今日の必ずトクする一言
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OVersion May 1999

May 31
 ●腕時計関係妄想のナゾ
May 30
 ●メタ音声圧縮フォーマットM$-AUDIOののナゾその2(圧縮原理を推理する編)
May 26
 ●音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその2(原信号特性に迫る編)
May 23
 ●音楽CDの音質とジッタの関係のナゾ(CDの神髄に迫る編)
May 18
 ●山本式画像漢字変換ベンチマークのナゾ(L2キャッシュ論争に終止符を打つ編)
May 13
 ●ATAPI仕様CD-Rは使いモノになるか?(100MHzのK6で焼いてみる編)
May 8
 ●証券会社との付き合い方のナゾ・パート2
May 1
 ●水晶腕時計は永遠の命を得るか?(ペイしないプロジェクト編)

OVersion May 1999


May 31
 ● 腕時計関係妄想のナゾ

あるひ旭日新聞を見たWebmasterは腰を抜かしてしまった。それは国産最高級腕時計***”ー*の全面広告であった。いわく(ママ)、

”内側のプライドが品格を作る。すべてに特別な日本の腕時計。

見えない所にこそ、手をぬかない。***”ー*はそういう時計です。

***”ー*の裏蓋を開ける。時を刻むムーブメントが黄金色に輝いている。それは一度メッキした上にさらに金の皮膜で覆うから。腐食によりつよくするため、という理由だけなら,眼に見えないムーブメントをここまで美しく仕上げる必要はない。けれども、それは***”ー*の精神を象徴しています。”

そういえば先日、

 ●水晶腕時計は永遠の命を得るか?

にこう書いた記憶がある。

”Webmasterの手元には某*社の最高級腕時計***”ー*がある。外観は14Kをあしらい世界有数の加工技術を誇る優美なものだが、ウラフタを開けた時の衝撃を忘れることは出来ない。

その時計は非常に薄い。その薄さをどうやって実現しているかというと、その中央に時計のサイズには不似合いの貧弱な小型婦人用のクオーツムーブメントが納まっていただけであった。余った広大なスペースは質感も品も無い緑色のプラスティックのスペーサーで占められていた。しかもプラスティックには金型のフライス盤の削り跡すら見える。もしそれが梨地で銀色だったらどれだけ心が救われたであろうか。”

正確に言うと外観は14kでは無くて18kだった。ムーブメントはステップモーターのコイルまで無理矢理曲げてサイズを詰めているように明らかに他のもっと小さな製品用ムーブメントである。安っぽい緑色のスペーサーにはフライス盤の跡だけではなく,成形ムラがあるのが画像で見えるだろうか。

時計は趣味性の高い製品だからペアで\250K以上の時計に,貧弱なプラスティックやムーブメントがあっても機能には関係ないとも言えるが、外装が極上なだけに中を見なきゃ良かったと思った。他の***”ー*がどうなっているかは知らないが、少なくとも手元の2個はこんな具合である。一度でも中身を見た客は二度と戻ってこないと思う。

Webmasterは国産腕時計愛用派なので昔のファイブスポーツも依然動態保存している。ごつい舶来時計では無く、敢えてこの優美な時計を選んだWebmasterにとって中を見てしまったのは実に悔しい経験であった。

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May 30
 ● メタ音声圧縮フォーマットM$-AUDIOのナゾその2(圧縮原理を推理する編)

それは突然やってきた。その音質は定番ストリームフォーマットのReal-Audioとも、聴覚心理モデルに基づいたMP3とも異なるMS-AUDIO ver4である。

WebmasterはこのMS-AUDIOver4のAdvanced Stream Format(ASF)が非常に気になった。というのは、

 ●WAVとMP3とRealAUDIOとTwinVQを聞き比べる(スペクトログラム編)

であまり評価の高くなかったTwinVQの類が、まさか採用されたのでは無いかと恐れたのである。しかしクレジットのなかに”みかか”の文字は無かった。早速WAV(16bit44KHz)を吸い上げ、MP3(128kbps)、ASF128kbps、ASF64kbpsの聞き比べを行った。MP3は8Hz系のエンコーダーを使った。全てSoundBlaster16のLine出力からサンプリングしたものであり、フォーマットとプレーヤーを除けば条件は同一である。

ASFのエンコーダー、プレーヤーともWindows Media Technologyで入手できる。ベータといくこともあってまだ不安定だった。

ソースは、前回同様ザ・森高”臭いモノにフタをしろ、もっと臭いモノヴァージョン”の冒頭8秒を用いた。理由は、ソースにライブ風拍手、パーカッション、フルバンド一式にボーカルなどあらゆる要素が含まれているからである。

圧縮音楽ではおおむね全般的に高音が低下し、ハイハットがか弱く、ドラムのキレが悪く、非同期音源であるライブ風拍手がただのノイズに聞こえ、定位が揺れる。手持ちのエンコーダはどれもこの曲を苦手としている。

解析は再再再登場するフリーソフトのWavetoolのスペクトロアナライザーを用いた。周波数は0から16KHzがリニアに割り振ってある。ゴタクは後にして、データを見てみよう。

MP3に関しては前回よりエンコーダーは一世代進化している。依然12KHz以上のレベルが低くドラムの分離が悪くなっているが、全体的にかなりWAVに近い。唯一定位は反響音と干渉して僅かに揺れる。

ASF128KHzはけっしてMP3より良くない。聞き始めは周波数のバランスと定位が良いが、全体に音質が硬質(メタリック)でノイズっぽい。印象としてはReal-Audioの80KHzに似ているが、それより周波数のバランスと定位が良い。しかしハイハットの表現が単調でトタン板をたたいているような感じだ。写真でもトランジェントな音が尾を右側に曳いているのが見えるだろうか。ボーカルはまずまずだが、パーカッションの品位はMP3よりやや劣る。

さてM$がMP3の128kbpsと同等と称するASF64kbpsであるが、残念ながら逆立ちしてもかなわないと思う。かなり奇妙な音がする。これまた全体の周波数バランスと定位は64kbpsにしては良好で高域も伸びているが、ハイハットがカウベルみたいに聞こえる。写真でもパーカッションがかなり右に尾を曳いているのがわかる。群衆の拍手は完全にランダムノイズと化し、ボーカルも不自然なメタリックな印象がある。

