Feb.28
パソコンBENCHMARKとL2キャッシュ有無の関係のナゾ(CPUのキャッシュ依存性グラフのおまけ編)
Feb.26
パソコンBENCHMARKとL2キャッシュ有無の関係のナゾ(本邦初、Webmaster渾身総集編)
Feb.24
スイッチング電源のナゾ(ジャンク品を活用して無線機につなぐ編)
Feb.22
ペンティアム-IIの外部バス100MHzのナゾ(オールSRAMマシン待望編)
Feb.20
200000th ビジター当選発表
Feb.18
ベアキットを使ったPentium-II変造マシンのナゾ(コストパフォーマンス最悪編)
Feb.15
Win95のハードディスク内容引っ越しのナゾ(ロハのツールでそっくり移動編)
Feb.12
パソコンの冷却ファンのナゾ(ファンの寿命を風水学的に伸ばす編)
Feb.8
ベアキットを使ったP55C変造マシンのナゾ(調達条件に制限のある場合編)
Feb.5
こわれたCRTモニターのナゾその2(廃品活用編)
Feb.2
こわれたCRTモニターのナゾ
Webmasterは良くFirst & Fastを覗きに行く。PCハードウェアに関してはここが一番である。そこのWebmasterが面白い実験をやっていた。
Super-PIの成績を、K6-300、Pentium-Pro-233MHz、Pentium-II-338MHzで、L2キャッシュ有り無しで比較している。それによると、K3ではL2キャッシュを無効にしても性能は80%にしかならないが、Pen-IIでは70%、Pen-Proでは65%に低下するという。このことから、Socket7マシンより、Pen-IIやPen-Proの方が、L2キャッシュの有効性が高い事になる。
すなわち、L2キャッシュの速度がCPU内部クロックに近い程有効である。またL2キャッシュの有効性はコードサイズやデータサイズに関係し、それらが大きくなるほど有効率が減る。このように見ていると、パソコンの能力は、
メモリー転送速度 x CPUコアの能率
で現れるように思う。そこで、L1に載ってしまうサイズのDhystoneで、L2キャッシュを消してCPUコアの能力を見てみよう。
CPU type 6x86L 6x86MX P55C Pentium II Clock rate 133 MHz 133 MHz 186 MHz 266 MHz ----------------------------------------------------------------------- Dhrystone MIPS 243 256 341 536 Whetstone MFLOPS 51 56 109 109Integerに関しては、クロック当たりでは6x86MXが一番早いようだ。さて、L2キャッシュ依存性を見てみよう。注意:6x86Lと6x86MXはSiS内蔵VGAを無効化した数字に訂正した。
woL = without L2 Cache Brand/Model 98nxP55C 6x86MX/woL2 6x86MX 6x86L/woL2 6x86L(J648) P55C/woL2 P55Cメルコ CPU Freq. 66x3 66x2 66x2 66x2 66x2 75x2.5 75x2.5 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------- Read 4KB 1001 MB/s 573 MB/s 573 MB/s 576 MB/s 576 MB/s 938 MB/s 938 MB/s Read 8KB 1008 MB/s 505 MB/s 505 MB/s 293 MB/s 517 MB/s 944 MB/s 945 MB/s Read 16KB 890 MB/s 527 MB/s 535 MB/s 271 MB/s 407 MB/s 804 MB/s 851 MB/s Read 32KB 223 MB/s 409 MB/s 479 MB/s 165 MB/s 271 MB/s 147 MB/s 226 MB/s Read 64KB 190 MB/s 258 MB/s 305 MB/s 152 MB/s 230 MB/s 147 MB/s 213 MB/s Read 128KB 164 MB/s 133 MB/s 208 MB/s 147 MB/s 205 MB/s 147 MB/s 220 MB/s Read 256KB 155 MB/s 124 MB/s 188 MB/s 145 MB/s 178 MB/s 145 MB/s 180 MB/s Read 512KB 140 MB/s 121 MB/s 155 MB/s 144 MB/s 156 MB/s 145 MB/s 174 MB/s Read 1024KB 132 MB/s 119 MB/s 127 MB/s 143 MB/s 144 MB/s 145 MB/s 158 MB/s Read 2048KB 132 MB/s 117 MB/s 118 MB/s 143 MB/s 143 MB/s 145 MB/s 147 MB/s Write 4KB 84 MB/s 336 MB/s 335 MB/s 328 MB/s 337 MB/s 70 MB/s 71 MB/s Write 32KB 84 MB/s 126 MB/s 337 MB/s 59 MB/s 144 MB/s 69 MB/s 70 MB/s Write 256KB 84 MB/s 68 MB/s 110 MB/s 58 MB/s 75 MB/s 69 MB/s 70 MB/s Write 2048KB 83 MB/s 68 MB/s 68 MB/s 57 MB/s 60 MB/s 69 MB/s 70 MB/sここでは、おまけで98NXも挙げてある。なお、6x86LマシンのL2キャッシュはPB256KB、他はPB512KB。98NXのみSDRAM32MBで、他はEdoRAM32MB。98NXではBIOSでL2キャッシュをDISABLEできなかった。6X86Lと6x86MXはSiS内蔵VGAを無効化して再計測。BIOSメモリー設定は60ns標準設定で、リニアバーストDISABLE。ビデオカードは98NX内蔵CL、P-2はメルコPermedia2、他はメルコS3Virge/DX2MB使用。
いろいろな読み方が出来る。まずRead4KBはCPU内部クロックを反映する。おもしろいのは6x86Lは4KBが最速だが、P55Cは8KBが最速だ。Read4KではCPUクロック最速の98NXが早いが、Read2048kではバス速度の早いP55C(75x2)メルコが上回っている。SDRAMとEdoRAMの差より、バスクロックの方が効くようだ。
6x86Lでは、Read16KBおよびRead128KB(つまりL2キャッシュの半分)でキャッシュ効果がなだらかに低下するが、P55Cでは急激に低下する。6x86MXは内部133MHz外部66MHzにも関わらず、Read32kBからRead128kBあたりはP55C(75x2)より全般に早い。ただし6x86LはL1キャッシュが小さいのでL2キャッシュの有無の影響が大きい。一方、6x86MXはL1キャッシュが大きいためか、L2キャッシュが無い場合でもかなり健闘している。
Writeはさらに面白い。WriteBackキャッシュアルゴリズムの問題からデータ解釈は難しいが、read32kBあたりでは、6x86LはP55Cより早いようだ。6x86MXはさらに早い。おそらく6x86のL1キャッシュのWriteBack性能がPentiumより高いのだと思われる。ここに意外なP55Cの弱点を見たように思う。
Webmasterの推測だが、6x86はローカリティーの高いコードに対してP55Cよりオプティマイズが効いていて、キャッシュ制御も高度なのだろう。一方、P55Cはメモリー書き出しが遅く、なんらかのボトルネックが存在するようだ。下記グラフがわかりやすい。
さて、真打ちPentium-II(266MHz)登場である。L2キャッシュは512KBである。
wo = without caches Brand/Model p2/woL1L2 p2/woL2 p2 --------------------------------------------------------------- Dhrystone 3 MIPS 536 MIPS 538 MIPS Whetstone 3 MFLOPS 109 MFLOPS 110 MFLOPS RAM Read avg 4 MB/s 439 MB/s 566 MB/s RAM Write avg 38 MB/s 367 MB/s 453 MB/s RAM Copy avg 22 MB/s 311 MB/s 359 MB/s Read 4KB 4 MB/s 995 MB/s 998 MB/s Read 8KB 4 MB/s 1000 MB/s 1004 MB/s Read 16KB 4 MB/s 855 MB/s 978 MB/s Read 32KB 4 MB/s 219 MB/s 478 MB/s Read 64KB 4 MB/s 220 MB/s 478 MB/s Read 128KB 4 MB/s 220 MB/s 479 MB/s Read 256KB 4 MB/s 219 MB/s 477 MB/s Read 512KB 4 MB/s 220 MB/s 330 MB/s Read 1024KB 4 MB/s 220 MB/s 220 MB/s Read 2048KB 4 MB/s 220 MB/s 220 MB/s Write 4KB 36 MB/s 1267 MB/s 1267 MB/s Write 32KB 39 MB/s 67 MB/s 239 MB/s Write 256KB 38 MB/s 67 MB/s 239 MB/s Write 2048KB 39 MB/s 67 MB/s 68 MB/sいろいろ数字が面白い。まずBENCHは良い成績だがこれもL1キャッシュに収まるらしく、L2キャッシュの有無はまったく関係しない。しかし、L1キャッシュを消すと悲劇的な結果である。実際Win95が起動するまで気の遠くなる時間を要し、終了時もハングしたかと思った。Readでは4KBより8KBの方が大きくなっている。これはP55Cと同様なので、CPUコアやL1キャッシュのストラテジーが同じなのだろう。
P2でL2キャッシュ無しの成績は、98NXのP55C(66X2.5)に極めて似ている。P2のコアは、スーパースカラーやOut of order処理などが高度のはずだが??メモリー転送はP55Cよりあまり改善しておらず、P2のパワーの大半はL2キャッシュによるという考えができる。L2キャッシュの効果は32KBから256KBまで一定で、その後は急激に低下する。P-2はかなりL2キャシュに助けられているようだ。
Writeに関しては、write4KBだけやけに数字が高い。L2キャッシュ無効では4kB以外はP55Cと殆ど同様に遅い。例えば、L2有効でもwrite32KBでは、クロックが半分の6x86MXの6割程度しか無い。どうもPen-IIとP55Cはどちらもメモリー書き出しが遅い。原因として、キャッシュのWriteBackアルゴリズムがまずい可能性がある。WriteBack性が高いと、CPUはキャッシュにデータを吐き出すとすぐ次の処理に移れる。
これらをグラフにすると次のようになる。
結論
L2キャッシュの効果は、バスクロックに比例する。これは当たり前であろう。Pentium-IIの処理能力は低速Socket7勢に比べかなり高いが、それはCPU内部クロックとL2キャッシュ周波数が高い事に依存しており、CPUコア自体の性能が高いのかどうかは疑問である。
6x86MXは、内外クロックが一番低いがメモリーアクセスが速く、L2なしでもかなりの成績である。6x86Lと6x86MXを比べると、L1キャッシュのサイズがかなり影響しているようだ。L1キャッシュの大きい6x86MXではL2キャッシュDISABLEの影響がかなり緩和されている。P55C勢は、小さいデータのReadでは高速だが、32kbを越えると急速に遅くなり、L2キャッシュによる改善は極めてわずかである。
Writeに関しては、P55CもP-2もかなり遅い。P-2ではL2キャッシュに助けられているが、これをDISABLEにするとP55Cと大差ない。Pentium勢はWrite速度に関して、なんらかのボトルネックがあるようだ。メモリーベンチマークが32bitにオプティマイズされてないのも原因の一つと考えられるが、他にも何かありそうだ。
リンクを辿ると、Pentiumのメモリーアクセスにはいろいろドキュメントされていない問題があるそうで、それについては、
Processor performance flaw which significantly reduces memory performance
が面白い。
報道によると、83Mhzx2.5の6x86MXはPen-IIの266MHzを上回るらしい。これは、今回のデータでもうなずける。6x86勢を内部200MHz、外部100MHzで駆動したら、おそらくP-2の300MHzを越えるはずである。K6の在庫が無いが、これについても調べたいところだ。>どなたか?
