れば集積度に当時の限界を感じるが、キーボードの厚みを意識させないように上下端がバスタブ状になっており角はオクタゴナルに削られているなど、高機能なスマホを作るとすればこういう意匠にしかならないのではなかろうか。キーボードがあるのでコードや文章を書くシリアスなユーザーには未だ優位点があるかと思う。

実はW-ZERO3以前にも使い物になる携帯端末はあった。例えば1997年発売のT芝Genio(PHS、OSはGeoworks)にはブラウザー、メール、キャリアメール、手書き通信、画像通信などが実装されSmartMediaカードを収納していた。その後のGenio一族は電話機能を落として青葉、WifiとCFモデムに頼るPDAに徹したのは今から見れば路線の誤りだったかも知れない。

PDAとしては1997年のパイオニアDP-211と、そのフル液晶のあまりの使い難さにボタンが付いた1999年のパイオニアJ-PE02がある。機能的には液晶が128x88で画像の通信ができたりピアノ画面で着メロを編集できた。筐体デザインが変なのはカーオーディオのパネルを兼ねる予定があったかららしい。機能的には先のGenioよりかなり劣るが。

Webmaterは操作した経験があるがフル液晶は視認性とタッチが悪くてダイヤルし難く実用性は乏しいと思った。おそらく業界全体もフル液晶には操作性においてネガティブな印象があったようで、その後はW-ZERO3までフル液晶は沙汰止みになったように思う。Webmasterも手動ダイヤルする時はWillcom 03ではなくガラケーを使うのが常だった。

以上のようにiPhone以前に似たような端末は多数あったのだが、iPhoneやAndroidのように大成功とならなかったのはメーカーが電話機能の統合に熱心でなかったからだと思う。ある程度長く使うPDA機能に対し製品寿命が短く端末の認定がやっかいで通信代が高価な電話との相性が悪いからだろう。W-ZERO3族が成功したのは電話機能をWSIMとして分離したことと、PHSの通信料金が低廉だったからだと思う。

次に、

2)丸みを帯びた四角形のアイコン

そんなアイコンは過去からいくらでもあるので、オリジナリティーはまったく無い。そもそもプログラマーは四角い枠を廃して一個一個デザインの違うアイコンを作るべく苦労してきたのだ。四角いアイコンは独自の輪郭を持つアイコンより低レベルなのである。

なぜiPhoneのアイコンが四角いかというと、静電式タッチパネルは位置精度が低くある程度の面積が必要という技術的な制約によるもので、決してデザインから四角くなったのではない。過去のPDAは通常抵抗膜式であり、スタイラスによる位置精度が優れるもののある程度の接触圧を必要とした。抵抗膜式でもダイヤルボタンは角が丸い四角は普通だった。

デザインに制約が出る四角いアイコンを使うのは静電パネルの制約でありデザインもはなく技術的な退歩である。アップルのアイコンは細部まで練られていてセンスが良いことは認めるが、基本的なデザインは過去のパソコンやPDAで使われてきたものの焼き直しで、オリジナリティーはまったく無い。

唯一のiPhoneの功績といえば、位置精度が低く水に濡れると感知しなくなる静電パネルを敢えて採用したことだろうか。通常の設計者ならスマホにワープロなどの文章編集機能を期待するので位置精度が低い静電パネルを使おうと思わない。静電パネルだと編集がやりにくくどうしても大きなパネルサイズを要する。

アップルは通常のユーザーは文章の編集などしないだろう。読むだけで大半はクリックしかしないし、文字も短いメール程度であろうとの愚民政策に徹したのである。細かい編集には面倒でもマルチタッチで編集部分を拡大すればいいのではないかという割り切りが達観であると言えばそうかも知れない。

次に

3)シングルタッチとマルチタッチジェスチャーの判別

個人的には、iPhoneの唯一のオリジナリティーはマルチタッチだと思っていた。ただし意外なことに、モトローラとの係争で2010年10月にAppleが取得した、「スクリーンをタップ、スライド、ピンチといった種類の操作に対応するデバイスをカバーする特許」は無効という判決が確定している。理由は良く解らないがおそらく過去に特許が存在したとは思われるものの、とにかく無効は無効なのである。そこで今回の係争ではマルチタッチは争いになっていない。

かつてモトローラは米国Android勢の中心だったので訴えられたのだが、米国の裁定には全世界が倣えであり、特許は無効ということである。アップル対モトローラにはアップル対サムスンに似たCPUがらみの因縁もある。

4)バウンスバック(スクロールして端までいった際に 跳ね返るアクション)

バウンスすることで終端に達したことをわかりやすくなるかも知れないが、別バウンスし無くてもどうでも良いパテントである。iPhone以前から許容しない操作にアイコンが磁石のように反発するものはあったので、これもオリジナリティは無い。MacOSのドックでは腹立たしくも過剰なアニメーションが目立ち、それがWebmasterがMacOSを好まない原因の一つである。

世の中には役に立つ発明と、どうでもいい発明がある。例えば鉛筆の片方に出しゴムを付けるのは意味がある発明かも知れない。もちろん鉛筆の片方にフォークをつければ、もの書きしながら食事できるかもしれないが、だから何?という種のどうでもいい発明である。アップルがこういうことで戦うことが、かつての栄光から堕落したことを示している。

蛇足ながら、携帯端末に加速度計を搭載したのは2004年の三菱製のV401Dであり、既に端末の向きで表示を回転する機能は実現されていた。磁気コンパス機能を搭載した端末しては2005年のG'zOne TYPE-Rがある。GPSは2004年から殆どのCDMAX1端末に搭載されていた。抵抗膜の時代から画面のアイコンを指で操作していたので、iphoneのNewはたった一つ、マルチタッチだけということになる。 しかし、Webmasterが一番おもしろいと思るマルチタッチの特許が無効とされた以上、個人的にはiPhoneやiPadにあるのはオリジナリティーではなく、ファッションセンスだと思う。スカーフ一枚にしても、それを一流のスタイリストが付けるのか、素人娘が自分で付けるのかの差であり、その差は非常に大きくてタレントの生命を決める場合もあるかもしれないが、素人娘と大して変わらない場合もある。スマホがコモディティーになってしまえばその差はマスの海のなかに埋没してしまうだろう。

iPhoneもiPadも現時点では商売としては成功しているかもしれないが、その成功は短く将来は暗い。初期のマッキントッシュの功績(Xeroxからパクったアイデアを民生品レベルで実現した功績だが)に比べると歴史的にはヌルに近く、ニュートンと同様に忘却されることだろう。アップルは携帯音楽プレーヤーもスマホもタブレットもあたかも自分が発明したかのような口の利き方をするが、それらはずっと以前からあったのだ。確かに課金ビジネスにつなげることには成功したかも知れないが、いずれも課金の発端となる特定の囲い込んだハードの売れ行きに依存しているので、ハードのシェアを失えば一瞬で崩壊するビジネスに過ぎない。

不思議なことに、アップルは過去のPDAニュートンに関して一切語らない。またニュートンのためにARM6を開発したことも一切語らない。個人的には、アップルはニュートンが商業的に失敗したものの、失敗に学んだPalmやWindows mobileが発展したと自慢?する権利はあると思う。ただしiPhoneやiPodで神経戦を行うことは、過去のアップルの栄光に泥を塗ることであり、またiPhoneやiPadはマッキントシュより早く黄昏を迎えるものと予想している。

歴史的にみると、iPhoneよりはクラウドと連結したアプリ、メール、連絡先、カレンダー、GPSに連動したマップや検索、宣伝による商売とフリーで高度なスマホOSを公開したことなど、完成度はともかくGoogleの成果は大きい。アップルはハードとパケット代のピンハネに依存しているにすぎず、商売が傾むけばノキアやガラパゴス端末メーカーと同様に一気に没落するであろう。

一方Googleはハードに依存せず情報を提供することによる経済活動からピンハネしようとしている。流れに取り残されていることにようやく気付いたアップルはクラウドを急ぎ整備しているが、Googleに依存していただけにシェアが傾くと悲惨である。もしアップルがGoogleとクラウドのビジネスモデル特許の係争になれば負けは明白であり、仮にiPhoneが純正クラウドをコピーとして禁じられ、またGoogleクラウドから遮断されればスマホとしてはお終いになるリスクもある。

アップルの製品のデザインは洗練されているが、それはハードウェアの設計、とくに生産性、冷却性、実用性、整備性を無視して成立しているものだ。通常のメーカーなら電池を交換できSDカードを挿せるように設計し、プロプライアティーなドック端子は使わずレガシーな端子も需要があれば残すであろう。例えば業務用Windowsマシンに未だPS2端子が残っているが、それは旧来のユーザー認証機器に繋ぐ用途が残っているからである。

それとiPhoneに感じるのは、電池が消耗すれば毎日使う携帯として商品寿命がお終いになるなど基本的に使い捨ての設計であることだ基本的に電池交換を許さずSDカードをつけないことで、すべてのデータをアップルの支配下、あるいは商売の下におくという愚民政策なのだと思う。

確かに最近のスマホの技術発達は急速で、電池交換するより機器更新の方がメリットがあった。しかしスマホが成熟し発達が止まれば解らない。現在のパソコンでCPUの世代や周波数を気にする人は居ない。XPが依然として動作パソコンの1/3を占めるように最新OSでなければと思う人も居ない。それはパソコンの性能が成熟したからである。アップルもパソコンビジネスは終焉しており、今はパソコン界のBang & Olufsenであるに過ぎない。

スマホも液晶、電池、CPU、通信速度が急速に進歩し、画面サイズ以外はパソコンに匹敵する所まで来てしまった。これ以上液晶が大きくなるとポケットに入らないし発熱で火傷しかねない。携帯情報端末としてはサイズ的、性能的に天井に当たったのだ。

印象として現在のスマホはパソコンのCPU競争が激しくインテルがPentium4を開発したころに似ている。パソコンはその後Pentium3系に出戻ってcoreとなり、80486が出戻ってAtomとなった。同様にスマホの発達も一段落し、タブレットがノートパソコンの一部を代替するものの、その後は大衆の興味を急速に失って単なるコモディティーに堕すると予想している。

すでにリーク画像が出回っているiPhone5は縦横のバランスが悪く貧相で突出したデザインではない。そもそもアップルが独自と主張する角が丸いバスタブのようなデザインはアップル自身iPhone4で放棄しており、その後は縁を金属リムで囲った凡庸なデザインに堕落している。また依然として待ち受け画面に天気予報やニュースをダイナミックに表示する仕掛けが欠けているのはおどろくべきことだ。

前回のモトローラに続き今回サムスンがアップルの標的になったのには多くの理由がある。アップルはファブレスでありiPhoneのCPUのすべて、またメモリーや液晶のかなりがサムスン製である。一方サムスンはこれらの戦略部品を自社で生産し他社にも供給しているのでアップルや同業他社の次期モデルの性能を把握している。とすれば、開発力が旺盛なアジアのメーカーに対し、今後出す製品は後手後手に回るということだ。

サムスンはAndroid陣営の主要メンバーであるだけではなく主要部品のサプライヤーとしてアップルの生存にも深くかかわってくるので、アップルがサムスンのスマホを潰そうとするのは当たり前で、過去CPUから製品までを手がけるモトローラを潰そうとしたのと同じ理由である。

ただし、アップルの裁判の動向に関係なくスマホのシェア争いではアップルは既にAndroidに負けているし、ピーク性能についても負けている。雲霞のごとくアジアから発生する名も無いジェネリックなAndroid端末のシェアを逆転できる可能性は無い。ソフトウェアのディベロッパーも最終的にはシェアに付いて行くのである。

それではアップルはiPhoneの次はどうやって儲けるのだろうか?

可能性としては、今まで稼いだ膨大な資産で金融や生命保険などに進出するのだろうか?すなわちiFinanceやiInsuranceあるいはiFundにでもなるのだろうか?

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東京都尖閣諸島寄附金のその後のナゾ

いよいよ中国が動き出した様子である。今回尖閣諸島に上陸したのはおそらくプロの活動家で騒ぎを起こすことが生活の糧であり、それに資金を供給している筋がいるということだ。

活動家が二種類の旗を持って行った事が資金源を物語っている。アルカイダなども同様で活動を維持するには誰かが金を払っているのである。

今回の騒動で興味深いところは、海保との要員が上陸していたことだ。思えば政府は借地料を払っているので公務員が上陸するのは問題が無いという解釈なのだろう。とすれば、同じく海保が管理している灯台を建てて問題が無いということになる。当然同様に海保が運用している安全航海のための海洋短波レーダーも設置して良いということになる。

同様に気象庁のアメダスの出店を出しての気象観測も問題なく気象レーダーを設置しても良いことになる。公務員が上陸したとすれば、公務員がテントなりプレハブ小屋に駐在しても良いということになる。電気は太陽光発電で無尽蔵だし、電気があれば飲用水も降雨や海水から確保できるしシャワーにもかかれるしエアコンも動作する。

電気があれば衛星リンクはもとより、職員福祉のためのテレビやネットも可能である。我が家にもあるSlingboxなどのロケフリを仕込めばニュースもトレンディードラマも自宅同様に視聴や録画再生が可能である。果たして軍事用レーダーやセンサー類を置いて良いのかどうかは議論があろうが、少なくとも航行情報や気象情報は世界の皆様の安全に立つことだろう。

日本人なら、ご飯が炊ければオカズのレトルト物があれば、味気ないレーションよりはマシだろう。園芸に心得があれば葉野菜など栽培できるし、何より地面の上で暮らせるなら絶えず沿海で揺れている船より居住性は良いかも知れない。もし快適な装備があり手当てが付けば希望者もいるかも知れない。

敵は日本のみならず、台湾、フィリピン、ベトナムにも一方的に領土を宣言し、管理する役所まで作っているような国である。島を取られる前に人が住んで航海情報や気象情報を世界中に提供することが重要である。

今回、日本の民間人も上陸したようである。その政治的意図は別として、民有地を国が借りているようなので、店子に菓子折り程度は送って挨拶しておくのが日本人の礼儀というものだろう。

なお、東京都への寄付に知事からの礼状と確定申告用の領収書を送ってきたので掲載しておく。税金を払っている方の場合、寄付控除により最終的なコストは振込み手数料だけになるので、趣旨に賛同される方には行動されることをお勧めする。

東京都尖閣諸島寄附金(趣意書および振込先)

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独立版トモヤドットコム発電所のナゾ

太陽光発電は予想を超える発電量となっていることは既に書いた。設置してみないとわからないことである。電事連が長年おこなってきたネガティブキャンペーンより成績が良いことは満足すべきであろうが、Webmasterは書類にハンコを押して工事に立ち会っただけなのでDIYによる自立を旨とするWebmasterにしてはちょっと物足らない

ある日ネットを散策していると、太陽光パネルの価格が激しく下がっていることに気付いた。そこで以前から計画していた自立型の発電システムを実現することとした。というか、既に充電コントローラーやインバーターは手当していたので、あとはパネルと蓄電池だけ、という段階だったのである。

ネットでは100Wパネルが送料込みで@1.4万なので、4枚で400Wのシステムを組めばエアコンを除く自室の消費を全てまかなうことができる。これとメインのシステムの自立運電を併用すれば電力会社の停電恫喝を無視できる。

と思っているうちにパネルは届いてしまった。規格は120x55cmの単結晶で驚くことに効率は18%を超えているが本当か?しかしピーク電流からするとどうやら本当のようであるが、アルミ枠がシャープ製より若干弱い感じはある。LSIと同様に半導体は中国でも良い物が作れるのだが、封止などの実装が長時間耐えるかどうかは時間がたたないとわからない。

ただし、すでに主な屋根試算は使っていしまっているので、2枚はベランダ、2枚は庭に設置することにした。写真は庭のパネルを2階から撮影したもので架台はアルミアングルで自作した。台風にも耐えるように厚めのアングルをつかったところ材料代が高くなってしまった。アルミは高いのだ。

アドバイスとしては、アルミの脚立や作業台、物干し台などをアルミアングルで補強したほうが安く丈夫なものができると思う。庭は南中から午後には100%の日射であるが朝夕が影になる。あとの2枚はベランダとした。

設置は単管継ぎ手でベランダのパイプに設置した。角度はストッパーで変えられるようにした。当初の計画では夏至の南中でパネル全体に日光が当たるはずだったが実際には一部が当たらない。家の設計図が雨どいを含まない寸法だったので予定が狂い、それが余計な穴が多数ある理由である。このパネルは11時から日没まで日光が当たる。

バッテリーは本来高価なディープサイクルのものを用意するべきだが、費用面と実証実験ということで安価な自動車用44AHx2とした。システムとしては南中前後はフルに発電するものの朝夕のロスがあるので一日平均発電量は0.6KWh程度である。屋根の上より効率が悪いが発発を2時間回す電力と思えばそれなりの価値はある

バッテリーは満充電で電圧が上がるとコントローラにより充電が止まるのでそれ以上の発電は無駄になる。また電圧が低下するとインバーターがシャットオフするのでロスとなるが、初期のリサーチと自室の電力会社からの独立は達成したので、電力会社の停電恫喝にロウソク以外に為す術が無いよりは気分が良い

今回の驚きは太陽光パネルのコストである。果たして14万円/kwh(送料込み)というパネル価格で製造がペイするのか?あるいはコストを割ったものが流れてきたのか?は解らないが、この価格がグローバルに常態化しているとすれば既にグリッドパリティは実現されていることになる。

仮に3kwのシステムを組むとしてパネルが14万x3=52万、架台+電線+工事費を15万、パワコンを15万とすると82万/3kwh=27.3万/kwとなる。

発電量を1200kwh/仕様kw/年とすればkwあたり227.5円/年、寿命を10年とするとkwあたり22.75円となり、確かに電気代より僅かながら安い。現在メガソーラーを建設している大手業者は設備寿命12年として発電原価が約25円/kw、売電が42円/kwで金利等を入れてもペイする、との計算を示しているので、大量に手当てすればこの程度の値段になるのだろう。

とするとWebmaseterのパネルはグローバル的なバルクの調達価格とさほど変わらないとすれば、日本の家庭向けの発電がシステムとしては依然として40-50万/kwと高止まりしているのが気になる。

もっと安くできるのでは無いだろうか?これには、補助金や電力会社との煩雑な役所仕事代が含まれることで日本独自のコスト高止まりがまかり通っていると考えるべきだろう。日本人はもっと自律的に動かなければいけないのではないか?もっと奮起して建設にも役所仕事にも頑張らなければいけないのではないか?

