March 26
●株式投信の最後っぺのナゾ(デッドエンドファンド編)
マーケットでは神経質な展開が続いている。世界的なITバブルの崩壊が大きな原因だが、それに致命傷を与えたのが元1兆円ファンドと、某電話会社のファイナンスだと言われている。
株式投信に関しては、
で取り上げた。Webmasterは当初から設定金額1兆円超のアクティブファンドが成立するのかどうか懐疑的であった。1兆円は東証の1日ないし数日の売買代金に相当する。過去某電話会社が1兆円ファイナンスを行う度に市場は大きく攪乱されてきた。それは電話会社と取引のある会社は他の株を売ってでもお付き合いしなければいけないからである。1兆円という金額は、日経平均採用銘柄を平等に組み込むだけで、自動的にその会社の株式の数パーセントを占めるほどなのである。
元一兆円ファンドはTOPIXを越える運用を目指すアクティブファンドに分類されるが、この図体だと株を買えば株価が吊り上がり、売れば株価が暴落してしまうので機動的な運用が難しい。せいぜい成立するとしたらTOPIXへの連動を目指すインデックスファンドとしてだろう。しかしインデックスファンドでは販売手数料や信託手数料を高く設定できないので、証券会社も投信会社も販売に力が入らない。
初年度のコストが5%に達するファンドでは、TOPIXを5%以上上回る運用成績が必要である。そこで投信会社はIT業界にオーバーウェイトした結果が現在の運用成績である。例えば元1兆円ファンドはコストを入れると40%以上の評価損となっている。
しかし世の中にはリストラが終了して黒字化し、また簿価が市価より低い資産を保有しているバリュー銘柄はいくらでもある。その中から来期、来来期の業績のPER20倍をメドに買い上がれば安定した相場になっていただろう。そういう銘柄を丁寧に拾ってこそ運用の手数料が取れるのであって、みかかのこども、トEタ、竹田製薬、観音カメラなどの銘柄選択では、とても手数料に見合わない。
この手の議論になると、出てくるのが”自己責任”、”長期的な投資”などのお題目である。”自己責任”は実に都合の良い言葉で、どんなにひどい運用であっても手数料は確保される。”長期的な投資”も成績が回復しようがしまいが、その間の信託手数料は確保される都合の良い仕掛けである。自己責任や運用内容は置くとして、今回は長期的スタンスの投資家に届けられるラブレター(最後っぺ)を紹介したい。それは涅槃株券と並んで本研究所の壁に貼ってある。
平素はお引き立てを賜りありがとうございます。
さて、ご投資いただいております「○Xアクティブオープン」は、信託約款に基づき平成○年X月▲日をもちまして信託を終了し繰り上げ償還させていただくことになりました。
当ファンドは○年X月の設定以来、成長性等を勘案して運用してまいりましたが、○年X月▲日現在の基準価格はXXXX円と、皆様のご期待に沿うような運用成果をあげるには至っておらず、誠に申し訳なく心よりお詫び申し上げます。
当ファンドは○月x日現在の残存原本がXX億円と減少し、分散投資によるリスク低減効果を発揮することが難しくなっており、信託期間終了日を繰り上げて償還させていただきたいと存じますので、ご理解を賜りますようお願い申しあげます。
なお、当ファンドの換金代金もしくは償還金のお支払いを受ける販売会社におきまして、規定されている他のファンドに乗り換える場合、募集、販売手数料を割り引く優遇処置がご利用になれます。今後とも一層のお引き立てをお願い申しあげます。。。。
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と言っても、目論見書には繰り上げ償還の規定として残存原本が減少した場合の他に、証券会社の都合でも監督官庁の許可があればいつでもファンドは終了できる、とも書いてあるので、注意のしようが無いのである。実に投信とは一方的に便利にできている。
手数料の安いネット取引の時代にディーラーと社債や新規公開の利潤だけで、全国にはりめぐされた支店網の人的リソースを維持できるのだろうか。そしてあなたは401Kで株式投信を選ぶのだろうか?いずれも、答えが出るのは遠く無い時期であろう。
March 19
●山本式風水スタンドのナゾ(PAT PEND.極限リソース編)
