今日の必ずトクする一言
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OVersion July 1999

July  30
 ●鉄道車両に発見された年輪のナゾ
July  25
 ●公的ページはネット環境に優しいか?
July  20
 ●メタ音声圧縮フォーマットMS-AUDIOのナゾ・その2(推理は正しかったか?編)
July  15
 ●飛行機に発見された年輪のナゾ・その2 (パッチの貼り方編)
July  10
 ●修理が難航した石油ファンヒーターのナゾ・その2 (原因究明編)
July  5
 ●舶来高級ちゃわんのナゾ
July  1
 ●九九式アンマ椅子の傾向と対策

OVersion June 1999

June 30
 ●音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその10(山本式メカニカルダンパー変造(PAT PEND.))
June 25
 ●音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその9(TE信号とエラー信号記録法)
June 20
 ●音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその8(ジッタ量とエラー訂正頻度の関係)
June 15
 ●音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその7(ジッタの影響はDACか?アンプか?)
June 13
 ●音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその6(緑に塗ったりカットしたり編)
June 10
 ●音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその5(ジッタの電源ライン波及編)
June 7
音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその4(みんなでジッタサウンドを聴こう編)
June 3
 ●サーバー構成手直しのお知らせ
June 1
 ●音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその3(ジッタ変動とスタビライザーXの効果編)


OVersion June 1999


June 30
 ●音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその10(山本式メカニカルダンパー変造(PAT PEND.))

いままでのデータを総合すると、CDの回転ムラ,偏芯、ソリ、外乱などがスピンドルやピックアップのサーボを駆動し,その過程でサーボ駆動電流がアナログ信号系に悪影響を及ぼしていたのは確定的である。またジッタはPLLのロック、フレーム抽出、エラー訂正のマージンを大きく損なう。

しかしてジッタの輪廻は一回では終わらない。例えばTE信号からトラッキングサーボに戻ってきて補正しきれないオツリは、再度信号系とサーボ系を介してピックアップへ戻ってきてジッタの輪廻は続く。

さて今回は敢えて電気系には手を着けず、またCDプレーヤー自体にも大きな改造をせずにメカニカル変造によってサーボのオツリを安定化する事を考えたいが、それは可能だろうか????

そこでこのヘタな絵を見て欲しい。CDのプレーヤー自体はラバーマウントかバネでシャーシから浮いており、その上からスピンドルが生えている。

プレーヤーのスレッド(ソリ)の上にはピックアップユニットが乗っておりウオームギアーで内外に動く。ピックアップユニットにはバネで吊ったピックアップが乗っており、これがトラッキングサーボやフォーカスサーボで駆動される。

問題はシャーシーとプレーヤーの間にバネ要素があるがダンパー要素が無いことだ。スピンドル上のCDの偏芯やソリ,スピンドルモーターの振動はプレーヤーを経てピックアップを直接揺する。しかしその揺動はピックアップのサーボ自体が発生する揺動と相まってダンピングされずピックアップを揺さぶり続ける。結局プレーヤーはダンパーの抜けたボロ車のようにシャーシー上でユラユラ揺れ続けることになる。実に情けない設計である。

かといって、プレーヤーをシャーシに剛結合すると、ちょっとした外乱でトラッキングが飛んでしまう。そこでプレーヤーとシャーシの間に新たにダンピング要素を導入するのが高度のメカトロニクス技術の結晶である山本式メカニカルダンパー変造(PAT PEND.)である。コストは\5以下か。

山本式ダンパーの本体はスポンジだ。スポンジはバネ成分だけでなくダンパー成分を持つ。今回は隙間塞ぎテープのウレタンスポンジを使った。プレーヤーユニットとシャーシとの間の四辺に長さ2cm,幅は隙間の倍位のスポンジを4個軽く詰め込むだけである。That's all!!!

データを見て欲しい。まずD-20(上段)の場合,TE信号の100-20kHzの全ての区間で5dB以上ジッタが減少しているが、これはエラいことだ。さらに30度プレーヤーを傾けると100-700Hzにおいて5ないし10dBの改善を得ることができる。

この改造は何もD-20に限ったことでは無い。IMESドライブ(下段)に変造を施術すると同様にTE信号の全周波数帯において3-5dB,特に150-200Hzのランブル領域では10dB以上の改善がある。IMESドライブの場合スラントの効果は小さいが確実に認められる。

というわけで、ジッタの輪廻を風水学的にブロックするためにプレーヤーとシャーシの間にダンパー要素を導入する事がいかに大事であるかがおわかりだろう。またスラントする事でジッタが経るのは、スピンドル軸受けやピックアップトランスポート系のガタが減少し、またプレーヤーとシャーシーの間のフリクションも増加することによると考える。

もちろん、シャーシーとプレーヤーの間にあるゴムやバネの類を全廃する方法もある。そうすると外乱に対しては弱くなるのでポータブルプレーヤーには使えないが、コンポーネントの場合はシャーシ全体をオーディオインシュレーターで吊れば何の問題もなかろう。

というわけで、今回のジッタ解析の結果は\5以下のスポンジ4個による劇的なジッタ減少変造として結晶したのである。さらにプレーヤーを僅かに傾けるだけでさらなるジッタの減少が可能だ。30度で無くても20度、あるいは10度でも確実な効果が望める。

