Oct. 29:ハンバーガーでサバイバルは可能か?
Oct. 22:21世紀借金金利のナゾ
Oct. 15:オークションに見るアマチュア無線の将来のナゾ
Oct. 8:ハードディスクの無いマックのナゾ
Oct. 1:噴火予知のナゾ
出張が多くて更新もままならないWebmasterであるが、出張先でハンバーガー屋Mのお世話になることもしばしばである。これは悪食で有名な某先生の影響だが、彼は出張中は朝も昼も夜もハンバーガー(@65円)であり、さらに夜には明日の朝の分まで買っておくという念の入れ方である。にもかかわらず病気をしない所を見ると、Mのレシピに何か重大な秘密があるのかも知れない。
いずれにせよ早朝から深夜まで空いていて全国均一の品質と価格が保証されているのは味的にはともかくサイフ的には安心ではある。同じフランチャイズ店でも、調理が怪しい某ビール会社系のレストランよりはよっぽど店員教育と管理がきちんとしている。M$や@ppleにもこのシステムを採用してもらえば、さぞかしバグが減ることだろう。
まず最初に調べておきたいことがあった。米国のバーガーは日本のものよりかなり大きな印象があったがどうだろう。日本版栄養情報はかなり解りにくいところにあるが、米国版栄養情報はすぐ見つかる。それによると日本のバーガーは100g(248Cal)だが米国のそれは113g(270Cal)と若干大ぶりだが思ったほどの差はなく、栄養成分もほぼ同じであった。ただ日本で最大のものはビッグマックの221g(526Cal)だが、米国ではBig Xtra! Cheese NEWの490g(810Cal)でありさすがに大きい。
米国では”ジャンクフード”とか”グリース”とか呼ばれる食い物であるが、過去大規模なMバッシングがあったせいか、サラダを増やすなどの変更があり、また店頭に栄養価と注意(バーガーだけでは栄養が不足しますよ)が掲げられるようになった。またスチロール樹脂製のトレイも紙製になっている。
日本では栄養不足に対する注意を見かけないが、おそらく日本では一日中バーガーを食っていて栄養不良になっても訴えられないからだろう。また米国ではメニューにサラダ類があるが日本では見かけない。これも日本人は一日中バーガーを食うことは無かろうという考えなのだろうが、某先生のような客がいないとも限らない。果たしてバーガー屋の製品だけでサバイバルは可能であろうか。低成長化で出張費削減の時代であるが、食事を抜くと唯一の資本である体が維持できない。そこでハンバーガー屋で最低限の予算で栄養を満たしつつバイバルを図る最適解を考えみたい。
まず基本的な製品の栄養価はどうだろう。概算で大人(男、2000Cal)の厚生省による栄養必要量と主な成分を比べてみる。ナイアシンと塩分は問題無いのでここでは取り上げない。
size Cal Prot. Fat CH Ca Fe VitA VitB1 VitB2 VitC /serv Kcal g g g mg mg IU mg mg mg ----------------------------------------------------------------------------------------------- 必要 - 2000 70 50 390 650 12 1800 0.8 1.1 50 Burger 100 248 12.5 8.1 31.3 34 1.3 40 0.08 0.12 微量 Cheese 115 310 16.2 13.1 31.7 132 1.4 260 0.09 0.17 微量 Double 139 344 20.2 15.8 30.2 38 2.4 60 0.11 0.18 微量 orange 247 90 1.5 微量 21 18 微量 010 0.12 0.02 69 milk 227 138 6.6 7.9 10.2 227 0.2 250 0.07 