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●風水別館 Annex version 2011

続々Android増殖のナゾ第4弾(INFOBAR編)
続々Android増殖のナゾ第3弾(WM8650編)
続々Android増殖のナゾ第2弾(IS04編)
AndroidとWindows Mobileの性癖のナゾ第1弾(Streak編)
トモヤドットコム発電所一ヶ月の成績のナゾ
トモヤドットコム発電所起動のナゾ
電力不安定時代の塩吹きニッケル水素電池復活法のナゾ
リーフはプリウスより本当にエコなのか?のナゾ
プリウス燃費神話のウソホントのナゾ(納車満一歳の冬編)
10年目のADSL契約変更のナゾ(いまさらADSL編)


続々Android増殖のナゾ第4弾(INFOBAR編)

続々増殖を続ける我が家のAndoird軍団であるが、Webmasterの動向は当然家族の監視下にあり、”なぜ何台も要るのか?、どんだけムダ使いしているのか?”との厳しい追求がはじまっている。言い訳として、すべての軍団をまとめても電話代は家族で一番安いことを請求書を持って示すしかない。

さすれば、私にも欲しいと言い出すのも当たり前である。そもそも現代の若者は潤沢にパケットを使える時代に生活している。我が家でもいち早くADSLとWifiを導入したために、家族はどうやってパケットがやってくるか深く考えたことが無い

ただし、お代を払うWebmasterとしては、どうして携帯たった一台分のパケット代が我が家の有線電話+ブロードバンド料金より高いのか?には疑問がある。そこで若者のパケット使用を見ると、専用のネット常時接続のノートパソコンがありながら、携帯でネットを見ている時間が長いことに気づいた。

要はノートパソコンの取り回しの悪さと起動までのレイテンシーの問題なのだ。とすればAndroidを自宅でWifi接続とすればトータルで電話代が減るのではないか、という作戦である。思えば安物7inchタブレットのせいで小型ノートの出番が無くなったのと同じ理由である。

というわけで入手したのがINFOBARである。初代と違ってこの形状でBARと呼ぶには無理があるが、AUの誇るデザインモノである。メーカーはこれまでのKセラではなくSharpだが、IS04修理中の代替機のIS03の印象が良かったので抵抗はなかった。

とはいえ、やってきたINFOBARには例によってAU-ONE課金を要するガラクタアプリ満載であった。せっかくの特徴的なランチャーも型なしである。現時点では必須のウイルス対策ソフトも配らずに(ドコモとSBは無料配布している)ガラケーばかりというのは無神経かつ怠慢である。

ただし、IS04と違ってプレインストのガラクタアプリはroot権限がなくても消すことができるので、ランチャーを掃除することができた。IS03の好印象も代替機のガラクタが既に掃除されていたからなのであろう。東芝富士通の端末でははどうしてガラクタアプリが消せないのだろうか?

手にしてみると、デザインモノだけあって継ぎ目やスイッチ、ボタン、カメラ、赤外など全てが丁寧にデザインされていることがわかる。標準アプリのアイコンや設定画面の無骨さはどうしようもないが、外装とランチャーの造作はiphoneより高いレベルにある。

しかしデザインモノらしき欠点、例えばヘッドホン端子が無い(USB端子兼用)ことと防水でないことがあるが、電話には従来通りガラケーを使うこと、音楽は専用MP3プレーヤーを使うことで不問とした。そもそもスマホで音楽を再生すると予想外に電池を消耗するものだ。

国産でもiPhone程度のフィニッシュは可能なのだ。電池交換やガラケー機能を満載しても、である。恐ろしいことに最近のアジア製端末はスイッチや段差類のフィニッシュが良くなっており、国産との間合いはじわりと接近している。

中でもIS04のデザインは飛び抜けてマズイ。外観は東芝らしく直線と斜線を組み合わせたメカメカしいもので、中学生が授業中に定規を使って書いたレベルで、角が尖っているのはポケットに入れる製品として失格だ。5inchとデカいStreakでさえ角が丸いのでポケットにすんなりと入る。

理由は、おそらく液晶テレビRegzaのモノリスな感じを携帯でも実現したかった?のだと思うが、液晶テレビはポケットに入れないだろう。あるいは角まで部品を詰め込むためかもしれないが、Sharp製は機能満載でも角は丸い。

使ってみてスイッチがうまく扱えない。側面のスイッチ類はひっかかるほど過大に突出しているのに指が届かない下の方に集中しているので操作できないのだ。この位置で音量スイッチを握ったまま操作できるだろうか?

スイッチの頭は全て台形で小さく、かつ接近している。スイッチ類をまとめたい設計の都合だろうが、それならスイッチの頭を例えば電源を○、音量を△▽、カメラを□など区別すべきでは無いのか。音量はシーソーだがスパンが短いので実際には上下とも同時に押されてしまう。

写真でINFOBARとIS04のスイッチの位置と大きさを比べて欲しい。あるいは兄弟機T-01Cに設定されているクレードルに横向きに置いた時に液晶にテレビのように上辺で操作できることを狙ったのだろうか?ただしIS-04にはクレードルの設定はないのだが。

少なくとも細かいデザインにセンシブルなiPhoneユーザーなら、アジア製端末にも劣る無神経なIS04のデザインに驚くか、あるいは笑ってしまうと思う。とても日本の大メーカーの製品とは思えない素人レベルのデザインなのだ。

本来、モックが出来た段階で袋の中に入れ、社員多くにブラインドで手触りやスイッチの操作性をチェックさせればいいのだ。バグは社員総出であらゆる階層を試せば露呈したはずだ。そういう基本的なことをやっていないから、次々に低レベルの製品が続出するのである。

ニュースによると、発売日に不具合多発で引っ込めたT-01Dを始め、東芝富士通の端末の不具合が多発しておりキャリアもさぞかし呆れているだろう。アジア製端末にもガラケー機能が搭載されるようになっているので、不可思議な設計とバグを連発する端末メーカーの商売は長く続かないと思われる。

すでにして、国産Android機器もトップクラスの製品とそうでない製品の間にはトラック一周くらいの差がついているように思う。キャリアはすでに国産でなければ、という想いは無くなっている雰囲気である。

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続々Android増殖のナゾ第二弾(WM8650編)

つらつらAMAZ*Nをみていたら安価な7インチタブレットがあった。送料を含め一万円で千円札が2枚戻ってくるほどだ。今まで小さなノートは何度も使ったが私物としてのタブレット(業務では経験がある)は初めてなので、気付いたときにはクリックしていた。安すぎるのが不安なのでキャンセルしようかとかと思ったときには手元に届いていた。

名前はWM8650と呼ぶCPUモジュール(SOC)に由来する。これはARM926EJ-S(@800MHz)のデュアルコア+DSP(@400MHz)に256kBのRAM(内50MBがVRAMとワークで空きは200MB)、/DATAが512MB、/CACHEが128MBという構成で、デュアルコアと言っても一個はシステムサービスやコーデック専門なのでアプリに使えるのは一個ということだ。(図はwonderMedaへのリンク)

ARM926EJSはARMのv5に相当するクラシックながらJAVAアクセラレーター、DSP拡張機能、MMU、FPU、TCMなどその後のARMの発展を先取りしたコアである。50億個以上売れたとかで日本でもちょっと前の携帯ではシェアNo1だった。

これと同じ製品を検索してみると、IQ ESP02、EKEN M009S もしくはFlytouch 2などの名称で旧共産圏やアジア、ラテン系で非常に多く売れている中華製タブレットであることがわかった。

出所は、EKENはパソコン用チップセットで有名なVIAの一部門で、ここから中華版ROMをダウンロードすることもできる。したがって文鎮になっても中華色たっぷりの状態に戻せる

Androidは2.2.2、Flashは10.1対応、Wifi、30万画素カメラ、重力センサー、μSDポート、アダプタ経由でのUSB(ホスト)x2と100BSE-T端子がある。GPSやコンパスは無い。もともとwindowsCEやlinuxベースのノート、ナビなどに使う汎用チップセットがandroidのタブレットに仕上げられてCPUクロックを上げたものである。

3G通信(WCDMA)には主要メーカーのUSB接続ドングルが対応する。その設定画面もあるしphone.apkも載っているがWifiで使うのが普通だろう。EthernetにはpppOEの設定がある。WifiはUSB接続子機の裸基板が内部の中央にあり、そのあたりを手で持つと感度が悪くなる。基本的には端末というよりはホストの造りだ。

VIAの汎用チップを扱うWonderMedia社(VIAのロゴと同じ)からEken社のM009Sとして、あるいは複数のメーカーにベアボーンを供給し、そこで汎用品の液晶や電池をのせていろいろな名前で出しているようだ。

液晶は2ポイント型の抵抗膜で、指では感度が低いがスタイレットや爪にはよく反応する。テキストのエディットにはピンポイントに編集位置が選べるので静電容量式より向いている。軽く撫でる動作は苦手だがSimeji、OpenWnnとも問題なくフリックに反応する。

WonderMedia社のリリースによれば、2011年には四半期あたり200-300万台ペースであり、来年には1000万台以上になるとのことだ。基本的にはTurnKey Modelとして供給し、新興国のVolumeゾーンを狙っている、とある

ここまで読んで、あの有力チップセットメーカーのVIA製なら大丈夫かも、とamazonを探し始めたアナタ。ちょっと待ってほしい。このタブレットはクセモノなのだ。まず標準のままアプリを載せていくとあえぐように遅くなり、800MHzは400MHzx2かと疑うほどだ。複数のベンチで確認すると800MHzは間違いないが遅すぎる。

アプリはyoutubeなど標準的なものはついてくるが、音声検索が動かない。音声の録音再生は可能なのでGoogleフレームワークのドライバなり記載が不足しているようだ。Youtubeにはアプリからは問題なくつながり、HDも問題なく再生できる。いったん動き出すとさほど遅くないが、アプリ間の移動などはお茶をすするヒマがあるほどだ。

マーケットは何となく中華風の得体の知れないところにつながる。一方、アプリを載せると激遅になる。動画性能とアプリの性能が乖離しているのは、RAMが少ないのでローメモリーとなりアプリなりサービスがkillされるからである。やはりDDRAMが256kbでは日本語環境では不足なのだ。ブラウザの内容もアプリを切りかえるとクリアされてしまい、戻ったときは起動画面になる。

あやしいのはAdobe Flash Player がEvaluation Copy v10.1.105.7.apk、つまりサンプル品であることだ。そもそもFash10.1が動くためにはDirectXと同様に対応したハードが必要だ。WM8650のGPUシステムはGPU(Mali?)+SWベースのPixelFlinger1.3らしいが、ver10.1に要求される機能を満たしているかはわからないし、ver.11への更新もできない。

巷のベンチマークには動かないものがあるし、winampもインストールを拒まれる。現時点でFlashを要求するサイトでは問題は起きていないが、今後どうなるかは解らない。3Dはともかく2Dが800MHzなりの速度で動くことは最後にベンチで示すこととする。

これでは使い勝手が悪いし、第一遅すぎる。まず不足するDDRAMをなんとかしなければいけないが、方法はある。若干の環境整備を行えば日常に使うタブレットとして十二分の性能があるが、自信が無い向きはSamsungなどのもう少し高いものを購入したほうが良い

まずrootをとる。これはZ4rootで簡単にとれる。次にESファイルエクスプローラーとESタスクマネージャ、Titanium backup、Swapper2を仕入れる。マーケットでダウンロードできるアプリには機種決め打ちがあるので、もう一台まともなメーカー製でrootが取れたandroidがあれば仕事は捗る。

アプリ類はバックアップをとり、極限までアプリは削る。アンドロイドでも基本は”風水変造”なのである使用頻度が低いアプリはapkとしてμSDに置き、使用時にインスト、終わったらアンインストすれば良い。

