今日の必ずトクする一言
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●November 2001
□Nov. 25:電脳->紙のインタフェースのナゾ・その2(表紙編)
□Nov. 18:ぜひ新幹線に付けたいVG翼のナゾ
□Nov. 11:新幹線レールスター座席選びのナゾ(特製バンプラバー編)
□Nov. 4:ADSL丸儲けのナゾ

Version November 2001


Nov 25
 ●電脳->紙のインタフェースのナゾ・その2(表紙編)

以前、

 ●Oct. 15:ニューヨークの建築のナゾ

で、”ワールドトレードセンターの消失による経済の混乱は比較的早期に収束する”と書いた。少なくとも日経ダウはほぼ、NYやNASDAQもかなりテロ前の価格に戻している。

事件後はITへの依存が高まり、大都市のオフィス需要も減るだろう。また炭疸菌テロにより電子メイルへの移行が強まるだろう。しかしそれで景気が良くなることは無い。Webmasterは基本的にITはデフレやリストラ要因であると考える。

現在マーケットでの悪者が30社問題(実際には29社)である。出所はこちらと言われるが真相は不明だ。某紙のリストにはゼネコン8社、住宅1社、製紙1社、化学1社、製鉄3社、非鉄1社、造船1社、ゲーム1社、商社3社、百貨店5社、信販1社、不動産3社、航空1社が並んでいる。

しかしWebmasterには単に借金が多い企業のリストに見える。借金が不良資産の土地に化けたゼネコンや不動産はだれもが危ないと思うが、納得が行かない企業も多い。問題は引き当てられていない不良債権ではなかったのか。以前から土地担保以外に評価軸が無いと言われる日本の経済だが、今度は借金額が評価軸なのか、と言いたい。

たとえば銀行の序列は預金額で決まる。しかし預金は融資先からサヤを抜きつつ預金者に金利を払い、いつかは返さなければならない借金でもある。そして預金の金利が低く、融資の金利が高い場合はほど儲けが大きい。あるいは高い金利を払ってくれるなら借金を永遠に返してくれないほうが良い。その意味でリストを眺めると、なぜマイカルが破綻し同業他社がしぶとく生き残ったかが見えてくる。

さて本ページの電脳->紙のインタフェース化作業は最終段階に近づいている。頭が痛いのはあまりにも多いコンテンツである。電脳の世界ではたった一枚のフロッピーにも700000文字以上が数秒で収納されるが、紙にすると原稿用紙2000枚にもなる。ましてここのコンテンツを単純に紙にしたらどうなるか解らない。

従って、編集はコンテンツのエキス化の連続であった。巷では既に充分”濃い”と言われるコンテンツを鰻屋のタレのレベルにまで濃縮している。読みやすさにも配慮しているが、それでも少し水で薄めながら読まないと消化不良になるかも知れない。トイレで読み始めたら、風邪を引くかも知れない。

いろいろなオファーの中で出版をお願いすることになったのはトラ技を出しているカタい会社である。このプロジェクトの是非には激論があったようだが、熱心な編集者のプッシュにより可能になったと聞いている。従ってコンテンツ過大により高くなりがちな定価に対してはWebmasterも印税を削って対処するつもりである。

現在猛烈な半導体不況、IT不況のもたらすデフレとリストラが進行しているが、結局日本には技術立国しか道が無い。国営放送が流す”プロジェクトなんとか”にもその意向は色濃く流れている。日本は欧米企業と同じパワーまかせで地球のリソースをがぶ飲みするビジネスモデルを取るわけにはいかないのである。

たとえばWINTELのビジネスモデルでのハード/ソフトの肥大化はパソコンにおけるパーキンソンの法則そのものである。肥大化したOSはアプリを走らせる環境を提供するだけでなく、自分自身の不安定さを解決するためのエージェントを必要とし、そのエージェントの面倒をみるためにさらに余計なエージェントを導入してしまう。そして正味の生産性に直結しないエージェントが際限なく増え続けてリソースを喰うのである。