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スタインウェイD274とベーゼンドルファーM280弾き比べのナゾ

某月某日、ステージ上のスタインウェイD274とベーゼンドルファーmodel280を1時間借りる企画に参加した。いろいろなピアノを弾いてきたWebmaterであるが、ベーゼンドルファーのフルコンは初めてなので興味深深である。

とはいえ、まず比較のためにスタインウェイD274を弾いてみた。このピアノは世界的にコンサート用としてもっとも多く使われているものだ。

その基本設計は100年以上前のもので、製造はNC機器で一部は合理化されているものの、もっとも重要なリムの製造法は変わっていない。しかし貴重木は枯渇しており、膠や皮革、羊毛なども昔ほど良いものは得られないので品質が低下していると言う人もいるが、依然としてピアニストの人気ナンバーワンを保っている。

個体は二年ほど前の独ハンブルグ製で、立派なキャスターが付く代わりに鍵盤はワシントン条約のためか象牙ではなく素っ気ないアクリルである。それもいわゆる人工象牙ではなく日本の普通のピアノに貼ってあるアクリペット(R)に似たものだ。以前から最近のスタインウェイがアクリルであることは知っていたが、最近のものは人工象牙になっていると思い込んでいたので時代の流れに感慨はあったものの、特に弾きにくいということは無かった。

素のアクリルは新品の時は滑りやすいが、弾き込むと爪による無数の傷が入るので滑りにくくなる。もちろん、最高の象牙には及ばないが最低な象牙より遥かに弾きやすい。もし気に入ったピアノをクリーンアップするなら鍵盤表面はバフで磨かないよう頼む方が良いだろう。

今回の企画のための調律はされていないが、よく使われる個体らしく狂ってはいない。第一印象はピアノが引き締まって感じられることだ。鍵盤も軽く黒鍵もほっそりして弾きやすい。世界の一流のフルコンと言えば、スタインウェイ、ヤマハ、ファツィオーリ、カワイ、ベーゼンドルファーなどだが、仕様上はスタインウェイが274cm、ヤマハCFXが275cm、カワイEXが276cmと微妙ながらスタインウェイが一番小さく、しかももっとも軽いのである。

それでいてスタインウェイは100年以上音量トップを誇っていたが、ついに最新のヤマハCFXに音量では分が悪くなったものの、依然として王者として君臨している。

どうして軽いのに音が大きいかには種々の要因があるが、一言で言えばフレーム付き応力外皮構造(モノコック)に近いということだ。弦を支える金属フレームと丈夫な箱ががっちり組み合わさり、一周ぐるりと強固に結合した箱全体が鳴るということだ。さらに弦の振動を共鳴させるアリコートで倍音も稼いでいる。

写真はピアノの底を尻尾から見たものだが、鍵盤中央から放射状の支柱が前後に貫いている。わりと華奢な金属フレームのアゴがこの放射状支柱の中心(後框)と噛合っており、弦の張力を金属フレームと木製支柱で折半して弦の振動を強固な箱に伝える。スタインウェイだけが支柱、リム、後框、ダボで結合した前框とピン板からなる箱を作ってから響板を貼り込む手順が他社と異なる。この設計にはノーベル賞学者のヘルムホルツも加わったと言われる。

この製法に最も近いのは実はヤマハのフルコンだが、内外リムを一体整形しない点とピン板を貼りこむ時期が異なる。ヤマハの普及品はピン板は金属フレームに抱き込まれた形で貼りこまれ、前框はその後に接着される点が異なる。カワイはより旧来のドイツピアノのように響板をインナーリムに貼った後にアウターリムを貼り箱を完成する点が異なる。

軽く小さくしかも最大のパワーを持つピアノ。車で言えばJPSカラーの頃のロータスF1(77)のような感じか。設計と構成要素に無駄がないのだ。そのかわりピン板とフレームのすり合わせや駒の仕上げなどが非常に手間を喰うことになる。

いつもの練習曲(亜麻色、革命、幻想、沈める寺、パガニーニ18番、夢、鐘、バラード1番、スクリャービン悲壮)などを弾いて見ると低音は鍵盤やペダルに伝わる振動とともにジンジン鳴り、高音は広いホールからも帰ってくるほどの音量がある。

フルコンの鍵盤は長いが、錘は良く調整されていてむしろ軽いくらいで慣性もさほど感じない。音質には好みもあるだろうが、今回の個体は高音が大人しく思ったほど伸びない代わりに低音の巻き線のジンジンという響きとそれが干渉するうなりは大き目だった。良く使われているだけあってペダルは遊びも少なくプログレッシブに調節されている。ただし高音のレットオフは大き目でピアニッシモが弾きにくかった。

次は今夜の主役はベーゼンドルファーM280である。これはエクストラの低音鍵盤をもつ最大のインペリアル290よりわずかに小さいが最新の設計で販売の中心をなすものだ。その前のM275が92鍵盤だったのに対しこれは88鍵盤でキャスターが大口径になっている。正確にはM280にはリムが2種類ありこれはリムが薄い前期のものらしい。Webmasterは過去185cmと200cmの個体を弾いたことがある。

ベーゼンドルファーはスタインウェイのモノコックに対しフレーム式とでも言うべきか。まず井形に組んだ強固なプラットホームが基本で、スプルースの短い板材を縦に並べて薄いスプルース板にサンドイッチしたリムをプラットホームにぐるりと貼りつけてあり、リム自体はスタインウェイと異なり荷重を負担しない。金属フレームは単独でも弦の張力をかなりを負担する重厚なもので、弦の振動をプラットホームを介して過重を負担しないリムを鳴らす仕組みである。スプルースのリムはまろやかな音を出すと言われる。

実はこの製法はベーゼン以外にもペトロフなどが採用していたが、やはり音量が不足するようで、最近はスタインウェイ式の放射状支柱と強固なリムとカワイに近い近代的な製法のものが主体になっている。

弾いてみるとコンディションはあまり良くない。象牙の鍵盤はタッチは軽いもののサポートのスプリングが強いのか途中から妙な反発がある。レットオフやドロップは全音域に渡ってバラついた印象である。ハンマーにも溝がついておらず、もともと深いペダルは遊びも大きくハーフペダルが踏みにくい。ペダル一つとっても遊びは詰めておきたいものだ。

通常ピアノは金属部も木部も弾き込みの振動や湿度、温度の変化でお互いがきしみながら微妙に伸び縮みし、残留応力やヒステリシスが2,3年でバランスしていく。そのプロセスが良好だとその後ハンマーや弦が劣化するまで安定して弾き頃が続く。この個体はバーンインされないまま来てしまった雰囲気である。

係員によればスタインウェイに比べるとベーゼンドルファーは出番が少なくお茶を引いていると言う。そのために調律師が手を入れる頻度が低くコンディションが今ひとつなのだろう。当地で一番大きいホールでもベーゼンの出番が少なく問題になっているという。おそらく日本中のホールでも同様の問題が起こっているのではなかろうか。

音質は調律が甘いこともあって懐かしいというか、昔の学校の講堂にあった酷使されたピアノのようである。巷では金属の響きが少なく純度が高い音とか言うが、至近距離では結構雑多な付帯音がいろいろな潜時と位相で出て来る。一方高音はまろやかなものの、このサイズのホールだと苦しく旋律を明確に響かせるのは難しい。

ピアノでは左手小指でコードの根音を響かせ、右手小指でメロディーを刻むため、両方の小指は重要である。 たとえばエオリアンハープ(etude op.25-1)など右手小指がメロディーを奏でるが、ポリーニ+スタインウェイホロビッツ+スタインウェイにくらべ、ベーゼンだと轟音で有名なリシッチアさんの録音でも小指の音は曇りがちである。

スタジオ録音でこの程度なので大ホールではさらに高音は不利になる。力が弱いアジア系ピアニストであれば、スタインウェイがご指名でベーゼンが敬遠されるのは当然であろう。 このように、フルコンは圧倒的な弦長のために低音は強力だが、高音は小型ピアノと弦の長さや番手に大差が無いために相対的に弱いのだが、それを種々の工夫で克服したのがスタインウェイなのである。低音も低い弦圧の振動をテーパーリングで振動しやすい響板に良好なアドミッタンスマッチングで伝えるように出来ている。

さらに豊かな倍音を響かせるためにデュプレックススケールがある。これはピアノの音の大半は弦の基本周波数ではなく倍音だからだ。これについては、

ピアノにみる音質グローバライゼーションのナゾ(その2 アリコート解析編)

でデータとともに説明している。また、ピアノでは弾いた音以外の弦が共鳴することで豊かな音になる。これについては、

ピアノにみる音質グローバライゼーションのナゾ(その3 過渡特性編)

を読んでほしい。まさにピアノは全音域の共鳴装置でもあり、その点は電子ピアノが逆立ちしてもかなわない。スタインウェイはその巧みな設計を100年以上前に完成したのであるが、そのきらびやかな高音を嫌うピアニストもいる。

ベーゼンのメカを見てみよう。まず写真の右側(ピアノの尻尾)で弦が一本ずつヒッチに留められている。スタインウェイを含め通常のピアノは2本の弦がヒッチにU字型にかけてあるのでお互いが微妙に干渉するが、一本止めは干渉が少なく音の純度が高いとされている。また断弦しても一本のロスにとどまり演奏可能というメリットもあるが、干渉による音量や色彩感が乏しいとも言う。

次にヒッチのすぐ左に金属の枕があり、駒とヒッチの間(バックストリング)でもアリコート的な効果を狙っている。これは高音レジストリーのみに施してあるが、バックストリングの長さとはそれぞれの音の波長とは厳密に合わせてないので効果は著しくない。これについてはスタインウェイ式の典型的なアリコート実装の写真と比べていただきたい。

次に中央にねじ止めの太い横棒(カポダストロバー)がある。これはアグラフよりハンマーの打弦スペースを稼ぐとともに、高音の弦の振動を隣り合う弦にも伝えて音量を稼ぐスタインウェイの特許で、現在の殆どのグランドに金属フレームと一体として存在している。ベーゼンのそれは別体でフレームにねじ止めとなっていて、ベアリングのメンテナンスや弦高の調節が可能で低中音弦との共鳴雑音を減らせるものの、フレームへの結合が弱く音量を稼ぐ力は弱い。

さらに左のカポダストロバーより鍵盤側(フォアストリング)はペアの細い止音フェルトの間に距離をとってあり、この部分でも音量を稼ぐ設計のようだ。ただしバックストリングと同様に弦の長さと波長はその倍音に厳密に合わせていないので効果は低い。

なお、弦をとめるピンは露出したピン板に並ぶ古典的な設計で、木部と金属フレームを離すことで音の純度を高めると言われる(通常は木製ブッシュを介してピンとフレームが接触しているが、スタインウェイにはブッシュが無い)一方、ピンの保持性や調律の安定製は劣ると言われている。ヤマハのCFシリーズもベーゼンの影響かピン板を露出させている。

ベーゼンの音は至近距離では懐かしくも古風である。サロンで弾くドビュッシーやラベルには適しているが、このホールのようにオケが定期演奏する規模では味のある音は欠落し倍音に乏しく迫力の無い音になる。設計方針も、昔通りの音の純度を求めるのか、スタインウェイのように音量を求めるのか、その狭間で迷いがあるようだ。

ホールから戻ってくる音量はスタインウェイに遠く及ばない。ピアノは構造上ピアニッシモが難しい楽器なので、ダイナミックレンジを稼ぐにはフォルテッシモの音量を必要とする。このため大ホールでのコンクール志向で大きなダイナミックレンジを訴求する現状ではベーゼンの出番が少ないのである。

ただし、小ホールやスタジオでの録音でうまい具合に高音を補うようにマイクの配置を工夫すればベーゼンの良さが引き出せるかも知れない。印象としてはクラシックよりむしろジャズ向きなのかも知れない。ベーゼンの製法では高音が充足されるのはせいぜい200cm程度までで、ピアノのサイズを増大させて低音が強力になった分高音の弱さが際立つようになっている。

サイズとともに弱くなる高音にたいしてスタインウェイはデュプレックススケールを施し、ブリュットナーは第4の弦を使った。なんら細工が無いままで増大すれば高音の不足は目立つようになる。どうしてもフルコン同志の比較が話題に上るが、ベーゼンのベストサイズは200cm前後では無いかと思う。ただフルコンでの深刻な高音の音量不足に対し、ヤマハからの技術注入もあって、ベーゼンの歴史史上では珍しくここ数年リムを厚く剛性をあげて音量を稼ぐなどの方向に細かな改良が加わっているので、今後ベーゼンの音質も変わる可能性がある。

優秀なPA機器として性能を極めるスタインウェイと、音量は小さいが懐かしくも味のあるベーゼンとは好みは別れるところである。どちらか一方をタダで呉れる、というならスタインウェイだが、皆がスタインウェイに殺到している間にベーゼンをこっそり持って帰りたい気分もある。

高音の音量が勝負の要素であるコンクール志向のピアニストはベーゼンには一瞥もしない。一方、コンクールでは武器である輝きのある高音が過剰であると考えるピアニストもおり、まろやかながら音量が乏しい高音も小ホールやサロン、あるいはPAを前提としたジャズでは何の問題も無いのである。

今回いま一つベーゼンが冴えなかったのは梅雨のせいかも知れない。欧州産の楽器を日本に持ってくると湿度のせいで鳴らなくなる。木部やニカワが柔らかく振動が鈍くなり、湿度を含んだ空気は音を吸収する。ちょうど煎餅が湿気っけた様子を想像して欲しい。

スプルース製の薄いリムと木製のプラットホームが響きを伝導するベーゼンには全体が硬質なスタインウェイより湿度の影響が大きいのだろう。弾いた当日は雨が降っており、ホールも空調が不要な季節だったので湿度が高かったように思う。

いずれにせよ、この手のピアノのオーナーとなったら空調で湿度を40-50%に維持する必要がある。そうすればパリっと香ばしく元気が良い音が出るのかも知れない。ただし、留守であっても空調の電気は落とせないだろう。

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トモヤドットコム発電所一年間の発電量のナゾ

太陽光発電を6月末に設置してから一年間が経過した。ネットはコピペばかりだがそれでは真のデーターは得られない。しかもそのコピペがコピペを呼び信頼性不詳なデータが蔓延する。太陽光発電がどの程度の経済性があるかをはっきりさせるためには自分で計るしかないのだ。

最初が月別発電量(パワコンのデータ)をソーラークリニックに登録したものだが、

発電状況

トモヤドットコム発電所 予測発電量(福岡) 指数
電池容量※ 3.14 kW 3.14 kW
設置時期 2011年6月 ----
同じ月
2011/6 32 24 133
2012/6 306 248 123
年間合計
2011/7〜2012/6 3659 3077 119
計算期間合計
13ヶ月計 3691 3101 119

この地域の標準的な発電量から計算した指数が119%ということは仕様より19%多く発電しているということだ。我が家が南南西向きでパネルが東と南に分割しているという不利な設置からすれば望外な発電量だが?

