今日の必ずトクする一言
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□Dec. 29:効きの悪いハイパースレッディングのナゾ
□Dec. 15:旧車で走るジムカーナのナゾ
□Nov. 30:バッテリー回春装置バッテリンネZのナゾ(その1)
□Nov. 16:センチメンタルツーリングのナゾ(原付2種68cc・その2)
□Nov. 2:コンタクトZオリジナルバージョンのナゾ


December 29
効きの悪いハイパースレッディングのナゾ

最近インテルは次なるハイプのハイパースレッディング(HT)なるものを唱導している。果たして本当にHTは将来も生き残る有効な技術なのだろうか。HTの詳細はメーカーの宣伝を見ていただくとして、基本的には論理的に1つのプロセッサーが2つあるように見せることによって、より能率よくスレッドを処理する技術である。

通常のプロセッサーはキャッシュのあとデコーダー/スケジューラーを経て、複数の整数および浮動小数点の計算ユニットに流す構造になっている。ハイパースレッディングはこのデコーダー・スケジューラーに細工して、論理的に2つのプロセッサーがあるように見せかける。

売り文句はともかく効果はどうだろうか。インプレスのベンチマークを見ると、MPEGのエンコードでは若干のゲインがあるものの、オフィスアプリでの効果は乏しく、ゲームでは売り文句と逆に遅くなっている。少し話が違うではないか。

なぜそんなことになるだろう。その理由はおそらくこのホームページを精読されてきた読者には自明だと思うが、敢えてWebmasterの考えを再掲することにしよう。

現代のGUIではタスクスイッチが多発している

現代のwindowsを初めとしたGUIでは、一つの窓を開くのにも多彩なイベントが発生する。窓を構成するさまざまなライブラリーは多くのDLLファイル上に分散しており、コード/データのローカリティーが低い状態にある。”ローカリティーが低い”とは、空間的に離れたアドレスから時間的に非同期なアクセスが発生する状況と考えてよかろう。

windowsは核となるマイクロカーネル以外はDLLの集合からなっている。これにより、機能の追加や更新が簡単になる反面、GUIイベントでは、多くのDLLファイルにまたがってアクセスと処理が発生する。当然コードにはファイル/ディスクキャッシュ/仮想メモリーのオーバーヘッドが生じる。

そのため、GHzオーダーのCPUを持つパソコンでも窓が開く瞬間のレスポンスはもっさりしている。一方、いったん開いた窓内での操作、あるいはエンコードなどのGUIイベントに関係しない処理はCPUの周波数を反映してとても早い。

この点でwindowsはモノリシック(OSのライブラリー群が一枚板にコンパイルされた状態)に近いUNIXに比べて機能の追加/更新が簡単なかわりに、GUIイベントが集中するとレスポンスが遅くなる。そのために、windowsをサーバーとして使うにはUNIX以上にCPUのキャッシュサイズがないとパフォーマンスが出にくい。

P4はタスクスイッチに弱い

P4はPentiumProから引き継いだP6アーキテクチャーを拡充したものである。主な変更は演算ユニットのパイプラインを深くしたことと、バス帯域を大きくしたことである。バス帯域を大きくしたことはCPUの全般的な性能アップに貢献する。しかし深いパイプラインはピーク演算能力を上げるが、コード/データのローカリティーが低いとストールしやすくタスクスイッチに弱くなる。

結果として、P4はコード/データのローカリティーが高いMPEGやMP3のエンコードでは高い性能を発揮する。そしてそのゲインはデコードよりエンコードに大きい。それは規則正しく並んでいる非圧縮データは処理しやすいが、デコードでは不等長のデータを取り扱うので能率が落ちるのである。当然ながらGUIイベントに伴うタスクスイッチはP3より遅くなり、特にフォント展開や日本語変換などのプロセスが混ざるとさらに遅くなる。

インテルはこのことを知っていて、それをクロックを上げることによってカバーしようとした。また、ベンチマークの主眼をオフィスプロダクティビティーから、画像/音声データのエンコードを多く含むインターネットコンテントクリエーションに移したのである。その作戦は実に巧みであった。

ハイパースレッディングの意味するもの

クロックで先行するインテルもAMDの厳しい追撃を受けている。CPU周波数が約500MHzを超えると、オフィスアプリはもちろん、DVDのソフトウェアデコード能力に支障が無くなる。そうすると、それより早い周波数で電力をがぶ飲みするCPUを正当化することが難しい。