いや、更新を必要としないユーザーに新しいソフト/ハードを買わせるには定期的な肥大化こそが必要だ。しかし、あまりにも多くのマルチメディア機能とネットワーク機能を盛り込んだために、WIN9xはリソース不足という一種の消化不良を起こすようになった。このままではこれ以上訳が分からない不要なものを載せると土台が崩れて商売に支障を来してしまう。ハードウェアも進歩を遂げたことだし、さらに胃袋の大きいWIN-2kやWIN-XPを用意することになったのである。

もちろん肥大化による速度低下は、高速でものすごく発熱するCPUがちゃんと埋め合わせをしてくれる。そして肥大化したOSに対してユーザーを何の疑問も無く依存させるコンセンサスを造り挙げることが提灯メディアの当面の仕事になる。しかし余計に消費されるリソース、修得に要するロス、不安定によるロスは、新しいOSによって得られる生産性向上のゲインより常に大きい。これがWINTELを代表とするビジネスモデルの欠陥である。

しかしWINTELのビジネスモデルは、コピー機に見られる消耗品ビジネス、携帯電話に見られる通話料ビジネスと同様にまだまだレベルが低いものである。さらに高度なビジネスモデルが、効率化と部門買収売却を中心としたウェルチ式である。

しかし製造業としては大きな陥穽を含んでいる。というのは、彼の企業で過去最も高い営業成績を挙げたのは製造業では無く与信部門なのである。もともとは電化製品を月賦で家庭に押し込むために始まった与信業が猛烈な利益を生み出した。

つまりユーザーを電化製品(モノ)に依存させただけではなくて、それを購入する為の与信システム(サイフ)からも搾取が可能なのである。今ではファイナンス部門がグローバルな企業買収売却路線の資金的ベースとして働く新興IT財閥になっていて、単独の製造業としてはむしろ結晶化した姿とも言える。

その利益構造を見ると、どうしてマイカルから与信事業が最初にハギ取られたが、そして同業他社が与信部門を手放さないか、そして軟体銀行が、$ONY銀行がどこを目指しているのか、そして30社問題リストがいかに程度が低いかも見えてくるだろう。ウェルチ式の一部(6シグマ)だけを信奉する愚かな総合電機もあるようだが、本質を見誤ると最後には工場跡地のペンペン草しか残らないだろう。

それに対して、日本はどのような地球にやさしい独自のビジネスモデルを提供できるのか、そこに日本の生き残る道があると考える。欧米をはじめ、世界中に日本しか提供できない地球にやさしいソリューションを必要としているセクターが存在する。今回の本ではそのあたりをテーマとしてコンテンツの整理を進めている。

いろいろな表紙案が上がっている。まだ最終案がどれになるか決まっていないし、大きな変更もあり得る。予想を越えたコンテンツ量のため出版が遅れたことも図案から読みとれる。上段の2つは非常にセンスの良いものだがインパクトがやや弱く、書店の技術コーナーに並ぶことになってしまいそうである。下段はインパクトはあるが、かなり怪しい仕上がりである。会社としてはこの手のものは初めての試みなので、今まで並べたことの無い一般書コーナーにも置きたいようである。どの案が良いのか思案中である。

依然としてコンテンツ圧縮作業が続いているので出版がいつになるかは解らないが、出来上がるまでのお楽しみとしてお待ちいただきたいと思う。

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Nov 18
 ●ぜひ新幹線につけたいVG翼のナゾ

今回はファンタジーの世界に遊んでみたいと思う。ファンタジーはすべてを自由にしてくれるので、以下の事はすべて空想上の話である。

さてWebmasterがやりたいファンタジーは心につける翼では無くてトンネルでの揺れがひどい300系と700系のパンタグラフカバーに付ける翼である。もしトンネル内の揺動にパンタカバーから発生するカルマン渦がかかわっているとすれば、対策はやはりボルテックスジェネレーター(VG)だろう。VGについては、

   ●山本式ウインドシールド境界層制御装置(PAT PEND.)の製作

を参考にして欲しい。一番基本的なVGは流れに角度を持たせたタダの板である。板の後ろの低圧になる部分に表の高圧部から空気が流れ込み、安定した渦を作ることによって、厚く剥離しかかった境界層を安定させ、トータルで抗力を減らすシカケである。