エンコードの速度は驚く程早い。印象からすると、ASFはLPC系のcodecの雰囲気に似ている。LPC系は64kbpsより遙かに低い帯域でもかなりの品位が保つ事が可能であり、モデムやTAを前提としたストリーム再生に向いている。純粋音楽をターゲットにしたMP3とは少し趣きが異なり、Real-Audioが仮想敵だと考えられる。

ASFがReal-Audioより確実に優れているのは周波数バランスと定位である。逆に劣っているのは時間分解能が低いためパーカッションのようなトランジェントな音が硬質でメタリックな感じであることと、環境音がノイズっぽい事だ。これはMP3ともReal-Audioとも、はたまたTwin-VQとも異なった音質だ。

Webmasterの推理によれば、ASFは周波数成分や過渡特性の時間分解能をかなり間引いている可能性がある。MP3でもReal-Audioでも多かれ少なかれサブバンドを間引いているが、ASFはその度合いが大きいように思う。帯域の割に周波数バランスが保たれているが、時間分解能の低下によってトランジェントな成分の表現の質感はかなり落ちている感じだ。

結論

世間ではASFはMP3に対するフォーマットだと考えられているようだが、それは違う。MP3はあくまでもニアCDクオリティーを求めるもので、一方ASFはストリーム再生でリアルタイムで$$$を儲けるためのフォーマットだ。周波数バランスは優れているが、楽器、特にトランジェントなパーカッション類の質感に難がある。

それにしてもASFがTwin-VQで無くて良かったと思う。M$にも一応の判断力は残っていたみたいだ。

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May 26
 ● 音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその2(原信号特性に迫る編)

前回のハナシでもジッタと音質の関係は依然として隔靴掻痒の感がある。もともと聴感上も微妙な問題で、例えば音楽CDとCD-Rの差はWAVとMP3の差の1/10もなかろう。しかし音楽CDがジッタに関してさして確固としていない事は次第に見えてきた。今回は理詰めでCDの原信号特性から音質のナゾに迫る。

前回も簡単に触れたが、CD録音時に16bitの信号には信号処理とエラー訂正の符号が加えられ、0と1の符号だけになる。しかし0や1の分布が不均一だと、再生時にクロックの抽出がうまく行かない。そこで8bitのデータ列を0,1が均等に分布した14bitのデータ列に変換し(EFM変調)CDに焼き込む。

再生はその逆だ。レーザーに対するピットの反射をフォトダイオードで拾って増幅したモノがRF波形である。RF波形はEFM変調のために幅が3T(Tはピットを読むクロック)から11Tになる。これをオシロで立ち上がりでトリガーをかけると、3Tから11Tの波形が重なり合い、そこいら中に眼の形が見えるのでアイパターンと呼ぶ。

アイパターンはHDD、FDD、CD、PHS、携帯電話、衛星通信、LANはたまた警察通信に至るまでデジタル変調復調には必ず登場する。ここまではアナログだが、これを波形処理してデジタル化したものがEFM波形で、オシロで観察するとアイパターンと同様に3Tから11Tの方形波が重なって見える。

再生ではこれからPLL回路でクロックを抽出し、そのクロックに従ってサンプリングして0、1のデータ列を復調する。その後EFM復調を行い、クロスインターリーブによるエラー訂正を経るとPCMの音楽情報が得られる。今回はPLL波形までのジッタの現れ方を調べてみる。

材料

今回の材料は、市販の音楽CD、1倍速および2倍速で焼いたCD-R(太陽誘電CDR-74TY)である。CDプレーヤーは開発元のS社のD-20というポータブル型(1倍速)を用いた。理由は、プレーヤが裏返しで再生したまま波形を観察できるし、古い製品なのでジッタのマージンも低いと思われるからだ。

まずウラ蓋をはずして回路を観察する。WebmasterにしてもRF信号やPLL信号がうまく見つかる確信があったワケではない。しかしD-20が作られた頃はPLLの能力が低く人手で調節する必要があった。そして予想通りRF、EFM、PLLとシルク印刷されたテスト用ランドが見つかった。

結果

写真は上から音楽CD、1倍速CD-R、2倍速CD-Rである。信号は右へRF,EFM、PLLの順である。1divはRFは0.2Vと0.5us、EFMは0.5Vと0.5usである。PLLは1Vと0.05usと一桁周波数が高い。

今回の測定はプロ級のefu's pageとは異なり、自宅にある安物(20MHzオシロ)を使ったが、本職が医学ということなので許して欲しい。

まずRF波形を見る。アイパターンは山が上下対称で均一であり線がシャープで間隔が等しく編み目(アイ)が開いているほど良いと言う。音楽CDも必ずしも理想的な波形では無いが、いくつか試してもこんなモノであった。

まずCD-Rのパターンはレベルが小さい。ドライブはCD-Rを焼く時に規定の再生レベルになるようにレーザー強度を調節するハズで、そのせいか形は良好だがレベルが低く不鮮明であり、2倍速はさらにボケている。これはピットを読んだ信号自体にジッタ含まれていることを示している。

それだけでは無い。レベルは明らかにCDの回転に同期して数Hzで大小を繰り返していた。これはCDの偏芯しているか反っていてピックアップとCDの距離が周期的に変化するからだろう。これも時間軸に緩やかなジッタとして乗ってくる。

EFM波形ではさすがにレベルはすべて同一になっているが、CD-Rではジッタのために波形が薄くぼやけており、デジカメ(QV-10)の画像では飛んでしまっている。2倍速の方が1倍速よりさらに薄い。またわずかではあるがCDの回転に一致した遅い周期で波形が変化している。

次にEFM信号から抽出したPLL波形である。これも同様にCD-Rは音楽CDよりジッタが大きく、立ち上がり立ち下がりが薄い。実物は音楽CDとの差はもっと差が大きいが、圧縮画像でも雰囲気は伝わってくると思う。PLLではCD回転に同期した揺れはごくわずかだがある印象だ。

最後がプレーヤーの音声出力波形だが、驚くべき事にオシロのトリガーを100Hzの頂点付近に設定してジッタを見ると、CD回転に同期してゆるやかに波形が揺動するのが解る。少なくともこのプレーヤーに関する限り、CDの偏芯や反りの影響が直接音に現れている。

