August 26
●メモリー転送速度のナゾ(DDRは倍早いか?)
August 19
エアコン用流体素子(PAT PEND.)のナゾ
August 12
●科学、非科学そして未科学のナゾ
August 5
●まだ見ぬW-CDMA端末のナゾ(こっそり延期編)
August 26
●メモリー転送速度のナゾ(DDRは倍早いか?)
●CPUメモリー転送能力のナゾ最終編(Pen-2,P55C,K6,Cyrixを同クロックで比べる編)
であるが、Wintune97による結果を再掲すると、
である。当時はP55CMMX(233MHz)やPen2(266MHz)クラスが主でメモリーはEDOの70nsだった。このグラフをみると、メモリー転送とL2キャッシュの効果の関係がはっきりしてくる。ここで16kBytes以下の数字は計測の性質上信頼性が低い(CPUがCPUを測る)のであくまでも参考程度と考えて欲しい。
当時のFSB(66MHz)の最大転送速度は約0.5GBytes/s(=66MHzx8bytes)である。もちろんこんな速度でメインメモリーから転送できるはずもなく、これはL1キャッシュ内で起きたメモリー転送の見かけの速度でしかない。 同様にPen2では512KBytesあたりまで0.25GBytes/sとピークの半分を維持するが、これはL2キャッシュの速度を反映していると考えられる。
しかしPen2もデータサイズがL2キャッシュを外れると大きな期待はできない。Socket7のCPUはCyrixを除くとそもそもL2キャッシュの効果は殆ど期待できないことも良くわかる。K6もCyrixも同一クロックでは整数演算性能はPen2よりむしろ高い。従ってPen2がL2キャッシュに納まるベンチマーク(特にCPUMARK32)でソケット7勢を圧倒しながら、L2キャッシュからあふれるビジネスアプリではソケット7陣に大差をつけられなかったのである。
問題は1024KBytes以上の転送速度である。この領域はL2キャッシュにヒットしないので、メインメモリーからバーストでデータがフィルされことになる。当時の70nsのEDORAMは120MBytes/s弱というところである。メモリバス幅は8Bytes(64bits)なので、1Bytes幅あたり15MBytes/sec(=120/8)、ムリに周波数に換算すると約15MHzになる。この数字は平均アクセス時間70nsからの計算(1/70ns=14MHz)と良く一致する。FSB66MHz(15ns)ではアクセスに4ないし5クロックかかる勘定だ。
一方、手元のSDRAM(PC100MHz,CL=2)のPen2やアスロンでは1024KbytesのREADでは200MBytes/s前後だった。これは1Bytes幅あたり周波数換算25MHz(=200/8)であり、平均アクセス時間に換算すると約40nsとなり、100MHzFSB(10ns)ではアクセスに平均4クロックにかかる勘定だ。手元にDRDRAMを積んだi820マシンが無いので測ったわけでは無いが、イントルの発表資料をみる限りDRDRAM(PC800)はSDRAM(133MHz)にやや負けており、転送速度は200MBytes/s強と推定される。
DRDRAMにしてもDDRのSDRAMにしても、メモリーセル自体のレイテンシーは古いDRAMと変わらない。ただ複数のメモリーアクセス命令を短い間隔で発行し、セルからの読みとり処理をパイプライン化して空き時間を減らし、見かけ上のレイテンシーを減らそうというのが基本的な考え方である。しかし、その考え方が現在のGUIのOSでのメモリーの使われ方とマッチしているかどうかは別の問題である。
以前Webmasterは高速メモリーの本格化は21世紀(つまり来年以降)と書いたが、どうやらこれは間違っていたようである。メモリーの転送速度は200MBytes/s内外で止まっている間に、CPUの内部データ速度は4GBytes/s(1GHz x 32 bits)に達してしまった。古いi8086のシステムではCPUもメモリーも同じ16bitの10MHzでバランスしていたことを考えると、CPU速度とメモリー速度の乖離は広がる一方である。
能書きによると、DRDRAMはとなりあうバンクが共有する128bitのセンスアンプを持ち、さらに4つのrowアクセスをパイプライン処理可能とかである。ところ連続したデータの転送であるにも関わらずDRDRAMの実効転送能力は、会社の主張する1.6GBytes/secに対し200MBytes/s強に過ぎず、センスアンプが小さくパイプライン効率も劣るSDRAM(133MHz)にすら及ばない。これは、現代のGUIのような雑多なコード/データに対して非同期に離散的なアクセスが生じる場合にDRDRAMのメモリーコントローラーがパイプラインを有効に働かせる命令を発行していないことになる。つまりDRDRAMは多くの場合nonpipeline動作していることになる。
と書いてみて、前回の次世代メモリDRDRAM蹉跌のナゾ・その2でNonpipelined動作のグラフを引用したリンク