かつてハイエンドユーザーの志向するところは高い3Dゲームの能力であった。しかし、それが飽きられるにつれ、インテルは軸足を画像/音声のエンコードに移しつつある。GUIのタスクスイッチに弱いP4は確実にエンコードではP3を圧倒する。

しかし考えてみるとヘンな話である。ハイエンドCPUのプレミアム分のコストでリアルタイムエンコードが可能なハードウェアMEPGボードが2枚以上買えるのである。いかにエンコードソフトがフリー(それはすばらしいことではあるが)であっても、膨大なレガシー画像データを抱えるシリアスな画像ユーザーであれば、MPEGボードを買ったほうが早いだろう。

ハイパースレッディングの効きの悪い理由

HTはCPUの遊んでいる演算ユニットをフルに働かせようとする技術である。しかし良く考える必要がある。CPUのキャッシュ、デコーダー、スケジューラーはコードをなるべく演算ユニットに能率よく詰めようと努力している。

しかし、演算ユニットが遊ぶ瞬間が発生する。それはどんな場合かというと、タスクスイッチによって分岐や退避、あるいはコード間の因果律的な依存のためにコード/データのローカリティーが低下した場合である。その瞬間は必要なコード/データもキャッシュに存在しない確率が高い。

とすると、論理的に2つのCPUをエミュレートすることで遊んでいる演算ユニットにコード/データを詰めようにも、2つの論理CPUがシェアしている唯一のキャッシュがカラになっているの可能性が高い、ということである。片方の論理CPUがタスクスイッチで苦しい時はもう一つの片方の論理CPUも苦しい。

どういう場合にハイパースレッディングが効くか

それは、MPEGやMP3のエンコードであることは明らかだろう。資料によれば、MPEGの可変長復号化 (VLD)では浮動小数点ユニットが遊んでおり、逆離散コサイン変換時(IDCT)には浮動小数点ユニット(MMX)がフルに活動し整数ユニットは遊んでおり、動き補償(MC)の間はバスが忙しく全体の効率が低下するそうである。

このように、計算ユニットの負荷に不均等がある場合でバス負荷が軽いスレッドはHTになじみやすい。同様にMMXが多用されるレンダリングでは整数ユニットが遊んでおりHTが有効である。これならハイエンドユーザーを納得させやすいし、レンダリングを生業にしているユーザーならコストのプレミアムは納得できる出費である。

もっとも、一度に大きな画像領域を処理するルーチンではバス負荷が発生してHTの効率が低下もしくは逆にオーバーヘッドになる。つまりHTの鬼門はキャッシュミスとバス負荷なのである。その点、インテルによればMPEGのエンコードはHTに有利に働くという。それは、キャッシュに規則正しい順序でデータが並んでいるので、2つの論理CPUは能率良くフェッチできるし、論理CPU当たりのキャッシュサイズが半分になるオーバーヘッドが目立たないからである。

ところで、エンコードをバックグラウンドで走らせながら、フロントでタスクスイッチを伴う他のアプリを走らせたらどうなるだろうか。以上の説明でわかるように、フロントがタスクスイッチで論理CPUが苦しい瞬間は、キャッシュを共有するバックグラウンドの論理CPUもスケジューリングに苦しむことになる。

この場合、多くのキャッシュ上のデータはクリアされ、新たなメモリーアクセスが発生する。バス負荷が高い間はHTはうまく働かないから、その場合のペナルティーを決めるのはキャッシュ更新のアルゴリズムということになる。

多くのキャッシュでは、基本的に長く使われていないラインからクリアされる。最近使われたライン、何度も使われるライン、最近アクセスされたデータと連続していて将来使われる可能性があるラインが優先されて生き残り、細切れで雑多なコード/データが廃棄される確率が高くなる。

その結果、HTの状況下ではバックグラウンドのエンコードは頓挫せず、むしろフロントのタスクスイッチの方が割りを食らう可能性が高くなる。つまり、もっともレスポンスを必要とするGUIのリソースが、レスポンスを必要としないバックグラウンドに食われてしまう可能性もある。この場合はフロントのレスポンスが遅くなってしまう一方、バックグラウンドは着実に処理が進むことになる。