いまやCDのジッタに関わる多くの神話から解脱することが可能である。ぜひご自分で変造を施術し、納得する結果を出していただきたい。

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June 25
 ●音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその9(TE信号とエラー信号記録法)

このシリーズに対して多くの手紙を頂いた。多くはオーディオに興味のあるエンジニアの方は異口同音に

”いままでCDのジッタに関わる様々な音質改善方法の情報を見てきたが、データ的裏付けを持ったモノを見たのは初めてだった”

とのこと。またTEはどんなモノでどうやって計るのか?という質問もあった。

Webmasterとて最初は全くデータシートすら手元になく、すべて独自に考えた方法である。手当たり次第にオシロと耳で信号を調べ,はやり一番CDのジッタに関係すると考えたのはTE信号だった。若干の勘違いもあったが、結果的にはトラッキングエラー(TE)信号に注目したのは正しかったと思う。

CDの細かいピットを読みとるためには、3つのサーボ系がある。

1.スピンドルサーボ。これはCDをデータから抽出したPLLクロックにロックして回転させる。その周波数特性は1-1kHz(-10dB)と狭い。これはCD自体がある程度マスがあるからだろう。

2.トラッキングサーボ。これはピックアップの内外方向でピットをとらえる。サーボアンプの周波数特性は100-100kHz(-10dB)と広範囲に及ぶ。また、トラッキングアクチュエーターの出力のDC成分は、ピックアップユニット全体がソリ(SLED)に乗って内外に移動するスレッドサーボに使われる。

3.フォーカスサーボ。これはピックアップを上下してピットの焦点をとらえる。サーボアンプの周波数特性はトラッキングと同様100-100kHz(-10dB)程度。

この中でも外乱に弱く、針飛びを起こすのはトラッキングサーボである。フォーカスエラー(FE)の信号を見る限り、フォーカスサーボの方が外乱に強いようだ。トラッキングのためにレーザーのメインスポットの両側にサイドスポットが照射される。サイドスポットの出力を受けるフォトダイオードの出力の差がTE信号として出力される。

メインスポットが中心から外れると左右のサイドスポットの反射が変化するので、ふたつのサイドスポットの差信号がゼロになるようにサーボをかけトラッキングが保たれる。従ってTE信号がCDの偏芯、ソリ、振動に極めて敏感なのは簡単に理解できると思う。

しかしなぜTEにトラッキングとは垂直方向の回転ムラの成分が含まれるのかがナゾだった。実は,サイドスポットはメインスポットに対し、一つは前に一つは後ろ,というように斜めに位置している。これは、メインスポットがトラックを横切るときそれが内から外へか、外から内へかはTEの位相がRFに比べ遅れているか進んでいるかで確定するためである。ちょうど光学マウスやエンコーダーと同じ原理だ。これによって、高速なトラックサーチが可能になっているのである。

このため、RFより位相が進んだサイドスポットと位相が遅れたサイドスポットの差信号であるTEはメインスポットのRF信号に対してほぼ時間微分波形になっている。つまり、TE信号にはトラックズレの信号だけでなく、ピットの始まりと終わりの辺縁の状態が強調された信号を含むことになる。

CDの穴(ピット)も穴で無い部分も、その長さ3Tから11T(T=230ns、0.9〜3.56μm)が等しい確率でランダムに出現するようにEFM変調されているので、TE信号を積分するとゼロになるはずである。しかしピットの始まりと終わりの部分の形状が非対称であれば、そのほぼ時間微分波形も上下に非対称になる。

従って、TE信号の低域だけを抽出する(積分する)と、その信号はピットの焼きムラが回転ムラで変調された情報が含まれることになる。これがTEにトラックズレだけでなく回転ムラの情報も乗ってくる理由である。

さて今度は皆さんがTE信号を評価する番だ。CDを構成する重要な部品は、ピックアップユニット、デジタル信号プロセッサLSIとサーボ信号プロセッサLSIである。

デジタル信号プロセッサはピックアップのRF出力を二値化しEFM信号に変換し、PLLクロックを抽出、そのクロックに応じてEFM信号をビット列に復調する。ビット列はEFM復調、フレーム抽出,エラー訂正を経てDAコンバーターにPCM信号を出力する。

サーボ信号プロセッサーはデジタル信号プロセッサーからのPLL信号を受けてスピンドルサーボを駆動する。ピックアップからのTE信号でトラッキングサーボおよびスレッドサーボを駆動する。またピックアップからのFE信号でフォーカスサーボを駆動する。またピックアップのシーク情報をコントローラーに送る。

以下に主な信号番号を示す。


サーボ信号プロセッサー  TE   T出力  FE  F出力
------------------------------------------------------------
CXA1272,CXA1082      45   11   48   5
CXA20108


デジタル信号プロセッサー  C1F1 C1F2 C2F1 C2F2 C2PO  GTOP XRAOF
-------------------------------------------------------------------
CXD1125,1130,1135            63   64   65   66   67    72  -
CXD2500                      49   48   47   46   44    39  45