これは半導体によく見られる同一ランク中央値の改善によるものだろう。仕様は一枚165Wだがその後直ぐに170Wの製品が発売されたところをみると、出荷品は仕様をかなり上回っていたのだろう。

グラフ表示は

のようだが、3月から梅雨までの春の発電量が多い。発電量には日射量だけでなく気温が低いことも有利に働く

費用面はどうだろうか?パワコンの数字から計算した金額が、

注意を要するのは、7月から8月上旬までは通常の従量B料金であり、基本料金を含め24円/kwhと計算している。我が家の消費が夜間に多いことを見て(風呂の後に洗濯乾燥機を回す)、某サイトのnobody氏から時間帯料金の方が有利であるとご教示いただいた。昼間が留守勝ちで、風呂の後に洗濯乾燥する家庭も多いと思われるので、太陽光がなくても時間帯料金のほうが得な家庭もあると思われる。ちなみに時間帯料金はオール電化や太陽光がなくても契約可能だ。

8月中旬からは時間帯別料金のよかナイト10に変更した。これは22時から翌朝8時までは8円/kwhと安い代わり、昼間は最高28.53円とやや高くなる。詳細はリンク先を見てほしい。

ただし、料金に燃料費調整額、太陽光発電促進付加金、口座振替割引、消費税などが加わる(ずるい事に原発諸費用は明示されていない)ので誤差がある。たとえば平成24年6月分は買電の計算値6480円に対し実際の請求は5661円と819円少ない一方、売電も計算値6881円に対し5712円と1169円少なかったので、差し引き350円の誤差がある。

ともあれ、電気代低減額がローン支払いを超えるという初期の目標は達成し剰余まで発生している。さらに屋根がパネルと二重になることで、居室の快適性は飛躍的に改善している。

以前は真夏は窓を開けていても室内は外気温より数度高かったが、現在は窓を開放すれば気温とほぼ同じである。睡眠中は冷房をかけないWebmasterには望外のボーナスである。一方冬季は暖房無しでも室内がほぼ10度以上に保たれており、金銭的なメリットを超える居住性の改善があった。

従って南向きの屋根があって夜間に洗濯乾燥する家庭なら太陽光発電+時間帯料金はお薦めである。さらに昼間であれば停電しても自立給電も可能だ。

なお、Webmasterの設置以降の国内の太陽光設備費は高止まりである。世界的にはkwhあたりの設備価格は2000ドル程度まで下がっているのに、なぜか国内は高いのだ。ここが、太陽光だけでなく住宅の設備、什器、電気、ガス機器の価格がなぜか異様に高いわが国の後進性の一つである。個人的には補助金や電力会社との交渉が煩雑でブラックボックスであることが消費者の価格決定権を奪っているのだと思う。

なお、この太陽光システムとは別にた自立充電システムを作成し実用に供しているので、近く紹介したい。

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86とアクアはどちらがスポーティーか?のナゾ

プリウスの点検をお願いしている間に86とアクアに試乗したのでその印象を書くことにしたい。

まず86は発売早々に次いで二回目の試乗だ。ちょっと恥ずかしい外装だがトヨタの意気込みは感じられる。今回は休日朝一番で道路がすいていたので短時間ながら法定速度の範囲内ではあるが数回のフル加速を試すことができた。

デザインは好ましいと思った。ディテールはトヨタ的だがプロポーションやドアの切り方、低い着座位置などの雰囲気はRX-7(FD)に近い。トヨタのスポーツ車はMR-2系を除くとフロアが高く腰高で安直に作った印象があるが、86はわりと真面目に作られた印象である。

着座位置が低い割りに前方視界は良いが、後ろはトランクが高く良く見えない。リアはカメラに任せるということか。リアがハッチバックでないことは剛性に有利である。内装は値段相応だが、ナビからグローブボックスに繋がるパネルや舟形のナセルと計器類はカローラやヴィッツに酷似しており、現在のトヨタのデザインテーマらしいが品質感は低い。トヨタはインテリアの責任者を入れ替える必要がある。

エンジンをかけると右前から変な吸気音が聞こえた。これはインテイクから室内に音を伝えるギミックだが不要だろう。吸音材や制振材を減らして軽くした後に聞こえる音が本筋ではなかろうか。

ミッションは残念ながらトルコンでGグレードなのでパドルシフトも無い。タイヤは205/55/16ながらエコ銘柄である。シートに座るとステアリングとの位置関係は良く多くの調節は要しなかった。何かと着座位置が決まらないトヨタ車にしては良く出来ている。さあ発進してみようか。

と、ステアリングがFF車のように切れない。FRだが横幅がある水平対抗エンジンのためにタイヤハウスが狭いのである。ステアリングは予想に反し軽く反応も乏しい上に中立付近に変な遊びがある。

トルコンの発進加速は鈍く変速も遅い。メーカーによれば自信作らしいが変速ショックが無い電子式CVTに慣れると変速、ロックアップ、リリースなどのショックやトルク変動、付帯音全てが粗雑に感じられる。法定速度の範囲では馬力が半分ながら過渡的にモーターアシストが効くプリウスにすらついていけない。

それらしく走らせるには高回転を要するが、町中ではその前に法定速度に達してしまうか次の信号につかまる。実馬力は180PS程度かと思うが、スバルの熱意に鑑み減点とはしない。

乗り心地はトヨタ車らしくないブッシュではなくダンパーが効いていて段差の収まりも良い。試乗では道路に対して斜め?に走っていないので操縦性の判断はできないが、やはり微小領域でステアリングの遊びが気になる。緩いながら確実にトルクが伝わるRBギアボックス風ではなくラックアンドピニオンのガタのような感じ。個体差かも知れないが。

ブレーキは踏力を要するがトヨタ車一般のオーバーサーボと違ってカツンと当たり印象が良い。まずまずのスタイル、まずまずのサス、パワーはこの際不問としてまずまずのブレーキなのだが、中立が鈍いステアリングが残念である。ラックとナックルの位置関係?あるいはロアアームブッシュスグリの方向性によるものなのか?

帰ってきてエンジンルームを見るとエンジンがかなり前にあり、ミッショントンネルにはあと10cm以上エンジンを後ろに追い込める。そうすればプロペラシャフトの中間ベアリングもサポートも不要となり20kgは軽くなる。この時点でトヨタの言う”ターボもAWDも考えなかった”、を疑ってしまう。

過給器やAWDを載せるため?V6を載せるため?ハイブリッド変速機を載せるため?あるいはスバル車のフロアを流用して開発費を節約?などさまざまな憶測が沸く。車体はかなりのパワーに耐えられる雰囲気なので、もう少しパワーがあってエンジンが後退すれば無敵かと思った。

米国ではサイオン系列で売るとの報道があるが、その内に過給してデラックスに仕立て直したものをレクサスで売るのではないか?ちょうどハリアー(RX)やブレイド(CT200h)のようにレクサスに持って行かれるのでは無いかという疑いはある。

さてベストグレードはどれだろうか。Webmasterの周辺では女医さんが既に乗っているとか注文したとかである一方、若手男性の注目度は低い。女性は赤い外装で内装が豪華なGT以上を選ぶようで、職場のRX-8もCR-Zも多くは女性ユーザーである。一方、アクティブな男性はドライビングを趣味の対象とは捉えておらずスポーツギアを満載した移動基地としてのSUVに興味があるようだ。

ではスポーツ?走行したい、できればサーキットかジムカーナに出たいというごくごく少数派の特殊ユーザー?のためのRCグレードがどうかと言うと、当地ではエアコンの無い車には実用性が無い。RCにはエアコンが無いのに何故かパワーウインドーやワイヤレスドアロックがある。

とすれば、エアコンがMOP(20万)で選べるBRZのベースグレードRAはどうか?RCより6万高いが電動ミラーなど内外装が上等になる。Rとの価格差40万でエアコンとタイヤホイール、ナビオーディオなど一式が揃う勘定だ。

悩ましいのはトルセンのMOP設定が86ならG以上、BRZならR以上であることだ。普通のユーザーの走行範囲ではTRCの出来具合によってはトルセンは必須ではないが、MOPがわずか3万円なのは魅力的だ。街中ではトルセンはお荷物だが精神的には価値があるかも知れない(トルセンはポン付けできるという情報もあるが真偽は不明)。

よってWebmaster的チョイスはGもしくはR(6MT)+トルセンMOP+革巻きステアリングDOPということになる。RCやRAとの価格差はトルセンが割安ということで目をつぶる。タイヤは一生懸命減らした頃に変えるとしても、トルセンの後付けは高くつく。オーディオやナビを社外品として安くあげるのもよい。絶対的にパワーが無いこととモノクラスな作りを考えると300万以上の価値があるかどうか?は解らない。

全般的には、過去何となく適当かつ安直に作られ期待を裏切ってきたトヨタのスポーティーモデルに比べれば86は真面目に作られており、価格もグレードGまでは格安と思うが、これを昨今の若者男性が買うかどうかは疑問だ。一方、腰痛がなく低重心な車に乗ったことが無いオジサンにはロードスターと86が売っている間が最後のチャンスである。欧米では厳しい燃費規制が始まるのでこの車がすぐ絶版になる可能性もある。

ところで、面白いビデオがある。

これでみると依然としてロードスターは魅力的で開発のターゲットだったようだ。高馬力なRX-7(FD)やS2000とは大差があろうが、これらが絶版となった現在86とロードスターは貴重である。ビデオのタイムから現時点では86はロードスターよりわずかに早くRX-8よりわずかに遅いようだ。ロードスターより実用的で操縦の楽しみは互角だが、敵には電動オープンなる武器があるので助手席の住人がスポーツ派であれば太陽光の差で負ける。一方ドレッシー派であれば86に軍配があがる。

個人的にはこの車で一般ユーザーがいきなりサーキットに出るのは無理だと思う。かといって峠は危険だ。やはりトヨタは各都道府県にごく低速度のジムカーナコースを用意すべきだ。そこで遥かに性能が劣る車についていけない情けない自分を意識することで無用なパワーへの断捨離が果たせてハンドリングを勉強するきっかけになる。たった一つしかない命をコントロールできないようなハイパワー車(C63やIS-Fのことだ)に託して危険な一般道路で一瞬で終わらせるべきではないと思うからだ。

次に乗ったのがアクアである。正直言ってアクアに先に乗らなくて良かったと思った。

グレードはSで、内装はビッツより上等だが、ドライバーからセンターメーターへの視線上にインパネの継ぎ目があるのが気なる。エアコン表示とナビ、レジスターなどセンターパネルを囲むラインをインパネ下まで延長すれば分割線が目立たないはずだが?またドライバー直前がなぜか建築予定地みたいに平板なまま残されている。

不自然なのは試作段階でセンターパネルにギアセレクターがあったからでは無いか?プリウスαのようにレジスター、ナビ、エアコン操作とならび、エアコンダイヤル付近にギアセレクターが来るはずでは無かったか?

アクアのインパネは哲学的にも人間工学的にも破綻している。コンベンショナルな車から乗り換えで違和感が無いようにするならセンターメーターを廃止すべきだし、ハイブリッドの先進性を強調するならフロアシフトは不要だ。日米のプリウスシリーズの一つという立場ならフロアシフトは不要だし、欧州でのヤリスハイブリッドという立場ならセンターメーターは不要でヴィッツに似てかまわないはずだ。

夜市のオモチャのような蛍光ラインは理解不能で、やはりトヨタはインテリアの責任者を更迭すべきだと思う。それは内装がマズいからというよりは哲学が無いからだ。外装はそれなりにプリウス風になっているがタイヤは標準で鉄板ホイールである。もっともこのサイズではアルミとの重量差は殆ど無い。屋根を凹ますなどビッツから大幅に外装に手を入れた努力に比べインパネはあまりにもレベルが低い。

さて、道路に向かうと回転半径も小さく取り回しもいい。86と同じコースをフル加速すると加速もまずまずだ。法定速度に達する時間はプリウスより遅いが86と同等ながら、瞬時のトルク感やレスポンスはアクアが上回る。あくまでもそれは街中の法定速度内の加速に限る話で郊外や高速では勝負にならない。

驚いたのは操縦性で、ステアリングをミリ単位で動かしても車がきちんと反応する。車体の剛性も高くダンパーも効いている。ブッシュだけ動いて収束が悪いトヨタ車らしくなく、プリウスよりもドタバタ感も少なく締まった乗り心地である。車体のいろいろな部分がてんでに動いているという印象が無い。

ひょっとしてオプションの上等なタイヤを履いているのかと確認したが、写真のように標準タイヤである。単にプリウスとハイブリッド特性を比べるつもりだったので、操縦性の良さは意外だった。燃費のための制約が多くしょぼいエコタイヤを履いてこの操縦性なら、トヨタの他の車はいったい何??という感じだ。この時点で86の操縦性の印象はどっかに行ってしまった。我が家の現行ビッツも同じ175/65R15だが、アクアのほうが操縦性は格段に良い。

ただし価格は安くない。内装はともかく外装はビッツベースより品質感があるものの、ラジオレスの179万は86のベースグレードRCの199万とは20万しか差が無い

RCはエアコンレスなので、フェアな比較としてBRZのグレードRA+マニュアルエアコンの226万と、アクアSにカーテンエアバックを加えた183万を比べるべきでそれなりの金額差があるが、アクア一台で全て済ます前提で種々のオプションを積むと86との差は縮まる。アクアと86を真面目に比較するのもどうかと思うが、今までとは何か明らかに違う車が欲しい、という観点なら遠くない

さてアクアのベストグレードはどれだろうか。グレードLは無理に設定されたものでプリウスに比べるとグレード間の格差が大きい。たとえば後席にはパワーウインドーすら無い。セカンドカーと割り切ればグレードLで何の問題も無く、その分サイドエアバッグやナビ、オーディオにかけてステアリングを革巻きにすればドライバーには悪くないチョイスだが、後席の人間は落差を感じるだろう。

女性や年配者はより良い装備を求めるだろうが、グレードGに純正ナビやホイールを足すとプリウスの価格に近くなる。値上げ前のプリウス205万では鍛造アルミホイール、サイドエアバッグ、スマートキー、プライバシーガラスなどが標準だったことを知れば、アクアに豪華装備を満載するのは割高に感じる。

よって個人的なチョイスはグレードS+カーテンエアバッグMOPあたりか。ナビやオーディオは社外品とし、タイヤホイールは浮いた燃費でタイヤが減った頃に好きなものに変える。ハイブリッドという目新しさがあるので、高い車から乗り換えると質素な内装には愕然とするものの耐えられると思う。内装はどのみち上級グレードでも大差無い。ただし変な蛍光ラインは納車即日に撤去したい。

ということで、この日の試乗は意外な印象で終わった。アクアは決して安く無いが、ポロやミニなどのプレミアムコンパクトに相当すると思えば高くも無い。一方86は街中はノロくても場所を得て高回転まで回せば楽しく走れるだろう。

どちらも良い買い物であろうが、いずれも納車は数ヶ月待ちだ。アクアならヴィッツとの価格差は回収できないものの、給油の度に好燃費に思わず笑が溢れるだろう。86ならアクアよりガソリンを食うが、RX-7などに比べれば格段に良い燃費で高い次元のドライブが楽しめる。

ただしカリカリにチューンしても、スポーツギアを満載し素敵な彼女を助手席に載せたSUVが横に並ぶと、言いようのない寂寥感を感じるかも知れない。

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プリウス2年半の燃費事情のナゾ

メンテのパッケージに加入したプリウスに2年半の点検の案内が来た。実は某日システム起動時に

”ハイブリッドシステムエラー 点検してください”

といった警告が出た。新車以来トラブル皆無で拍子抜けのWebmasterも、ついにトラブル?と成り行きに興味津々だったのだが、システム再起動後は一度もエラーは出ていない。もうひとつはエンジン下部のカバーだが、降雪地で脱落が多発して対策品があるとのことで交換するのか?という二点である。カバーは建前では損傷がある場合に交換となっているらしい。

点検では、確かにシステムのエラー履歴はあるが、原因となるエラーは記録されていないという。エラーが出た状況はよく覚えていないのだが、システム起動中にギアレバーをカチャカチャ動かしたような気がする。プリウスのシステム起動はわずか2秒程度で変速も電光石火だが、システム起動時に不論理的な操作をするとエラーが出るらしい。

なおカバーは点検対象の製造番号で、大きなダメージは無かったが軽い摺り傷があるので念のためというディーラーの判断で二日後に交換となった。写真はその様子だが見た目の違いははっきりしない。プリウスは標準でフルエアロのように地上高が低いが、段差では個人的につけたリップが当たる音がする時点で止まるせいか大きな打痕は無かった。

さてこれを機会に記録した16273km時点の燃費が、

約22.6km/Lである。トリップAは新車以来だが桁が足らないので最初の1は表示されていない。郊外の走行が少なく市内の通勤が主なため燃費は冬季からあまり伸びていない。燃料補給毎での燃費が、

Webmasterは燃料がランプが点いてから給油というのはキライだが、それでも770kmの給油間隔は長い。気温の上昇にそって燃費が向上し郊外の走行が増えたので25km/L近く伸びているが、積分値としては冬季の低さを埋めていない。燃費は走行距離が長いほど良いことがが見て取れる。

最近の郊外一部自動車専用道路含むのクルージング(5分毎合計30分間)

である。平均速度60-80km/hが中心だとかなりのペースでもこの程度の燃費を30分以上維持することが可能だ。

燃費を伸ばすコツは、基本的に加速はエンジンを使うことだ。流れに沿ってモニターのエコの上限あるいは短時間powerに入ってもかまわず流れの速度+αまでひっぱり、その後は一旦アクセルを緩めモーターで流れに沿って巡航するだけのことである。モーターで大きく加速するのは電池が余っている場合、あるいは翌朝暖機で無駄にエンジンが回ることが予想される場合である。

プリウスの燃費には毀誉褒貶がつきまとうが、重い負荷はエンジンで、軽い負荷はモーターという単純な原則は内燃機関の燃費特性の本質に沿ったものである。Webmaserはガソリン車を運転することも多いが、内燃機関の基本として燃費の良い走り方はどの車でも同じと実感している。

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エキエル版ショパンバラード一番のナゾ

相変わらず少なからぬ時間をピアノの練習に当てているWebmasterだが、ちょっと息切れである。というのは練習を一回りするだけでガス欠になるからだ。現在のローテーションは亜麻色の髪の乙女から始まって革命、幻想 (ここまでハノンの代わり)、月の光、沈める寺、ラフパガ18番、ドビュ夢、ラフ鐘、バラ1、水族館、スクリャービン8-12であるがざっと2時間弱もかかる。

以前はこれにスケ2が入っていたが、あまりの長さにお休みとした。スケ2もパラ1も本人が気持ち良くても時代に合わないようで大曲は投資効率が悪い。毎回演目が同じわけには行かないので、今回はラフパガ18番、シシリエンヌ、スクリャービン8-12と受け狙いの軽目で行こうかと思うが、シシリエンヌは暫く弾いていないので心配である。

さて、今ピアノ業界をナショナルエディションショックが襲っている。ショパン生誕200年を記念したショパンの原典(Urtext)としてのナショナルエディション編纂は、生誕150年記念のパデレフスキ版編纂から2回目のポーランドの国家事業である。

その中心的人物でショパン研究の権威とされるエキエル氏の演奏はパデレフスキ版と多くの違いがあることは知られていた。そして今後はショパン国際コンクールでエキエル版の使用が義務付けられるという観測が広まった。ショパンの作品はピアノ業界では核心を占めるので、今後世界中のコンクールでエキエル版が義務付けられるのではないか、というのである。