L2キャッシュの研究に関しては、一応ここいらで終わりたいと思う。以前から不思議に思うのは、80486DX33MHzからCPUの能力は20倍になっているにもかかわらず、GUIのマウスに対する反応は感覚的スピードは2、3倍位にしかなっていないことである。これもメモリーアクセスのデータを見れば納得するであろう。Win95で大部分を占めるメモリー操作、特に仮想記憶やディスクキャッシュ処理は、があまり早くなっていないのである。
Brand/Model P55C(75x2.5) Dell 486DX-33MHz --------------------------------------------------- Read 4KB 938 MB/s 76 MB/s Read 8KB 945 MB/s 70 MB/s Read 16KB 851 MB/s 33 MB/s Read 32KB 226 MB/s 33 MB/s Read 64KB 213 MB/s 33 MB/s Read 128KB 220 MB/s 31 MB/s Read 256KB 180 MB/s 29 MB/s Read 512KB 174 MB/s 29 MB/s Read 1024KB 158 MB/s 29 MB/s Read 2048KB 147 MB/s 29 MB/s Write 4KB 71 MB/s 31 MB/s Write 32KB 70 MB/s 31 MB/s Write 256KB 70 MB/s 31 MB/s Write 2048KB 70 MB/s 31 MB/s Copy 4KB 70 MB/s 39 MB/s Copy 32KB 58 MB/s 23 MB/s Copy 256KB 46 MB/s 17 MB/s Copy 2048KB 37 MB/s 16 MB/sReadの数字でも総じて10倍以下にしかなっていない。これもL2キャッシュ早読みの効果がかなりあるので、データの大きな部分では5倍程度にすぎない。さらに、writeやcopyの数字を比較すると、メインメモリーの速度上昇が悲劇的であることが解る。改善はたった約2倍にすぎず、これは486で32bitのメモリーバスがPentiumで64bitになっただけの話。
雑誌ではBenchmarkの話ばかりだが、メモリーアクセスに関する詳細な解析はどこにも書いてない。いかに雑誌の記事が重要な点を逃しているかがわかる。
シリーズで、パソコンでL2キャッシュがどの程度有効かについて考察を行ってきたが、おおむね結論が出た。
結論を先に言うと、まずBENCHのコードサイズが32KB以下のBENCHでは、L2キャッシュの有無は殆ど関係ない。
もう少し大きなBENCH、すなわちコードサイズが32KBないし256KBのBENCHでは、L2キャッシュが約20%ないし50%成績を向上させる。
さらに大きなBENCH、すなわちコードサイズが512KB以上、かつ/もしくは、データがメガバイトオーダーの場合、L2キャッシュの有効性は10%前後に過ぎない。
つまり、L2キャッシュの有効性はコードやデータサイズに大きな影響を受ける。昨今の画像のカットアンドペーストや、マルチメディアを駆使したコードサイズの大きなアプリではL2キャッシュの有効性は極めて低い。
測定条件
機械は6x86MX(66MHzX2、L1キャッシュユニファイド64KB)、ASUS SP-97V、L2キャッシュPB512KB、メモリー30MB、ビデオオンボードSis5598(1024x768x64kc)、3.2GHDD(QuantumFB)である。6x86MMXのL1キャッシュサイズがP55CMMXやPentium-IIより大きいのがミソである。L2キャッシュ有無はBIOSで設定した。注意:メモリーアクセスはSiS無効化した値に訂正しました。
WINDSOCK3.30
L2キャッシュ有無の差は、CPU,VIDEO,HDD,MEMORYとも誤差範囲。
HDBENCH (Code size 281KB)
L2キャッシュ有無の差は、CPU,VIDEO,HDDとも誤差範囲。
Super-PI
104万桁 Code size 104KB Data size 1149KB w/L2有 wo/L2無 ----------------------------- 23 min 39 min解説:大差が生じた。これはコードサイズが104KBと、丁度L2に乗ってしまうためであろう。差が倍にならないのは、演算が進むにつれ、メモリー上に1MB程度のデータが確保されるためであろう。
WINBENCH98
Code size w/L2有 wo/L2無 ---------------------------------------------------- BUSINESS DISK 304KB 1030 881 HighEnd DISK 304KB 2530 1950 CPUmark32 161KB 270 123 FPUmark 79KB 300 293解説:図のように、CPUでは大差が生じた。これはコードサイズが161KBとL2キャッシュにすべて乗ってしまうことによる。FPUで殆ど差が無いのは、コードが小さいため、すべてL1キャッシュに乗ってしまうためであろう。同様に、DISKのテストはコードが小さいためか、20-30%程度差があるが、コードサイズが小さいため、必ずしも実世界アプリを反映していないと思われる。
ZDnetもこの問題を認識しているのであろう、彼らのwinstoneでは、実際のオフィスアプリを使って評価する。最近のPen-IIが、266MHz、300MHz、333MHzと速くなっても、WordやExcelの成績があまり向上していない事は有名である。
INTEL Media Benchmark
Code size Data size w/L2有 wo/L2無 ------------------------------------------------------------ total 109 96 MPEG ?(DirectX3) 1029KB 139 120 Image ?(DirectX3) 12000KB 347 338 3D ?(DirectX3) 400KB 50 43 Audio ?(DirectX3) 3200KB 153 140解説:MPEGはデータサイズの割に解凍ルーチンが小さいためか15%の差となっている。一方Imageはデータサイズが圧倒的に大きいため殆ど差がない。3Dはデータサイズが小さいためか15%の差である。Audioはデータサイズが大きいため、差が小さい。全体として、CPUの負荷が高く、データサイズが大きいBENCHでは、L2キャッシュの効果は10%程度である。
Test w/L2有 wo/L2無 (Code size) -------------------------------------------- Dhrystone 254 MIPS 254 MIPS (< 53kB) Whetstone 57 MFLOPS 56 MFLOPS (< 53kB) Video speed 14 MP/s 13 MP/s (< 39kB) Memory Access(データ訂正しました) Read 4KB 573 MB/s 573 MB/s Read 8KB 505 MB/s 505 MB/s Read 16KB 535 MB/s 527 MB/s Read 32KB 479 MB/s 409 MB/s Read 64KB 305 MB/s 258 MB/s Read 128KB 208 MB/s 133 MB/s Read 256KB 188 MB/s 124 MB/s Read 512KB 155 MB/s 121 MB/s Read 1024KB 127 MB/s 119 MB/s Read 2048KB 118 MB/s 117 MB/s Write 4KB 335 MB/s 336 MB/s Write 32KB 337 MB/s 126 MB/s Write 256KB 110 MB/s 68 MB/s Write 2048KB 68 MB/s 68 MB/s Copy 4KB 125 MB/s 125 MB/s Copy 32KB 93 MB/s 50 MB/s Copy 256KB 59 MB/s 41 MB/s Copy 2048KB 41 MB/s 41 MB/s解説:CPUのBENCHは、いずれもコードサイズがL1キャッシュより小さいため、まったく差が出ていない。Videoに関しても差が殆ど無い。
このテストでの白眉は、データサイズを替えてのメモリーアクセス速度であろう。まず、READでは、16KB以下では差が小さいが、データサイズが32KBを超えると、めっきりアクセスが遅くなっている。特に128KBや256KBでは大差がついているが、512KBを超えると差が小さくなり、さらに大きくなると殆ど差が無い。
WRITEでは32KBまでは殆ど差が無い。キャッシュがWriteBackになっているので判断に苦しむが、256KBで倍の差がついているが、さらに大きくなると差がなくなる。Copyでも同様で、16KBまで差がなく、32KBで大差がつくが、256KB以上ではあまり差が無くなってくる。
結論
1.BENCHのコードサイズとL2キャッシュの関係
まず、主要部分のコードサイズがL1キャッシュに乗るようなBENCHでは、L2キャッシュの影響はまったく無い、といって良い。win95上では、このように処理の軽いアプリはあまり無かろう。コードサイズがL2キャッシュサイズに納まり、単純な処理を繰り返すようなBENCHで、一番L2キャッシュの効果が高い。
2.キャッシュとメモリーアクセス速度の関係