GTOP:frame sync monitor, XRAOF:jitter margin exceeded

今ならCXD2500のデータシートはこちらで手にはいるがいつまで可能かは解らない。CXD1130とCXA1272はefuさんからご教示いただいた。

WebmasterのプレーヤーではTE信号が外に引き出してモニターできるようにしてある。今後は,これらの信号の観察せずにジッタに関わる論争をしても、殆ど意味を成さないと思う。

短いシリーズではあったが、CDの中には現代のデジタル通信技術、サーボ技術,メカトロ技術の粋が詰まっている。CD,DVD,MO,MDなどの光モノだけでなくFDD,HDD,携帯電話から衛星通信に至るまでのデジタル通信技術の要素の殆どが含まれている。これが1982年に出現したのは、一種の驚きでもある。

まだまだこのシリーズは続く。次回はシリーズ最終編として\5でメカニカルにジッタを激減させる方法を考える。

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June 20
 ●音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその8(ジッタ万歩計とエラー訂正)

今回は失敗に終わったジッタ万歩計プロジェクトのハナシをしたい。まずジッタによるエラー訂正頻度を数えてジッタの量とデータエラーの関係を調べる。そこのカウンターキットを秋月に買いに行く準備をしているアナタ。いいものがありまっせ。

手元にデジタル万歩計があったらバラして欲しい。Webmasterのヤツは中におもりのついたテコが入っていた。これが歩く度に揺動し接点が繋がってカウントするしかけである。

回路だが、Vcc+(1.5V)から4.7uFのタンタルと10kΩの抵抗が直列に繋がりGNDに落ちている。タンタルと抵抗の中点はCMOSのカウンター入力に繋がっている。歩行を拾うテコはタンタルをショートし、中点がhighになってカウンターが繰り上がる。中点は一旦Vcc+になるがタンタルと抵抗の時定数によってゆっくり電位が低下しチャタリングが生じないようになっている。

改造だが、タンタルをとっぱらい、カウンター入力から20kΩ程度の抵抗を経てTTLに繋ぐとレベルがあう。デジタル万歩計はいろいろな用途に非常に便利なシロモノである。これをCDプレーヤーのエラー訂正端子に繋げばエラーを計測出来るハズだった。

今回はいつものプレーヤーではなくて秋葉原で\3000で売っていたIMESのプリンター端子接続CD-ROMドライブを使った。これはconfig.sysに1行、autoexec.batに1行書き足すだけで使えるスグレモノでWin95専用ドライバーも付いて来る。SCSIのPCMCIAカード経由のCD-ROMドライブのためデバドラをたくさん書き込んでメモリー不足で泣いてるアタナ。そんなのやめて秋葉原に走りなさい。残りわずかである。

今回別のプレーヤーにしたのは、いつものプレーヤーのPLL/エラー訂正LSIのCXD1130のデータが解らなかったためである。アイメスのLSIはCXD2500BQといい裏面に露出していて変造しやすい。データシートはこちらにある。ここにはメーカーサイトに無いデータシートも多数あり便利である。

ご存じの通り音楽CDのエラー訂正はC1とC2の二段階あり、C1でエラー訂正が不能な場合にC2が使われる。CXD2500はC1F1(MNT0)、C1F2(MNT1)、C2F1(MNT2)、C2F2(MNT3)の組み合わせでエラー訂正の状態を示すようになっており、C1とC2ともエラー訂正が失敗するとC2POのフラグが立つようになっている。MNT3は少し性質が異なり、C1とC2をタイミング的に区別するのに使われる。

で、万歩計で計数すると腰が抜けてしまった。十文字カットCDをかけ、何らかのエラーの時にhighになるC1F1に接続するとジッタ万歩計の表示が追いつかず何も表示されない。C1F2も同様だった。C2F1はほんの数回計数されただけだ。

次にC2POに接続したがまったくフラグは立たない。結局RFノイズがバリバリの十文字CDでもエラー訂正不能が出たのはわずか3回であった。

図は十文字カットCDの上からC1F1、C1F2、C2F1、C2PO、TE(tracking error)、FE(Focus error)の状態で,それぞれ別個の時点で測定したモノなので、カットによるエラーの間隔がCDの回転数によって微妙に異なる。C1F1とC1F2はフラグが立ちっぱなしだが、C2F1とC2POはまったくフラグが立たないことがわかる。CDカットによるノイズはRFよりもFEよりもTEで大きく検出される。これでもあなた、CDカットやります?

C2POにフラグが立つ場合は、耳を澄ませるとトラッキングがはずれてシークしている事が多い。この場合はエラー訂正以前にPLLのロックがはずれて、フレーム同期やトラッキングも失敗している。つまり、C1とC2のエラー訂正は強力で、両者とも失敗するときはPLLのサーボもフレーム同期もトラッキングもフォーカスもあやしいということが解った。

次に普通の音楽CDを掛けてみた。残念ながらタダの一度もC1F1、C1F2とも計数されない。腹が立って指で叩くとパラパラとエラー出るが、エラーは殆どがC1で止まり,殆どC2には現れず、強く叩いてサーボでもはずれないかぎりC2POは全く立たない。つまり、きれいなCDでは殆ど読みとりエラーもエラー訂正も殆ど発生しない。発生するとしたら外乱のときだけである。