0.34 微量 eggmac 137 303 19.7 12.9 27 164 1.6 520 0.23 0.32 14 sausage 158 434 22.8 26.1 26.9 183 2.2 490 0.28 0.4 微量 egg Calorie 81 400 8.2 22.2 50 200 3.4 900 0.6 0.6 50 Mate ----------------------------------------------------------------------------------------------- CH:炭水化物もし標準のバーガー(65円@平日)8個で2000Calのカロリーを確保するとカルシウム、鉄、VitA、VitB1、VitB2は不足し、VitCは全く補給されない。これがチーズバーガー(80円@平日)6個だとかなり栄養は改善しカルシウムは満足するが、鉄は大幅に不足し、ビタミンA、B1、B2も不足気味である。
もしチーズバーガー6個+ミルク1杯(227g)+オレンジジュース1杯(247g)とすると、依然として鉄は大きく不足するが、VitA、VitB2がVitCは必要量を満足し、VitB1が必要量の90%と、あと少しである。
そこでチーズバーガー一個を減らし、代わりに卵を含んだエッグマックマフィン1個+チーズバーガー5個+ミルク1杯+オレンジジュース1杯(お勧めセットA)ではどうだろうか。これだと依然鉄分は必要量の73%に過ぎないが、Vit類は必要量を満たすことになる。実際には朝の間はおトクな半額バーガーが無いので、半強制的にこの組み合わせになる。
さて問題の鉄分である。ソーセージエッグマフィン1個+ダブルバーガー4個+ミルク2杯+オレンジジュース1杯(お勧めセットB)だと必要な栄養を全て満たすことになる。ただしチーズバーガーが80円@平日であることを考えると、かなりバリュー感が後退してしまう。ここでダブルバーガー1個をCalorie Mate(@200円)1個に代えると全ての栄養素が満足されるが、食味とのマッチングに難点がある。
実際にはハンバーガー屋の商売の都合で、上記の組み合わせは必ずしもバリューでは無い。栄養情報を見れば解る通り、フィレオフィッシュ1個、チキンナゲット1個の栄養はそれぞれチーズバーガー一個に近い。従ってお勧めセットからチーズバーガーを1個減じて、変わりに朝のフィレオフィッシュ付きのバリューセットに交換しても栄養的には大きな問題は無い。
ここでわざと触れなかったメニューがある。まずフライドポテトだが、カロリーに比して脂質が多く野菜のクセにビタミンが少ない。従ってハラを減らした子供以外には勧められない。同様にシェイクもカルシウムは高いがビタミンAや鉄分が皆無で脂質も低いところをから、骨太系脱脂粉乳に虫歯のモトである糖分を加えたものと考えて良い。しかしこれらのカロリーはバーガー1個分に近いから、これもハラを減らした子供専用である。もちろん栄養ドリンク類もカフェイン50mgでCPUを過剰クロックして寿命を削るだけだ。栄養不足を感じたら牛乳とオレンジジュースを飲めば良いし、眠いならコーヒーを飲めば良いのである。
というわけで、確かにMだけでサバイバルは不可能で無い様である。もちろん牛乳とオレンジジュースをコンビニで確保すれば、さらに豪華なオプション(アップルパイやポテトパイ)も視野に入ってくる。ここでは重要な要素として繊維が算出されていないが、通常のMにはサラダが無いので、ひたすらオレンジジュースを飲むしか無い。○○ファイバーとか言うドリンクで補給される繊維は有効性がかなり疑問である。
最後に老婆心ながら、この手の店ではこちらで触れたように、必ず水も注文することを忘れてはならない。旅先で虫歯が痛み出したらそれこそ最悪である。もし言い出しにくい場合は”持病の粉薬を飲むので水をくれ”、と言うのが良いかも知れない。
P.S.