意外とSRAMを食っているのが壁紙と着信音である。着信音はひとつ残してμSDの/media/audio 以下に /alarms /notifications /ringtones を作りコピーするとSRAMがあく。壁紙もひとつ残してμSDの/picutreか /DCIM にコピーすれば設定から選ぶことができる。動く壁紙の類はすべてアンインストする。

次にSwapper2を仕込む。これはLinuxのSwappONとSwapOFFを使うもので、設定はメモリー確保256MB、Swappinesは10、μSDにパティションはきらない、Safe unmonut、Safe remaountはオンにする。Advanced preferenceでRecreate swap fileとReformat Swapはオフのほうが高速化する。これでOperaなどで重いページを再生したまま他のアプリを起動してOperaに戻っても、前にブラウズしたページがkillされずに残っている。

注意すべきは、root権限を要求するアプリはAPP2SDしないことだ。これはμSDのトラフィックが増加するためとタイムアウト防止である。OperaMobileはAPP2SDした方がよいがOperaminiはしない方が安定する。他に載せているアプリはZDbox AVG、青空文庫、Gmail、Map、youtubeなどである。世間にはあまたアプリがあるが、時刻表とか乗り換え検索などの一芸アプリはFlashやJavascriptに対応するブラウザがあれば不要である。

youtubeやMapもOperaで代替可能だが専用アプリの方が反応が良い。現時点ではSwapper2+Operaによって銀行や証券会社などの重装備かつクリティカルなサイトを含め全く問題無い

もうひとつ、怪しげなROMを焼き込む方法がある。WM8650は新興国のベストセラーなので非純正ROMが数種類ある。WebmasterのチョイスはstableなものとしてはUniversal Uberoid WM8650 1.5.5 HoneyCombMOD v9.1.2である。これは最初からrootが取れていてアプリも整理されているので手間が省けるが、ランチャーや壁紙などの派手でメモリーを食うものは整理する方が良い。

(現時点ではUniversal_Uberoid_WM8650_v10.1.7zを使っている。このバージョンのVTLlauncherは優秀であるが、/system/media以下のbootanimationは遅くなるので消した方がよい。これによりGoogleの音声検索が可能となり、Tunein Radio、Dropbox、Evernote、Marketなどまず問題がない。依然動かないのはQRコードリーダのみである。

ROMの焼き込みには、上記のファイルをパソコン上で解凍し、そのなかにあるCHANGER.BATなるスクリプトを実行、端末種として1番を選びμSDのディスク(E:とか)を指定するとμSDにインストールセットを置いてくれる。あとはμSDをWM8650にさして電源を入れるだけで読み込まれる。特に起動時のアクロバティックなボタン操作は必要ない。

ということは、μSDにバックアップがあれば、出先で文鎮化しても戻せるということである。逆にμSDの先頭にそのセットを置いたままにすると、電源を入れるたびにインストールしてしまうだ。当然ながらフルインストールではアプリなどもすべて消えるのでバックアップが必要だ。

最後に1GHzのQualcomm® QSD8250 1GHzARM v7+128bitDSP+Aderenoというありふれたチップセットを積んだStreakとのベンチマークの比較を載せる。これによるとARMv7は整数計算ではARMv5と大差無い。WM8650の怪しいグラフィックも3Dは遅いが2Dはむしろ速いことがわかる。

ただARMシリーズはどれも進んだ省電力機構を持っているのでベンチマークでフルスピードで動いていないことも多く、整数性能が周波数相応でなければ信用ができない。むしろ体感の方が正確であろう。

結論としては、安物タブレットではあるが、手を入れれ常用に十二分に耐える、ということだ。ただし初心者には向かない。

写真はLCD_DENSITY=130とした画面(3/4縮小、右下がほぼ原寸大)で、安物でも7インチ画面の威力は十分にある。ブラウザでも拡大しなくても内容の見当がつくので、これに慣れるとStreakの5インチでさえ色が褪せる。逆にrootをとる意味が解らなければ買わないほうが良い。

今回のWM8650は720pHD対応だが、次のWM8710(1080pのHD、HDMI出力あり)が発表されていることから、この安物シリーズは当分続きそうである。ARM11はv6相当(iphone3Gと同じ)と、ライセンスの安い古めのARMコアを使うのがVIAの作戦らしい。

一時は様々な中華タブレットが乱立していたが、生産力と販売力のある数社に収斂していくようだ。AndroidもハイエンドはGoogle内部に食い込んだHTCやSamusungが支配し、ローエンドは中華製の安物が支配する世の中である。もはや日本メーカーがandroidに付加価値を載せるて売るのが困難になりつつある。

パナソニックが今頃androidに参入するそうだが、ここの経営陣は聡くない感じがする。あれだけ批判があってやっぱり失敗したプラズマ新工場の失敗を総括していない。この手の端末のでのアドバンテージはアジアにあるので、高い付加価値は望めないからだ。

smartphonebench

item	wm8650	Streak

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続々Android増殖のナゾ(IS04編)

はっと我に帰ったWebmasterであるが、手元にAndroidが3台!になっている。2台目までは覚えているが3台目は無意識にamazonのボタンを押していたようである。

二台目としてやってきたのは東芝富士通製のIS04だ。

Webmasterの携帯番号は実に18年間変わっていない。これは緊急の電話が多いからだ。通話は大半が受信で通話量も無料の範囲であり、パケットもダブル定額ライトの下段から出た試しがない

ネットはパケット定額月980円のwillcom03で見る。ネットはスマホが便利だが通話とメイルならガラケーK006の方が使いやすい。しかしネットの達人たちは、”それは勿体無い” とおっしゃる。携帯はインセを使いながら機種変更やキャリアー変更する方が面白いからだ。

そこでAU代理店でandroidを物色すると、頭金ゼロ月割ゼロは型遅れのIS03とIS04が候補であった。ネットを見るとIS04は高スペックだがトラブルが多くIS03はバランスが良いが発熱で故障するとある。まあ半年たったのでトラブルも解決しているとの見込みで液晶の大きい(4インチ)IS04をチョイスした。

東芝とのことである程度のトラブルは予想していた。その時はSIMをK006に入れて修理を待つか、機種交換してもらおうという作戦である。

持ち帰って見ると、AU課金のアプリ満載のくせに他のキャリアにある抗ウイルスアプリが無い。AUはandroidで商売していながら貢献が足らないと思う。AVGフリーとOperaMobileをのせた段階で409MbのRAMの空きは150Mbとなり心もとない。この状態でお財布アプリやワンセグ予約とアプリを走らせればアクティビティーの依存関係によってはハングするであろう

ネットでの不安定との報告はキャリアメイルや青歯のバグ以外は不特定なトラブルである。おそらくメモリー不足だろうとの目算だったがその通りである。APP2SDで一部のアプリを逃がすにしても/data400MB、/cacheが100MBとStreakと比べ圧倒的に不足だ。

ちなみにDellのstreakはRAM512kbとIS04と同じだが、/dataが1.75GB、/cacheが250MBもある。ワンセグやお財布などのガラケー機能が無いことともあり、普通の使い方ではまずData領域が不足することはなかろう、というパソコンメーカーらしい考えなのだろう。 さて最初にファームアップデイトが必要との表示がでた。アプリやデータがアップデイトで飛ぶといけない(このメーカーは過去のアップデートのバグの前科がある)ので、最初にこれをかけることにしよう。パソコンで流し込むと失敗があり得る(このメーカーの携帯のアップデートは過去バージョンが混乱したことがある)。

慎重にアップデートをBuild番号で確認したあとで、間違いないように3G接続でアップデートを開始、ほどなくダウンロードが終了し再起動となった。再起動後アップデートツールは0%のまま凍り付いている。ここで電源を落とすと文鎮化する可能性があるので1時間待つことにしたが変化なし。なら風呂に入ってと2時間後に見るが0%のままだ。そのまま寝るまでさらに3時間(合計5時間)待ったが0%のままである。

アップデートはは失敗したようだ。電気を入れなおすとモニターは動いていてその後失敗するようだ。ネットによれば前のバージョンをボタン組み合わせで焼き込む方法があるそうだが、入手した初日なので代理店に突っ返すこととした。代理店はいろいろなところに電話をかけキャリアから修理許可が出たらしく、代替機としてIS03を貸してくれた。

IS03は3.6inchながら960×640と解像度が高く、余計なアプリが少ないながらワンセグ、お財布、赤外線などのガラケー機能はのっている。キャリアメイルも後述するIS04のひどさとは違い、ごく一般的な操作体系である。画面が小さい以外はすべての面でIS04より優れていると断言できる。このあたり、多くのスマホや携帯機器を作ってきた経験が生きているのだろう。

さて端末が戻ってきた。添書には「アップデートアプリの不具合により迷惑をかけました。かわりに最新のファームを載せてあります」。

たまたま東芝富士通のサイトをみると、新ファームのお知らせが出ていたが、新ファームの日付がWebmaserの端末が修理中の日付と同じなので、Webmaster以外にも多数文鎮になったのだろう。なお0%の表示のナゾだが、このツールにはそもそも進行状態に応じた%を表示する能力がなく(モニターの更新画面を隠すため)、終了寸前まで0%のままで、いきなり終了する設計とのことである。

さてandroidの標準アプリは他端末と同じだが、キャリアメイルアプリは出来が悪い。スマホらしからぬことにhtmlメールで文字化けする。通常はメール一覧で個々のメールの長押しで削除や返信、移動が選べるが、長押し機能がもともと無くメールを開いた状態では削除ができない。

削除には、受信リストに戻りMENUボタンで「その他」を出し、「選択」でメールを選ぶとゴミ箱が出て削除できるという煩雑さだ。また受信、送信、ゴミ箱ともメール一括削除の方法や階層がすべて違う。アイコンも直線的なものと漫画的な趣味の違うものが混在している。一方、Googleと連動する電話帳や通信履歴やGmailはリストでメールの長押しで削除できる、というように操作が統一されていないのだ。

このため、いきおいGmailを利用したくなる。Gmailだとパソコン、willcom03やandroidと電話帳、予定表同様に同期できるし3Gに依存しない。個人的にはこの端末の開発責任者は自分で機能をすべてチェックしていないと断言できる。また開発中に全メニュー階層を試してのバグ出しを真面目にやっていないことも明白である。だからこそ、次のT01Dで発売日に即バグ回収とかなるのである。

東芝の携帯、PHS端末はチョンボの歴史で何度か撤退(脱落?)しているのに、再挑戦のIS04での中破、T01Dの発売日回収の大破と、やはりこの会社は携帯を作るだけの社徳が無い。技術が無いのではない。webmasterは過去京セラ製を選んできたがハズレの経験がない。社徳の差であろう。

雰囲気としては、多数のプレインストアプリのために新品の状態で既にリソース不足に陥っていたWindowsMEのころを思い出す。やはり携帯でも風水改造が必要なのだろう。問題はパソコンと違って貴重なメモリーを食っている邪魔なプレインストを消せないことだ。

IS04は、当初は圧倒的高スペックで市場を席巻すべく開発に着手したものの、ガラケー機能開発で時間をロスするとともにシステムが肥大化し、リソース不足でトラブルが解決せず、ブラッシュアップする余裕もなく発売し、極悪評をかこって手直ししているうちに過去モデルとなり、処分が始まった頃にやっと安定した、ということだろう。次世代機種がバグで発売延期になったので、穴埋めにIS04がAUカタログの第一線に復帰しているのが不憫でもある。