次に使い込んで細かいキズだらけの音楽CDを掛けてみた。一曲に数回C1F2が計数されるだけでC1F1は殆ど計測されなかった。面白いのはC1F1の示すシングルエラーがC1F2の示すダブルエラーよりエラー頻度が多いとは限らない事だ。これはキズの幅や性状によってエラーが異なるからだろう。C2F1やC2POも全く立ち上がらない。通常の音楽CDでは少々のキズが付いていてもC1エラーはまばらで、しかも全てC1で訂正される、という事だ。

つまり、期待したほどジッタの量とエラー訂正の間に直線関係が無い、ということだ。エラーは出るときは万歩計がすぐオーバーフローするほど出るし、出ないときは待てど暮らせど出ない。結局,ジッタ万歩計でエラーを計数してジッタの量を推測するというプロジェクトは失敗に終わったのである。もしジッタを観察するのであれば、TEを増幅してLEDを光らす方が実用的だと思う。

結論

C1エラーはCDの状態が悪いほど増えるが、その頻度は極めて低く殆どC1の段階で訂正されてしまう。またC1で失敗しC2で訂正されるケースはあまり多くなく、C1C2とも訂正が失敗する場合は、肝心のPLLもフレーム検出もサーボ類も全滅する。

いろいろキズの付いたCDで外乱を与えながら信号を漁ってみると,結局外乱に一番脆弱なのはトラッキングサーボであり、これがCDのジッタとノイズの生命線を握っているように思えてきた。CDのエラー訂正は強力ではあるが、ボトルネックはもっと川上にあるようだ。次回はジッタとトラッキングサーボの関係を探ってみたい。

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June 15
 ●音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその7(ジッタの影響はDACか?アンプか?)

ジッタに起因する回転ムラの輪廻の根が深いことは確定的になってきた。しかしジッタ量とエラー訂正の頻度との関係は未だ掴めていない。現在エラー訂正用LSIのフラグでデジタル万歩計を駆動するジッタ万歩計を変造中だが、いったい何時完成するのだろうか。(最近落成しました)

エラー訂正のエラー?にはいろいろな要素が考えられる。データの問題だけでなくエラー訂正を要するようなバーストエラーに対するサーボ系のびっくり(過渡期特性)も関係しうるという情報もいただいた。チップの資料を漁ると、明確なキズには一番敏感なトラックサーボのゲインを一時的に落として死んだフリをして無用なサーボ動作を抑制しデータがギタギタにするのを防いでロック回復を促進する仕掛けがあるようだ。

というわけで、今回はジッタによる電源ラインの揺動が、DACの水晶発振周波数に及ぶのか、あるいはアナログアンプ系に及ぶのかを明らかにしたい。

D-20の復調/エラー訂正/DAC?と思われるチップには水晶発信子が付いており、その周波数を探ると16.9344MHzとなった。もし水晶発信子の周波数が電源ラインの揺動の影響を受けるとすれば、再生する音楽の周波数領域が全て狂うことになる。

方法だが、ジッタの多い特製十文字カット入りCDをかけ、16.9344MHzをSSB受信機で受信しビート音の変化を観察すれば、微細なビート音の揺動が聞こえるのではないか?

スピーカーでははっきりしないが、ヘッドホンで聞くとかろうじてCD回転に同期したプチプチらしき音が聞こえてきた。しかしそれはまるで地球の裏側からの電信を聞くが如くかすかであった。残念ながらWebmasterのFFTや安物周波数カウンターではプチプチを数字として検知する感度はなかった。

もちろんチップにはクロック以外にも電流揺動の影響を受ける可能性のある回路は存在するが、少なくともこのプレーヤーに関する限り電流揺動によるDACクロックのジッタは小さいように思う。

さて、アナログアンプのLine出力までの間はどうだろう。殆どの安物CDプレーヤーでは,多かれ少なかれ始動時の”ブーーン”やシーク時の”キュルキュル”が聞こえるし、有る程度高級品でもlineはともかくヘッドホンアンプで聞こえたりする。このプレーヤーでは、十文字カットのプチプチがヘッドホンでははっきり聞こえるので、結果は知れている。

データはフルスケールが0dB〜100dBであり、上から十文字カット、ノーマル音楽CD,プレーヤーを30度傾けた場合をスーパーインポーズしている。測定はLine端子から行い、プレーヤーをPAUSE状態にした。

見ての通り、十文字カットの音が悪いのは当然だろう。周波数は1Hzから20KHzまでの対数表示だが、FFTの精度上86Hz以下は表示されていない。しかしWavespectraでも見ても差が有りそうである。ヘッドホンなら誰にでも聞こえるレベルであり、またなぜか歪みっぽい。

いかにも歪っぽいという印象がある場合は、高調波歪みだけでなく混変調歪みを含む事がある。アンプは電源の揺動に対して非直線性を持つし、スピーカーもヘッドホンも特に小レベルで非直線性が強い。非直線性をもつシステムに周波数f1,f2を加えると、f=nf1+mf2(n,mは整数)という混変調ひずみが発生する。