http://www.rambus.com/developer/downloads/Desktpap.pdf
は無くなり、かわりにNonpipelined動作のグラフがeffective bandwidthのグラフに置換された
http://www.rambus.com/developer/downloads//DesktopWP%20r2.4.pdf
なるversion2.4になっている。セコイというべきか、あるいはズボシだったというべきだろうか。記事の中では、DRDRAM(PC800)のeffective bandwidthはSDRAM(PC133)の3倍と書いてあるのがむなしい。ところで当サイトはラ社から記事の内容についてラブレターを一度貰っているのであるが。
すでに素性がバレてしまったDRDRAMはともかく、来るべきDDRのSDRAMはどうなるのだろうか。DDRの紙の上の転送能力は現状のSDRAMの倍の2Gbytes/s(=133MHzx8bytesx2倍)に達する。しかしメモリーコントローラーが離散的なアクセスに対してパイプラインを有効に動作させるコマンドを発行しない限り、DDR転送速度の実効値はSDRAM(133MHz)と大差無い可能性がある。従ってピークの転送速度の向上によりメモリーの転送速度が早くなる事よりはむしろバス占有時間が短くなる事の方が重要なのかも知れない。
もちろん、DRDRAMMもDDRのSDRAMもアクセスが決まった順序で繰り返される機器(ビデオカードのフレームバッファー)では威力を発揮するだろう。しかしサーバークラスのマシンではどうだろうか。イントルは負荷の重いサーバーでDRDRAMは威力を発揮すると言っているが、どうだろう。
少し前までサーバーの仕事といえば、主に固定長データを扱う定型的なSQLデーターベースのトランザクション処理であった。しかし現代のサーバーの仕事は複雑化している。典型的なWinNTサーバーの場合定型的なデータベースに加え、雑多で不等長のマルチメディアデータをネットワークに配信し、さらにGUI画面にお絵かきをする事になる。その場合、空間的に離散したコード/データの非同期のメモリーアクセス能力が必要になる。
今後サーバーの仕事がさらに雑多になる事を考えると、離散的なアクセスに弱いDRDRAMはサーバーマシンには不向きなデバイスである可能性がある。例えて言えば、ラーメンの出前にダンプカーを使うような感じである。
メモリーの速度はCPUやHDDの高速化、そしてOSの肥大化に追いついていない。そして、肥大して成人病に冒されたOSはダメ、というのがWebmasterの結論である。
August 19
山本式エアコン用流体素子(PAT PEND.)のナゾ
他に有力部門としては、オーディオ部門、マリンスポーツ部門、鉄道部門、文芸部門、音楽部門などがあるが最近は活動が停滞しているようだ。さらに研究費を調達する重要な部門としてマーケット部門がある。内規により、マーケット部門が稼ぎ出した利益の10%はR&Dに費やされる事になっているが、やや先読みストラテジーが効きすぎの傾向がある。早い話、寝かせている時間が長いということである。
すべての部門の上部構造としてエコロジー管理部がある。ありとあらゆる研究テーマが管理部のチェックを受け、ここで一旦地球にやさしく無いと判断されると、いかな有望なテーマといえどもボツとなる厳しい決まりである。過去にこの段階で無念の涙を飲んだテーマも数多い。
殆ど忘れ去られた部門に流体部門がある。過去の成果としては、
がある。これはチリツモではあるが日本全体では莫大なエネルギー節約を実現するだけでなく、近年増加が懸念されている光円盤類廃棄物の有効利用として、エコロジー管理部から特AAAのレーティングを受けた自信作である。その部門が新たなテーマを提案しているが、効能だけでなく夏のお笑いとしても一見の価値があると思う。それは山本式エアコン用流体素子(PAT PEND.)である。
このテーマのバックグラウンドとして、最近の過度のエアコン依存がある。まず冷房では湿度が低下しハナ、ミミ、ノドにやさしくない。さらに単調な気流は温度の不均衡をもたらし、さまざまな冷房病の原因となっている。
そこで、エアコンの冷気に流体素子によって1/f揺らぎを導入する。流体素子は堅牢かつ地球にやさしいマテリアルを使用し、あわせて近年の光円盤類廃棄物の増加問題を視野に置いている。そのコンポジションはビデオを見ていただくことにしよう。
山本式エアコン用流体素子(PAT PEND. サイズ80kBytes)
再生にはReal Playerが必要だが、かなり古いversionでも再生可能な形式でエンコードされている。ブラウザーのクリックでうまく再生されない場合は、一度ハードディスクに保存して、Playerからファイル名を指定して欲しい。ウイルスチェック済みである。
