January 30
●デシベル値とVU値のナゾ(サウンドカードの0dBは何を意味するか編)
January 26
●パソコン信号発信器の性能のナゾ(保存版)
January 21
●平成インセンティブ電話商売のナゾ
January 17
●九九式石油ファンヒーターの傾向と対策
January 14
●700系のぞみの乗り心地改善策のナゾ
January 9
●九九式循環風呂保温装置のナゾ
January 4
●古いwin95とOFFICEは21世紀の夢をみるか(疑似西暦2000年を試す編)
January 1
●ソケット370元年のナゾ(風水学的設計ムリ度編)
January 30
デシベル値とVU値のナゾ(サウンドカードの0dBは何を意味するか編)
前回、サウンドブラスターでシグナルジェネレーターの出力が、
0dB出力 = 3.47Vp-p = 1.22Vrms
と書いたが、これが変だと思うエクスパートは多いだろう。私もなぜ1.22Vrmsなのかヘンだと思った。電気の教科書では電圧の基準0dB=0.775Vはインピーダンス600Ω負荷に両端電圧が0.775Vrmsの時に消費される電力(0dBm)に由来すると書いて有る。
その昔通信機器と言えばマイク、スピーカー、トランスと真空管アンプそれに絶縁の怪しい電線だった。いろんなインピーダンスで伝送を行ったところ600Ωが一番ロスが少なかったと言う。また600Ωというインピーダンスはマイクやヘッドホン、スピーカーやトランスのコイルの巻き数としても適当だった。
ではなぜ0.775Vが0dBなのだろうか。600Ωに0.775Vを印可すると消費される電力は丁度1mW(0.775x0.775/600=0.001W)でキリが良い。さらに600Ωのヘッドホンに1mW加えるとヒトの声がハッキリ聞こえるレベル(約85dBSPL)になる。
さて、なぜ負荷インピーダンスが規定されているのだろうか?これはエネルギー的には出力インピーダンスと入力インピーダンスとが等しい場合に、伝送されるエネルギーが最大になることによる。分かり易いように直流で考えよう。ここで理想的な電池に600Ωの抵抗を直列につないだ電源を考える。これに対する負荷の抵抗値が600Ωの時に負荷の消費電力が最大となる。
ところが、現代のアンプの出力インピーダンスは600Ωより限りなく低く、入力インピーダンスは600Ωより限りなく高い。アンプの能力が乏しかった昔と違って、アンプの出力を別のアンプの入力につなぐ場合にあまりエネルギー伝送の能率を考える必要が無い。従って電圧だけ考えれば良い。というわけで、そもそも600Ωという負荷インピーダンスにおいて電圧の基準であった0.775Vのうち600Ωの方は忘れられて0.775Vに対する比率のdB値が一人歩きすることになる。
、 ではサウンドブラスターの0dB出力が1.22Vrmsかというと、これは絶対的な0dBでは無くてデジタル機器の0VUの電圧ということらしい。VUとはvolume unitの事で、VUメーターとはテープデッキやミキサー、アンプなどで思い思いに適当に景気良く針が振っているいい加減なメーター類の事である。メーターで0dBを表示するレベル(0dBu)がその機器の0VUレベルだ。
どれくらいいい加減かというと、目安になる0VUは
某社HiFiVHSデッキ 0VU= -8dB(300mV)/50kΩと電圧値やインピーダンスがバラバラで何の脈絡も無いようにも思える。サウンドブラスターは音楽業界のミキサーに準じた数字のようだ。サウンドブラスターの出力アンプのマージンは0VU以上はあまり無くてクリップしてしまうので、実際には4dB絞って0dB(0.775V)あたりで使うのが現実的だ。
某社SVHSデッキ 0VU= -7.5dB(340mV)/10kΩ
某社プリアンプ 0VU= -10dB(250mV)/5kΩ電気通信業界 0VU= 0dB(0.775V)/600Ω
某社プロ用ミキサー 0VU= 4dB(1.23V)/600Ω
サウンドブラスター 0VU= 4dB(1.22V)/100Ω某社プロ用小型アンプ 0VU= 40W/8Ω
某社プロ用中型アンプ 0VU= 100W/4Ω
某社プロ用大型アンプ 0VU= 200W/8Ω
この数値を見ると、例えばプロ用大型アンプを家庭で使うとVUメーターは殆ど針が振れない。しかしカセットデッキやMDデッキのVUメーターは景気良く振っていると思う。いったい、この2者のVUメーターの振れの違いをどうやって説明できるだろうか?