Webmasterの風水学的解析によれば、CDには3種類のジッタが有るように思う。まず、

1.ピットの読みとりに由来する数nsオーダーのジッタ
2.CDの偏芯や反りに由来する数百msの緩やかなジッタ
3.スピンドルやピックアップのサーボ駆動回路の電気的揺動によるジッタ

である。3.は1.と2.に対してスピンドルを一定に回し、レーザーをトラックにロックオンしようとするサーボ回路の影響によるジッタである。これは可聴周波数帯に現れ,安物CDプレーヤーでは起動時に”ブーーン”、シーク時に”キュルキュル”と鳴ったりする。

さてジッタがCDの音質にどう影響するのだろうか?。ここからはWebmasterの推測だが、まずジッタはCDのゴミ、キズ、反りに対するデータ復調とエラー訂正能力のマージンも低下させると考える。反射率が低いCD-Rはジッタに対するマージンが音楽CDより全般的に低いことが不利になる。

クロスインターリーブのエラー訂正能力は極めて高く、失敗する可能性は10の10乗分の1以下で、1日に1回もエラーが発生しなかったと本に書いて有る。しかしこれは理想的なCDのハナシで、日常生活のキズがついたCDでは信じがたい。回転中にCDを出し入れしたり、ゴミがついたプラスティックケースの中でCDが回ったりすると簡単に円周方向のキズが付く。

クロスインターリーブはエラー訂正符号をデータの行列で斜めに加算するところがミソで、連続したエラーを分散して訂正する事になっている。しかし円周方向のキズが2,3ミリに及んでデータが欠落すると、PLL復調もエラー訂正も補正も効果無く,音が飛んだり吸い上げがabortしてしまう。

次に、PCM信号が最後にDAコンバーターでアナログ変換されるときにPLLのジッタが音に影響するかどうか、という問題がある。もしジッタが再生クロックの揺らぎとして現れるとすれば、

nsオーダーのジッタは高域のノイズや分離の悪さとして現れる
数百msのジッタは緩やかな周波数の揺動として現れる
サーボ駆動由来のジッタは幅広い周波数で音の濁りとして現れる

ことが予想される。そもそもCDプレーヤーにはデータバッファがあり、その出力がPLLと独立した発信器で駆動されるDAコンバーターに加えらればジッタの影響が及ばないハズである。しかし今回のポータブル機の場合、残念ながらオシロ上ではCDの回転に同期した揺動が音声信号にも乗っていた。

その揺動がデータのエラーによるのか、ジッタに由来するサーボ駆動系の電流変動が信号処理やアンプに波及する事によるのかは依然不明である。nsオーダーのジッタはCDの焼き(あるいはプレス)自体に起因するので対策が難しいが,サーボ駆動に起因する電流揺動は風水学的ノイズ対策で改善が望める。

つまるところ、少しでも良い音のためには、CDとレンズを良く掃除して、さらに重いスタビライザーで反りを押さえ込む、というのが現実的だ。S社が特性の異なる数種のスタビライザーを用意したのは、CD再生に存在する不透明な要素の解決にスタビライザーが手っ取り早く効果的だからだろう。S社の製品は軽薄短小がモットーなのに、ことCDプレーヤーに関する限り重量頼みなのはそのせいか?

音楽CDで使われているエラー訂正は当初遅延器と加算器で構成され、キズやゴミによるバースト上のエラーにリアルタイムで対処する事が目的だった。当時のハードウェア技術の水準を考えれば、CDは歴史に残るすばらしい発明だったのは間違い無い。今の技術を持ってその限界を指摘することはフェアでは無いと思うが、特にCDの偏芯や反りがこれほどストレートに音質に反映するとは思わなかった。

あの時代にCDを実用化したのは尊敬に値すると思う。それに比べると、S社の最近の圧縮音楽に対する取り組みは技術至上のS社らしくないとも言える。

予告

CDの問題はまだ続きます。次は各種信号波形におけるジッタ変動を数量化する事を考えています。

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May 23
 ● 音楽CDの音質とジッタの関係のナゾ(CDの神髄に迫る編)

今回の内容は、あとから読み返してもWebmasterの独りよがりでは無いか、という気もしないでもない。デジタルデータ処理の根幹に関わる問題だけに、記載にはまったく自信がないので、そのつもりで読んで欲しい。

音楽CDの出現はオーディオマニアにとって衝撃であった。90dB以上のダイナミックレンジ、測定限度以下のワウフラッターなどカタログスペックは夢のようであり、最高級クラスのCDプレーヤーで再生すればメーカーが異なっても音が同じハズだと言われた。

しかしそれはウソであった。同じメカを使っていてもメーカーによって僅かに音が異なり、それはメーカーによるアナログ回路の設計の差であると言われた。その後は20KHz付近の音質改善のためDAコンバーターの多ビット化や1bitパルスカウント式DAコンバーターが用いられるようになった。

しかし残った問題はメカの回転変動であった。当初からCDの回転変動が読みとり信号の時間的変動(ジッタ)を起こし、これが音質に悪影響を与えるとする説があった。このためスタビライザーと称するハズミ車をはじめ、いろいろな怪しげな小物がマニアにもてはやされた。

しかし果たしてジッタによって音質が本当に劣化するのかどうかは長らく論争がある。おおかたのエンジニアはジッタによる音質劣化には懐疑的だった。それは、ジッタによるエラーは信号処理で補正され、出力に出てこないのではないか、と言うのである。Webmasterもそう思っていた。

その間、巷の高級CDプレーヤーはますます重く頑丈になり、CD自体は強い力でクランプされ、かなり重いスタビライザーが乗るようになった。しかし一番Webmasterを驚かせたのはS社の最高級クラスのCDプレーヤーcdp-x5000純正アクセサリーの2種類のスタビライザーである。

その高級CDプレーヤはピックアップが固定されており、CDの円盤の方が動いてシークするのである。オプションのスタビライザーに真鍮製と人工大理石(コーリアン)製の二種類がある。

SONYによると(ママ)「CDスタビライザーSTB-A5000は黄銅にクロムメッキ処理を施したもので、ディスク接触面にはフッ素樹脂シート加工が施されています。このスタビライザーでは低域の量感や安定感、解像度を向上させる効果があります。また、大音量時の音の崩れが少なく、全体的にグレードアップ感が味わえます。」