これは例えば純音では”ジュルジュル”という感じの歪みで,高調派ひずみより耳に付きやすい。レコードの針にゴミが付いた時やFM放送でマルチパスがある時に発生しやすい。ピアノやバイオリンの波形は高調波のかたまりだが、だれもそれを歪んでいるとは言わないのは、おもに音色が高調波歪みから構成されているからだ。一方混変調歪みはわずかでも目立ちやすく、それが低い周波数で揺動するとさらに耳に付きやすい。

例えば音響機器に限らず、振動するものでは固定ネジや部品同志の接触でビビリ音をたてることがあるが、非常に耳につく。ビビリ音は原信号とわずかに異なる周波数で共鳴するものが源信号と混変調を起こした音なので気になるのだ。ピックアップについた綿ゴミも信号周波数とわずかに異なった周波数の共鳴が原信号と混変調を起こすので音が濁るのである。FM放送のマルチパスのジュルジュルという雑音も同様である。

というわけで、ジッタに由来する回転ムラの輪廻は電流ラインの揺動を発生し、安物CDプレーヤーではまずその殆どが、上等なCDプレーヤーでも結構ノイズを発生する。またノイズは信号に対して混変調歪みを生じている印象がある。

まだまだCDとジッタの解析は続く。ジッタ万歩計は万歩計部分は変造が済んでスタンバイなのだが、エラーフラグ端子探しが依然として続いている。(近日公開予定)

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June 13
 ●音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその6(緑に塗ったりカットしたり編)

以前よりCDの内外のヘリに緑のペイントを塗ると音が良くなるという説がある。どうして緑色なのかは不明だが、レーザーの波長と補色で吸収率が高いからだろうか。逆に万華鏡のように鏡の作用が強くなると思うのだが。

さっそく試してみる。ペイントはタッチアップに使うペン状のモノを使った。RF波形にはさしたる変化は見られない。ジッタもCDの重さに変化が無いのでランブルに効果が無いのは当然だが、1KHzから5KHzのジッタは僅かに減少しているようにも見えないことも無い。

しかし、CDをはずしてまた載せるだけで僅かに波形が異なる事がある。おそらくスピンドルとディスクの噛み合わせ位置や具合で偏芯が僅かに変わるからだろう。聴感上の差は微妙で何とも言えないところだ。

次に某方面でハヤっているレーベル十文字面カットである。これはもとよりWebmasterの好みではない。世の中,生を受け故あって手元に来たヒカリものに、さしたる理由無しにカットを入れるのは憚られる。

まずTE波形には最下段のWavespectraのトレースのように回転に同期して盛大なバーストノイズが生じている。ジッタの周波数成分も全般に増えている。カットをカバーするようにテープを貼ってみたが、テープの重量不均衡のせいか、むしろランブル領域は増えた。

聴感の印象も良くない。トラックに垂直方向のカットによる短いバーストエラーではサーボも外れず、クロスインターリーブによるエラー訂正が最も有効であり、音はブツブツ途切れることは無い。実は,WebmasterはCD創世記にその優秀性を示すテストとしてカットを入れる実験記事を読んだ記憶がある。従って、この方法はその方面のオリジナルでは無い。

スピーカーで聴くと大した差が無いように思えたが、ヘッドホンで聴くとピアノが僅かに濁り、時にスクラッチっぽく聞こえる気がするが、サーボ系の電力消費が低周波アンプにノイズっぽさを演出しているのかもしれないが、これとてカット行為をやっちまった、というプラセーボ効果かもしれない。しかし明らかに有害なジッタを増やす意味は無いと考える。

この方法を推奨するムキは、スピンドルやピックアップサーボの漏れ磁界によってCDに生じる渦電流を問題にしている。確かに原理的には磁界があると金属箔のCDにブレーキがかかる。しかし本気で渦電流を考えるなら、十文字切りどころかトランスの積層コアのようにもっと多く切れ目を入れなければならない。

渦電流よりもCDの汚れ、キズ、偏芯、反り,スピンドルとの噛み合わせ、スピンドルのガタなどの方がはるかに影響が大きいと考える。カットはエラー訂正の優秀さをアピールする手品にすぎず、むしろジッタの増加の方が遙かに有害で到底お勧めできない。

CDとジッタのハナシはまだまだ続く。次は信号のジッタの程度とデータエラー訂正頻度との関係を調べてみたい。現在エラー訂正フラグが抽出できるCDドライブを物色中だが、いつになることやら。(近日公開予定)

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June 10
 ●音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその5(ジッタの電源ライン波及編)

今回は、CDの信号系のジッタ揺動がスピンドル駆動系やピックアップのサーボ系を経てどのように電源ラインに及ぶかを明らかにしたい。

材料は同じである。電源ラインはヘッドホンアンプのVCCで3.3uFのタンタルコンデンサーの+側から記録した。EFM>TEは前回ジッタサウンドを記録した部位である。STOPとあるのはCDが停止しているときのVCC+由来である。

今回はいつものwavetoolに加えefu's pageで公開されているWavespectraも使用した。WavespectraはWavetoolより精密で高速でありピークの検出に優れている。また元波形も表示されるので便利だ。このページには優れた信号発生ソフトもあり必見だ。