各項目の中でも、WINTUNE97のメモリーサイズ別のアクセス速度のデータは面白い。データサイズとキャッシュサイズの相関がはっきりしている。 これによると、CPU内のL1キャッシュのスループットは能書き通り(133MHzx32/8)500MB/sec以上あることがわかる。L2キャッシュ内は100ないし200MB/sec程度であり、これはクロック比率からしても妥当だ。
問題はキャッシュからはずれた場合で、100MB/sec程度に過ぎない。SIMMには64bit(8bytes)単位でアクセスすることを考えると、周波数換算では12.5MHzになってしまう。何かこのシステムの設定が悪いのだろうか。
Winmarkのデータベースをあさると、これはCPUクロックとL2キャッシュ能力に関係するようだ。P54Cの200MHzクラスだと約100MB/secだが、Pentium-Pro200MHzだとSIMMのメモリーインターリーブが効くのか、約200MB/secに達する。こうしてみるとPentium-Proはもっと高い評価を受けても良いCPUだと思う。
3.アプリのコードサイズとL2キャッシュの有効性
INTELのメディアベンチが示すように、データサイズが巨大化しDirectXでマルチメディア処理を行うような負荷では、L2キャッシュの効果は低い。これはユーザーがマルチメディアを楽しんでいる状況の最小の雛形と言える。これらの結論から、現状の512KBというL2キャッシュのサイズは、巨大化したOS上で巨大アプリ(MS-OFFICE)や巨大ブラウザーで画像やマルチメディアを楽しむ状況では、明らかに不足だと思う。
Webmasterは動作の軽いOFFICE-95を常用しているが、コードはWORDが4.1MB、Excelが4.8MBもある。ブラウザーはNetscapeのver3を使っているが、コードが3MBでメモリーキャッシュが1MBだ。
しかし忘れてはいけない。日本語FEPが居座っている。MSIME95はコードが1MBある。負荷の軽いWORDPADで入力しても、常にメガバイトのFEPが動いている。さらに辞書のサイズは5MBあり、おそらくディスクキャッシュ、すなわちメモリー上にある。日本語でnotepadに入力するだけでも、決して負荷が軽いとは言えない。
L2キャッシュに効いて欲しい、というここ一番負荷の重いアプリでは、L2キャッシュがあまり効かない、というジレンマがある。こういう用途(今はありふれているが)では、キャッシュサイズは2MB以上必要だと思う。逆に負荷の非常に軽いアプリでは、確かにL2キャッシュが良く効くであろう。しかし、負荷の軽いアプリでは、特に速いシステムで無くとも不満が出ないという、これまたジレンマがある。
この結果から、Tom's hardware guideは、現状でのOFFICEアプリやブラウザーの負荷を過小評価している、というWebmasterの説に賛同していただけるだろうか。おそらく、INTELもi-COMPばかり計算しているときには、かくも並みのパソコンの負荷が重くなるとは予期していなかったので、Pen-IIの512KBのL2キャッシュで十分だと思っていたのであろう。ところがIE4などの現状の巨大ブラウザーの使われかたを見て、問題を認識したのだと思う。
Webmasterのspeculationではあるが、l2キャッシュの無いPen-IIでも233MHzで駆動すれば、P55Cの166MHz以上の性能が得られ、コードサイズやデータサイズが巨大なアプリでは、L2キャッシュ有無はどうでも良くなることが予想される。ただ、その場合はL1キャッシュは64kB以上必要だろう。また、ハイエンドPentium-IIはスロット2化して、Pentium-Proを追う事になるが、socket7との性能差は縮まる一方だろう。
アマチュア無線をやっていると、無線機用にDC12Vが必要になることが多い。カーステレオ類にも同様な電圧が必要だ。家にある多くの機械類も、DC12Vから細工して作ることができるし、自動車のバッテリーも充電できて便利だ。
実際には12Vといっても13.8V程度が必要になる。Webmasterは正式に出力50WのHF移動無線局の免許状をいただいているが、この無線機が大変な電気を喰うのである。ピークは13.8Vで15A以上にもなる。
手元のDC電源として、一番安価なのはAT互換機の電源ではなかろうか。昨今のAT電源だと、5Vの出力は20A近く、12V出力も10A近く取れる。しかしDC電源の品質としては最低に近く、オーディオにパルス性のノイズが大量に混ざってしまった。無理も無い、AT電源は、大容量スイッチング電源としては\3000という空前絶後の安さである。品質に多くを期待できない。しかも電圧は固定されており、変化させるのが難しい。
そこで、ジャンク屋に適当な12VDCのスイッチング電源を探しにいくが、なかなか無い。多くは5V出力か、入力が220Vだったりする。220V入力のモノは人気が無いせいか、安く売られているが改造が可能だ。
スイッチング電源では、まずAC110Vを倍電圧整流してDC300Vにする。なぜ倍電圧整流かというと、AC110VとAC220V地域の両方で使えるからである。入力回路は、図のように一個所をつなぎかえると切り替えることができる。
DC300Vは半導体でスイッチングされて高周波パルスになり、さらに高周波トランスによって低電圧のパルスに変換される。高周波トランスは通常の電源トランスに比べ計量小型である。これを整流して適宜目的のDC電圧を得る。電流が多く必要なときは、DC300Vの高周波パルス制御回路に負帰還をかけ、パルス幅を増やして調節するのが原理である。スイッチング電源はトランスを用いるのと比べ軽量小型であり、能率も高い反面、ノイズが多い。
また、電源内に負帰還回路があるため、トランジェントに電流が大きく変化する用途には不向きある。これが、スイッチング電源を使ったソニーのオーディオアンプの音がイマイチだった理由である。
出力がDC12Vで10Aを超える出力のジャンクの電源は、人気があるためか、入手しにくい。一方DC5Vで22A出力のモノは使い道が無いので安く手に入る。これを無線機につなぐにはどうするか、である。
スイッチング電源の良い点は、入力と出力が完全に浮いていることである。従ってDC5V出力の電源が2台あれ出力を直列につないでDC10Vを作ることができる。しかし13.8Vまで随分電圧が足らない。
電圧調整のボリュームをいじると、大体5.5Vまで行く。しかし、まだ11Vにしかならない。
次に、出力電圧と電圧センスの間の電線をダイオードに変える。そうすると、センス端子の電圧が出力電圧より常に0.6V低くなり、出力が5.5V+0.6V=6.1Vになる。一見うまく行きそうだがダメである。安全回路があり、6V以上はビタ一文出ないシカケになっている。
そこで、電源をバラす。出力電圧のプラス側を手繰っていくと、線が2本ある。一本は太いノイズフィルターにつながるので、電源出力であることが分かる。もう一本は細い線で、制御回路に向かっている。こいつが安全回路だ。
このラインに発光ダイオードを入れ、電圧降下させるのである。そうすると、安全回路の動作点が約1.2V上昇し、7.2Vまで安全回路が動作しない。またパイロットランプにもなる。これで、13.8V以上が安定して出るようになる。
パソコンの世界でオーバークロッキングがあるように、無線の世界でもオーバーパワーが蔓延していると言う。免許が無いのに、机の下に572BX2の安物リニアアンプを隠している局は多いらしい。なんせ安物でも500W以上の出力が出るので、いったんやるとクセになるらしい。
Webmasterはおりこうに50W免許を守っているが、時々無線機のポテンシャルを確かめたくなる。50W出力のHF無線器をあけるとスイッチがある。これを変更すると出力100Wになる。電波法で誤差が認められているので、正直に120W出るようになっている。
さて、これに電源電圧を15V以上かけるとどうなるか。あっと驚く出力が出たとたん、ダミーロードから煙が出て来て焼けてしまった。真の出力は不明だが、出力計は一瞬200Wを差したような気がするが、はっきり覚えていない。あれはデジャブーであったろうか。
ウワサによると、P-IIの外部バス100MHz対応の440BXチップセットがまもなく登場するらしい。すでにサンプルは出回っているらしく、各所から雑音を聞く。
困るのは、大量にP-IIマシンの在庫を抱えている大手であろう。素人ハイエンドユーザーは440LXを待ち、440FXマシンを買わなかった。現在は440BXを待っていて、440LXがだぶついている。440BXが販売されれば、440LXマシンの値崩れが期待できる。ハナから、ハイエンドの初物を買う気の無いWebmasterは、必要な時に必要なスペックと信頼性を満たす機械を、最高のコストパフォーマンスで調達する方針なので、チャンスが増えるのはいいことだ。
但し、セカンドベンダーCPUの無いスロット1規格で、炭酸ガスを多く出すマシンは嫌いだが、コストパフォーマンスが良くなれば考えても良い。
440LX関係の情報を漁ると、かなりのサイトがTom's hardware guideの影響を受けていることがわかってきた。Webmaterもそこを覗いて来た。しかし、Pen-IIではL2キャッシュがドーターカード上にあるので、外部クロック100MHzの影響は小さい、とする彼の解析に賛同できなかった。インテルもそう思っていたが、そうではなかったので、あわてているのである。