一方、OSが2つの論理CPUにうまくスレッドを分配することができれば、バックグラウンドとフロントの両者ともOSイベントに対してある程度のスケジューリングの分け前を貰うことによって、フロントのレスポンスが確保できる場合もある。この場合、フロントとバックグラウンドのトータルの能力はオーバーヘッドのためにむしろ遅くなるだろう。

このコンテクストが理解できれば、HTが有利なことを示すプレゼンテーションで、HTオフの方が作業が早くなった理由が解るだろう。つまりHTの有効性はコード/データのローカリティーの高低だけでなく、キャッシュアルゴリズムやプロセスのスケジューリング、プライオリティーの分配によっても変化するのである。

ハイパースレッディングの将来

インテルは今後論理CPUの数を4つに増やすつもりらしい。もちろんWebmasterはHTの有効性を否定するものではない。もしユーザーがエンコードやレンダリングの毎日であり、HTによるゲインが生産物に転嫁できるなら、プレミアムを払ってそれに乗る理由は充分ある。

しかしベンチマークが示すように、エンコードよりローカリティーが低くなるゲームではHTオフの方が早い。もちろん、GUIイベントで中心となる日本語処理、フォント処理は遅くなるし、レンダリングソフトでのタスクスイッチは遅くなる可能性もある。インテルのベンチマークにはいつものことながら日本語処理でHTがどう働くかについては触れられていない。

そもそもインテルの宣伝ではHTに有利に働く(整数ユニットがまるまる遊ぶ)MMX演算を多用するアプリが必ず絡ませてあるので、サーバーで問題とされる整数演算が主でバス負荷が高いアプリで効率があがるかどうかは怪しいのである。

またHTが商売的にXeonやIA-64とバッティングする可能性もある。もしユーザーがHTがあるならXeonやIA-64によるSMP(対称型マルチプロセッサー)が不用だと言い出したら、困るのではないか。

もちろん多くのタスクスイッチが発生するサーバーではそれぞれ大きなキャッシュを持つCPUを多数装備したSMPの方が能率が良い。それぞれのCPUはバスを共有するものの、完全に独立したL2キャッシュやデコーダーを持つため、CPUの数に応じたトランザクション能力を得やすく、その場合効率を規定するのは共有するバス帯域となる。

一方、HTでは複数の論理CPUが物理的に一つのL2キャッシュやデコーダーを共有することになるし、余計なスケジューリングのためのオーバーヘッドが加わることになる。一つの論理CPUがタスクスイッチで苦しい瞬間は他の論理CPUも同様に苦しいのである。

そもそもHTはSMPを前提とした技術だった。スレッドを順番に複数のCPUに割り振っていくと、CPUのなかには処理が終わっても次のスレッドを貰っていないヒマな時間が発生する。それをHTで埋めて効率を上げようというのがそもそもの考え方である。だからこそ、当初はSMPが前提のXeonのみに搭載されるハズであった。

したがって、もともと計算ユニットがヒマな時には、ローカリティーの低いコード/データのためバス負荷が高まり、入り口のL2キャッシュごとストールしている確率が高いシングルのP4に、商売の都合でHTを搭載しても効率があがらないのは当たり前なのである。

おそらくメーカーはP4の拡販が終わってHTに関する宣伝が苦しくなってたころに、”やはり論理的なSMPは物理的なSMPを超えることはできないネ”とかいって、結局XeonやIA-64のSMPを拡販するのではないか。

というわけで、HTがCPUの将来を規定するキーテクノロジーとして長く生き残るかどうかは解らない。少なくとも現時点では収益力が頭打ちのインテルにとって、コストのプレミアムが大きなハイエンドP4を拡販するための口実の面が大きい。

面白いことに、同じ設計のダイなのに3GHzより遅いP4ではHTが無効にされている。これは486SX以来の商売のやり方である。砂漠で羊の値段が折り合わないときは、価格を維持するために足を切り落として売るという、中近東の商売に似ている。従って、AMDが猛迫すれば、安物P4でもHTが使えるようになるだろう。もちろん普及パソコンの普及アプリではHTは逆にオーバーヘッドになる率が高いのであるが。