これらのバラバラの値の関連をこじつける理由が無いわけでもない。オーディオの歴史を遡って考えると、OVUとはヒトやオーケストラの大音響の平均値であり、それを実現するために各機器での必要なレベルが0VUと考えると納得が行く。
ヒトが聞こえる一番小さな音圧レベル(sound pressure level SPL)が0dBSPLだ。音のレベルには他にも音の強さのレベル(Inetensity level IL)があって紛らわしいが、電気で言えばSPLは電圧、ILは電力と考えると良い。
ヒトの口から30cmの距離での大声の平均値は約85dBであり、そのピーク値は100dB強である。オーケストラの場合指揮者の後ろ2mでの大音響の平均値は約85dBでピーク値は105dBとなる。
つまり、ヒトの耳のダイナミックレンジは約105dBで大音響の平均値は85dB、真のピーク値はそれより+20dB以上大きい。もちろん真のピークにはいくらでも上があるわけで、雷や火山噴火、爆発音、ジェット機騒音のピークは+30dBあるいは+100dB以上かも知れないが耳もしくはスピーカーが壊れてしまうので、この際関係なかろう。
しかし音楽CDの分解能は16bitでダイナミックレンジは約96dBに相当するので、ヒトのダイナミックレンジの105dBに約10dBほど足らず、上下をある程度圧縮することになる。実際マイク、スピーカーなどのオーディオ機器のダイナミックレンジはヒトの耳より更に小さいので、どこかで圧縮する事になる。結局、我々が手にするCDではピーク値は平均値より+10dBないし+15dB程度に圧縮されている。
それではオーディオを聞く上での音圧とスピーカー能率、それに要する電力の関係はどうだろうか。大口径ホーンとウーハーからなるプロ用スピーカーは1W入力で距離1mで約95dBの音圧を発生する。スピーカーから距離20m離れると音圧は約69dBになってしまう。反射物の無い自由空間での計算式は、
音圧レベル減衰 = 20*log(距離(m))
である。距離20mで聴衆が85dBの音量で聞くためには1Wに+16dB(85dB-69dB)のパワーが必要で、それに見合う出力は約40Wになる。とすると、そのパワーアンプはその用途に於いて0VU=40Wで良いワケだ。反射物の無い屋外で最大出力はピーク値+10dBを満足するために400W以上とかなりの出力が必要となる。
家庭用のスピーカーは1W入力で約90dBの音量が出る。スピーカーから3m離れると約80dBに減衰するので85dBを満足するためにアンプ出力は+5dBの約3Wとなる。とするとそのアンプはその用途に於いて0VU=3Wとなりピーク出力は+10dBの約30Wで良いことになる。家庭用の場合は部屋の反射が見込めるので、もう少し小さな出力で良い。
プロ用ミキサーも古くは0VU=0dBだったが最近は0VU=+4dBの機器が増えているようだ。それに応じてプロ用アンプの0VU出力に要する入力感度が+4dBになっている。レベルと用途が適合したアンプとスピーカーをつないで、本来の用途の位置で聴取すれば、いい加減に見えた各機器のVUメーターの振れがすべて揃うハズなのだ。
が、実際はなかなかうまく行かない。まずソースによって平均レベルとピークレベルの差が違う。おまけに、針の振れがいい加減なVUメーターが多いので、クリップして歪んだり、あるいはレベルが低すぎて迫力が無いノイズっぽい演奏になったりする。オーディオを系として見たダイナミックレンジはヒトのそれに遙かに及ばないから仕方が無い。
このように、すべてオーディオ機器には設計に沿ったレベルと使い方がある。だからオーディオ評論家みたいに10畳の部屋に拡声用巨大スピーカーを入れて聞くなんて実にナンセンスなのだ。拡声用スピーカーはそれなりの入力を入れてそれなりの距離でちょうど良いように出来ている。小出力で聞くとスピーカーのコーンの動きが渋く非直線的な部分で音楽を聴くことになる。また大出力アンプは小出力時の歪みがかなり大きい。
ところで、ビデオデッキやカセットデッキの0VUレベルが-7.5dBから-10dBになっている理由はナゼだろう。おそらく家庭用オーディオの入力感度がラジオ検波出力やクリスタルピックアップ出力に合わせて100-300mVrmsになっていたためだろう。つまりRCAピンプラグ使用機器=レベル設定がいい加減な機器と考えて良い。
この項でいままでオーディオ機器のデシベルと0VUの間のモヤモヤした部分がかなり目からウロコになったのでは無いだろうか。また、一定の用途での必要な音圧とアンプ出力も計算可能だし、機器のレベル設定も見えてくる。実際上記の事を知らないオーディオ評論家やプロも結構いるとか。
以前、
で、パソコンのサウンドカード(soundblaster16)が役に立つオーディオ計測器で有ることを書いた。どのパソコンにもオマケで付いてくるサウンドカードは、実は極めて高級な標準発信器/信号解析計測器なのである。前回はスピーカーの特性測定についてだったが、お手持ちのスピーカーを計測されたであろうか?特に巨大なウーハーをはじめ多くのユニットを配置した超高級スピーカーを計測された方はあまりのショックに打ちひしがれて二度と立ち直れないでいると思う。
暗騒音の多い住宅環境では、オーディオの解析には絶対的なレベル(dB値)などは必要ないので、敢えていままでは触れずにいた。しかし今回はサウンドブラスター16の標準発信器/信号解析計測器としての精度を評価してみたい。
