ピアノ技術 / (4)
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11.【 2号製作 - 音源(2) '02/08/11 】
< 印を付けたパイプ >
印を付けたパイプ
左の写真は、印を付けたパイプを音の順番に並べ、低音の側から写しました。
パイプには4つ印が付いています。左端から番号、取付のためナイロンテグス(細いナイロンの釣り糸)を通す穴の位置、パイプがたたかれる位置、もう一度テグスを通す穴の位置、の4つです。
< パイプの穴あけ >
パイプの穴あけ
テグスを通す穴は、左の写真のようにドリルを使ってあけ、穴あけが済んだパイプはその下の写真のようになります。
< 穴あけ済のパイプ >
穴あけ済のパイプ
パイプにあける穴、目的はテグスを通して台となる板に取付けるための穴なのですが、取付用の穴といっても以外と重要で、その位置はパイプの端からパイプ全体の長さの“何分の一”という決め方をしています。
また、パイプがたたかれる位置についても、2つの取付穴の間の“何分の一”という具合に決まっていて、これらの位置がいい加減だとたたいてもパイプが良い状態で振動せず、期待した音が出ません。
< 調律−パイプを削る >
調律−パイプを削る
次に、穴あけの済んだパイプを1本1本、今度はチューナー(調律中にその音が高過ぎか低過ぎか、あるいは丁度良いかをメーターで教えてくれる機械)を見ながら調律します。
チューナーを作業台の上に置いて、右の写真のように、パイプの端を少しずつ削ってはチューナーの前で鳴らし、チューナーのメーターを見て音程が正しいかどうかをチェックする作業を繰り返します。

パイプの取付穴の位置やたたく位置を決めるのに、パイプの長さを基準にして、その長さの“何分の一”というような決め方をすると書きました。けれど実際、調律のときにはパイプの端を削り落し、その長さを変えて(=短くして)音の高さを決めるわけですから、調律が完了しないといつまでもパイプの本当の長さが決定しないので、調律前にパイプの取付穴の位置や、たたく位置を決めるのはいい加減なように感じられるかも知れません。つまり、調律を先にしてそれからパイプに取付穴の印を付けそして穴をあける、こうした順番の方が正しいと思われるかも知れません。でも今回の場合、次のような事情を考慮に入れて穴を先にあける順序で作業をしました。ここで設計によるパイプの長さと、実際調律後のパイプの長さの誤差の原因について考えてみましょう。

今回調律にはチューナーを使いましたが、まずそこで誤差(読み取り方やチューナー自体の精度による誤差)が発生します。
次に音に影響するパイプの材質や形(太さや厚さ)が均一かどうかを考えてみると、今回音源に使用したアルミパイプは、特に楽器の音源にするためのものではないので、製造している会社もたたいて出る音に注意を払っているとは到底思えません。したがって製造時期や売られている1本1本をある長さに切ったとき、たたいて出る音に多少の誤差があっても、仕方がないと思った方がいいかもしれません。
以上のような理由から、もし調律してからそのパイプの長さを元にして取付穴やたたかれる位置を決定すると、それらの位置も誤差の犠牲になって、設計の位置からずれることになってしまいます。実はそうなってしまうと、うまくパイプを板に取り付けられなくなってしまうのです。
< パイプを板に取付る >
パイプを板に取付る
ここで左の写真を見てください。
パイプはたたかれ、全体が振動する事によって音を出します。この振動を妨げないような方法で台となる板に固定しないと上手く鳴ってくれません。そこで左下の写真のように、パイプと板の間に2本のゴムレールを敷いて、パイプと板をナイロンテグスでゆるめにつなぐようにしました。
< 取付の様子 >
取付の様子
テグスは2本のゴムレールの外側の縁に沿って、板側とパイプ側から2本、編むような形で通されています。ここでもしもパイプの取付穴の位置がずれ、パイプがゴムレールに触れる位置に重なったりすると、パイプが浮き上がって隣のパイプに触れたり、上手く固定できなくなってしまいます。そのような不都合を防ぐためには、設計上の位置を優先することです。
< 取付完了したパイプ >
取付完了したパイプ
それともう1つ心配だったのは、例え小さな穴でも調律後にパイプにあけてしまって音程に影響がない(調律に変化がない)のかどうか判断がつかなかったことです。そんな理由から調律以前にパイプに穴をあける方法を取りました。
けれどこれによって注意しなくてはならなくなったこともあります。というのは、調律前にパイプの両端から同じ距離に穴があけてあっても、調律時に気を付けて両端から等分に削って調律しないと、パイプの端が片側だけ減って、穴までの距離が揃わなくなってしまうことです。
えっとそれから、調律のとき、パイプを握る方の手には手袋をして作業をしました。影響は測定していませんが、金属ですから体温に暖められた状態と室温に慣れた状態では音の高さが変化するのでは…という思いからです。
取りつけ完了したパイプをたたくと、木琴と鉄琴の中間のような、なかなか気持ちの良い音が出ます。この音が伝えられないのが残念です。
12.【 試作2号 - 外観デザイン '02/08/11 】
“P-8. 2号製作 - 音源(2) ('02.08.11.)”でパイプを台板の上に取り付けて、音源の全体の形が見えてきました。これに鍵盤を付け、アクション(パイプをたたく内部の機構)が入る場所を確保すれば、試作2号の形がほとんど決まります。

< 鍵とパイプの配置 >
鍵とパイプの配置
左が鍵盤と音源(パイプ)を組合せた図です。

上から見た図なので、アクションはパイプの下に隠れています。パイプについている+の印は下からたたかれる位置で、鍵の上の+の印は鍵の支点、シーソーでいえばその中間を支えている点の位置です。
最低音のところで、パイプが長すぎて鍵と重なってしまいました。鍵を長くすれば良いのですが、それにしたがって高音部まで同じ長さの鍵になり、楽器全体の奥行が大きくなってしまうので、今回はこのままで作ってみようと思います。
< 外観デザイン >
外観デザイン
上の図に外装(外側の枠)を描き加えたものが右の図です。

弦を張った楽器のように、特に構造に強度を要求される部分もなく、“パイプを覆う板を曲げるのがちょっと難しいかな。でも直線だと格好つかないな。” などと考えながら、ケーキを入れる木箱を作るような感覚で描いてしまいました。
テーブルに置いて弾く場合は右図のような状態ですが、立って弾く時は図面の左が上になって鍵盤が右に来ますから、胸の前に持って来ると、ちょうどこのホームページのTOPのイラストの人物(張能調律事務所のページの左上の人物・胸の前でチターを構えている)のような感じになるでしょうか。偶然です。
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