既にCPU速度やメモリー容量は最新機種に見劣りし4ンチも今や大画面とは言えないが、1200万画素のカメラだけはかろうじてトップクラスのままだ。ただし1200万画素を誇るカメラに対して液晶の解像度が1080pに足りない854x480と、3.5インチのIS03の960x640に劣る、などちぐはぐな印象はあるが、当分はカメラを活用したいと思う。ためしに片手間で動画をとってみた。

画質はまあまあだが音質がプアだ(標準AMRのためAACで改善する)。演奏技術にも問題があるかもしれない。いずれにせよ、スペック至上主義のため新製品でしくじることの多い東芝らしい機種である。一般的にも高スペック端末は半年待って型落ちになるころが、バグを避けるためにも価格的にも旬、ということだ。

あまりにもガラクタ満載のIS04に失望し、半月ほどガラケーに戻っていた。その後rootを取りシステムを整理できる方法がみつかったので今は常用にしている。9月にFroyo2.2更新のROMイメージが公開されてたので、文鎮化しても復活できるようになったこともある。

メーカーサイトではROM焼きこみに専用アプリ(AU-one登録を要する)を使うことになっているが、起動時のボタン(Vol.Up+camera)で起動するモニターと同一である。つまりアプリは注意事項を並べるだけでROM復活には不要である。

私的には広い液晶画面が脆弱なので、写真のようにリッドをつけている。これは皮革風シボのファイルの表紙を切って作成したもので、ポケットやカバンの中で液晶をカバーしてくれる。会話時には音を聴きやすく、またカメラ使用中にはじゃまにならず、端末が倒れない足にもなる。希望があれば紹介したいと思う。

現在IS04はガラケー的用途に徹しており、自宅や仕事場ではあまり使われていない。それは写真のとおり5inchや7inch機種のほうが圧倒的に見やすいからだ。Streakは液晶面積で倍、7インチは面積は実に3倍である。さらにどちらも電池の持ちがIS04より長い。よってIS04はガラケー的用途に徹するしかないのだ。

思うにガラケーでもμSDカードのwav、mp3、midiやjpg画像を簡単に再生できれば十分だったのではないか。それにフルブラウザがついていれが、andoridのような重装備は必要でなかったのでは無いか?i-modeやEzWebに巣食う音源や画像のぼったくりの不良業者を放置し、その商売のために端末の機能を制限したことがガラケーを崩壊させ、同時にぼったくり商売も崩壊したのである。

キャリアがぼったくり商売に汲々としなければ、日本の端末ビジネスが壊滅することはなかったように思う。

次のトピでは、もう一台の問題作WM8650について触れたい。

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AndroidとWindows Mobileの性癖のナゾ

willcom03を使い始めて2年になる。最初の出会いはかなり突然だった。ある板で今一番維持費が安いスマホは何か、という話題になっていた。

そうするとwillcom03族なら月980円でパケット使い放題、という達人がいた。通話も31.5円/30秒とやや高いが可能だと言う。当然メールは使い放題でPCメールサーバーにも繋がると言う。ちょっと話がうますぎないか?”

個人的にはAU回線をマイクロタック時代から使っており、通話もメールも受信の方が遥かに多い。私の仕事では電話=”悪い知らせ”であり自分から発信することは少ない。従って私の電話代は家族の誰よりも安い。

ガラケーは音楽や着メロまでガチガチに管理されており、目前のCDの曲すら着メロにできない。子供のリクエストでCDから曲を組み込むのに無用かつトリッキーなバイナリ-細工を要した。なんじゃこりゃ、という感じである。

さて、契約はNS001Uなるデータカード(4x 204kbps)を公式サイトで購入することから始まる。中に入っているW-SIMなる通信モジュールに契約内容が入っており、これを白ROM端末に差すことで端末が使える。電話帳も記録できるので複数の白ROM端末を一台のW-SIMで使いまわすことが可能だ。

W-SIMを仕入れたら端末をネットで買えと達人は言う。そこで03の新品を1台、中古を1台仕入れた。OSはWindows Mobile(6.1)で、過去にwindowsCEやPocketPCと呼ばれ、今はwindowsPhoneと呼ぶらしい。PC用windowsのサブセットというよりは昔なつかしいWindowsNT3.5あたりのサブセットに近い。かつてNTはハードの差をHAL層で吸収することでSPARC以外殆どのワークステーションで稼動していた。

従ってARMに対するHALが完成すれば上部構造は簡単に移植できる。WMは古いNTから仮想記憶をはずしたサブセットなのだ。これに気付いたのはネットワークの設定ダイアローグが古いNTと同じだったからだ。過去NTのLANはヌエのように複雑だった。

従ってナリは小さくとも最初からadmin権限なのだが、そうするとOSを壊す可能性もあるので、ボタン一発でROMからOSを再構築できるようになっている。ただし記録も消えてしまう。

ブラウザはOpera9.5で操作は特殊だが縮小拡大がタッピングで可能など携帯端末に向いている。今は画像を圧縮するturbo機能が有効なOperaV10をインストールしておりFlashを含むブラウズが可能だ。ver9.5は公式ページに行くために残してある。

簡単なブラウズはOperaMiniが便利だ。これはOperaのサーバーで画像とレンダリングを圧縮最適化するので快速であるかわりにFlashには対応していない。またOperaサーバーと端末とでフォント解釈が異なるために文字幅があわないバグがあるが、PocketHandでフォントを”ふい字”とすることで回避している。

他にはFile explore extension、GSFinder、ClearTmp、GoogleMap、CedarFTP、TCPMP、TRE、など一般的なものをインストールしている。標準でMSのMobile Office、ワンセグがついている。またwifisnapにより03が無線ルーターとなるので、他のPCも無線LANやBluetooth経由でネットにつなぐこともできる。

小さいながらフルキーボードも付いているのでPCの8割程度の仕事は可能である。GPSは無いがマップ類はPHS基地局からの情報で100-200m程度の誤差で地図を割り出すことも可能だ。

画面は800×480ドットと十分だが解像度の割に画面が小さい。物理キーが無い事や電池の持ちが悪いことはスマホに共通する欠点ではある。画像は100円均の老眼鏡が役に立っている。Webmasterには生まれて始めてのメガネである。

問題点としては電波の掴みが今ひとつであること、通話音質がPHSにしては悪いことがあった。これはWSIMのカバーの金属蒸着が原因である。

カバーの一部は黒色塗装だが、深層の金属蒸着が端末の枠と連続している。赤い端末では塗装のすべてを樹脂層まで剥いで電波が良好となった。金色の端末は後面の黒い部分のみを樹脂層まで剥いでいいるが、それでもかなりの改善だ。

通話音質も改善した。これはW-SIMの電波が金属蒸着を通じてアナログ回路に混入するからだ。どうもsharpは高周波ハンドリングが苦手のようである。

さて、Willcom03は端末としてではなくUSB接続モデムとして働かせることも可能だ。あるいはW-SIMをNS001Uに差して接続先のIDやパスワードをWillcom03と同じにすれば課金は無い。毎回モデム設定にする必要があるが無線ルーターとしてより電池を消耗しないし、端末もUSBで充電される。速度は動画は厳しいがネットラジオには十分である。

モデムとして使っている間もワンセグやメモリー上の動画や音楽は問題なく再生される。つまり、Willcom03+WSIMは料金的にも棄てがたいのである。

その機能を満喫している所に来たのがAndroidのDellのStreak(+X-Plate)である。余った回線の機種交換でX-PLATEなるPHS端末と組でやってきた。

Streak自体はソフトバンク契約だが基本料は無くパケット代だけだが、SIMを挿してないので料金は月8円である。当初はStreakには手を入れずに自宅ではWifi経由、外ではルーター化した03経由で使う予定だった。

問題はStreakが無線ルーター化03にad hoc接続できないことだ。そもそもad hocのポイントを認識しない。verは2.2.2、ROMはビルド364である。

ネット情報によればwpa-supplecantなるファイルを変更するとad hocに接続可能とあるがそれにはroot化が必要だ。root化には、

1)boot段階でsuするコードを仕込む(ためのモニターコードをbiosに追加しておく)。 2)USBのデバッグモードでPCからsuするコードを仕込む

方法がある。1)はbios操作なので失敗すると端末が文鎮化する危険性があるので2)を最初に試したが、手練手管を使ってもroot化できなかった。おそらく対策されているのだろう。そこで、こちらを参考にしてroot化した。

詳細は触れないが、原理的にはブート時にzipファイルをインストールする能力を持つモニターコードrecovery.imgをBIOSのfastboot機能を用いてPCからSTREAKに書き込む。このrecovery.imgによりboot時にsuperuser.zipを組み込む、という仕掛けである。これは対策が困難であろう。

root化後にad hocを検知するようにパッチをあてたwpa_suppliecantを/system/binにコピーする。原本はrenameしてバックアップしておく。

これによりad hocのポイントを検知できるようになった。IP、マスク、ゲート、DNSをスタティックに書き込む機能もあるが、依然としてad hocでは繋がらない。

03のwifisnapは青葉経由でDUNプロファイルを提供できる。しかしStreakとのペアリングは可能だが通信は非接続と出る。StreakはDUNのクライアントとしてのプロファイルに対応していない。このため03をルーター化して、画面の大きなStreakでブラウズするという当初の目的は達成できていない

Androidマーケットには有料無料のアプリが数万も登録されているが、ad hocに繋がらないのであれば魅力半減である。多くのユーザーが問題としているad hoc接続不能が放置されているのには何かしら故意を感じる。というわけで、Streakはトイレで青空文庫やニュースを見る用途になっている。

もちろんrootが取れればStreakの使い心地は格段に良くなるし内部構造も見えてくる。AndroidはルーターやNASに使われる小規模LinuxにJAVAのアプリ群を載せたものなので、電話やネットの実装は簡易で意外やミニマルな構成なのだ。

これはiphoneと似た成り立ちでもある。ARM+Qualcomチップセットに見栄えの良いGUIを乗せたiPhoneも当初はマルチタスクを殺すなどミニマルなOSだったが、ユーザーの要求のために結局何でも乗せるようになっている。

しかしiphoneはワンセグやFelicaのような地域性の強い機能を載せることができない。対してandroidはメーカーの能力に応じてガラパゴス機能をいくらでも実装できる。次第に成長分化していくAndroidに対し、近い将来にiphoneはついて行けなくなるだろう。iphoneにしかできない機能は皆無だから、電池が交換できない(つまり使い捨て)端末にはWebmasterは基本的に興味が無い。

一方のAndroidも多くの要求を受け入れるに従って肥大し、PCに近い能力になるだろう。StreakもドッキングステーションにHDMI端子があるので大画面モニターも可能だ。そうすると今の実装ではOSとして不満が出る。よほどwindowsかUBUNTUあたりを乗せたほうがよっぽど使い勝手が良い。噂によると、次世代windowsは86XだけでなくARM版もあるという。

ただし肥大化は両刃の剣である。例えばWindows MobileはPCに近い実装だが、多機能さがシェアを失った原因だからである。AndroidにPC並の実装を求めるユーザーは結局は少数派にすぎないのではないか。

それ以上にQualcommが多機能チップセットを供給するためにハードが急速に画一化しており、激しく低価格化が進んでいる。そうなると、もはや日本メーカーの出番は無くなるのではないか。値段のみが支配する時代には、液晶テレビと同様にアジアメーカー製品にスマホ市場は蹂躙されるのではないか。

そう思うと、グローバルモデルのまま投入されたStreakはその走りなのかも知れない。当初米国で1000ドル近かったマシンが事実上タダで配布されるなど、低価格化の勢いには抗いがたい。今の所Streakは唯一の5インチということが差別化であるが、これとて成功しているとはい。