今回のベンチマークの結果について、Webmasterにはコードサイズが大きくなるとL2キャッシュの有効性が減り、メモリーアクセスがボトルネックになる、と読める。他にも明らかな間違いがいくつかある。例えば、彼は486の外部バス33MHzが486からペンティアムの時に倍になった、と書いているが正しくない。486の売れ筋は486DX2-66MHz(外部33MHzX2)であるが、プロ筋にはそれより早く出現した486DX-50MHz(内部、外部50MHz)の方が人気があった。
L1キャッシュに納まるBENCHは、486DX2-66Mhzの方が早い。しかしトランザクション能力を重視するサーバーでは、486DX50MHzの方が概して早かった。もちろん50MHzでは、パーツにかなりの相性が生じたし、メモリーにも多数ウェイトを入れる必要はあった。
彼はさらに、当時のRAMは33MHzから66MHzの変化にたやすく対応できた、と書いてあるがこれも間違いである。メモリーウェイトをたっぷり入れ、L2キャッシュへの依存度が増したのであった。それもパイプラインバーストSRAMの登場で、一息ついた、というのが正しい。
486の時代の最高外部クロックは50MHzであり、ペンティアムで66MHzへと30%増加しただけである。440BXで66Mhzから100MHzになると約50%のアップになるが、6x86MX233対応マザーでは75MHzを保証しているので、75MHzから100MHzへは33%の増加になる。Webmaterは、この33%の増加はかなりの技術的困難を伴うと考えている。単に外部バスが100MHzになる事実よりも、チップセットが100MHzを達成のために、どのくらい内部でタイミングの調整を行うかを見る必要があると思う。つまり、単にやっとこさ100MHzになっても、チップセットに内在するバッファーやレジスターの処理にウェイトを入れているのでは意味が無い。
同様に、彼はsocket7システムにおいて外部100MHzでのパフォーマンス向上は、L2キャッシュ速度上昇がその原因の90%と述べているが過大評価だろう。
L2キャッシュの効果は、実世界アプリでは10ないし20%にすぎない。おそらく外部100MHzでチップセットの能力が向上する事と、CPU内部クロックの向上が大きいと考える。もともと6x86MXやK6のコア性能はPen-IIを上回るが、クロック倍率がPen-IIより低い。外部クロック上昇で内部クロックが上昇すればPen-IIに肉薄するのは当然である。
彼はまた、通常のゲームやオフィスアプリがL2キャッシュに納まると書いているが、Win95のDirectdraw上で画像やマルチメディアを多用する現状では正しくない。もしそうなら、BIOSでL2キャッシュを無効化すると処理能力が半減するはずであるが、実際半減しない。486でWin3.1の時代は、メモリーアクセス15MHzの8MB,L2キャッシュ33MHzの256KB,CPU内部66MHzのL1キャッシュ4KB程度であった。現状はメモリーアクセス35MHzの32MB、L2キャッシュ66MHzの512KB,CPU233MHzのL1キャッシュ16kBである。CPU速度とメモリーアクセスのバランスが取れていない。
Tom氏は、メモリーアクセスについても誤解をしている。メモリーは必要なタイミングとウェイトでアクセスするものであり、それはFPでもEDOでもSDRAMでも同じだ。あるい意味ではアクセス速度は外部バス周波数とは直接関係ない、とも言える。彼はFPやEDOは100MHzでは死んだ、と書いているが大きな誤解であろう。
スロット1とメモリーの間に440チップが入る。チップから適当なタイミングでメモリーを読みに行くだけである。必要とするタイミングが外部クロック(周波数100MHzなら10ns)の倍数にぴったしあえば儲けであるし、はずれれば損するだけである。
SDRAMが理想的に動作したとして、10nsクロックで64ビットのバースト4回、計32バイト読み込む時間は90ns以上なので、64ビット一回あたりの周波数は44MHz以下にすぎない。EDOだと理論上約20%遅い約38MHz程度だ。実装上その差はさらに縮まり10%程度だ。FPやEDOが外部100MHzで卒倒して死ぬわけでは無く、タイミングさえ合わせてやれば使える。CPU速度から見れば、五十歩百歩だ。甲乙つけがたい、というよりは丙丁つけがたい、と言うところだ。
Tom氏は多くのBENCHを行っていて、例えばCPU内部300MHz、外部66MHzと100MHzとでは処理速度は2.3%から7.6%しか差が無かったと報告している。彼はその理由をいくつか考察はしているが歯切れが悪い。えらくAGPにご執心であるが、現状のビデオ情報量ではAGP以外にボトルネックが存在する。
Webmasterの考えはまず、440BXの内部処理が問題だと思う。440LXマザーでオーバークロッキングすると、440LX内のタイミングと処理がすべて高速化する。内部で必要なタイミングを満たさなくてもマージンで動作すればOKだ。メモリーアクセスも同じである。しかし、440BXで100MHzを保証する場合、半導体の性能が飛躍的に向上しないかぎり、内部タイミングの調整を入れざるを得ない。100MHzでは、これが響いてきて遅い可能性がある。
もうひとつは、毎度同じ議論で申し訳ないが、L2キャッシュの有効性の問題である。昔のBENCH(例えばI-COMP)などはコードサイズが小さく、L2キャッシュに載ってしまう。さらに、処理時間のかかるコードや演算を多用し、ループが多いなどローカリティーが高く、キャッシュ適合性が高い。このことは、
パソコンのベンチマークとキャッシュのナゾ(あなたのキャッシュは本当に働いているか?)
でしつこく書いた通りである。
一方、現状の肥大化したWin95と巨大アプリを動作させると、コードサイズやデータサイズはキャッシュに納まらない。さらにマルチメディア、特にソフトMIDIなどは、頻繁なタスクスイッチングを行うため、CPUにとって極限までの負荷になる。そのような状態でのL2キャッシュの有効性は低い。
これがI-COMPやCPUMARK32と、実世界のアプリ処理速度が感覚上比例しない理由のひとつである。他に、ビデオやハードディスクなどの要因も大きい。そこで、米国の最新有力BENCHはコードやデータサイズを巨大化させ、なるだけ実世界アプリの状況を反映するように変化してきた。
結局、コードサイズが大きくなればL2キャッシュの効果が低下し、メモリーアクセスのボトルネックに収束する。さらに、L2キャッシュに納まるような小さなBENCHの成績は、内部クロックに比例する、と考えるとすべての結果が簡単に説明できると思う。
インテルは、近々L2キャッシュの無いPen-IIを安物スロット1マシン普及をねらって出すらしい。この製品の意味は大きい。つまり、実世界アプリではL2キャッシュの有効性は低い、ということをインテル自体がおおっぴらに認めた事になる。スロット1の高速化には限界があるので、安物マシンでのシェアを伸ばすしかない。一方ハイエンドはスロット2でシェアを取りに行く。これは、スロット1のPen-IIの哲学が、現実世界のアプリと自己撞着している事を認めているのである。
インテルの予想以上に、メモリーやHDDの価格が低下し、OSやアプリの肥大化が急に進んだのに、メモリーアクセス速度やL2キャッシュサイズが追いついておらず、メモリーアクセスのボトルネックを埋められない。かといって、L2キャッシュを大きくすると、コストが上がってPentiumProの二の舞である。かといって、安物クラスにL2キャッシュ無しで撃って出ようにも、高速化したSocket7勢が市場を占めてしまった。結局スロット1の居場所が無くなってしまったのである。
Webmasterがかねがね不思議に思っているのは、なぜメインメモリーがSRAMのマシンが登場しないか、である。かつてDELLは創業期に、オールSRAMのAT互換機を発売していた。当時ISAバスとCPU速度のジレンマに悩んだDELLの社長は、えーーいとばかりオールSRAMマシンを出して業界をあっと驚かせたのであった。
巷の安物マザーにもPBSRAMが512KBのっている。とするとオールSRAM64MBマシンのメモリー自体は20万円ちょっとではなかろうか。この値段は昔のDRAMに比べても高くない。あるいはL2キャッシュ8MBならもっと現実的か。究極のパフォーマンスをねらうなら、オールSRAMのマシンが必要だ。ハイエンドやサーバークラスのマシンでそういうのが無いのが不思議、というか大同小異のマシンばかり作るメーカーの怠慢なのである。少なくとも、歴史にのこる能力を発揮する事は間違いない。
ご報告が遅れ、申し訳ございません。今回200000thを当てた方は2名ありました。すでに書いたように、このカウンターやロハで借りている物なので文句が言えませんが、かなりいい加減です。複数の人が同じ番号を引いたり、リロードすると数字が30位戻ったりすることが明らかになっています。Webmasterは、ひそかにインターネットのデジャブーという名前をつけました。
このため、いったい何名が当選されるのか戦々恐々としていましたが、申告が一段落したので決定させていただきました。
実は100000thの時も当選者は2名おられました。一人の方は在米でした。今回は、さらに199999thと200001thの両方ともあてた、と注意書き通りの事をされた方が2名おられました。このため、賞品は当初予定を越え、総額\16000相当となりました。次回が怖いです。
Webmasterもインターネットの仕組みがどうなっているか知りませんが、ネット上には有形無形の多数のキャッシュ機能が多数存在することだけは確実になったようです。
200000thの方 仙台市 菅原さま 熊本市 丸山さま 199999thおよび200001thの両方を、注意書き通り引いて下さった方 横浜市 千嶋さま 京都市 渡辺さまに賞品を発送しました。もし届かない場合は、メイルにてお知らせ下さい。なお、次は300000thを予定していますが、少しペースが早くなりそうです(4月中?)。
