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●August 2001
August 26:ネットで聴く短波放送のナゾ
August 19:携帯電話システムメルトダウンのナゾ(非同期FOMA編)
August 12:山本式Win9X戸締まり法のナゾ
August 5:成立しないFOMA高速通信のナゾ(簡単な算数編)


Version August 2001


August 26
 ●ネットで聴く短波放送のナゾ

珍しく部屋をかたづけている。Webmasterは2階の3部屋すべてを占領していて、一つを工作室、一つを居室、ひとつを物置として使っている。トイレや洗面所も無線LANもあるので長時間の籠城も可能である。しかし家庭内ナショナリズムの勃興の気配があり、こんなことが何時までも許されるハズが無い。と言うわけで工作室と物置を整理統廃合しているのである。

最初に手を着けたのはパソコンで、3台あったデスクトップの2台は仕事場に里子に出した。古いパソコンも最新のソケット7CPUに増速してネットワークに接続すると心地良く使っていただけるようである。死んでいた古いノートパソコンも無線LANのおかげで復活した。

次はオーディオだが、既にコンポ1セットにまでリストラ済みである。ただし使っていないスピーカーがかなりあるので近日中に里子に出そうと思う。この場合、ブランド品(BOSEとかJBL)の方が喜んで貰っていただけるようだ。

問題は無線機である。HF帯はかなり前にFT-101を処分したので、現在は免許状を維持するためのIC-721(移動用50W免許)のみである。TNCがいくつかオークションに出したがまだ3台残っている。ハンディー機とモービル機は災害用としてバッテリーで1日間は運用可能としてある。

このなかで一番激しい家庭内ナショナリズムの攻撃を受けているのは無線機である。何の経済的なメリットも無い無線機に対する風当たりは非常に強い。それどころか無線機からのドミノ理論で、他の系統の機械まで失ってしまう可能性すらある。そこでWebmasterは示威行為として時々海外の短波放送を英語で流し、メリットをアピールしていた。

しかし、ある日その行為が実にむなしいことを知ってしまった。いや、実は予期していた、あるいは”たぶんそうなっているであろう”とは思っていた。やはり無線機の最大の敵は常時接続のインターネットであった。

久しぶりに火を入れたIC-721で7MHz帯をワッチするが、無線機が故障したのか、同軸ケーブルが切れているのか良く聞こえない。以前はバンド全体でワンワン叫んでいたのである。そこで動作確認のために、適当な短波放送を受信してみる。当然プログラムや周波数はインターネットで調べることになる。

当然最初にアクセスするのはVoice of America(VOA)であるが、予期した通りにストリーム再生があった。どうやらVOAは短波からストリームに重点を移したようで、専用のプレーヤーアプリまで配布している。VOAは世界で最も大出力の短波放送の一つだが、それでもストリーム再生の音質には遠く及ばない。

次なる大出力局は北京放送局であろう。ホームページはこちらなのだが、驚くことにミラーサーバーは美国ドメイン(www.crinews.com)に存在し、こちらの方が本家よりレスポンスも良い。国家の威信をかけた送信所の近くでは蛍光灯が光り、ナベやかま、そしてトタン屋根までがスローガンを唱えると言う。それが今や仮想敵国ドメインのサーバーからストリーム配信しているのだから驚いてしまう。短波はもうお呼びでないのだろうか。

とすると、次のアクセスはラジオオーストラリアであろう。これまた活動の中心はストリーム再生に移っている。残念ながら日本語放送は無いが、ストリーム再生は非常に高音質だ。

もちろん日本のラジオ短波のホームページを確認すると、やはりストリーム再生をやっている。音質は当然ながらフェージングも雑音も無く短波放送より遙かに高音質で聞き易い。しかし以前は株屋が必ず流していたマーケット情報もインターネットのおかげで随分色あせている。

今急速に普及しているADSLでは2MHz以下の高周波を電話線に流してブロードバンドを実現している。同様に電灯線にブロードバンドを重畳する技術は随分前に完成している。実際には電柱のモデムまで光ファイバーを引き、電柱から家屋内への配線にブロードバンドを乗せる方法だ。この場合はモデムをコンセントに差すだけで配線は終わりである。