最近のノートパソコンの売れ行きはデスクトップパソコンを凌いでいるそうである。しかし町を行く勤め人でノートパソコンを携行しているヒトは少ない。結局多くのノートパソコンは空間リソースが払底した日本の劣悪な労働環境で、僅かに安住のスペースを確保しているのだろう。
そこで、今回は山本式風水スタンド(PAT PEND)を紹介したい。これがどういうモノで、どういう用途があり、どういう効果があるかは写真をみれば終わりである。携帯電話の方には誠に申し訳ない。実物は随分前から存在していたが、妙に感心する人がいたので、今回紹介することにした。
材料はどのデスクトップパソコンにも無料で漏れなく付いてくる(後面のスロットのフタ)。曲げ方は微妙なので、写真をよく見て試作して欲しい。一見そのディメンジョンにはもっと工夫の余地がありそうだが、かなりオプティマムに近い。作ってみれば解るが、この状態でもキーを押したぐらいでは倒れない。長年この材料の処分をお悩みの諸兄にも喜んでいただけるだろう。
通常は写真の向きに使う。これなら読み物をしたり、あるいは食事中でも最低限のキーボードの操作ができる。もし食事が汁物の場合は、キーボードを裏にした方が安全である。Webmasterはメカニカルなキーボードを10年以上愛用しているので、これに汁物を飛ばすわけにはいかないのである。写真のように山本式ゼログラビティーマウスとの共存状態も良好である。
我が国で1年間に販売されるデスクトップパソコンは500万台以上で、稼働中のパソコンはその数倍に及ぶ。かりに2500万台が稼働しているとすると、このスタンドで節約されるオフィスの机上面積は、キーボード1台あたり0.045m2 (10cm x 45cm)なので、
0.045 m2 x 25000000 = 1125000 m2
に及ぶ。オフィスの年間賃貸料を仮に \100000/m2 とすると、節約される賃貸料は、
1125000 x 100000= 112500000000 = 1125 億円
にも及ぶのである。原材料と制作費はゼロなので、そのゲイン/コスト比は無限大
(Non recoverable error! :Devided by zero)
である。
March 12
●21世紀に生き延びたソケット7CPUのナゾ(あと3年働かせる編)
Webmasterが普段事務に使っているパソコンはこちらで登場したVIAのVPXチップセットのパソコンである。VPXはVP-2より新しくVP-3より古いチップセットで、バスクロックは83MHzまででUDMA-33とUSBに対応しているが、AGPバスが無い世代である。仕事場には486マシンの後釜として次々に新しいパソコンがやってくるが、ワープロ太郎(一太郎にあらず)以来のドキュメントを保存しているメインマシンは安定性重視のため、古いままである。そのCPUはCyrixの6x86MX(実クロック266MHzを2.5V動作)というつましいモノで、整数演算だとPenIIの333MHz相当の性能だ。
さすがにHDDは30GBに更新したが、6x86MXを使っているのには理由がある。一度K6-IIの300MHzを載せて見たが立ち上がらなかった。このマザーのBIOSはK6以前かつ周波数が300MHz以下にしか対応しないのである。ベアキットの2年間の安定供給を約束したMルコに問い合わせたところ、送れば\5000ナリでK6-IIが走るように改修します、と言う。使用中のマシンをバラす訳にもいかないので、実クロック300MHz以下で一番早い6x86MXを使っていた。わざわざ\5000+郵送費をかける位なら、新しいソケット370マザーに換装した方が良い。
ところでWebmasterは、ソケット7は21世紀まで生き延びるが、スロット1はその前に絶滅する、と予想を書いてきたが、どうなっただろう。PC WATCHのマーケット情報による売れ筋を見ると、大手メーカー製品ではデスクトップにもK6-2(550MHz)がかろうじて生き延びている。一方ノートパソコンではK6-2やk6-2+はかなりのシェアを保っている。ノートパソコンではピーク性能以外に液晶サイズや電池消費などの制約因子があるからだろう。一方大手の製品に事実上スロット1CPUを積んだマシンは消滅している。予想は当たったのである。