2005年のショパン国際コンクールからエキエル版の使用が推奨されるようになったが(他の版も使用可能)、出版が遅れて殆ど使われなかった。ショパン生誕200年にあたる2010年のショパン国際コンクールでも、エキエル版使用はごく少数派にとどまった

世界中で、今後はエキエル版が中心となるのか、あるいは選択肢の一つに留まるのか侃々諤々の議論が続いている。おかげで、今は上手なピアニストが間違うと、”エキエル版?それとも単なるミス?”と聴衆は疑心暗鬼となる有様である。

Webmasterもピアノ再開後近世の作品から過去やり残したショパン作品に戻ってきてエチュード、スケルッツオ2番、そしてバラード一番と弾いてきた。バラードには傑作と言われる4番もあるが、Webmasterは若々しいバラード一番が好きなのである。

しかしバラード1番を人前で弾くには勇気がいる。難易度の問題、また壮麗な大曲であることが場の雰囲気を壊す可能性があるからだ。そして大きな問題が楽譜のチョイスである。エキエル版には違和感を感じるのだが、今後はエキエル版しか無いというピアニストも少数ながら居る。そこで少し研究してみることとした。

最初にバラード一番の自筆譜を見てみよう。これはフランスの出版社に送るための本人の清書と言われるものだ。その根拠は、ショパン自筆譜の特徴がすべて認められるからである。

まず音符全体が左に傾いている。次にト音記号が細長く上端が右に傾いている。小節と小節の間の縦棒が上下のパートでつながっていない、スラーが音符を超えて過剰に長い、デクレッシェンド、クレッシェンドの不等号が短く、時に長めのアクセント(二段目)と紛らわしいのが特徴的だ。

通常は過剰に長いスラーが時には音符に達しておらず、不等号の長さと並んで多くの曲で解釈に議論を呼んでいる。ショパンのスラーは数小節続くことがあり、当時の音量が小さく止音機能も弱いピアノと相まって頻繁なペダル踏み変えよりは僅かな濁りを許容しつつ滑らかに弾くことが前提だったようである。

この清書ではペダルの指示が一箇所しかないように、ゲラ刷り以降に多くの細かい指示が加えられることが多く、これが初版に多くの間違い、訂正が存在する原因になっている。いずれにせよ電子製版の無い時代なので楽譜を印刷するのはたいへんな技術を要したようである。

次の材料は、他ならぬエキエル氏のバラード1番の演奏(1956)で、Youtubeで聞くことができる。ネット時代とはものすごいものだ。

演奏は抑揚が激しくかなり荒い部分がある。表現の違いは演奏者の裁量の範囲と思われるが、明らかにパデレフスキ版と異なる音がある3箇所については後述する。全体的にショパン特有の付点音符の刻み、特に第243ー245小節の左手旋律があまりはっきりしないなど、模範的な演奏とは言えない気がする。

それと後述するが、第103-104小節の左手4拍の連続が重く、第105小節から第106小節から華麗な第二主題への劇的な昇華が弱い気がする。全般的には音量のメリハリも乏しくショパンの華麗、繊細にして劇的という印象が乏しい。これが異様に少ないyoutubeの再生回数の原因であろう。

次に、バラード1番がどのようにショパンから出版社に渡ったかである。これについては3つの資料が収集された。

最初は、 The Four Ballades 著者: Jim Samson Cambridge University Press,1992である。

これによれば、ショパンのフランスでの出版社はMaurice Schlesingerであり、ここでゲラ刷りが組まれショパンが校正し初版が出版されたのが36年6月だ。ドイツ版は自筆譜がBreitkopf&Haetelに送られ初版は36年6月(後述でこの日時は間違っていることがわかるが)に出版されたという。

エキエルはドイツ初版は自筆譜でなくフランス版初版に基づくとしているが、そもそも初版本の発売月が近いのでフランスの初版を元にしたとしては当時の郵便や印刷技術を考えると、ドイツ版初版が速すぎる。この本では、ショパンはその後のドイツ版の校正をコントロールしていないとしているが、個人的には当時欧州で最大であり今も存在する出版社が、ショパンの校閲なしに訂正を繰り返すとは考えにくい

次に、Fre'de'ric Chopin and his Publishers an exhibition in the Department of Special Collections 1998では、当時ショパンは自筆譜を自分でBreitkopf&Haetelに送ったという証拠が残っているとする。パリのSchlesingerに送られた自筆譜が最初で、ドイツに送られた自筆譜はフランス版のコピーではなく、フランス版の自筆譜になかった変更が含まれていており、ドイツ版の方がよりauthenticであるとしている。個人的にはこの方がありえる話だと思う。

今回のNational Editionでは、その出典コメンタリーでは、資料Aとして前述のショパン自筆譜、資料FE1としてフランスSchlesingerの初版、FE2としてその訂正版、GE1としてBreitkopf&Haetelの初版、GE2をその後の訂正版、EEを英語版としている。

基本的にエキエル氏はショパンによって完璧に校正されたとするFE2を原典と考えているようだ。GE1は、FE1からの間違いを引き継いでおり、GE2以降はショパンが監修せずに出版社が勝手に手を入れた、とする一方、GE1の校正をショパン自身が行った可能性もあるとしていると、まったく反対の説も併記している。ドイツ版がどの程度ショパン自ら手をいれたのか(autehnticなのか)によって話が変わってくるのだ。

有名な序章の第7小節の左手和音の頭がドイツ版はその後一貫してDであり、フランス版の多くがE♭である理由について、エキエル版には、ショパンがリストの意見を取り入れてドイツ版を訂正したとのサンサーンスの記述があるとする。エキエル版はドイツ版の訂正にショパンが関わっていたという可能性を複数回併記しているのだ。

エキエル氏は、ビデオNATIONAL EDITION OF THE WORKS OF FRYDERYK CHOPIN で、ショパンは何事も決めきれない性格で、出版後も自ら、また弟子に教えるとき、また友人の意見で細かく変更することがたびたびあり、時には素人の子供の意見によって変えたこともある、と言っている。

とすると、そもそも原典とは何か?ということになる。第一にはシュパンの最終自筆譜が原典であるとも言える。次に初版が原典とも言えるし、その訂正版が原典であるとも言えるし、ショパン自身の演奏もしくは弟子に教えたものが原典であるとも言える。考え方によっては原典は一つではなく、これらすべてが原典であるとも言える。その場合は演奏者は音楽性において一番ショパンらしいと信じるものを選択すれば良いのではないか?

さて、パデレフスキ番楽譜を元に、前述のエキエル氏の演奏とエキエル版譜で異なる部分を見てみよう。囲みはエキエル版の記載を私がトレースしたものだ

まず第26-27小節である。パデレフスキ版では26小節の右手Dはタイで27小節のDと結ばれて、2つの音は連続させて演奏する。ところが、エキエル氏の演奏では明らかにDは二回弾かれている。エキエル氏はこのタイがなく、2つの小節はスラーでつながると解釈したのだろう。

しかしエキエル版では、2つのDはタイでつながり、二番目のタイからスラーが出ている。つまりエキエル氏の演奏とは異なり実質的にはパデレフスキ版と同じ演奏になる。コメンタリーでもタイがつながっていないのはFE2の間違いとしている。エキエル氏はFE2のみがauthenticとする考え方を一部修正したようである。そもそもDを二回弾くならDに装飾音符がつくはずで、二番目のDに装飾がつくはずが無いのだ。

WebmasterがChopin's First Editions Onlineから採取したFE1、GE1、EE1では、初版から2つのDにはタイがなくスラーだけだ。とするとエキエル氏のコメンタリーのFE2のみの間違いというのは正しくない。FE1、GE1、EE1はどれも短いタイが2つのDFB♭和音だけを結んでいる。

これはショパンは本来2つのD音をタイで繋いだつもりだったが、自筆譜のタイが短かく初版で誤ってDFB♭和音がタイで結ばれてしまい、その後ショパンが訂正した、とすればすべて説明がつく。そうすればDFB♭和音のタイが消失した理由も説明でき、その後のメロディーともスムーズにつながる。

もしこれが本当なら、今回のエキエル版は根拠も無い訳の解らないバリアントを捏造してしまった可能性がある。

なお仔細に見ると、FE1は26小節左手の付点が抜けているが、GE1にはついており、EE1には欠けている。EE1のみはショパンの自筆譜のように上下2パートの小節の区切りがつながっていない。とするとEE1はFE1から由来したというエキエル版の説明と異なりFE1と同じ系統の自筆譜から独立して由来した可能性が高い。GE1はその後とショパンが訂正した自筆譜別のコピーに由来するとすれば、付点が訂正されている理由が説明できる。

次は第104小節だが、パデレフスキ版では左手の和音は3拍+休符だがエキエル版は103-104小節は和音が4拍であり、エキエル氏の演奏でもそうなっている。エキエル版コメンタリーでは、自筆譜Aでは4拍目は休符であったものをショパンがFE1で4拍に変更したものを採用した、とある。さらにGE1はFE1を基にしたものの休符となっていると言うが、9/1936のGE1ではそうなっておらず、エキエル版の説明は間違っている。

コメンタリーはその後の4拍目を休符としたものはunauthentic(正式でない)と断じているがそうだろうか。先にドイツ版GE以降にショパンの手が入っている可能性を示唆しており、FE1後にGE1にショパンが手を入れたとすれば、4拍目が休符となっている方がauthenticの可能性もある。またフランス版もその後休符になっている。

基本的にショパンは2度同じ主題を演奏するときは微妙に変えるのが通常である。おそらくショパンは当初わざと一回目は4拍としたが演奏効果上から自ら後に休符としたのではなかろうか。実際に演奏してみると4拍目を弾くと105小節の盛り上がりが乏しくなる。4和音は過渡的に存在しただけではないだろうか。

CFEOをみるとFE1、GE1、EE1ではこの部分だけはよく似ていて、エキエル版のコメンタリーと違ってGE1は4拍目が休符になっていない。仏独英ともその後4拍目が休符になったのは、ショパン自身が校閲して消した可能性が強い。そうでないと仏独英で3拍、4拍の譜面が混ざって今に伝わっているはずだ。再度EE1では、上下2パートの小節の区切りが連続しておらず、EE1がFE1由来でない可能性が強い。

そもそもFE1のみ和音の記載順序が変?で、スラーの始点、終点が音符の上かそれを超えるか、バラバラである。一方、EE1は和音は普通ながら、左手2分音符が変である。出版社や国柄の違いかもしれないが、夫々が別個に自筆譜から由来した可能性を示唆する。基本的に譜面はドイツやイギリスの方が丹精かつ堅実である。エキエル版のコメンタリーには根拠の無い間違いが多い

次が第119小節であるが、パデレフスキ版では2番目のF#の上のトリルに#がついていて、F#G#とのトリルになるのだが、エキエル版ではトリルの上が□(ナチュラル)になっており、エキエル氏の演奏でもそうなっている。

エキエル版コメンタリーによれば自筆譜Aにはそもそもトリルがなかった。ショパンがFE1でこの次の123小節の似たフレーズにトリルと#をつけた。それ以後のuanauthenticな改訂でショパンが119小節にはトリルを失念したと考え勝手に補遺したと思われるが、確実な証拠は無いという。またG#の方が第二主題の調性にあっているとも書いてある。

エキエル版の119小節のトリルには#が無いが、ショパンのFE1の記述に忠実とするならトリル自体を取るべきではないか?ショパンが自分で記入したかどうか定かでないトリルをつける根拠は無くunauthenticな訂正と言わざるを得ない。実際演奏するとここにトリルはなくても曲は違和感なく成立し、さらに二回目のみにトリルが加わることでより華麗に昇華していく印象が生まれる。

ところがCFEOの初版譜を見るとエキエル版の話自体がまったく信用できなくなる。FE1、GE1、EE1ではこの部分はよく似ていて、どれも119小節にトリルがあるものの#もナチュラルも付いていない。第二主題の調性からはG#になるはずなので意識せず書き落としたのか、あるいは意図して付けなかったのかは解らないが、譜面の常識として、#でないなら注意を喚起するためにナチュラルをつけるのでは無いかと思う。

ここでもFE1では前の小節からのスラーが最初の和音の#までの伸びているのかどうか明瞭でない。一方上行の最後の音までは#を超え伸びている。このあたりフランス版は常にいい加減だがGE1とEE1は確実に記されている。一方EE1のみが上下の小節の区切りがつながっていない。小節をまたぐ表現は区切りが無いほうが解りやすいし細かい指示を書き込み易いのである。

ちなみにバッハ、ベートーベン、メンデルスゾーン、リストなど大半の自筆譜では上下パートの区切りは続がっているが、ショパンの他にモーツアルトやシューベルトなどは上下をついでない。交響曲では大半が繋げるがモーツアルトはつながっていない。単なる癖だと思うが、あるいは意識下で対位法やフーガなどの厳密なタイミングを意識しているのか、あるいはパートの独立性についての潜在化の意識の現れかの違いか、と勝手に解釈している。

以上からエキエル版は自筆譜からフランス版FE1が作られ、そのFE1原稿からGE1やEE1が作られたとしていが、以上のデータと全く話は合わない。

初版を見るかぎり、ショパン自筆譜からFE1が、またその自筆譜のコピーからEE1が作られたと見るべきだろう。そうすれば、EE1がFE1と同様に付点を落としていること、EE1のみが自筆符のように上下パートの小節の区切りつながっていないことが説明できる。そしてGE1は自筆譜のコピーをショパンが校正したものとすれば付点が訂正されていることも説明できる。

その後第26-27小節の二つのD音のあいだにタイがつき、第104小節の4拍目が休符になり、第119小節のトリルに#がついたのは、ショパン自身の訂正によると考える方が自然だ。そうしないと部分的に異なる多く譜面が多く出てくるはずだからだ。実際にはエキエル版が主張するFE1、FE2がauthenticと考えるよりも、当時から今まで続いているBreitkopf&Haetelのほうが版の管理が確実と考えるべきだろう。

おそらく、エキエル氏は当初FE1、FE2がauthenticであるとの筋書きであったが、その後その筋書きに合わない点が多数出てきたが、エキエル氏の独断を譜面に残し、そのかわりコメンタリーにドイツ版もその後”ショパンの校正が入っている可能性がある”との文言をつけくわえて目をつぶったたのであろう。いいかげんな話である。

個人的にはパデレフスキ版や現在流布しているドイツ版を元にした楽譜に無い音を原典として付け加えるには相当確固たる証拠があるべきと考えるが、実際には大した証拠も無くやってしまったということがデータから解る。

他の曲でもエキエル版の解釈には疑問がある。典型的なのは有名な幻想即興曲(即興曲第4番嬰ハ短調op.66遺作)だ。Fontana版では第二主題の左手伴奏が上昇後下行するアルペジオになっているものがエキエル版では大きく違う。

弾いてみるとエキエル版には無理がある。幻想即興曲では基本フレーズはみな上昇下行からなっているのにエキエル版の主張するアルペジオは曲の盛り上がりを消してしまうし、ショパンの他の曲でもあまり見かけない。

そもそも幻想即興曲のソースはルービンシュタインが発見した自筆譜とFontana清書の2つしかなく、一時Fontanaの加筆が問題視されたものの、現在は自筆譜と比較してもFontanaの加筆は問題無い範囲であることが解った。ショパンの幼馴染で高校も音楽学校もともに学び多くの曲の清書をしてきたFontanaがショパンの意図から大きくはずれた加筆をするとは思えない。

不思議なことに、幻想即興曲エキエル版の変更がどの資料に基づくか、原典コメンタリーにはまったく記載が無い。根拠が示されていなければ受け入れることはできない。他にも、有名な革命のエチュードOp.10-12にも多くの新たな音が多数出現しているが、はやりコメンタリーは一言も説明が無いなど不備なままである。

さてエキエル版はコンクールなどで使われているのだろうか? 2005年と2010年のショパン国際コンクールではエキエル版が推奨されているものの強制はされていない。手元にある音源では2010年にバラード1番を弾いたpawel_wakarecyやmarek_brachaはエキエル版でなかった。一方優勝者のユリアンナ・アヴディエヴァ氏は一部の曲でエキエル版を使っていた。

日本にはエキエル氏のレッスンを受けたピアニストは多数おられる。なかでも現在No.1の弟子と目されるのは河合優子氏の演奏をYoutubeでも聞くことができる。CHOPIN Etude in C minor Op.10 No.12 の聞きなれない音が複数あり、不明確なペダリングの踏み分け、そして叩きつける奏法にはショパンの華麗さが全く感じられず著しく違和感がある。

まず聞きなれないのが第38小節最後の右手和音だが(ビデオ1分40秒)、

この音は、仏独英の全ての初版で和音はB♭FB♭(譜面はフランス版)だが、彼女は明らかにB♭GF♭と弾いている。

次に41小節目から第一主題が再現されるが、左手の下行するフレーズの最初の音をsfzスフォルツアンドで弾いている(ビデオ1分48秒)。確かにBar1ではFで再現部はFFであり、左手にもアクセントが付いてはいるが、この音だけを強大音で弾くと右手和音の主旋律が邪魔されて不明確になると思う。例によって自筆譜に習ってかフランス版はアクセントなのかデクレッシェンドなのか解りにくい。

ショパンはbar1の左手フレーズの頭にLegatissimoと付しており、この指示はこの曲の左手フレーズ全体に有効である。右手の和声は劇的に進行しながら、左手は可能な限り滑らかに、かつダラダラではなく拍子のメリハリをつけることで、激しさと流麗さが両立されるのだが、左手の特定の音を強く弾くとガタガタな演奏となり泥臭くなってしまう。