例によってソフトウェアはMaxim digital audio freewareを使用する。またサウンドブラスター16にはノイズ対策として、山本式スーパースロットスタビライザー変造を施して有る。この変造はオーディオのクオリティーだけでなくマシンの安定動作やオーバークロックのマージンにも効く。
まずWAVE TOOLからSignal Generatorを選び起動する。最初にキャリブレーション(校正)を行おう。波形メニューからSine、周波数1000Hz、出力レベル0dB(最高レベル)を選びOnにする。サウンドカードにスピーカーが繋いで有れば外し、Win95の再生ミキサーでWAVEと再生のマスター音量は最高にする。このときLin-outの信号強度は3.47p-p(peak to peak)となり、実効値だと1.22Vrmsになる。出力インピーダンスはハードウェアを解析してみた範囲では100オーム強だと思われる。
次に、歪み率はをWave ToolのSpectrum Analyserで検討してみよう。Line-out出力をLine-inに接続し、Win95のミキサーを録音モード(再生ミキサーのオプションのプロパティーで録音を選ぶ)に設定しLine-inを選択、ボリュームは入力が飽和しないようにマンナカのあたりにする(詳細は後日)。
出力のパワースペクトラムを見てみよう。これはパソコンから出力したアナログ信号を再度パソコンでサンプリングしWAVE TOOLのSpectrum Analyzerで解析したものである。従って結果はDAコンバーター誤差、ライン出力アンプ歪み、ライン入力アンプ歪み、ADコンバーター誤差、それにパソコン内部ノイズをすべて含んでいる。
信号に対し高調波やノイズはどれもパワー比で-70dB以下なので、この系の歪み率は1%を遙かに下回り精密計測にも何の問題も無いことが知れる。
Signal Generatorは、サイン波以外にも三角波、方形波、パルス、ホワイトノイズ、ピンクノイズ、左右のマーカーが出力可能であり、周波数設定はISO規格や音楽のnote(C#とか)も出力でき、それらのWAVファイルも同時に出力するというスグレ者だ。タダで使うのが申し訳ない。
注意を要するのはSignal Generatorの出力レベルで、これは再生ミキサーをいじるわけではなくデジタル演算で処理する。従ってレベルは非常に正確だが、レベルを絞ると信号に対する量子化の誤差に起因するノイズが増えS/N(正確にはC/N比)と歪み率が悪化する。
これを防ぐためには、再生ミキサーでレベルを絞る必要があるが、再生ミキサーには目盛りが無い。そこでWebmasterが苦心の末?作成した目盛りが図である。少々の誤差は目をつぶって欲しい。
注意を要するのはこの図のdB値は再生マスター音量のものであり、WAVなどのdB値はこれの倍である。つまりマスター音量の-10dBの位置は-20dBとなる。真の理由は不明であるが、再生マスターは電力比を、WAVは電圧比を念頭に置いたものだろう。
もうすこし正確な値が欲しい場合は、Line-outにオシロかテスターを接続して計測すれば良い。え、オシロはともかくテスターも無い?その場合はLine-outの出力をLine-inに接続してこれまたWave ToolのAudio Meterでレベルあわせをすれば良い。
理系のヒトでもdB(デシベル)換算はなかなか理解しがたい。エクスパートは読み飛ばして欲しいが、電圧の場合は電圧比の10を底とする対数値に20を乗したものである。だから電圧比10倍は20dB、100倍は40dBとなる。10倍のアンプに100倍のアンプを繋ぐと電圧増幅率は1000倍になる。dBの場合は20dB+40dB=60dBと掛け算が足し算になって便利だ。
一方、電力の場合は電力比の10を底とする対数値に10を乗した物である。電力比10倍は10dB、100倍は20dBとなる。電圧と電力でdB換算が倍異なるのは、小学校で習う通り電力=電圧の2乗/抵抗だからである。問題は0dBがどんな電圧、電力を意味するかだが、負荷と単位系のハナシが長くなるので後日。デシベル換算表はありがたいことにJARLの資料ページにある。
このように、現代のパソコンのサウンドカードは昔のプロ用の計測器に匹敵する。サウンドカードに何となくくノイズっぽい印象がつきまとうが、パソコン風水学に則った山本式スーパースロットスタビライザー変造さえ追加すれば夢の計測器になる。入力レベルやマイク感度についても校正したのだが、長くなるので後日にしよう。
Webmasterはポリシーとして年末年始に必ず病院当直をする。普段ナマけていても年末年始に働くと実に気分が良いし、昼夜を分かたず働いている多くの人々の存在に気付く事ができる。
めずらしいことに、とある昼間Webmasterは車の手入れをしていた。洗車はシリコン入りシャンプーを三月に一度、オイル交換を年に2度するだけだ。オイルもエンジンブローを経験してからは添加剤のあはれを感じてSJグレードオイル生一本である。
今回はもうすぐ正月だし普段の苦労に免じて部分合成オイルを奢る事にした。ドレンボルト(φ=19)をハズして古いオイルを出している時に、件のセールスマンがやってきた。
セ”Q州電話から来ましたけど”