今後も、ご意見、ご感想をお待ちしております。
さて、今回はメルコのPentium-IIのベアキットMVK-XF6Kで組んでみた。
最初に断っておかなければならないが、結論として前回のメルコのSocket7のベアキットMVK-MVKBA5Gに比べるとコストパフォーマンスが非常に悪い。その原因は何よりSocket7軍勢よりPentium-IIが高いことに由来する。
今回は、Pentium-II(266MHz)マシンにMO640MBと24倍速CD-ROMを組み込む。例によってベアキットの定価は驚くほど高いが、購入価格は予想される市場価格より若干高い程度だ。例によって3modeFDD込みで配線済である。
まずマザーボードを見ると、これはMYCOMPのTI6FNKのOEM(チップセットが440FX)なので、安定しているが魅力に乏しい。これに限らず、大手のマシンには440FXのままのモノが多いがナゼだろう。
このクラスだとサーバー用途が増えるので、実績を重んじているのと、440LX,440BXの去就を眺めているのだと思う。昨年からPentium-IIがかなりダブついているし、スロット1の行く末がますます不透明になってきた。今回は調達価格が安目だったので、これは何とか許すことにする。
BIOSの設定項目は驚くほど少ない。クロックチップはICSだが、66MHz以上の設定は無い。つまりあぶないことは一切できない、安定動作重視である。
次にケースだが、品質は良い。ベアキットにケガしないように白い手袋がついてくる念の入れ様だが、その恐れは無い。ミドルタワーケースの両側パネルは簡単にはずれ、メンテは簡単である。例によってマザーボードはすべて金属スタンドナットでネジ止めされているので、ノイズや電圧降下に有利である。
しかしドライブベイ構成があまり良くない。5inchが3個、3.5inchが4個と、ケースは大きいのに、ベアキットMVK-MVKBA5Gに比べ3.5inchベイが1個多いだけである。さらに、前回のベアキットでは、5inch2個、3.5inch2個がパネルに顔を出しているが、これは3.5inchが一個しか顔を出していない。
私見では、ドライブベイが無くても、金具やマジックテープで、3.5inchHDDを1個ぐらいケース内に押し込む事は可能である。しかしパネルに出ている数は貴重で、今回は3.5inchサイズのMOドライブが5inchベイを塞いでしまった。やはり前面パネルに3.5inchが2個出ていて欲しい。
さてPen-IIの266MHzであるが、これも値段を知ると考え込んでしまう。市場では安いもので6万前後、上等な放熱板とファンに保証書がつくと7万以上する。
最近早くなったSocket7勢と差をつけるには、Pen-IIは266Mhz以上が必要になるが、それ以上はコストパフォーマンスは劇的が悪化する。第一、7万あれば上等な200MHzクラスのSocekt7マシンの、CD-ROMと純正SoundBlaster16付きが組めてしまう。
たとえばATケース\8000、マザーASUSのSP-97Vが\12000、6x86MXかP55Cが\12000、CPUファン\2000、EDO32MBが\7000、HDD3.2GBが\22000、バルクSB16が\5000、ATAPIの12倍速CD-ROMが\8000で、性能、互換性、汎用性、発展性が完璧なマシンが7万強で組みあがってしまう。安物を探せば、あと1万程度は安くなるだろう。
今回はビデオボードはPeremedia2にした。組みあがってBenchをいくつか取ったが、Pen-IIの266MHzとPermedia2に期待できる数字を裏付けたに過ぎない。
図は、1024x768x256色でのWindsock3.30の結果だが、CPUの数字は、キャッシュの有用性を示すに過ぎず、ビデオの2Dに関しては、少なくとも256色ではTrio64より遅い。従ってCADか3Dゲーム常用しないかぎりPermedia2の値段もオフィス用途では正当化し難い。
しかし、Win95の起動が目立って早いわけでは無い。さらにNetscapeやMS-Officeなどのメガバイト喰いの大きなアプリを動かすと、P55C166MHzを外部75MHzx2駆動のsocket7ベアキットマシン(8万円相当)とさほど差が無い。アプリの大きさがL2キャッシュからはみ出るサイズだと、とたんに遅くなるのである。これはすでに、
パソコンのベンチマークとキャッシュのナゾ(あなたのキャッシュは本当に働いているか?)
で述べた通りである。特にWindsock3.30の1024x768x256色に限れば、推定\3000相当の超安物オンボードのTrio64より遅いので、涙が出そうである。前回のベアキットとは家族で2泊3日の温泉旅行に行ってもまだ余る程度の値段差なのに、である。
従って、このベアキットは通常ユーザーには薦めない。巷には大手のPen-IIマシンがだぶついていて、おまけソフトテンコ盛りのPen-IIマシンがモニター付きで25万を割っている。安直にPen-IIマシンを味わうにはそちらの方がトクかもしれない。とにかくPen-IIと言った瞬間に、CPUがプラス\60000、マザーがプラス\15000の、計\75000以上高くなる。それだけの性能差が無い上に多くの電力も消費するのである。
大手のマシンだと、どうせそのうち拡張性や汎用性に問題が生じる。その時は市販の汎用ケースとマザーに大半のパーツを載せかえる。あとは、少しずつパーツを更新していけば良い。通常CD-ROMやサウンドカードはそのままで良かろう。
じゃあ、このキットはどんな用途に向いているか。
ひとつは、ケースやマザーを怪しげなDOS/Vショップでなく、ちゃんとした伝票と保証書を切ってくれる調達先でないと事務処理上こまる場合である。しかし、この場合は、流体計算などよほどCPUパワーを要する場合以外は、Socket7マシンの方が良いと思う。
もうひとつは、いろいろな仕様のサーバーを組んで多数納入し、高い付加価値を値段に上乗せできる業者向きであろう。市場で、同じ仕様のケースとマザーを多数確保するのはけっこう難しい。仕様がコロコロ変わらないことが、唯一その値段を正当化できるメリットのように思う。
最近パソコンを更新している。500MBで容量確保に苦労していたのに、2万円もだせば3GBの時代である。以前、
3万円変造AT互換機のナゾ(486DX-2マシンをCyrix6x86L-166+GPマシンに変造する)
にも簡単に書いて置いたのハードディスク内容引っ越し方を詳説する。道具はWin95起動フロッピーとディスクコピーツールである。この方法は私のオリジナルでなく、玉井農園のホームページで発見したこと書いておく。ここのページも面白い。
Win95のシステムを、起動可能のHDDに、そっくりそのまま引っ越しするのは意外に難しい。特に、ドライブが圧縮されていたりすると非常に難しいが、この方法ならOKである。
まず、SYQUESTのWEBに行ってコピーツールEZBACKUPを調達する。当然重要データはバックアップしておくか、ネットワーク上の他のパソコンに待避しておく。
以前ここにはEZBACKUPのみのダウンロードメニューがあったが、現在はこういう用途に使うヒトが多いせいか、隠されてしまった。例えばEZ135のWin95ドライバーを指定して、Driver/Utility v3.52 (PI_352_1.EXE - 1/1/98 - 656 KB)を探す。解凍すると、EZBACKUP一式(exe,hlp.bmp)が出てくるので、これを別のフロッピーにも入れておく。あとはドライブのジャンパー設定の情報を手元に置いておく。
1.まず旧HDDでWin95がうまく起動する必要がある。当然scandiskを走らせ、不都合があったらなおしておく。
2.新HDDをつなぐ。IDEが2系統ある場合には、旧HDDをプライマリーのマスター(ケーブルははずす)、新HDDをセコンダリーのマスターとして接続する。旧HDDは電源のみでなく、ケーブルもはずすほうが安全。またATPIのCD-ROMドライブはジャマをするので、ケーブルをはずしておく。
(IDEが1系統しか無い古い機械では旧HDDをマスターからはずし、新HDDをマスターとしてつなぐ。)
3.メルコなどは新HDDにツール類が載って来たりする。メーカー独自のパーティションツールやフォーマットツールを使うと後々必ずハマるので、必ず痕跡を消すことが大事だ。ツールは必要ならバックアップを取っておく。
4.Win95起動フロッピーで立ち上げる。途中、BIOSメニューに入り、HDDパラメーターをすべてAUTOにし、セコンダリーのマスターにつないだ新HDDをC:として検出させる。AUTOでうまく検知出来ない場合は、BIOSメニューでIDE検出をかける。
5.Win95起動フロッピーからMS-DOSモードで起動したら、FDISKで新HDDのパーティションを見る。既にパーティションが切られていたら、すべて抹殺する。Webmasterはパーティションテーブルのような大事な物は、社外品を使うとなにかとハマるので、純正以外一切使わないことにしている。
新たにパーティションを切り直し、基本区画は必ずアクティブにしておく。この段階ではFORMATをかけない。ここでFORMATをかけると、新HDDから起動せず、フロッピーからFDISK /mbrを要することがある。
6.旧HDDをプライマリーのマスターにつなぎ、旧HDDからWin95を起動する。こういう場合は、電源を落として再起動するのが安全。旧HDDがC:、新HDDが例えばD:として起動するはず。