まず300キロにも達するスピードで、非流線物体の発生するカルマン渦に悩んでいるのはF1レーサーでは無かろうか。いかに流麗なボディーを作ろうとも、四隅に出っ張った巨大なタイヤは隠しようが無いが、無くすわけにも行かない。そこでF1の連中はVGを多用している。

ボディーに斜に構えたサメの背ビレを林立させて抗力を減らすことには成功したが、衝突時に凶器になって危ないという理由で表向きは禁止された。しかし、技術の進歩はすばらしいもので、一見VGに見えないがちゃんとVGとして働く小物が多数仕込まれている。

まず(1)だが、前ウイングの内側は細いが、途中から幅がぐっと増え、上反角がついている。これは飛行機のドッグツースと同様にVGとして働き、サスペンションアーム付近の気流を安定させるハズである。この付近に垂直のVGを付けている場合もある。

もっともVGらしいのは前ウイング外側に突きだして強く上反角がついた小翼(2)だろう。結構危ない突起のようだが前ウイングとタイヤを結んだ線内に入っているのでセーフなのだろう。これは矢印の方向に強い渦を発生して、タイヤの上外側の気流を安定させるだろう。

次にVGらしいのは、前ウイング外側の垂直板(3)である。これも進行方向に対し後端が強く内反している。矢印のような強力な渦を発生し、タイヤ上方の気流を安定させるだろう。

気付きにくいのが前ウイング垂直板下方の膨らみと小翼(4)である。これは図のような渦を発生し、タイヤの接地面の気流を安定させるだろう。これらの小細工はトップクラスのマシンではどれも定番だ。

勿論後ろのタイヤ対策も抜かりが無い。ボディー中央外側には上反角のきつい小さな翼(5)がある。これの外側は図のような渦を発生し、タイヤ上外側の気流を安定させるハズである。図示してないが、翼の内側はウイングへ付近の気流を安定させるであろう。これも突起物だが、前後タイヤを結ぶ線内にあるからセーフなのだろう。他にもVGは数多くあって、これらはほんの一部である。

次のサンプルはSTOL実験機”飛鳥”である。飛行速度が速すぎるようだが、この機種の着陸速度は時速100キロちょっとにすぎない。その秘密は、高バイパス比ファンジェットの気流を翼上面から角度のきついフラップに導き高揚力を発生するシカケ(USB)である。そして、計6個のVGは渦を発生して気流がフラップから剥離するのを防いでいる。速度や用途からすると、このあたりが一番新幹線に近いだろうか。

もともと飛行機とVGとの関係は深く、多くの亜音速機が主翼外側にVGを採用している。これは後退翼上面に生じる翼の内側から外側の気流のため主翼外側に失速を生じて補助翼の効き目を悪くするのを防ぐ処置である。最高速度を気にする戦闘機では、大迎え角の時にVGとして働く切り欠き(ドッグツース)やストレーキをつけるのが常套手段である。

その目で300系と700系に見られるパンタカバーに翼を付けてみよう。車両外側と違い車両上面にはアンテナや放電索があるので、少々の突起物が許されるとしたら、”飛鳥”のようなオーソドックスなVGがいいだろう。

問題は防音壁だが、500系には防音壁が無いので、VGがうまく働いてパンタ廻りの空気騒音が減れば廃止して良いのでは無いか。どうしても必要ならドッグツースも良いが、事故でトロリーをひっかけるとまずいだろう。

そこで防音壁にはかっこいいストレーキはどうだろうか。図のようなストレーキをつけると、防音壁内外側に強力な渦を発生することができる。

空力の発達で流線型を採用するのは空力技術の第一段階だろう。100系までがそれに当たる。エリアルールの採用は空力技術の第二段階だろう。700系のアヒルのような先頭車両はその成果と言える。そしてVGのような高度な小技は空力の第三段階にあたるだろう。これはすでに航空機で1950年代に確立した技術であり、F1レーサーでは当たり前の技術になっている。

さてイマジネーションの旅は終わりで、今度はエンジニアの仕事である。巷のCMには”なぜ翼を使わないのか”というのがあるほどだ。膨大な費用を投じた列車専用風洞設備を持つエンジニアにとって、乗り心地を空力的に改善するのはやりがいのある仕事だと思うのだが、どうだろうか。