”携帯なら間に合っています。”
セ”いや携帯ではありません。今お使いの電話がオトクになるハナシで”
”ああ、電力会社がやるやつね.ところでお宅はどちら。
セ”代理店のものですが”
”興味があるけど手が汚れているからパンフ置いていって下さい。”
セ”それはできません。お名前と住所と電話番号をいただかないと”
”そうは言っても車の手入れ中だから。必要ならあとで電話するから”
セ”残念ですが、どうしてもお名前と電話番号だけでもいただけないとパンフはお渡しできません。”
”細かいところまで読まないとわかんないし、必要なら連絡するから”
セ”残念ですが。また参ります”
と言って消えてしまった。察しの良い方ならわかると思うが、これは平成インセンティブ電話商売(PAT PEND.)の疑いが濃厚だ。パンフが欲しいというのにパンフを置いていかないのは、パンフを受け取ったヒトの名前や住所のリストに対して幾ばくかのインセンティブが動くからだろう。契約に関しても同様と思われる。
携帯電話の普及に平成インセンティブ電話商売が寄与した事は確かである。この商売は優良な契約者のカネをインセンティブとして代理店に先行投資してバラまくしかけだ。投資したカネは新しい顧客が1年間基本料金を払ってくれればペイするし、使用料金からもマージンが代理店に支払われる。
新しい顧客は代理店に支払われるインセンティブのため、ロハで携帯端末を手に入れることができる。この商売は優良な顧客が増え続けるかぎり有効だが、不良な代理店や顧客がいたり契約者数が頭打ちになると破綻し、先行投資が不良債権になる。電話バブルである。
PHSの商売が躓いたのもまさにこれが原因だ。特に電力系のキャリヤーの場合は、そもそも技術と営業自体が簡易型携帯電話事業であった。新たな電話事業も代理店まかせの簡易型電話事業だとすると、Aステルと同じ轍を踏む可能性無しとしない。
一般公衆回線はすでに減り始めていて成長産業から程遠い。従ってバブルなインセンティブ電話商売はまったくなじまない。ちょうど外資系損保が自動車保険で攻勢をかけているように、どこがオトクかを正攻法で宣伝して優良契約者を獲得すべきであろう。
もとよりWebmasterは、みかか以外の市内回線に非常に興味がある。みかかと対抗できる業者としては、電柱不動産のある電力系が有望だ。ぜひQ州電話と契約してみかか独占に一石を投じたいと思っているのだが。
またまた季節遅れの話題で申し訳ない。過去、
●お年玉巨編(笑) 石油ファンヒーター大研究その2(メカニズム編)
●お年玉巨編(笑) 石油ファンヒーター大研究その1(費用編)
●平成10年型石油ファンヒーターのナゾ (季節遅れのネタ編)
と石油ファンヒーターを取り上げているが、ネットを見渡してみてコレを題材にしたページは無いようだ。なぜWebmasterがしつこく石油ファンヒーターを取り上げるかというと、そのシークエンシャルな電脳制御が車の燃料噴射制御にも似て興味深いからである。
ファンヒーターの点火はまるでディーゼルのようだ。ヒーターでバーナーを余熱しポットサーミスターが一定温度に達するとサーボ制御の燃焼ファンを始動させる。パルス制御の燃料ポンプで燃料を送り点火装置で点火する。フレームセンサーで点火を確認すると、インバーター制御の送風ファンも動作し始める。
その後は、室温サーミスタとタイマーとROMマップを参考にして燃料ポンプとファンを制御する。フェイルセイフ策として油面センサー、振動センサー、過熱センサーがあり、また点火失敗時には数回シークエンスを繰り返し一定のエラーコードを返す。
これほど精密な制御が行われているにも関わらず、2万円もしないから日本の電脳技術は大したものだ。成り立ちも極めて日本的であるが、さすがに暖冬と不景気で開発費が尽きたのか、九九式にはバーナー自体の抜本的改良は少ない。
特に完成度の高い丸形ヒーター群には殆ど変更が無い。いじるところが無いのだろう。微燃焼の苦しい矩形バーナーはチタンや白金族を投入して燃焼を絞っている。
九九式で目立つのは開発費がロハに近いROMチューンだ。点火時や消火時に燃料を絞り気味にして、ファンのタイミングを細かく制御して臭いを減らすチューンであり、まるで自動車の燃費チューンROMのようだ。
燃料タンク大型化は7リットルで一段落したかと思いきや、なんと9リットルが出現しておりギックリ腰になりそうである。ルーバー大型化や特殊コーティングはありがちだ。吸音材を仕込んだモノも見かける。以下各メーカーの注目点をあげるが、九九式の開発にはあまりカネがかかっていない印象がある。
ヒーターは微燃焼に有利な丸形だが、気化器が電気を喰うのは変わっていない。九九式の最大の改良点はツマミ一つでタンクのフタが開く”クリーンキャップ”(写真はリンク)で、これはコロナの”よごれま栓”のパクリである。ルーバーも改良されている。
過去性能が見劣りしたPソニックもSP触媒を加えるなどを丸形バーナーを改良したようだが微燃焼が絞りきれていない。電動式ルーバーはコストダウンのためか固定式になった。タンク栓が全く改良されていないのがナショナルらしく無く実にさみしい。
老舗だが丸形バーナー自体には大きな変更は無い。ありがちのルーバーの改良以外に目立つのは9リットルタンクだが、ちと大きすぎる気がする。タンクの栓に大きなプラスティック製のツバ(写真はリンク)が付いたのが一番大きな改良か?