(IDEが一系統しか無い場合は、旧HDDをマスター、新HDDをスレーブにする。この際、ドライブのジャンパーを設定しなおす必要がある。相性が悪く、うまく認識しない事もままある。)
両方のHDDが認識されたらWin95のMS-DOSモードで起動し直し、
FORMAT d:/s
をかける。d:は当然新HDD。ここでコンベンショナルメモリー不足とか言ってきたら、
Format d:
sys c: d:
と二回に分けると良い。特に起動フロッピーで起動するとメモリー不足で蹴られるので、2回に分ける。
7.再度Win95を立ち上げ、EZBACKUPを起動する。起動したらC:のアイコンを押すとファイル構造がツリー表示される。そこでツリーの頭のc:をクリックするとすべてのファイルがマークされる。記載を良く読んで、すべてのファイルが選ばれている事を再確認する。
8.メニューのactionからcopyを選ぶ。copy先を聞いてくるので、必ずd:\と入力する。dとかd:だけだとうまく行かない。
9.あとはお茶を飲んで数分間見ているだけだ。コピーが終わったら、プライマリーマスターの旧IDEとセコンダリーマスターの新IDEのケーブル接続を入れ替えて、新HDDをプライマリーマスターにする。win95を起動する。起動したらscandiskで新HDDにエラーが無いかどうか、チェックしておく。
(IDEが1系統しか無い場合は、新HDDをマスターに、旧HDDをスレイブにする。当然DIPスイッチの設定が必要になる)
以上、慣れれば15分程度の仕事である。もし最後に起動しなかったら、Win95フロッピーから
fdisk /mbr
をかけると起動することが多い。それでも起動しないときはやり直しである。注意として、必ずWin95の起動ディスクを使う事だ。MS-DOSver6とかでやると、ロングネームが飛んでしまう。
この際、起動フロッピーとEZBACKUPの入ったフロッピーを複製しておいて、機械の内部の空いた所にセロテープで貼っておくとはまらない。
猛烈な熱を発生するPentiumIIマシンには、どうかすると1台の4個ものファンがついていることがある。そんな機械は、ワーンとノイズがすごい上に、1年も連続使用するとファンが焼き付くか、あるいは電源が飛ぶであろう。
長らくこのページの読者であれば理解できると思うが、パソコンの寿命はパソコン風水学と深い関係がある。つまり、風、熱、電気、油、データなど、気の流れに対する配慮が重要である。
IBMが考えたAT電源はなかなかうまい仕掛けだ。電源と対角線にある通風孔との組み合わせが風水学的にベストである。ケース内はわずかに負圧になるので、通風孔以外のスキマからもわずかに吸気されて具合が良い。
さて、これに吸気ファンを追加するとどうなるか。仮に電源と同じ強さのファンを付けても、電源からの排気は殆ど増えない。それどころかケース内の負圧が減って、スキマからの吸気によるドライブの冷却が悪くなるおそれがある。
さらに電源の下に排気ファンを追加したらどうか。今度は負圧が増しスキマ風が増えるであろう。しかし吸気が十分でないと電源ファン開口部から逆に風を引き込み、電源の冷却が不足するおそれが出てくる。
従って、CPUファン以外は、電源ファン1個ですむのがベストである。理想的には、ファンは径が大きく、ゆっくりまわり、負荷がかかると早く回るモノが良い。また通風孔の配置が重要であり、タワーケースなら、前面パネル下方にはガラリが、さらにパネル下面はカットして通気を良くすべきである。
耐久性に定評のあるサーバーマシンは、この当たりの配慮が効いている。NECやDELLには派手にガラリが開いているし、GWのパネルが膨でいる理由のひとつが通風孔だ。互換機の粗悪なケースには、通気の配慮が足らない物が多い。
前置きが長くなった。ファンには扇風機のような軸流式と、ターボチャージャーのようなシロッコ式がある。軸流式は風量が多く、騒音が低く、能率も良いが圧力差を作る力が弱い。一方、シロッコ型は音が大きく、能率が悪いが、圧力差を作る力が強い。一戸建てのように、すぐ外に面している場合の換気扇は軸流式が良い。しかしマンションみたいに台所から長いダクトを通じて排気する時には、排圧が高いのでシロッコ式が必要になる。
飛行機のジェットエンジンは自由空間で動くから軸流式が良い。一方自動車のターボは、エアフィルターの吸引圧や排圧がかかるし風の向きを考えるとシロッコ式になるわけだ。
AT電源のファンは当然軸流式である。風量は大きいが、負圧を作る力が弱い。従って吸気が不足すると負圧が強くなり、急激に能率が低下する。目安として、電源ファン開口面積の数倍の通風孔が必要である。このページでも紹介した変造パソコンは、どれも通風孔拡大改造にかなり時間を割いている。
良くマシンをオーバークロック変造して、ケースのフタをはずすと動作するが、フタを閉めると止まることがある。通風が不足しているのである。とりあえず、背面スロットのフタを2枚ほどはずすと、安定する。あるいは、パネル下面のプラスティックを削ると良い。
もうひとつの手は、山本式無改造前面パネル通風孔設置術(PAT PEND.)と呼ばれるもので、ドライブを前面パネルからおもいきり後退させると、パネルとドライブのスキマが通風孔になる。こうするとCD-ROMやフロッピー内部にホコリが溜まるのを防ぐ働きもある。
そうやって風水に配慮したマシンであっても、ファンには有限の寿命しか無い。しかし寿命を延ばす方法はある。
まずファンモーターへの負荷を減らし冷却を良くする。ケースの通気を良くする。次にファンの向きが重要だ。ファンには回るローターと、それを支持するステーターがあり、通常ステーター側に排気する。また乱流は主に排気側に生じる。
CPUファンの場合、排気をCPU側にすると排気の乱流と放熱板が干渉して排圧が上昇し、能率が低下する。従ってWebmasterは排気をCPU側と逆の向きにしている。熱の対流方向を考えてみてもこのほうが自然だ。この向きの設置には、極めて大きなメリットがある。ステーター側のラベルをはぐと軸受けが見える。ベアリング式であればオイル溜めが見えるであろう。この向きだと注油しやすいのである。
Webmasterはここに時々給油している。通常はモリブデングリースを指で塗り込める。モリブデングリースは大きなDIYショップにある。少し高価だが、数10gもあれば10年たっても使い切れない。VTRやカセットのメカにもこれがベストである。
NIES方面の安物FANの場合、ファンブレードの成形が悪くバリがあったりする。また軸受けの潤滑に配慮が足らないものが多い。ファンが焼き付けば、電源やCPUが飛ぶ。このため、Webmasterはファンより写真のような巨大放熱板を好む。もちろん通気には配慮する。日本人は長らくPC98やFM-16に慣れているので、粗悪品に慣れてないが、DOS/V部品には正真正銘、本物の粗悪品が結構多い。
さて、寿命が来た粗悪品ファンで、軸受けから激しく音が出ている場合はどうだろう。粗悪品はどんな対策をしても所詮は粗悪品であり、買わないのが一番である。と言ってもしょうがないので、代替品が手に入るまで対策を打つ。
WebmasterはまずCRC5-56を吹く。少し多めに吹いて回転させて、焼き付きややサビを洗い流す。次に油(スピンドル油かエンジンオイル)を注油して5-56を洗い流す。そして最後にそれを誘い水にして、モリブデングリースを塗り込める。どうかするとそれで直ってしまい、代替品が来てもそのまま使えたりする。
もうひとつの方法は電圧である。実はいくつかのマシンのCPUファンは12Vのモノを5Vで駆動している。これだと、おそらくマシン自体の寿命より長もちする。細工は簡単だ。ファンの電源はドライブの電源の中継コネクターを使っているものが多い。この12Vと5Vのコンタクト(赤と黄)を入替えわけだ。もう片方のコネクターも入替えておかないと、それにつないだドライブが当然動かなくなる。
CPUの放熱板がぬるければ40度いってない。触ってちょうどいい湯加減なら40度だ。熱いがなんとか触っていれるのが50度だと言う。5V駆動でこの程度であれば問題ないし、騒音も電力も減る。
Webmasterはファンが唸るPentium-IIマシンが嫌いである。まずCPUの消費電力がすごい。ちょっと前のデータだが、233MHzが37W、266MHzが40W、300MHzは42W以上である。最近のは消費電力が減っているらしいが、Socket7勢も減っているので差が縮まらない。
対するP54Cの233MHzは15W以下だ。同じクラスだと6x86MXが実クロック150MHzが17W、166MHzが18W、200MHzで22Wである。人気のK6は200MHzで20W、233MHZで27W(訂正)という数字がある。最近出現したダイサイズが小さいWinchipは、180MHzで約10Wらしい。
Pentium-IIは、Socket7軍勢の倍の電気を喰うのである。それでいて実世界アプリではたかだか10%早いかどうか。それだけでは無い。ファンも電源も電気を余計に喰う。通常HDDが7W前後、CD-ROMが10W、ビデオカードが数W位で、パソコン全体で平均50ないし100W程度であろう。Pentium-IIは、パソコンの電力の半分以上を喰っている。
それだけでは無い。Pentium-IIのマザーボードはでかい。当然ケースもアルミ製放熱板もでかい。10%程度の実計算力アップで、どの程度ビジネスの能率が改善するか知らないが、その消費電力と、ケースや放熱板等々が浪費するリソースに見合う能率アップが選られるであろうか。なにより、そのワーンというファンノイズが仕事のジャマである。
米国EPAは、Pentium-IIマシンにエネルギスター表示を許可するのにためらったとか。あなたのPentium-IIマシンには、エネルギースターマークが付いているであろうか?