パフォーマンスの観点からは、むしろ一つのパッケージもしくはダイに多くの物理CPU(コア)を収めるストラテジーの方が将来性が高いと考えている。このほうが単に動作周波数が高いことによるプレミアムよりはコアの数の分だけユーザーを納得させやすいし、HTの効果も高くなる。もっともデフレに苦しむユーザーは、ブレードサーバーのように安いハードウェアによるタスク分割に走る可能性は充分にある。

このように、HTがうまく働くには多くの前提があり、それがタスクスイッチの多いGUIで有効かどうかについては疑問がある。少なくとも、HTの有効性に関する結論は3年以内にでることだろう。

◆◆◆◆◆

オマケ(某シリコン会社の重役と技術者の会話より、フィクションです)

重役

”君はHTでなんでも30%早くなるといったじゃないか。なのにマルチスレッドのエンコでもせいぜい10-20%で、お得意さんのゲームやオフィスアプリでは逆に遅くなっているじゃないか。プレゼンでは大恥をかいたぞ。

だいたい、余計なシリコンを増やしてこのパフォーマンスじゃペイしないじゃないか。隣のパワーなんとかの方が着実に早い。ぜんぜん話が違うぞ”

HT技術者

”私は、最高30%早くなることがあると言っただけで、なんでも30%早くなるとは言ってません。逆に遅くなることもある。あんたはヒトの話を最後まで聞かないから。スロットCPUの時も板ニウムの時もそうだったし。

だいたいwindouz-XoPがクソプログラム(XoP:由来某似非ページ)だから能率が低いのですよ。コードがXoPでアーキテクチャーがXoPで、プロセスのスケジューリングがXoPで......

元がDOSやVMSやOS2やUNIXからの寄せ集めですから。でもいいじゃないですか、あのXo高いP4も日本じゃ初物好きの江戸っ子ユーザーに人気とかで、シリアスなユーザー以外も煽るといい商売になりますよ。”

重役

”しかし何とかならんのか、あのXoPは”

技術者

”敵はアルカイダのように神出鬼没でヌエのようなOSです。WindouzUpdateなんて逐一内情をチクっていますよ。さらに無断で内部をドンカン大工事するテロのような仕組みですからね。調子が悪い時なんかDLLのモグラたたきと言うか、賽の河原でのDLL積みというか......"

日本を始め世界中の政府も、どこに裏口があるかわからないwindouzをやめようって言ってます。うちも、お隣のLinux+パワー4路線に変更しましょうか。それに、お隣はCDCやMotoの血を吸いながら長年生き延びてきただけあって、しぶといです。おそらくあれで勝算があるんだと思いますよ。

連中はウナギの蒲焼みたいに並パソコンには並CPUコア(32)1枚、上パソコンは並CPUコア(32)2枚、特上パソコンは特盛CPU(64)4枚って、わかりやすくてカネをとりやすい商売をするみたいです。蒲焼1.3枚で2枚分おいしいっていっても、タレは30%しか増えないから、それじゃ2杯分のオマンマは食えません。”

重役

”むむむ。やっぱりCPUはツユダクに限るか。こんど機会があったら、お隣にトラバーユでもするか。お隣は成り上がりと違ってなんせスレッドまで青いからね。”

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December 15
旧車で走るジムカーナのナゾ

ジムカーナのおさそいである。三井三池オートスポーツランドを借り切るので、ファミリーカーでもご参加下さい、とのことである。そう言えば我が旧車(190E)では限界を試したことが無い。というか、限界をためせるほどコンディションに自信がなかったからである。しかし熱い九州の夏の渋滞を乗り切って好調の今、ハンドリングを試す絶好のチャンスである。

とは言うものの、100%ストックの出力は115HPしか無い。タイヤもコンチ・エココンタクトEP(185/65)という、ヤナ○の誇る省エネタイヤである。

なんせ、タイヤの横腹には”saves fuel"とか"reduces CO2 emission"とか書いてある。そう言えば雨の日の2速発進でホイールスピンしていたので、”意外とパワーがあるナ”と勘違いしていたが、単にグリップが悪いだけだったのである。グリップのレベルは20年前のラジアルにも劣る。

そこで作戦だ。ファミリーカーでどうぞ、と書いてあっても多数のファミリーカーがやって来るハズも無いので、順当に行けばドンベである。そこでATを2速に固定してハンドリングに専念すればブービーが狙えるのでは無いか。おそらくパワーのある車が最低1台は自滅するだろうし、この手の催しではブービー賞が一番上等である。

