気になる本 / (1)
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1.【 古書店は好きですか? '06/01/15 】
棚がジャンル別に分類されている古書店は記憶に残って、調律の客宅の帰りに二度三度と足を運びます。

以前阿佐ヶ谷にあった店には、音楽関係の新刊本に近いものがよく並んでいました。
店主によると音楽関係の仕事をしている人が近所に住んでいて、その方がなさっている仕事が一件終わると、そのために集められた資料としての本がまとまって払い下げられるそうで、それが買い取られてその店先に並んでいたそうです。
その日は国立に調律に行ったのですが、2004年末の暮れ以来引越しダンボールに囲まれている身としては、一冊本を増やすのも後ろめたく、見ない振りしてその店を通り過ぎて駅で切符を買おうとしていました。ところが100円硬貨を1枚と50円硬貨を2枚入れたところで硬貨投入口のシャッターがパカパカ音をたてて開閉を繰り返し始めてしまって、係員を呼ぶ羽目になりました。
結局そのことで一気に帰宅する勢いをそがれてしまい 「やっぱり寄ろう」 という気持ちになり店に引き返して見つけたのが 「音楽有愁」 (ピアノ箱蔵書に紹介)という本です。 中の 「ピアノの音色」 を立ち読みして 「あっ、この本が呼んでいたんだ」 そう思って早速買いました。(よく物を拾ってきたりする人が同じ事を言うらしいんですが・・・)

神奈川にある店は何年も前から音楽関係の本(スコアなんかも混じっていました)を、値段も付けない状態で店の隅にまとめて置いてあったのですが、去年の暮れに行ったら棚に並べてありました。その中でもストラディヴァリウスの作品に関する厚さ7〜8センチもある洋書が目を引き、他にもヴァイオリンに関する洋書・和書が何冊かまとめてありました。

何か関連している本がまとまって出ているとつい 「あ、遺品整理だな」 と思ってしまって、それらの本を手に取るのもなんとなくあらたまってしまいます。その店で郡司先生の絶版になった本を見つけてレジに持っていくと、どうぞと言って、ウェットティッシューを指差しました。“サービスがいいんだかなんだかなぁ” と思い手を拭きながらなんとなく 「インターネットには出してないんですか?」 と聞くと 「いやぁ、・・・」 となんだかあいまいな答えをくれました。その店から駅まで歩く間に “ネットに出ないでね” とつぶやきました。また来年調律の時期が来たときも、お土産がほしいんです。
2.【 「奇跡のピアノ」 (1)〜(5) '05/11/10 〜 12/11 】 [拡大画像あり]
・ 「奇跡のピアノ」 (1) / シエナのピアノ CD '05/11/10
< シエナのピアノ CD 表 / 裏 >
シエナのピアノ CD
シエナのピアノ CD・裏
このCDは特別な縦型ピアノが音源で、そのピアノの物語が「奇跡のピアノ」という翻訳本で、だいぶ前に出版されています。 その物語は・・・、
ピアニストであった祖父から「ソロモン王の神殿の柱を使って作られたピアノ、この世にそんなピアノがあるんだよ・・・」と聞かされていた子はやがて調律師になり、その彼のもとにそのピアノが届く。そのピアノは、戦時中ドイツ軍に盗み出され漆喰に塗り固められて砂漠に捨てられた、そのままの姿であった…。

本の紹介はまた次の機会にして、ジャケットの裏面を載せておきます。
実はCDのほかにLPもありますが、同じ曲が入っていても演奏者が若干違うようです。
・ 「奇跡のピアノ」 (2) / シエナのピアノ CD の購入について '05/11/12
このCDは「CDショップ・カデンツァ」の「BOSTON SKYLINE」のページで手に入れました。CDのナンバーは BSD-131 です。
私の場合注文してから一週間くらいで手元に届きましたが、「CDショップ・カデンツァ」からいただいたメールによると、「当レーベルはここ5年以上新譜発売がありません。たまたま秋から代理店が久しぶりにできた関係で国内にも商品がある程度流通し、1本め(私の注文した1枚目)はある程度早くお送り出来たのですが、今後は新譜が発売されない限り、国内への入荷もだんだんと間隔が空き、流通量もだんだんと先細りになっていってしまうという状況が考えられます。」とのことでした。興味のある方は“お早め”がいいかも。
・ 「奇跡のピアノ」 (3) / シエナのピアノ LP '05/11/12
< シエナのピアノ LP 表 / 裏 >
シエナのピアノ LP
シエナのピアノ LP・裏
オークションで買えました!
・ 「奇跡のピアノ」 (4) / 本 '05/12/06
さて、 “シエナのピアノ” を知るきっかけとなった、本の資料を載せておきます。
残念なことに絶版で、古書でも手に入りにくいようです。 出版された年から考えると無理もないのかも知れません。この本を訳された郡司先生が “見つけたときに買わないと、本はすぐになくなってしまう” と嘆いていらしたの思い出しました。どこかで手にとってお読みになれる機会があることをお祈りいたします。