自筆譜から200年続いている指示を無視するとすれば、エディションがどうのこうのの以前の問題で到底承服しかねる。

同様にもCHOPIN Prelude in D minor Op.28 No.24 Yuko Kawai CHOPIN Prelude in E minor Op.28 No.4の濃厚すぎて華麗さに欠ける演奏にも違和感がある。これまた個人的な印象ではあるが。

一方、過去エキエル氏に師事した頃の美麗な高橋多佳子氏のビデオ1ビデオ2が残っている。最近の高橋多佳子氏の革命ははコンビを組まれている宮谷さんよりは強く感じられものの、流麗な演奏は是非参考にせていただきたいと思った。面白いのは彼女はエキエル師の愛弟子でありながらパデレフスキ版で弾かれていたことだ。

今回エキエル版でバラード、エチュード、ソナタなどで違いを譜面で探してみたが、個人的な印象としてはパデレフスキ版と比べ好みの方向ではなかったし(はっきり書けば泥臭い方向)、今までと違う音の根拠は多くの場合出典コメンタリーで十分説明されていなかった

したがって、個人的にはエキエル版は独奏の協奏曲譜などの取り組みは評価できるし資料としては不充分ながら一定の価値はあるものの、演奏の唯一の拠り所とするほどのものでは無いと思う。エキエル版は高価な割りに製本が悪く(新品の時点で下の方が既にバラけていた)、折りぐせをつけると解体してしまうので、当面は資料に留め、必要ならばコピーを作成して使うのがよいだろう。そもそも、些細な変更点にとらわれることなく、ショパンがどう表現したかったを探るのが重要である。

エキエル版にはポーランド関係者のショパンにかける思いの強さが感じられる。確かにショパンはポーランド出身だが父親はフランス人で、活動の舞台は亡命人や芸術家が溢れるフランスだった。彼の音楽はポーランドの土俗的なリズムの上に、一部はウイーンのような華麗さが、また多くはパリのコスモポリタンで洗練された表現が載っている。

ようするにショパン=100%ポーランドでは無く、エキエル版の出版はショパンを拠り所にしたポーランドの国起こし事業に見えてくる。キエエル版がパデレフスキ版のように広く使われるようになるかどうかは疑問である。パデレフスキ氏の演奏はyoutubeに多く存在するがエキエル氏より遥かに優美で華麗であり、どちらを信じるかといわれればパデレフスキ版である。

私の好みはChopin Etude op.25-1(おすすめ)Waltz op.64-2(おすすめ)Etude op.10-3 Etude Op. 25- 7 である。一発勝負でこのディテールとダイナミックレンジはまさに奇跡で、パデレフスキ氏に騙されても一生後悔しないと思わせる実力とカリスマ性がある。

英雄ポロネーズの動画では彼の手は完全に脱力し重量を失って鍵盤を彷徨い、左手バスの深いサステインを刻みつつミスも極端に少ない。77歳のMinuet Op. 14 演奏のダイナミックレンジと運指の技術は現代にも比べるべきピアニストが見当たらない。

という訳で、個人的にはエキエル版は資料の一つとしつつもパデレフスキ版をベースにしてショパンの意図を汲み取るような練習に務めることとしたい。

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外国ではバイエル、ツェルニー、ハノン、ブルグミューラーは使われているか?のナゾ

Webmasterは古い日本のピアノ教育を受けた世代である。とくに退屈なバイエルやチェルニーの30番、100番、40番は短時間で駆け抜けたのだが苦痛だった。なるべく速く通過できるように頑張った記憶がある。しかし、これが途中で前に進まなくなると苦痛以外の何者でもなくなる。

WebmasterはNYのマンハッタンで3年生活していたので、多くの演奏会やピアノ屋巡りはした。また、ユダヤ人や中国人の学生のピアノ指導したこともあるが、彼の地にはソナチネアルバムはあったが、バイエルやツェルニーがあったか覚えていない。二人の生徒はソナチネクラスだったからだ。

ネットには便利なことに各国版のwikipediaとyoutubeがあるので、日本国外でバイエルやツェルニーがどの程度認識されているか調べるのは容易だ。その結果はかなり衝撃的である。

さてバイエルだが、日本語のバイエルのwikiには詳しい由来が書いてある。しかし、バイエルの英語版wikiにはたった4行の記載しかない。なんとバイエルのドイツ語版wikiは存在すらない。

youtubeでbayerで検索してみるが、あまり曲は見当たらない。"bayer exercises”でも見当たらない。”bayer piano"でも日本とアジアの一部からしかアップロードが無い。ただし、初歩の練習曲なのでわざわざアップロードされていない可能性はある。

そこで、英語版Googleだけでferdinand beyer exercisesをGoogle検索してみると93万件程度ヒットする。検索結果をブラウズすると、バイエルが日本以外でまったく使われていないわけでは無いようだ。

ただし英語版GoogleだけでThompson exercisesで検索してみると、何と1260万件もヒットした。次にBastien exercisesで検索してみると622万件もヒットする。ついでに、Barnum exercisesで検索してみると946万件もヒットする。

乱暴な推定かも知れないが、やはりバイエルはトンプソン、バスティン、バーナムの合計シェアからすると圧倒的に少数派であることは確実である。

次にツェルニーである。まずツェルニーの日本語wikiにはかなりの記載や曲のリストがある。しかしツェルニーの英語wikiには曲の紹介が無く記載は乏しい。ツェルニーのドイツ語wikiはさらに短い記載しか無い。どうも欧米でのツェルニーの認識はかなり低いようである。

それではyoutubeでCarl Czernyで検索してみると、旧共産圏からのアップロードがあるが旧西側欧州からは見当たらず、大半が日本からのアップロードである。ただし、これまた面白くない練習曲なので、Youtubeにアップロードされていない可能性がある。

英語版Googleでczerny exercisesで検索してみると20万件程度とバイエルに比べても少ない。どうやら日本とアジアの一部、他には共産圏で使われているものの欧米ではあまり使われていないようだ。

外国ではこのレベルの練習曲のひとつとしてドビュッシーやバルトーク、カバレフスキーなどが使われているらしい。そこで、debussy exercisesで検索してみると1400万もヒットする。運動会でよく使われる組曲”道化師”で有名なKabalevsky exercisesで検索すると1060万ヒットする。さらにミクロコスモスで有名なBartok exercisesで検索すると1500万ものヒットである。

ようするに、ツェルニーはこれらと比べると圧倒的に少数派に過ぎないことがわかる。過去にはツェルニーは欧米でも良く使われていた。それは、ドビュッシーはツェルニーの練習曲が退屈であることを子供の領分の”グラドゥス・アド・パルナッスム博士”などで皮肉っていることから確実であるが、おそらく退屈なので殆ど使われなくなってきているのだろう。

それではブルグミューラーはどうだろうか。まずブルグミューラーの日本語wikiには詳細な記載がある。ブルグミューラーの英語wikiには日本版よりは短いがかなりの記載がある。ブルグミューラーのドイツ語wikiにも同様の記載があるところをみると、バイエルよりは広く認識されているようだ。

同様にyoutubeでBurgmuellerで検索してみると、日本以外からもかなりのアップロードがある。あのなつかしいタランテラなどの外国からのアップロードがあるところをみると、どうやらブルグミューラーは日本だけで使われているというのはウソのようだ。

英語版Googleでburgmueller exercisesで検索してみると67万程度とツェルニーの3倍以上のヒットがある。従ってブルグミューラーも日本以外でまったく使われていないわけではないが、ドビュッシーやバルトーク、カバレフスキーなどに比べるとやはり少数派ということになる。

最後にハノンはどうであろうか。まずハノンの日本語wikiには短い記載がある。ハノンさんはドイツ系だと信じていたので、がフランス系の方であることは初めて知った。驚いたことにハノンの英語wikiは日本版より詳しい。一方、ハノンのドイツ語wikiの記載が短いことから、どうやら英語、フランス圏の認識のほうが高いようである。

YoutubeではHanon Exerciseとして知られているようで、少数ながら米国からのアップロードがある。

英語版GoogleでHanon exercisesで検索してみると20万件ヒットした。ツェルニーと同様少ないが、練習の最初に指鳴らしに使うという性質上、数だけの評価は難しい。そこで、ちょっと比較に無理があるが、無理して似ていなくもないbach invention exercisesで検索してみると90万件のヒットなので、その程度の雰囲気であると想像するしか無い。

以上のことから、ネット的評価によれば、バイエルはトンプソン、バスティン、バーナムなどと比べると圧倒的に少数派で日本とアジア以外は殆ど使われていないというのは本当のようだ。ツェルニーは、ドビュッシーやバルトーク、カバレフスキーと比べて圧倒的に少数派で日本と旧共産圏以外では殆ど使われていないようだ。

考えてみれば、先生からツェルニーの100番の次は30番、その次は40番、その次が50番、60番であって、その次がショパンのエチュード24番ですよと言われれば失神しそうである。多くの子供は友達の前で流行歌やジブリ、クラシックならエリーゼのためにあたりをカッコ良くが弾ければ十分なのだ。

ブルグミューラーはある程度アップロードがあるが、これまた世界的には少数派に属するようである。ハノンはバッハのインベンションと比べるとシェアは低いように思われるが、曲の性質上評価は難しい、というのが結論である。

世界的には日本を始め、中国や韓国の若手ピアニストは指がよく動く、指がよく回るといわれる一方表現力に乏しいと言われる。これが日本のピアノ教育の利点と欠点を単純に表しているとは思わないが、なんとなくそういう雰囲気は感じる。

問題なのは、バイエルやツェルニーなどは若年の内に駆け抜けないと、間違いなく頓挫しピアノをやめてしまうことだ。基本的に番号だけが並んでいると、ピアノを習う人間からは先が果てしなく長いこと、また曲名がないことからモチベーションが枯渇していまうのである。

一方、ブルグミューラーのようにそれらしい曲名がついていると曲想も豊かになり興味が持続する。おそらく、ドビュッシーやバルトーク、カバレフスキーなどの有名でやさしい曲だと意欲もわくだろう。そしてそしてハイドン、モツアルト、ベートーベン、シューマン、ショパンなどの有名な作品が弾けるようになれば、あとは放置しておいても勝手に練習する、というのが人間のサガからして順当だろう。

もちろん、ピアノの習熟には曲数をこなすという面もあり、より多くの曲を練習して損することはない。つまりバイエルやツェルニーを若年時に短時間に駆け抜ければ良いのだが、すべての子供がそうするとは限らない。ちょっとでも遷延するとモティべーションが枯渇してやめてしまう可能性がある。したがって、退屈な練習曲集を長々とすることは、大部分の生徒にとって能率が良いとは言えないと思う。

教える側からすれば、自分が過去にマスターした曲を教えることが容易である。また退屈なバイエルやツェルニーを踏破したというプライドがあり、それを踏破できないようならピアノは習ってもモノにならない、というセンチメントがあることは確かだろう。しかし、モチベーションが枯渇してピアノをやめてしまえば元も子もないし、思秋期になって色気ついたころに音楽にがぜん興味ができて伸びる生徒もいる。

従って私からのメッセージとしては、バイエルでもツェルニーが快調に進んでいるなら何の問題もないが、モチベーションに陰りが見え、進度が渋滞してる時は、他の曲にしてもらうよう頼んでよいのではないか、ということである。それが受け入れられなければ先生を変えるのもやむを得ないのではないかと思う。

世界的にはトンプソン、バスティン、バーナムが主流だが、日本では幼稚園や少中学校の教員採用にはバイエルの指定が残っているので、これらが将来の希望にあり、また快調に進んでいるならバイエルというチョイスは依然としてあると思う。ただし渋滞するなら当然変えるべきであろう。

今の日本ではピアノがうまいからと言って食える人間はごく少数である。MP3やネットで簡単に音楽が聞ける時代であれば、ますますユーザーは超一流のピアニストに殺到するので、それ以外の並のピアニストは食えなくなる。しかし、一生の趣味としては楽しいものであるし、幼稚園や小中学校の教員となるにはある程度のピアノの技量は必須であり、そうでないと採用試験に合格しない。

つまりプロ波の技量が無くても、それなりに役に立つことは多いのである。ただ、それ以前に音楽が嫌いになってしまうと元も子もない。とくに思春期で色気づいて音楽に興味が湧いたころに、ピアノをやめたことが一生のトラウマとなることはある。いろいろな音楽以外の趣味や習い事に手をだそうとしても、”ピアノを途中でやめた”ことが失敗体験となり前向きになれない可能性がある。

個人的には下手であっても音楽が嫌いにならない、また失敗体験のトラウマとならないことが大事だと思うのである。

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東京都尖閣諸島寄附金のナゾ

東京都知事が都として尖閣諸島を買うという。また、東京都尖閣諸島寄附金(趣意書および振込先)を募金している。

Webmasterは石原知事の過去の行動を全て是認するわけではないが、このままでは国土を喪失するという危機感は共有しているし、今がここ二三年の外交の失地を回復する貴重なタイミングであることも理解している

ZAKZAKによれば2012年4月19日に鳩山元首相がベトナム外相に「東シナ海を友愛の海にしよう」と話した所、ベトナム外相から「日本は中国に尖閣諸島狙われているので、そんなこと言わない方がいいですよ」と言われたと言う。Zakzakなので信憑性は?だが、ありえる話ではある。

共同通信によれば、鳩山元首相が2009年9月21日に 、

東シナ海ガス田開発をめぐり、鳩山首相は「友愛の海にすべきだ」と強調し、共同開発に向けた「協定」締結を提唱。胡主席も「平和友好協力の海にしたい。大局の枠組みの中で正しい処理が必要だ」と応じ、近く事務レベルで意見交換したい意向を示した。

とニュースのあと、2010年4月7日からは中国海軍「東海艦隊」による東シナ海での大規模な合同訓練で沖縄本島と宮古島の間を通過するなどしたあと、日本政府は遺憾の意を表していない。

そして辞任後になるが、2010年9月7日午前に、尖閣諸島中国漁船衝突事件が起きている。その事件のビデオを政府は隠蔽したが、海上保安庁職員のyoutube投稿でビデオは不規則な形ながら公開された。その職員は逮捕見送りで事情聴取後、書類送検されたものの不起訴、また懲戒免職ではなく依願退職になっている。

なお、2010年11月1日には、 ロシアの国家元首として初めてドミトリー・メドベージェフ大統領が国後島を訪問している。2011年9月11日には、 ニコライ・パトルシェフ安全保障会議書記が国後島と歯舞群島の水晶島を訪問しており、歯舞、色丹島の北方二島返還すらも大幅に後退した。もちろん、沖縄基地問題で米国との関係も戦後かつてないほど冷却している。

鳩山元首相は2009年9月16日に就任して2010年6月2日には辞任するなどわずか8ヶ月あまりの在任期間に、誤ったメッセージを発したことによる外交の失地は大きく、米国との離反、また中国とソ連の領土野心を刺激することによって、日本は戦後の外交努力の多くを失ったのである。

現在の野田首相は外交には一定の見識を持っているようだが、周りが悪すぎる。過去の活動歴が非常に怪しい組合幹部や弁護士しかおらず、政権担当能力は無いに等しい。そのうえ、役人をうまく使うことができていない。

さらに蠢動する小沢一郎からの脅威にさらされている。非常に不気味なことだが、日本国では、小沢一郎が蠢動すると多くの政治家が病気になるか死亡し、また天変地異が相次ぐことが知られている。どうやら八百万の神は小沢をいたく嫌っているようである。

そこでWebmasterもささやかな貢献をすることとした。

これが間に合うのかどうかは解らない。ただ、中国国内が薄煕来の失脚や、活動家陳光誠の対応で混乱している今のタイミングは日本の失地回復には貴重な時期であることは間違いない。もう野田政権は永くはもたないと思うが、野田首相の政策のうちいくつかの正しい方向性のものは引き続き機能すると希望的に考えたい。

一応日本は民主主義国の範疇に入るらしいので、ごく少額ではあるが寄付も一つの国民としての意思の表し方だろう。

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トモヤドットコム発電所開設3Qデータのナゾ

我が家の太陽光発電も設置から10ヶ月たった。一番厳しい冬季でも太陽電池の温度が低いことから、天気さえ良ければ夏季の発電量を上回っており、年間予想発電量は設備1kw当たり1200kwを超える見込みだ。北海道や長野県の発電量が多い理由が解ったような気がする。

3月は天候不順があったものの、気温が比較的高くエアコン需要が減ったこと、晴れた日の日射量があり低温でパネル効率が高いことから、買電より売電が上回る純黒字となった。夏までは純黒字が続きそうだ。

また福岡地区の標準的な設備あたり発電量も18%上回っている。これは電池板の性能が仕様を上回ることが要因と思われる。設置時点で一番効率の良いパネルを選んだが、そのすぐ後に効率が向上した製品が発表された。

寸法が同一で効率が異なるパネルが3種類あることからクラス分けされているのだろう。製品の効率が向上するたびに新しい製品型番となっていくのだと思われる。半導体などと同じ考え方だ。

電気代低減額はローン支払いを大きく超え、それがプリウス燃費で節約された分をあわせて、Webmaterの有力なお小遣いとなっている。

データは、

発電状況

トモヤドットコム発電所 予測発電量(福岡) 指数
電池容量※ 3.14 kW 3.14 kW
設置時期 2011年6月 ----
同じ月
2012/3 325 278 117
年間合計
計算期間合計
10ヶ月計 2591 2188 118

福岡地区標準と当施設の発電量のグラフ

ここのところ太陽光パネルの価格は下げ止まっている。おそらく生産技術向上による原価低下と、原油価格の急騰によるコスト上昇、過当競争によるメーカーの疲弊の具合が相まって微妙な安定を見せているのだろう。一番手のシャープでさえ採算が疲弊していることから、その他のメーカーはさらに厳しいものと思われる。