材料は廃CD-ROMと針金(巨大ゼムピン)である。エアコンのグリルに針金を引っ掛けて約45度の角度で前に出し、その先端を上に3cmほど直角に曲げ、そこにCD-ROMが乗っているだけだ。この角度はかなりのリサーチの結果割り出した数字である。
効果はビデオを見ただけでは半信半疑だろう。CD-ROMを気流にどのくらい暴露するかによって動きの大きさが変わるので、そのあたりは実験してベストのポジションを探して欲しい。また針金前端の曲げをややブロードにするとビデオでもわかるようにCD-ROMに歳時運動が加わる。その結果、気流には理想的な三次元ゆらぎ??が導入されることになる。音が出る場合は心もち鼻の油?か何かを塗る。振れが大きすぎるときはストローを1cm程度に切り針金にかぶせると良い。
こんなに小さな光円盤1枚の動きがエアコン1台の気流を大きく変化させるのは驚きであり、流体の不思議さを実感する。気流に導入された揺らぎにより冷気の分布が改善され快適になるが、目下のところ人が見たときに不規則に動く銀色(もしくは青色)に輝く円盤の所作をどう説明するかが最大の問題である。近辺で意見をサンプルしたところ、青色円盤の方が涼しく透明感があって今風で良いとのことであった。
なかば 最初に戻る
を取り上げたことがある。個人的には良い感じなのだが、いかんせん燃費に現れる改善があるハズも無い。そこでwebmasterは燃費改善希望装置(PAT PEND)と名付けた訳である。人間には希望が必要である。たとえ、燃費の改善が無くても希望の火(写真)を灯すことは風水エネルギーを保つ効果はある。
こういう代物が出ると必ずそれが科学的か非科学的かの論争になる。しかし、世の中には科学的なのに、まだ科学の水準がそれを判断する段階に達していないために非科学的とされる場合がある。それをwebmaserは風水工学的に未科学と呼ぶことを提唱したい。
たとえば相対性理論での質量とエネルギーの等価性は直感的には理解しがたい。しかし好むと好まざるとにかかわらずその等価性に従って原子力の生み出す電気を毎日使っている。もちろんWebmaserはそれへの依存を少しでも減らすために風水工学の粋を結集してエネルギーを節約する試みを展開しているわけだが、この等価性が正しいことを今はだれも否定しない。しかしアインシュタイン以前はだれも思いつかなかったし、信じもしなかった。また証明する方法も無かった。
とすると、アインシュタインがそれを提唱した時点で、それは非科学的だったのだろうか?それは違う。それに未科学的という定義を当てはめるとぴったしである。つまり、その時点では未だ科学になっていなかったと考えるべきだろう。
卑近な例でいえばWebmaserが仕事している神経磁気学というのがある。電気活動している脳から磁気が発生していることはマックスウェルの方程式からすれば正しい事は解っていた。しかし超高感度の磁気センサーである超伝導量子干渉装置(SQUID)が出現するまではそれを測定することはできなかった。
実際Webmaserが手がけることになったときも半信半疑であった。それが日米のお役所から有効な検査として認められた後も、信じない人は大勢いた。あるエライ先生は公然とWebmasterに向かって、
”あのイカサマ機械はどうなった”
と言うので閉口した。もちろんイカサマというのはSQUIDが英語でヤリイカの意味なので、揶揄していたのである。それも、その人にとってはその検査が未科学であったと考えれば納得が行く。つまり、それが科学なのか非科学なのか、はたまた未科学なのかの判断は、そのときの科学の水準によっても異なるし、また人の水準によっても異なると考えるべきだろう。
このように、科学、非科学に”未科学”というクラスを導入するとすっきりしてくる。医学も最初は経験学であったと考えられる。つまり”こういう時はこうなり、こうすると治る”という事は経験上解っていたが、そのメカニズムが解らなかった。
その後、経験学は経過を正確に描写、記録し分類する症候学に発展する。さらにそのメカニズムが解明されると、次第に医学という科学が完成して行く。古くは非科学的とされた症候のいくつかも、その後メカニズムが解明されたものある。とすると解明できなかった時点でそれを非科学と判断したのは誤りであって、それは未科学であったと考えるのが正しい。
この言で行くと、お天気予報の学問は気象衛星の導入もあって長足の進歩を遂げて今や立派な科学であるといえる。一方、地震や火山噴火の予知には残念ながら未科学の要素が散見される。例えば地震の前兆の中には未だ非科学的とされるものも多いが、将来からレトロスペクティブに見ればそれは未科学的と呼ぶべきであったものも多く含まれるように思う。
August 5
●まだ見ぬW-CDMA端末のナゾ(こっそり延期編)
ある日ある時、Webmasterは有楽町を遊弋中であった。そしてキラキラと光るガラスの建物に迷い込んだ。それは道のような建物のような、永遠に採算のとれそうにない不思議な空間である。ガラスの眩しさと今後の不良債権の大きさを思いやると一瞬のめまいを感じた。
ドスン!!!! ”イテテ!”