一方、「CDスタビライザーSTB-B5000は素材に米国デュポン社の樹脂含有強化無機材コーリアンを使用しています。このスタビライザーでは艶のある柔らかな音色が得られます。」という。他にはCD部分の蓋にもオプション設定があり、

「CDリッドXLD-A5000はSTB-B5000と同様に樹脂含有強化無機材コーリアンを使用しています。重量があり剛性が高いため、大怨霊侍の音の崩れが少なく、大編成の音楽での表現力が向上します。また、標準品のイメージに加えて音場の再現力や低域の厚み増強効果が得られます。」、と言う。

しかしこれはヘンでは無いか?そもそも音楽CDをフィリップスとともに開発したS社自体が、異なった音質を実現するスタビライザーを発売することは、デジタル再生の精度をメーカー自身が否定することでは無かろうか。スピーカーならいざ知らず、自社開発のデジタル技術にファジーな部分があることを認めたことになる。

時は今や高性能なサウンドカードを搭載したパソコンが巷にあふれ、自分で音楽CDを焼くことも朝飯前だ。しかしCD-Rで焼いた音質は原盤より劣るとする意見は根強い。WebmasterもCD-Rで焼いたものは、なんとなくピンぼけでしかもザラついた印象を持った。もちろん非常に微妙な差である。

そうこうするウチにたどり着いたのがefu's pageである。このページにはCDと、CD-Rの信号波形が紹介されていた。さらに音楽CDよりCD-Rはジッタが多く、また書き込み速度によってジッターも変わる。しかし、ジッタの多寡と音質劣化のメカニズムについては明言されていなかった。

そこで、今回は総予算\280(つまりCD-Rが2枚)で、CDのジッタと音質の関係を白日の下に暴く無謀なプロジェクトである。基本的なアイデアとして、CDをブラックボックスと見なす。純音を記録したCD-Rを作り,ジッタを生じるような外乱に対する出力特性を見る、というものだ。さてみなさんは下記の実験をどう思われるだろうか?

音源データの製作

まずWAVの元データを作る。再三登場するフリーソフトのWavetoolのシグナルジェネレーターを使って100Hzのサイン波で強度-6dBを作る。このソフトはアナログ出力と同時に1サイクル分のWAVファイル(ファイル名Sig-gen.tmp、16bitモノラル44KHzサンプリング)も出力する。

ところで、なぜわざわざ100Hzのように低い周波数を選んだのだろうか?それにはCDの原理を考える必要がある。音源データはクロスインターリーブされたあと、0と1の数字列になる。これをそのままCDに焼いてもよいが、0や1が偏って存在すると再生に必要なクロックが抽出できない。CDは録音時間を稼ぐために、プレアンブルなどの同期信号は入っていないしピックアップの制約があるからである。

このため、8bitのデータ列は0と1の分布が3Tから11Tまで比較的均一にバラ付くように選ばれた、まったく独立した14bitデータ系列に変換(EFM変調)される。もしジッタが生じて間違ったビット系列として読まれたとしたら、それはかなり離散したデータ列としてEFM復調されるはずだ。とすれば外乱の影響は100Hzから離れた高い帯域成分に現れることが期待できる。

PCM再生は高域が難しいと考えられ易いが、必ずしもそうでは無い。たとえば20KHz近辺の信号だと44KHzのサンプリングでは1サイクルあたりたった2ポイントしかサンプルされない。そのポイントを結ぶと3角の波になってしまう。

ところが20KHz以上をフィルターでカットするとあとはサイン波が残るだけだ。逆に100Hzでは音源のデータはきわめて高い精度で計算して作ることができる。もとよりジッタによる影響がFFTで見えるのかどうかは確かではない。しかし外乱の影響は原音からかなり離れた高域に現れ目立つのでは無いか。根拠は?と言われれば、それはWebmasterの勘であると言うしか無い。

さてWAVデータを適当なWAVエディター(例えばGOLD WAVE)に張り込む。これをコピーアンドペーストして任意長のデジタルデータを作成することができる。CD-RにCD-DAとして焼くには、データを保存するときに16bit Stereoの44KHzサンプリングを指定する。

このWAVデータのFFTを見てみよう。これまたWavetoolのスペクトラムアナライザーを用いる。この優れモノはアナログ入力だけでなく、WAVデータも解析する事ができる。-100dB以下には大きなノイズが乗っているように見えるが、これは97dBしかダイナミックレンジの無い16bitデータをそれ以上のビット数でFFT解析したための量子化ノイズ(アーチファクト)であるので本質には関係しない。

CD-Rの製作と試聴

これをCD-Rに焼いてみる。今回は評判の悪いATAPIドライブ(ODX648)を使ってみて、悪評の根拠が無いことも同時に示そう。ジッタの影響を見るために1倍速と2倍速で焼いて見る。これをCD-ROMドライブ(S社 CDU-771)でアナログ再生しFFTをかけて見たのが写真だ。

まずCDのbit数の制約のために、ダイナミックレンジが95dB程度に低下している。音源データでは-100dB付近では線のブレが小さいのに、CD-Rでは明らかにノイズが全体に増えている。ノイズの一番大きなピークはサウンドカード由来だが、10KHzより高い帯域でヒゲのように細いノイズが1倍速より2倍速で僅かに多い。しかしこの差が音質にどれほど影響するのかは疑問である。

偏芯CDの解析

書き込み速度に起因するジッタの多寡による音質差はかなり小さい。ジッタを作るのは書き込み速度だけではない。もしCDの中心孔がわずかに偏芯していたら、円周速度に回転に同期したジッタを作ることができる。例えば半径6cmのCDの中心孔が0.1mmずれていたら、約0.16%の円周速度のジッタを生じることになる。

そこでCDの中心孔を削ってみる。ドライブは直ちにCDを認識して演奏を開始した。FFTでは2KHzより上のノイズ成分が増えている。聴感上は、純音にきわめてわずかな濁るように感じるが、これとて微妙ではっきりしない。

偏芯 + おもりCDの解析

次に、偏芯に加え、みかけの外径が増えた円周付近に、2cmx2cmのガムテープを貼ってみた。今度はジッタが増えたせいか、ドライブがCDを認識するのに若干時間を要した。FFTでは2kHz以上のノイズが増え,一部周波数成分のドロップも見られる。聴感上はなんとなく濁っているような感じがしてきた。

ドライブをひっぱたいて解析

今までの変造は、聴感上は影響があるように思うがFFTのノイズの増加はわずかで、ノイズと聴感の印象は比例しない。いっそCD-ROMドライブをひっぱたいてみたらどうか?トラッキングサーボがはずれない程度に天板を叩いた時のCD再生波形がコレで、結構ハデにピークが出現した。ピークは叩いた金属音の周波数と関係があるようだ。著しい強大音が音質に影響する可能性はあるだろう。

アンマ機でマッサージしながらCDの解析

手持ちアンマ機でトラッキングがはずれない程度にドライブをマッサージしながら再生してみた。結果はご覧の通りである。アンマの周波数は60Hzと極めて低いが、その外乱は20KHz付近まで不規則な影響を与えている。これも極端な外乱ではあるが、著しい強大音でこのような影響があり得ないわけでは無い。

さて、以上のデータを見ての印象はどうだろう??