目下の所、電灯線ブロードバンドの最大の敵はインバーター冷蔵庫とアマチュア無線だと言う。冷蔵庫のノイズはADSLのスプリッターのようにフィルターで解決するが、無線の方はひと騒動ありそうである。しかし一般人にとって、ブロードバンドの御利益の前には短波の御利益はゴミにしか見えないだろう。今はインターネット接続のパソコンの台数の方が短波受信機より数が多いかも知れない。長らく無線をやってきたWebmasterでさえ、もしADSLが引けないエリアに住んでいて、電力会社が、

”無線にノイズが乗るかも知れませんが、そのかわりブロードバンドを格安でお引きします”

と言われると、転んでしまう可能性が大きい。まして”無線よりブロードバンド”とする家庭内ナショナリズムがあれば確実に転ぶ気がする。

”電波使用料には納得がいかない。もしそれを受け入れるなら包括免許にするべきである”

と唱えていた友人はついに無線局を畳んでしまった。Webmasterも次回局免許を更新するか迷っている。

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August 19
 ●携帯電話システムメルトダウンのナゾ(非同期FOMA編)

世の中には実に不思議な事がある。超一流ファミリーメーカーの膨大なマンパワー、世界中のマーケットから調達した膨大な資金、そして成功したcdma-oneというモデルがありながら、うまく行かないw-cdmaのことである。

報道によると、”みかかのこども”CEOはこう語ったという。

”5月から試験サービスを開始している第3世代携帯電話サービス「FOM*」の現状について「全く新しい技術で、予想ができないトラブルが起こっている」と説明した。その原因については「扱うコンテンツが高度になるほどハードウェア・ソフトウェアともに非常に複雑になっている」ことと、「3Gの標準規格は、世界を基準にして作られたため、パケット通信によるインターネットなど日本の特殊な事情を考慮しておらず、その調整に苦心している」と述べた。”

かつての強気は姿を潜め10月サービスインについても言及されていない。メディアもCEOもどのくらい信用できるかは疑問だが、パケット交換方式にトラブルが発生しているようである。上部層は実績あるPDCと同じなので下部層でのトラブルと考えられる。さらに回線交換方式による会話も不安定だと伝えられている。いったいどうなっているのだろうか。

携帯電話では電波の途絶は避けられないので、回線交換方式も実体はパケット通信である。音声では少々パケットが脱落してもかまわない。CODECは”音源x伝達特性”を伝送しているから、エラー訂正で補完できなかった脱落部分はその前のデータを延長して補えば良いのである。

一方パケット交換方式ではデータに間違いがあってはならない。ある程度のパケット喪失はプロトコールで補われるが、補完できない位のデータ損失があるとリンクが失われる。データが無くても時間枠(スロット)を消費するPDCに比べ、必要なだけ帯域を使うcdma方式はパケット交換方式と相性が良いハズだが、どうやら根の深いトラブルのようだ。

どうしてパケットの損失が起こるのだろうか。cdma-oneは既に下り64kbps上がり14.4kbpsのPacektOneを実現している。cdma-oneとw-cdmaの最も大きな違いは基地局が同期しているかどうかである。cdma-oneではGPSを用いて基地局が同期しているが、w-cdmaでは非同期である。GPSを使わないのは日欧の米国に対する安全保障上の意味合いもあるのだろう。しかし、

基地局を非同期にするという手段が一人歩きして、高速かつ安定したシステムを早期に構築するという本来の目的が逆転している

とも言える。cdmaでの下りのデータ通信は上がりに比べて条件が緩い。cdmaはPDCと違って複数のrake受信機を持っている。マルチパスによって異なるタイミングで到達する信号を複数のrake受信機でとらえ、時間のズレを調節して合成する。イメージ的にはテレビのゴースト除去装置に近い。

rake受信機はマルチパス除去以外に、複数の基地局からの電波を同時に補足して、継ぎ目無く基地局を乗り換えるソフトハンドオーバーにも使われるが、それには基地局同志が同期している方が都合が良い。データをスペクトラム拡散するcdmaでは同期補足は何よりも重要なので、cdma-oneが基地局を同期させている(<10us)のはごく自然な考え方である。cdma-oneでは隣合うセルで同じ拡散符号(ショートPNコード)に固有の時間遅延(<52us)を付加したものを使っている。

w-cdmaでは基地局毎に256種類の拡散符号(Goldコード)のうちの一つを使う。手順としてまずP-SCHで時間同期をかけ、S-SCHを補足して、それが指示する8種類のGoldコードのグループ(各64個)から目的の基地局に最も高い相関を示すコードを決定する。さらに逆拡散されたデータから時間重畳されたパイロット信号をマッチドフィルターを用いて同期捕捉している(3GPP TR 25.214 -4.3.2.3)。