当然ながらWebmasterは一日すべての食事をMで取ることを勧めるものではありません。あくまでもサバイバルとしてお考えください。
このページで借金の金利を取り上げたのは,
●Jan. 21:エコノミストと金利
であった。その頃は銀行は熱心に3年5年の固定型金利を勧めていたので、Webmasterは逆に低金利が続くと考えたのである。というのは、銀行がリスクを担保する固定金利を勧めることはかつては無かったにもかかわらず、やけに固定型金利を勧めるのが怪しかったのである。事実その後3年間は未曾有の低金利が続いたため変動型金利特に短期プライム連動型は固定型金利とかなりの差が開き、結果的に借主はかなり銀行の不良債権減らしに貢献してしまったのである。Webmasterはこのときの雑誌を使った世論操作を良く覚えている。
あれから3年半たった。政府の掛け声はともかく景気の先行きは依然として、そして常に不透明である。頼りのハイテクやIT関連も弱含みで土地価格の低下も続いており、これらは金利安要因として働く。一方日銀は低金利政策を修正し、いまだ解決しない不良債権に対してインフレ誘導論もある。さらに最近の原油高もあって金利高の要因も無しとしない。
こんな場合は、パブ記事に依存している雑誌がどう言うか、また銀行がどう言うかがカギになる。彼らの商売の都合を考えれば答えはおのずと出るであろう。まず、とある有力地銀の借金金利を見てみよう。いずれも30年以内で固定型は2000万以下、変動型は5000万以下である。
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固定型金利
5年以内 2.70%
10年以内 3.35%
15年以内 4.50%
20年以内 4.50%
25年以内 4.50%
変動金利
長期プライム連動型 2.20%
短期プライム連動型 2.625%
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なぜか都銀のレイトは有力地銀より1〜2%高い。またこれほどネット取引が恒常化しているにもかかわらず預金や借金のレイトが書いてない銀行のページが依然として多いのも驚きではある。本質的にITなんかどうでも良いと考えているのだろう。また記載も地銀より都銀の方が抽象的である。
さて固定型金利の5年、10年はかなり低く抑えられている。銀行は10年までのスパンでは依然かなりの低金利が続くと考えているようだ。また15年以上も4.5%と高くなく、低金利はかなり長く続くと見込んでいるようだ。一方、変動金利は短期プライム連動型と長期プライム連動型の金利が逆転しており、長期的には低金利が続くと考えているようだ。
そして雑誌や銀行のお勧めは固定変動選択型である。つまり、比較的短いスパンで金利の見なおしを頻繁に行い、その時点で固定型と変動型を選択できるタイプである。この場合の固定型金利は変動型よりは高いものの従来の固定金利より若干低いところがセールスポイントである。
選択型は一見合理的で、借主にとってリスクが低い取引に見えるがどうだろう。注意すべきは、金利を見直す時点で現在の金利が保証されるわけではなく、その時の金融情勢が影響することである。とすると、ある意味では取引全体が3年、5年毎に金利を見直す変動型と言えないことも無い。
その場合、銀行は従来の変動型金利よりは高い金利を確保しつつ、3年5年毎の金利見なおしによって金利変動リスクを回避することができる。もちろん銀行にとって、年2回の金利見なおしを行う変動型よりは逆さやのリスクが若干あるが、借り入れ限度額が固定型より低いこともあって、そのリスクは小さく、また長くは続かない。
というわけで、銀行は今しばらくかなりの低金利が続くが、その間に若干の金利高の波瀾要因が見込まれる。しかしそれは長く続かず低金利の基調は変わらない。そのわずかな波瀾はしかし選択型の場合は3年5年毎の見なおしで大きな損失にはつながらない。
ただひとつ読めないのは国債金利である。もし財政問題で国債の信用度が低下すると金利の波瀾要因になる。ただし、日本の高い貯蓄性向がその波瀾を吸収する歯止めになる。銀行はそう考えているのでは無いかと、本研究所のマーケット部門はリポートしている。最近運用成績の振るわないマーケット部門だが、その予想は当たるだろうか。
October 15
●オークションに見るアマチュア無線の将来のナゾ
仕事場で若い医者がなにやら熱心にパソコンの画面に見入っている。その目つきは論文を書いている時よりはるかに鋭い。何を見ているかと思ったら、インターネットの楽器のオークションであった。かなり取引の実状に詳しいようなので、Webmasterの持っているがらくたについて聞いてみた。
”あんまり使っていないSC-55MKII(MIDI音源)があるんだけど売れるかね?”
”あ、\1000ですね。売ると損ですよ。”
”え、どうしてそんなに安いの?”
”そんなの、MIDIやっているヤツのところには何台も転がってますから。珍しくないと売れないんです。
”じゃあ、MS-10(コルグのアナログシンンセサイザー)は?”
”あれは結構行けます。2,3万にはなるんじゃないですか。確かあれ純正の茶色のバッグがついてましたよね?”
”オマケでもらったやつ?ずいぶん痛んでいるけど。”
”あれを強調するともっと高く売れるかも知れない。あるいはバッグだけ別に売りに出した方がいいかも知れませんよ。それより先生の持っていたVL-1(カシオの最初の電子楽器)はどうしました?”
”あれ、捨てちゃった。”
”惜しい。あれは結構値が付きますよ。”
”え、あれが?"