まずデータだが、Wavetoolは86Hz以下の精度が悪いが、それ以外はWavespectraと形状、レベルとも事実上同じだ。

これによると電源ラインはかなりノイジーである。まずゴロゴロというランブルの領域(100-200Hz)はSTOPより実に40dBもレベルが高く、ジッタ信号源よりたった20dB低いに過ぎない。これはランブル領域の干渉が少々のコンデンサーぐらいでは除去出来ない事を示している。

聴感上もっとも重要な300Hzから3KHzの領域も、STOPより20ないし30dB高く、これはジッタ信号源より20ないし30dB低いに過ぎない。

注目すべきは、電源のノイズの周波数分布はジッタ信号源とピークがそっくりと言うことだ。つまり信号系のジッタはシステム全体の電流変動の原因であり結果でもある、つまり風水学的に言うところの”ジッタによる回転ムラの輪廻”を形成している。

おまけに電源には何らかのクロックに由来する7KHzの余計なノイズまで乗っている。レベルの高い電源ラインのノイズがレベルの低い信号処理や音声再生にとって何を意味するかをくどくど言うのは蛇足というモノだろう。

ところで、サンプルのプレーヤー以外でもTEは意外と見つけやすい。まずCDのトランスポート基板とそれからのフレキシブルケーブルを確認する。それがメイン基板に降りるあたりに調節用半固定抵抗がある事が多い。

まずそれを動かさないようにマジックで印を付けておく。その付近に名前や番号、あるいはTPと記されたランドが見つかるだろう。そこからオシロと音声で確認すれば,RFか、EFMか、PLLか、TEかのどれかが簡単に見つかる。もしデータシートが入手できれば確実だ。ただしいぢり回してプレーヤーを壊しても、本ページは何の責任も担保しない。

まとめ

CDは偏芯や反り、外乱に敏感で,ロックが外れないようにスピンドルサーボ、ピックアップのトラック、フォーカス、スレッド系サーボが動作するが、それでも原信号上のジッタとして現れる。そして、サーボ系の揺動は電力を消費するためにシステムのVCCを揺らすことで”ジッタによる回転ムラの輪廻”を生じ,また電源ラインの揺動はジッタ等の信号の誤り訂正のマージンも損なう、ということである。

ジッタの評価にはTE信号や周波数成分を解析が有用であり、これによりスタビライザーをはじめとした,さまざまなジッタ対策を計量的かつ視覚的に評価することが可能になった。

ジッタ信号は殆どのプレーヤーで抽出可能なので、ご自分のCDプレーヤーのジッタ対策が簡単に評価できる。そのなかでもオススメは、プレーヤーを20ないし30度傾けることだ。ジッタ対策にはスキルを要する。もしプレーヤーが壊れたら、それは腕が悪いだけのハナシだ。

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June 7
音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその4(みんなでジッタサウンドを聴こう編)

今までCDのジッタについていろいろ書いてきた。いくつかお手紙を頂いている。それは、

1.CDのフチに緑色を塗るとどうなるか?

2.CDにカッターナイフで切れ目を入れるとどうなるか?

などである。1はそのうち報告したいと思う。2だが、どんな切り込みを入れたらよいか教えて頂きたい。

しばらく難しいハナシが続いたので、ここらで耳の保養をかねて本研究所謹製CDジッタサウンドを楽しんで欲しい。方法は,かねてより音が良いとされるポータブルCDプレーヤーD-20のTE端子より録音したモノだ。ぜひRealAudioで再生して欲しい。56kbpsなので高域が落ちているが雰囲気は保たれている。うまく再生されないときは、一度SAVE LINKで保存するとうまくいくかも。

CDジッタの起動と外乱サウンド(RealAudio 56kbps 99kB)

この巻では、まず起動時のサーボ音がジジジと混入し(ラフサーボ),その後安定するとゴロゴロと回転ムラに同期した音とサーというノイズが聞こえる(PLLサーボ)。これがスピンドルサーボ、ピックアップのトラック、フォーカス、スレッド系サーボが安定した再生時の本来の音だ。

ここでCDのフタを指でコンコン叩くと,ジッタにもドンドンという音が聞こえてサーボがはずれ、それに対してサーボが必死に同期を試みるキュルキュルという音が混入する。最後に停止時のサーボ音がピロピロと混入している。

CDの信号系とスピンドル駆動系が振動や外乱に弱く、サーボ電流が信号系に大きく混入する事が理解いただけるだろう。データレベルでは殆どアナログのLPプレーヤーと変わらないとも言える。

もちろん、この後にエラー訂正があるが、サーボが乱れる領域では果たしてどの程度訂正しきれるだろうか疑問である。またサーボの電流変化の影響は電源ラインを通じて信号処理や音声出力にも及ぶ。

次に,本研究所が編み出した山本式ジッタ低減術(PAT PEND.)を紹介しよう。もちろんお代はロハである。詳細は後述するとして、まずマルチメディアでその威力を実証する。

山本式ジッタ低減術を体験する(RealAudio 56kbps 81kb)

途中でジッタのゴロゴロがサーっと消失するのが解るだろうか。山本式ジッタ低減術(PAT PEND.)の原理は,重力を利用してCDのスピンドル駆動系にサイドスラストを発生してガタを減少させることによりランブルを低減させる事にある。