問題はソフトハンドオーバーである。携帯端末はハンドオーバー先の基地局の電波強度とタイミングのズレを計測し、これを収容基地局から目的基地局にネットワーク経由で報告して目的基地局のタイミングを収容基地局のタイミングに修正(アライメント)する。何となく危ういストラテジーだが、とにかくこれによりPDCで問題となった基地局間の同期の調整を不要にし、また建物内、地下街と外界とのソフトハンドオーバーを実現する予定であった。(3GPP TR 25.402)

問題はw-cdmaで使われる2GHzの波長が短く、マルチパスやフェージングの影響も強くなることである。直進性が強まりビルの谷間への回り込みが減る反面、予想外の直接波や反射派が入ってくることもある。電波の状況は端末がミリ単位で動くたびに激変する。もちろんw-cdmaではこれにダイバーシティーアンテナやRake受信機、高速同期捕捉回路だけでなく高頻度の電力制御を行って同期を確保する設計だが、電波が不安定になるエリア境界でうまく働くだろうか。

cdmaで負担が重い上がり方向の通信で、電池の制約が大きい携帯端末から個別のタイミンングとデータで電波をバラ撒かなければならない。送信電力を増やすと他の端末の上がりに干渉してシステム全体の効率が低下し、電池の消費も増加する。ただでさえ厳しい上がり方向の通信条件でデータが喪失するとパケット通信でのペナルティーは非常に大きい。

さらに不思議なことにw-cdma端末には伸縮式アンテナが見あたらない。周波数が高くなると波長が短くなりアンテナの効率が高くなるが、プアなアンテナでは送信電力をロスし電池が早く減る。一方、データ通信用端末では外部アンテナを標準で付属させるという、ちぐはぐな対応である。以上のことからw-cdmaは、

”PHSにおける3つの大失敗”

を学んでいない可能性がある。PHSの最初の失敗はDDIPの非同期の基地局である。DDIPはPHS他社と異なり基地局配置を携帯電話に近い大きなセルとしてエリアを稼いで勝利者となった。しかしサービス当初は予想を超える基地局同志の電波干渉があり、基地局の同期をとるためサービス停止を余儀なくされた。結局その投資の積み重ねがアダプティブアレーアンテナの導入もあって後のハンドオーバーの改善にも繋がっている。

W-cdmaのソフトハンドオーバーでは携帯端末が主導権をとってネットワークを介して目的の基地局を同期させるストラテジーのためリンクに有限の時間がかかる。その間にもエリアの境界では電波強度がめまぐるしく変動する。危うい物理層ストラテジーと限られたCPU、メモリー、電池リソースの上に、音声やパケットなどの複数かつ直交するデータを扱うネットワーク上部層がのっかるという砂上楼閣的な成り立ちなのである。

もしトラブルの原因が同期補足とハンドオーバーにあるとしたら、単なるパラメーターの煮詰めだけでなくシステムデザインの抜本的な変更が必要になる。最初の実証システムはミエをはらずに音声が繋がるシステムだけで良かったのではないか、という気もする。w-cdmaにも同期式のオプションがあったはずだし、現代ならGPSを基地局だけでなく携帯端末に載せることも難しくない。

次の失敗はPHS同様のプアな内蔵アンテナである。DDIPはエリアを稼ぐため自社端末に伸縮式アンテナを装備したが、負け組PHS2社の端末群はプアな内蔵の固定式アンテナだった。当時プアなアンテナに異を唱えたwebmaserは某社のエンジニアから”PHSに上等なアンテナはいらない”とするメイルをいただいた。しかし現行のPHSには立派な伸縮式アンテナがついていて、答えは明らかだろう。