実はWebmasterもジッタがどのようにノイズや音質劣化に結びつくかのわかっていない。最初の可能性は、ジッタの影響でデータエラーが起き、それがエラー訂正や補正が十分でなく信号に現れるというもの。もう一つはPLL信号のジッタがスピンドルモータやピックアップのサーボを揺さぶり、その電流変動が電源ラインを経由して信号系に回り込んだ可能性である。CDのスピンドルモーターやシーク機構の消費電力は結構大きい。もしそうなら風水学的ノイズ対策を発動する価値が十分にある。

CDプレーヤーもボロを出さないように必死なので、そもそも一種の加算平均であるFFTでジッタの問題を論じる事自体にムリがあるのかも知れない。しかしFFT上のノイズレベルに僅かな変化が現れた時点では、すでに音質にはかなりの変化が現れているように思う。

いずれの原因にせよ、音楽CDの音質に外乱の影響は大きい。叩くとかマッサージするとかのように激しい外乱でなくても、偏芯や重量のアンバランスでも高い帯域成分のFFTのノイズが増えてくる。ジッタが多いCD-Rがピンボケな上にザラついた印象がする、というのは根拠が無いわけでは無いようだ。もっともそれはかなり微妙ではある。

こうしてみると、CDの開発元のS社が真鍮製と人工大理石製の二種類のスタビライザーを用意した理由も工学的に理解できなくも無い。まず真鍮製はフライホイール効果が強くこれは定常的な低い周波数の回転のゆらぎに効果があるだろう。しかし金属自体にはダンピング効果が乏しいので外乱に共鳴する可能性がある。

対して人工大理石(コーリアン)は複合材料なので内部損失が大きい。はずみ車の効果では真鍮製に劣るものの内部損失のため特定の周波数に共鳴しにくく、高い周波数成分の回転のゆらぎに対してダンパーとして働く可能性がある。

いずれにせよ、音楽CDのジッタがきわめて微妙ではあるが音質に影響を与える可能性の糸口が見えてきた気がする。今後は風水学的にジッタが多いCD-Rを使って原信号から電源ラインまでジッタやノイズ等を追ってみたい。

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May 18
 ● 山本式画像漢字変換ベンチマークのナゾ(L2キャッシュ論争に終止符を打つ編)

巷では依然としてK6-IIIとPentium-IIIの比較がホットだ。Webmasterが実験した訳ではないが、それぞれのスッピンの状態(3DNowなどの小細工無し)で信頼性のありそうなデータを雑誌やネットから拾うと、同クロックの整数性能ではK6-IIIが10ないし20%優れ、浮動小数点やマルチメディアではPen-IIIが20%程度優れる。ただし3D-nowが有効だとPen-IIIに肉薄する場合や一部逆転する場合もある、というのが妥当な所か。

いよいよスロット構造CPUも黄昏を迎え,普段なら温厚なスロット1派ユーザーの語気がいつになく荒く時に過剰反応を示すのは、スロット1に対するアンビバレンツ(スロット1の優位を信じる心と疑う心のせめぎ合い)のせいではなかろうか。クライアントではソケット7でも何の問題も無いが、少々のコスト高を許容できるような馬力を要する用途にはPen-IIIを使うのは正しいと思う。

しかしWebmasterが恐れるのは、K6-IIIがPen-IIIと同じ土台に登ってベンチで比べられるようになると、再度L2キャッシュの有効性の問題が風化?するのではないか?という事である。おそらく世界中でもこのページはL2キャッシュ有効性に限界有り派の最右翼に位置すると思う。

この話題に関しては,国内だけでなく国外からもCPUのエクスパートから多くの手紙をいただいた。結局”L2キャッシュの有効性はアプリによって異なる。コードやデータのローカリティーの低い状態や,頻繁なタスクスイッチではL2キャッシュの効率は劇的に低下する”というのは常識以前の問題なのである。

汎用機やUNIXワークステーションではこの問題に遥かに昔に直面しており、CPUとメモリー速度の差を埋めるためキャッシュをいかに効かせるハードにするか、あるいは効くようにコードを書くかが、高速化のキモである。現状のSDRAMにしてもアクセス速度は周波数換算では40MHz前後にすぎず、同じく35MHz前後のEDORAMと大差無い。システムとしてのパフォーマンスが大きく前進するのは、高速メモリーが普及する21世紀であろう、というのがWebmasterの読みである。

残念ながらパソコンメディアには,ベンチの表面的な数字しか理解しない文士が多い。それは国内に限らず、Tomなんたらや元なんたらもそうである。よくこのページの予想が当たるのが不思議だと手紙を頂くが、すべてが結局滔々たる風水の流れに従うだけの事で、Webmaterはその一端を紹介しているに過ぎない。

このページで以前から疑問を呈している事の一つに、巷にあふれているベンチの大半が日本語処理の問題をシカトしていることである。日本語OSでは英語版に比して、メモリーに漢字フォントデータ、漢字変換エンジンのコード、辞書データのディスクキャッシュが居座るため、数メガバイトのオーバーヘッドがある。おまけに漢字処理は巨大アプリやマルチメディアと非同期に発生するため、極めてキャッシュ効率が悪くなる。

残念ながらWebmasterは本業が忙しくて漢字変換とマルチメディアのタスクスイッチが加わった場合のL2キャッシュの限界を示す専用ベンチを作る時間が無い。そのかわり、L2キャッシュの効果が悪くなる再現性の高い山本式画像漢字変換ベンチを考案したので、結果を紹介したい。