今後飛躍的な技術向上で更に安くなるかも知れないし、採算が低いメーカーが退場することで底を打ったとの見方もあり、価格動向は予断を許さない。まるで商品市況のようでもある。

個人的には電力供給の不安が現実となった今、屋根資産をお持ちの方は考慮されてよいと思う。ただ悪徳業者の話もチラホラ聞くので、業者選びはきちんとすべきだろう。夏涼しく、冬暖かいというのは本当で、2階の空調を入れる時間が減った。

さらに管理というほどの仕事もなく、予想以上に発電してくれている。電力会社が必至でネガティブキャンペーンをやっていたはずである。最近では他人の屋根を借りて発電し配当を払う業者も現れている。そのくらい商売にうま味があるのだろう。

1年を経過した時点で、発電量、買電、売電、電気料金などを集計して報告する予定である。その結果でどの程度Webmasterがムダ使いできるかが決まるので、集計には重みがあるのだ。

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リーフはプリウスより本当にエコなのか?のナゾ パート2(リーフはプリウスよりCO2を多く出している)

北海道電力の泊原発が定期点検5月5日を迎えようとしており、いよいよ原発全停止が目前となった。急に政府は関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を画策しているようだが、本サイトとしてはその是非について今回は議論しない。

ドイツは再生エネルギー発電に熱心だがが、国内17基の原発のうち約半数の8基を停止したことで、主にフランスから電力輸入となり批判を浴びていた。ところが、今年の冬はフランスが寒波で電力不足に苦しむ中、2011年の通年では4200GWHのフランスなどへの輸出超過となった。

今までの報道がガラガラと崩壊して流れが変わったようである。依然としてドイツ国内の電力融通は十分でないそうだが、その理由は自然保護のために送電線増設が止まっているから、とのことである。個人的には送電線は原発ほど危なくないと思うのだが、環境保護とは難しいものである。

さて原子力をとりまく環境が激変したので、

リーフはプリウスより本当にエコなのか?のナゾ

は計算を大きくやり直す必要ができてきた。以前の計算では日本の全電源の発電効率を43%とすればリーフのガソリン換算の燃費を25.2 km/l、プリウスをWebmasterの実測データより22.6km/Lと算出した。これだと発電効率が27%に過ぎない沖縄では二酸化炭素を増加させる。その他の地域では微妙だが、少なくとも初期投資額の200万円の差は到底埋まらない、という計算だった。

その後リーフのユーザーからの報告も増え、またEPAで燃費が評価され、また原子力発電所が1機をのぞいて止まっているという状況の変化があったので、再度リーフの環境負荷を計算することができる。

2011年のEPAラベルには、リーフの燃費はCity 106mpg、Highway 92mpg、Combined 99mpg、航続距離が73 mile=117 kmと書かれている。99mpgをkm/Lに換算すると(99 x 1.61)km/3.78541178L= 42.1km/Lとなり一見良さそうである。EPAは33.7kwh=ガソリン1ガロンと等価としているので、電費は(99mile/gallon x 1.61km/mile)km / 33.7 kwh/gallon から4.7km/kwhとなる。なお電気代は11セント/kwhと計算しており、これは日本の1/3〜1/4である。

EPAの評価4.7km/kwhという数字は予想より悪い。電池24kwhのうち仮に80%が常用可能とすると24x0.8=19.2kwh、航続距離は20.4x4.7=90.24kmとなり、EPAの航続距離117kmより短い。

どうもEPAの計算は電池容量24kwを全て使う前提らしく、実際には80%程度から制限が始まる。さらに満充電で劣化する電池の保護のためロングライフモードとして80%要領の充電が推奨されているから、実際はもっと短い。EPAの計算は電費はやや悲観的ながら航続距離は楽観的といい加減さが気になるが、エアコンやライトなど電気を使っての航続距離100km前後とは多くの日本のユーザーの報告とさほど遠く無い。ただし

99mpgの根拠となる 33.7kwh = ガソリン1ガロン という換算値は非常に怪しい。

これは熱量比なのか、あるいはガソリンを燃やして発電する効率込みの数字なのか?もし発電効率が入ってなければインチキだ。なぜならガソリン車はガソリンを燃やして走る。ハイブリッド車ではモーターはガソリンを燃やした電気で走るからだ。それと比べるなら熱量でなく発電効率を含めるべきである。

EPAのラベルには、ボルトなどではEVとしての燃費とハイブリッド車として動く燃費の両方併記している。片方だけエンジン効率が入り片方が熱量というのはおかしい。電力は無から生じるのではなく日本の電力の90%、米国の電力の72%が化石燃料由来(2006年電事連)だからだ。そこで電力から熱量に換算すると33.7kj/s x 3600s/(4.2J/cal)=28885kcal、一方ガソリン1galの重量は3.8L x 比重0.75kg/L = 2850g、熱量は2850gx10.4kcal/g=29640kcalとほぼ等しい。つまり

EPAの電力とガソリンの換算は熱量換算であり発電効率は含まれていない

とんでも無いインチキだ。実際3.8Lのガソリンで発電しても良くて30%に過ぎない。これは、

EPA燃費が燃料から電気への変換効率入れずにEVの燃費を過大に評価するのは、政治的に米国製EVを日本製ハイブリッド車よりよく見せるためという疑いがある

まさかと思ったが米国の政治家が考えそうなことである。だからユーザーは国よりコンスーマーズレポートの方を信用するのだ。

さて日本のユーザーは電費が5〜6km/kwとの報告が多く、EPAの4.7km/kwはやや渋めだが大差ない。とするとCO2発生源単位の発電効率が問題になる。

低炭素社会の実現に向けた電気事業の考え方について 平成21年2月19日

によると、2006年の化石電源は61%(石油11%、ガス23%、石炭27%)、非化石電源が38%(原子力28%、水力8%、再生可能2%)となっている。この論文の結論は、”再生可能エネルギーには期待できない”とする面白いものだ。

さて火力発電所の効率は、

火力発電の現状と今後 火力発電の現状と今後 東京電力2009年

の出典は前述2006年データだが、発電効率は90年代ずっと43%程度を維持とある。45%という数字もあるが発電端効率であり送電ロス5.1%を見込むと需要者端で43%となる仕掛けだ。

水力の電源構成10%をどう組み入れるかだが、1999年に通産省はkwhあたりのコストを水力13.6円、石油10.2円、ガス6.4円、原子力5.9円と見積もっており、信頼性に問題があるものの水力の効率は火力より低いことから、CO2ベースの効率もそれ近いと考えらえる。いまどきすべての製品、建築、人件費などの金銭的コストは最終的にはエネルギーないしCO2と等価だからだ。

リーフのガソリン換算燃費42.1km/Lに発電効率43%を適用すると、42.1x0.43=18.3km/L(99mpgx0.43=43mpg)となる。一方プリウスの2011年EPAラベルはCombinedで50mpg=21.1km/L City 51mpg、Hiway 48mpg)なのでリーフはプリウスより7%多くの二酸化炭素を出すことが確実である。これはガソリンの輸送コストを多めに見積もってもその差は埋まらない。

ずいぶん回りくどい計算をしたが、リーフのEPA燃費が発電効率を含んでいないことがわかれば簡単である。MPGから直接計算すればよい。つまり、

リーフの燃費=EPA燃費99mpg x 発電効率0.43 = 43mpg プリウスの燃費=50mpg

簡単である。巷では電気自動車の効率はガソリン車の倍であると、いまだに堅く信じている(信じこまされている、あるいは信じた振りをしている)学識研究者や自治体関係者も多い。電事連が研究費は補助金で飼い殺しにしてきたのかも知れないが、どうしてこういうことになるか?

多くの電気自動車では発電効率43%、電気自動車の効率を80%、合計効率 = 0.43x0.68 = 29%としていた。一方ガソリン車の効率は最高30%程度だが、部分負荷が多い市街地では15%以下と見積もられていたので、電気自動車は倍効率がよいという計算だが、リーフのEPA燃費からは電気自動車の効率80%は過大で実際は半分程度しか無いことになる。

リーフの二酸化炭素排出をプリウス並に減らすには、発電効率を50/43=1.16から16%上げる必要がある。43x1.16=49.88%から全電源発電効率を約50%とする必要がある。 原子力発電のコスト計算は紛糾しているが、有名な1999年の通産省(前述)の数字でも原子力5.9 円/kwhとガス6.4円/kwhは近接している。真の原子力のコストは人によって1円高とするものから倍額以上とするものまでいろいろだがたった1円高としてもガスより高くなる。全ての金銭的コストは最終的に燃料コスト=CO2に換算されうるとすれば、

ガスよりコスト高の原子力発電をいくら増やしても発電効率が43%から改善する見込みはない

ということになる。最新のガス発電施設の効率は60%近く、また1999年当時よりシェルガス採掘法の進歩でガスの可採埋蔵量が増え価格も低下している。原子力よりガスに注力すべしという意見も強い。

さらにリーフとプリウスでは製品価格が倍違う。倍違うということは、やはり製作に要したコスト=エネルギーも倍違うという考えられる。人件費でさえ、最終的に人間は食べ物を燃やしてCO2にするし、パーツを作るのにはエネルギーが必要だからだ。飲み屋で打ち上げに使う金も最終的にはエネルギー=CO2に換算できる。実際はリーフはあの価格でも日産はバーゲンで出していると思われるので、製品が出来た時点でプリウスの倍約近いエネルギーを先食いしているのは間違いない。

さらにさらに、であるがリーフの電池は5年で80%となるとだけ記されていて、いまだ交換コストは未定のままである。現在の価格差からすれば200-250万という推測が成り立つが、これを1度交換すれば車両のエネルギーコストはプリウスの3倍になると推測される。

ようするに、現在の日本の発電事情でリーフはプリウスよりも二酸化炭素を多く発生する。発電効率が27%に過ぎない沖縄電力では倍の二酸化酸素を出す。また原子力が稼働したとしても真のコストを斟酌すれば効率の向上は期待できない、ということだ。

最後に燃費の計算だが、電費4.7km/kwhは1kwh=25円とすると4.7km/25円となり、ガソリンを155円/Lとして換算すれば4.7kmx155円/25円=29km/Lとなり、依然としてプリウスより良い。深夜電力であれば更におトクである。つまりコスト的燃費はリーフが良いが、CO2は余計に出るということである。ちょっと釈然としないが、これは日本の電気代が安いのではなくて、ガソリンの税金が高すぎることが理由だ。従って

プリウスより明らかに多く二酸化炭素を出しガソリン税相当を払わずに貴重な電気を使うリーフに補助金を払う政策的意味は無い!

という議論は残る。ガソリン1リットルには関税(原油0円〜ガソリン1円)、揮発油税48.6円、地方道路税5.2円、石油税2円と税金の上に二重課税としての消費税が乗っている。つまりガソリン価格の半分近くは税金だ。一方、同じ道路や施設を使うリーフの電気代には揮発油税や地方道路税が含まれず一種の脱税であり不公平なのだ。従って、

リーフがガソリン車と同じ自動車関連税を負担すれば電費はプリウスより悪くなる。

自動車用電気に税金をかけるべきなのか、あるいはガソリンから税金を減らずべきなのかは問題であるが、いずれにせよ電気は無尽蔵ではない。原子力の真の金銭的コストがガスより高いということは発電に要する総エネルギーも多い=CO2を出すと考えられるので、コストの高い原子力を増やしてもCO2は増える、ということだ。

電気自動車を普及させるなら、再生可能エネルギーで走らせるべきである。もちろん太陽光で発電した電気を網に供給すべきか、車に使うべきか、どちらがトータルでトクなのかは解らない、もう一つ、普及しつつある太陽光は車が休む夜に発電しないので蓄電することになると、蓄電池設備が高いのでコスト割れになるかも知れない。

やはり再生可能エネルギーが軌道に乗るまでは自動車は貴重なガソリンをケチケチ使って走るしか無い、というのが本サイトの結論である。

補足

この文を作成し後に見つけた論文がある。細かい数字は違うが、結論は同じであるので、ぜひ参照してほしい。

電気自動車の走行にはハイブリッド車よりも多くの エネ ルギーが必要である 藤井 義明

また、この方面で大変精緻な議論を発表されているSynthesistさんのページに紹介されている最新の(電力会社のデータをのぞく)のエンジン車(ティーダ)、プリウス、リーフのEPA燃費をベースにソース(石油井戸からSource to Weel)の二酸化炭素排出のグラフ(Synthesistさんの画像へのリンクを是非ごらんいただきたい。

なお原発事故以降の電力会社のCO2排出源単位は日経新聞ecoo-japanで報道された日本エネルギー経済研究所の伊藤浩吉・計量分析ユニット担任常務理事によれば、全電力会社合計では「2012年度は約0.58kg/kwhになりそうだ」(エネ研)との記載がある。実際にはこれに電力会社以外の発電が加わり、通常それらは電力会社よりCO2発生が多い。

上記のリンクのグラフで下軸でCO2排出源単位で0.58の所を見ていただくと電気自動車はハイブリッド車より二酸化炭素排出量は多いことになる。この図で電力会社のデータの部分だけが原発事故前の2009年と古いのである。ただ日本の多くの人が疑うように電力会社や電事連のデータをそのまま信用していいか疑問はのこるが、彼らのデータをベースに計算してもこれなのだ。

ようするにどう計算しても、現時点ではリーフはプリウスより二酸化炭素排出量は多いと断言してよい。かつてリーフは原子力を前提にしていたが、今後は再生可能エネルギーが本格化し、電池技術が進歩するまでは、環境のお荷物ということである。

補足

電気自動車の電費計算は充電時にコンセントに投入した電力から計算されるので、充電効率は電費には含まれていることになる。ただしインバーター効率と充電効率から、仮に20kwh充電しても実際に電池には16-18kwhしか無いことになる。これが電気自動車の実際の効率が非常に悪いことの理由の一つ(寄与度10−20%)のようだ。

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Webmaster的視点によるプリウスの燃費のナゾ

ご存知の方もおられるが、Webmasterは某実験系サイトのオーナーとプリウスの燃費に関して議論になった。オーナーは電子装置のプロらしいが、お嫌いで粘着している対象が3つほどあり、ソフトバンク、公務員、そしてトヨタのプリウスのを辛辣に批判されている。

個人的にはソフトバンクを使ってないので論争に加わったことは無い。オーナーは過去NTTの仕事や代理店をされていたらしいポジショントークと認識している。

公務員は政治的なトピックなので興味が無い。私のスタンスは、公務員はハサミと同じで使いようであり、どううまく使うかは選挙民と政治家の責任ということだ。

さて、トヨタプリウスである。オーナーはトヨタを評価していないようだ。Webmasterもトヨタ車は6台目だが、実際に、

こんにちは!プリウスLグレードのナゾ

では、 ”トヨタといえば、大衆車からレクサスまでの使い回し部品、外車に追随するだけのデザイン、表面だけ豪華な内装、スペックほど吹けないエンジン、ゆるゆるブッシュのサス、路面状況を伝えず曲がらないステアリング、ハーネスと生産の都合による不要な抱き合わせオプション、レギュレーションをズルするレースの歴史、と印象は良いとは言えない。もちろん高度な(というかバランスがとれた)品質管理は高く評価しているが。”

と書いた。現社長になって改善したものの基本的な評価は同じである。プリウスも空力的な造形のために見切りが悪い、遮音が悪い、乗り心地が悪い、内装が悪い、アクセルやブレーキ、ステアリングの運転感覚に違和感がある、などなどの指摘は正しい面もあるが、個人的には許容範囲である。トータルとしての品質管理は世界のトップであると評価している。

プリウスの燃費性能についてはプリウス20Gに乗るまでは半信半疑であった。エンジン始動を伴わない発進や予想より強い加速は印象的だったが、走行音や透過音が耳につき、内装もプアだと感じた。ただしフード、リアゲート、ナックにアルミを使うなど、”見栄え”は良くしても目に見えない所には金をかけないトヨタの伝統とは異なっていると思った。

そこでプリウス30がやってきた。翌日に国道を流れに沿って(Webmasterは流れより遅く走ることができない性格である)30分ほど走った時の燃費がこれである。

30分間の計測であり電池に頼った瞬間的燃費ではない。オドメーター100kmの新車に素人の私が乗った時の記録である。プリウスは走らせ方では驚異的な燃費を出す車なのである。

今年1月頃の燃費は(オドメーターAは新車以来13118kmだが4桁しか表示がない)、

冬季の朝の通勤では暖機が長く18km/L程度と落ちるが、帰りは気温が上がるので暖機が短くバッテリーが満タンなので22km/L以上に伸びる長距離移動は25km/L以上なので、その合計が新車以来22.5km/Lなのだ。厳しい渋滞で激しく加減速があっても15km/Lを割ることは無い。ディーラーが言うには、このデータは都市部ではよい方だが、流れの良い郡部では25km/L以上も見かけるという。

プリウスにはタコメーターとGPS速度と距離表示をもつナビを載せているので、速度計と距離計の精度も評価できた。他サイトのデータとも一致して185/65タイヤでは速度計は約10%過大だが距離計の誤差は3%以下だった。瞬間燃費表示は甘い印象だが、トリップメーター燃費は給油量と一致していた。

しかし、そのオーナーは2012年4月7日に

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”普通の車ならば走行条件によってはモード燃費を超えられるしそれは珍しい事ではないが、プリウスとアクアではこれは不可能なのだろうな。”

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そこで私は、不可能では無いとデータを示した。そうすると、彼は

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”「モード燃費の数字など絶対出ない」と書きたい所をぐっと押さえて「不可能だろうな」と個人的見解を強調したのにダメですか。”

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そのスレッドにはこうも書いている。

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私は絶対に無理だとは断言していない。

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鳩山元総理のように自分の発言に責任が持てない人と議論するのは無駄かも知れない。そもそも彼はプリウス30には一度も試乗しておらず、彼のサイトにある記事は虚構なのか、という気すらしてきた。バイクのエンジン整備の記事でも過去エンジンを分解組立した経験が乏しいことが露呈した。

さて、再確認のために国道で燃費を計測した。流れはおおむね良好だが交通量も多く、ところどころ渋滞もあり、もちろん信号停止もある。ペースは前後の多数の車に挟まれているので流れに任せるしか無い。車は無改造、タイヤも純正品で空気圧も標準だ。

帰りが

である。

見る人が見ればまだ甘い(電気が余っている)と思うが、交通量の多い国道で流れに沿う限りはこんんなものだろう。トリップBは燃料補給から619kmで燃料を1/3残していることから航続距離は9000キロを超える航続距離がある。

その後彼は燃費の議論から逃げ、粘着はさらにひどくなっていく。彼の発言を拾うと(4/14)の雑記では

”爆音マフラー系プリウスをたまに見かける。この手もブォ〜と汚い音を発して全開加速を試みるが速くはない。”

"(4/12)のブログでは

「渋滞の先頭はプリウス」、意図せずにと言うか意識していないと渋滞の先頭になってしまう、車に合わせて人間が我慢しろとなる、燃費マニアは変人、クソ野郎、中年になってオンナに狂って暴走している人を見ているよう、回生ブレーキの不自然さを人間がカバーするのは不可能、”。

などと、彼の人となりを示すヒステリックな言葉が並んでいる。(4/7)のブログでは

”批判は体験をしてからと言う意見を否定するものではないですが原発にファイバースコープ突っ込んできたんですか?”