今は全キャリアがスマホに全力集中しているが、今後はiphoneも含めスマホ商売にはペンペン草も生えないようになる事も覚悟すべきだろう。

蛇足

このページでiphoneが出現しないのはwebmasterがApple製品がキライだからである。と言ってもWebmasterはMacPlusからiPodに至るまで多くの製品を購入してきたしiphoneのサンプルはある。周囲からもトラブルをかかえたApple製品を持参して相談にやって来る。個人的な結論としては、

1)Apple製品は不良、故障、早期劣化、バグが多い。
2)Apple製品は無用に複雑な構造で修理がやりにくい。
3)Apple製品は電池などの消耗品の寿命が短く、しかも交換しにくい。
4)Apple製品は過去のソフトウェア資産やユーザーとのお約束を何度もチャラにした。

確かにUIや外装のデザインが優れていることは認めるが、それは電池交換やメンテ性を無視して実現されている。もしiPhoneも簡単に電池が交換できるようにすれば厚みが増すし分割線が増えるなどデザインに制約が出てくる。しかしiPhoneより電池交換が容易なのにらに薄いAndroid端末はある。

とすると、電池交換ができないのはデザイン性の問題でなく、端末を”使い捨て”にしたい、早期に次々に製品を買い換えさせたい、ということだと解釈している。電池が簡単に取り外せないために、廃棄やリサイクル性が著しく低く、また電池交換を待たずに廃棄される製品が増えるなど、地球環境に反した製品と考えている。だから私はiphoneを取り上げたくないないのだ。

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トモヤドットコム発電所一ヶ月の成績のナゾ

太陽光発電を6月28日に系統接続してから7月31日までの結果が出た。前提となる我が家の電気器具だが、エアコンは7室7台、うち3台は高い確率で動作している。3台は家人がいれば動作するが夜間は一台となる。それはWebmasterは夜エアコンを意地で使わない習慣だからだ。一台は空き部屋で動いていない。

一番問題は20年選手の370Lの冷蔵庫だが、ワットメーターによる計測では盛夏時に1.7kw/日で500kw/年程度と見込まれる。最新のものとあまり変わらないようだ。ここ20年で消費電力が1/10になったとかの宣伝はウソということだ。電気気ポットと炊飯器保温は合計1.1kw/日食っており利便性と電気代は微妙な関係だ。ドラム式洗濯乾燥機と電気乾燥機があるが夏はトイレ便座2台はオフである。

照明は蛍光灯とLED電球である。ビデオ4台、テレビ4台、携帯充電器数個、FAX、ADSLモデム、ルーターなどの待機電力は合計しても100wを下回る。テレビ動作時の消費電力はインチ数の倍のワットと考えて良い。

太陽光発電モニターの7月の成績は(ソーラーモニタリング数字に更新しました)、


発電量 388
消費量 665
売電量 178
買電量 456
kwh

であった。消費量665kwは酷暑だった昨年の1031kwhより少なく、一昨年の650kwh(29日間)とほぼ同じである。多少の節電はしているが気候の要素が大きい。

PVは我が家のヘンな構造のために寄棟に乗せた東南東7枚+南南西12枚=合計19枚x165w=3.135kwだが、方角補正すると約3kwの能力だろうか。年間予想3000kwh+αとしての月平均250Wはクリアしており、梅雨を計算に入れると想定以上である。

方角を無視した7月の発電指数(388kw /3.135kw設備=121)はソーラークリニック登録発電所は福岡ではトップクラスなので、モジュールの効率が仕様より良いようだ。

発電量のピークが並んでいるのは温度上昇による能率低下のためだろう。前日が曇りの翌日の快晴の日が高くなるし、気温が低い曇りから急に晴れると短時間ながら3kw以上の数字がおがめることがあった。今のところ18.5kwh/日が最高値である。 さて上記の数字は

発電388+買電456ー消費665=売電178(kwh)

ということらしい。太陽光がない場合の支払予定額

基本料金1418円 + 1993円(120kwまで)+ 3661円(121-300kw)+ 365x22(300kw超分) =15102円+消費税=15857円 (他に燃料費調整と口座振替割引が加わる)

太陽光があるので、

基本料金1418円 + 1993円(120kwまで)+ 3661円(121-300kw)+ 156x22円(300kw超分) =10504円+消費税=11029円 (燃料費調整ー口座振替割引))

売電が

178kw x 42円 = 7476円 (売電には消費税は計算されない)

したがって太陽光による節約額は、

15857ー (11029円 ー 7476円)=12304円

ということで予想よりゲインは大きい。

図は7月の買電(22円/kwh)と売電(42円/kwh)のグラフである。買電から売電の1。9倍を引いたものが支払うべき電気であり、それに買電の基本料金と税金を加えたものが実際の負担額になる。

ではもし我が家に3.6kwの設備を乗せたらどうなるか?西北西に追加可能な3枚の出力は3x165x効率80%=396Wとなり、実効では約3.4kwである。標準的日照量からの見積もりでは、

発電量 405x3.4/3=440 消費量 665 売電量 196 買電量 421 kwh

このばあい、

基本料金1418円 + 1993円(120kwまで)+ 3661円(121-300kw)+ 121x22円(300kw超分) =9734円+消費税=10220円 +(燃料費調整ー口座振替割引)

売電が

196kw x 42円 = 8232円 (売電には消費税は計算されない)

したがって太陽光による節約効果は、

15857ー (10220円 ー 8232円)=13869円

となる。問題は設備投資が11%高くなる一方、電気代低減は13714/11880=と12%に留まり、殆どゲインは無いことになる。

さらに3角形や小型の特殊モジュールを使って最大3.9kwの設備を乗せることも可能だが、特殊モジュールが割高で発電効率が劣るので設備投資は27%高くなり、収益見積もりからはまったくペイしないことがわかった。

要するに、我が家のサイズの寄棟屋根の家(公庫ギリギリ)では最低3kwは載せたいが3.5kw以上は投資効率が悪くなる、ということだ。寄棟では、電気代+ローンが設置前の電気代より安くなればよしとすべきであろう。

一方、屋根が南面の大面積な切妻であれば、寄棟より枠や電線や工事費が数%安くなる。165wモジュールより安い160Wモジュールを使うことも可能になり工事費などの経費を詰めれば45万/kwもあり得る。

従って大きな切妻屋根の家なら4.0kwあたりまでは投資効率は良好なので工事費を煮詰めて4.0kwをめざすべきだ。この場合は売電の威力を感じることができるだろう。

もちろん、屋根なり土地に余裕があればパネルはいくらでも増やせる。まず4kwで必要な電気を賄い、追加設備は1kwあたり1000kw/年発電し、42000円/年売電でき、設備投資が42万/kwなら10年でペイする。ただし設備を増やしてもペイに要する期間は短かくならない。酔狂とは言えないが趣味の問題と言える。

太陽光発電はもはや高い設備では無い。カローラで間に合うのにベンツを買うのは個人の自由である。同様に投資効率にかかわらず屋根に可能な限り多数のモジュールを乗せるのは屋根が荷重に耐えられる限り自由であり、外車に比べれば趣味としては高くはない。

ネットを検索すると個人で10kw程度の設備もみかける。やはり屋根だけでなく土地に余裕があるオーナーが多く、設備費の圧縮に努力されているようである。設備を増やしても償還期間が短縮することはないが、見識には敬服することしきりである。 まあ太陽光は車とは違い稼動した瞬間から発電し、ガソリンやオイル、税金などの支出もない。エコ時代には太陽光発電を屋根に乗せることはもはや”酔狂”ではなく尊敬すべき立派なご趣味であると言える。

蛇足

個人的な好みからピアノを木目に替えた。理由は、巨大な黒いピアノに対する子供の時のトラウマとしか言いようが無い。私は黒いピアノがキライなのだ。。。。。従って、いかなる代物であってもピアノ調とかいう黒い艶ありの製品はみんなキライなのだ。

Webmasterのピアノ人生は高校のころショパンのエチュード数曲で頓挫した。今回生涯の目的だったバラード#1が落成したご褒美でもある。外国製ピアノの引力は非常に強いが、堅牢で調律が安定している点については国産Y社に優るものは無い。

家族から無駄遣いであるとの非難轟々であったが、実物を見るとマホガニーの魔力に一発で参ってしまったようだ。このピアノはマンションにももって行けるサイズなのでwebmasterの生涯のピアノとなる予感がある。

さいわいこのピアノも当たりの部類のようだ。先日、職場の式典のためにサンサーンスの水族館をレポートリーに加えて終わったところだ。現在はスクリャービンのエチュードop.-12から強力なる引力を感じていることころだ。

ここに書いておくことでたぶんまじめに練習することになるだろう。

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トモヤドットコム発電所起動のナゾ

原発事故を契機に節電しなければいけないことになっている。そこで以前より節電に努めているはずの我が家の電力事情を再検討してみた。

2年分の電気ガス使用量をみると季節要因が大きい。調理と給湯がガスなので、変動の大半はエアコンによるものだ。これまで主たる居室を二重窓とし、一階天井裏に断熱材を追加(公庫では要求していない)、二階天井裏の断熱剤は倍増させているのでこれ以上の改善は難しい。

エアコンも最近のモデルはカタログ上電気代が半減したことになっているが、最近の調査によればカタログほどの差がないとのことなので、あわてて更新する必要は無いだろう。次に電気代が高いのは冷蔵庫である。

冷蔵庫の電力消費は夏が多いと思うのが普通だが冬も少なくない。それは霜取りヒーターが時計仕掛けで決まった間隔で作動するからである。扉のパッキンや冷風ダクトやダンパー(開閉扉)などのヒーターもむしろ冬に電気を喰う。

カタログ上は2005年まで10年間に冷蔵庫の電気代が10分の1になったはずがインチキであるとの消費者からの苦情で規格が変わり10年間の改善はチャラになっている。

これは2005年までのJISの測定が外気温25度だったので、ヒーター類をこの温度で動かないようにチューンすることでカタログ上の消費電力が減らしていたのである。

2006年からは測定条件が変わり、外気温25度からが15度と30度の2点へ、設置スペースも30cmから5cmへ、戸開け回数も25回から35回へ、また冷蔵温も5度から4度に変更された。

もちろんメーカーは一度戻った消費電力を削減してより高価で大型の冷蔵庫を販売したいわけで、その後も真空断熱材やインバーターを採用しているものの、これらによる節約幅は意外に小さい。実際は霜取などのヒーター類を細かく制御することで実現している。

このため、カタログ上は昔ながらのタイマー霜取りしている小型モデルより、高価な大型モデルの方が少ないことになっているが、実際は大型ほど電気を喰うようである。

やはり人間のサガとして冷蔵庫には詰め込めるだけ詰め込み、頻繁に開け閉めし、家が狭いので周囲にモノを詰め込むものだ。そうなると単純に大きいモデルほど電気を喰うようだ。

我が家の20年選手の冷蔵庫も一般家庭モデルの消費割合から算出したところ、最新モデルのカタログ値の倍まで行かないことがわかった。これは我が家の冷蔵庫がパッキンが当たる板金の継ぎ目をシリコンで埋める、野菜室への冷気を制限する、庫内ランプをすべてLEDに変えるなどの対策をしてあるせいかも知れない。あわてず急がず更新を考えているところだ。

次に電灯類であるが、電球はすべて電球型蛍光灯かLED電球に変えているのでこれ以上の削減は難しい。待機電力にしても居間にあるビデオ機器をすべて落とす事は家庭平和の観点からして難しかろうと思う。

そこで長年設置したかった太陽光発電を設置することとした。20年前から数回見積もりしているが、当初はコスト回収に30年かかる酔狂もしくは物好きレベルであったが、機器が安くなり2010年から電力買取価格が倍増したことから、がぜん現実味を帯びてきた。電気代が現状のまま、買取がkwあたり42円で10年続き補助金を計算にいれればコスト回収に約12年程度ということになる。