< 奇蹟のピアノ 本 >
シエナのピアノ 本・カバー
シエナのピアノ 本・目次
シエナのピアノ 本・奥付
・ 「奇跡のピアノ」 (5) / ドイツでの思い出 '05/12/11
郡司先生の「奇蹟のピアノ」を手に入れたのは、私が西ドイツでピアノ製造マイスターの資格を取って日本に帰って来てからでした。冒頭の部分から「ピアノが来たよ!ピアノが来たよ!」という部分まで読み進んだとき、 「あっ、あのときの本はこれだったんだ!」 と心の中で声がしました。この本のドイツ語版を、ある町の公民館の中の小さな図書館で手に取った記憶がよみがえったのです。
その場所とは、ピアノ製造のマイスターコース(マイスター試験の準備をするカリキュラム)を受講した職業学校のあるルードヴィクスブルグの公民館の中の小さな図書館で、1983年のことです。
ルードヴィクスブルグのパンフレット
当時、マイスターコースの入学許可を得た私は、一年間学生生活を送ることにして、それまで勤めていた職場を辞め、住居もカールスルーエ近郊から職業学校のあるシュトットガルト近郊の町ルードヴィクスブルグに移していました。 当時はまったく知らなかったのですが、この記事を書く前にインターネットで検索してみたら、ルードヴィクスブルグは陶器でも有名であるらしく、そういえば公民館内に複雑な人物像の陶器の型と、それから抜かれたままの焼かれる前と思われる土色の像が展示してあったのを覚えています。 また驚いたことに日本から出かけていって、その町の中心にある宮殿で挙式するプランもみつけました。
花屋さんのパンフレット・表
実は私が住んでいたのはその宮殿の庭の方角にある、花屋の職人小屋でした。小さな一戸建てで寝室と居間と台所、屋根のつながった反対側の入り口を入ると中はガーデニングの道具置場でした。高台の道路に沿って細長く建ててあり、道路の反対側の窓を開けると手の届くほどの距離には温室の、半透明のガラスあるいはビニールが迫っていました。 ほとんど通ったことはなかったのですが、その温室の間の人一人が通れる隙間をたどって行くと急な石段があって、そこを下れば花屋の中庭に出られて、そこには一畳分くらい大きさの机がいくつも並べてあってその上には鉢植えの花がずらりと並べてありました。 その中庭のさらに向こう側に店舗がありました。実は中庭は店舗から見ると店の裏になっていて店舗の表側には広い通りが走っていて、花屋の看板はその通りから見えるように建てられていました。 店舗の真向かいではないのですが、その通りの反対側に宮殿の庭があり、道路は庭よりも高い位置にあったので、その歩道を散歩すれば宮殿の柵越しに、木立の中にすっくりと立つ、ちょっといかめしいなりの見張り塔らしいものや、その搭の下の池の向こう側を、さらさらと群れになって移動するフラミンゴを見わたすことができました。
花屋さんのパンフレット・裏
その公民館の中の図書館は、本の数は少なくて、本棚には隙間が目立ち、音楽の分類中の楽器という棚には10冊ほどの本が片方の仕切に立て掛けるように置いてありました。その中のさほど厚くない本の一冊を手に取って冒頭から「ピアノが来たよ!ピアノが来たよ!」と子供が叫んでいる部分までを読んでみたところで、物語の本がなぜわざわざ「楽器」の棚に分類されているのか理解できず、童話か子供向けの本がその棚に紛れ込んだくらいに思ってさっさっと棚に戻し、ジルバーマンというパイプオルガンの製作者(彼はピアノも作っています)の本かなにかを借りて帰ったのでした。本当にジルバーマンの本を借りて帰ったのかどうか、こちらは方は自信がないのですが、そのときに手に取ってさっさと棚に戻してしまった本の方は、今でも妙にはっきりと印象に残っています。

その後、何かの折にミュージックトレードの故桧山氏と郡司先生の話になったとき、そのこと(私が目の前にあった素敵な本を見逃したこと)をお話をさせていただくと 「それはきみ、目の付け所が違うということなんだよ」 とおっしゃってました。

そうかぁ、私の人生、目の付け所がまちがっている?のかも。
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