ついには話を原発へすり替える。(4/7)のブログでは

”CLSは私が市街地で8km/l前後だが雑誌のテストなどによってはそれよりずっと悪い場合もある。だからと言ってあの雑誌はアンチだとは言い切れない。”

雑誌が実際にテストした結果なら燃費が悪くてもアンチではない。しかし試乗もせずに妄想を書き続けるのはアンチではなくストーカーである。

彼のプリウス批判が頻繁に出現するところをみると実はプリウスに興味があるのだと思われる。ちょうど興味のある女の子に意地悪する男???の子のようなものだろうか。

かつて彼は、私がプリウスを擁護するのはそうしないとプリウスがキライになってしまう、それが怖いから擁護するのだ、との珍説を披露した。これは彼自信のドイツ製高級車に対する心情を私に投影したものと思っている。まあ常識的に考えて、シェアがトップで納車が数カ月待ちということは、欲しい人の方が遥かに多いと思われる。

(4/19)には、

”プリウスは定速走行が苦手なのかという議論があるので考えてみた。。。実際ではそうでもないようなので、軸出力保証制御がなされていないか或いは制御が雑だと思う。”

定速走行が苦手とは、速度とエンジン音が比例しないからということだろうか?今どきのエコカーは殆どがベルト式CVTなので加速時に速度とエンジン音は比例しない。プリウス30に試乗もせずにどうして妄想記事を書き続けることができるか不思議である。

さらに(9/30,2011)雑記では、

”CT200hはエンジンは1.8リッターのハイブリッドシステムなのでウルトラ遅い。エコモードにでもしようものなら床までアクセルを踏み込んでもクラクションの嵐を浴びそうだ。ノーマルモードならばターボ付きの軽自動車並みには走る。”

本当か?かねがね公道で時速250キロまでの加速が速い遅いとか論じている彼のベンツに比べればCT200hも軽自動車もドングリに過ぎないとする差別意識なのか?エコモードはペダルストロークと出力の曲線が最初緩やかなだけで奥まで踏めばノーマル、パワーモードと同様最大出力が得られることを知らないようだ。短時間の試乗と自分で書きながらウルトラ遅いと断定できるのがすごいと思う。

オーナーはプリウス、アクアの燃費について次のように書いたことがある。(3/10 雑記)

”都内などではプリウスの15km/lに対してアクアは17km/l、都市部で20km/lに対して25km/lと燃費が良い。ただし郊外燃費となると両車とも26km/lあたりで差が無くなる。(オンボード燃費計だと30km/lも可能らしい)そして高速道路となると28km/l前後なのだが、場合によってはプリウスの方が燃費が良い。

これも伝聞による記載だが、郊外の26km/Lはともかく高速の28km/L前後はかなり良い数字だ。ただし彼のプライドを安定させるためか、(オンボード燃費計だと30km/lも可能らしい)との但し書きをつけて抵抗を見せることで安定を保っているようだ。オンボード燃費計には適当な瞬間燃費計と、距離や時間ベースの燃費集計の2種類あり、後者はわりと正確である。

オーナーはエスティマハイブリッドを持ちだし、モーター容量に対し電池容量が不足しているなど欠点を探しているが印象は期待より良かったようだ。彼が借用した時点で、高速走行が多い条件での数カ月の平均燃費が12.3km/L(10・15モード燃費の68.3%)だった時点で、彼の”ハイブリッドは10・15モード燃費と実燃費に大差がある”との論拠は破綻しており、それがヒステリーが大爆発した理由だろう。

オーナーは私のデータが信用できないと言うが、それは彼の勝手だ。しかし自分で試乗もせずに伝聞に基づいて中傷するのは妄想である。今回の論点はオーナーが自ら書いたように”実走行時の燃費が走行条件によって10・15モード燃費を超えることがあるのか?無いのか?”、である。答えはある、だ。

大事なことは、プリウスのように運転状況で燃費が大きく変化する車では、どういう時に燃費が伸び、どういう時に燃費が伸びないのか、そしてそれは何故なのか、を解析することである。それは宗教ではなく科学であり、正しい内燃機関とモーター、インバーターの理解に繋がる。

かのオーナーはプリウスのABSは制御が遅くドイツ車より危険だと言っていた。これまた試乗していないのにどうしてそう断言できるかわからない。

プリウスの限界時の挙動について、ドイツ車のエイジェントの清水和夫氏が、ダイナミックセイフティテストでの挙動で”予想より良かった”としている。またユーザーには”十分な操縦安全性を持っているので安心して乗って欲しい”とまで言った。金をもらったのかもしれないが、とにかくビデオは

こちら

にあるので、ゴルフとプリウスの挙動差をご自分で判断していただきたい。

巷でも、年寄りドライバーがのろのろ運転するので邪魔だ、先進とか生意気だ、エレキに頼りすぎだ、内装もしょぼい、エコカーのユーザーとは偽善者だ、などの発言はネットで多く見かけるし、そなうなのかも知れない。逆に新車登録の20%以上をハイブリッド車が占めるので、単に道路上で目立つだけなのかも知れない。かねがね時速250キロまでの加速が速い遅いとか論じている彼も渋滞先頭の車のドライバーとはマナーにおいて五十歩百歩だと思うのだが、燃費に関しては冷徹な数字で出るのだ。

今回の東北震災では避難や移動で好燃費の車に助けられた人も多く、その評判が販売に繋がっている。首都圏の巨大地震が近いとの報道があるが、燃料供給が不安定な状況では長い航続距離や良好な渋滞の燃費は精神的な安心にもつながる

災害時に病気の子供やお年寄りを抱えて渋滞の中を長距離を移動し、避難場所や病院を探しまわる小市民の心細さを思いやるだけの優しさがあれば、偏狭な考えも変わるかも知れない。

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レトルトカレーライスの最小環境負荷料理法のナゾ

まず前回トピのヒ◯ズダイエットのご報告であるが、一食をこれにかえて一月で体重2キロ程度の減量だった。数字としては大したことはないが身軽になった印象がある。ダイエットは次第に数字が下がりにくくなるのだが、体重が減ると身軽になるので運動量が増えるので、お腹の凹み具合への効果は高い。

現在は費用面からプチフルー◯ェダイエット+運動に移行しているが、努力がいらない点は十分推奨できる。栄養の偏りはミルクベースであること、シリアルや野菜、果物を補うことで問題ないようだ。

ところで我が家には3日ほどの非常食を常備している。内容は水、カップラーメン、レトルトカレーとご飯であり、調理具はカセットコンロとナベである。カレーとご飯を温めた水でカップラーメンを作り、また飲用水とする算段だ。

賞味期限はカップラーメンとレトルトご飯が半年、カレールーは一年なので半年ごとに更新することになる。ラーメンとカレーなら見えるところに置いておくだけで自然に消えていくものだ。

ところが、レトルトご飯の期限が一月ほど過ぎてしまっていた(記事作成時点)。半年持つレトルト食品が炎天下でもない限り一月ぐらい過ぎても問題ないと思われるのだが、家族は絶対食べないと拒絶した。例の放射能騒動で、みんな神経質になっているのだ。それならWebmasterが消費してやろうというわけだ。

想定では非常時にはカレーもご飯のナベで煮ることになるが、非常時でなければ電子レンジでご飯を温め、それにルーを盛って再度再度電子レンジに入れるのが普通だろう。問題は使った皿をどう洗うか?だ。非常時だと水道が出ないので、

1.使い捨ての皿を使って捨てる

というのが順当だろう。ただし災害時にはゴミ収集にやって来ないし消耗品も減らしたい。とすれば、

2. 紙の皿にラップを巻いて使う。ラップだけ捨てる。

というのが常識的だろうが、皿を無くすことができれば廃棄物は最小となる。とすれば、レトルトご飯のトレイにルーが盛れば皿はいらないことになる。

しかしトレイはご飯でかなりの部分埋まっており、ルーをかけると溢れてしまう。そこでかなりの研究の結果、ほぼ決定版と思える方法が見つかったので公開したい。

1.レトルトご飯を電子レンジで1分30秒温める。(電子レンジ500Wで通常2分の品の場合)

その際に蒸気抜きの穴は最小にするほど熱効率がよい。実際には針穴が最適である。この時間だとご飯はかなり暖まっているがマスとしての結合は固いままとするのがミソである。

2.次に蓋のフイルムを半分剥ぐ。そして露出したご飯をその上にひっくり返して載せる。つまりご飯はフイルムをはさんで二階建てになる。

ご飯がのる面はフイルムの内側なので不潔ではない。調理時間を守ればマスとして簡単に乗る。

3.空いたトレーにカレールーを盛り、電子レンジで2分ほど調理する。

今度は電子レンジの負荷が増えているでご飯の規定2分より合計時間を長くする。あまり長すぎるとご飯の表面が堅くなるので好ましくない。当然時間は電子レンジによって違うので調節は必要だ。印象としては調理時間は短いよりは長めのほうがが安全である。ただし火傷には注意してほしい。

4.食し方としては、最初にフイルムに乗ったご飯を流行のスープカレー風?に消費する。

ルーは半分位残しておこう。上のご飯がなくなったらフイルムを剥いで残りのご飯と混ぜてを食べる。

コレで終わりで、廃棄物は最小である。え、サジはどう洗うのかって?サジは完璧に舐めよう。非常時なら贅沢言えない。

なおカロリーはご飯が典型的には290Kcal、ルーが190Kcalの合計500kcalで三食すれば1500Kcalとなる。通常の成人男子のカロリーとしてはやや不足だが、成人病の方にはちょうどいいカロリーだ。女性や子供であれば満足であろう。

ちなみにカップラーメンは約400Kcalである。カロリー不足であればバターを10gほど料理に落とすと90Kcalのプラスとなるので、我慢できる範囲ではなかろうか。バターはダイエットの敵だが、非常時はカロリーと塩分の補給が大事になる。ぜひお試しいただきたい。

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雨水は要注意かも、環境線量測定のナゾ

あの災害から1年を迎え、震災と原子炉災害の重大さを噛み締める毎日である。テレビの報道からは震災の被害の報道は続いているが、原子炉災害がマスコミに登場する頻度が下がっているのが気になる。いまだ福島市では地上1mの線量は1μSvを超えているのである。

最近エステー科学のエアカウンターを試用する機会があり、福岡と東京で測定を行った。まず福岡であるが、結論から言うと地上1mでは最高0.05μSvであった。この機種の最小の表示は0.05μSvであるが、この表示が点滅するときは0.05μSv以下、点滅しないときは0.05μSvということになる。

しかし局地的にはこれを超えるところ室内にある。それはアルミサッシのレールである。この0.09μSvという値は仕事場3Fのアルミサッシで計測したもので計測部をサッシの角にあてている。このサッシは海に面して風が強いところであり、その隙間風が運んだホコリがここに集積しているのである。どうやら福岡にも放射性物質は飛んで来ているようである。

次に試してみたのが福島でも高い値がでることで有名なベランダの雨水が貯まる網の部分である。ここには屋上から雨水がパイプで落ち来ると共に、この階のベランダからも雨水が集まるが、かなりの砂埃が溜まっている。

この位の数字となると意味のある数字なのだろう。多くの網では0.15から0.22μSvの分布であった。もちろんこの砂埃上で24時間過ごしたとしても最高で年間に1.9mSvであり、放射線障害には遠く及ばないと考えられる。

次に自宅に帰ってみて測ってみたが、環境では0.05μSv以下であることは変わらない。サッシで一番ホコリが溜まっているところでも0.07μSv程度であった。これは隙間風の量が違うからであろう。我が家の雨水は直接下水道に落ちるようになっているので、測定したのは駐車場の屋根の雨樋から地面に落ちる所で0.14μSv程度である。

この数値もやはり雨を集める屋根の面積の差であろうか。

実は似たような測定を東京のホテルで行ったが数値的にはおおむね福岡の倍程度であった。

さて放射性物質はどこからきたのだろうか?

一つは過去の米ソ中の核実験の影響が考えられる。UNSCEAR「2000年報告書 放射線の線源と影響 第T巻」付録Cによると1945年から1980 年までの25年間にわたる543回の大気圏核大気圏実験は総量約300 万ペタベクレル(pBq)という天文学的量の放射性物質を地球上に放出したという。

一方、チェルノブイリ・フォーラム報告書には全核種合計で14エキサベクレル(EBq、=14000PBq)、原子力安全保安院発行IAEA提出資料(2013年10月)には11EBq(11000PBq)という数字がある。福島は事故後半年で評価されたものだけでチェルノブイリにかなり近い。地下水や海水は十分に評価されていないので、最終的には福島の方が大きくなるかもしれない。現在も3つの炉にそれぞれ毎時15トンの注水は続いており、それはそのまま地下に漏れているからだ

数字的には過去の大気圏核実験総量の0.3%になるが、最後の大気圏核実験から41年、チェルノブイリから25年たっていること、中国で最大の汚染がもたらされた第五回核実験での日本の最大値が約30μR/h(0.26 μSv/h)と小さかったこと、東京の方が数値が高いことから現在の日本の大気中の線量は福島の影響と考えていいだろう。

なぜ、福岡へ?もちろん低気圧が太平洋を通った場合には福島から九州に風が吹くことはあるが、それよりも地球を周回して降下するものが多いという。これは偏西風の蛇行の影響もあるだろうが、殆ど日本全体が似たような条件であり、それの事故時のプルームの影響が乗ると考えてよいだろう。

さて、Webmasterが原子炉事故に興味を持ったのは10年ほど前で、当時月に一度平戸まで仕事で出張していた。帰りに海岸沿いのルートを通ると玄海原発の近くを通ることになる。

そこでふと思ったのは玄海原発で事故が起こるとその影響の大半は福岡に到達するのでは無いか?。玄海原発より北西には海しかなく風向はおおむね北西が多い。原発からのプルームは福岡まで脊振山系に沿って東に進むであろう。

そこで原発事故では安定化ヨウ素剤を内服して逃げることしかないことを知った。当時私は仕事で市の福祉関係のお世話をしていたので、担当者に安定化ヨウ素剤の在庫が福岡市にあるか調べてもらったのだが無いということであった。

さらに調べると、安定化ヨウ素剤は確かに原発が立地している町には備蓄されていた。しかしそれは知事からの指示によりで備蓄場所から各地域の集会所に運ばれ、そこで医師が簡単な問診をして配布される手はずであることがわかったが、これでは原発事故時にタイムリーに配布はおぼつかない。ヨウ素剤は被曝前に内服する必要があり被曝後6時間たつ効果が無くなるからである。

残念ながらそれ以外に国家には備蓄がなくあとは自衛隊に少量、また過去の臨界事故を経験した地方自治体(いわき市)などが独自予算で確保しているのみである。今回いわき市は独自の判断で配布したが、何度も政府から配布をやめるように指導(邪魔)が入った。

今回も事故後に日本中からかき集めても100万人分を確保することができなかった。またなぜか政府は外国政府(複数)からヨウ素剤の提供の申し入れがあったにもかかわらずそれを断っている。

要するに、日本には原発事故の時に汚染を受ける可能性のある地域にタイムリーにヨウ素製剤を配布するシステムも備蓄も無いのだ。このことは何度もWebmasterは情報発信をしているのだが、政府の放射線対策のアドバイザリーであるべき医療機関はサボタージュどころか妨害したこと、メディアのそれに乗って貴重なチャンスが潰されたことは記憶に新しいところである。

残念ながら、この国では原子力災害時には自分で対処するしか無いのである。

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流行のラクチンダイエット作戦始動のナゾ

先のトピで挙げたように、今年初めの目標は5kgのダイエットである。過去の

ビリーなんとかエリートにはまってみる?のナゾ

は結局7kg減量に成功、2kgのゆり戻しがあって今に至るまで多少の増減があってもベースとしての5kg減は維持している。当時は特に食事を減らすことはなかったが、意識せずともその後は揚げ物類はとらないようになった。宴会があっても鍋なら白菜ばかり喰うようになった。潜在意識に減らした体重をつまらない食い物で増やすのはソンという感覚が根付いたのだろう。

ただBootCampは疲れる。最もラクなエリート版の3枚目であっても疲労感が次第に溜まっていた。肉体労働の多いWebmasterの仕事では土日はともかく平日の運動量としては過剰だったのだ。

何かラクで、おいしくて、おなかいっぱいになって、腹持ちが良く、しかも持続できるダイエットがあるだろうか?