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□Nov 11
 ●新幹線レールスター座席選びのナゾ(特製バンプラバー編)

Webmasterは関西への出張に新幹線を利用することが多い。飛行機もあるが伊丹周辺のアクセスが良くないので、トータルな時間でのメリットが少ない。もちろん座席周りにスペースがあってトイレも食事も自由な新幹線の方が遙かにストレスは少ない。

新幹線のコストは決して安くない。ただ、そのコストを払っても十分価値があると思えるのが、のぞみ500系とひかりレールスターで、これらは間違いなくバーゲンプライスである。一方、のぞみ700系は1割方オーバープライス、300系は2割方オーバープライスだと思う。

ただし、500系をもってしても博多-東京間に5時間を要するので、羽田空港と福岡空港のアクセスを考えると、よほどの飛行機嫌いでないとチョイスにはならない。しかし博多-新大阪ならレールスターは確実に飛行機を圧倒できる。博多-新大阪間に500系は2時間21分、700系は2時間29分要するのに対し、レールスターは2時間43分を要するが、二つ多い停止駅と価格差を考慮すると十分におトクである。

レーススターの車両にはなかなか特色がある。車体は基本的には700系だが、台車は輪軸が片持ち軸梁で支持された500系の台車(川崎製)に近く、コンパクトかつ低重心に仕上がっている。台車を換えた理由は500系と保守を共通にするためだろう。パンタグラフ装備車両(2両目と7両目)にはセミアクティブダンパーが装備されている。

乗り心地は500系と700系の中間のようだ。500系を擁するJR西日本としては700系の乗り心地では不満があるのだろうか、車両間にゴム製のバンプラバーが設置されている。これは500系には存在しなかったモノである。

新幹線の車両間のバンプラバーは、古くは0系で登場している。0系では高圧碍子のポストが車両間に突出していて、このポストが隣の車両と当たらないように設置されたようだ。次にバンプラバーが大々的に採用されるのが悪名高い300系である。過去、

  ●新幹線300系横揺れ対策変造のナゾ

で取り上げたように、300系の6両目と11両目にあるパンタカバーの空力特性とボルスタレス台車のヨー特性のせいでトンネル内の揺動が大きく、この付近の指定席を掴んだら天を仰がなければならない。ただし車掌も心得たもので、揺れで気分が悪くなったと言えばすぐ席を探してくれる。300系ではバンプラバーがパンタ装備車両と隣接車両間のフルスパンに装備されている。

その後、300系では改修が行われ、パンタグラフとそのカバーがこちらの700系に近い形状に小型化され、またヨーモーメントを減らすために車両中央に移動している。

改修の目的は騒音軽減としているが、それだけでは無さそうだ。というのは、改修を受けた編成ではバンプラバーが無くなっているからである。ただし改修を受けた300系の乗り心地も決して満足いくものでは無いので、そのうちにバンプラバーが復活すると予想している。

ところで700系のバンプラバーは登場以来次第に数が増えて、編成にもよるが今ではパンタ周辺の多くの車両間に繁殖している。ユーザーにも700系は500系より遅いうえに揺れるというコンセンサスがあるようだ。パンタ装備車と隣接車両間にバンプラバーが無いのは、セミアクティブダンパーの動作と干渉するからだろうか。700系で問題なのはグリーン車の乗り心地が芳しくないことである。

さて問題のレールスターだが、バンプラバーはパンタ装備車と隣接車両間(2-3両目と6-7両目)以外の車両間の全てに装備されていて、ヨーの収束を助けているようだ。パンタ装備車両と隣接車両間に無い理由は、700系と同じくセミアクティブダンパーのせいだろう。ひかり料金のレールスターの方がのぞみ料金の700系より乗り心地が良いのだから、レールスターはおトクな列車なのである。

そこでWebmasterのお尻のセンサーとモロモロの用件とを加味してさらにおトクなレールスターの座席選びを考えてみた。信頼性は不明なので、参考として見て欲しい。○は禁煙車両で、”T”はパンタグラフを示している。