ここのバーナーは微燃焼に不利な矩形だが、チタン細工で430kcalまで引っ張っているのは立派である。しかし後はありがちなルーバー(光触媒塗布)改良だけで、石油タンクに進歩は無い。
燃焼ファン組み込み丸形バーナーには大きな変化は無い。ルーバー改良はありがちだが、取っ手兼用のバヨネット式タンク栓”給油名人”(写真はリンク)はコロナの”よごれま栓”に次いで得点が高い。あとはトヨトミに似た輻射式ファンヒーターが登場している。
矩形バーナーは気化器式にもかかわらず熱をフィードバックして消費電力を下げる細工がしてある。ルーバーやタンクに目立った変更が無いが、シャープの奇策は待機電力ゼロのため電源スイッチらしい。
Tヨトミ
レーザーバーナーと称する驚くほど簡素なバーナーで他社と遜色無い性能を出しているが、大きな変更は無い。同じ石油消費量で暖かさを実感できる輻射式に注力している。
ROMチューンと制御の小変更以外に列型バーナー自体に変化は無い。簡素ながらツボを抑えた設計だ。制御がすばやくニオイも少ないが微燃焼の絞りが不得手なので、しょっちゅう点火、消火を繰り返す用途に向いている。ここも輻射式に力を入れているようだ。
メカもタンクの細工も、ここのがベストでは無かろうか?燃焼を絞る丸形バーナー自体には変化無いが、燃焼筒の頭に触媒”においま栓”を仕込んで臭い根絶を計っている。タンクの”よごれま栓”は一番デキが良い。名だたる大メーカーがココを越えられないのが実に不思議だ。
さて来年(一〇〇式)ファンヒーターはどうなるのだろうか?すでにメカニズムも熟成しており、あのコストではこれ以上の抜本的な改良は難しいように思う。
そこでWebmasterの予想だが、同じ石油消費量ながら暖かい光波動を実感できる”輻射式ファンヒーター”が増えるのでは無いか?目に見える違いがあれば、もう少し高い値札が付けられると思う。現状の黒灰色の小さなハコのままで値段を嵩上げするのは難しかろう。
今日風呂で日経新聞(12/26)を読んでいたら、JR東海の新幹線700系のぞみの広告が載っていた。
題して”揺れをおさえる700系車両の多彩なシステム、快適な乗り心地をあなたに提供します”とある。この広告は今の300系のぞみの揺れがひどいのを認めたとも読める。本ページでも、
●新幹線”のぞみ”の横揺れのナゾ
●続々、新幹線”のぞみ”の横揺れとスカイフック理論のナゾ
●続、新幹線”のぞみ”の横揺れとボルスタレス台車のナゾ
●新幹線のどうでも良い話(揺れない車両と席を選ぶ編)
と新幹線の乗り心地のハナシを取り上げてきたが、ネットを探してもこの手の話題はココだけのようだ。そこで700系ひかりの乗り心地対策を探るのは義務(何が)かも知れない??
700系のぞみの車体は試験電車300X系に由来するらしい。広告宣伝の図に多数上げられたメカニズムを探ってみる。
まず図左上のロールダンパーだが、これは何も特別なものでは無くJRの特急車両には古くから全てついている。ロールダンパーと言ってもロールを防止する働きは全く無い。上図だと仕組みが解らないが、実は右図のようになっている。
車両の上端の対角線を結ぶリンクがあり、これに加わる力がテコで方向を下方に変えダンパーに伝わる。つまり、車両間の揺動を抑えて隣り合う車両が同じようにロールするしかけだ。
それに比べると上図の左下にあるヨーダンパーの働きは簡単だ。写真は500系のぞみのヨーダンパーだが、車両が蛇行するのを抑える。また加速減速の時に、連結部がガタ付くのを防ぐ働きもある。
台車はボルスタレスと呼ばれるモノで、車両の重みは空気枕のような空気バネで台車に伝えられる。このため通常車両と台車の間にある枕(ボルスタ)が無い。
台車と車両は中央に回転軸を持つ門型牽引装置で結合されていると思われる。門型牽引装置はバネ鋼が四角形に組んであり、左右動と上下動はバネ鋼がたわむが前後動には堅い仕掛けだ。(実際には1本リンク式であることが後に判明しました)。後述するセミアクティブダンパーは牽引装置に組み込まれている。ボルスタレス台車では台車が回転する時には空気バネが撓むため、側受のような摺動部が無い。回転方向のダンピングを強化するために台車と車両間に台車ヨーダンパーを配置している。
車軸は台車から2本の平行リンクで支持されるようで、リンクが1本の500系台車(写真)と様子が異なる(実際には300系に近いコイルバネと積層ゴムを組合わせたものであり、リンクはブレーキを支持しているようです)。軸と台車間のバネ(軸バネ)は前後2本有り、軸梁式(モノリンク式)で軸バネが一個の500系台車(JR西日本からのリンク)とは異なる。