PHSと同じ周波数帯を使用しながらさらにS/Nが厳しいw-cdma端末のアンテナがなぜプアな内蔵式なのかは疑問である。なけなしの高周波電力の大半は基地局に届かずに脳味噌と生殖器を振動させるだけだろう。理由がスペースか、あるいはデザインなのかはわからないが、電波機器で最も重要なパーツにあまりの仕打ちである。Webmasterは次のモデルに立派なアンテナが復活すると見ている。

さらなる失敗はスモールゾーンPHSが築いた基地局不良債権である。当初DDIP以外のPHS2社はスモールゾーン基地局の整備に楽観的で、駅や繁華街で使えれば十分だと考えていたようである。ところがユーザーは住宅地で長電話する事を望んだ。そのために基地局整備に費やされた投資はペイし無かった。

現状のw-cdmaは上がり64kbpsに約2500mWの電力を消費する。w-cdmaが目指す2Mbpsのデータ通信ではさらに高出力が必要なだけでなく端末1台で基地局の能力を占領してしまう。帯域と端末収容数そして電池寿命を両立させるためには、スモールゾーンPHSに近い基地局配置が必要になり、PHSとは比較にならない高価で重装備の基地局を主要都市に展開する投資は膨大になる。

そもそもw-cdmaの目的はより多い携帯端末収容数と高速データ通信を両立させてトータルの設備投資の効率を稼ぐことだったはずだが、現時点の技術ではたとえ広い帯域を得ても両立は難しい。データ通信を高価な交換機を経由させる必要はまったく無く、無線LANを用いてADSLのように交換機に入る前でIP網に流す方が投資効率が良い。ある意味ではw-cdmaは高速データ通信によるショバ代をIP網では無く決済機能をもつATM網に引き寄せる努力の一つとも言えるが、それがユーザーの利益につながるかどうかは全く別の話である。

と言うわけでナゾがいっぱいのw-cdmaである。かつてWebmasterの最大の疑問であったスモールゾーンPHSの不良債権は、高度成長期の携帯電話や地域電話の会社(の親会社)によって何とか吸収された。しかしw-cdmaの膨大な投資は、いつ、だれがカバーするのだろうか。PDCでは通話品質が低く携帯収容数が不足する。しかし高品質なPHSは営業的に遺棄してしまった。そしてw-cdmaは当分立ち上がらない、あるいは立ち上がった時には陳腐化しIT版戦艦大和と後世では呼ばれる可能性がある。

戦艦大和は46サンチ砲を成立させるための船であった。コンパクトな船体にまとめるための技術は高度のものであったが活躍することはなかった。w-cdmaは非同期の基地局と新開発のマッチドフィルターを成立させるためのシステムであって、安定した高速通信と投資効率を両立する目的は二義的なのかも知れない。非同期の基地局を実現させるため、そしてインテリジェント端末機能を満載したために携帯端末の仕事が過大なのである。

w-cdmaのナゾは深まるばかりである。

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August 12
 ●山本式Win9X戸締まり法のナゾ

PDAや携帯電話がいくら普及しても、やはり仕事をこなすにはパソコンの方が便利である。なるほどパソコンは万能機械でテレビもDVDもCDもMP3も可能である。しかしOSは脆弱で調子を崩すと動かなくなる。特にパソコンを多数のユーザーが共用する環境に曝すと具合が悪くなる。Webmasterの周辺では調子の悪くなったまま使われずに放置されている物故パソコン(おもにMac)が多数見受けられる。

一番多いパソコンのOSはWin9xだが、新品の時からパソコン成人病(リソース習慣病)におかされていて、風水変造を施さないと安心して使えない。かといって認証が強力なWin2000ではマルチメディア関係で動かないハード/ソフトも多い。

ネットワークも適当に設定すると、勝手にいろいろなサーバーが立ち上がって周囲に迷惑をかける。確かにWin9Xより若干安定しているが、逆に大きく調子を崩すとWin9XのようにDOSから簡単に修復と言うわけにいかない。もちろんハードとソフトの選択肢はWin9Xの方が広い。

しかしWin9Xでは認証とファイル保護が不完全で、特にネットワーク設定やアプリの追加/削除をいぢられると危険である。そこでWin9Xのままで多数のユーザーが共用する環境のシステムに鍵をかける方法を考える。もちろんその用途のソフトもポリシーエディターもあるのだが、非常に簡単かつリソースを消費せずに”地球にやさしい”方法で実現するのである。例によって特別なツール類は一切使わない。