平たくいうとCDプレーヤーを20度ないし30度傾けるということだ。傾ける方向は前後左右どちらでも良い。この効果は\2250円も投じた既製スタビライザーよりも,\0のスタビライザーXよりもすばらしいく、特に本ページの読者に限って公開するものである。

蛇足だがスペクトラムも示す。特にランブル領域(100-200Hz)が10dBも改善している。これは数10gのスタビライザーの効果に匹敵するので,ぜひお試しあれ。なおこの方法の引用には充分ご注意願いたい。

長年CDのジッタに関わる神話、迷信、商売、思いこみなどがオーディオ界に暗いカゲを投げかけてきた。これは一つにはパテントやライセンスの問題もあったのかも知れない。しかし風水学的にジッタ揺動を計測する手法をもってすれば、魑魅魍魎のように跋扈するジッタ神話も暴かれ、結晶化し,そして黄昏を迎えるのである。

そして、その効果をネット上で体験できるのが、インターネット時代の醍醐味ではなかろうか。CDの神話の黄昏に合掌。

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June 3
 ● サーバー構成手直しのお知らせ

ご愛読ありがとうございます。このサイトはWebmasterのヘソ曲がり備忘録として発足しましたが、おかげさまで時を経るに連れてアクセス数が増加してきました。

現時点では平日オモテ(耳鼻科)ウラ(今日の...)とミラーサーバー群を合わせ4000visitor以上/日(IPベース、digit.comによる)、データ量1GB以上/日(メインサーバーより推定)、ページビュー18000以上/日(リンク画像のあるbekkoameのヒット数による)に達しています。最近はネットワークの随所に有形無形のキャッシュが存在するためログとカウンター類の表示が一致しませんので概数とお考え下さい。

ご存じの通り、本ページは複数の独立サーバーにより負荷を分散し、また虚飾を排し地球とトラフィックにやさしいコンテンツをモットーとして参りました。しかしWebmasterの調査によると本ページに関わるトラフィックは地区施設の大半を占め、さらに上流施設の無視できない部分を占めるに至っています。

従いまして諸般の事情を考慮の上、ログ上のアクセスが多いミラー#1へのアクセスはbekkoameに自動的に飛ぶように致しました。また低速サーバーのミラー#3も同様にbekkoameに飛びます。

さらに新たにミラーサーバー#4を設定しました。bekkoが低速になるテレホーダイ時間帯には速度の安定したこちらがお勧めです。ただしこれはロハの借り物サーバーですので、管理会社の機嫌を損ねると突然解脱してしまう可能性もあります。その時はいきさつをお知らせします。

今後は本ページはコンテンツを趣味性の高い方向へ振り,ますますトラフィック削減に努力したいと思います。通常のメディアとは距離を置き、オリジナリティーの高いコンテンツを目指しますので更新が途絶える可能性もあります。ご容赦下さい。

Webmaster 敬白

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June 1
 ● 音楽CDの音質とジッタの関係のナゾその3(ジッタ変動とスタビライザーXの効果編)

このシリーズはやや難解かもしれない。しかしこれ無しでは現代CDオーディオの音質を云々することは難しかろう。本来はオーディオ雑誌が取り上げるべき仕事なのだが、10年来ほおかむりして来ている。

このシリーズその1では,まず音楽CDは意外や外乱に弱く広い周波数にノイズを生じる事がわかった。シリーズその2ではCD-RのジッタがCD回転に同期して音声出力に現れる可能性をお話しした。

今回は第三弾として、CDの回転ムラに由来するジッタ変動を計量し、その周波数特性,さらにはスタビライザーの効果までを考える。今回は\2250を投じて市販のスタビライザーを購入した。B級ハイテクエコロジーを旨とする本ページとしては破格の出費だ。さらに本研究所が開発した特殊有機複合材製スタビライザーX(PAT PEND.)も計測に投入した。何と豪華な布陣だろう。

まずどうやってCDの回転ムラを計量するか、である。当初は何らかの回路を設定する事を考えた。その回路を考えていると観念が奔逸し、頭のなかでオブジェクトとして結晶した。つまりCDの回転ムラは,周波数解析オブジェクトにサーボ制御回路オブジェクトからメッセージを送れば良いのである。(この部分意味不明)。

まずCDのスピンドル回転がどのように制御されているかを考える。レーザーピックアップが読みとったRF信号からEFM信号が作られ、それから読みとりのためのPLLクロックが作られる。本来このPLLのクロックが一定の周波数になるようにスピンドルの回転が制御されるハズである。

ところが、多くのCDプレーヤーではそうなっていない。それはPLLのクロックは前回写真のように約4MHzにも達し、メカ制御に使うにはちと高すぎる。そこで便法としてTMが使われる。(追加:11Tクロックによるラフ・サーボはディスク回転の立ち上がりに使われる。いったん回転が安定すると、PLLを分周したクロックでサーボがかかる)

前回の説明のように,CDを焼くときPCM信号はEFM変調を受け3Tから11T(Tはピット一個の読みとり時間)の時間幅の信号になっている。このうち11Tの信号(TM)は周波数がPLLの1/11となり処理しやすい。具体的には信号の時間幅を振幅に変換し、そのうち一番最大の振幅(11T)が設定値になるように制御すれば良いわけだ。