今回のシステムは、

である。月並みで申し訳ないが,Super-PAI13万桁ではL2キャッシュ有りが63sec,無しが88secであった。Super-PAIはコードが緻密に組まれたローカリティーの高いアプリであり、L2キャッシュの有無により約30%の差が付く。事実上、CPUMARK32やi-COMPのような全く意味の無いベンチを除けば,実用システムではL2キャッシュの効率は30%を越えないと考える。実用条件ではL2キャッシュの効果は10ないし15%あれば良い方である。しかしソフトMIDIやMP3を聞きながらネットサーフィンをしたり、日本語文書を入力しているような状態では10%も効いていないだろう。

さて山本式画像漢字変換ベンチだが、日本語文書をスキャンし、OCRソフトで漢字変換する時間を計測する。OCRソフトは画像を解析し字体の範囲を確定する。次に字配りを解析し、漢字辞書から似たものを探して漢字に変換し構文解析を加える。従って画像の解析能力と漢字変換能力の両方が評価できるワケである。

画像は漢字が少ない雑誌(ファイル1),漢字がやや多めの医学書(ファイル2),難しい漢字が極めて多い医学書(ファイル3)を使った。スキャンは400dpiで行い、それぞれのサイズはそれぞれ1.9MB,1.2MB,1.1MBだった。OCRソフトは読んde!!ココ(ver1.5)を使った。テストは各ファイルとも立ち上げて3回行った。画像ファイルはディスクキャッシュの収まるサイズのため、1回目のみディスクアクセスが生じるが、それでも時間のバラツキは1秒以内であった。画像のサンプルを示しておく。

結果

ファイル   L2有り  無し
---------------------------------
ファイル1  29sec  30sec
1.9MB

ファイル2  20sec  21sec
1.2MB

ファイル3  29sec  29sec
1.1MB
----------------------------------

漢字が難しくなるとファイルサイズが小さくても正直に解析が遅くなり、ますますキャッシュの効きが悪くなる。結局L2キャッシュの有無の処理能力の差は数%以下にすぎない。差が付かないその原因はまず画像ファイルや漢字辞書のサイズが大きく、それらが非同期にアクセスされるためL2キャッシュが効きにくいからだと考えられる。OCRソフトをお持ちで希望があればファイルをアップしようかとも思っている。

通常のwin95の用途を考えると、処理の軽いオフィスアプリではL2キャッシュの効きが良いはずだが、これに漢字変換が加わってくるとがっくり速度が低下する。Pen-IIマシンでサクサク処理が進むのに、時々漢字変換のON-OFfや変換が引っかかったようにトロい反応を示すのはそのせいだろう。

イントルは、安いセレロンに比して高いPen-IIIはマルチメディアに効く,と宣伝したいところだ。しかし必ずしもそうでは無い。いまはユーザーの記憶から薄れつつあるが、L2キャッシュ無しセレロン450MHz駆動がゲームやマルチメディアのベンチで同じクロックのPen-IIに肉薄する結果を残した事を忘れてはならない。

確かにL2キャッシュ無しセレロンはオフィスアプリのベンチではPen-IIより15%程度差があった。しかし元々オフィスアプリはあまりCPUパワーを必要としない。本当にパワーを必要とする巨大コングロマリットオフィスアプリやマルチメディアを多用したブラウザー,そしてゲーム類では残念ながらL2キャッシュの効率が低下するのである。またこちらによれば予想に反してL2キャッシュ無しセレロンの2カケはPen-IIの2カケに肉薄する性能を示した。これらのことは、K6-IIIやpen-IIIの華々しいベンチの解釈には注意を要する事を示している。

いまやパソコンの潮流は大きく2つに分かれつつある。メインストリームは,パソコンが細かいハードウェアのスペックから遠ざかり、オブジェクトとなる流れである。1000ドルパソコンはその流れの入り口に過ぎない。全ての付加機能はゲーム機のように高度に集積され、細かいスペックの違いは問題にならない。3年立てばそのまま捨てられてしまい、ビデオカードの差し替えなどは過去のハナシになる。

もう一つが細く、くねくねと曲がり結晶化するハイエンドの流れである。これはオーディオや鉄道模型、アマチュア無線が辿った道で、極限までの洗練に向かう流れだ。雑誌はますます薄くなり、記載は簡潔にして記号化が徹底する。しかし結晶化する事自体がますます間口を狭めるという、ありがちなパターンを取るためビギナーとエクスパートの二極分化が進行し、中間層が空洞化する。従ってその美しいバラ色の世界には常に黄昏の予感が漂うのである。

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May 13
 ● ATAPI仕様CD-Rは使いモノになるか?(100MHzのK6で焼いてみる編)

長らくMOを使っていたWebmasterも少し前からCD-Rを使っている。モノはPlextorのPX-R412C(SCSI)で640MBのMOとデイジーチェーンでメルコのIFC-UPを経て440FXのPen-II(266MHz)に繋いでいる。HDDはIDEだがオンザフライでも失敗したことは無い。

もともと評判の良いドライブなのでうまく焼けて当然だが、どうもパソコンが過剰性能のような気がする。巷ではAdaptecのUltra-2SCSIインタフェースがお勧めとかだが、これは完全に過剰性能だ。CD-Rを焼いている時もHDDのインディケーターはポツポツ点灯するだけで、CPUはヒマそうである。そもそもCD-Rを焼くのにSCSIやCPUパワーは必要なのだろうか?Webmasterにはそうは思えない。

巷にはATAPI仕様のCD-Rドライブもいくつかあるが、雑誌でもネットでも評判はさんざんである。しかしよくよく見ると”ひどいらしい”とする情報が圧倒的に多いが、”実際に使ってみて使いモノにならなかった”という情報は意外に少ない。ごく初期のドライブはひどかったのかも知れないが、最近はメーカーがATAPI仕様CD-Rをプレインストールしている程だ。

CD-Rを焼いている時にパソコンが何をやっているかは定かでは無いが、シークエンシャルなデータをインテリジェントなCD-Rライブに渡しているだけに思える。 HDDのデータ転送ではシングルタスクならATAPIの方がSCSIよりむしろ速い。たかだか1MB/sec以下のCD-Rへの転送なら、PIO-modeでもCPUが完全にBUSYになるとは思えない。相当ボロいマシンでもATAPI仕様CD-Rでうまく焼けるのではなかろうか?