”そうです。場合に寄っちゃMS-10より高いかも。この手のものは相場というのが無いんですよ。”
絶句したWebmasterであった。しばらく彼にレクチューを受けたが、一言で言えば売り手の情念はまったく関係なく買い手の情念で値段が決まるという事である。また珍品であれば少々程度が悪くても売れるとか。
ひょっとして、自宅に転がっている無線機のガラ類もこの際処分できるであろうか。早速アマ無線のオークションを観察してみる。
まず無線機のコーナーを覗いてみるが、無惨な状態である。たとえば144MHzや430MHzのハンディー機やモービル機で人気があるのは\5000以下の製品ばかりである。このセクターはやはり携帯電話の影響を最も大きく受けたのであろう。この値段ではむしろもう一台買いたくなってしまう程である。面白いことに無線機より携帯用広帯域受信機の方が動きが良い。
短波のSSB機はどうであろか。これもジャンク、つまり返品不可の無保証と名打った\20000以下の無線機(なぜか100W機ばかり)が人気である。比較的新しい中級機は人気が無く、逆に希望価格\200000以上の超高級機が比較的人気である。おそらく裕福な層が床の間に飾っておくのだろう。またタンスの大きさがある大出力リニアアンプも良く見かける。
よく見ると、”無線機”のコーナーより”その他”のコーナーの方がむしろ出展数も多く活発のようだ。人気なのはTNC(無線用モデム兼ルーターのようなもの)、SWR計(アンテナ効率をはかるもの)、電源、オシロスコープ、古い雑誌などである。無線機のコーナーでのリニアアンプの人気と平行して大出力送信管の人気も高い。500W超の無線局の免許は都市部ではなかなか降りないはずだが、ひょっとして料理にでも使うのだろうか?
こうしてオークションを眺めてみるとアマ無線界の現状と将来がうっすらと見えてくる。まず火山のマグマに相当する若年者層の供給は極端に細っている。これにはハイテク機械の蔓延や教育制度などいろいろな原因があるのだろうが、携帯電話やPHSがタダのような値段でバラ巻かれる現状では魅力が無いのも当然であろう。何より彼女が無線の免許を取ってくれるハズが無い。
それに比べ、熟年層のエネルギーは極大化して大爆発している。鉱石ラジオから始まって真空管、トランジスター、IC、そして電脳インターネットと、この層は無線の進歩とともに歩んできた。多くはすでに時間とカネ、そして無線機やアンテナのスペースも恵まれおり、電脳への投資と勉強も怠っていない。その気になればテレビ局開局も月面反射も不可能は無いし買えないものが無いのである。某団体なんかとっくの昔から終身会員なので、最近会費を払ったことが無い。
DX情報は携帯、パケット、FAX、WWW、E-mail、そして時には代返までしてくれる友人からリアルタイムに情報が入ってくるし、一旦事あれば机の下に仕込んだなんとかレディオのリアルアンプ(kW)が”ワーン”と咆哮を上げ、頭上の巨大ビームアンテナが照準を定めて仕留めるのである。
しかしマグマの供給が途切れると火山の噴火が沈静化するように、若年層の流入が途絶えた無線界の将来には暗雲が漂っている。アマ無線の退潮は携帯電話やインターネット、ゲーム機や教育制度などの影響で避けられなかったと思うが、包括免許が未だ実現されていない事と電波使用税の導入が阻止できなかった事も大きいように思う。現に友人の一人は電波使用税にハラを立てて局を畳んでいる。
というわけで、久しぶりに売りに出されるかも知れない無線機に火を入れて見た。しかし故障しているのだろうか、かつてあれほど混雑していた144MHzなのに何も聞こえない。もう一台でも試してみたが何も聞こえない。無線機が壊れたのではなく、この町では平日のこの時間帯には殆ど交信が行われていないのであった。Webmasterの脳裏には、”サルの惑星”の最後のシーンが浮かんだのである。
エラいことである。サブミットした論文にレフェリーから注文がついた。早速絵を手直ししなければいけない。
といっても、問題の絵は1988年にMacplusで作成したものである。肝心のMacplusは自宅の押入の中である。仕事場でなるべく古いマシンを探したところ、廃品置き場にLC520(68030-25MHz SCSI-160MB)と初代デスクライターが見つかった。これでsystem2の頃のアプリが走らせて印刷できるのだろうか。
