マイスター試験について / (2)
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3.【 ピアノ・チェンバロ職人の教育課程 (3)/マイスターシューレ資料 準備中 】 [拡大画像あり]
以下の書類がまだ未訳のままでした。これを機会に記事を追加したいと思っています。 '08,10,13
マイスター試験内容3 マイスター試験内容4 マイスター試験内容5 マイスター試験内容6

4.【 マイスターの資格とマイスター・シューレの近況/マイスターシューレ資料 '06/03/07 】 [拡大画像あり]
マイスター・ブリーフ
「ピアノ・チェンバロ職人の教育課程(1)・(2)」 の冒頭に 「私がドイツにいた20年前の記憶をもとにしたもので、現在どうなっているかは責任が持てません」 と白状しておいたら、ありがたいことにその部分を補うコメントを寄せていただきました。Sakuzaさん・M.K.さんありがと! これからもコメントをお願いします。コメント自体も各記事(ピアノ箱蔵書「Kunst des Klavierstimmens(調律の技術)」の本紹介も含む)に残してありますので、この記事をお読みになる方は確認してください。)
「マイスター制度も色々軋んでいるようですが・・・(by Sakuza)」 というコメントにM.K.さんが 1) 、2)のように現在の状況を説明してくれました。

1) 「近年マイスター制度は、少し様子が変わってきているようです。EUの統合による規制緩和が原因だと理解していますが、EU他国の方が同じ権利で店を持つ事ができなければならず、多くの職業はマイスターの資格が無くても店を持つ事ができるようになり、実質的なマイスター・ブリーフ(Meisterbrief ・ 親方資格認定証)の意味が変わってきたようです。しかし、ピアノ製造業も当然マイスター試験は継続されます。これからのマイスターは、自らの店を開店する為の資格というより、その職業における技能、理論、見識等が優れているという事を表す証明の様な形に変わるようです」

2) 「確か、去年からですが、マイスターシューレの授業形態も変わり、ゲゼレの時の学校のように、3年かけて3〜4ヶ月づつに3分割して学校の授業を受けると言う方法に変わったようです。この規制緩和が、ドイツの手工業の品質維持に対し、吉と出るか凶と出るか・・・」

・・・で、遅ればせながら、もう少し詳しいことが知りたくなって、ハンブルグの手工業会議所・シュツットガルトの手工業会議所・マイスター・コース(マイスター試験受験準備の講座)が行われるルードヴィクスブルグの職業学校(現在は“Oscar-Walcker-Schule Ludwigsburg”という名前が付いています)のホームページを探ってみました。(ドイツ語のYahooを本格的に使ったのは初めてです。やれば何でも勉強になるなぁ・・・)・・・で、どうやら

1) については、2004年の1月1日から施工された新しい法律に明記されているようです。それによると手工業の職業は自営(店を持つ)にあたって認可義務の必要がある(zulassungspflichtig)職業と必要のない職業(zulassungsfrei)の二つに分けられた模様で、前者の認可義務のある職業(41職種)の場合では以前と同じように、マイスターの資格が自営の前提条件となるようです。
後者の認可義務必要のない職業に含まれる、ピアノ・チェンバロ製造業・パイプオルガン製造業・管楽器製造業・ヴァイオリン製造業等楽器製造業などでは、マイスターの資格は自営の前提条件にはならない、と説明されています。
また、認可義務必要のない職業のマイスター資格は任意の(取るか取らないか自由な)品質の証(Qualitätssiegel)だと説明されています。

私は1982年にマイスター・シューレに入る以前、ドイツ人の経営するピアノ店で働いていました。そこの社長の説明では 「誰でもピアノ販売店の看板を出すことは許されているが、店の収入が50%以上技術による売上に頼っている場合は、マイスターの資格が要る」 と聞いた覚えがあります。それによれば上記の 「自営(店を持つ)」 とは、あくまでも「手工業を中心業務とした自営(店)」のことであり、個人の名前を付けたピアノ店 「○○ピアノ店」 といった店は誰でも開店できるものだと思っていました。
“技能の証明” という点に関連して、余談ですが極端な例を一つ。これも同上の店での出来事です。私が調律に行った先で手に入れた名刺には、クラビア・ランドアルバイター(Klavier Landarbeiter)なる怪しげな肩書きが入っていました。それを社長に見せると 「ランドアルバイター、そりゃ農夫だよ」 と土を耕す真似をして、今度は右手で何かを追い払うようなしぐさまでして “お話にならん!” といったようすでした。ようするに自分で肩書きを勝手に作って調律に回っている御仁もその当時からいたということです。お客様がかかわり合いになる店、または調律師の技術のレベルは結局、お客様側が店や調律師をどう選ぶか、ということに尽きるようです。

マイスター・シューレ予定表
2) については、2005年から2008年までのマイスターコースの予定表を載せておきました。
「FZ KL 70」 が 「ピアノ・チェンバロ製造業のマイスターコース」 で、2005年の9月12日〜12月21日までの期間で1学期を終えていて、次の2学期は2006年の4月24日〜8月2日、3学期は2007年の1月8日〜3月30日までですべて終了し、2007年の8月にマイスター試験が行われることになります。
私が受けたマイスターコースは半年から1年間に期間が延長された第一回目でした。そのときは一年間、続けて授業を続けて受けられましたが、授業期間がこのような形態になると、職場を残しながら(働きながら)受けるのに都合が良い反面、私のようにドイツ滞在の最後にマイスターの資格を取ろうという場合は、期間が掛かりすぎてむずかしいかもしれません。

最初に挙げたマイスター・ブリーフのイメージ写真は手工業会議所のページに載っていたものです。私の持っているものは白い紙に黒で印刷した殺風景なものですが、まあ、20年も経つとカラーでとってもきれいです。もしかして称号は銀文字かなぁ、特に州の紋章なんかすてきだなぁ。 「自分の店を持ったらこれを壁に掛けて・・・」 とか若いうちから思ったら仕事が身に付きますよ、きっと。やはり 「マイスター」 は手工業に従事するものの目標であり、励みであり、憧れとして、いつまでも存在して欲しいと思います。

― コメント ―
がんばります。実は明日。Handwerkskammer Stuttgartで、二教科分マイスター試験を受けてきます。残念ですがピアノではないですが。。。日本人として、いってきます!2007/07/17(火) 03:53:26 t
おお、頑張ってきなされ!良い結果を祈っています。2007/07/17(火) 04:53:15 康之助
帰りに気が抜けすぎて事故を起こさないように!2007/07/17(火) 05:08:24 康之助
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