朝になって見ると、やはりファミリーカーは190EとBMW318i、そして軽自動車ミラの3台であった。後はサーキットの主のような180SX改、カレラ2改、911タルガ改、Audi-TTcoupe、インテグラR、GTR-N1仕様、並GTR、レガシーB4、914(2L)と、それなりの車が揃っている。スポーティーな車としてはセリカとカローラランクスがあった。

Webmasterの最初のトライは1分20秒ちょっとであった。2速でフル加速しても遅いので第一コーナーはノーブレーキーである。フルブレーキするとグリップの悪いタイヤでは予想以上に早くABSが効いてあわてたが、190Eのハンドリングは自然でリアを流しても収束が良く、オツリを殆ど食らわない。

もちろんオツリが来ないのはグリップが悪いタイヤのせいもあるが、RX-7(SAC-22)に比べると遙かに安心できる。RX-7は一瞬で滑り出し、回復時に強烈なオツリを食らっていた。190Eの走りを一言で表現するのは難しいが、深くロールしてもサスは最後までタイヤをしっかり接地させているようである。

このタイムならブービーは越えたな、と思ったwebmasterは仰天した。さすがにBMW318iよりは3秒早かったが、ミラに3秒近く負けていた。そんなことがあるだろうか。ミラのパワーは遙かに劣るハズだが(実は錯覚)、コーナリングが巧みで挙動もヤケに安定している。ブービーでOKと思ったwebmasterも、ミラの後塵を拝したままでは穏やかでない。

昼休みにオートポリスも走るというカレラ2改の助手席に載せて貰った。軽自動車のようにタイトな室内でボディーはかっちりしている。パワーはもちろん、改造されたブレーキが非常に良く、運転もうまい。リア荷重が重く、低速では安心してパワーオーバーステアに持ち込める911族はジムカーナーで非常に早いのである。改めて911族の実力を認識したwebmasterであった。

午後はカレラ2改のライン取りをマネることにした。今回はABSが効いたまま我慢して踏み続け、コーナーはドリフトでタイヤの焼けるにおいがしていた。コーナーの立ち上がりをグリップさせるとATの2速では加速が遅くロスが大きい。結局タイヤがプアだった昔の車みたいに、踏みっぱなしでケムリを上げた方が速かった。タイムは1分17秒27で、これならミラをかわせると思ったのだが?

甘かった。なんとミラは1分16秒台を出して、またも1秒後塵を拝してしまったのである。参考ながら190Eより180SX改は10秒、カレラ2改とタルガ改は9秒、GTRは最速のもので7秒、Audi-TTやレガシーB4、インテグラRは6秒も早かった。

意外なのはセリカとカローラランクスで4秒ほど早かった。今時カローラやセリカは190HPもあるのである。ハンドリングの良い914(2L)には1秒ちょっとのリードであった。タイトコーナーでどんなに頑張っても、ストレートでの加速力がタイムに大きく響くのである。

高速コーナーでスピンしたのが180SX、カレラ2、914、セリカで、コースアウトがGTRであった。左右の切り替えが続く複合コーナーでスピンしたのがインテグラR、セリカ、ランクス、レガシーB4で、やはり駆動方法による影響が大きい。190Eも第一コーナーの出口でスピンしかけたが、大蛇行できりぬけることができた。

大馬力のGTRはジムカーナではアンダーが強く、またカートのように足を固めたインテグラRも左右の切り返しが続くとスピンしやすいようである。FF勢で最も走りが安定していたのは優雅なデザインのAudi-TTで、アンダーも軽いようだ。

最後に宿敵ミラを見せて貰った。足廻りはダンパーとタイヤ、ホイールが交換され、エンジンはエアクリーナーをはずしてあった。L502系ミラは4気筒58HPのマニュアルなので650Kgの車重を考えると悪くない。190Eが115HPで1350kg++のオートマだから、馬力荷重だけでも負けている。ドライバーは自動車部出身で、奥様の花柄シール付きのミラに渋いチューンを施してあったのである。それを見て精神的になんとか均衡を保つことができたWebmasterであった。

そして表彰式である。今回は参加者が少なかったので予算難から賞品(太陽電池式レーダー探知機)は一つだった。がんばり度ならミラかと思ったが、意外なことに最もハデにタイヤのケムリを上げていたWebmasterがベストパフォーマンス賞としていただいた。考えてみれば、予想通りの作戦で賞品までいただいたのでありがたい話なのだが、何となく複雑である。