やはり先頭車両が常にベストで500系に匹敵する乗り心地である。可も不可も無いのが3−6両目だが後方ほど悪くなり、最後尾は明かり、トンネル区間を問わず常に揺れる。パンタ装備車両のセミアクティブダンパーの挙動は面白い。トンネル区間では最初にスーっとヨーが出てある程度ストロークするとグっと締まる。一方明かり区間ではあまり揺れを感じない。乗り心地を△としているが、300系より遙かにマシである。

ただし500系に比べるとレールスターや700系の乗り心地はいま一歩だ。これは700系は500系より断面積が大きく、トンネル内でパンタカバーに発生する空力的揺動が大きいためだろう。実際にはパンタカバーよりは左右にそびえ立つ防音壁が問題なのではなかろうか。不思議な事に、同様の騒音が問題の500系には左右の防音壁は無い。700系にも500系のパンタを採用すれば防音壁は不要のハズなのだが。

と言うわけで、700系の防音壁とパンタ周りにはさらなる工夫が必要なようで、それはおそらくWebmasterの近未来700系パンタカバー妄想図として近々登場するだろう(笑)。もし空力揺動にカルマン渦が関係しているとすれば、答えは本ページにたびたび登場しているし、500系では答えの一部は既に使われている。

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□Nov 4
 ●ADSL丸儲けのナゾ

最近のネットは相次ぐウイルス騒動で速度が落ちていた。しかしウイルスが一段落したある日、ブラウザーの速度がめっきり速くなっていることに気付いた。もともと1.5Mbpsという表記速度の性能は出ていたが、今はまるでローカルのハードディスクを読んでいるようである。

そこでADSL実験室の各測候所で速度を測ってみた。すべての測候所は起動時の最初の読み込みである。

ソース 1MBのJPEG画像
-------------------------------------------------------------------
plala		5736 Kbps 	kcom		5736 Kbps 
ATT		5736 Kbps 	IIJ		5736 Kbps 
BIGLOBE		5128 Kbps 	wakwak		1472 Kbps 
alfanet		5544 Kbps 	sonet		5736 Kbps 
ocn		5776 Kbps 	highway		2128 Kbps 
xdsl		1296 Kbps 	zaq		1536 Kbps 
DTI		2128 Kbps 	coara		5984 Kbps 
freeweb		2168 Kbps 	din		2160 Kbps 
zero		5544 Kbps 
-------------------------------------------------------------------

5Mbpsを越えて似た数字が並んでいて、どうやらスループットの天井を示しているようだ。プロバイダーのホームページには、YahooBBの動きに相応して表記速度を3Mbpsに増速したとある。とすると5Mbpsの速度は幻だろうか。遠方にある自前のサーバーからftp転送をかけてみると同様の速度が出るので、どうやら幻では無いようだ。

この数字はデスクトップ(K6-II+@550MHz)のPCIバスに差した無線LANカード(IEEE802.11b)から無線LAN+ルーターにつないでいる。とすると、これは無線LAN+ルーターのスループットの天井を見ているのかも知れない。以前無線LANと有線LAN間でNetBEUIによるファイル転送速度を測ったところ5Mbps強だったからである。

そこで、今度は有線LANでルーターに接続しているデスクトップ(Cerelon@466MHz)から測ってみると、天井の値は殆ど同じであった。次にルーターをバイパスしてADSLのWAN側に直接つないでみたが、速度はまたまた同じだった。どうやら無線LAN+ルーターはボトルネックでは無いようである。

次に考えられるのがこちらで取り上げたRWINのサイズの問題である。WebmasterのADSLは固定IPなので、パケットサイズMTUは最大の1500に設定している。そしてRWIN設定は、

RWIN=(MTU-40)x18 = 26280

としているが、5Mbpsを越えると遅延に足を引っ張られる可能性がある。試しにRWINを12倍にするとスループットは2.5Mbps程度に低下した。一方RWINを24倍に設定しても天井は事実上変わらなかった。どうやらRWINもボトルネックでは無く、ADSLの回線速度自体が天井に達しているようである。

速度に関して経験をまとめると次のようになる。

1.プロバイダーは3Mbpsと称しているが、8Mbpsまで対応するWESTERLL製モデム36R516B6は局舎内モデムと5Mbps以上で繋がっているようだ。

2.この速度でルーター+無線LANアクセスポイントは窒息してはいないが、マージンもあまり無い。YahooBBでも早くて5Mbps強と報告されているので、通常では無線LAN(IEEE802.11b)でさほど問題無かろう。もちろんベッドの中でノートパソコンが使える無線LANを手放す気にはなれない。