サイバースペースを遊弋していると、偶然にK6-2+(500MHz)が\5980で出回っているのを見つけた。K6-2+は等速のオンダイL2キャッシュを持つK6-IIIの新しい世代で、プロセス(0.18u以下)や3D-NOW(Enhanced)省エネ機構(PowerNow!(R))が新しくなっているが、L2サイズは128kBに削減されている。もしK6-2+がこのパソコンで走れば、面倒なマザーボードに入れ替えをせずに済む。またL2キャッシュがオンダイならば、83MHz以上の高速クロックが安定しないソケット7マザーでもL3キャッシュに相当するL2キャッシュをOFFにしてもさほど性能は低下しない。それは次の理由による
K6-IIIで登場したAMDのトライレベルキャッシュ(3段キャッシュ)に対応して2MBもの大容量L2キャッシュ(K6-IIIから見ればL3キャッシュ)を搭載したマザーボードが登場したが、その効果は予想以下であった。大容量のL3キャッシュによりビジネスアプリでは5%程度性能が向上したが、DVD再生などのマルチメディアではL3キャッシュの効果が殆ど無いか、あるいは逆に性能が悪くなったのである。
その理由だが、大きなオフィスアプリ+日本語IMEのコード/データでも、その主要ループは2MBものL2キャッシュに納まるので性能が向上する。しかしローカリティーの低い圧縮画像データでは、レインテンシーの大きなL2キャッシュによるゲインよりhit/miss判断のオーバーヘッドの方が大きかったのである。そもそもK6-III内蔵L2キャッシュはK6の設計段階では存在したバックサイドキャッシュバスが復活したモノで、そのアーキテクチャーは拡張L1キャッシュと呼ぶべき構造でレインテシーもL1キャッシュと同等の極めて効率の高いものである。それに比べると外部L2キャッシュはあまりにも遅いのである。
しかし問題はBIOSだ。しかしその対策は解っていた。ベアキットのマザーはMMV-BA5-GなるMルコのオリジナルだが、同社の他のマザーと同じように台湾MYCOMP社との関係が深いと考えられる。実際に情報を当たってみると、VPX+586AにWinbond3877を初めとした各チップ、CPUやバス周波数、電圧設定のDIP設定、そしてBIOS画面までが瓜二つのAI-5VPなるマザーボードが捜査線上に浮かんでいた。さらにMMV-BA5-GにオンボードのTrio64の配線はPCI/ISAスロットに並列に繋がっている。おそらくこのBIOSが使えるであろう。
しかし間違ったBIOSを焼き込むとマザーは二度と立ち上がらない。またオンボードグラフィックがどうなるかは不明である。勿論同一機種のマザーがあれば、こちらに書いた方法で復旧できるが、面倒である。しかしこのマザーは飛ばしても構わない。現在唯一のソケット7CPUであるK6-2が動かないマザーボードは寿命が尽きている。さらに手元には幻のSiS5591なる100MHz未達マザーが余っているから、これに換装すれば外部L2キャッシュOFFで最高600MHz(100MHzx6)まで駆動可能である。
と言うわけで保証は無いがBIOSをAI5VPB3.EXEに書き換えた。最初に手元のK6-2(300MHz)を走らせると正しく認識された。次にk6-2+の500MHz(Family 5,Model d,step 4, 83MHzx6,2.0V)で立ち上げると、CPUは無名MMXとして立ち上がるが、動作には問題無い。ただしwrite-allocateはOFFのままなので、別途K6sysやWrite Allocate Monitor(Horiguchi氏作)などで設定するが、後述するようにwrite-allocateは万能では無い。
さて古いマザーに新しいCPUを載せた場合の問題の一つが電源レギュレーターの焼損である。しかし手で触った限りでは500MHzでもk6-2+は殆ど熱くない。そこで別のマザー(Aladdin5チップセット)で動作下限電圧を調べると、500MHzでは1.6V、450MHzでは1.5Vで、550MHz++(?)では2.0Vだった。そもそもK6-2+はモバイル用なので消費電力も小さいようである。Webmasterのメインマシンはサーバーとして常時電源ONだが、2.0V以下の設定が無いので10%の余裕を見て450MHz(83MHzx5.5)で使うことにした。変造後約1月以上電源を入れっぱなしだが問題無い。なお自宅のAladdin5マシンでは1.8Vの500MHzで使用している。プロセスの進歩によるマージンをオーバークロックよりも省電力に回すのが21世紀風だろう。