今回ミラに遅れをとった原因はタイヤである。さぞかし減っただろうと思って見るとぜんぜん減っていないし、コーナーも削れていない。よく見ると溝にはオゾンクラックが目立つ。11年間に8万キロも走った190Eにとってこのタイヤはおそらく2本目で、クラックから見て既に3年以上経過している。ジムカーナ後に7部山も残るこのエコタイヤは、優に5万キロ以上の寿命を持つのだろう。

同じコンチでもビータが履いていたアクアコンタクトは実質3万キロ程度の寿命しかなかったが、グリップはもう少しまともであった。190Eの前後荷重がFF車よりイーブンに近いことや、ロール中もキャンバーをほぼゼロに保つサスの設定もタイヤの寿命が長い原因だろう。

おそるべき省エネタイヤである。おそらく、ヤナ○の顧客はこんなエコタイヤを履いていることを知らないのでは無いか。知っていたら、5万キロ以上持つがグリップが標準以下のタイヤと、5万キロ持たないが標準的なグリップのタイヤのどちらを選ぶかは自明だろう。そもそも車に詳しいユーザーがわざわざコンチをリプレースに選ぶハズも無い。

幸いなことは、多くの顧客はディーラーが親切に交換してくれるタイヤのグリップが標準以下であることを知らない事である。それでも多くの顧客の車は大事故を経験せずに穏やかで幸せな一生を送るのであろう。次回はぜひまともなタイヤを履いてミラに猛迫したいと考えている。

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November 30
バッテリー回春装置バッテリンネZのナゾ(その1)

ご注意!

本研究所はこのトピックに起因するすべてのトラブルの責任を担保しません。またエクスパート向けの内容のため、故意に細かい説明を省いてあります。

さて、予告していたバッテリー回春装置バッテリンネZはバッテリーリソースを輪廻させる装置である。しかし現在のところ納得行く結果は得られていない。バッテリーは2,3千円で売られているので経済的にもペイしないのだが、地球リソースを救う試みのひとつとして紹介することにする。内容はエクスパート向きなので故意に細かい説明を落としてある。

さて広く使われている鉛蓄電池電池だが、極板の崩壊脱落によるショートをのぞくと、寿命に一番関係するのはサルフェーションである。極板は表面積を稼ぐために多孔質の鉛合金からできている。そして陽極ではPbO2からPbSO4へ、負極ではPbからPbSO4に変化する。充電ではこれと逆の反応が起こる。しかし電池が古くなるとPbSO4の一部は電極から電気的に遊離し、充電されなくなる。これがサルフェーションであり、電池の内部抵抗が上昇する。

サルフェーションを防ぐ方法はいくつか知られている。まず容量に余裕をもたせ、深放電を避けることである。また放電したらすぐ充電し、満充電後も1/10C以下で過充電を行う方法がある。しかし過充電は電解液が急速に減少するのでシール型電池には不向きであるし、通常の電池でも電解液の補給が必要である。

もちろん電極の合金やセパレーターに細工する方法がある。特に電解液が補給できない(Webmasterはやっているが)シール型電池の場合、過充電で発生するガスを補足して水に戻す工夫がされている。他に電解液にゲルマニウム、ポリビニールアルコール、キレート剤(EDTA)や炭素粉を加える方法がある。面白いことに、これらの技術は電解コンデンサーと共通のものが多い。

しかし目下のところの流行はパルス法である。これは米国の特許として公開されているが、基本的には高圧パルスを印加して、遊離したPbSO4をゆさぶって通電状態にする方法である。そのメカニズムには共鳴とか何とか書いてあるが、本当のところはわからない。

さて、米国 Home Power Magazineに掲載されたバッテリーデサルフェーター製作記事の原理は、タイマーIC555によって約1KHz(デューティー5%)のパルスを発生し、これによってインダクタをFETでドライブし、発生したパルスをバッテリーに加える方法である。巷に売られているデサルフェーターも、これと同様の回路だと考えられる。

しかし、である。Webmasterの見るところ、この回路はすこし非力すぎるように思えるのである。ニッカドの回春にも、これより遥かに大きな電流を印加しないと生き返らないのが普通である。おまけに効果が発現するには長い日時を要するようである。