カゼをひいて調子が悪い。体に元気の無いときは、ハードをいじるに限る。
仕事場にはいろいろな条件で調達したパソコンがある。3年も立てば完全にアンティークになってしまうが、調達にいろいろ条件が付くために更新がままならない。
私用のパソコンは、怪しげなDOS/Vショップでポケットマネーで買うに限る。しかし事務用パソコンを怪しげな店で買うわけにはいかない。かといってメーカー製のクライアントクラスは無用なオマケが多く、ケースやマザーの収容力や汎用性が低く陳腐化が早い上に互換性も低い。
ケースやマザーボードをバラバラでちゃんとした伝票と保証書をつけて大手の店からどうどうと買えるのはメルコぐらいしかないので、MVK-BA5-Gなるベアキットを調達した。その他のパーツも伝票がめんどくさいので、オールメルコのオール安物である。
計画として、486マシンからサウンドブラスター16と専用倍速CD-ROMを頂戴する。486マシンはマルチメディアマシンから軽量クライアントマシンに降格してまだしばらく使うこととする。音が鳴らないのは寂しいが、CD-ROMはネットワークで対応するし、システムがクラッシュしたときにはアイメスのパラレルポート接続CD-ROMドライブで復旧すれば良い。
マザーボードMMV-BA5-GのチップセットはapolloのVPXである。AGPは無い。SIMMが4枚もしくはDIMMが2枚させる。
クロックはPLLチップ(ICS9169C-27)で仕様上は75MHzまでだが、ICSのデータシートによると83MHzまであるが、まだ試していない。PCIは同期(1/2)および非同期33MHzが選べる。L2キャッシュはPB512kB。UltraDMA用ドライバーはこちらにある。
基板上にUSB、IrDA、IDEx2(PIO 3/4、DMA1/2)、2S1Pのコネクターがある。VGAはS3のTrio64V2/DXがオンボードだがVRAMが1MB(2MBのパターンはある)なので、1024x768x256色x85Hz(NI)止まりなのが残念である。あと\1000上げても良いから2MBにして欲しかった。しかしそれじゃビデオカードの商売のジャマか?
基本的になまけものWebmasterは、VGAオンボードのATマザーが好きだ。手間が省けるし、性能的に文句が出たらCPUとビデオカード換装でモデル寿命を稼いでメンテを省く考えである。カードスペースが足らなくなったらビデオカードを抜けば、下手なサーバーモデルより収納力がある。他にVRAM2MBのコンプリートモデルなら、画像でも文句が出ないと思う。
電源はATコネクターだが、ATXコネクターのパターンはある。形はベビーATと書いてあるが前後にやや大きく、スロットとCPUの距離が開いているの。このため、大きなカードを差してもCPUに当たらないようになっている。Socket7まわりは、タイミングを揃えるために配線が曲がっている。
設定はすべてDIPスイッチなのでいじりやすい。マザーは8カ所すべて金属製スタンドナットで固定され、電圧降下やノイズの対策がされている。
VGA以外の仕様がMYCOMPのOEMに似ているが、メルコの型番が見苦しい字体が印刷してあるので特注品のようだ。最低2年間の安定供給?を確約しているがどうなることやら。地球やWINTELは存続しているだろうか。BIOSはAWARDである。
このマザーは最初からハイエンドは考えていないことでずいぶん相性が楽になっている。メルコはSocket7があと2-3年はクライアントクラスで使われると読んでいるようだ。チップセットだが430TXは高クロックに対応不能で供給もどうなるか解らない。
このクラスでK6やCyrixと相性が良いのはApolloかSiS5596か5598になる。SiSだとVRAMが不要で集積度も高く、解像度も1024x768x64k色が出るので、採用が増えている。結局、メルコは他にApollo系のMTMV-BA5-VXやTrio64カードの製品があるので、手慣れた方を選んだのだろう。
ケースはAT仕様とあるが、実際にはATX仕様にAT電源を乗せた共用ケースだけのもの。背は低いが、ATXマザー上部に必要なスペースは、幅を増やして電源を縦に置いて稼いでいる。
このベアキットで気になったのは、近い将来ATXマザーが載るかどうかだが、ATX電源とスイッチを調達すれば納まる。驚くことに、Pentium-IIも電源の下に収まるようになっている。
WebmasterはATXケースは無用に大きいので嫌いだ。特にPentium2用はデカイ。このケースの前後長はATX仕様だが、背が低いので許す事とする。ドライブスペースは3.5inchが4個、5inchが2個ある。パネル下方のグリルは通風性が良く、さらにパネル下面が開いている。ケースバリや孔の狂いは殆ど無い。電源の中身はわからないが、少なくともコネクター類は良質だ。
ベアキットにはマザーボードと3モードFDDが組んであり、大半の配線済んでいるので、CPUとメモリーとHDDを乗せれば安直に完成した。こんなのはまさか自作とは呼べないだろう。
それと一つ大事な事がある。このケースは摺動面やスロットに接地のための金属片がついている。無印DOS/V機の弱い所は通風やノイズ対策がいいかげんな事である。今後ノイズ問題は深刻になると思う。
結局、なまけものだがハードに強い人間がいて、ハイエンドを狙わず、安物に汎用性、スペースとそこそこの信頼性を求め、そして貧乏で忙しく、ただし伝票が切れる事業所、つまり私の医局のような職場にぴったしだ。
前回の変造2作は価格性能比を重視した。今回は価格信頼性を追求したので、CPUは値段が手頃なP55C(166MHz)となった。これもメルコから調達したが4割は高いとハラが立ったが、上等なSANYOのFANと放熱器が付いてくるのでそんな物か。
このCPUはマージンが大きく、外部75MHzx2.5(188MHz)で安定している。外部75MHzが効いているので、実質MMX200MHzを越える程度かと思う。BIOS設定はかなり安定側に振ってある。メモリーを60nsに設定した以外は特に手を入れていない。PCI-IDEはWin95aで問題なく設定された。
メルコの100BASE-Tカード(LCI-TXJPCI)は、98NXの時はハングして電源プラグアンドプレイを要したが、今回はすんなりインストールされた。AT電源なのでハングしたとき便利。さらに停電時にも自動復帰するからサーバー向きかも(ダメージが少なければ、の話だ。ATXでもマザーによってはBIOSで自動復帰の設定ができる)。
パフォーマンスだが、まずオンボードTrio64はビジネスには十分だが、画像を見るには256色は苦しい。そこで、またまたメルコのVirge/DX2MBも同時に調達して置いたので、両方の1024x768x256色でのBENCHを乗せておく。上がTrio64で下がVirge/DXだ。不思議な事にTrio64のほうがVirge/DXより早い。メルコのドライバー屋は仕事をさぼっているのでは無いか?
うわさではライバル社のドライバーで早くなるとかで、さっそく試したがせいぜい20%の改善で、依然としてTrio64に及ばない。いずれにしても、未来を先取りしたとか言う、
NECの98NXのナゾ(webmaster流チェックポイント)
98NXより若干早いので、21世紀まで生き残れると思う。
そうそう、マニュアルは日本語で絵が多く初心者にはやさしいが、技術的スペックやBIOS説明はえらく簡潔であった。寝た子を起こさないポリシーか?