当時の仕事の流れはこうである。まず主な解析はVAX-780で行い、Macplusは端末としてシリアルでつながっている。Macplusで使っていたのはM$-Works(ver1.1,1988)という統合アプリで、ターミナル、ワープロ、表計算とグラフ作図、データベースの窓を同時に開いて処理することができる。
特にターミナルのファイル転送はほかの窓の操作中にもバックグラウンドで動作する。つまり、M$-Worksはmulti-finderの導入前にアプリ単位での疑似マルチタスクを実現していた。マックでワード、エクセル、通信ソフトを自由に切り替えて使えるようになったのはずいぶん後のことなので、M$-Worksは貴重であった。
VAXの出力はM$-Worksのターミナルでキャプチャーし、バイナリーデータはkermitで転送していた。キャラクターデータはM$-Worksのワープロで不要部分を切り取り、適宜文字コードを置換して表計算に貼り込んで解析し、グラフを出力する。標準偏差バーが必要な場合は、データをCricket-Graph(ver1.2,1988)に切り張りして作図し、レーザーライターに出力していた。この処理で作成できない図は、VAX上でアプリをカスタム作成し、HPプロッターに出力していた。
運の良いことに目的のCricket-Graphとデータが見つかった。それをLC520上の漢字トーク7.1上で開くと何の問題も無く動作した。Cricket-GraphはマックのAPI(toolbox)のみを使った行儀の良いアプリのようである。一方Macplusを究極まで駆動するアプリであるM$-Worksはファイル選択ダイアローグまで動作するが、処理を始めるとタイプなんとかエラーで落ちる。
無事図の手直しを終わり、デスクライターで出力するがバグのために点線がうまく印刷されない。そこでレーザープリンターがつながっているG3マシンでデータをクリックするとCricket-Graphの印刷には何の問題もなかった。つまり、MacOSは初期のsystem2からG3マシン用のMacOS8に至るまで殆ど変化していないこととが解る。このOSもずいぶん長生きしたものである。
仕事が終わってフロッピーを漁っているとRamstartという珍品が見つかった。これはハードディスクの無いMacPlusでも仕事をするための環境アプリである。Webmaserはこれを使ってMacplusを今日のノートパソコンのように連れ出したものである。当時空港に行くと、Macplusを背負ったビジネスマンを良く見かけた。
Ramstarの仕組みはこうである。マックをこのフロッピー(2DD 800KB)で起動するとRamstartがラムディスクを作成し、それにSystemとfinder、プリンタドライバー、そしてM$-Worksなどを転送し、フロッピーを吐き出す。この状態ではOSもアプリもラムディスク上で動作するのでレスポンスも良好であり、フロッピードライブも空いている。そこでデータ専用のフロッピーを入れて仕事をすれば良いわけである。
フロッピーにはMacintalkという英文読み上げドライバーとM$-Worksのヘルプファイルも入っている。この状態でファンの無いMacPlusの動作は完全に無音であり、唯一音がするのはデータをフロッピーに保存する時だけである。それでいて完璧なワープロ、表計算、データベース、ターミナルソフトがラムディスク上で動作する上に、Macintalkがワープロや通信ソフトの英文を読み上げてくれるわけだ。
この頃のMacOSのシンプルなことは驚くべきである。System(172kB)は内部にスーツケース形式のフォントと電卓、目覚ましなどのDAを含んでいる。Finderはシェルで、たった56kBしか無い。高機能なM$-Worksは352KB、プリンタドライバーは31kB、そしてMacintalkが28kBと、GUIのシステムとしては著しくコンパクトである。これを見れば、現在のMacOSのシステムフォルダー、特に機能拡張の乱雑さは目を覆うばかりである。
乱雑な点ではWin9Xも人後に落ちないが、立ち上げに必要なライブラリーはEXEとVXDだけであり、あとのがらくたDLLも必要の無い限りロードされないし、不要になればメモリー上から消えてしまう。しかしMacOSの機能拡張はしっかりメモリーに居座るのである。いったい何に使われるか解らないMacOSの機能拡張ファイル群を見るために気が滅入ってしまう。