かくて設置することに決めたが、問題は家族の理解である。決め手は、

”昼間のクソ暑い時に停電しても自立運転により最低限扇風機とテレビ、パソコンは動く”

という一言である。ウソでは無いが、地域のケーブルTV網やネットが落ちればテレビやパソコンが使えるかは怪しい。ただし携帯を充電しながらワンセグとネットを見る事は可能である。

問題は我が家の屋根が切妻でなく寄棟であることだ。公庫サイズながら(登記は計算方法が違うため我が家には不可解なデッドスペースがある)無用な構造が多い我が家では一階の屋根は朝に日が当たらないので使えない。さらに寄棟の西側に余計な天窓があり損している。幸いなことは一番大きな面が南南西、東面が東南東を向いていることだ。

さてメーカー選びだがシェアからはシャープ、効率からはサンヨーかパナ、コストからはソーラーフロンティアかホンダの薄膜となる。発電量としては最低3kwは欲しい。

まず薄膜タイプは3kw以下で脱落。サンヨーとパナはコスト面で回収に時間がかかる。とすればシャープを選ぶことになる。第一案は効率を稼ぐために165Wモジュール(効率14.3%)を12+7=19枚乗せるプランで、計算上は0.165x19=3.135kwと悲願の3kwを超える。

第二案はこれに三角モジュールを加えるプランだが、三角2枚で120W(60x2)と効率が低く、他のモジュールも効率が低い160wに揃えるのでコスト効率が不利である。第三案は西面にも少数設置するプランだがパワコンの3系統対応が必要になる。

3通りをコスト回収モデルで見ると、第一案が一番コスト回収が早く、第二案は圧倒的にコスト効率が悪いこと、第三案はコスト回収が遅いことがわかったので第一案とした。

問題は我が家は屋根がグリーン(赤毛のアンの影響か?)で濃紺のモジュールの見場がどうなるか、ということである。そこで我が家をいろいろな角度から見て見ると、屋根は殆ど通路から見えていないことがわかったので、気にしないこととした。

近所をリサーチすると我が家の向かいと裏にはすでにシャープの太陽光が乗っていることを今頃発見した。珍しい事に、と数百軒あるご町内で太陽光が乗っているのはこの2軒だけであった。

見積もりをとってから気付いたのだが、現時点でパワコンの全機種が最初から2系統以上に対応しているのはシャープだけである。他社は1系統が標準のため、方角や枚数が異なる複数の系統では別途昇圧装置や接続箱が必要になる。つまり寄せ棟にするためのエキストラコストが結構かかるのだ。

パワコンの一系統には屋根の同じ面にあるモジュール10枚程度(計約250V)の一組、あるいはその複数組の並列しか入力できない。仮に東面や西面にモジュール10枚の組があって、それを南面と並列にしても南面より電圧が低いので効率良く出力できない。

もうひとつ、シャープのパワコンは室外設置である。パワコンの作動音は室内だと気になるレベルであり、放熱のために設置条件が限られる。ただし室外だと早々にサビるのでは無いか?という心配はある。シャープ以外は自立運転コンセントがパワコン自体にあるので、別途居室までの配線工事をする必要がある。

大震災と原発事故で生産や流通が止まっていること、停電の恐れから突然膨大な太陽光需要が立ち上がっていることから危惧があったが、メーカーが増産しているようでモノは予定までに揃っていた。

補助金など事務的作業もは順調に進んだものの雨続きで設置工事ができず、系統接続できたのは6月末になった。従って現時点でデータは十分とは言えないが一応一日中晴天から一日中大雨までのパターンは一通り揃った。

1日ピーカンであれば発電量は18kwh以上に達した。心配した2面配置だが朝の立ち上がりが早く発電時間が長く、ピークは3kwに達するなど大きな問題は無いようだ。

気温のピークは午後2時だが太陽光のピークは正午であり、午前中の発電は結構数字として効いてくる。東南東面の効率は計算上は90%だが、気温上昇による効率低下を考えると納入モジュールは仕様より数%多く発電するようだ。

快晴なら3室エアコン+冷蔵庫動かしても売電する余裕が十分ある。曇天だと1Kw台だが気温が下がるのでエアコン2台+冷蔵庫は可能である。雨の日は1kwを割るが気温がさらに下がるのでエアコン1台+冷蔵庫は賄える。

副次的効果としては、屋根にモジュールを乗せたことで二階が涼しくなり、一階も冷房の効きが良くなった。冬になるとどう働くのかわからないが、少なくとも二階の快適性が劇的に改善したことは間違いなく、今年はまだ2階で冷房を入れていない。

今回の設置価格はKWあたり約57万だった。トラブルを避けるために大手量販店に依頼した事、寄棟のため二面配置となり枠や配線にエキストラコストがかかることを考えると標準的だと思われる。メーカーにかかわらず、長年下がってきたシステム価格は今回の震災と急激な需要でわずかに高止まりしている。

切妻で南一面配置でモジュール効率も標準品ですめばkwあたり55万円となる、設置業者を選べばkwあたり50万もあり得るかと思われるが、設置にかかわる種々のトラブルと、室内外に他人が出入りするリスクを考えると許容できる範囲かと思われる。

薄膜系なら50万/kwを大きく下回ると思われる。薄膜系モジュールの効率は現時点では10%強と低く我が家には向かなかったが、大きな切妻の屋根ならチョイスとなるだろう。

今回のシステムもパワコンはエアコンのインバーター部分が3倍になった程度だし、液晶モニターも機能の割りに値段がこなれていない。震災の影響が消え量産が進めば数年内にもシステムが100万円程度になるだろう。

しかし疲弊した政府からの補助金は減っていくので、両方を天秤にかけて時期を占う必要がある。個人的には2、3年内に買い場のピークが来ると思うが、直近の電力危機への精神安定剤としてのコストを考えると今買って損は無いと思う。

実際には個人的には、系統接続された日が曇天ながらメーターが勢い良く逆回転するのを見た瞬間に買って良かったと実感したのである。ついに電力会社に請求書を送りつける時代になったのである。

我が家の大容量でないシステムでも日中の消費の殆どを太陽光で賄うことがでいる。価格もカローラにナビを付けた程度にすぎない。これが新築住宅の多くに備われば、夏季電力消費のピークを平準化でき、原発の必要性なんか霧散してしまう。

それを邪魔してきたのは、普及を恐れる電力会社とその子飼いのメディアである。太陽光の敷居はぜんぜん高くない。設置した瞬間から自分でお金を稼ぎ返済する上に税金もオイル交換も要らない。

唯一の敷居があるとすれば工事の日の天候だけである。太陽光の値段と補助金の行方を注視されることをお勧めする。

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電力不安定時代の塩吹きニッケル水素電池復活法のナゾ

久しぶりの更新であるが、その間に東北で大震災と大津波があり、原発4機が爆発しクラス7の放射能漏れ事故が起きた。確かに大震災と大津波は天災であり被害を受けた地方の復興を願う毎日であるが、福島第一原発事故は明らかな人災である。

まず同程度の被害を受けた福島第二原発、女川原発は冷温停止に至った。しかし福島第一は発電中であった4炉すべてが爆発した。あきらかに福島第一だけが脆弱であり免責の余地は無い。今回の事故から、電源も冷却装置も失った原発でもベントして圧力を下げながら注水を続けて水位を保てば燃料棒の破損を防げることが多大の犠牲の末に解ったのである。

もちろんベントによりある程度の放射性物質が放出されるが、燃料棒が破損しない限りその線量は限られ、その修理も可能となる。東電が非常用電源車やポンプ車を準備していなかった事、故意にベントを遅らせたの事、オペフロアにある使用済み(新品もあり)燃料プールへの注水を失念した事、水素爆発が危惧されながら建屋の開放を怠ったことなど、どれも初歩的なミスであり犯罪的でもある。

さらに某放射線医学に関係する公的機関は誤った情報を流して線量が高い地方での自主的なヨウ素の摂取をブロックした。彼らは100mSv以下の被爆は一切有害でないとする誤った認識に凝り固まっており、専門家でありながらヨウ素131の妊婦や幼小児の内部被爆の危険性に関する理解を完全に誤っていた。

またチームなんとかと称する一味はヨウ素被爆に関する間違ったつぶやきを日本中に拡散した。このため福島県の線量の高い地方の妊婦や幼小児は安定化ヨウ素を配布されることもなく、自主的にヨウ素を摂取することもできず、避難指示も出されなかった。

すでに飯館村や中通りの諸都市に対する対応についてはIAEAを含め世界中の公的機関から非難されているが、一味は数年後に生じる医学的問題について責任を逃れることはできない

さて、関東地方の電力供給は東電の誤った供給力予想は別にしても十分とは言えないことも確かである。また同じく信用低下により起債ができなくなった全国の電力会社の命運も不透明になった。当然われわれユーザーも自主的に対応しなければいけない。当サイトも現在太陽光発電導入を決定した。

といっても身の回りの非常用ラジオや懐中電灯などの電流源はやはり電池だ。なかでも充電式のニッケル水素電池は現在もっとも家庭に普及した二次電池である。しかし、ニッケル水素電池のサイクル寿命には奇妙な現象がある。

それは、高価な高容量電池、例えばニッケル水素の単三であれば2000mAhを超えるモデルのサイクル寿命が非常に短いことである。一方、サンヨーがしきりに宣伝している低容量のエネなんとか電池はサイクル寿命が長いのである。これって詐欺的ではなかろうか。

そもそも、能力が低下したニッケル水素電池の更生法については、

□Oct. 1:名うての腎虚ニッカド電池更正法のナゾ

かなり暴力的な方法を取り上げた事がある。これについてはその後も研究を続け更生法もブラッシュアップしてきていおり、現時点ではそのメカニズムついても理解が深まっている。

現時点での結論では、高容量電池ほど寿命が短いのは、同じ体積に多くの電極物質を詰め込んだために電解液容量が不足し、早期にドライアップしてしまう、ということである。

またドライアップすると充放電で内部が過熱しガスが発生しますます塩を吹く(ソルティング)。

いったん塩を吹くと圧力弁が塩によって閉鎖が不完全となり、さらに電解液を喪失しやすくなり、この負の連鎖で急速に容量を失う、というのがセオリーである。容量を失うと充電で見かけの電圧が上昇しても即座に低下してしまう。

どうやって復活させるのか?