このベアキットをどうみるかは意見が分かれるところであろう。ハイエンド指向から見ればゴミのような仕様だが、仕事でサーバーを多数組む場合には、仕様変更が無いのが助かるかも。価格的には、日本語マニュアル、3モードFDDが付いて、電源やケースの質が良い事を考慮に入れても、格安DOS/V店を回ったかき集めたものより若干高いと思う。
しかし互換機でケースの孔があわなかったり、バリでケガをしたり、通風が悪くてマザーが塩を吹いたり、長時間運転で電源が飛んだり、FANが焼き付いたり粗悪品で困った経験のある向きにはプレミアム分が理解できるだろう。全体として、安物ではあるが粗悪品では無い、というメルコ(名古屋)らしい製品だ。DOS/V店を巡って良い部品をあつめる手間は省ける。世の中、粗悪品でない安物を調達するのは意外と難しい。
しかし、決してポケットマネーで買って嬉しいというシロモノでは無い。ありふれたP55Cを使ったせいか、いろいろなベンチを取る気にもなれない。マザーの仕様を2年替えない、とのことで、地味なクライアントや低級サーバー、FA用途に向いている。
実はベアキットにはPentium2版もあり、そちらも調達したので近いウチに報告したいと思う。ただしこちらはMYCOMPのTI6FNKのOEM(チップセットが440FX)なので、性能にはさしたる期待できないし、値段も少し高いと思う。
変わり身の早いメルコにしてはマザーの商売はのんびりしている。あるいは440LXをパスして440BXを待っているのだろうか。
さて、こわれたディスプレーだがさらにバラしてみた。まず使えるものを探すと、回転台であろう。写真のように電話台にちょうどよい。あとは放熱板類であろうか。部品類はいろいろある。
まずアナログ基盤にはBNCコネクターが使える。アンプ類はICだ。他には高周波増幅用トランジスターやCR類がある。ケミコンも多数有るので、近々音質に問題のあるサウンドブラスターの音質改良変造に使おうと思う。Iデクソンと印刷されたCPUがある。7805などのICも見える。気になるのは、レギュレーター部の通風が悪く焼けていてベーク基板が焦げている。写真で放熱板を剥いだ後が黒く変色しているのがわかるだろうか。
次にデジタル基盤をみる。画像コントロールと垂直発振と思われる回路類がある。役に立ちそうなのは、トランジスターとケミコンであろう。これも、レギュレーター回路付近のベーク基板が焦げているしている。どちらもシールドは標準以上に厳重だが、空気穴を開けて通風を良くする工夫が足らなかった。
さてメイン基板だが、問題の焼けたフライバックトランスが載っている。火事の焼け跡のにおいがする。他にはスイッチング電源があり、470V470uFという大きなケミコンがあるので使えるかも。あとは水平発振回路などが載っているようだ。これもフライバックトランス付近のベーク基板がかなり変色していることだ。
中身をみると気分が滅入ってくる。部品のクオリティーは中級である。チップ部品は無い。基板もベーク板でなくせめてペーパーエポキシを使って貰いたいところだが、焼けた部分は通風を工夫すればベークでも耐えられたかもしれない。
問題はメイン基板である。べーク板には通風用の穴が開いていた。しかし下の鉄製シャーシには通風口が少なく、しかもそれを電話台に化けた回転台が殆ど覆ってしまっていて通風が不足している。他メーカーで、モニターの回転台にまでスリットが切ってあった理由がわかったような気がする。
実際には家庭用のテレビなどの基板はベーク板だ。それが、綿ボコリや天ぷら油や湿気の中で10年以上発火しないのも、設計の善し悪しが関係している。まずフライバックの周辺には穴がたくさんあけてある。またキャビネットも通風を良くしてある。
CRTモニターもテレビもほとんど同じような機械なのだが、より高い周波数を扱うため発熱が多く、シールド板が多用されている。このため通風が悪くなって過熱し、今度のような事態を招いた(大げさ)だと思う。
一言でいえば、このモニターの設計に風水学的配慮が足らないのである。これだと他にいくつかある同型モニターが煙を吐くのはそう遠くない。さっそくスクリーンセイバーでなくサスペンドでフライバックをoffにする設定に変えることにした。
さて、あなたもモニターは大丈夫だろうか?
ここの所出張が多い。大手町近辺をワッチするがどうも景気が思わしくないようだ。TホテルにもNIES方面の人影がまばらである。一方外資系のビルは随分増えたような気がする。
電気屋では、大手メーカーのおまけ満載PentiumIIマシンの値引きがすごい。これだと秋葉でケースとマザーボードだけ買って、あとは新品マシンから部品とソフトを剥ぎ取ったほうが、全部買い揃えるより安くて思い通りのマシンができるカモ。
あと目につくのが、大手メーカーのモニター大安売り。売れ残りのセット商品をバラしてモニターだけが放出しているのだろうか。本体の方は組み替えて再出荷するか、あるいはブルトーザーの餌食になるのだろう。パソコンの減速よりメモリーチ価格暴落も痛手が大きいようだ。
先日、I社製17インチモニターが突然真っ暗になった。修理見積もり5万円以上で、買い直しを薦められた。私のポリシーに反するが、部品が入手困難なので廃棄することとした。何か使える部品がないか、さっそく開けてみる。
以前壊れたSUNのモニター(T管)のモニター後半は珪素鋼板の箱になっており、基板を拝むまでずいぶん手間取っが、そこで発見したのは焼け焦げたフライバックトランスだった。
今回のモニターのケースをはずすと、左右方向のみの簡素なシールドが現れた。値段が一桁違うのでしかたが無いか。地磁気はほぼ水平なので、磁気シールドは左右方向のみで良いわけである。このクラスのモニターとしてはシールドが厳重な方である。
上から覗き込むと火事場のようなにおいがする。フライバックトランスが焼けてスミになっている。これはメインの制御基板と一体になっているので修理費が5万になるのであろう。
モニターで最も負担が重いのは、数万ボルトもの高圧を発生するフライバックトランスである。この部は同時にフォーカスやスクリーン電流も制御する。概して国産のフライバックは良質で、日本製テレビが世界を席巻した理由がここの信頼性による。同型モニターが数台あるが故障していない所をみると、この部品がハズレだったのだろう。家庭のテレビの発火が時に記事になるが、日本のように綿ホコリ、テンプラ油、湿気の多い家屋で10年も持つというのは奇跡的とも言える。
次に負担が重いのが水平発振だ。電子ビームが1回垂直に掃引される間に、水平には768回も掃引される。一秒間の垂直掃引回数(リフレッシュレイト)が75回だとすると、768x75=57600=58KHzとなり、垂直発振より周波数も消費電力もはるかに重い。
真空管の時代には水平発振管がやられることが多かった。大型カラーテレビにはプレート損失が50W近い真空管が使われていた。このクラスをSSB送信機に使うと、150Wもの出力になる。トランジスターになって故障は減ったが、以前補修パーツの上位にある。あとは制御基板とリレー類だろうか。
今回焼けたモニターにも多くの電子部品が詰まっていて、真新しくもったい無い。特殊部品は流用が難しいが、多数の良質な放熱板がありCPUの冷却に使えそうだ。私は個人的にファンを多数配置して腕力で冷却、というのがポリシーに反して嫌いであり、いつも通風と放熱板の良いものを探しているのである。
メーカーはメイン基板交換5万円と言うが芸が無い話だ。フライバック自体は数千円しかしないし、ハンダ付けもたったの数箇所である。修理の人件費がペイしないと思っているようだが、バブルが続いてきたこの業界も今後は低成長になるし、エコロジーのためにもかなりの意識改革が必要だと思う。
資源をボンボン捨てるということは、自らの雇用を捨てているのと同じだ。車でもそうだが、意外と修理というのは儲かる商売なのだ。米国では一般の人にも通販でフライバックトランスを売っている。私の知り合いのエンジニアは、カラーテレビのフライバックを通販で入手して交換していた。電子レンジのマグネトロンも同様に入手して交換していた。
今、フライバックを含んだメイン基板を交換すれば5万円取れるが、CPUまで載っている基板なので原価も結構するし燃えないゴミが発生する。たとえばフライバックのみ交換して2万円取れば、大半が手間賃として純益になる。どっちが利益率が高いかはわからない。
米国では大手メーカーのサラリーマンエンジニアより、配管工や電気工事工の方が給料が良い。従ってエンジニアは家や車の整備から電気製品の修理まで結構手広くやるのである。当然、税金の申告までやる。
この点、日本のエンジニアは甘いかも知れない。日本もこれからは、手間賃はどんどん上がる。いや今でも十分高い。例えば自動車修理の基準工賃は1時間約\10000である。サラリーマンで\10000の純益をあげるには何時間労働するであろうか。
長年コンピューターを扱っていて何度かモニター故障に出会ったが、最近は故障頻度が高くなったように思う。仕事場にはPC9800の640x400やMacの640x480クラスが多数働いているが、今まで故障はサンヨーの安物のフライバック不良1台のみであった。高解像度の大型モニターになって、電力や周波数が高くなる一方価格が低下しているからかも知れない。
中でも抜群の故障率を誇っているのがアップル純正T管モニターで、実に3台が故障した。1台は来たときから激しい色ずれがあり交換となったが、代替品も色ずれがひどい。あとの2台は使用数ヶ月でブラックアウトである。
アップルとモニター故障は切っても切れない間柄だ。初代MacからMacPlusまで、フライバック不良によるアナログ基板交換は常識で、雑誌にはMacPlus用フライバックの広告が載っていた。
Webmasterは、トラブルを避けるために、マックプラスの通気口をパンチングメタルに変更している。アップル純正モニターは修理費も高価で時間がかかるので避けているのだが、業者が気を利かせて純正で揃えて来るので迷惑している。
次に多いのがSONY製だろう。高価なワークステーション用21インチは2台交換したし、つい最近は17インチの画像が揺れ出したので修理に出したら”正常”で帰ってきた。しかもそこいら中傷がついて帰って来た上に、使ってみるとまた揺れ出す。電源電圧変動が原因では無く、どっかが接触不良を起こしているのだ。昔からここのサービスステーションの技術程度にはあまり良い印象が無いのだが、今回は交渉するのも疲れるので放置してある。
SONYのT管モニターは発色が明るく鮮やかで遠目にはきれいだが、周辺部ののフォーカスが甘く色ずれがあり故障が多いようで、個人的にはあまり好きではない。アパチャーグリルの開口率が高いのが明るい理由と言うが、早く蛍光面が焼けて寿命が短い印象がある。ちまたには、スクリーン電流を多めに流しているので早くボケる、とも言うが、本当だろうか。
モニターの明るさには蛍光物質のチョイスも関係していると思う。深みのある色温度上正しい赤を出す蛍光物質は、能率が悪い。一方、オレンジがかった赤を出す蛍光物質の方が能率が良く明るく鮮やかに見える。この当たりのも見場に随分関係している。だから印刷や医療などのように厳密なカラーマッチングが不要な用途であれば、蛍光物質のチョイスでかなり明るく見せることできる。
雑誌などでも、やっとモニターやビデオカードの画質に目がむいてきたようだが、モニターを取り巻く問題は複雑で考慮すべき点も多い。どんなに画質が良くても、すぐボケたり故障するようでは困るのである。