ピアノ技術 / (3)
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9.【 試作2号 - 製作コンセプト '02/07/09 】
 試作1号は、簡単に持ち運びできるような重さ・大きさに仕上げることができず、そもそも楽器製作のきっかけになった「持ち運びのできるピアノが欲しい」という目標が達成できませんでした。1号の場合、音源として弦を使用したことがその原因でした。
弦は引っ張ってやらなくてはならないので、楽器はその力に耐えられるだけでなく、それ以上に余裕を持たせた構造・強度に作らないと丈夫さが確保できません。したがってピアノの様に音の数に見合った数の弦が張られている場合 ⇒ 数多くの弦を張る ⇒ 弦を引っ張る力が増大し楽器全体に働く力が大きい ⇒ 楽器全体を丈夫にしなくてはならなくなる ⇒  楽器が重くなる、とつながります。ピアノが良い例で、弦の力があまりに増大したために鉄骨と呼ばれる金属の骨と板の部分が一体化した大きな重い部品(グランドピアノを開けると金色に見える部分)が入っていて、それがピアノの重さの大きな割合を占めているのです。
プロンジャ製作のきっかけとなったオルフィカが弦音源であることや、「持ち運びのできるピアノ」の「ピアノ」にこだわれば2号にも弦を張りたいところですが、2号では「軽く」を目標にして弦以外の音源を探した結果、アルミパイプを使用してみることに決めました。アルミパイプは弦と違って一度調律すれば音程を維持することができるので、完成した後の調律はほとんど必要なくなります。このことは楽器の持主にとって嬉しいことだし、「どこででも弾きたいとき楽しめる」という便利さにさらに付け加えられるでしょう。また音源であるアルミパイプは、たたいて発音させた時にその振動を妨げないような方法で、位置がずれないように楽器本体に取り付ければ良いだけですから、1号に比べて非常に構造が簡単になり、軽く作ることができるはずです。
また1号にはプロンジャ用の特許アクションのいちばん簡単な形のものが内蔵されていたため、ピアノと同じように鍵を元の位置に戻すために鍵に鉛が埋め込んでありました。それに対して2号のアクションにはこの鉛も無く、さらにレペティション機能(一度押し下げた鍵盤を少し持ち上げるだけで次の打弦が可能になる装置―つまり高速連打ができる装置)の付いた最新版を採用する予定で、それによってアクション自体も軽く、演奏性能も間違いなく向上するはずです。
ところで製作期間は一体どれくらいかかるでしょうか? 本業の合間を縫って作るのですから…。考えるとちょっとユウウツになります。
10.【 2号製作 - 音源(1) '02/07/09 】
< 音源の候補となったもの >
音源の候補となったもの
プロンジャのアクションと弦以外の音源(例えば金属の板やパイプ)の組合せは特許出願の頃から考えていたのですが、弦の設計には慣れているものの、それらをたたいた場合にどんな長さでどの音程になるのか、その関係には全く知識がありませんでした。そこで小さな鉄琴を買ってきて、音板の長さや取付穴の位置を測定し、それなりの計算方法を設定することから始めました。
< 音色を確認する >
音色を確認する
その設定ができた頃、調律に行った友人宅で、ピアノの傍らにたまたまおもちゃのグランドピアノが出してありました。かわいらしい音色で音程は比較的キチンとしているのですが、さすがにアクションの雑音が多く、鍵を押し下げても発音しなかったりで、友人も「ライブに使用しているもののレコーディングには使用できない」と話していました。

金属の棒が音源になっているトイピアノは昔からよく見ます。ところがこのトイピアノは新しいタイプらしく、ラッキーなことに音源はアルミパイプでした。音域はドからドの3オクターブ。あまりのタイミングの良さにびっくりしたのですが、各ドの音の長さを測定させてもらって、アルミパイプの基音の長さと計算方法が確認できました。それとなによりトイピアノであっても形を成しているものを見れたのは試作2号のイメージを明確にする上で大変参考になりました。
< パイプカッター >
パイプ・カッター
その後、必要な音域をカバーできるかどうか、音色がつながるかどうかなど、いろいろなサンプル(材質としてアルミ・真鍮・銅、形状として丸パイプ・四角パイプ・コの字型・角棒・丸棒・幅の細い板状のもの)を一々たたいて発音テストをした結果、肉厚の薄いアルミの丸パイプを使用することに決めました。
< パイプをはさむ >
パイプをはさむ
2号は1号と同じ音数37音(ドから始まってドで終わる3オクターブ)に設定し、各音に必要なパイプの長さの表を作り合計したところ7,800mm。アルミパイプは1m単位で売っていたのでそれを8本購入。ところでパイプの切断に何か良い方法はないかと探した結果、パイプカッターなるものを見つけ、切断できるパイプの直径が合ったものを選んでこれも購入しました。手のひらに握り込めるほどの大きさで、本当はパイプをしっかり固定して、カッターの方をパイプの周りにクルクル回して切断するらしいのですが、パイプが肉薄なこともあって、写真の様にカッターを左手に握り込んで右手でパイプをゆっくり回しても十分切断可能だったのと、カナノコによる切断と違って騒音も出ないので大助かりでした。
< パイプの切断 >
パイプの切断
アルミパイプは端から測って必要な長さの所に印をつけて切断しましたが、このときに一覧表にした各音の長さより長め、2〜3mm程長く印を付けて切るのがポイントです。この状態でたたくと実際より低い音が出ますから、あとで少しずつ、短く削りながら調律するのが可能になります。
< 音源となるパイプ >
音源となるパイプ
切断したパイプを作業台の上に並べると結構整った感じで、楽器全体のデザインにこの美しさを活かせたら…という気になりました。
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