さて性能だが、450MHz動作にPCI接続のVoodoo Banshee(WGP-FX16)という3世代前のグラフィックカード、BIOSの標準設定、DirectX8での3dMARK2000のスコアはWrite-AllocateがONで900、OFFで848だった。WebmasterはBenchmarkは趣味で無いのだが、これは仕事場のCeleronの500MHz+i810内蔵グラフィックとほぼ同等で、オフィスアプリではむしろ10%程度速い。実際のレスポンスも山本式風水変造のせいもあって軽快である。
サイズが小さなオフィスアプリでは外部L2キャッシュの効果はもう少し大きい。しかし、これらの米国製ベンチマークは日本語フォントやIME、辞書のロードを無視している。webmasterが以前から主張しているように、日本版Win98では米国板Win98でのハイエンドベンチマークでの成績を参考にすべきである。そもそもL2キャッシュの効果が高いサイズのアプリでは、今のCPUの能力は必要としないのである。
データサイズがヘビーな3DMARK2000でwrite-Allocateと外部L2キャッシュをON/OFFすると興味深いデーターが得られる。逐一数字を上げないが、トータルではwrite-allocate(以下WA)をOFFにすると性能は5%程度低下し、一方外部L2キャッシュをOFFにすると約3%低下する。外部L2キャッシュの効果は全般的に小さく、WAがONであれば外部L2をOFFにしてもさほど性能は低下しない。これはベンチのデータサイズが大きいため、レイテンシーの大きな外部L2キャッシュの効果が低下するからである。
WAは特にポリゴンでは15%以上も効果がある。しかしサイズが巨大なテクスチャーでは、むしろWAも外部L2キャッシュもOFFの方が速い。これはこのページで何度も触れてきた事だが、データーサイズがヘビーなマルチメディアでは、外部L2キャッシュが有るほど、また高度なキャッシュアルゴリズムを働かせるとかえって遅くなる場合があるということが再確認された。WAはバス渋滞を緩和する作用があるので通常のアプリではONの方が望ましいが、さりとて万能というわけでは無い。
ソケット7マシンが傍流になって久しい。しかしCPUプロセスの進歩は、ソケット7アーキテクチャーの遅い外部L2キャッシュの問題も、電源レギュレーターの容量が不足する問題も、その寿命が尽きかけた21世紀になって救ってくれたのである。
そしてk6-2+を得た97年型PCIマシンは現代パソコン能力の三里塚と言うべきDVDソフトウェア再生を軽くこなす。もしAGPバスが使えるマザーであればHL&Tエンジンを持つグラフィックカードと組み合わせることで最も要求度の高い3Dゲームも問題無いだろう。
これで最新プロセスに感謝しつつパソコン廃棄物と余計な炭酸ガスを出さずに地球にやさしいあと3年の寿命を確保できるのである。
追加
Duronの供給が本格化したようで、K6-2+バルクの供給がどうなるかは予断を許さない。現時点ではK6-2+、K6-3+、K6-IIIは複数の店に在庫があるので、興味のある方は早く手当されることをお勧めする。ただし\15000を越えるようだと、新しいCeleron+マザーを買った方が安くなるのでソケット7と心中覚悟の向き以外にはお勧めしない。Webmasterはどこでいくらで売っているかなどの質問には一切お答えいたしません。
webmasterが昔から興味があるのが時計の石数である。以前は64石や100石と多くの石を誇る時計があった。しかし現在の機械式時計の石はあまり多く無く、21石から35石程度である。あの多石時計はいったいどこに石を使っていたのだろうか。そしてそれは必要だったのだろうか。
さて、石数を知るには機械式時計のメカを知らなければならない。そのためにWebmasterがメカを解析した機械時計は数十にも及ぶ。そして、あなたはその果実をたった1回のトピックで知ってしまうのである。実にボロい話では無いか。