久しぶりのLC520は予想以上に快適で、特にファイル操作は何となくエミュレーション臭いPowerMacより軽快である。もちろん画像処理になると一瞬考え込んでしまうのはしかたがない。一仕事してくれたLC520には廃品を使って少し手をいれた。メモリーを追加、CPUクロックを33MHzに変造し、CPUには放熱板を張り付け、HDDを1GB-SCSIに交換した。これでSystem7.1上でのクラリスワークスがストレス無く使えるようになった。印象としてはCPUよりもHDDが早くなったことの方が効果があったようだ。
Webmasterはまともな運動神経になったLC520がとても気に入ってしまった。実はWebmasterはLC575も持っていて、それは別の研究室で稼働中である。不格好なデザインではあるが、この頃の一体型マック(LC520、550、575、588)は間違いなくMacPlusの直系子孫であり、その血筋はi-Macより遙かに濃いと思う。ある意味では、他のパソコンより遙かに進歩していたマックの輝かしい歴史は68kシリーズとともにsystem7.1あたりで終わったのかも知れない。
Webmasterは深く後悔している。それは、
の記載だが、一見整然としているが何が言いたいのかはっきりしない。最後の方を見ると、
”この言で行くと、お天気予報の学問は気象衛星の導入もあって長足の進歩を遂げて今や立派な科学であるといえる。一方、地震や火山噴火の予知には残念ながら未科学の要素が散見される。例えば地震の前兆の中には未だ非科学的とされるものも多いが、将来からレトロスペクティブに見ればそれは未科学的と呼ぶべきであったものも多く含まれるように思う。”
と、やけに歯切れが悪い。このページと、Webmasterが出没する某ページの両方をモニターされている方はお解りと思うが、これは某火山の噴火予知に対して出された”安全宣言”に関するものだったのが、筆が曲がってしまったのである。同じように筆が曲がった例としては、
も図星とは言え歯切れが悪い。火山については、こちらやこちらに経時的な記載があるが、安全宣言の出される前には”マグマの動きは手に取るようにわかっている”といった楽観論がメディアに流れていた。しかしWebmasterには現在の技術で、どうして言い切れるのかが不思議だったのである。実は削除された文章は次のようなものであった。
”たとえば天気予報を考えてみよう。以前は、”稚内では南の風、風力3、1013ミリバール、10度、晴れ”といった点の情報の集積と経験則に頼っていた。これだとスピードの早い台風を見失う可能性がある。気象レーダーや気象衛星によって、雲の状態が面の画像情報として直視できるようになって、気象予報の確度が改善した。
医学も脈拍や体温、聴打診といった点の情報の集積と経験則に頼っていた時代からX線、CT、MRIといった画像情報や内視鏡によって病変が面の画像情報として直視できるようになってやっと科学らしくなってきたと考えられる。
火山予知の道具は古典的である。地震計、傾斜系、重力、磁力、地下水、地電流、空気振動(つまり音)などが主で、新しい物としてGPSがある程度だ。しかも観測密度はけっして高く無い。いずれもマグマの動きを面の画像情報として直視できるわけでは無い。
Webmasterが連想するのはDICと呼ばれる全身の血液が凝固する重篤な病態である。まるでブラックホールへスパイラル状の軌跡を描いて転がり込むボールのごとく、DICに向かう最初の傾斜は緩やかなのだが、一旦傾斜が急になりだすとブラックホールへ引きずり込む引力は極めて強く、元に戻すことができない。
最初の傾斜が緩やかな時期にDICを念頭に置いて手を打たないと病態は自己触媒的にカタストロフ的な結末を見せる。その初期には異常値がチラホラ出現するのだが、一旦治癒に向かっているかのような様子が見えたりするので騙される。火山の噴火にもDICと似たようなカタストロフ的な性質があるように思う。”
以上が本来の文章なのであった。今回の山頂噴火での観測価vs噴火星取り表をみると頼りの傾斜計もあまりあてにならないようだ。結局、安全宣言の一番の根拠は、噴火が早期に終結したという過去の記録だったのでは無いだろうか。今後衛星から地殻変動が面の画像情報として直視できるような技術でも開発されないかぎり予知には限度があるように思う。
いずれにせよ、島民の方の安全と一刻も早い噴火活動の終結を祈るばかりである。