というわけで、CDプレーヤーの基板をよく良く見るとTEと記した調節用のランドが見つかった。信号を観察すると確かにEFM信号が振幅に変換されている。

追加:これは間違いで、TEからはトラックセンス用フォトダイオード2個のRF差信号が出ている。これは左右からビットに対し前後にズレた位置にあるセンサーの差信号で、ビットの開始と終了の差信号になることで回転ムラやピックアップの内外サーチ方向を検知する。その強度は回転数が一定ならビット長は平均的に分散しているので積分すると一定になるはずで、これをFFT解析するとCDの回転ムラに起因するビットの検出確率の時間的な揺動(つまりジッタのジッタ)が見えてくる事になる。

これはΔΣ変調などのPDM(Pulse Density Modulation)で、パルスの密度の変化が積分すると(ローカットすると)音としてきこえてくるのとまったく同じ原理である。

というわけで早速データである。解析は例によってWavetoolスペクトロアナライザーを使った。実はこの解析ではソフトの精度上CD回転に同期した10Hz以下の成分は落ちており、可聴周波数のみの解析になる。

まず音楽CDのジッタ揺動は100-200Hzにピークがあり、さらに1.2KHz付近にもピークがある。低いピークはおそらく回転メカニズムからのノイズで、オーディオプレーヤーで言うランブルに相当するもので、実際にTE出力を耳で聞くとCD回転に同期してゴロゴロ聞こえる。

高いピークはCD駆動のCD媒体への共鳴のようだが、これまたジュルジュルサササと回転に同期して聞こえる。

まったく同じ条件で計測したにも関わらず、CD-Rのジッタ揺動は音楽CDより全体にレベルが高く谷も深い。これはCD-Rで生じるジッタ揺動が広い周波数にわたって分布する事を示している。

EFM信号の揺動は結局サーボ駆動系の揺動として現れ、さらにそれが信号に現れるという回転ムラの輪廻を形成することになる。

次にスタビライザーを載せてみる。モノはAudio-TechnicaのAT-674で値段が¥2250と言うことで、清水の舞台から飛び降りるつもりで購入した。これは中心軸に載せる重石ではなく、CDと同じ直径の厚み0.4mmのアルミ板(12g)でぴったりCDに張り付く。

おもしろいのは、これを購入したBスト電気のオーディオ売場主任?はスタビの効果を全く信用していない事である。”CDには回転ムラなんかありませんから、こんなの載せても音質には関係しません”とか言う。ハナシがそんなに単純ならハイエンドオーディオなんかそもそも不要なのであって看板を下ろした方が良かろう。

スタビを載せると確かに音楽CD,音楽CD-Rともに200Hzから2KHzにかけての揺動が5dB程度低下する。スタビが12gと軽いので高目の周波数の揺動を抑える働きが強いようだ。TE端子出力を耳で聞くと全体にかなり静かになっている。

次に特殊有機複合材製スタビライザーXを載せてみよう。これも音楽CD、CD-Rともにかなりの効果がある。既製スタビライザーよりランブルを抑える効果は低いが、逆に1.2KHz付近のピークを抑える効果が強い。これはスタビライザーXが複合材のため適度な内部損失を持つためだと思われる。

というわけで、今回ジッタの変動周波数は可聴周波数域に存在し、それに対してスタビライザーは一定の効果があることも解った。今回のデータからするとCD-Rにスタビライザーを載せると,すっぴんのCD程度のジッタ変動に抑えることが出来るかも知れない。

Webmater自体スタビライザーの効果を疑っていたが、少なくとも計測上は効果が証明された。CDを開発したS社が自社の製品に複数のスタビを設定している理由も良くわかる。つまり、重くて回転を安定させるが媒体の振動に共鳴してしまう真鍮製スタビと,真鍮より軽く回転数を安定させる働きが弱いが内部損失が大きく媒体の振動を抑える人工大理石製スタビで計測上に差が出ても不思議で無い

しかしWebmasterの耳ではスタビで音質がどのように変化したか良く解らなかった。それほど微妙な音質のハナシではある。もし音楽CDとCD-Rに音質の差があるとしたら、その大きな要素の一つだと思う。

今回もCDの不透明な領域がまた一つクリアになったように思う。え、特殊有機複合材製スタビライザーXってナニ?それは雑誌のオマケのCD-ROMである。オマケは高級音楽CD(厚み1.3mm)より僅かに薄い(1.25mm)いので重ねやすいが、重ねるときに偏芯しないように用心が必要だ。さらにCDチェンジャーなどではスタビを使うと誤動作したり壊れたりする可能性もある。

さてこのシリーズはまだまだ続く。今後はジッタ揺動が電源回路にどのような影響があるかを調べてみたい。

追加

音楽CDではスタビライザーXの効果は微妙だが、音楽CDからの吸い出しには効果があるようだ。吸い出しが不安定で有名なMitsumiのATAPIでもエラーが減っている。もし吸い出しが安定しないドライブがあったら試してみる価値があるカモ(もし効果が無くても,カネ返せとかは言わないように)。

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