そこで、もっと強力なパルスを加えてみたらどうだろうか。できれば、2,3日中に効果を確認したいのが人情というものだ。とすると、FETはコレにしてインダクタはアレにして。。。。。

しかし待てよ。考えていると観念が現実から奔逸し、オブジェクトとなってWebmasterの頭のなかで駆け巡り、最後にはバッテリンネZとして結晶化したのである。ちょっと怪しいプロセスか。

つまり、わざわざ装置を作る必要は無いのである。世の中には、これとまったく同じ回路で遥かに強力なパルス発生装置が殆どの家に存在し、しかもそれはバッテリーの至近距離(50cm以内)に漏れなく装備されているのである。そこからパルスを適当なコンデンサーとダイオードを介してバッテリーに加えればいいのでは無いか。

というわけで、今回はヒントとして、バッテリンネZの強力なパルスの波形のみを紹介する。この波形の左右はフルスパンで2msec(0.2ms/div)、上下はフルスパンで100V(10V/div)である。撮影機器の都合で、ジッタを含んだ3発分のパルスが写っている。バッテリンネZの実際は別の機会に紹介しようと考えている。

果たしてバッテリンネZシステムとは何だろうか?そして本当に効果はあるのだろうか?

もちろん製品によってはパルスが制御装置に混入して不調になるものもあるかも知れないし、パルス発生装置の具合も悪くなるかも知れない。Webmasterは一切の責任は担保しないのである。

(その2につづくかも知れない)

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November 16
センチメンタルツーリングのナゾ(原付2種68cc・その2)

以前登場した原付2種モドキもどきであるが、乗っているうちにWebmasterは完全にハマっていたのである。特にエンジンの回転が一定のまま速度が上昇していく無段階変速の不思議な感覚は、車のトルコン式ATをひどく時代遅れのものに感じさせる。近未来にはトルクの山を感じながらカックンと変速するATは絶滅するのだろうか。

久しぶりにバイクの世界を覗いてみると、125cc以下は一部のオフロードモデルを除くと殆どがスクーターモデルになっている。セル一発始動の上にフラットなフロア、メットインスペース、随所のポケットなど、使い勝手でスクーターに勝てるバイクは無い。

さて、プーリーを交換しただけのこのバイクの最高速はやわkm/h弱だが、これには無限に近い助走が必要であり、タクシーや大衆車をかわすには力不足である。一般道を蝶のように舞うことができるアドレスV100と乗り比べると、後ろからハネられないかどうかが心配である。

そこで、申請した排気量にボアアップすることにした。ネットで調達したアジアの名も知れぬ工場製のシリンダーはしかし純正品よりむしろ加工が丁寧なものであった。今はアジア諸国はトップメーカーに劣らない品質の部品を生産しているのである。近未来には日本製のバイクは高級品だけになるだろうか。

ボアアップは昔手がけたDaxやミニトレあたりと比べるとやりにくく、作業の大半は外装を注意深く剥ぎとることになる。フレームは思った以上に太く頑丈だったが、ステムまわりは自転車のようにか細い。重量配分からすればこれで良いのだろうが、そのせいか旋回するにはかなり前輪に体重をかける必要がある。

シリンダーをはずすには燃料タンクをズラして穴ぼこを覗き込むことになる。Y社やS社と違ってH社のスタッドボルトがヘッド側からクランクケースに刺さるタイプになっているのが唯一の救いである。芯出しの後に本締めをするが、中心が出ているか不安である。

そう言えばこのバイクは時にフケが悪くなることがあった。軽い抱きつきでもあるのかと思ったが、ピストンやシリンダーに焼き付きの跡はまったく無かった。そのかわりにリング溝にはかなりカーボンが詰まっていた。どうやら今までのガスの設定はかなり濃く、焼き付きよりはカーボン蓄積の方が問題だったようである。

プラグは標準のBR6HSAより碍子の部分が大きいBPR6HSAに変えて圧縮比をせこく(約+0.2)稼ぐことにする。エアクリーナーやマフラーは標準のままである。メインジェットが標準の#82のままなのが心配だが、エンジンはあっけなく始動して調子も悪くない。念のためオイルポンプのケーブルを引き気味にし、ガソリンに1/100ほどオイルを加えて走り出してみる。