Webmasterは不覚にも深い穴にはまったようである。そのまま穴を進むと、何かうやうやしくお辞儀をしているオトナがいた。何やら熱演しているきれいなナレーターがいた。話している内容は反響して良く聞き取れないが、何でもきれいな電波ときれいな記憶が商売のネタとのことである。そのまま進むと、Webmasterの商売道具と同じ超電導量子干渉装置があるでは無いか。これは夢か?
それは極めて高い電波を測るモノらしい。なんともう一つ、基準となる電圧を発生する超電導量子干渉装置があるでは無いか。現代では多くの度量衡が量子化しつつあるが、幾つかの単位が古い物理量に頼っている。このため、計測器の雛形は筑波方面を絶えず巡礼するらしいが、この機械が普及すると、もはや巡礼は必要無くなるらしい。
その先には不思議な銀色の機械が並んでいる。やはりきれいな電波を測るものらしい。よく見ると舶来モノと思われるブランド名の異なる機械も並んでいる。これらのモノは、電波がわきまえるべき礼儀を採点するものらしい。
と、その先に電波が拡散した領域がある。なんとかワンとか青い歯だの書いてあるが、基本的にはどれも似たような機械のようだ。その一角にWなんとかと書かれた機械があるが、端末がつながっていない。話を聞いていみるが、説明も拡散していて全然要領を得ない。
その場には、ハコを作っているらしい拡散した電波屋さんが群がっている。その中の人の良さそうなおにいさんに、Wの小箱はあるか?と聞いたが、首をうなだれるだけだった。また別のおにいさんにも尋ねるが、彼も首をうなだれただけであった。中箱や大箱はあるようだが、PDC並の小箱にはなかなかお目にかかれない。過去の展示ではテレビ電話につながった中箱があったが、つながっているケーブルがやけに太かったとかである。
なんでも電波屋さんたちは問題を解決するために、きれいな電波を測る銀色の機械にいたく興味があるようだ。Wなんとかは来春にはサービスを開始する予定で東京4カ所と横浜2カ所でフィールド実験をやっているらしいが、どうやらサービス開始は来秋以降に延期される公算大である。みかかのこどもの技術的な見通しも甘いので、今後仕様が大きく変わる可能性もある。
中箱のママ出したのではPDCやなんとかワンととても勝負にならない。かといって高速通信を売り物にするとますます電池を喰って箱が大きくなる。現状では情報通信にはPHSが適しているが、PHSがあると小箱をジャマする。つまり機器の成熟と、需要、そして帯域利用の有効性の見極めにはかなり長い時間がかかると考えられる。もし手続きにムリがあれば、再度孤立の道を辿ると思われる。
となりの青い歯のコーナーは閑散としていた。青い歯はUSBのようにパソコン周辺で小宇宙を形成するものらしい。Webmasterは近距離LAN的宇宙を期待していたので、勘違いをしていたようだ。とすると、問題は低金利、いや低コストだろう。この手のものはハードがカップラーメンより安くないと普及しないように思う。しかしカップラーメンの値段ではだれも利潤を上げられないので、パソコン周辺機器以外の用途の方が考えやすい。
さらにトンネルをくぐるとそこは再びガラスの迷宮の通路にいた。さっきと違ってガラスにも関わらず空は焦がしたように暗い。結局、この巨大なガラスの迷宮も、まだ見ぬ電波の小箱も、人の財布をエネルギー源とする不良債権のマトリックスという点では、似ていると思った。
(このお話はフィクションでした)