多くの充放電サイクルで容量が穏やかに低下していくのは電極材料の劣化であると納得できるが、サイクルが浅い電池には効果的な方法である。復活には2つのフェーズがある。

1)フェーズ1 +極付近のソルティングを除去し凹部に塩が溜まりにくい構造とする。
2)フェーズ2 ソルティングで開きっぱなしとなった安全弁から電解液を導入するとともに安全弁を清掃し機能を回復する

その具体的な方法を公開しよう。まず準備するのは、蒸留水(使用済みの目薬容器に入れておく)、小さなマイナスドライバー一本のみである。今回はダイソーの100円ニッケル水素電池をサンプルとする

フェーズ1

まず+極のでっぱりの周囲にあるプラスティック製のワッカを外す。

これはこの部分に溜まったソルティングを除去するとともに、陰極であるケースと陽極の間のガスケットの清掃状態を観察するためである。またフェーズ2の準備でもある。

ガスケットに塩が付着していると、いくら充電しても塩を経由して放電してしまう。ガスケットが汚染されていないか観察できることが重要だ。

ソルティングは必ずしも物理的に除去する必要は無く、1時間ほど蒸留水に漬ければ溶けて無くなる。具体的にはコップの底に1cmほどの高さまで蒸留水を貯め、電池を上下逆にして漬ければよい。その後古歯ブラシで清掃すれば十分である。

+極周囲のワッカを外す時に、ガスケット部を傷つけないこと、ガスケット部でショートさせないこと、樹脂製の外皮を温存することに注意して欲しい。外皮はガスケット部でのショートを防ぐために必要である。

フェーズ2

通常の充電器(マイナスΔV制御式の急速充電器)で充電する。ある程度充電すると体温程度に発熱しているはずである。更生には発熱していることが重要で満充電する必要は無い。

電圧も1.3V程度に上昇するはずであるが、これが上昇しない場合は、5Aの5秒間ほどの”喝入れ”を2、3回行い、体温以上の温度まで上昇させる。この動作には危険を伴うので、一回の喝入れは5秒以下とすべきである。

次に電池を垂直に洗濯バサミなどで立て、+極と外皮の間の凹の部分(安全弁の穴がある)に蒸留水を満たし、電池が放熱するまで放置する。以前は蒸留水に発熱した電池を投入していたが、今回の方法なら少量の蒸留水で済む。

電池が電解液を喪失すれば内部に気体の部分ができ、気体は発熱によって膨張する。また本来閉鎖しているはずの+極に組み込まれた圧力弁がソルティングによって隙間ができている。

この部分に蒸留水を満たしておれば、内圧が低下するに従って蒸留水が内部に吸引され、その途中の安全弁についたソルティングも洗浄する仕掛けである。

おそらく初回の操作ではみるみる蒸留水が吸引され減っていくことだろう。その場合は蒸留水を適宜補充する。

数回充放電の度にこの更生法を行えば、不足した電解液に蒸留水で供給されるとともに圧力弁のソルティングも洗浄されていく。つまり蒸留水を吸わなくなり容量もそのころには回復していることになる。

そして内部の電解液が規定量に達するとそれ以上は蒸留水も吸引されず、また安全弁もその頃は本来の密閉性を回復しているという具合である。

ドライアップが激しい電池では喝入れしても電流すら流れないものもあるが、わずかにでも発熱すれば回復する可能性があるが、長く放電したままで電極材が腐食したり崩壊してケースが膨化した電池は難しい。

つまりサンプルとしては、まだま新しいのに何ですぐダメになるの?高かったのに腹が立つ、というような電池に向いている。

なお蒸留水は放熱するまで満たしておればよく、残りはティッシュ清掃すれば良い。長くおくとサビが出る可能性がある。少量のサビは古歯ブラシで清掃できる。

結果

Webmasterは、この手法を、代表的な高容量モデルであった

パナソニック HHR-3XPS 2400mAh
サンヨー HR-3UF(L) 2300mAh
GP 230AAHC 2300mAh

の各8本ずつのサンプルで試した結果、その全てで液晶テレビ2時間動作という本来の容量への更生を確認した。

これらは比較的高価なモデルにもかかわらず、デジカメに2、3ヶ月の使用しただけで劣化した生悪モデルである。サイクル寿命にして数回という情けなさであった。同じような腹立たしい経験をした人も多いのではなかろうか。

一方、手元にある1300mAh程度の安価なモデルは規定のサイクルに向かって生き延びている。つまり容量とサイクル寿命は反比例するという詐欺的な結果なのだ。

そのせいか、最近は各メーカーは高容量モデルよりは低容量モデルに注力している。ひとつには低容量のエネループが成功していることがあるだろう。

webmasterの手元には30年前のサンヨーニッカド電池450mAhがあり、実用的な容量を保っている。サンヨーがエネループとか比較的低容量でサイクル寿命が長い電池をさかんに喧伝しているが、秘密のひとつは少なめの具(電極材料)と多めの汁(電解液)ではないかとWebmastserはにらんでいる。

(注意)電池を一流電機メーカーの充電器で充電するリスクは低いと考えられますが、喝を入れる操作(5A 5秒間)には爆発や電解液の飛散などの危険性が考えられます。当サイトは一切責任を担保しません。

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リーフはプリウスより本当にエコなのか?のナゾ

昨年12月に発売された日産リーフは、まだ一度も目撃していない。一月までに納車されたのは予定を下回る国内1000台、米国106台に過ぎず、その多くは地方自治体やレンタカーになったようで、ネットを検索してもユーザーの納車報告は片手にも満たない。電池の生産は予定よりかなり遅れているようだ。

EVで問題は航続距離である。ガス欠でもガソリンを補給すればすぐ走れる普通の車と違い、道路上でのEVの充電は簡単ではない。急速充電には重量2トンの60KWh級発電機を要するので4トン以上のトラックが必要だ。

何より、高速道路でガス欠等で本線上で停車すれば高速自動車国道等運転者遵守事項違反で2点および反則金7000円となることを忘れてはいけない。ガス欠等は予想できない故障とは異なり予想可能という解釈なのである。従って日産やJAFが違法行為である電欠に対し事業として高速道路上で充電を行う事は法律上難しい。

日産のホームページではJC08で200kmの航続距離とされているが、プレスへの配布資料には

  1.北海道の草原地帯を時速60キロメートルでエアコンオフで走行すると航続距離220Km

  2.都心の渋滞が多い道路を真夏にエアコンフル稼働で平均時速10Km程度で走行すると航続距離75km

  3.高速道路走行時は空気抵抗が大きくなり欧州走行モードで平均時速81kmで走行すると航続距離76km

と、予想をかなり下回る。しかもマニュアルバッテリーロングライフモード(容量80%)を推奨、週に一回以上急速充電するときは80%にすること、急速充電は寿命を短縮するので必要最小限とすること、と書かれている。

ネットで収集した電費は4.1から11km/kwhに渡り、エアコンなどを節約しつつ渋滞で6.5、流れの良いところで8.8だという。航続距離については三浦半島旅行に5回充電を要したとの報告がある。

約束の半分以下に後退した性能だが、他に車があり毎日決まった道筋で半径50km以内の移動に限れば実用性が無いとは言えない。問題は最新のエコカーと比べ本当にCO2の節約になるのか、またガソリン代が節約になるのか?である。早速試算する。

日産はJC08モードで電費が24wh/km = 8.06km/kwh、電池容量25kwhでの航続距離を200キロとしているが信用できない。というのはJC08モードの走行距離は8.2kmに過ぎず、これを繰り返すとしても電池残量が減ると出力制限がかかりJC08モードの加速を全うできないからである。こういう雑な計算が日産の信用を激しく毀損する事に気づかないのだろうか?

さらにJC08モードの測定ではランプやエアコンなどの電装品がオフなので、実用ではネット報告の中央値である7km/kwhが適当だろう。

注:EPAラベルでは99mpg、電費は4.7km/kwhと厳しい値が出ている。(2012年4月追加)

CO2負荷から解析

ここで1kwh=3600 x 10^3 J = 857.14x10^3 cal=ガソリン82.41g(10.4Kcal/gとして)= 109.8 ml(比重0.75として)となる。1000ml/109.8mlはほぼ9なので、ガソリン1L当たりの燃費に換算するには電費に9をかければ良く63km/ガソリンLとなり、一見よさそうである。

ただしリーフがゼロエミッションであっても、電気を火力か原子力で作るので効率を計算しなければいけない。例えば原発が無いために最も排出の多い沖縄電力の0.931kg-CO2/kwhは、重油の(3tonCO2/kL=3.3kgCO2/kwh)27%の効率にすぎない。

注:日本エネルギ−研究所によると原発が止まった2012年の全電源CO2排出源単位は0.58となる見込みである。(2012年4月追加)

とすれば 63 x 0.27 = 17.1 km/lとなり、プリウスはおろか今時の普通のエコカーより悪い。沖縄などの愚かな自治体がた計算もせずリーフを導入しているが、CO2が増える上にエコカーより250万円もコスト高である。どうして預かった税金を無駄使いできるのか理解できない。

Webmasterの地元の電力会社は関西電力に次いで効率が良く、金で買ったCO2排出権を省くと約56%の効率である。これは原子力発電が多いことによるが、建築費や稼働率、最終処分に金がかかる原子力の発電コストが火力の数分の一と言う前提には疑問が残る。この数字を信用すると63 x 0.56 = 35km/Lとなり、一見プリウスを超えるように見える。

ただし、リチウム電池の充電効率が90%程度で、また大電流が流れるケーブルとインバーター充電回路の効率を最低でも80%はは見込む必要がある。

マニュアルに充電中にラジエーターファンが間歇的に回転するので注意するようにととある。夏季に幅の広いラジエーターのファンが回ると言うことは水ポンプで賄いきれない発熱が充電中に出るわけで、都市部の深夜ではエコキュートみたいに騒音クレームになるかも知れない。

この場合は35 x 0.90 x 0.80 = 25.2 km/lとなり、プリウスの22.6km/Lから数キロの通勤を除いた数字とかわらない。さらにリーフを製造にはプリウスとの価格差150万に相当する石油を消費すること、多くの電力会社の効率はさらに悪いことを考えれば、リーフはプリウスよりCO2を多く排出するのである。

もちろんプリウスのガソリン運輸や精製にもコストはかかる。しかし平均燃費3km/Lの10トンローリーが製油基地から平均100キロ運輸するとしても、経由消費は33L(10トンの0.33%)に過ぎない。分留のコスト数%を加えても、発電所と製油所の岸壁で重油をおろす段階からのコストを含めてもリーフの不利は変わらない。

注:2012年の全電源CO2排出源単位0.58見込みから、日本においてリーフは確実にプリウスより10%二酸化炭素を多く出す計算になる。(2012年4月追加)

燃料費からの解析

プリウスと同じ月800キロ走るとすると電費7km/kwhから114kw/hの電力を消費する。充電効率、ケーブルと充電回路の効率を前述の通り72%と見積もると、月使用量が300kwh超の我が家では21.72円/kwhなので、リーフの電気代は(114/0.72)x21.72 =3439円となる。プリウスを22.6km/lとしてガソリンを135円/lとすれば(800/22.6)x135 =4778円なので、プリウスより1329円安い

注、2012年4月現在の計算は次のようになる。

プリウスと同じ月800キロ走るとすると電費4.7km/kwhから170kw/hの電力を消費する。充電効率、ケーブルと充電回路の効率を前述の通り72%と見積もると、月使用量が300kwh超の我が家では25円/kwhなので、リーフの電気代は(170/0.72)x25 =5902円となる。プリウスを22.6km/lとしてガソリンを150円/lとすれば(800/22.6)x150 =5309円なので、プリウスより593円高く差額は回収できない

さらに深夜電力Bを半分つかうとすると増分、(170kwh/(2x0.72))x25円/kwh (=2951円)+ 深夜基本料金204.75円+ (170kwh/(2x0.72))x8円/kwh (=944円)= 4099円となり、プリウスより月1210円安くなる

しかし税金や取得費を無視してリーフ価格376万円ー補助金77万=299万とプリウスS+ナビの約230万との差は約70万で、月1210円の節約してもペイするには578ヶ月=48年かかるのでイニシャルコストを燃費で回収するのは絶望的である。

リーフでは月1500円のサポートプランで日産店での充電が無料、また電欠時は無料でレッカー移動してくれるが、人間はレッカー車には乗れないのでタクシーを呼ぶ必要がある。1500円払えば従量Bではこの時点で赤字、深夜電力併用でも月約1000円の差(2012年にはマイナス210円>しかない。

さらにプリウス30の電池交換が12万円+工賃また過去データから10年程度の電池寿命を期待できるの対し、リーフのリチウム電池は約150万円??+工賃程度と言われており実際のデータも無い。距離が進んで電池交換を控えたリーフの査定はエクストロイドCVT車と同様にマイナス(引き取り費を払う)であろう。

それは電池交換に要する150万??でビッツかフィットの高級グレードが買えるからだ。最近のエコカーは満タンで500キロ以上走り、十分エコである

どんなユーザーに向くのか?