そこで最初に基本的な時計のムーブメントを時計シリーズで登場する懐古調イラストで見てみよう。Webmasterは機械をバラすときには、なるだけこのようなイラストを書くことにしているが、それが悲劇を避ける方法の一つである。勿論縮尺や歯車の上下関係は概念的に過ぎないが、部品配置の最適解は意外に少ないことが良くわかる。
典型的なムーブメントとしてまずAを見て欲しい。左側にテンプがあり、テンプの芯(天真)の上下には受石と穴石がショック吸収用のバネ(○○ショックと呼ばれるもの)で支持されている。そして下の方にアンクル(P)を駆動する振石がある。
振石に絡むアンクルにはガンギ車(E)と噛み合うツメ石が2石ある。そしてアンクルを支持する軸に2石ある。ガンギ車の上下の支持に2石あるので、ここまでで5+4+2=11石になる。
ガンギ車からは4番車(IV)、3番車(III)、2番車(II)、香車(B、ゼンマイ)と連なる。古典的なスモールセコンドの時計では4番車の芯(真)が文字盤を貫通してそのまま秒針を駆動する。しかし少し進化した時計では秒針が中央にある(センターセコンド)。
そこで3番車は4番車を駆動すると同時に2番車と同軸の秒針の軸(秒カナ)を駆動する。このため2番車には地板(下の点線)と受け(上の点線)の間に中受があり二階建てになるために生産性と整備性のネックとなっている。
ここまでで5+4+2+2+2+3+2=20石になるが、スモールセコンドであれば19石となる。通常はこれより石の数が少ないが、これは香車周りの石がコストのため省略されているからである。その場合でも、定期的に分解修理されて給脂されれば何の問題も生じない。
逆に石の数が多い場合は、テンプと同じショック吸収機構がガンギ車や4番車などに追加されていると考えて良い。しかし余計な石の効果は疑わしい。というのは、時計にはツメ石や中央のカナなど、もっと潤滑条件の厳しい部分があるからである。
ところでスイス製時計の大半を占めるETA2XXXXの構造は図Bのようになっている。まず時計の中央には2番車で無く4番車があり、2番車は香車の隣に引っ越している。
分針を駆動するドライビングホイール(II')は2番車と共に3番車のカナを挟んでいる。これだと歯車が一枚余計に必要だが石は一石減り(19石)、さらに中受けが要らない。このため時計が1階立てで全ての石がムーブメントの裏表からアクセスできるため、生産性と整備性は飛躍的に改善する。
ところで国産S社のメカは図Cのように4番車が中央にあり、さらに2番車と4番車は2階建てになっている。図には書いてないが香車は直接2番車(II)のカナに噛み合う。構造的にはAより洗練されているがBよりは古くさい。これはETA社の前身の一つFM社がオリジナルで、国産時計の多くのムーブメントはその影響を強く受けている。残念ながら輪列配置については、国産時計の歴史はコピーで終わり、いや今もそのまま続いている。
この配置では4番車を中心としてテンプ、香車、3番車が約120度間隔で並ぶ。また受けにも3つの受石がほぼ正三角形に並ぶので、見た目に美しく能率的な輪列配置だが、やはり中受けのために中心が二階建てになり、また香車やテンプのサイズに若干の制約が出るようだ。石の数は5+4+2+3+2+2=18石になる。高級品の場合はガンギ車や3番車などに○○ショックが組み込まれるので22石ないし24石になる。
というわけで、この図を穴が空くほど眺めると、ムーブメントの輪列構造がその一部をかいま見ただけでどのタイプか解るようになるだろう。次回のトピックで自動巻機構の石数のナゾが登場し、そして最後のトピックでは、おそらく伝説の多石時計グランプリ64が登場して64個ものルビーがどのように使われているか調べる事になるような予感がする。
参考トピック
●続・国産普及自動巻のナゾ(シテゾン編)
●逆輸入セヰコーファイブの品質のナゾ
●国産普及自動巻メカのナゾ
●あやしいクロノグラフのナゾ(メカ解明編)
●スイス製時計ムーブメントのナゾ
謹告
このたび、このページ開設以来(Dec.1996)のページ構造の抜本的な改革を行いました。と言っても、ページの頭に最新トピックへというリンクを貼っただけですが。携帯端末では便利かと考えます。