コスモポリタン
しかし、階級政党と規定することは、むしろ支持の幅を狭めたといえるのでしょう。ところでマルクスの中間層の定義はどのようなものでしょうか。
別宮
共産党宣言では
「諸中流層、すなわち小工業者・小商人・手職人・農民は、何れも、中流層としての自己の存在を没落から守るため、ブルジョワジーと戦っている。従ってかれらは革命的でなく、保守的である。いな反動的である。かれらは歴史の車輪を逆転せんとしている。かれらが、革命的であるとすれば、それはかれらの目前に迫りつつあるプロレタリアートへの転落に関係してである」とあります。
まあこのように、マルクスは中間層を小工業者などと特定したのですが、SPDはハイデルグベルグ綱領で、いわゆる新中間層、大企業の使用人・官吏・知識人などをあげています。
これが丸山真男が指摘する新しい革命的な階級だとなります。つまり、丸山真男によればヒトラーに賛成したのは旧中間層であり、新中間層は違った、となります。実際の統計では、ヒトラーに賛成した層は階級とは関係がなく満遍なく支持基盤があったのですが・・・。
SPDもヒトラー党とは重なりませんが同様だったと思います。つまり「戦後左翼」と同様に労働者階級に支持されていない、自称階級政党でした。
コスモポリタン
イギリス労働党は、違うのでしょうか?
別宮
実は英独で階級構成はイギリスの方が農民の比率がすくないだけであとは変わりません。ところがイギリス労働党は1945年の総選挙で47.9%の投票を集め、絶対多数を獲得しました。
これは投票数ですから、選挙制度、小選挙区制もしくは比例代表制とは直接関係がありません。戦後長い間、SPDは30%以上の得票をあげることができませんでした。
SPDはやはり、マルクス主義を棄てることができなかったためこのような結果になったのでしょう。イギリス労働党は労働者のための党としていますが、労働者・農民・新旧中間層すべて労働者なのです。つまり階級分析などないのであって、労働者でなく社会の発展を阻害するのは、少数の地主だという認識です。
SPDの論客からすれば「社会改良主義」というところでしょう。