コスト的にリーフは誰にも向かないが、唯一挙げるとすれば地方の一家に複数の車がある家庭である。家族が出払った後に主婦が半径50km以内を移動し、電欠でも交通量からブーイングを浴びない路肩に止める余裕があり、車も家族が家まで牽引してくれるとすればサポートプランも不要でプリウスより月1000-2000円の節約になる。

ただし、イニシャルコストが高く航続距離に難のあるリーフを選ぶには強力な動機付けが必要だろう。先進のエコカーに乗りたいという動機があるかもしれないが、まともに計算すればが増CO2なので誰も誉めてくれないだろう。

他に、費用は一切気にせずリーフに誰よりも先に乗って注目を浴びたいとする動機であればコストは関係ない。ただしプリウスも多くの時間はEVとして走っていることを考えると、乏しい差に大枚を払う動機としては弱い。

それより怖いのは家族である。長年走行不能な故障が無かった我が家の190Eが、廃車寸前にたった一回だけ燃料ポンプ故障で玄関の先50mでエンコし、家族に自宅まで押させた後からプリウスが納車されるまで、”早くポンコツを処分しろ”、との罵詈雑言を浴びたことを思い出すだけで鳥肌が立つ

もし家族を乗せてエアコンを切り、ノロノロと走り、充電で時間をロスし、さらには電欠をやらかせば”何でビッツやフィットの3倍も払って欠陥品を買ったのか?即刻買い換えないさい。あんたが電話しないなら、私が今ディーラーに電話して引き取ってもらう!!!”と雷が落ちる可能性がある。

女性は故障が少ない国産車のトラブルには外車のトラブルより厳しい。リーフだと、これはドイツ車だからとかラテン車だから故障して当然とかの言い分けは通用しないし、家族が気に入っていた190Eでもこの扱いである。

さあ、あなたは罵詈雑言に耐えられるだろうか。私は自信が無いし、向こう10年はケンカの度に蒸し返されることも予想される。

家族の怒りは電欠よりも100倍怖いのである。

注:EPA電費4.7km/kwhから計算すると、償還もさらに長くなるということになる。(2012年4月追加)

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プリウス燃費神話のウソホントのナゾ(納車満一歳の冬編)

ディーラーから1年点検のハガキが来た。そう、Webmasterと誕生日が同じ我が家のプリウスも満一歳になるのだ。

プリウスと言えばまず燃費である。1年の走行は約8000キロで新車時からの燃費は22.6km/l、平均速度は28キロと出た。

これまでの23.1kmlから低下している原因は寒波で暖機時間が長くなっているからで、ガソリン補給の度にリセットするトリップBのグラフが事情を物語っている。また寒さで遠出が減っていて距離も伸びていない。

プリウスは暖機が水温40度で停止する。しかしヒーターを入れると水温80度程度まで暖機しようとするが、その間は何故かオートモードにもかかわず冷風が出る。従って数キロの短い通勤距離では冷風が出るヒーターはオフとして純毛100%の膝掛けの方がずっと実用的である。

帰りは気温が上昇しているので1キロ足らずで暖機が終了し、朝の暖機のせいでバッテリーは満タンになっている。従って、帰りはかなりの時間バッテリー走行できるので、写真のように18km/l程度の燃費となる。

当地でも零下となると窓が凍りヒーターが効くまで走行できないから燃費は15km/lを割る。しかし帰りはバッテリーが満タンなのでバッテリー走行が長くなり、やはり17km/l以上の燃費となる。

つまり、よっぽどヘンな走り方をしない限り、プリウスは同クラスの車の倍以上は走る。もしあなたのプリウスがそうでなければ寒冷地でなければ運転がエコでない(エコヘタ)なのである。

プリウスの低燃費のキモは何か?

タコメーターを眺めながら走っていると、プリウスがどうやって燃費を稼いでいるかがわかってきた。プリウスは半EVな車だがエネルギーの源はあくまでガソリンエンジンであり、エンジンは部分負荷の燃費が非常に悪い。図をみていただきたい。

これは良く見るエンジンのトルク、馬力と回転数のグラフであるが、実は普通の運転でエンジンがこの図のトルクを発生していることは殆ど無いという非現実的なグラフでもある。

これは発電機に可能な限り負荷をかけてエンジンが回転を維持できるのに最適なスロットル開度とした時のトルクなのであって、僅かに負荷を増やすとエンジンはガタガタと止まってしまう。馬力の少ない軽がトップギアで坂を登りエンジンが止まる寸前がそれに近いが、そういう運転をするドライバーはいないだろう。

プリウスの時速100キロ走行に必要な馬力は約25馬力であり、図からそれは約1500rpmで発生できる。実際にプリウスは時速100キロでは約1500rpmで巡航している

しかし国産車で100キロで回転数が1500rpmと低いのはV8の大排気量車位であり、普通の車では2500rpmは回っている。100キロで1500rpmに設定できない理由は、この回転数では加速できず僅かな起伏や抵抗でエンジンがノッキングするからである。

仮にプリウスが100キロで2500rpmのギアリングで走るとすれば、図の青線の馬力に相当し、これは全負荷45馬力の55%の部分負荷ということになる。

当然アクセルは戻し気味でスロットルを絞った状態で、スロットル上下の圧力差x空気量のポンピングロスと2500rpmのフリクションロスが発生し燃費が悪くなる。

一方プリウスはモータートルクが上のせできる上に、電子式無段変速なので、低回転高負荷からでも直ちに加速できる。だからプリウスは100キロ巡航で全負荷に近い1500rpmの設定にできる。

もちろん全負荷に近くてもスロットルは全開では無くポンピングロスは発生するがアトキンソンサイクルと大容量クールEGRでそれを最小限としているわけだ。

プリウスの高速燃費は空力で稼いでいるのか?

よくプリウスは電池とモーター2個分重いために高速燃費は通常のエンジンの車より悪いのを空力係数0.25で補っているという説があるが、合法的な高速巡航に関しては正しくない。エンジンを普通の車より低回転高負荷で使うからだ。

また、トヨタのTHSは高速巡航時にエンジンオフしてモーター走行ができないので燃費が伸びないという説があるがこれも正しくない。それは現在のHVに搭載できる電池容量では高速巡航時にエンジンをオフにする理由が無いからである。

図の通りプリウスは100キロ巡航に25ps=約18kwhが必要だ。しかし電池容量は1.3kwhしかなく、リチウム電池を積むフーガハイブリッドもほぼ同じである。連続使用できる容量は電池やインバーターの発熱から1kwh程度であろう。

とするとプリウスが100キロをモーターで維持できる時間は1/18hrつまり3分にすぎず、実際には高負荷リミッターがかかるから1、2分も無いだろう。つまり、現代の電池テクノロジーでは高速をモーターで走行するのは得策ではなくエンジンを低回転高負荷で使う方が現実的なのである。

事実23Kwhの電池容量を持つリーフでさえEC高速モード(平均75km/h)の航続距離は75kmに過ぎず、充電スタンドがどこにでもあるわけではないので高速では安全をみて30分毎に充電が必要になる。かくも車の高速走行は大量のエネルギーを食うのだ。

ただし、エンジンの最大出力が関係する最高速度に関してはトヨタのTHSに特有な制約がある。ドイツ規格ではプリウスの最高速度(=最高巡航速度)は180キロで、プリウスとほぼ同じ前面投影面積と馬力のオーリス1.3Lは175キロである。

オーリスの空力係数は0.3、プリウスが0.25なのでプリウスの最高速度は190キロを超えるはずだが、そうでないのはTHSの動作に制約があるからだ。

プリウスのTHSではエンジンはプラネタリーギア、駆動輪と駆動モーターは周囲のリングギア、発電機は中央のサンギアに繋がっている。クラッチが無いがどうやってクラッチオフするのだろうか?

サンギアの発電機の電線をはずし、電気的な負荷を開放するとサンギアは空回りする。この状態でエンジンがどんなに回転しようがトルクはリングギアに伝わらず車は前進しない。これがクラッチオフに相当する。

次にサンギアの発電機の出力をショートして最大の電気的な負荷とするとサンギアは停止する。この場合はエンジンのトルクは全てリングギアに加わる。

実際にはTHSはサンギアの発電機の負荷を調節(PWM)することでエンジントルクを駆動輪と発電機の分配するとともに、エンジンと駆動輪の間の減速比を変化させている。

まず、アクセルの踏む量、踏み込む速度と走行速度から必要な馬力を推測し、それをエンジンとモーターに割り振る。エンジンの回転数ートルク曲線に当てはめて効率の良い最小の回転数でエンジンを駆動し、その回転数と走行速度がマッチするように発電機の負荷を決定して減速比を決める。従ってエンジン出力の一部はギアを経由し(パラレル)、一部は発電機とモーターを経由して(シリーズ)車輪に伝えられる。

電池容量が十分であればエンジンを停止し、サンギアの発電機を開放することでエンジンと駆動輪の関係を断ち、モーターだけで走行する。電池容量が低下してきた場合は充電に必要な馬力をその分積み増し、インバーターがモーターを駆動する電力と電池を充電する電力に分配する。急加速では必要馬力の一部を電池に負担させるロジックだ。

つまりTHSでは必ずエンジントルクの一部を発電機とモーター経由で駆動輪に伝える必要がある。また発電機はエンジン始動時にはモーターとして働くし、駆動モーターも回生時には発電機となるので、THSは2つのモーター兼発電機を両方向に制御するインバーターのがキモであると言える。インバーターの制御電力は数十kwとなるので、当初産業用の高価な半導体を使用していたためにコストが高く、かなりの時間プリウスは赤字で販売されてきた。

プリウスには遊星歯車一段とデフギアしかないのでメカニカルロスは最小だが、発電機とインバーター、モーターと経由するためのロスが発生する。最高速で10PS前後のロスと仮定すれば、最高速がオーリスに比べて空力係数の割に伸びないことが説明できる

もちろん、シボレーボルトのようにサンギアをバンドブレーキで固定すれば、エンジントルクの全てをメカニカルに伝達できるが、変速機の構造が複雑になる。何より磨り減るクラッチが無いTSHのシンプルさを損なうので、そうしないのだろう。

プリウス20がアウトバーンで可能な高速巡航が160キロ+と見劣りしたことに比べれば排気量を拡大したプリウス30は十分な高速巡航速度を持つので、これで良しとしたのだろう。

以上を頭に入れるとプリウスのエンジンをなるべく全負荷に近い状態でON-OFF動作させると燃費が向上することがわかる。印象としては「電車でGo!」の感覚に近い。最大負荷に相当するのはハイブリッドシステムインジケーターでエコゾーンの最右端でパワーゾーンに入らないポイントとなる。通常の車の流れではこの当たりの出力で間に合うように設定されている。

発進加速が速い幹線ではパワーゾーンに入るが短時間なら燃費にはあまり問題とはならない。要するに、信号が青になったら流れに沿って巡航速度+αに達し、その後は一旦アクセルを戻してモーター走行の巡航に入れば燃費が良くなる。ノロノロ加速するとエンジンが低負荷で働き燃費が悪くなる。

過去ロータリー車を2台経験したWebmasterの右足は鉛のようい重いが、それでも190Eの約3倍の燃費となるのは驚異である。過去ガソリンがリッター220円まで高騰した事があるがこの車なら660円でも維持できるだろう。

プリウス製造に要する余計なコストは回収できるか?