軸バネに対するダンパーは図で良く見えないが、軸受の箱と台車の間にあるらしい。台車形式の詳細はこちらを参照して欲しい。
乗り心地で問題になるのは、すれ違い時の空力的加振とトンネル内の空力揺動だ。特にパンタグラフ部では側面積が広いので揺れが大きくなる。このため500系のぞみではパンタグラフ車両の台車にセミアクティブ制御を取り入れている。牽引装置と台車間に存在する左右動ダンパーの弁を加速度を指標として制御する。あたかも車両が固定した壁から理想的なダンパーで吊られているかのように制御するスカイフック制御である。
実はアクティブ制御とセミアクティブ制御の両方が開発されたようだが、コストとフェイルセイフの観点でセミアクティブ制御が選ばれたと言われている。スカイフック制御に関してはこちらやこちら参照して欲しい。
このように、700系のぞみはWebmasterの見るところ、500系のぞみがWin350系に由来する速度を至上命題とした先鋭的な車体構造であるのに対し、300系の技術を下敷きに500系の先進技術を取り入れ、速度よりも騒音や乗り心地、信頼性などの実用性能を重視した車両のように見える。今後派生する二階建て車両等への対応にもマージンがあるかも知れない。
新しい車両はどんどん良くなって行くが、問題は現在メインである300系のぞみの許容しがたい揺れである。 Webmasterは、せめてヨーダンパーだけでも300系のぞみにレトロフィットして貰わないと、日本国民の健康を著しく損なうと思う。
以前、日本のエネルギー事情と炭酸ガス排出を改善すべく、
●CD-ROMで風水学的省エネのナゾ (山本式廃CD-ROMトイレ、風呂保温装置編)
を紹介してから丁度1年が経過した。設置後のガス代は冬は毎月\1500以上の減少になっている。これは単にお金の節約になるだけでなく、炭酸ガスの減少を通じてエコロジーに貢献したわけだ。
ガス釜は10000万Kcal/h以上とガスコンロの数倍の熱量を消費するので、毎日たった数分釜の使用時間が短くなるだけで大きな効果がある。もっとも効果が高いのはWebmasterが深夜帰宅して新聞を読みながら長風呂という生活パターンが関係している。そうで無いまともな家庭でも確実に節約に結びつくし、洗濯用の残り湯の温度が格段に違ってくる。
以前紹介した廃CD-ROMによる保温装置は初動感度が高くお湯の排出を妨げないが、欠点もあった。まず子供がキラキラ光るCD-ROMを面白がっていじってすぐ取れてしまう。。次に24時間風呂の水流でCD-ROMが踊ってしまうことがあった。
そこで九九式風呂保温装置(PAT PEND.)である。保温装置による省エネ実績額は約\10000にも及んだので今回は約\800ほどコストを掛けてもバチは当たるまい。材料はトイレ用ゴムフロート(KAKUDAI 9483, INAX用)を用いた。
これはDIYショップを散歩していた時に見つけたモノで、トイレのタンク用ゴムボールを鎖で吊る構造になっている。ゴムボールには4カ所トゲがあるのでニッパーで切り取り、プラスティック棒も不要なので切り取る。
実装は写真を参考にして欲しい。チェーンの長さを調節してボールが循環孔に密着させる。最後のミリ単位のフィットが重要で、ボールと鎖を結ぶワッカの形を変えて合わせると良い。何事にも最後のツメが重要である。
調節が完璧だと、ボールは上の循環孔に完璧にフィットする。釜に火を入れるとボールはお湯の力で循環孔から自動的にはずれる。火を消すとボールが自動的にフタをする。写真のように、栓抜きの鎖が動作に干渉しないように工夫して欲しい。
九九式風呂保温装置には可動部品や消耗部品が無く、西暦2000年問題もすでにクリアしている。これ以上シンプルかつ効果の高いデバイスはちょっと考えにくい。それにしても、このようなデバイスを必要とするマヌケな風呂釜が日本中にいったいいくつあるのだろうか???
再度パソコンネタになってしまった。Webmasterは例によって古いWin95(OSR1相当)を使っている。身銭を切って買ったからには、これではダメと思われる所までは更新しないつもりだ。当然オフィスアプリはMS-OFFICE-95だし、ブラウザーはシンプルなNetscapever3を使っている。しかし、果たしてこのまま西暦2000年(いわゆるY2k)に堪えられるだろうか???
雑誌を見るとウダウダ書いて有るが、結局win95がY2Kに対応しているのかどうかはっきりしない。相変わらずオリジナリティーの乏しいM&といNTELの大本営発表フォロー記事ばかりだ。どうして何でも自分で試してみようとしないのだろうか?