と言うわけで、早速ATAPI仕様2倍速書き込みCD-Rドライブをサンプルしてみた。モノはバルクで売っていた日の丸電気製ODX658で、まったく同じモノがTEACからCD-P520Eという名前でも発売されている(写真は日の丸電気からのリンク)。ドライブは日の丸電気とTEACの合作ということで、早期に集団自殺を遂げた壽製ドライブ(被害総額30万以上の現場写真付)よりは作りが良さそうだ。PDも焼けるらしい、というかPDドライブから進化した製品のように思える。ファームウェアは2.0M、キャッシュは1MBで市価は約\25Kだった。

さっそく手持ちのマシンに仕込んでみる。CPUはK6の225MHz(75x3)、VIA-VPX、64MB EDO-SIMMにIDEの3.6GB HDDだ。IDEはMSのバスマスタードライバーで動いている。バスマスターはWebmasterの好みでないが、一度インストールしたところゾンビのように復活して二度と消せなくなってしまったのでそのまま使っている。本ページの風水学的パソコン格言集では、こういうのを”レジストリーの深情け”とか”プラグアンドプレイに手を噛まれる”と呼んでいる。HDDはプライマリーIDEに、CD-RはセカンダリーIDEに接続した。ソフトは付属のB's Recorder GOLD(1.15)である。

トラブルを期待していたムキには残念だが、一番条件の厳しい音楽CDの20倍速(3MB/sec)吸い込みも2倍速の焼き込みも問題も無い。CD-ROMドライブを載せて無いのでいったんHDDに落としているが、20倍速の吸い込みは快適でノイズも無く、オンザフライの焼き込みも問題無い。

え、K6の225MHzにバスマスターなら焼けて当然???そこでマシンを最低のバス周波数と倍率であるK6の100MHz(50x2)に設定して焼いてみた。さらにL2キャッシュ設定もメモリータイミングも標準にした。これだとPCIバスのIDEコントローラーは25MHzとなり、HDDの転送はヘタな486マシンより遅いかも知れない。

結果であるが、これまた写真に示すようにオンザフライの音楽CD焼き込みにはナンの問題も無く、ノイズも載っていない。それどころか3MB/secを必要とする20倍速の音楽CDの吸い込みにも問題がない(お勧めしないが)。以前よりSCSI接続では486DXクラスのマシンでもうまく焼けることが知られているが、ODX658もPentium133MHzクラスであれば何の問題も無いようだ。

CD-Rの焼き込み失敗にはメディアの品質、ゴミや傷など多くの原因があり得るが、失敗の大半は他のタスクとの干渉によるバッファーアンダーランではなかろうか。スクリーンセーバーやシステムサービス、ネットワークサーバー機能を止め、作業エリアとしてパーティションのひとつを専用に空けてデフラグをかけておけばCPUパワーやCD-Rの規格はあまり関係が無いように思う。

確かにマルチタスクではATAPI仕様の方がCPUの負荷が重く不利な事は事実だ。しかしSCSIマシンといえどもCD-Rを焼くときに他のタスクが走ると間違いなく失敗する。シングルタスクに近い状態で焼く限り、ATAPI仕様でもCPUがBUSYになって、CD-Rのキャッシュが空になる約3秒間もデータ転送が止まる、という可能性は低い。もっとも、メーカーも高いカネを取るのだからキャッシュを1MBとか2MBとかケチらずに16MB位積んでくれれば何が起きても失敗無かろう、と思う。

今回はVCACHEサイズもSWAPサイズも特に指定していない。OSがWin95のOSR1+なのでコンパクトで軽く、Win98と違って余計なシステムサービスのタスクが無くむしろ好都合である。この2倍速CD-Rの値段が約¥25Kというのは安いとは思わないが未だ一枚の失敗も無いし20倍速の吸い込みは魅力的なので高いとは思わない。今後はATAPI仕様のCD-RドライブがメジャーになるとWebmasterは予想している。

通常の用途(ゲーム方面をのぞく)のCD-Rを焼くのにSCSI仕様のハイエンドマシンを新たに調達するのは、いまや結晶化しつつある物欲パソコンショップを喜ばすだけだ。スクリーンセーバーや他のタスクが走らないように設定することは重要だが、それはSCSIマシンとて同じ事である。もちろん、ハイエンドSCSI仕様マシンを既にお持ちの方が強いてATAPI仕様CD-Rを選ぶ必要はまったく無いのは言うまでも無い。

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May 8
 ●証券会社との付き合い方のナゾ・パート2

以前、

 ●証券会社との付き合い方のナゾ

に書いたが、とある証券会社は相変わらず楽しませてくれる。最近の株価上昇でWebmasterの塩漬け株も一掃できたが、その過程のハナシだ。

以前よりWebmasterは証券会社の店頭には行かない。取引は証拠の残るホームトレードかインターネットを使うし、預かり金は直ちに銀行口座に振り込ませる。それは証券会社に預かり金を置くのがいやだからである。

その理由は取引のあった山容証券の倒産を経験し、その折りに倒産時の預かり金の処理について好ましからざるハナシを聞いたからである。預かり金の取扱いには明確な法的根拠が無く、現時点では倒産時に使い込まれても保証されるとは限らない。

証券会社では預かり金の銀行の振り込み口座を登録しており、それ以外の口座には口頭による指示では振り込まない事になっている。Webmasterの場合も今までは登録された口座に期日までに振り込まれていたが、今回はインターネット上で振り込みを指定したにも関わらず期日(金曜)までに振り込まれなかった。

判明したのは午後4時になってかかってきた電話であった。預かり金の振り込み期日に関しては明確な法的根拠があるかどうかは知らないが、これまで業界の商習慣として守られてきた。今回はそれが守られなかった事実が通帳に残っただけである。もしギリギリの資金計画を組んでいたら信用を無くす所だった。

この会社と縁が切れない理由は、大した額では無いが塩漬けの投信を置いているからだ。見たくもない運用成績も時に確かめる必要があるので、系列投信会社のメニューに辿り着いた。

Webmasterはことオカネがからむページには虚飾は止めて少しでも脇(セキュリティー)を固めて貰いたいと考えている。メニューにまでJAVA-scriptを要求する凝ったページでリスク・リターン分類のボタンを押すとどうなるか、お試しいただければわかる。メンテする技術が無いなら凝ったシカケは止めるベキだろう。