ユーザーの認証を強化する

Win9Xの仕様で一番マズいのは、立ち上げの認証がエスケープキーで回避できることだ。Win9XもIE4やPWS(WWWサーバー)が組み込まれた頃からユーザーレベルの認証が強化されているが、肝心のパスワードが回避できるのではネットワーク時代にいかにもマズい。回避できないようにする方法もあるが、いくつか不具合が生じる。そこで例によってリソースゼロで認証を強化することにしよう。

用意するのは、お好みのスクリーンセーバー(ファイル名が*.SCRのもの。パスワード設定可能のものに限る)である。エクスプローラー上でそのショートカットを作り、\windows¥プログラム¥スタートアップにコピーしておこう。

これで、立ち上がりの認証をパスしても直ちにスクリーンセーバーが起動して、それを解除するのに再度パスワードを要求するので安全である。もちろん本来のスクリーンセーバーの動作には全く影響を及ぼさない。万が一スクリーンセーバーのパスワードを忘れたら、DOSで立ち上げて\windows¥プログラム¥スタートアップにあるショートカットを消せば良い。

システム設定に鍵をかける

1.Tweak-UIを使う方法

これは良く知られていると思うが、Tweak-UIにあるコントロールパネルのチェックをTweak-UI以外全てはずすと、コントロールの設定ツールのアイコンが見えなくなる。

ただこれには欠点があって、設定ツールのアイコンが見えなくても実行は可能である。例えば”システムのプロパティー”や”画面のプロパティー”が右クリックで見えてしまう。またtweak-UIをコントロールパネルに残しておかないと設定を変えるときに不便だ。

逆にTweak-UIが残っていると中級者には細工がバレてしまうが、Tweak-UIも見えなくして構わない。その場合はエクスプローラーで\windwos\sytem\tweakui.cplを直接起動すれば良い。図のようにコントロールパネルが空になるので、初心者には十分な抑止力があるだろう。

2.CPLファイルを引っ越す方法

これは瞬間芸のようなものだが効果抜群である。Windows族のシステム設定ツールはコントロールパネルにまとめられているが、それらは\windows\systemにある実行ファイルの*.CPLファイルが本体である。

コントロールパネルをカラにするには、適当なディレクトリーを作って\windows\systemにあるtweakui.cpl以外のCPLの拡張子を持つファイルを移動すれば良い。あるいはCPLの拡張子で検索をかけられないようにするには、適当な場所に適当な名前のZIPファイルとして圧縮して保存しておけば良いだろう。設定ツールを使うときにはZIPファイルから\windows\systemに書き戻す。個々のCPLファイルがどの設定ツールに対応するかは、tweak-UIを見れば良い。

Win98以降ではM$の仕様の不明確さのため、EXEの拡張子を持つ設定ツールがある。それもファイル名をいちいち指定して移動してもよいが、システムやアプリ、ネットワーク設定などの重要なものはCPLの拡張子を持つので、EXEファイルを残してもさほど問題にならない。

これで、中級ユーザーでも”何か細工してあるな”と言うわけで、システムが改変されるまでの時間を若干稼ぐことができる。もちろんDOSで立ち上げればファイルは操作できるが、その点はwin2000も同じで、FAT32ならWin95OSR2以降の立ち上げフロッピーで操作が可能である。いずれにしてもシステムを壊すのは簡単だが、取りあえず主要なシステム設定が操作できなくなるだけで十分であろう。

念を入れるなら\windows\commandにあるDOSのシステムファイルやregedit.exe、msconfig.exeなどはどこかに圧縮して隠しておくと安全である。もちろんconfig.sys、autoexec.bat、win.ini、system.ini、システムレジストリーは異なる名前でどこかにバックアップしておくことが大事だ。評判の悪いM$バックアップも最近のものは結構使いやすくなっている。

この方法は随分前から不特定ユーザーが使うパソコンで使っているが、システム改変に対しては十分以上の抑止力を持っている。多数のユーザーが共用する環境では本来windows2000を使うのが筋だが、Win9Xでも有る程度の抑止力を働かせることはできるのである。

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August 5
 ●成立しないFOMA高速通信のナゾ(簡単な算数編)