マイクロソフトのWebでもWin95のY2Kに関する情報ははっきりしないが、一つ確かな事はWin98にはY2Kに関するトラブルが見つかった。Win95ではY2Kは解決されていたが、Win98でライブラリーを更新したとき失敗したような事を漏れ聞く。そこで、win95がY2K問題をクリアしているかどうか、さっそく試してみることにする。
システムはWin3.1アップグレード版(オリジナルのもの)に最初のサービスパックを当てたOSR1相当だ。これは巷で出回っているWin95のなかでは古い方だが、OSがコンパクトでOSR2以降に比べ軽くサクサク動く。
まず再起動してBIOS設定を2000年にしてみる。そのままWin95を立ち上げると、Win95のカレンダーはちゃんと西暦2000年になっていた。DOS画面でDATEを表示させると、これまた残念ながら問題ない。
次に簡単な文書を作成保存し、ファイルがエクスプローラーにちゃんと表示されるかを見ると日付が00/12/22になっている。これはエクスプローラーのバグで、ファイル自体の日付が不正なのでは無い。これにMSのWinfileのアップデートを当てる。エクスプローラーの表示自体は変わらないが、ファイルのプロパティーでちゃんと2000と表示された。
ところが、ファイル検索で日付区間(98/12/01から00/12/25)を指定するとうまく動かない。区間を1998/12/01から2000/12/25というように指定するとちゃんと検索された。過去何日、何ヶ月という指定も動作するので、ファイルシステム内部の処理はちゃんと行われている。エクスプローラーでファイルを探して見ると、もともと不正な日付のファイルがヘンな日付(24/03/03)になってたりする。
エクスプローラーで日付を4桁とも正しく表示させるには、コントロールパネルで地域を選び、その日付パネルで短い日付の形式をyy/mm/ddからyyyy/mm/ddに変更する。エクスプローラー以外にも、この変更がおおむね反映されるようだ。
さて次にWORD95はどうだろうか。簡単な文章を作ってフッターに日付を入れて印刷させると00/12/22と表示された。コントロールパネルでの設定はフッターには反映しないようだが、バグとは言えないだろう。ファイルの保存日付も問題ない。
Excell95はどうだろう。Y2Kをまたいで、簡単な日数の計算をやってみた。西暦2000年以後の入力は正しく受け付けられ、内部的にも正しい日付として認知されたようだ。日付の引き算も同様に問題ない。
ネットワーク関係はどうだろう。さすがにEthernetで繋がっているパソコン群では何が起こるかわからないので、スタンドアローンマシンからダイヤルアップPPPでプロバイダーにつないでみるが、接続は問題無く、接続時間も正しく計量された。
ブラウザーはどうだろうか。Netscapeのver3とver4、IEのver3で試した所大きな問題はないようだ。まだ試していないが、日付をサーバーから貰った時に問題が起こる可能性が残っている。
メイルクライアントも試してい見る。まずヘッダー処理に種々の不都合が有ることで悪名高いMS Internet Mailでメイルを打ち、それをMS Internet Mailで受信してみる。ヘッダーを見ると、
Date: Fri, 22 Dec 2000 00:35:19 +0900 X-MSMail-Priority: Normal X-Priority: 3 X-Mailer: Microsoft Internet Mail 4.70.1161
とY2Kに対応しているようだ。ただし、受信日付は98/12/22となっているが、これはメイルサーバーが付けた日付なのだろう。次に、Internet Mailで送信したものをNetscape ver3で受けてみる。ヘッダーには
Date: Fri, 22 Dec 2000 00:39:33 +0900
とあり、正しい日付になっている。メイルリストの日付はメイルサーバーから貰っているようで、サーバーからバグを貰う可能性は残っている。他にも、ルーターなどのネットワーク機器がすべてうまく動いてくれる保証は無い。
他にいろいろ試してみるが、win95に付いてくる小物類は問題が無いようだ。しかし、非純正の古いWS_FTP(ver951221)でファイルの日付が001222でなく1001222とケタが増えてしまっている。メイルでいただいた情報に寄れば、これはCの標準ライブラリーのtm構造体の仕様(西暦マイナス1900の処理)によるものらしい。
UNIX上でこの日付が正しく処理されるのかどうかは解らない。しかし日付をシェルスクリプトやPearlで処理すると、ケタがずれてはまりそうである。
ともあれ、一番古いWin95とMS-OFFICE-95でもなんとかY2Kは凌げるし、最低pppに関しては使える事がわかったので一安心ではある。従って、便乗商法にのって西暦2000年問題のためにWin98やwin2000に乗り換える必要は無いようだ。
しかし、Win95以外の古い小物ユーティリティーやサーバー、ネットワーク機器などがドッカーンと行く可能性は無しとはしない。
パソコンとは距離を置くと言いながら、年頭の話題はやっぱりパソコンになってしまった。1999年の大ニュースと言えばスロット1からソケット370への転換だろう。すでにソケット370マザーやスロット-ソケットアダプター(スロケット)が目撃されていることから、X-dayは近い。
以前こちらでソケット370という名称を使ったところ、”まだ名前が決まっていないゾ”とメイルをいただいた。Webmasterはこれが正式名称はともかく通称になると思う。370はシステム370以来業界ではゴロと縁起の良い数字だからである。