この会社のインターネット有料サービスには市場概況、チャート、相場の情報、予想、注目株、解説、テクニカル解析などいっさい無い。以前のファミコントレードでは取引以外にいろいろな情報が提供されていた。それが一方的にうち切られインターネット取引に強制移行させられた上に20年前のサービスに格下げになった。

この会社のメインページのマンスリマーケットニュースは1998年12月、金融市場レポートは行方不明、投資工学最新レポートは1997年春のままだ。そう言えばIPアドレスによるアクセス拒否というのもあった。

え、ウダウダ書かず取引を止めてしまえ??Webmasterもそう思う。塩漬けの投信さえ無ければ、である。何より概況もチャートも拝めないサービスに年\12000も払っている自分自身が一番情けない。

有料情報サービスの品質はともかく、商習慣が守られなかったのは残念である。そもそも個人が証券会社にトクする情報を期待する方が間違っている。今後は手数料自由化に向けて証券会社とは売買ブローカーとしてこれまで以上にドライなお付き合いをすべきなのだろう。またひとつ社会勉強した気がする。

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May 1
 ●水晶腕時計は永遠の命を得るか?(ペイしないプロジェクト編)

このページに登場するプロジェクトの中にはそれが上梓できるまで長い時間がかかったものがある。中には時間を要したままボツになるものも多い。今回報告するプロジェクトは実験に約1年を要している。また少々危険が伴うのでスキルの無い方にはオススメしない。以前,古カメラの値打ちについて、

 ●中古カメラの相場のナゾ (何が加点で何が減点か編)

と言うのを書いた事がある。その骨子は、現代の電子カメラは急速に陳腐化が進むため数年たてば二足三文の価値しか持たない。一方、高品質な機械式カメラはパーツの供給が途絶えても部品を新造する事によりその価値を維持できると言うものだ。

腕時計に付いても同じで、巷の相場を見ても機械式高級時計はその価値が持続する。しかし国産の自称高級時計はどうだろう。Webmasterの手元には某*社の最高級腕時計***”ー*がある。外観は14Kをあしらい世界有数の加工技術を誇る優美なものだが、ウラフタを開けた時の衝撃を忘れることは出来ない。

その時計は非常に薄い。その薄さをどうやって実現しているかというと、その中央に時計のサイズには不似合いの貧弱な小型婦人用のクオーツムーブメントが納まっていただけであった。余った広大なスペースは質感も品も無い緑色のプラスティックのスペーサーで占められていた。しかもプラスティックには金型のフライス盤の削り跡すら見える。もしそれが梨地で銀色だったらどれだけ心が救われたであろうか。

大して寿命の長くない電池が切れる度に優美な時計の貧弱な中身を見るのは拷問である。その瞬間に欧州の機械式高級時計の持つ真の意味を悟ったのである。しかし天の邪鬼なWebmasterはそれをホイホイ買いに行く気にはなれない。そもそも電池を定期的に廃棄することはエコロジー的にもお下劣な方法である。

果たして国産クオーツ時計に永遠の命を与える事は可能であろうか?その第一段階として永遠の命はムリにしても寿命を倍にする事を考える。もちろんこの方法は危険な割にペイしない方法である。

注意

以下の行為は極めて危険性が高く、電池が破裂すると火傷、失明、大けがの危険性があります。電気に高度の知識の無い方はお戻り下さい。当ページは一切の責任を担保しません。私は戻る

さて,腕時計で一番多く使われているのは特性が安定している酸化銀電池でる。そのサイズや容量などの規格については、こちらが詳しい。例えば良く使われるSR626SWの容量は30mAHとサイズの割にかなり大きい。しかし注意を要するのはその最大放電電流がたった0.8mAに過ぎない事である。これは極めて密閉性の高い電池内で放電に伴って発生するガスなどを処理する能力に限りがあるからだろう。

この電池に再び命を与えるために充電は可能であろうか?答えは可能であり、また不可能でもある。

すでに察しの良い方なら解ると思うが、密閉性の高い電池を充電することは爆発の可能性があり極めて危険である。充電には長い時間がかかるため、新しい電池が数百円で入手できる場合にコスト的にはまったくペイしない。従って極めて特殊で入手困難な酸化銀電池に限ってスキルの高い方が細心の注意をもって行うベキ方法である。

試験問題

ここに容量30mAHの電池があります。電流は0.1mAで満充電するには50mAH必要です。さて充電には何時間かかるでしょうか?計算できないので戻る

正解は500時間である。有り体にいうと三週間もかかる。それはあんまりなので容量の60%当たりを狙って二週間充電する事になる。写真はその様子である。放電した酸化銀電池の電圧は約0.7Vであった。電圧がゼロになっていないのは電圧が下がるとクオーツ駆動回路が動作しないからだろう。

充電は6VのDC電源から50KΩの抵抗を直列に入れて充電電流を約0.1mAに調節する。老婆心ながら抵抗は5kΩでも5Ωでも無く50kΩなので間違いの無いように。写真は充電を開始して数日の様子で、電圧がやっと1.08Vまで回復した所だ。実に気の長いハナシだ。

これより電流を増やすと爆発する可能性があるので、電流と電圧を厳しく制御する必要がある。万が一爆発した場合を考え,電池付近をプラスティック製のコップでフタをしておくと良いだろう。

充電後丁度1年経過したところで時計は止まった。ということはおおむね初期の目的(容量60%)を満足しているようである。というわけで、今回のは危険と時間の割にまったくペイしないプロジェクトである。

しかしWebmasterはこの実験で踏みとどまっているワケではない。第二段階として今回のプロジェクトの知見をベースとしてヒトの汗を電流源として永遠の命を持つ腕時計(PAT PEND.)を開発中(笑)である。ヒトの動きや体温を電流源にした時計はすでに実用化されているが、ヒトの汗を電流源とする時計は聞いた事が無い。

構造として時計のウラフタにイオン化傾向の異なる金属を置き、汗が電解液として働く。プロジェクトが進まないのは、伏兵だったダイオードの順方向電圧によるロスの問題である。また電極が錆びるので時々をクレンザーで磨く必要がある。これらが解決して紹介出来るのはおそらく21世紀になってからか、あるいは永久にボツになる気配も無しとしない。

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