”慣らし、慣らし”と自分に言い聞かせながらもスロットルは知らないうちにどんどん開いている。トルクは明らかに太くなり、50km/hからは2サイクルらしい加速の片鱗を見せるが、やわkm/hを超えたあたりでCDIのリミッターが働いてしまう。プラグもちょうど良い焼け具合だが、本来はもっとジェットを大きくすべきなのではないか。

そこで、メインジェットを1割増しの#90にしてみたが不調である。ガスが濃い過ぎるようで、エアクリーナーの吸気ダクトをはずすとかろうじてフケるようになった。高回転ではかなりのパワーが出るが、中回転のつながりが良くなく、プラグも燻っている。

ジェットを#85にしてみるとフケ具合もプラグの焼け具合も良好だ。しかし、#85での調子が#82と同じなのは不思議である。そこでもともとの#82ジェットを虫眼鏡でよく観察すると、表面がスポンジ状に腐食して穴も大きくなっていた。ジェットは消耗品なのである。このあたりの番目で妥協すべきなのだろう。

加速が良くなると心配なのは足回りである。そこでヘタっていたフロントのショックとブレーキシューを交換した。サスの交換は確実に効果があったが、ドラムブレーキのタッチは残念ながらあまり変わらない。取り外した部品はマジック○ン洗浄後に塗装されてオブジェになっている。

さっそくご近所をツーリングである。意外なことに排気音のピーク周波数は下がって小さくなったように感じられ、かわりに吸気音がかすかに聞こえるようになった。CDIも社外品に交換して最高速はやえkm/h強に伸び、通常の走行には十分である。オイルも充分まわっているようで、これならオイルポンプ経由だけでOKである。アジア諸国での使われ方からみると、この車格の至適排気量は70cc前後なのかも知れない。

というわけで、久しぶりの楽しいバイクいじりであった。しかし今となってはこのようなエンジンいじりは原付スクーターやモンキーあたりでしかできない作業になっている。今後は地球リソースを守るために、バイクに手を加えること自体が不可能になるだろう。そして素人メカニックのスキルは失われていく。まるでローマ帝国の末期のように、パンとIT見世物に興じているうちに、新興国家に滅ぼされてしまうのだろうか。

電脳の世界でも、バイクの世界でも文明の進歩とユーザーのスキルは必ずしも平行しないもののようである。スキルはおそらく大河のように多くのスクーターが走っているアジア諸国に流れてゆき、日本には二度と戻ってこないのかも知れない。そして、われわれはますますコモディティー化したバイクや車をアジア諸国から買うことになるだろう。

この文明もいよいよ煮詰まってきたようである。

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November 2
コンタクトZオリジナルバージョンのナゾ

9月24日正午ごろにこのホームページは900万人目のビジターをお迎えしました。これまでのご愛顧に深く感謝いたします。また、10月1日にCQ出版社から『今日の必ずトクする一言 快適生活編』を上梓しました。主要な通販サイトでは上位にランキングされており、これについても感謝申し上げます。

というわけで、この度は特別な賞品を用意した。正真正銘、世界に一つしか無いコンタクトZオリジナルバージョンである。今のところ、9000000人目ジャストを申告された方にサイン入り初版本およびコンタクトZを10年分(つまり10本)、9000003人目を申告された方に、コンタクトZを5年分をお送りする準備中である。

ネット界を見る限り、コンタクトZは定着したようである。その用途も広がっているようで、最近はUSB端子の接点不良が治癒したという嬉しいレポートをいただいた。若者の間ではコンタクトZはマークシート専用と思われていたようで、新しい用途が見つかって喜ばしい限りである。

当分の間は電子接点の数が減るという状況は考えにくいので、道具箱の中にコンタクトZを一本入れておけば、接触不良の解決に必ず役に立つことだろう。

ところで、現在Webmasterが鋭意開発を進めている機器は、自動車のバッテリーの寿命を伸ばす特殊装置バッテリンネZである。

”なぁーんだ、あれのことか?”

と思われる方も折られるかも知れないが、おそらくあなたの予想は完全にはずれているだろう。少なくとも余計な地球リソースを消費するような低次元な装置はチョイスされないハズである。

今のところ効果の見極めが非常に難しく、3年にも亘る開発は非常に難航しているので、あるいはポシャるかも知れないが、そのときはご容赦いただきたい。

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