以前からWebmasterはW-CDMA(FOMA)の成り行きを見守っている。

  ●まだ見ぬW-CDMA端末のナゾ(こっそり延期編)
  ●W-CDMAのその後
  ●大団円を迎えたCDMAのナゾ
  ●”みかか”のWCDMAのナゾ
  ●今日の一言自己採点(CDMAなど)
  ●続スペクトラム拡散通信(CDMA)
  ●スペクトラム拡散通信CDMA

ご存じのようにFOMAは予定通りのサービスインができなかった。総務庁から使い物にならないとして技術基準適合確認が貰えなかったのである。Webmasterの元には”また当たりましたね”と多くのメイルを戴いた。ただWebmaserは、単なる勘で書いたわけではなく、一定の根拠があってのことである。

もちろん技術の進歩は日進月歩なので、2,3年中にはFOMAは主要都市でのサービスインにこぎつけるだろう。しかし残念ながらFOMAの高速通信のメリットが薄い。正確に言えば電池の寿命と基地局整備のコストがペイしないのである。おそらくFOMAは宣伝している高速通信より端末収容数を増やすことが真の目的なのだろう。さて、その理由はなぜか。

まずシャノンの定理を考えてみる。

C=Wlog2(1+S/N)、ここでCは情報量、Wは帯域

つまり、情報量は帯域の幅とS/N比の対数値の積に比例する。この定理がスペクトラム拡散通信+Rake受信で有効かどうかは定かでないが、S/NのNには単純なノイズだけでなく他の端末や基地局がバラまく信号も加算される。そこでCDMA-ONE端末の電源事情を考えてみよう。

CDMA-ONE第一世代端末の電池寿命は一泊二日であった。それが今は楽観的スペック上の待ちは200時間、連続通話は180分(実際には60分以下)とPDC並になっている。電池の寿命が延びたのは不必要なクロックや回路をこまめに停止しているからで、正味の連続通話時間はあまり伸びていない

最新のCDMA-ONE端末の電池容量は600mAH@3.7V程度である。これでスペック上180分連続通話できるとすれば、消費電力は740mW弱と計算される。CDMA-ONE端末のCODECはEVARCで通信速度は公称8kbps、実質10kbps程度である。

もしCDMA-ONEとFOMAが同程度の電力効率のテクノロジーだと仮定すると、シャノンの法則”C=Wlog2(1+(S/N))”のとおり、情報量を増やすには帯域を広げるかS/N比を向上させる必要がある。電波帯域は決まっているので、アンテナ電力を上げてS/N比を改善するしか無い。

実際に電子カードタイプのFOMAデータ端末の通信時最大消費電力は2500mW、待ち受け時で1000mWにも達し、これはCDMA-ONE端末の3倍以上である。電話機タイプのFOMA端末で600mAHのバッテリーを使えば連続通信時間は計算上60分以下、待ち受けを含めると実用的には10分程度というところか。普通の端末ではバックライトやI/Oの電力消費もばかにならない。

今回電話器タイプのN2001ではパケット通信用USBケーブルが都合により供給ができなかっったと言うが、384kbpsでは内蔵バッテリーで実用的な通信時間を確保できるのか、あるいはパソコンから電力を供給するUSBケーブルの電流容量が十分なのか気になるところである。またデータ端末には外部アンテナが洩れなく付属とのことで、このあたりもS/N比の厳しさが伺い知れる。

注意を要するのは、データ端末の通信速度は下りが384kbpsで上がりは64kbpsに過ぎないことだ。CDMA-ONEは下り64kbpsで上がり14.4kbps、PHSは双方向64kbpsを実現している。携帯への動画配信はともかく双方向のデータ通信能力はPHS並で料金は遙かに高く電池寿命は遙かに短いのである。

シャノンの定理によるとFOMAの帯域はCDMA-ONEの4倍として、上がり64kbps/10kbpsの6.4倍に必要なS/N比から電力を逆算すると、CDMA-ONEの約3倍の2500mWでは遙かに不足である。さらにFOMAの周波数は高いので送受信ともアンプの効率が低下し、待ち受けで1000mWも消費することから、端末の設計はかなり楽観的である。表記の帯域を実現するためには外部アンテナは飾りでは無くて必要条件なのである。