プリウスは作るのに余計なエネルギーがかかるからエコで無いという説がある。面白い指摘だがWebmasterは当たらないと思う。確かにプリウスは同クラスの車(プレミオあたり)より若干高い。しかしそのコスト差が消費する資源は価格差分の原油に換算できる。昔だったら米価に換算すべきだろうが現在はオイル本位制である。

ハイブリッドシステムにはいろいろな部品があるがコストは材料を掘り、精製し、輸送し、設計し、開発し、製造するのに必要な原油に換算できる。コストには人件費やプレミアムがあるとの意見もあるだろう。

しかし人間を育てて再生産するにも原油が必要だし、農作物も海産物も道具を作り動かすのにも原油が必要である。プレミアムで儲かる人間も結局は所得を消費するwけで、フェラーリなりワインなり豪邸にせよ最終的には油代に換算できる。

とすれば、つまりはガソリン節約分とコストの差額を比べるという考え方がなりたつ。ところでWebmasterのように年8000キロしか走らないユーザーで投資コストに見合う節約になるのか?

計算では8000キロに要するガソリンは354L、価格は平均133円として47082円となる。これは190Eと比べれば約1/3、プレミオ(carviewの平均燃費12.2km/L)と比べると約1/2となる。プリウスの内装はカローラ以より質素だが安全装備はクラウン並と比較が難しい。

仮にプレミオで同じ安全装備を積むなら2.0G“SUPERIORパッケージ”+車両安全装置=276万となる。”1.8X”にカーテンバッグにオプション設定が無い車両安定装置やオートエアコン、スマートキーなどを装備すると仮定すると210万程度だろうか。この時点でプリウスのLグレードやSグレードとは殆ど差が無い

安全装備を無視して仮に15万円の差があるとしても、プリウスとプレミオのガソリン代の差で割ると約3年になる。年間走行が12000キロなら約2年、20000キロなら約1年と、思いのほか短い時間でペイする。

プリウスの不思議な運転感覚、給油の度に実感する低燃費、そして行動範囲が広がること、最新の安全装備を持つこと、ガソリンが今後上昇することを考えるとプレミオは比較対象にならないと思うが。セダンの設定が無いのでチョイスしない人も多いと思うが、ハッチバックの方が来るべき高齢化社会で車椅子を載せるのに便利だろう。

プリウスは毀誉褒貶の絶えない車であり、何かと説教がましい挙動を見せるプリウスに100%のドライバーが満足するとは思えない。軽量化のためにアルミ部品などにエキストラコストを掛けつつ、貧弱な内装と冷暖房をケチるポリシーに賛同できない人も多いと思う。

しかし、少なくともWebmasterは我慢というよりは、設計者のメッセージなりポリシーを読み取りながら楽しく走らせている。ある意味この車は来るべき暗鬱たる未来社会の踏み絵なのかもしれない。

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10年目のADSL契約変更のナゾ(いまさらADSL編)

公私ともに激動の新春を迎えたが、通信環境もまた大きく変化している。

WebmasterがADSLを引いたのは2001年5月で通信業者はcoaraである。coaraは1985年に発足し大分県とNTTとのバックアップを得て1999年暮れにADSLサービスを開始している。東京めたりっく(現・ソフトバンクBB) がADSLを開業したのは2000年なのでcoaraは日本最初のADSLサービス業者なのである。

Webasterは福岡coaraでのADSLサービスが開始されてすぐ加盟し、同時にメルコの無線LANを導入した。当時の無線LAN(11b)はルーターとカード2枚で10万円近かったことを覚えている。

そのためか、家族は10年来パソコンは電源を入れれば携帯電話のようにネットに直接繋がるものと思っており、ADSLや無線LANのインフラの存在は意識すらしていない。

ところでWebmasterは1997年ごろに某所で構内用(NTT未認定)として売られているADSLモデムを目撃したことがあり、

July 1、1997:ADSL(電話回線高速モデム)のナゾ

というトピックを書いている。当時はISDNを擁するNTT中央は商売の邪魔となるADSLに消極的というより否定的であったが、coaraの大分県での実験に関には地方の情報ギャップを埋めるという意味もあり協力的だったという。そして2001年の我が家への導入後すぐ、

June 24:アジアの風ADSLの速度のナゾ

というトピックで紹介してる。モデムはブリッジモデルのWestellB90であり、ルーターの設定は固定、つまり貴重なグローバルアドレスをいただいた。このため、さまざまなサーバーを自宅で立ち上げて実験をやったことを思い出す。

当初の実測値は1Mbps前後だったが、無線LANとの組み合わせはモデムに比べると夢のような環境であった。当時のwindowsのRWINなどの設定が過小であり、ネットの幹線もブロードバンドを前提でなかったため、スループットを改善のためのパラメーターの試行錯誤なるトピックを、

June 31:ブロードバンド最適パラメーターのナゾ

に書いた。パラメーターの改善でだけで契約のフルスピードである1.5Mbpsが出るようになった。その後のある日coara側の機器が更新され、同じモデムでも速度が5.7Mbpsまで向上した話は,

□Nov. 4:ADSL丸儲けのナゾ

に書いた。WestellB90なる米国製モデムはISDNとの干渉を考慮していないAnnex.A規格で、Webmaster近所に少なからぬISDNユーザーがいたにもかかわらず、である。

要するにNTTが言っていた「ISDNが混在する日本ではADSLのスピードが出ない」なる言い訳はウソであった。事実softbankBBも大量にAnnex.Aの怪しげなモデムをバラ撒いたが速度はISDNのノイズよりは距離による損失が支配的であった。

この速度はルーターとの直結で計測したが、無線LAN11bの天井が5Mbps前後なので十分な速度と言える。

NTTは当初ADSLに消極的だったが、ソフトバンクBBが拡販に走るとNTTも方針を変換し拡販に転じる。しかし光回線が普及を迎えると猛然と光化を図っている。

個人的には光化によって、”あなたが電話を引いたときの債権(設備協力費)は光化で無効になりました”と納得させるためではないかと疑っている。

しかし不幸なことに2010年暮れにcoaraからインフラをフレッツADSLに変更して欲しいとの連絡が来た。おそらく光化が進み独自モデムを局内に収容するコストが出なくなったのであろう。ただしIPはグローバルではなくPPPoEとなるのでサービスとしては格下げになる。

そこで一気に光化することも考えが、個建ではインセンティブがあっても月の料金が高いので結局は出費増となる。パケ使い放題の携帯電話が一家に5台もある時代に無駄な出費ではないか?

Webmasterは各所で光回線の速度を計測した事があるが、有名サイトであっても数メガbps程度の速度しか出ていなかった。新品パソコンでも設定不良やウイルスソフトのため10Mbps出ない場合も多い。また10Mbps以上を要求するVODサービスも自宅の回線で支障はなかった。従って銅線にこだわるwebmasterがADSLの8Mbpsを選択したのは当然である。

なにより光化で電話債権(設備負担金)がチャラなる雰囲気がキライだ。

そして新春に届いたモデムはルーターモードに設定されており、光電話を前提とした中国製であるが、光電話ポートには一個しか電話機がつながらない(電流制限のためか)点は疑問である。

電源がシリーズ型なのはノイズ対策だろうか。電話線と電脳機器やLANケーブルなどのノイズ源が近いと速度が出ないので、これらの配置はかなり重要である。どの程度ノイズが乗っているかはAMラジオを近づけるとすぐわかる。

モデムが届く前にcoaraから来たのはPPPoEのIDとパスワードが書かれた紙切れ一枚と不親切であった。古参ユーザーが多いcoaraなのでこれで十分、解らなければ電話で聞け、という考えなのだろう。

しかし今時、個建では無線LANが常識で、自宅からも無線ルーターが8個も見えていて、いくつかは暗号すら設定されていないのが実情だ。設置にはモデムをルーターとし無線ルーターをブリッジとする方法、またはモデムをブリッジとして無線ルーターはそのまま使う2種類の考え方がある。

無線ルーターは2、3年前に売れ筋の製品に更新されていたので、まさかフレッツPPPoEの握手に失敗することは無いであろうし、無線LANの子機の設定が面倒なので、今まで通りモデムをブリッジとした。ただし変更方法は説明書にはなくCD-ROMにあるので、初心者は途方に暮れるのでは無いか

実際にはルーターをPPPoEの設定とし、モデムを差し替えただけでトラブルなく開通し、メールサーバーの設定変更は不要であった。Tracertでみても自宅と局間のインフラが変わっただけである。

短期間のネット途絶に依存症の家族からの文句は無かった。今時、携帯があるので自宅のネットが1日不通でもたいした問題ではないのだ。有線電話もかかってくるのはセールスばかりだ。

肝心の速度は最高6Mbps弱、平均4-5Mbps程度と大きな変化は無い。今時の光のお家に比べると一桁低い数字だが、10年も5Mbpsで生活していると速度なんか水道のようにどうでも良くなるのだ。むしろ速度より安定していること、また35年前に投じた設備負担金のご利益がいまだに生きているという実感?のほうが余程ハッピーに感じられる。

現時点でもやはりインフラの速度よりはネットの混雑状況の方が実用速度には支配的である。ただ回線が距離1.5キロなのに損失37dBと90年代の新設地下埋設としては悪い(NTTのサボタージュか?)のにはあきれるばかりだが、損失に見合った速度なのでこれ以上の努力は無駄である。

そもそも諸外国より我が国のADSLの速度が出ない理由は、NTTがいうようにISDNとの干渉のせいではない。世界で最高の品質の電線と光ファイバーを生産している日本で、つい最近まで開発途上国でも使わない性能の低い紙コヨリ絶縁の電線を使いつづけたNTTの怠慢のせいなのである。

ところでPPPoEで不安なのがロケフリ(SlingBox)である。これは遠方からセットトップボックスをリモコン視聴できるスグレ物であるが、アドレス固定でないと自宅のSlingBoxが見つからない可能性がある。

これもSlingBoxの遠隔視聴セットアップを再度行う事で可能となった。シカケはSkypeと同じでuPnPを用いてルーターのポートを開放し、専用サーバーに変動するIPをレポートしている。ハードが安っぽいSlingBoxだが、世界中で普及しているだけに設定やソフトウェアは優秀である。

これで全ての更新は終了したのだが問題が2つある。最初は、最高速度がcoaraインフラだった時より数%遅いことである。原因はAnnexC仕様であること、PPPoEのMTUが1454と小さいなどのオーバーヘッドのせいだろう。

もうひとつの問題はADSLがあと何年続くか?である。かつてWbmasterは光や無線ブロードバンドが普及してもADSLはしぶとく生き残るであろうと書いたが、どうやらそうなる様子である。

インターネット総研の資料(2010年3月によるとシェアはADSLが30.4%、光が56.0%、CATVが13.6%であり、ADSLのシェアは970万件から13年3月末には570万件にまで減少すると予想されているが、減少は2009年あたりから穏やかになっている。

これは都市部の集合住宅で急速に光化がすすんだものの、設備費がかかる郡部の個建てへの普及が遅れているからである。現在の工事料金では郡部でのファイバー工事がペイしないからだと思われる。

またスマートフォンの普及も関係しているだろう。スマートフォンには無線ルーター化できるものがあり、家にブロードバンドを引く必要が無くなる。いずれにせよ、ADSLが無くなるまで10年はかかりそうでだが、銅線フェチのWebmasterであっても安価で光化されるならADSLにしがみつく必要は無い。

NTTは2025年までに銅線に依存したサービスを全廃すると言う。とするとNTTがADSLの巻き取りを決意した時点が終焉の時期と思われる。しかしNTTの収益は子会社ドコモに依存しており、その経営状況はスマートフォンの動向で変わりうる。

また無線ブロードバンドの普及や経済事情によってADSL終焉のシナリオはどうにでも変わり得ると思う。銅線がなくならないのは電子化された現代でも紙が無くならないのと同じなのだろう。

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