3.転送速度はRWINサイズを18倍から24倍にしても向上しなかったが、12倍だと2.5Mbps程度と遅くなった。5Mbps超ではRWINを18倍以上にする必要があるようだ。ただし24倍以上はトラフィックと遅延時間によってはかえってレスポンスが悪くなる可能性がある。こちらで書いたように、最高の転送速度を示すRWINがベストとは限らないのである。

4.ダウンロードは早くなるが、ブロードバンド用ストリーム(300kbps超)はサーバー付近の都合で止まることが多い。キャラクター中心のページでは速度向上の御利益は少ないが、巨大な絵やショックウェーブを浴びせるアホページに悪態をつく時間は短くなる。しかしそのようなページでIEやNetscapeが落ちる速度も電光石火なので、今度は例外ダイヤローグに悪態をつくことになる。

Webmasterも皆様と同じように”みかか”に騙されていたようだ。”みかか”の意見では、Annex.Aは国内の電線カッドではISDNとの干渉があり適さないとのことであった。しかしYahooBBではAnnex.Aで最高5Mbpsの性能が得られているし、Webmaseterのモデム(Annex.A)でも5Mbps超が得られている。またAnnex.CでもG.dmtなら局舎からの距離が2.4km以内だと5Mbps出るという評価試験もある。

ところで、YahooBBについては周囲からアドバイスを求められることが多かった。Webmasterは、”Yahoo側はともかく、”みかか”のサボタージュと局舎工事の輻輳で、プラン通りには進まないだろう。しかし、お正月までには繋がるんじゃないの?”と答えていた。先日同僚の所でもYahooBBが開通したようで、予想より早い展開である。

YahooBBの余波で自前の回線まで早くなった。何かと毀誉褒貶の多いSBだが、今回はそのイニシアティブを素直に評価したい。やはりこの国には元祖サボタージュ企業”みかか本舗”に対抗するカリスマ的な(稲盛的もしくは孫的)競争勢力が常に必要なのである。もっとも、自前のネットワークと銀行を擁する新しい電脳財閥の誕生には鳥肌すら立つ思いである。

”みかか”がADSLに消極的だった理由の一つに日本の回線の品質が諸外国より劣ることがあるだろう。”みかか”はつい最近まで高額な加入費を取りながらせっせと紙絶縁ケーブルを敷設していたのである。ちょっと前の建物の配電盤で埃まみれでトグロを巻いている0.4mm紙絶縁の電線群を見たことがあるだろうか。

従ってADSLで性能が伸びない場合、”みかか”は”運が悪かったですね。しばらくはISDNで我慢していただき、もうすぐ光ケーブルが来るのを待ってて下さいね”と言うかもしれない。しかしユーザーは、”高い加入費をとっておきながら、まさか紙のコヨリで絶縁したケーブルのせいじゃないでしょうね”と言う権利もあるし、有料サービスとしているカッド内の調整も無料で要求する理由も十分ある。

さて、常に論争になるのがADSLが過渡的なテクノロジーかどうか?である。ADSLで5Mbps(56KモデムやISDNの約100倍)が得られると、ユーザーの次なる希望は最低”一桁以上”の速度上昇ではなかろうか。Webmasterも100Mbps以上の光ファイバー(FTTH)が現状のADSLの料金以下で提供されるまで引っ越す気は無い。

しかし各戸に100Mbps以上で配信するインフラの構築にはATM網を放棄して新たな超高速回線を張り巡らす必要があり、かなりの時間とお金がかかりそうだ。光化プロジェクトには不況に苦しむITセクターへの公共事業の色合いもあるだろうが、進歩が激しいこの業界では将来の費用対効果を現状の技術をベースに計算すると、FOMAのような新たなIT不良債権を作りかねない。

現在のADSLの爆発的な普及は、良好な費用対効果によるものである。ADSLは諸家の予想を裏切って、Webmasterが4年前に書いたとおり、当分は都会から郡部まで居座り続けることだろう。

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