で、スロット1の問題は巷で語られているようにコストだけでは無い。既にこちらに述べたように、1次元コネクター配置のため信号ラインが長く不等長なので高速化に不利である。電源ラインも長く、限られた接点容量と相まって電源レギュレーションが悪い。
このためスロット周辺に多数のケミコン(スイッチ電源グレード電解コンデンサー)を林立させ、電源ソケットも至近に置く必要がある。おまけに背の高いPen-IIが電源やHDDと当たるので、ケースがバカでかくなってジャマである。
それでは、スロット1をソケット370に換えたらマザーボードの設計はどれくらいラクになるのだろうか。同じ440BXチップで同じ構造のマザーを比べてみれば良い。
まず上の写真はSupermicro社6SBAのリンクだが、440BXを使ったスロット1マザーとしては標準的な構成だ。スロット1後面に大きなケミコンが大8個小2個見える。他に電力用トランジスター4個とトロイダルチョーク2個が見える。その他多数部品はキャッシュ減圧回路があるせいか。
さてソケット370版はどうだろう。写真はSupermicroからリンクだが、拡張スロットまわりは殆ど同一である。しかしスロット1版と比べ、ケミコン大6個小1個、他に電力用トランジスター2個とトロイダルチョーク1個と部品数が減少している。
ソケット化で電源レギュレーションが改善し、またL2キャッシュ系電源が簡略されて部品が減ったせいか、空き地が出現している。これに実際にPen-IIとセレロン370とを実装してみると、スペースファクターの差はさらに大きくなる。
このマザーがスロット版の手直しでまだソケットに最適化されていないが、もう少し面積があればデュアルCPU用マザーも可能と思われる。またSocket370ではBaby-ATフォームファクターが多数復活しATケースも再登場するだろう。
さて、ソケット化されたマザーボードの運気がどのように変化したかを、Webmasterが開いた世界初”パソコン風水学(PAT PEND)”で占ってみよう。
支配者たるユーザーはパソコンに対し南面するので、Pen-IIの位置はマザーボードでは南西(坤、ひつじさる)の位置にあたる。ここにPen-IIのようなかさばるモノがあると裏鬼門の張りとなって未亡人になったり相続者に恵まれないマザーボード相と言える。
さらに、この部位に不潔を意味する多数のケミコン、チョークコイル、パワートランジスターが位置することは、西日(電源のこと)で熱がこもることと相まってCPUが婦人病?や神経痛などにかかりやすく凶である。
一方、ソケット化によりCPUの位置が北西(乾、いぬい)に近付くと、メモリーと合いまって北西との張りを形成し、家業の反映や亭主?の出世に有利となる。不潔なケミコン類の減少もマザーの健康に有利である。わずかなレイアウトの変更がパソコン風水学的には大きな変化をもたらすのである。
パソコン風水学的にはPen-II用マイクロATXは裏鬼門にかさばるPen-IIと不潔なパワー部品を多数配置するのに対し、隆盛と子孫の成長に一番重要な南東(巽、たつみ)の方角のスロット数の減少という欠けを生じ、極めて凶なマザーボード相と言える。そもそもデカいスロット1のために拡張スロットを削るのは本末転倒だ。
このようにソケット化のメリットは性能面だけでなくパソコン風水学的にも大きい。インテルはスロットを廃するのはコストの問題と強弁しているが、Xeonで手間取ったように高速化に伴う信号遅延や電源レギュレーションなどの性能面での限界に予想以上に速く直面したのが本当ではなかろうか。ソケット化によってどのくらいクロックアップ耐性が向上するかぜひ知りたいものである。
ケース小型化の実装面のメリットも大きい。ソケット370に背の低いファンを組み合わせるとCPUを電源の下に追い込むことができる。電脳製品はどんんどん小型化しているのに、Pen-IIとそのATXケースは時代に逆行し巨大化していた。今後はPen-II用マイクロATXといった風水学的に凶なマザーボードも減り、ベビーATが復活するだろう。インテルにも是非パソコン風水学の極意?を伝授したいものだ。
今後はソケット370への地滑り的移行で、スロットCPUは21世紀の夢を見れない可能性が高くなってきた。スロット2も高速化が難渋してお先真っ暗だし、MercedもスロットからPGAソケットに独立した電源コネクターを備えた形に変わる。
1997年に登場したスロット1も当初はPen-PRO用440FXを流用していた。その後スロット1は1997年秋の440LX出現後に民生パソコンで主役に躍り出たが、1998年の世界的不景気とK6やCyrixが主役の1000ドルパソコンの影響で販売価格は低下した。
さらにクロックアップの効く問題作セレロンの登場によって、価格性能ヒエラルキーが瓦解し、同時にスロット神話やL2キャッシュ神話も崩壊した。
ソケット370の導入は本来セレロンとpen-IIの棲み分けを図るためだったのだろうが、両者に性能差が無い以上セレロンがクライアント用メインCPUとなり、棲み分けは失敗するだろう。そして10年持つと豪語していたスロット1は1999年春に1年半に満たない短い主役の座から退くだろう。
ソケット7陣営も動きが急だが、AMDが意図するアーキテクチャーを大きく換える変更は成功しないかも知れない。おそらくCPUに大容量L2キャッシュを組み込み、マザーのキャッシュはL3として使うか、あるいはキャンセルする構成になるだろう。その場合、ソケット7は肓腸のようなISAバスと同様、現在に近い形で21世紀を迎えると思われる。
Webmasterはそのころにマシンを更新するため、スロットに目もくれず貯金に励むことにする。