友人にその難題をふっかけたところ、教えてくれたのがヒ◯ズダイエットである。これはフルーチェと同じペクチンが主原料で150mlに牛乳150mlを加えてできるムース状のもので3食の内一食を置き換えることで、一日500-700カロリー減らすと宣伝している。栄養としては、熱量が牛乳込みで約200カロリーで他にコラーゲンが1g、L-カルニチン0.3g、オリゴ糖、難消化デキストリン、トレハロース、ショ糖に各種ビタミンがわずかに含まれている。

さっそく昼食として作ってみると量は男性用としても多めで最後の方では既にして満腹感がある。これは多糖類の一種であるペクチンとデキストリンがその後も腸内で水を吸って膨張するからである。これらの大半は人間の消化酵素では殆ど分解されずそのまま腸を掃除しつつ排出されることになる。したがってワカメなどと同様に過去腸閉塞(イレウス)を起こしたことがある人には禁じ手であろう。

味はオリジナルボックス5種、セカンドボックス5種とそれなりにバリエーションがあるが、果汁だけで果肉のがまったく入っていないところが味気ない。そこでドライレーズンやフルーツグラノローラ、シリアル類を僅かにパラパラと混ぜる良い感じで、約25カロリープラスというところだ。これなら一月は続けられるであろう。

もちろん問題がある。まず栄養面で野菜が入っていないことだ。いくら繊維質相当が多くてもサプリメント的な栄養では偏ってしまう。最低野菜ジュース程度は必要とすれば約75カロリーアップでトータル300カロリーというところか。

コンビニのカレーライスが700カロリー、丼物が600カロリー、野菜ツナサンドが300カロリー、、おにぎりが160カロリー程度なので、一食をかえただけではメーカーが言う一日700カロリー減は無理で300-400カロリー減ぐらいだろう。700カロリーは他の食事や間食をやめるなど低カロリーに留意してやっと実現できる数字である。

もう一つの問題は価格で一食1000円なので一日一食するとして月に3万円にもなるのは高すぎないか?メーカーはまとめ買いを進めており、2ヶ月分(60食)買うと54食オマケの計104食となり一食あたり640円になるというが、それでも高い。この値段なら果肉を入れるとかレーズンを入れるとか、ありがたみがあってしかるべきであろう。

そこで情報を収集すると、もう少しお安いものにオル◯ス化粧品のプチシェイクがおすすめというものがあった。これは量は◯ルズよりも少なく本品100mlに牛乳100mlを混ぜて一食150カロリー、価格は一食約200円とヒ◯ズより圧倒的にリーゾナブルである。

量が少な目なのは、おそらく小柄な女性には◯ルズのは量が多すぎるといったリサーチからだと推測する。成分は似たようなものだがコラーゲンが無い代わりにローズマリー抽出物が入っているという。

ペクチンの効きはヒル◯より弱めでムースも柔らかい。個人的にはやはりムース200mlでは物足らない感じなので、牛乳100mlを150mlとして合計250mlがおすすめである。これにフルーツグラノローラ少々、野菜ジュース一本を加え、280カロリ-程度となりヒル◯とは大差なくなる。ペクチンが少ない分腹持ちは劣るが膨満感はあまりない。昼食にこれを食せばオヤツはコーヒーだけで夕方までは持つ。

味の方は似たようなものだが、わずかに果肉が浮いているところが嬉しい。従ってふりかけるグラノローラの量は少なめでも満足感は十分にある。コストパフォーマンス的には良好だが上には上があるのだ!

それは本家、グリコのフルーチェである。これは純粋にお菓子なのだが成分的にも風味的にも非常に近い。これが使えるならわざわざ通販で買う必要もないのだが?

そこでまず試したのがイチゴ味の4人前のもので市価150-200円、本品200mlに牛乳200mlを加え合計400mlで約310カロリーである。もし300ml食するとすれば232カロリーとヒル◯とは誤差の範囲である。それに盛大に果肉が入っていてグラノローラなどのおかずも少量ですむ。仮に400ml全部食ったとしても大したカロリーではない?

そこで食してみると明らかに前二者より甘い。4人前のお菓子だから当然だが、最初はいいものの、次第に甘さが過剰となって食が進まない。いくらスイーツ男子であってもフルーチェ400mlはちょっとタフである。ペクチンの効きはヒ◯ズとほぼ同等の固さなので、本品100mlに牛乳150mlの250mlに少量のグラノーラと野菜ジュース一本を加えて合計は280カロリーが適当か?

ただし一つのレトルトパックで2食分というのはハンドリングが悪い。一度作ると朝食と昼食がこれになるとすれば甘さと匂いにまいるだろう。二人分としても相手をみつけなければいけない。しかし、これには解決策が見つかった。

それは100均ショップ向けプチフルーチェ100円で、本品150mlに牛乳150mlを加え300mlで232カロリーである。ヒ◯ズより30カロリー多く、これは砂糖の差だと思うがカロリー的には大差では無い。また果肉が多くてグラノローラなどのおかずが少量ですむのでトータルのカロリーは同等になる。

しかし所詮はお菓子であり、栄養面の不安なしとしない。そこで栄養成分が詳しいオ◯ビスプチシェイクを見ると、製品100ml当たりのカロリーは78カロリーであり、その内訳は糖質17.2gによることが解る。他にはタンパク質が0.1g、脂質ゼロ、ナトリウム1.14g、鉄3.7mg、カルシウム2.2mgなどとあり、基本的にはペクチンなどの繊維質以外の大半は糖質なのだ。

これはペクチンを可溶性の液体とするには糖質が必要であることによる。つまり甘みの無いペクチンのムースというのは不可能なのだ。同様にジャムやお菓子をペクチンで作るにも糖質がどうしても必要だということだ。

次にヒル◯ダイエットの栄養はどうだろうか?例えばコラーゲンが1gだが、牛乳100mlにはコラーゲンの原料のシステインが100mg以上入っている。なにより牛乳にはタンパク質が3.4g、ビタミンA 38μg、ビタミンB1 0.04mg、ビタミンB2 0.15mg、ナイアシン 0.1mg、ビタミンB6 0.03mg、ビタミンB12 0.3μg、ビタミンE 0.1mgなどと、本体よりもむしろ栄養がある。そもそも牛乳は完全食であり、これだけで子牛が立派に育つのだ。

要するに、この手の製品の栄養は牛乳やサプリメントと比べると微量であり、難消化繊維質とそれを可溶化するための糖質が大半なのだ。従って、栄養的にはヒ○ズもオ○ビスもフルーチェも大差なく、栄養の大半は牛乳に由来する、というのが結論である。

さてここまで来た所で、栄養の大半が牛乳に由来するなら栄養は大半が牛乳による最初から牛乳を飲んだらどうか?牛乳が腹持ちが悪いならヨーグルトを食べたらいいのでは無いか?とおっしゃるあなた。至極もっともである。

そこでヨーグルトの栄養を調べると(明◯ブルガリアヨーグルト)、製品450g当たりの栄養素は、熱量292カロリー、タンパク質17.5g、脂質11.25g、炭水化物30.15g、ナトリウム0.25g、カルシウム0.61gであり、これは全乳の栄養と全く同等である。ワンパック食べるとカロリーは高めだが栄養は遥かにリッチである。ただし腹持ちは前述の製品にくらべてどうしても短い。やはりオヤツが必要になる。

つまり、ダイエット食品のツボは腹持ちが全てなのだ。寒天ダイエットやマンナンダイエットなど原理は同じだが、料理に加熱がいらないのでハンドリングが簡単ということである。ヒ○ズやオ◯ビスは難消化デキストリンのせいだろうかかフルーチェよりわずかに腹持ちが良い印象である。これにはオールブラ◯などの繊維質の多いシリアルを混ぜることで差は縮まるようだ。

さてあなたはこれらの製品の値段をどう思われるだろうか?また確かに敷居は低いダイエットではあるが、栄養素は野菜ジュースやシリアルなどで補う必要がある。例えばこれを一日に2食3食して長い間常用して野菜や魚、肉、卵などを取らないと栄養のバランスが狂う可能性があり、それはどの製品にも警告されている。腹持ちが良いだけにその手のリスクはあると思う。

価格についてはどうだろうか?当然プチフルーチェがお手軽だがちょっと甘い。オル◯スは値段はまずまずだが通販である。ヒ◯ズはどう考えも高いが、多くの女性が美容やダイエットのために膨大な金額を使っていることを考えれば、高くないと考える人もいるだろう。

さてWebmasterのダイエット効果はどうだろうか?概ねこれらを日に一食とり、オヤツや間食をしなければ週1kg強の減量効果がある。実際には平日にはもっと減るのだが土日の運動量が少ないと少しゆり戻す感じだ。目標の5kgを達成すれば、その後も続ける気持ちは全くない。

ブートキャンプと同様に、間食しない限り確実に減量できると思うが、やはり少々のカロリーを使ってもほかの食事をきちんととらないと健康的には永く続かないと考えている。栄養的にも、根気的にもまず2ヶ月が目安では無かろうか?

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新年に誓うエコへの戦いのナゾ

謹賀新年

昨年は地震、津波、原発、台風とたいへんな災禍の年であった。今年がぜひ良い年であることを祈りたい。とはいえ、まず昨年の総括をしなければいけない。

太陽光発電

当発電所のデータはSOLAR CLINICにトモヤドットコム発電所として公開している。本格的に稼働したのは半年間であるが、

発電状況

トモヤドットコム発電所 予測発電量(福岡) 指数
電池容量※ 3.14 kW 3.14 kW
設置時期 2011年6月 ----
同じ月
2011/12 199 157 127
年間合計
計算期間合計
7ヶ月計 1866 1574 119

データのように12月は福岡県の施設規模あたりの予測発電量より27%多く、半年間では19%多いと健闘しているが、温暖地とは言え福岡は日本海(玄界灘)に面して曇天が多く不利である。

年間ランキングでは太平洋岸の宮崎を差し置いて長野県がトップを占めている。太平洋沿岸はおしなべて発電量が高く寒冷な北海道や東北もなかなかのデータを出している。太陽電池の効率は毎年ジリジリと改善していて、新しいものほど定格より効率が良いようだ。本音6月末までのデータ集積が楽しみである。

また、屋根が二重になったことで二階の夏が涼しくなったのと同時に、夜間の熱量ロスも減って冬も暖かくなっている。費用対効果だが、時間別電気料金の併用によって売電額および買電の低減額を足したものはローン額をはるかに超えており、それに相当する額はWebmasterのお小遣いとしてもバチは当たらないと思う。

プリウス維持費

プリウスは昨年末で走行が約13000kmであり、昨年度の走行は震災と原発事故で遠出する気分になれなかったせいか、わずか5000kmであった(トリップの距離は下4ケタ表示)。新車以来の平均燃費は22.5kmと変化していないが、燃費が伸びる遠出が少なかったことを考えると実質的に改善している。

我が家のプリウスはもともと燃費の良いグレードLだが、フロントにエアダムを装備した以外は燃費に関係する改造はなく、重量増も最低限としている。

最近ナビをユピテルのナビYERA YPB506siに交換した。これはGPSによる絶対速度やステキな取締り情報を表示してくれる優れものだが、これによる速度表示は時速100km/hで7km/hの過大である。ほぼ時速100km/hを維持し、それより遅い車は抜き、それより早い車は先に行ってもらうことでゴールド免許は無事更新できた。

高速燃費は上り坂では無理に目標速度を維持せず、下り坂では若干の超過を許すというポリシーで25km/Lを維持できる。残念ながらWebmasterは性格的に流れより遅く走ることはできないが、時速80km/hあたりの巡航だと28km/L程度になる。

一方、交通量が少ない一般路ではプリウスの燃費性能を最大限に発揮できる。まずecoの範囲で加速し、巡航速度+αで一度アクセルを戻して電池で巡航し、ブレーキはかなり前からゆっくりかける、という簡単なものだ。当然ながら流れより遅く走ることはない。

たまたま燃費性能に懐疑的な外車ユーザーが来福した。唐津まで寄り道しながら往復したが、かなり早めのペースながら燃費は35km/L(福岡市内観光を含む)となり、その後は疑心は霧散したようだ。

プリウスで驚くのはブレーキの粉が出ないことで、昨年更新したヴィッツのホイールが鉄粉だらけであるのとは好対照だ。ディーラーによると運転にもよるがパッドが10万キロ持つ例も多いという。さらにこの車には水ポンプやエアコンコンプレッサーを駆動するファンベルトも無い。

最近発売された新型カムリの2AR-FXEやアクアの新型1NZ-FXEにもファンベルトは無い。一方HS250hやSAIの2AZ-FXEにはベルトが残っていて大容量のEGRクーラーも無いなど過渡的な設計で燃費が伸びなかった。HSやSAIに試乗したが電池走行の時間がプリウスより短くエンジン騒音も大きいなど最適化されていない印象があった。

2AR-FXEは2AZ-FXEより10ps上回り、10・15モードで3.5km/L、JC08モードで3.6km/L燃費も良いなど、今や2AZ-FXEの立場は無い。カムリはサイズも大きくトリムレベルもSAIより良くHSに匹敵する上に安いなど、明らかにヒエラルキーの齟齬がある。デザイン的にもHSやSAIは優美とは言えないので、しばらく波乱が続くものと思わえる。

カムリの難点は日本ではサイズが過大という点に尽きる。米国の片田舎ではモールの駐車場の枠が日本車を横に止めれるほどあったことを思い出した。全長はクラウンと同等だが幅や全高は大きく、フロントのエラのせいで一見ではLSに近いサイズに見えるのだ。価格的、性能的にはFXとなる要素は十分あるが、やはりサイズが気になる。

当然ながら、プリウスと190Eとの燃費の差額はWebmasterのお小遣いである。

アンドロイド携帯へ

我が家の携帯ユーザーの中でWebmasterの電話代は一番安い。これは電話はほぼ受信だけで通話代は無料分の範囲だし、パケット代はW定額の基礎部分の範囲にとどまっており、これはガラケーK006からアンドロイドIS04になった後も変わらない。これは活動範囲の95%以上はWifiが使えるからである。Wifiが無いところではWillcom03(パケット月980円)も使える。

しかし、家族はW定額をフルに使ってくれる。見ると、自宅や移動先でWifiでネット接続されたパソコンがありながらガラケーでネットを見ているのである。ようするにパソコンを立ち上げるのが面倒であり、また寝転がってネット見れないからだ。

そこでガラケーとAndroidの二台持ちとし、AndroidはWifi下で使っていただいて料金がどうなるか見ている。Webmasterとしては世間の常識に反してandroid導入で逆に一家の通信料を下げてやろうというのである。当然下がった分はWebmasterのお小遣いとして使わしていただく。

月並みながら予定表、連絡帳、Gmailをパソコンと携帯で同期させることとした。幸い時代遅れの雰囲気があるWillcom03も立派に同期していて、予定表の同期などは非常に有難い。

ピアノのお稽古

昨年の課題はショパンのバラード1番であったが、これは約半年を要しておおむね完成した、と言いたいところだが、他の曲と違って他人の前で弾くのはちょっと気が引ける。難易度がWebmsterの技倆からして天井付近で、この先の改善の余地は小さい。Webmasterの視野には超難曲を弾こうなどという気も実力もないから、好きな曲を選んで弾くだけである。

現時点ではスクリャービンのEtude Op.8 no. 12を練習しているが、難易度はバラードより優しく、ラフマニノフのprelude Op3-2 「鐘」程度と思われるので人前でのレパートリーに加わる気がする。いまはロシアものの哀愁に満ちた和音にメロメロである。これが彼らの演歌なのだろうか。

バラード落成記念の自分へのご褒美としてピアノを木目(マホガニー)のものに変えた。家族の非難轟々だったが、実物を見るとだれも文句を言わなかった。木目のピアノは黒いピアノのいやな思い出のトラウマを消してくれるのだ。下取りとの差額についても非難轟々だったが、これは太陽光、プリウス、電話代で浮いた分を当てるということで納得していただいた。意外かも知れないがピアノはそこいらの学生がオケで使っているバイオリンの弓より安いのである。

今年の抱負

ことしはズバリあと5kgの減量を画策している。以前BootCampで5kg以上の減量に成功したので不可能ではないと思われるが、実現の坂道は次第に厳しくなりそうである。アンチエイジングだけでなく昔大枚を払ったツイードのジャケットに袖を通したいのである。

ピアノは引き続きレパートリーの拡大に務めたい。人前で毎年同じ曲を弾くわけには行かず、おおむね2,3曲は新曲を入れるからである。IS04で試しに演奏撮影したところ、720pながらHDで撮影することができた。サンプルはYoutubeに上げている。

演奏技術はともかくIS04のメモリー残余が気がかりで、演奏は事務的かつ手抜きになってしまった。実際には大したファイルサイズにならないことがわかったし、Android上でHDビデオ編集も可能なので(すごい時代だ)、近いうちにもう少し心を込めた演奏に差し替えたいと思う。

もうひとつの課題は物品の整理である。Webmasterは依然として文献や工具、機器等で2室を専有しているが、これも許されなりつつある。過去のリソースを処分するのは辛く努力が必要だが、贅肉とともにおさばらしたいのである。特に190Eの整備に要した工具やスペア部品をさっくり処分しなければいけない

いずれにせよ、最後ながら本年が皆様にとっても、良い年となることを祈念したい。

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