、 もし384kbpsで双方向高速通信を実現するには、端末の消費電力は2500mWの数倍必要になる。しかしその電力を持ってしてもシステム全体のS/Nが不足する。それは、強力な電波を発射する端末は他の端末からの信号のS/N比を低下させ、他の端末の電池の寿命を厳しくしてしまうからである。

端末の電力をあまり上げずに上がり384kbpsを実現するには、スモールゾーンPHSに近い密度で基地局を配置する必要がある。FOMAの基地局のコストはPHSとは比べものにならないから、全国の主要都市に基地局を展開するためのコストは未曾有になり、通話料もパケット料金も高くなるだろう。

もちろん端末の液晶はドット数が少ないので動画配信には64kbpsもあれば良いとすれば、電池が1日持つ端末も近日中に実現できそうだが、それではPHSに比べてメリットが全く無い。パソコンにつないで双方向384kbpsのデータ通信を可能にする端末の需要もあるだろうが、カードタイプだとスロットが熱で溶けてしまうので、大型電池を内蔵した弁当箱程度の端末が必要になる。もちろん一つの端末が384kbps双方向通信を行うと、そのエリアでの端末の収容数が激減するだろう。

そう考えると、技術的に熟成しているCDMA-ONE陣営が通信速度をあまり上げてこなかった理由がわかる。FOMAのようにできもしない高速通信を宣伝するよりは、技術の成熟や基地局の整備、そして需要を見ながら次第に速度を上げる作戦である。QualcommのランセインシーはFOMAの楽観的な見通しに疑問があっても大得意様の”みかか”の手前ユーザーに黙っていただけである。海外のメーカーや電話会社がFOMAにやすやすと乗ってこないのも当然であろう。

それどころか、思いもしない強敵が現れた。それは無線LAN(IEEE802.11b)だ。これだと上流によるが双方向4MbpsなのでFOMAなどは遠くかすんでしまう。すでに米国では空港で無線LANが提供されており、また国内でも空港での整備が始まっている。本ページでも提案したブロードバンド組合あるいは無料開放無線LANはSan Francisco Bay 802.11b Wireless Internet Access Point Listのような状態になっている。ひょっとしたら、Webmaterの自宅周辺でも知らない間に誰かが我が家のブロードバンドを拝借しているかも知れない。

それではFOMAの下り384kbps上がり64kbpsの高速通信の用途を考えてみよう。まず人里はなれた山の中では基地局が無いので通信が不可能である。主要都市では2,3年で下り384kbpが可能になるだろうが、電話機タイプの端末では電池寿命が短く実用性能が疑問だし、双方向の通信能力はPHS並である。またFOMAより無線LANの方が先に普及する可能性もある。もし無線LANのアクセスポイントが無ければ、あるところから数万円の設備投資で2,3km引っ張ってこれるし、通信料は格安で消費電力も最大800mWと現実的である。

というわけで、FOMAの売り物である高速通信能力も意外にその市場は狭いことがわかる。なぜ高速PHS網の整備計画が急遽発表されたかもこれで明白だろう。もし先にブロードバンド+無線LANが普及したら高速通信環境としてのFOMAは討ち死にになる。国民やマーケットから調達した数兆円の投資と海外電話会社への出資は水の泡(不良債権)になり、スモールゾーンPHS失敗の轍を再度かつ大規模に踏むことになる。

おそらくFOMAの約束する高速通信はアドバルーンであって、FOMAの真の目的は携帯端末の収容数を増やすことであろう。高速通信は証券会社とユーザーに投資を納得させるための呪文なのである。Wembaserが子供の時には、21世紀には自動車はみんな空気浮上、鉄道は磁気浮上+リニア、そして銀色に光る洋服に身を包んで暮らすことになると聞かされていた。しかし実際には自動車はタイヤで走り、鉄道は線路上を走り、ユーザーはジャージーを着てこたつで無線LANを使っている。未来技術の予想というのはその程度のものである。

個人的にはこれほどVoIPが早く普及し、またATMがかくも早く廃れることになるとは思わなかったが、別段驚きは無かった。同様にFOMAの描く絵物語もむなしくなっても驚かない。このままでは3Gや4Gは、完成したときにはその”高速”通信能力は時代遅れになっている可能性を無しとしない。

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